有価証券報告書-第81期(2025/04/01-2026/03/31)
③ 戦略
気候変動が及ぼす当グループ事業への影響については、グループの中核を担う医薬品事業を対象とし、主に主要事業所が受ける影響に着目して、TCFDの枠組みに基づく分析を実施しています。
具体的には、世界的な脱炭素化の進展を想定した1.5℃シナリオ※1及び、脱炭素化が十分に進まない場合を想定した4℃シナリオ※2を用い、気候変動に伴う移行リスク及び物理的リスク、並びにそれらに伴う事業上の機会を特定しました。
特定されたリスクと機会については、サステナビリティ推進委員会において、財務的な影響度と発生可能性の観点から分析・評価を行い、事業戦略に与える影響を踏まえた対応の優先順位や必要な対応策の検討を行っています。
※1 1.5℃シナリオはIEA NZEシナリオ等を参考に想定
※2 4℃シナリオはIPCC RCP8.5シナリオ等を参考に想定
<シナリオ分析の結果>移行リスク(1.5℃シナリオ)
※3 IEA WEO 2024(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)2030年先進国炭素税より引用
※4 IEA WEO 2025(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)2035年先進国炭素税より引用
*影響度:大(年間5億円以上)、中(年間1億円以上~5億円未満)、小(年間1億円未満)を基準として評価
*事業リスクは影響度と発生頻度、対応順等を考慮し総合的に評価
物理的リスク(4℃シナリオ)
※5 水リスクについては、AQUEDUCT Water Risk Atlasを使用し、リスクを判定
*影響度:大(年間5億円以上)、中(年間1億円以上~5億円未満)、小(年間1億円未満)を基準として評価
*事業リスクは影響度と発生頻度、対応順等を考慮し総合的に評価
機会
*影響度:中長期的な財務的影響額(大:年間5億円以上、中:年間1億円以上~5億円未満、小:年間1億円未満)を基準として評価。中長期的な価値創出効果は含まない。「-」は、財務的影響の定量化が困難、または中長期的・非財務的価値への影響が中心のため、定量評価の対象外とした項目を示す。
上記のシナリオ分析の結果、1.5℃シナリオでは、脱炭素化政策や炭素関連コストの増加、並びに社会的要請の高まりへの対応が不十分な場合に想定されるステークホルダー評価の低下等を主な移行リスクとして認識しています。また、4℃シナリオにおいては、台風や豪雨等の激甚化による水害などの急性リスクに加え、気温上昇による空調コスト及び水資源確保に関するコスト増加等の慢性リスクが生じる可能性を想定しています。
これらのリスクへの対応を通じて、高効率設備の導入等によるエネルギー効率の向上や、気温上昇に伴い罹患率が増加する疾患領域への貢献などを機会として捉えています。脱炭素化の推進とレジリエンスの強化を両立させることで、中長期的な事業の持続性及び企業価値の向上を図っていく考えです。
なお、現時点で実施しているシナリオ分析・評価の結果においては、記載した対応策を前提とした場合に、当グループの事業戦略に重大な影響を及ぼすことが直ちに想定されるリスクは認識されていませんが、気候変動に関する外部環境の変化を踏まえ、今後も継続的な見直しを行っていきます。
気候変動が及ぼす当グループ事業への影響については、グループの中核を担う医薬品事業を対象とし、主に主要事業所が受ける影響に着目して、TCFDの枠組みに基づく分析を実施しています。
具体的には、世界的な脱炭素化の進展を想定した1.5℃シナリオ※1及び、脱炭素化が十分に進まない場合を想定した4℃シナリオ※2を用い、気候変動に伴う移行リスク及び物理的リスク、並びにそれらに伴う事業上の機会を特定しました。
特定されたリスクと機会については、サステナビリティ推進委員会において、財務的な影響度と発生可能性の観点から分析・評価を行い、事業戦略に与える影響を踏まえた対応の優先順位や必要な対応策の検討を行っています。
※1 1.5℃シナリオはIEA NZEシナリオ等を参考に想定
※2 4℃シナリオはIPCC RCP8.5シナリオ等を参考に想定
<シナリオ分析の結果>移行リスク(1.5℃シナリオ)
| 分類 | 優先度が高いリスク | 当社への影響 | 影響度 | 対応策 | 事業リスク |
| 移行リスク | 脱炭素関連の政策・法規制強化 | CO2排出量に対する炭素税の加算 ・2030年度:想定炭素価格140$/t- CO2※3から影響額を約2億円と試算 ・2035年度:想定炭素価格180$/t- CO2※4から影響額を約1.5億円と試算 | 中 | ・再生可能エネルギーの導入や省エネ設備への更新、省エネ活動の一層の推進によるCO2排出量の削減 | 低 |
| CO2排出量規制等の新規創設・強化される脱炭素政策に対応した、設備投資コストの増額 | 小 | ・設備更新時のエネルギー効率の高い省エネ設備等への計画的な置き換え(助成金の利用等も考慮) | 低 | ||
| 気候変動に対する取り組み | 気候変動への取り組み不足による、ステークホルダーからの当社に対する評価の低下 | 大 | ・気候変動問題への持続的な取り組みと適切な開示によるステークホルダーからの信頼獲得 | 低 |
※3 IEA WEO 2024(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)2030年先進国炭素税より引用
※4 IEA WEO 2025(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)2035年先進国炭素税より引用
*影響度:大(年間5億円以上)、中(年間1億円以上~5億円未満)、小(年間1億円未満)を基準として評価
*事業リスクは影響度と発生頻度、対応順等を考慮し総合的に評価
物理的リスク(4℃シナリオ)
| 分類 | 優先度が高いリスク | 当社への影響 | 影響度 | 対応策 | 事業リスク |
| 物理的リスク/(急性) | 気象災害の激甚化、発生頻度上昇 | 洪水被害により当社重要拠点が浸水し、操業停止となる。復旧に際して必要となる費用(総計約36億円)、及び開発計画への影響、安定供給への影響 | 大 | ・洪水等の災害発生により想定される拠点被害について、BCP対策を強化することによる損害の最小化 | 低 |
| 原材料調達先の被災による製造の中断、及び交通網の遮断による安定供給への支障 | 大 | ・各製品の特性に応じた在庫の確保と分散保管による安定供給体制の維持向上 ・サプライヤーの複線化による調達リスクの軽減 | 低 | ||
| 物理的リスク/(慢性) | 自然災害発生率の増加に伴う保険料率の増加 | 小 | ・保険料と実際のリスクを適切に判断し、リスクヘッジに資する保険に加入 | 低 | |
| 気温上昇 | 気温上昇に伴う、空調コスト増加が想定されるが影響は限定的 | 小 | ・社員への省エネ啓発活動の継続と推進 ・高効率/省エネ設備の導入、切り替え | 低 | |
| 水不足 | 水資源枯渇に伴う水の使用制限による操業中断、水資源確保のためのコスト増加 | 小 | ・周辺の取水環境の情報収集の強化と、水資源取得リスク※5を想定した緊急時対応体制の構築 | 低 |
※5 水リスクについては、AQUEDUCT Water Risk Atlasを使用し、リスクを判定
*影響度:大(年間5億円以上)、中(年間1億円以上~5億円未満)、小(年間1億円未満)を基準として評価
*事業リスクは影響度と発生頻度、対応順等を考慮し総合的に評価
機会
| 分類 | 項目 | 当社への影響 | 影響度 |
| 機会 | 資源の効率性 | 高効率な新規技術/設備導入により、エネルギー調達コストや原材料コストの削減 | 小 |
| エネルギー源 | エネルギー源は重油、ガス、電力を使用。電力の再生可能エネルギー利用率は82%となる。再生エネルギーの導入に加え、燃料転換による将来の化石燃料枯渇に対する事業の安定化 | 小 | |
| 市場 | 気温上昇に伴い罹患率が増加する疾患領域に対する治療薬需要の増加、開発機会の拡大 | - |
*影響度:中長期的な財務的影響額(大:年間5億円以上、中:年間1億円以上~5億円未満、小:年間1億円未満)を基準として評価。中長期的な価値創出効果は含まない。「-」は、財務的影響の定量化が困難、または中長期的・非財務的価値への影響が中心のため、定量評価の対象外とした項目を示す。
上記のシナリオ分析の結果、1.5℃シナリオでは、脱炭素化政策や炭素関連コストの増加、並びに社会的要請の高まりへの対応が不十分な場合に想定されるステークホルダー評価の低下等を主な移行リスクとして認識しています。また、4℃シナリオにおいては、台風や豪雨等の激甚化による水害などの急性リスクに加え、気温上昇による空調コスト及び水資源確保に関するコスト増加等の慢性リスクが生じる可能性を想定しています。
これらのリスクへの対応を通じて、高効率設備の導入等によるエネルギー効率の向上や、気温上昇に伴い罹患率が増加する疾患領域への貢献などを機会として捉えています。脱炭素化の推進とレジリエンスの強化を両立させることで、中長期的な事業の持続性及び企業価値の向上を図っていく考えです。
なお、現時点で実施しているシナリオ分析・評価の結果においては、記載した対応策を前提とした場合に、当グループの事業戦略に重大な影響を及ぼすことが直ちに想定されるリスクは認識されていませんが、気候変動に関する外部環境の変化を踏まえ、今後も継続的な見直しを行っていきます。