有価証券報告書-第48期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、平成32年度(2020年度)に向けた中期経営計画を策定しました。平成32年度のありたい姿を「先端診断分野で存在感のあるグローバルニッチ企業として価値を創出する」としました。これまで当社グループは、2つの柱となる臨床検査薬(In Vitro Diagnostic:IVD)と基礎研究用試薬の事業を有していました。
IVD事業は、バイオテクノロジー基幹技術(抗体作製技術、分子生物学的技術、免疫学的及び遺伝子検出技術)を駆使した自己免疫疾患、がん等を対象とした特殊検査薬の研究開発から高品質な製品の開発、製造と品質管理、及び国内での薬事承認、学術、販売力が強みです。今日まで自己免疫疾患やがん領域の自己抗体検査薬、及び遺伝子検査薬でユニークな製品群を上市してきました。これまで事業成長させてきたIVD事業を陳腐化させることなく醸成させると同時に、当該事業を発展あるいは変革させ、特徴ある製品開発、新規な事業あるいはサービスを興していきます。
基礎研究用試薬事業は、ライフサイエンス・トランスレーショナルリサーチ(Life Science Translational Research:LSTR)事業へ再編して、疾病と関連した研究試薬を上市し、その先に臨床検査薬として開発、製造、承認、販売できる体制に再構築します。今後、LSTR事業からは、将来の臨床検査薬として製品化できる可能性の高い製品群を上市する方針とし、臨床検査薬事業に選択と集中する事業戦略としました。
当社グループは、平成27年10月2日付でJSR株式会社(JSR)グループの一員となりました。JSRと当社の両グループが有する米国、欧州、中国の拠点における営業の協業を手始めに世界での売上増から、近い将来は新製品開発、薬事規制対応、マーケティング、事業開発へとライフサイエンス事業の全方位で強固な事業体制を構築する予定です。
今後も、先端臨床検査薬及び関連サービスの提供にチャレンジする企業として、存在感あるグローバルニッチ企業を目指していきます。LSTR製品パイプラインから将来の先端検査薬へ向けた当社グループの取り組みに対して、魅力や成長性を実感していただける企業集団にしていきたいと思います。
企業は人なり、当社グループは人財の尊重・育成と雇用環境の提供を継承していく方針は従来と変わりはありません。
(2) 経営環境及び目標とする経営指標
当期業績は営業利益、経常利益ともに黒字の結果となりました。過去3期連続の赤字から脱却できましたが、V字回復へ向けて一層の経営努力が必要です。製造原価の低減と経費の効率的な使途に努めながら、将来の事業拡大に向けた設備や事業の芽への積極的な投資も継続していきます。
当社グループは、先端診断分野で存在感のあるグローバルニッチ企業として価値を創出するため、先端検査薬分野や新規事業への挑戦を続けます。当社の技術や製品群とシナジーある先端インフォーメーション技術及びビジネス・モデルなど当社の事業価値を高めるための戦略的な提携も含めた研究開発及び事業への投資を行います。
先端診断分野への選択と集中を指向した効率的な資金投下を実行して、平成32年度には売上高120億円、売上高営業利益率10%以上(持分法適用関連会社となったMBL International Corporationの計画を含む)を目指します。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、平成32年度に向けて先端診断分野で存在感のあるグローバルニッチ企業として価値を創出できるライフサイエンス企業を目指します。LSTR事業を通じて、特に、疾患の発症、早期診断、及び薬剤選択、有効性・有害事象の評価、治療の予後モニターなど治療と関連したバイオマーカー、更にはコンパニオン診断薬などの先端領域に注力した研究開発を推進します。
医療の進歩をキャッチアップし、ライフサイエンス産業の技術進歩を活かして、いち早く先端検査分野で製品を上市していくには、自社技術だけでは開発が困難になってきています。アカデミアとの共同研究による製品開発シーズへのアクセスだけでなく、異業種企業との提携による当社技術とシナジーのある新規事業・サービスなど、社外との戦略的連携が必要と認識しています。
① 臨床検査薬事業の醸成について
自己免疫疾患・自己抗体検査薬は、既存製品に加え、新たな診断項目の開発によって製品群を充実させ醸成・深耕してまいります。遺伝子診断は転移性大腸がん治療用抗EGFR抗体薬の投与前診断に加えて、その他のがん関連診断薬及び感染症関連の製品群を発売する予定です。
a.自己免疫疾患やがん領域において自己抗体検査薬(MESACUPシリーズ、ステイシアMEBLuxシリーズ)を柱化して企業成長を遂げてきました。国内では長年にわたり製品の品質や信頼によって競合製品群から市場を堅守していますが、今後は、競合他社との価格競争により事業の維持が激化していきます。当社としては、自己抗体事業を発展あるいは変革させ、差別化された製品開発と上市、新規な事業あるいはサービスを創出することが重要課題と認識しています。
b.遺伝子検査薬は自己抗体検査薬に続く第2の柱として製品群を発売してきました。既存の遺伝子診断製品に加え、がん関連及び感染症関連の新たな診断項目の開発によって製品群を充実させ、成長させます。
② LSTR事業戦略について
疾患と関連した研究用試薬を上市して臨床医や疾病研究者に評価していただくことで、将来の臨床検査薬に繋げることを企図しています。特に、疾患の発症、早期診断、及び薬剤選択、有効性・有害事象の評価、治療の予後モニターなど治療と関連したバイオマーカー、コンパニオン診断薬などの個別医療や精密医療に注力した製品開発を推進します。
開発されたLSTR製品群は、日本、米国、欧州、中国とグローバルに発売して、ユーザーである臨床医や疾患研究者による評価から、臨床検査薬としての開発方針を判断していきます。
a.MHCテトラマー:平成25年3月より米国でも製造し、米国と欧州市場でも販売を開始して以来、売上が順調に伸長しています。今後、グローバルトップメーカーを目指すと共にバイオマーカーなどの新規用途も開拓していく計画です。治療支援事業として推進する抗原特異的細胞傷害性T細胞(Cytotoxic T Lymphocyte:CTL)の細胞治療及びがんペプチド・ワクチンのバイオマーカーとしても、MHCテトラマー技術を活かしてまいります。本製品はグローバルに提供していくために、当社と米国関連会社BION Enterprises Ltd.の2拠点で製造しています。
b.リキッド・バイプシー:JSRライフサイエンス株式会社(LSC:JSRのライフサイエンス部門子会社)が開発・販売しているエクソソーム研究ツールであるExoCap™は、グローバル製品として認知されています。今後は、ExoCap™に続く研究用試薬、及び臨床検査薬の発売を目指します。
c.創薬支援:タンパク質間相互作用を調べる新しい基盤技術としてFluoppi技術を紹介しています。現在は、創薬ツールとして製薬企業や創薬ベンチャー企業へ導出してライセンス収入を得るモデルですが、技術や製品を拡充して創薬支援の包括的サービスの可能性を検討してまいります。
③ 治療支援事業について
当社グループでは、長年にわたり蓄積してきた免疫学的技術を臨床検査薬や研究用試薬だけでなく、治療法にも応用発展させてきました。液性免疫学的方法を応用した治療用抗体の創薬、細胞性免疫学的手法を応用した抗原特異的細胞傷害性T細胞(CTL)による細胞治療やがんペプチド・ワクチンです。これら研究開発プロジェクトは治療支援事業として、製薬企業への知財や技術・ノウハウの導出によってパートナーからのライセンスやロイヤルティーの収入を期待しています。
④ 新規事業シーズ
JSRが学校法人慶應義塾大学と共同でJSR・慶應義塾大学医学化学イノベーションセンター(JKiC、2017年運用開始予定)を設立します。当社はJSRグループのライフサイエンス事業の中核企業として、共同研究計画策定への参画やJKiCへの人員派遣によって、研究と事業の創造にコミットします。
東大医科学研究所にて開設している社会連携研究部門「システム・イムノロジー」において、個別医療や精密医療に必要な疾患別全DNA解析や、腸内細菌メタゲノム解析の基盤となるデータベースの構築を目指しています。自己免疫疾患を含めた免疫疾患患者の有用な遺伝子情報にアクセスできます。当社グループでは実施できない免疫とバイオインフォマティクに精通する人材を育成することができること、次世代シークエンスを用いた「先制医療」へのアクセスの機会、及びがんや自己免疫疾患も含めた疾患マーカー等へ早期にアクセスできるメリットがあります。将来的には、システム・イムノロジーの成果を基にバイオマーカーやコンパニオン診断薬などの臨床検査薬の開発に着手する予定です。
⑤ JSRグループ欧米海外拠点の活用・統合化及びMBLによる中国展開
JSRグループと一体化したグローバルな製品販売を拡大します。JSRの海外拠点との提携強化は、短期的には当社製品の販売増となります。中期的には臨床検査薬やLSTR製品群の応用開発、販売促進用のデータ取得や学術ラボ機能による販売促進機能、長期的には米国アカデミアや企業との共同研究による革新的な製品開発から上市へと研究開発機能の拡張をゴールとしています。
当期は、当社グループとJSRグループの間での海外拠点の相互活用を具体的に検討してまいりました。
a.米国では、平成28年4月1日付で当社100%子会社のMBL International Corporation(MBLI)は、JSRの海外子会社であるJSR Micro, Inc.(米国)から出資を受けて持分法適用関連会社となりました。今後、1)JSR Micro, Inc. からの経営人財派遣を含むグループとしての米国経営管理の強化、2)JSR グループ及び当社による米国拠点の一体化と運営の明確化、ならびに3)当社製品群の販売を拡大するための体制強化といった施策を遂行していきます。
b.欧州では、平成27年3月にベルギー王国ブリュッセルに駐在員事務所として開所したMBL EuropeをJSRの海外子会社であるJSR Micro, N.V.(ベルギー)と統合しました。現在、欧州販売の協力関係を構築しています。
c.中国では、当社子会社である北京博尔邁生物技術有限公司が基礎研究用試薬やJSRの商品を中国市場で販売しています。中国検査薬市場での本格拡大を図るべく、中国市場のニーズに合った新製品の迅速な市場投入及び生産コスト低減の実現を目的として、平成29年2月に恩碧楽(杭州)生物科技有限公司を設立しました。平成30年から当社の売上に貢献することが期待されます。
⑥ 人財育成
体系的人事施策による人財育成を中期計画の骨子としてまいります。グローバルに活躍できる人財を育成すべく、計画的な社内ローティションやJSRとの人財交流など活発、積極的に実践してまいります。
(4) 会社の対処すべき課題
① 製品開発戦略を立案、実行する機能
製品開発においては、ライフサイエンス産業動向(医療トレンド、知財、技術、製品化、薬事及びその他の規制対応、産業変化)を的確にとらえ、事業環境変化に対応し時代のニーズにマッチした迅速な製品開発やサービスの提供が重要視されると考えています。そのためには、製品開発戦略を立案、実行する機能が必要と認識しています。
② 製品開発戦略
製品開発戦略における課題は、先端的製品開発と継続的製品上市があげられます。平成27年10月からJSRグループの一員となったことで、JSRライフサイエンス事業の重要な一翼を担うことになりました。JSRとの協業を最大化して成果を出すことが喫緊の課題です。当社製品を単に海外市場で販売するだけではなく、米国、欧州、中国の海外拠点からもライフサイエンスの最先端情勢や動向の分析を行い、マーケティング活動から新製品も現地で開発することを目指します。日本ではJSRライフサイエンス株式会社(JSRのライフサイエンス部門子会社)と共同でリキッド・バイオプシーの製品開発を、米国ではJSR Micro, Inc.(カリフォルニア州サニー・ベール)とMBLIの研究所(マサチューセッツ州ウーバン)から米国発の製品を発売することで次の事業シーズの発信地にしてまいります。
③ グローバル市場への展開強化
当社の販売する臨床検査薬は、米国、欧州、中国など国・地域ごとに薬事承認後に販売可能となります。日本で開発した新製品を海外でも遅延なく承認を取得して上市することが重要課題と捉えています。国・地域ごとに薬事規制当局が要求する承認要件、及び販売戦略や価格などの市場ニーズに精通した人財を現地法人で育成していくことが、グローバル化の必要条件と認識しています。「(3) 中長期的な会社の経営戦略 ⑤ JSRグループ欧米海外拠点の活用・統合化及びMBLによる中国展開」に記載したように、米国、欧州、中国の拠点における地域ごとの協力関係の方針に沿って、人財を育成してまいります。
④ 高品質で安全な製品の安定生産と供給
a.当社グループでは、ISO13485 品質方針として、ⅰ) 品質マネジメントシステムの有効性の維持、継続的な改善を図り、顧客の視点に立った品質を提供すること、ⅱ) 顧客からの情報に耳を傾け、丁寧且つ迅速に対応すること、ⅲ) 法令・規制要求事項の遵守を最優先し、安全で安心な製品とサービスを提供すること、を定めています。
b.当社グループでは、患者様の生命に関わる診断、治療方針、薬剤選択を決定する重要な臨床検査薬を製造・販売しています。更に、今後拡大するグローバル販売のために、従来よりも高品質な臨床検査薬の製造体制、及び高度な品質管理とマネージメント体制(QMS)の継続的改善が課せられた義務です。
c.臨床検査薬の製品開発においては、製品を設計し、開発、製造、基礎性能試験、臨床性能試験、薬事承認、販売から学術支援までをシームレスに実行する機能が重要と認識しています。臨床検査薬の発売後は、原料購入から安定生産まで高品質な製品の供給体制、グローバル市場に供給可能な製造体制(薬事対応、規制対応、ISO13485)、製品に関する問い合わせ、苦情対応の体制の完備、及び是正措置対応に関する機能が重要と認識しています。先端診断薬分野においては、市場の多様化に適応した学術情報の提供、販促活動、営業体制も重要と認識しています。
⑤ コンプライアンスの強化について
当社グループは、一般社団法人 日本臨床検査薬協会が定めた「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」の理念を踏まえ、「企業活動と医療機関等の関係の透明性に関する指針」を策定し、当社の「企業倫理基準」及び「企業行動規範」とともに行動指針とし、当社の企業活動が医療をはじめとするライフサイエンスの発展に寄与していること、及びその活動が高い倫理性を担保したうえで行われていることを、広く社会に示すことを目的としております。
また、策定した指針に基づき、当社が医療機関及び医療関係者等との連携活動に伴う資金提供の情報の公開を行います。
(1) 経営方針
当社グループは、平成32年度(2020年度)に向けた中期経営計画を策定しました。平成32年度のありたい姿を「先端診断分野で存在感のあるグローバルニッチ企業として価値を創出する」としました。これまで当社グループは、2つの柱となる臨床検査薬(In Vitro Diagnostic:IVD)と基礎研究用試薬の事業を有していました。
IVD事業は、バイオテクノロジー基幹技術(抗体作製技術、分子生物学的技術、免疫学的及び遺伝子検出技術)を駆使した自己免疫疾患、がん等を対象とした特殊検査薬の研究開発から高品質な製品の開発、製造と品質管理、及び国内での薬事承認、学術、販売力が強みです。今日まで自己免疫疾患やがん領域の自己抗体検査薬、及び遺伝子検査薬でユニークな製品群を上市してきました。これまで事業成長させてきたIVD事業を陳腐化させることなく醸成させると同時に、当該事業を発展あるいは変革させ、特徴ある製品開発、新規な事業あるいはサービスを興していきます。
基礎研究用試薬事業は、ライフサイエンス・トランスレーショナルリサーチ(Life Science Translational Research:LSTR)事業へ再編して、疾病と関連した研究試薬を上市し、その先に臨床検査薬として開発、製造、承認、販売できる体制に再構築します。今後、LSTR事業からは、将来の臨床検査薬として製品化できる可能性の高い製品群を上市する方針とし、臨床検査薬事業に選択と集中する事業戦略としました。
当社グループは、平成27年10月2日付でJSR株式会社(JSR)グループの一員となりました。JSRと当社の両グループが有する米国、欧州、中国の拠点における営業の協業を手始めに世界での売上増から、近い将来は新製品開発、薬事規制対応、マーケティング、事業開発へとライフサイエンス事業の全方位で強固な事業体制を構築する予定です。
今後も、先端臨床検査薬及び関連サービスの提供にチャレンジする企業として、存在感あるグローバルニッチ企業を目指していきます。LSTR製品パイプラインから将来の先端検査薬へ向けた当社グループの取り組みに対して、魅力や成長性を実感していただける企業集団にしていきたいと思います。
企業は人なり、当社グループは人財の尊重・育成と雇用環境の提供を継承していく方針は従来と変わりはありません。
(2) 経営環境及び目標とする経営指標
当期業績は営業利益、経常利益ともに黒字の結果となりました。過去3期連続の赤字から脱却できましたが、V字回復へ向けて一層の経営努力が必要です。製造原価の低減と経費の効率的な使途に努めながら、将来の事業拡大に向けた設備や事業の芽への積極的な投資も継続していきます。
当社グループは、先端診断分野で存在感のあるグローバルニッチ企業として価値を創出するため、先端検査薬分野や新規事業への挑戦を続けます。当社の技術や製品群とシナジーある先端インフォーメーション技術及びビジネス・モデルなど当社の事業価値を高めるための戦略的な提携も含めた研究開発及び事業への投資を行います。
先端診断分野への選択と集中を指向した効率的な資金投下を実行して、平成32年度には売上高120億円、売上高営業利益率10%以上(持分法適用関連会社となったMBL International Corporationの計画を含む)を目指します。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、平成32年度に向けて先端診断分野で存在感のあるグローバルニッチ企業として価値を創出できるライフサイエンス企業を目指します。LSTR事業を通じて、特に、疾患の発症、早期診断、及び薬剤選択、有効性・有害事象の評価、治療の予後モニターなど治療と関連したバイオマーカー、更にはコンパニオン診断薬などの先端領域に注力した研究開発を推進します。
医療の進歩をキャッチアップし、ライフサイエンス産業の技術進歩を活かして、いち早く先端検査分野で製品を上市していくには、自社技術だけでは開発が困難になってきています。アカデミアとの共同研究による製品開発シーズへのアクセスだけでなく、異業種企業との提携による当社技術とシナジーのある新規事業・サービスなど、社外との戦略的連携が必要と認識しています。
① 臨床検査薬事業の醸成について
自己免疫疾患・自己抗体検査薬は、既存製品に加え、新たな診断項目の開発によって製品群を充実させ醸成・深耕してまいります。遺伝子診断は転移性大腸がん治療用抗EGFR抗体薬の投与前診断に加えて、その他のがん関連診断薬及び感染症関連の製品群を発売する予定です。
a.自己免疫疾患やがん領域において自己抗体検査薬(MESACUPシリーズ、ステイシアMEBLuxシリーズ)を柱化して企業成長を遂げてきました。国内では長年にわたり製品の品質や信頼によって競合製品群から市場を堅守していますが、今後は、競合他社との価格競争により事業の維持が激化していきます。当社としては、自己抗体事業を発展あるいは変革させ、差別化された製品開発と上市、新規な事業あるいはサービスを創出することが重要課題と認識しています。
b.遺伝子検査薬は自己抗体検査薬に続く第2の柱として製品群を発売してきました。既存の遺伝子診断製品に加え、がん関連及び感染症関連の新たな診断項目の開発によって製品群を充実させ、成長させます。
② LSTR事業戦略について
疾患と関連した研究用試薬を上市して臨床医や疾病研究者に評価していただくことで、将来の臨床検査薬に繋げることを企図しています。特に、疾患の発症、早期診断、及び薬剤選択、有効性・有害事象の評価、治療の予後モニターなど治療と関連したバイオマーカー、コンパニオン診断薬などの個別医療や精密医療に注力した製品開発を推進します。
開発されたLSTR製品群は、日本、米国、欧州、中国とグローバルに発売して、ユーザーである臨床医や疾患研究者による評価から、臨床検査薬としての開発方針を判断していきます。
a.MHCテトラマー:平成25年3月より米国でも製造し、米国と欧州市場でも販売を開始して以来、売上が順調に伸長しています。今後、グローバルトップメーカーを目指すと共にバイオマーカーなどの新規用途も開拓していく計画です。治療支援事業として推進する抗原特異的細胞傷害性T細胞(Cytotoxic T Lymphocyte:CTL)の細胞治療及びがんペプチド・ワクチンのバイオマーカーとしても、MHCテトラマー技術を活かしてまいります。本製品はグローバルに提供していくために、当社と米国関連会社BION Enterprises Ltd.の2拠点で製造しています。
b.リキッド・バイプシー:JSRライフサイエンス株式会社(LSC:JSRのライフサイエンス部門子会社)が開発・販売しているエクソソーム研究ツールであるExoCap™は、グローバル製品として認知されています。今後は、ExoCap™に続く研究用試薬、及び臨床検査薬の発売を目指します。
c.創薬支援:タンパク質間相互作用を調べる新しい基盤技術としてFluoppi技術を紹介しています。現在は、創薬ツールとして製薬企業や創薬ベンチャー企業へ導出してライセンス収入を得るモデルですが、技術や製品を拡充して創薬支援の包括的サービスの可能性を検討してまいります。
③ 治療支援事業について
当社グループでは、長年にわたり蓄積してきた免疫学的技術を臨床検査薬や研究用試薬だけでなく、治療法にも応用発展させてきました。液性免疫学的方法を応用した治療用抗体の創薬、細胞性免疫学的手法を応用した抗原特異的細胞傷害性T細胞(CTL)による細胞治療やがんペプチド・ワクチンです。これら研究開発プロジェクトは治療支援事業として、製薬企業への知財や技術・ノウハウの導出によってパートナーからのライセンスやロイヤルティーの収入を期待しています。
④ 新規事業シーズ
JSRが学校法人慶應義塾大学と共同でJSR・慶應義塾大学医学化学イノベーションセンター(JKiC、2017年運用開始予定)を設立します。当社はJSRグループのライフサイエンス事業の中核企業として、共同研究計画策定への参画やJKiCへの人員派遣によって、研究と事業の創造にコミットします。
東大医科学研究所にて開設している社会連携研究部門「システム・イムノロジー」において、個別医療や精密医療に必要な疾患別全DNA解析や、腸内細菌メタゲノム解析の基盤となるデータベースの構築を目指しています。自己免疫疾患を含めた免疫疾患患者の有用な遺伝子情報にアクセスできます。当社グループでは実施できない免疫とバイオインフォマティクに精通する人材を育成することができること、次世代シークエンスを用いた「先制医療」へのアクセスの機会、及びがんや自己免疫疾患も含めた疾患マーカー等へ早期にアクセスできるメリットがあります。将来的には、システム・イムノロジーの成果を基にバイオマーカーやコンパニオン診断薬などの臨床検査薬の開発に着手する予定です。
⑤ JSRグループ欧米海外拠点の活用・統合化及びMBLによる中国展開
JSRグループと一体化したグローバルな製品販売を拡大します。JSRの海外拠点との提携強化は、短期的には当社製品の販売増となります。中期的には臨床検査薬やLSTR製品群の応用開発、販売促進用のデータ取得や学術ラボ機能による販売促進機能、長期的には米国アカデミアや企業との共同研究による革新的な製品開発から上市へと研究開発機能の拡張をゴールとしています。
当期は、当社グループとJSRグループの間での海外拠点の相互活用を具体的に検討してまいりました。
a.米国では、平成28年4月1日付で当社100%子会社のMBL International Corporation(MBLI)は、JSRの海外子会社であるJSR Micro, Inc.(米国)から出資を受けて持分法適用関連会社となりました。今後、1)JSR Micro, Inc. からの経営人財派遣を含むグループとしての米国経営管理の強化、2)JSR グループ及び当社による米国拠点の一体化と運営の明確化、ならびに3)当社製品群の販売を拡大するための体制強化といった施策を遂行していきます。
b.欧州では、平成27年3月にベルギー王国ブリュッセルに駐在員事務所として開所したMBL EuropeをJSRの海外子会社であるJSR Micro, N.V.(ベルギー)と統合しました。現在、欧州販売の協力関係を構築しています。
c.中国では、当社子会社である北京博尔邁生物技術有限公司が基礎研究用試薬やJSRの商品を中国市場で販売しています。中国検査薬市場での本格拡大を図るべく、中国市場のニーズに合った新製品の迅速な市場投入及び生産コスト低減の実現を目的として、平成29年2月に恩碧楽(杭州)生物科技有限公司を設立しました。平成30年から当社の売上に貢献することが期待されます。
⑥ 人財育成
体系的人事施策による人財育成を中期計画の骨子としてまいります。グローバルに活躍できる人財を育成すべく、計画的な社内ローティションやJSRとの人財交流など活発、積極的に実践してまいります。
(4) 会社の対処すべき課題
① 製品開発戦略を立案、実行する機能
製品開発においては、ライフサイエンス産業動向(医療トレンド、知財、技術、製品化、薬事及びその他の規制対応、産業変化)を的確にとらえ、事業環境変化に対応し時代のニーズにマッチした迅速な製品開発やサービスの提供が重要視されると考えています。そのためには、製品開発戦略を立案、実行する機能が必要と認識しています。
② 製品開発戦略
製品開発戦略における課題は、先端的製品開発と継続的製品上市があげられます。平成27年10月からJSRグループの一員となったことで、JSRライフサイエンス事業の重要な一翼を担うことになりました。JSRとの協業を最大化して成果を出すことが喫緊の課題です。当社製品を単に海外市場で販売するだけではなく、米国、欧州、中国の海外拠点からもライフサイエンスの最先端情勢や動向の分析を行い、マーケティング活動から新製品も現地で開発することを目指します。日本ではJSRライフサイエンス株式会社(JSRのライフサイエンス部門子会社)と共同でリキッド・バイオプシーの製品開発を、米国ではJSR Micro, Inc.(カリフォルニア州サニー・ベール)とMBLIの研究所(マサチューセッツ州ウーバン)から米国発の製品を発売することで次の事業シーズの発信地にしてまいります。
③ グローバル市場への展開強化
当社の販売する臨床検査薬は、米国、欧州、中国など国・地域ごとに薬事承認後に販売可能となります。日本で開発した新製品を海外でも遅延なく承認を取得して上市することが重要課題と捉えています。国・地域ごとに薬事規制当局が要求する承認要件、及び販売戦略や価格などの市場ニーズに精通した人財を現地法人で育成していくことが、グローバル化の必要条件と認識しています。「(3) 中長期的な会社の経営戦略 ⑤ JSRグループ欧米海外拠点の活用・統合化及びMBLによる中国展開」に記載したように、米国、欧州、中国の拠点における地域ごとの協力関係の方針に沿って、人財を育成してまいります。
④ 高品質で安全な製品の安定生産と供給
a.当社グループでは、ISO13485 品質方針として、ⅰ) 品質マネジメントシステムの有効性の維持、継続的な改善を図り、顧客の視点に立った品質を提供すること、ⅱ) 顧客からの情報に耳を傾け、丁寧且つ迅速に対応すること、ⅲ) 法令・規制要求事項の遵守を最優先し、安全で安心な製品とサービスを提供すること、を定めています。
b.当社グループでは、患者様の生命に関わる診断、治療方針、薬剤選択を決定する重要な臨床検査薬を製造・販売しています。更に、今後拡大するグローバル販売のために、従来よりも高品質な臨床検査薬の製造体制、及び高度な品質管理とマネージメント体制(QMS)の継続的改善が課せられた義務です。
c.臨床検査薬の製品開発においては、製品を設計し、開発、製造、基礎性能試験、臨床性能試験、薬事承認、販売から学術支援までをシームレスに実行する機能が重要と認識しています。臨床検査薬の発売後は、原料購入から安定生産まで高品質な製品の供給体制、グローバル市場に供給可能な製造体制(薬事対応、規制対応、ISO13485)、製品に関する問い合わせ、苦情対応の体制の完備、及び是正措置対応に関する機能が重要と認識しています。先端診断薬分野においては、市場の多様化に適応した学術情報の提供、販促活動、営業体制も重要と認識しています。
⑤ コンプライアンスの強化について
当社グループは、一般社団法人 日本臨床検査薬協会が定めた「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」の理念を踏まえ、「企業活動と医療機関等の関係の透明性に関する指針」を策定し、当社の「企業倫理基準」及び「企業行動規範」とともに行動指針とし、当社の企業活動が医療をはじめとするライフサイエンスの発展に寄与していること、及びその活動が高い倫理性を担保したうえで行われていることを、広く社会に示すことを目的としております。
また、策定した指針に基づき、当社が医療機関及び医療関係者等との連携活動に伴う資金提供の情報の公開を行います。