有価証券報告書-第20期(2022/01/01-2022/12/31)

【提出】
2023/03/27 10:48
【資料】
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【項目】
136項目

有報資料

以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略
当社は、創薬事業においては、アンメット・メディカル・ニーズの高い未だ有効な治療方法が確立されていない疾患を中心に、特にがん、免疫・炎症疾患を重点領域として画期的な新薬の開発を目指して研究開発に取り組み、また、創薬支援事業においては、新たなキナーゼ阻害薬(*)創製のための製品・サービスを製薬企業等へ提供するため、営業活動に取り組んでおります。創薬事業は、当社の研究部門が創製した医薬品候補化合物の知的財産権に基づく開発・商業化の権利を製薬会社等に導出(ライセンスアウト)し、その対価として契約一時金、一定の開発段階を達成した際のマイルストーンペイメント収入、新薬の上市後の売上高に応じた販売マイルトーンやロイヤリティ収入を獲得するビジネスモデルです。また、創薬支援事業は高品質なキナーゼタンパク質製品や正確なプロファイリング(*)・スクリーニングサービス(*)を製薬企業などの研究所へ販売・提供することで、安定的な収入を獲得し、創薬事業における研究開発のスピードアップに寄与しています。
① 創薬事業
当社の創薬研究は、アンメット・メディカル・ニーズが高いがんおよび免疫・炎症疾患を重点領域としており、有望創薬プログラムへ研究リソースを重点的に投入し、創薬の成功確率の向上と研究期間の短縮に努めながら、当社が培ってきたキナーゼ(*)に関する創薬基盤技術などを利用して、新規性の高い画期的な医薬品候補化合物の創出を目指しています。当社の創薬事業は、製薬企業出身者が中心となって、当社のコア技術であるキナーゼ創薬基盤技術を中心に、様々な創薬標的に対する低分子医薬品の創薬研究を実施しており、次々と独自の新たなパイプラインを生み出すことができることが大きな特長となっています。また、大学等アカデミアとの共同研究も積極的に推進し、新しいコア技術の開発や新規創薬テーマの発掘のための研究を行なっています。
当社は、がん領域については臨床試験のフェーズ2まで、それ以外の疾患についてはフェーズ1または前臨床試験までのいずれかの段階で当社の創薬プログラムを製薬企業等に導出することを基本方針としております。導出契約は、導出時の研究開発のステージが高くなるほど収益性が高くなることが見込まれますが、その反面、導出に至るまでの開発リスクは高まり、必要な研究開発費は多額になります。反対に、前臨床段階など早期に導出することを想定した場合、ヒトに対する臨床データがなく、臨床開発リスクが考慮されるために、導出先製薬企業等から獲得する収益は低くなる可能性があります。当社が創出した医薬品候補化合物が臨床試験を経て上市する成功確率を高めるためには、臨床試験段階のパイプラインを複数保有することが重要です。これまでの複数の製薬企業(ジョンソン・エンド・ジョンソン社、シエラ社、ギリアド社、バイオノバ社、フレッシュ・トラックス・セラピューティクス社)への導出実績や国際的学術科学雑誌への研究成果の掲載、さらには当社が独自に研究開発中の創薬プログラムへの注目度の高まり等を受けて、海外メガファーマや国内製薬企業等との協議の機会が多くなっております。当社は、自社で臨床試験を実施し、創薬パイプラインの価値を最大限に高めたうえで導出することを中期的な経営の基本方針として掲げていますが、競合状況や導出先製薬企業との頻回な面談による情報収集により、当社にとって最大価値を生み出せるよう戦略的かつ臨機応変に導出交渉に取り組んでまいります。
2018年の臨床開発部新設以降、臨床開発体制を強化し、当社が創出した医薬品候補化合物の臨床試験を自社で実施することが可能となりましたが、今後も次々とステージアップする複数の医薬品候補化合物の臨床試験を実施する体制はいまだ不十分であると認識しております。自社開発品であるAS-0871、AS-1763およびAS-0141の臨床試験が確実に実施でき、さらに将来の医薬品候補化合物の開発が滞りなく実施できるよう、引き続き臨床開発体制の強化を進めていく計画です。
上記開発体制を構築してさらなる事業の発展を目指していくうえで、臨床開発を推進、管理する人員の確保、臨床試験を推進するための資金の獲得が必要となります。当社は、創薬支援事業および創薬事業における営業キャッシュ・フロー収入を投じる予定でありますが、必要に応じて資本市場等から資金を調達し、当社事業の拡充に取り組んでまいります。
② 創薬支援事業
当社の創薬支援事業は、当社の創薬基盤技術に基づくキナーゼ関連製品およびサービスの高い品質を強みとし、その創薬基盤技術を基にして顧客の要望に的確に応える学術サポートを通じて世界的なシェアを拡大し、安定的な収益を獲得することを基本方針としています。この獲得した収益を創薬事業に投じることで研究開発のスピードアップに寄与することが、創薬支援事業の重要なミッションです。地域別には、市場規模が大きくバイオベンチャーが次々誕生するなど成長を続ける北米での中期的かつ持続的な売上増、また日本国内での売上の維持拡大が重要と考えており、急成長しているその他地域の中国での売上拡大とともに注力してまいります。
製品別では、当社のみが販売している機能性キナーゼタンパク質製品のビオチン化タンパク質(*)や変異体キナーゼ(*)タンパク質の品ぞろえを強化いたします。また、プロメガ社のNanoBRETTMテクノロジーを用いて細胞内でのキナーゼ阻害剤の作用を評価する受託試験サービスについても、ターゲットとなるキナーゼ数を追加し、サービスを拡大させています。これら新製品、サービスを顧客に積極的に提案するとともに、顧客ニーズに合致した新製品、サービスをさらに開発し提供することで売上の拡大に取り組んでまいります。
創薬支援事業においては、新型コロナウイルスやウクライナ情勢の影響で中国および欧州における物流が遅延するなどの影響がありましたが、物流ルートの変更や物流会社の変更などにより、当連結会計年度における売上への影響は一時的なものとなりました。
以上の取り組みを通して、複数の臨床試験段階のパイプラインを有する創薬ベンチャーとして飛躍的な成長を実現し、当社の企業価値を高めていく経営方針です。
③ 目標とする経営指標
創薬支援事業については、安定的に収益を獲得する基盤事業として継続的な事業成長と収益基盤の拡大を図るため、売上高、営業利益率の改善を重要な経営指標としております。当連結会計年度においては、キナーゼタンパク質製品中心に売上が拡大しました。自社開発品で原価率の低いキナーゼタンパク質の売上が伸長したことにより、創薬支援事業の営業利益率は改善いたしました。今後も、利益率の高い自社開発品中心に売上の安定的な成長を目指し、同時に開発や製造の効率を向上させることで、営業利益率の改善に取り組んでまいります。
創薬事業については、医薬品候補化合物の導出後の安定的な収益を獲得するまでに相応の期間を要するため、短期的な経営指標で業績評価を行うことは適切ではありません。研究開発中の創薬パイプラインの進捗、導出先からのマイルストーン収入、上市後のロイヤリティの安定的な獲得が中期的な目標となります。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 当社グループとしての課題
当社は創薬ベンチャーとして、画期的な新薬を一日も早く世に送り出すことを目指して事業を行っております。中長期的に研究開発費を先行投資するビジネスモデルとなっており、当面、損失の計上が継続する可能性があります。迅速かつ効率的に研究開発を進めるためには、必要な資金を計画的に確保することが課題です。自社臨床試験を着実に進め、複数の臨床試験段階のパイプラインを有する創薬ベンチャーとなることで、当社の企業価値を高めてまいります。
② 創薬事業
当社は、BTK阻害剤AS-0871(免疫・炎症疾患対象)の第I相臨床試験をオランダで実施しております。また、CDC7阻害剤AS-0141(固形がん対象)の第I相臨床試験を日本で実施しております。さらに、BTK阻害剤AS-1763については、治療歴を有する慢性リンパ性白血病(CLL)・小リンパ球性リンパ腫(SLL)およびB細胞性非ホジキンリンパ腫(B-cell NHL)の患者を対象とした第Ib相臨床試験を米国で実施する準備を進めており、これらの臨床試験を着実に進めていくことが最も重要と認識しております。さらに、将来の医薬品候補化合物の開発が滞りなく実施できるよう、引き続き臨床開発体制の強化を進めてまいります。また、切れ目のない創薬パイプラインの構築を目的として、次世代の研究ターゲットにも取り組んでまいります。導出活動については、各創薬パイプラインごとに最適な戦略を立てたうえで、当社創薬パイプラインの価値を最大化できるよう取り組んでおります。
③ 創薬支援事業
創薬支援事業においては、顧客ニーズに基づいた独自性の高い製品・サービスの開発を進め、キナーゼに関する専門知識に基づく学術営業を通じ、既存顧客との関係をさらに強化すると同時に、新規顧客を獲得することが重要と考えております。地域的には、市場規模が大きくバイオベンチャーが次々と誕生する米国市場および市場が拡大している中国での売上拡大に注力します。当社グループのみが提供している製品・サービスを中心に積極的に顧客への提案を行い売上拡大に取り組むことで、安定的な売上確保を目指してまいります。
④ 財務戦略
当社の財務戦略は、長期にわたる研究開発を行うための強固な財務基盤を保つために、手元資金については高い流動性と厚めの資金量を確保及び維持することを基本方針としております。先行投資が必要な創薬事業の研究開発資金に、創薬支援事業で獲得したキャッシュ・フローおよび創薬事業で獲得した契約一時金、マイルストーン収入およびロイヤリティ収入を充当し、当社創薬パイプラインの拡充および着実な進展を図り、事業価値を高めていくという経営方針に基づいて財務戦略を策定しております。また、現在実施している新株予約権を用いた資金調達を進めるとともに、必要に応じて新たな資金調達や金融機関等からの借入を実施し、当社の企業価値を高めるための先行投資として実施する研究開発の資金確保に努めてまいります。
(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。

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