有価証券報告書-第89期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 11:00
【資料】
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【項目】
108項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における我が国経済は、雇用情勢や所得環境の改善が継続し、緩やかな回復基調で推移しましたが、中国など新興国経済の減速や英国のEU離脱問題、さらに米国新政権の今後の経済政策が不確実なこともあり、景気の先行きは不透明な状況で推移しました。
当社グループの主要市場であるエレクトロニクス市場におきましては、自動車の安全性確保や利便性向上に伴う車載用電子部品の生産数は増加傾向となりましたが、市場を牽引してきたスマートフォンは普及の一巡に伴い、成長がやや鈍化しました。
このような状況の下、当社グループは、収益力の更なる向上を目指して、徹底したコスト削減、高付加価値製品の開発と提案並びに拡販活動に注力してまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は420億81百万円(前連結会計年度比11.5%減)、営業利益は56億71百万円(同15.3%減)、経常利益は57億20百万円(同14.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は52億93百万円(同24.5%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 表面処理用資材事業
自動車のパワーデバイスや潤滑性が求められる車載製品へ向けためっき薬品の販売は堅調でしたが、主力のプリント基板用及びパッケージ基板用めっき薬品の売上高は、ハイエンドスマートフォンの生産調整の影響を受けて減少しました。
また、非鉄金属や工業薬品などの売上高も、ニッケルや銅などの市場価格の下落に伴う販売単価の引き下げや、中国をはじめとする新興国の景気低迷の影響を受け、前連結会計年度を下回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は320億68百万円(前連結会計年度比10.6%減)、セグメント利益は60億78百万円(同12.4%減)となりました。
② 表面処理用機械事業
景気の先行き不透明感を受けて、国内外の電子部品メーカーや自動車部品メーカーの設備投資に対する動きが慎重となったことから、機械の受注が減少し、前連結会計年度に比べて売上高は減少しました。また、先端技術分野として半導体ウェハー用めっき機械の製作に取組みましたが、顧客が要求する技術水準を満たすための追加工事を行ったため、セグメント損失は拡大しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は48億74百万円(前連結会計年度比24.4%減)、セグメント損失は8億7百万円(前連結会計年度はセグメント損失4億27百万円)となりました。
③ めっき加工事業
タイやインドネシアの自動車産業が低迷している影響により、前連結会計年度に比べて売上高は減少しましたが、コスト削減や生産性の向上に努めたことから、セグメント利益は増加しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は47億5百万円(前連結会計年度比1.6%減)、セグメント利益は35百万円(前連結会計年度はセグメント損失2億22百万円)となりました。
④ 不動産賃貸事業
オフィスビルの入居率が改善したことや、経費の削減にも努めたことから、前連結会計年度と比べて売上高、セグメント利益はそれぞれ増加しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は7億20百万円(前連結会計年度比0.4%増)、セグメント利益は4億10百万円(同1.8%増)となりました。
なお、上記のセグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高が含まれております。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ40億78百万円増加し、277億31百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって獲得した資金は66億20百万円(前連結会計年度は67億27百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、法人税等の支払額19億34百万円の資金の使用がありましたが、税金等調整前当期純利益56億81百万円、減価償却費19億29百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動において使用された資金は3億91百万円(前連結会計年度は45百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入55億97百万円の資金の獲得がありましたが、定期預金の預入による支出44億14百万円、固定資産の取得による支出19億53百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動において使用された資金は20億67百万円(前連結会計年度は24億30百万円の資金の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額10億92百万円、自己株式の取得による支出4億98百万円、長期借入金の返済による支出3億73百万円があったことによるものであります。