有価証券報告書-第97期(2024/04/01-2025/03/31)
(3)戦略
① 気候変動
TCFD提言では、気候変動関連リスクを移行リスク・物理リスクの2つのカテゴリに分類しており、提言に基づいてリスク項目の検討を行いました。その中で、当社事業との関係性が高いと想定される主要なリスク項目を洗い出し、リスクアセスメント実施要領に基づき、その影響を評価し対応方針を下記のように整理いたしました。気候変動関連リスクと機会を評価する手法として、国際社会の動向やステークホルダーからの期待等を考慮し、当社及びステークホルダーにとっての重要度を相対的に検討し、短期(1年~2年)・中期(3年~5年)・長期(6年以上)といった時間軸を考慮するとともに、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)等による情報に基づき、「1.5℃シナリオ」及び「4℃シナリオ」を用い、2030年におけるシナリオ分析を定性的に実施することにより優先順位付けの評価を行い「大」「中」「小」の3段階での重要度評価を行っています。
<事業インパクト評価>重要性が大きく、かつ算定可能なリスクについて事業インパクト評価を実施しています。移行リスクに関しては「1.5℃シナリオ」、物理リスクに関しては「4℃シナリオ」の場合の事業に与えるインパクトを数値化しております。
また当社の機会についても当社事業との関係性が高い項目についてその影響を下記のように整理いたしました。
② 人的資本
当社は、グローバル化への対応の中、単に利益追求だけでなく、人材のダイバーシティ(多様性)を確保し、社員一人ひとりの個性や能力を最大限活かすことにより、経営環境の変化に対応しながら、持続的な成長・発展を実現することを目指しております。さらに、社員の誰もが、育児と仕事の両立等、多様なライフスタイルに応じ活き活きと働き続けられるような職場環境の整備にも取り組んでおります。
また、採用、配置、昇進において、ダイバーシティ(多様性)の観点から性別や国籍等の区別なく、能力や成果を公正に評価し、優秀な人材を積極的に登用する人事制度を実施しております。
① 気候変動
TCFD提言では、気候変動関連リスクを移行リスク・物理リスクの2つのカテゴリに分類しており、提言に基づいてリスク項目の検討を行いました。その中で、当社事業との関係性が高いと想定される主要なリスク項目を洗い出し、リスクアセスメント実施要領に基づき、その影響を評価し対応方針を下記のように整理いたしました。気候変動関連リスクと機会を評価する手法として、国際社会の動向やステークホルダーからの期待等を考慮し、当社及びステークホルダーにとっての重要度を相対的に検討し、短期(1年~2年)・中期(3年~5年)・長期(6年以上)といった時間軸を考慮するとともに、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)等による情報に基づき、「1.5℃シナリオ」及び「4℃シナリオ」を用い、2030年におけるシナリオ分析を定性的に実施することにより優先順位付けの評価を行い「大」「中」「小」の3段階での重要度評価を行っています。
| タイプ | リスク項目 | リスクの内容 | 重要度評価 | 発生時期 | 対応方針 | |
| 移行リスク | 政策 /規制 | 炭素税・炭素価格 | ・石油石炭税や炭素税の導入、排出権取引制度の拡大が進む。 | 中 | 中期 | ・太陽光発電の設置、省エネ機器の導入などによるGHG排出量の削減 ・エコカーの導入による化石燃料の消費抑制 ・製品への価格移転 |
| 各国の炭素排出目標/政策 | ・GHG排出に対する総量規制が強化・導入される。 | 小 | 中期 | |||
| 製品に対する規制強化 | ・パッケージや輸送用コンテナへの再生材の使用が義務化される。 ・容器リサイクルに関する法令が強化される。 ・サステナブル製品のトレーサビリティの監視が強化され、インシデント発生時のブランドイメージ低下や不適切な情報の拡散が早まる。 | 小 | 中期 | ・薬液の長寿命化 ・無電解Ni回収システムの導入、貴金属回収&リサイクルの推進など原材料使用の効率化 ・薬液のリンク容器の採用、環境フレンドリー製品・梱包材・機器の使用などリサイクルへの取り組み強化 | ||
| 水使用に 関する規制 | ・水ストレスの高い地域の生産拠点において取水制限を受け、操業が停止する。 | 中 | 短期 | ・社内の排水管理、循環水システムの導入、液体原料の採用、自動洗浄機の導入など水使用の効率化 ・水の購入 ・グループ内での代替生産実施 | ||
| 電力供給 制限 | ・電力供給が制限されることにより、生産量が減少する。 | 小 | 短期 | ・太陽光発電の設置、自家発電設備の導入、新電力導入など電力の多様化 ・太陽光発電の設置、省エネ機器の導入による外部電力使用の効率化 | ||
| 業界 /市場 | エネルギー価格の変化 | ・原油価格や再エネ賦課金の高騰、エネルギーミックス政策の失敗、GHG排出規制により、エネルギーコストが変動する。 ・生産及び物流プロセスの効率化が進まず、競合他社との競争が不利になる。 ・エネルギー効率化が進まず、エネルギー価格の上昇による影響を受ける。 | 小 | 中期 | ・太陽光発電の設置、省エネ機器の導入など外部電力使用の効率化 ・エコカーの導入による化石燃料の消費抑制 | |
| 原材料価格の高騰 | ・天候・自然災害・需給バランス等によって主要な原材料価格が上昇する。 ・気候変動に適応した原材料への転換が間に合わず、必要量の原料確保が困難になる。 | 大 | 長期 | ・仕入先の複数化 ・需給バランス、調達コストを考慮した在庫の適正化 ・代替原材料の検討 | ||
| 顧客行動の変化 | ・気候変動に伴う消費者嗜好が急激に変化し、商品開発及び広報戦略の対応が後手に回り、競争劣位につながる。 ・気候変動に伴う気温の変化により、製品需要が変動する。 ・環境に配慮する機運が高まり、GHG排出削減に貢献しない製品の需要が減少する。 | 中 | 中期 | ・顧客志向の早期把握 ・顧客志向を反映した製品開発の促進 | ||
| タイプ | リスク項目 | リスクの内容 | 重要度評価 | 発生時期 | 対応方針 | |
| 移行リスク | 技術 | エネルギー源の低炭素化 | ・系統電力の排出係数減少によりGHG排出量が削減される一方で、再エネ賦課金により電力調達コストが増加する。 ・再生可能エネルギーへの移行が社会的に進み、求められる再エネ比率の水準が高まる。 | 小 | 中期 | ・太陽光発電の設置、省エネ機器の導入など外部電力使用の効率化 |
| 評判 | 顧客からの評判 | ・気候変動問題への取り組み姿勢・実績が、顧客からの企業評価に影響しやすくなる。 ・気候変動に関する適切な情報開示がなされず、レピュテーション低下につながる。 | 中 | 中期 | ・顧客動向の早期把握 ・顧客志向を反映した製品開発の促進 ・積極的な情報開示 ・ステークホルダーとの対話の促進 | |
| 投資家からの評判 | ・気候変動に関する非財務情報の開示状況がより重視されるようになり、投資家・金融機関からの評価が変動する。 ・気候変動対策に紐づけたグリーンボンド(節水設備の導入等)の発行ができず、資金調達が困難になる。 | 小 | 中期 | ・積極的な情報開示 ・ステークホルダーとの対話の促進 | ||
| 物理リスク | 慢性 | 平均気温の上昇 | ・気候変動に対応した生産地変更や生産工程の変更、代替原材料の検討が必要となる。 | 小 | 中期 | ・仕入先の複数化 ・太陽光発電の設置、省エネ機器の導入など外部電力使用の効率化 |
| 水需給の 変化 | ・海外の生産工場周辺における干ばつが深刻化し、上水・地下水価格の上昇による影響を受ける。 ・サプライチェーン上の水不足によって操業コストが増加する。 | 中 | 短期 | ・社内の排水管理、循環水システムの導入、液体原料の採用、自動洗浄機の導入など水使用の効率化 ・水の購入 ・グループ内での代替生産実施 | ||
| 海面の上昇 | ・沿岸に立地する生産・物流拠点において高潮被害が発生する。 | 小 | 長期 | ・仕入先の複数化 ・防水提の設置などBCPの取り組み推進 | ||
| 急性 | 異常気象の激甚化 | ・深刻な風水害、土砂災害による工場操業・物流の停止、物損(所有施設、設備等)や商品の廃棄による損失が発生する。 ・風水害リスクへの対策が遅れ、豪雨や台風によるサプライチェーンの脆弱性が競合劣位につながる。 | 中 | 長期 | ・非常用電源の確保、防水提の設置などBCPの取り組み推進 ・グループ内での代替生産実施 | |
<事業インパクト評価>重要性が大きく、かつ算定可能なリスクについて事業インパクト評価を実施しています。移行リスクに関しては「1.5℃シナリオ」、物理リスクに関しては「4℃シナリオ」の場合の事業に与えるインパクトを数値化しております。
| タイプ | リスク項目 | リスクの内容 | インパクト(億円) | |
| 事業インパクト評価 | 政策/規制 | 炭素税・炭素価格 | ・石油石炭税や炭素税の導入、排出権取引制度の拡大が進む。 | 1.22 |
| 水使用に関する規制 | ・水ストレスの高い地域の生産拠点において取水制限を受け、操業が停止する。 | 1.76 | ||
| 電力供給制限 | ・電力供給が制限されることにより、生産量が減少する。 | 0.58 | ||
| 業界/市場 | 原材料価格の高騰 | ・天候・自然災害・需給バランス等によって主要な原材料価格が上昇する。 ・気候変動に適応した原材料への転換が間に合わず、必要量の原料確保が困難になる。 | 11.93 | |
| 慢性 | 水需給の変化 | ・海外の生産工場周辺における干ばつが深刻化し、上水・地下水価格の上昇による影響を受ける。 ・サプライチェーン上の水不足によって操業コストが増加する。 | 1.76 | |
| 急性 | 異常気象の激甚化 | ・深刻な風水害、土砂災害による工場操業。物流の停止、物損(所有施設、設備等)や商品の廃棄による損失が発生する。 ・風水害リスクへの対策が遅れ、豪雨や台風によるサプライチェーンの脆弱性が競合劣位につながる。 | 3.21 | |
また当社の機会についても当社事業との関係性が高い項目についてその影響を下記のように整理いたしました。
| 機会項目 | 機会の内容 | 重要度評価 | 発生時期 | |
| 資源の効率性 | より効率的な輸送方法の使用 | ・鉄道・船舶・空港等の輸送方法の省エネ化 | 小 | 長期 |
| 効率性のよい建造物 | ・スマートファクトリー、エコビル等の導入による資源の効率化、生産性の向上 | 小 | 長期 | |
| 水の使用と消費の削減 | ・製造工程の水使用量削減による資源の効率化、生産性の向上 | 小 | 長期 | |
| ・浄水場でエネルギーを使用して浄化されるが、そのエネルギー量を間接的に減少貢献するなど | ||||
| エネルギー源 | GHG排出量の少ないエネルギー源の使用 | ・自社施設の再生可能エネルギーの導入(太陽光発電の設置など)、省エネ強化 | 小 | 中期 |
| 製品およびサービス | GHG排出量の少ない商品およびサービスの開発および/または拡張 | ・省エネ、再エネ、創エネに寄与する製品の開発が進む、もしくは需要が増加する | 小 | 長期 |
| R&D及び技術革新を通じた新製品やサービスの開発 | ・脱炭素に寄与する新製品やサービスを研究開発する | 小 | 長期 | |
| ・新燃料(水素など)に対応するシステム等の技術開発 | ||||
| 顧客(消費者)の嗜好の移り変わり | ・顧客が脱炭素に寄与する製品やサービスを好むようになり、ニーズが拡大する | 小 | 中・長期 | |
| 弾力性 | 再生可能エネルギープログラムへの参加および省エネ対策の適応 | ・気候変動に対応することで、研究開発力を強化し気候対策となる新製品開発、事業拡大、独自の資源循環モデルの構築などの機会 | 小 | 中期 |
② 人的資本
当社は、グローバル化への対応の中、単に利益追求だけでなく、人材のダイバーシティ(多様性)を確保し、社員一人ひとりの個性や能力を最大限活かすことにより、経営環境の変化に対応しながら、持続的な成長・発展を実現することを目指しております。さらに、社員の誰もが、育児と仕事の両立等、多様なライフスタイルに応じ活き活きと働き続けられるような職場環境の整備にも取り組んでおります。
また、採用、配置、昇進において、ダイバーシティ(多様性)の観点から性別や国籍等の区別なく、能力や成果を公正に評価し、優秀な人材を積極的に登用する人事制度を実施しております。