有価証券報告書-第24期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/24 15:46
【資料】
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【項目】
172項目

有報資料

文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、2019年6月にJX金属グループ2040年長期ビジョンを策定し(2023年5月に一部改定)、「装置産業型企業」から「技術立脚型企業」への転身により、激化する国際競争の中にあっても高収益体質を実現し、半導体材料・情報通信材料のグローバルリーダーとして持続可能な社会の実現に貢献することを基本方針といたしました。この方針のもと、半導体材料セグメントと情報通信材料セグメントからなるフォーカス事業を成長戦略のコアとして位置づけ、先端材料分野での技術の差別化や市場創造を通じて、市場成長以上の利益成長を目指しています。基礎材料セグメントからなるベース事業は、最適な規模の事業体制のもとで、銅やレアメタルの安定供給を通じてフォーカス事業を支えるとともに、サステナブルな社会の実現に向けて貢献してまいります。
[JX金属グループフィロソフィー]

当社は、2025年3月に東京証券取引所プライム市場に上場するとともに、創業120周年という大きな節目を迎えました。これらを契機として、当社グループとしての存在意義(Purpose)及び価値観・行動指針(Way)を明確化し、グループ全体の一体感を高めるとともに、社会に対して提供する価値をより一層高めていくことを目的として、2025年9月に「JX金属グループフィロソフィー」を策定しました。
本フィロソフィーは、当社グループが事業活動を通じて社会に提供する価値の考え方を示すものであり、世界的に不確実性や複雑性が高まる事業環境の中においても、自由な発想に基づく価値創出を追求し、人々の暮らしをより良いものにしていくという当社グループの姿勢を表しています。
また、当社グループ全体で本フィロソフィーを実践できるよう、推進体制を整え、本フィロソフィーの定着に向けた施策を重点的に進めました。本フィロソフィーを当社グループの活動の軸として、ステークホルダーとの協調を図り、持続的な企業価値の向上に取り組みます。
(2) 経営環境
近年、デジタルトランスフォーメーションの進展、脱炭素社会形成に向けた動きの加速、資源不足・枯渇懸念の深刻化、企業に求められる社会的責任の高まりなど、当社グループを取り巻く社会環境、事業環境は大きな変化に直面しています。
当社グループを取り巻く経営環境について、報告セグメント別の状況は以下のとおりです。
① フォーカス事業:半導体材料セグメント
半導体ロジック・メモリ市場は、生成AIの急速な普及拡大やこれに伴うデータ通信需要の拡大等を背景に、成長基調が継続する事業環境にあります。特に、半導体製造技術の進展に伴い、最先端半導体分野においては需要の拡大が見込まれており、多層化・微細化の進展も継続するものと思われます。
半導体の成膜方法であるPVD(Physical Vapor Deposition:物理気相成長法)に用いられる当社の主力製品である半導体用スパッタリングターゲットはロジック・メモリをはじめとした各種半導体デバイスの製造に用いられていますが、最先端ロジックほど配線層数が多くなり、半導体用スパッタリングターゲットの使用量が増加する傾向にあることから、その販売量は半導体ロジック・メモリ市場の成長を上回ることが期待されます。また、最先端ロジックほど配線が細かくなり、PVDが適さない微細な配線に対するCVD/ALDによる薄膜形成ニーズも高まっています。さらに、データ演算需要の飛躍的な増加及び生成AIの伸長を背景に、生成AIを搭載したサーバを大量に運用できるAIデータセンターの建設も進んでおり、これに伴いAIサーバの出荷台数は大きく増加しています。AIサーバにはチップ内の配線材料としての半導体用スパッタリングターゲットをはじめとして、光通信向け材料としてのInP基板、タンタルキャパシタ向けの高純度タンタル粉、大容量HDD向けの磁性材用ターゲットなど、半導体材料セグメントの当社製品が多く用いられていることから、このような傾向は本セグメントの収益拡大の追い風になることが見込まれます。
加えて、AIサーバには高速の並列演算を担うために多数のGPUが搭載されており、データセンター向けGPUの出荷数量も増加しています。GPUに対して高機能を付与するためには多層化・微細化に加えてパッケージング分野における技術革新が必要であり、パッケージングにおいてはチップ間の配線材(TSV・RDL)やチップレット間をつなぐ配線等の用途における成膜機会の拡大からも、当社の半導体用スパッタリングターゲットの需要の拡大を見込んでいます。
② フォーカス事業:情報通信材料セグメント
電子機器製品等に搭載されるFPCの面積は、電子機器の高機能化・小型化の進展を背景に中長期的な拡大が見込まれており、今後も堅調な需要が期待されています。今後は、AI搭載等によるスマートフォンやパソコン向け部材の更なる小型化・高機能化に加え、スマートウォッチやスマートグラスといったウェアラブル等の周辺機器の市場成長により圧延銅箔の使用拡大が見込まれます。また、世界的なEV販売台数の増加に伴い、配線用や誤作動防止のために用いられるシールド材用の圧延銅箔の採用・使用量の拡大が期待されるとともに、中長期的には産業機械、ロボット等の分野において小型化、軽量化が進み、複雑な動きに対して疲労耐性の強い圧延銅箔の使用量拡大が見込まれています。これらの市場動向を背景に、当社主力製品である圧延銅箔についても、需要の拡大が見込まれます。
積層セラミックコンデンサの内部電極に使用される超微粉ニッケルについては、AIを搭載する高機能通信機器の普及や、EVや自動運転の普及に伴う電装化の進展、データサーバやAIサーバ等の成長が需要を牽引し、市場は次第に成長軌道に回帰していくものと想定しています。
また、半導体材料セグメントが属する市場環境において記載しているAIサーバの導入拡大は本セグメントの収益拡大の追い風になることも見込まれており、特にAIサーバ向けのコネクタにおいては高耐熱・高強度などの特性が求められ、要求ニーズに応えるチタン銅の採用が急速に拡大しているほか、高温となるAIサーバ内における冷却液の漏液を検知するための漏液センサーの需要拡大も見込まれます。
③ ベース事業:基礎材料セグメント
脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの導入が拡大するとともに、様々な産業や領域において電化が進行しており、中長期的に銅素材の需要拡大が見込まれます。例えば、電気自動車では、モーターコイルやバッテリーなどにガソリン車の約4倍の銅が使用されています。銅需要拡大の一方で、既存鉱山からの銅鉱石の供給量には限界があり、銅の需給はひっ迫することが見込まれており、銅価は堅調に推移していくものと考えられます。技術革新、製品寿命の短期化、人口増加等の要因により電気・電子機器の廃棄物であるE-Wasteの発生量は、今後も世界的に増加していくことが見込まれています。一方で、脱炭素に向けた世界的な環境意識の高まりにより、リサイクル原料確保への動きが加速していることに加えて、環境規制強化の流れもあり、リサイクル原料の調達コストは上昇することが予想されます。また、アジア域内での製錬所建設が進むことにより、銅地金のサプライヤーが増加し、銅地金の販売環境の悪化が見込まれています。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 経営の基本方針-長期ビジョン
当社グループは、長期ビジョンに基づき、「装置産業型企業」から「技術立脚型企業」への転身により、激化する国際競争の中にあっても高収益体質を実現し、半導体材料・情報通信材料のグローバルリーダーとして持続可能な社会の実現に貢献することを基本方針としています。
フォーカス事業を成長戦略のコアとして位置づけ、先端材料分野での技術の差別化や市場創造を通じて、市場成長以上の利益成長を目指します。また、ベース事業は、最適な規模の事業体制のもとで、銅やレアメタルの安定供給を通じてフォーカス事業を支えるとともに、サステナブルな社会の実現に向けて貢献していきます。

② データセンター需要拡大に伴う当社関連製品の生産能力の増強
生成AIの普及やデジタル化の進展を背景に、AIサーバを中心としたデータセンター向け投資は世界的に拡大しています。これに伴い、先端半導体の高性能化や、データ通信の高速・大容量化が進展しており、半導体材料や光通信関連材料の需要は中長期的に拡大していくことが見込まれています。
このような事業環境のもと、当社では、データセンター需要の拡大を重要な成長機会と捉え、半導体用スパッタリングターゲット、磁性材用スパッタリングターゲット、InP(インジウムリン)基板、タンタル粉、チタン銅など、データセンターやAIサーバに使用される製品(以下図)の生産能力の増強や生産性向上を目的とした設備投資を計画的に実施し、市場の成長を確実に捕捉する生産体制の構築を目指します。

③ 次世代のグローバルトップシェア製品の開発
当社は、次世代半導体分野における持続的な成長を見据え、将来のグローバルトップシェア製品の創出を企図した施策を展開しています。特に、半導体の高性能化・高集積化の進展に伴い重要性が高まる先端材料及び先端パッケージ分野に注力し、顧客ニーズを踏まえた材料開発と、量産化を見据えた生産設備や技術基盤の整備を進めています。
具体的には、次世代半導体パッケージ技術に関する国際的な研究開発コンソーシアム「JOINT3」への参画に加え、スタートアップ企業や大学との連携を通じて、最先端の技術動向や外部の知見を取り込み、技術開発の高度化と新規用途の探索に取り組んでいます。
さらに、長年培った高純度化、表面制御、組成、分析評価等の技術を活用し、メディカル・センサー分野での成長が期待されるCdZnTe(カドミウムジンクテルル)基板等の結晶材料分野に加え、次世代半導体材料として期待されているCVD・ALD材料等の薄膜形成材料分野においても、事業拡大を図っています。
以上のように、次世代のグローバルトップシェア製品の創出に向け、今後も着実に事業基盤と技術力の強化を推進していきます。
④ サーキュラーエコノミー実現に向けた取組み
脱炭素化社会の進展に伴い、再生可能エネルギー導入の拡大や、様々な産業・領域における電化が進行しており、銅やレアメタルなどの金属資源の需要は今後さらに拡大していくことが見込まれています。こうした中、自動車業界や家電・電子機器業界を中心に、使用済み製品を回収・再資源化し、同一素材として再利用するクローズドループ・リサイクルへの関心が高まっていますが、その処理は必ずしも容易ではなく、実現にあたっては、製品ライフサイクルに関わるサプライチェーン全体が連携して資源効率性を高める仕組みを整備することが不可欠です。
当社グループは、台湾、米国、カナダ、ドイツ、シンガポールに集荷拠点・営業拠点を有し、世界規模のリサイクル原料集荷体制を整えています。
さらに、金属・リサイクル事業においては、リサイクル原料の増処理に向け、低品位のE-waste等を含む多様なリサイクル原料への対応力強化を目的に、JX金属製錬株式会社 佐賀関製錬所に前処理プロセスを中心とした設備投資を進めています。これらの設備投資を通じて、リサイクル原料の処理能力及び処理効率の向上を図るとともに、鉱石の酸化反応熱を活用し化石燃料使用量の抑制を図るグリーンハイブリッド製錬の高度化を推進しています。
こうした施策を通じて、資源循環の促進及び金属資源の安定的な確保に貢献し、サーキュラーエコノミーの実現を目指していきます。

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