有価証券報告書-第153期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/28 15:16
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新経営指針「Our Vision」の策定について
当社グループは昨年、創立100周年を迎え、それを機に新たな経営指針「Our Vision」を策定しました。Our Visionでは、当社グループの『使命』を「快適な生活空間の創造で、より良い世界を築く」としました。そして、『目指す姿』として、「先進の発想で変化を起こし、すべての分野で最も信頼されるパートナーとなる」を掲げております。さらに、使命と目指す姿の実現に向けた心構えを示す『コアバリュー』として、「人を尊重し、人を活かす。信用を重んじ、誠実に行動する。社会に役立つ。自ら考え行動する。失敗を恐れず挑戦する。やり抜き結果を出す。」の6項目を定めました。
当社グループは、Our Visionを経営の指針とし、お客様と社会が求める多種多様なニーズに対して、ガラスプラスアルファの価値やサービスを迅速かつ適切に提供することにより、快適な生活空間の創造に貢献してまいります。
0102010_001.png中期経営計画MTPフェーズ2について
当社グループは、長期戦略ビジョンとして「VAガラスカンパニー」(VAとは英語のValue-Addedの頭文字に由来)に変容・変革することを掲げ、2018年3月期から2020年3月期の3年間を期間とする「中期経営計画(MTP)フェーズ2」(以下、「MTPフェーズ2」)を策定して、グループを挙げてその遂行に取り組んでおります。MTPフェーズ2の基本目標は「財務サステナビリティの確立」及び「VAガラスカンパニーへの変容・変革の開始」です。財務目標は、売上高営業利益率(ROS):8%以上※、ネット借入/EBITDA比率:3倍としております。また、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)については達成年度のイメージとして10%以上、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は20%程度を想定しております。
※注:個別開示項目及びピルキントン社買収に係る償却費控除前営業利益をベースに算定。
MTPフェーズ2の基本方針は、
・VA戦略をさらに加速・進化させ、持続的に成長する強い収益基盤を構築すること
・全ての仕事の仕方を見直し、リーンな事業体制を作りこむこと
であり、以下の4点を成長施策として設定しております。
1.「成長が見込める分野」「当社の強みがある分野」でトップポジションを狙う VA No.1戦略の推進
2.選択と集中により、早期に新たな利益成長の原動力を創り出す 成長ドライバーの確立
3.全ての仕事の仕方を見直し、リーンな事業体制を作りこむ ビジネスカルチャーイノベーション
4.グループ全体最適を追求し、グローバル経営を進化させる グローバル経営の強化
0102010_002.png2019年3月期業績及びMTPフェーズ2進捗状況について
2019年3月期の当社グループ業績は、上半期は欧州を中心とした好調な市場環境とVA(高付加価値)製品の伸長により増収増益(前年同期比)基調で推移しましたが、第3四半期以降、欧州自動車市場の軟化やエネルギー関連コストの上昇、南米通貨安等の影響を受け、減収増益(前年同期比)となりました。結果として、売上高は6,128億円(前期比2.3%増)、個別開示項目前営業利益は369億円(前期比3.4%増)となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は133億円(前期比115.6%増)でした。営業利益は6期連続で増益となり、当期利益も3期連続の黒字及び増益を達成することができました。
フリー・キャッシュ・フローにつきましては、当期に決定した将来の成長に向けた設備投資用の資金需要もあり9億円のプラスとなり、前期から減少しました。
当期は、MTPフェーズ2の2年目として、基本方針である“Shift to VA”に新たに“Growth”を加え、“Shift to VA + Growth”として、目標達成に向けさらなるアクションの加速に取り組んでまいりました。VA(高付加価値)売上比率は46%まで伸長し営業利益の改善につながっております。また、“Growth”、つまりトップラインの拡大を視野に入れ、ベトナム及び北米において太陽電池パネル用ガラスの製造設備の増強増設を決定するとともに、将来有望な市場である南米アルゼンチンにおいても、フロートガラス工場の増設を決定いたしました。さらに、新規事業の育成・新しい顧客価値創造の取り組みをさらに加速していくため、2018年7月にはビジネス・イノベーション・センターを立ち上げ、ライフサイエンスやIndustry 4.0といった有望分野における新規事業の開発を加速させることといたしました。
安定的な利益とキャッシュ・フローの創出ができる財務体質へと改善が進みつつあることを踏まえ、昨年6月、2018年3月期の期末配当として2012年3月期以来となる配当(普通株式1株当たり20円)を実施いたしました。当社は持続可能な事業の業績をベースにして、安定的に配当を実施することを利益配分の基本方針としており、当期も期末配当(普通株式1株当たり20円)の実施を2019年5月10日の取締役会において決議しております。また、当期におきましてA種種類株式の部分償還(50億円)を実施しました。当社は創出した利益とキャッシュ・フロー及び投資案件等の資金需要とのバランス、自己資本比率への影響度合い等を鑑みつつ、A種種類株式の部分償還を継続していく方針で、2019年5月10日の取締役会においてさらに50億円の償還を決定いたしました。将来、A種種類株式全てを償還した後も、この配当に関する基本方針は維持しつつ、連結配当性向30%を目安として継続的な配当の実施に努めてまいります。
MTPフェーズ2の進捗につきましては、成長施策では、VA No.1戦略の推進により、建築用ガラスでのオンライン・コーティング分野での優位性の確立や高付加価値自動車用ガラスの受注増加が進みました。成長ドライバーの確立にむけて、有望な開発課題を“Star Projects”として登録し事業化を加速しております。ビジネスカルチャーイノベーションでは、“ものづくりの強化”により、自動車用ガラスラインの生産性向上が進み、“マーケティングの強化”により、カスタマーファーストの考え方が営業部門のみならず全社全部門に拡大しました。グローバル経営の強化として、世界4か所にシェアードサービスセンターを設置しグローバルの事務処理機能を集約しました。また、インクルージョン&ダイバーシティ宣言を行い、人材の多様化と参画の促進を進めております。財務施策では、A種種類株式発行により自己資本の改善を図るとともに、金融費用削減目標を一年早く達成し、当期利益の押し上げに寄与しました。
MTPフェーズ2に掲げました2020年3月期の目標に対する進捗は次のとおりです。
売上高営業利益率(ROS)目標:8%以上2019年3月期実績:6.3%
ネット借入/EBITDA比率目標:3倍2019年3月期実績:4.9倍

※注:2019年3月期の実績として、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は10.3%、親会社所有者帰属持分比率は16.2%でした。
2020年3月期の見通しと対処すべき課題
当社グループでは、2020年3月期におけるグローバルの建築用ガラス市場及び自動車用ガラス市場は地域によって温度差があるものの、厳しさが増すものと予想しておりますが、当社グループの売上はVA製品の増加等により微増を見込んでおります。
欧州においては、建築用ガラス市場は安定的に推移すると見ております。引き続き原燃材料コストの上昇が見込まれますが、高透過ガラスなどVA製品の一層の拡充を図ってまいります。欧州の自動車用ガラス市場については、2020年3月期の自動車市場は減速すると見ており売上の拡大は見込まれませんが、ヘッドアップディスプレイ用高面精度ガラスなどのVA製品の売上比率の拡大と生産効率の改善が見込まれております。またBrexitについては予断を許さない状況ではありますが、ガラスは主に地産地消ビジネスであるという事業の構造上、そのインパクトは比較的軽微であると見ております。
アジアにおいては、特に日本では、建築用ガラス市場は都市部の再開発や老朽化したビルの建て替えなどによりビル用は堅調な需要が見込まれるものの、住宅用は消費税増税の影響等もあり総じて横ばいで推移する見通しです。当社グループとしてはスペーシア®などVA製品の売上増加とコストダウン及び構造改革への取り組みによる改善を見込んでおります。また、自動車用ガラス市場も概ね2019年3月期並みと見ておりますが、当社の生産コストの増加が見込まれております。東南アジアの建築用ガラス市場は安定的に推移する見通しです。太陽電池パネル用ガラスは需要が増加する見込みです。
北米の建築用ガラス市場は堅調に推移すると見込んでおり、当社グループにおいても引き続き高いVA製品売上比率を維持する計画ですが、2020年3月期は、競争の激化による販売価格の低下、コスト上昇が予見されております。自動車用ガラス市場は横ばいあるいは微減と見ていますが、継続的に行ってきた生産効率改善が寄与する見込みです。南米ブラジルでは乗用車販売の一層の回復が見込まれております。
高機能ガラス事業では、各事業とも市場は安定的に推移すると見ており、2019年4月に実施しました日本板硝子環境アメニテイ社の売却により減収となりますが、新組成薄板ガラスglanova®やアイドリング・ストップ・スタート用バッテリーセパレーターの需要増などのVA製品売上比率の拡大による業績のさらなる改善が見込まれております。
当社グループ全体としては、引き続きVA製品売上の拡大や継続的なコスト削減に努めていきますが、世界的な景気の減速、原燃材料等の投入コストの増加及び高付加価値化の推進に伴う生産コストの上昇が予想され、営業利益について2020年3月期は2019年3月期対比で若干の減益を見込んでおります。一方金融費用につきましては、2020年3月期より導入されます会計制度(IFRS第16号「リース」)の影響を除いたベースでは計画通りの削減が進みます。また持分法適用関連会社の損益は2019年3月期にありました一時的な利益の発生はありませんが、南米のジョイント・ベンチャーを中心に事業は安定的に推移する見込みです。
以上を踏まえて、当社グループでは、2020年3月期において営業利益、当期利益共に2019年3月期を若干下回る見込みですが、100億円超の当期利益は確保してまいる所存です。
キャッシュ・フローにつきましては、2019年3月期に決定した将来の成長に向けた戦略投資(太陽電池パネル用ガラスの増産及び新興市場である南米でのフロートガラスの増産)の資金需要がピークを迎えるため一時的にマイナスとなる見込みですが、キャッシュを創出する体質へ着実に改善が進んでおります。
2020年3月期は、MTPフェーズ2の最終年度となります。
事業収益につきましては、VA製品の売上拡大と継続的な稼働率改善・コスト削減により、6期連続の営業利益増を達成、また最終利益につきましても3期連続の黒字化を達成し、当社グループの利益は着実に改善してまいりました。しかしながら近年のエネルギーコスト上昇等インプットコストの増加、新製品上市の遅れ、一部市場でのVA化の遅れ、及び将来の成長のための投資の前倒しなどにより、2020年3月期において、MTPフェーズ2で設定した財務目標(ROS、ネット借入/EBITDA比率)には届かない見込みです。
MTPフェーズ2の基本目標としている「財務サステナビリティの確立」及び「VAガラスカンパニーへの変容・変革の開始」は、当社グループの最重要課題であることに変わりはありません。2020年3月期は引き続き“Shift to VA + Growth”の方針の下で、事業の収益性の更なる向上を図るとともに、運転資本や設備投資に対する厳格な管理の継続、及びノンコア資産・事業の売却を通じて、キャッシュを創出しネット借入残高を削減してまいる所存です。また前述の方針に則り、A種種類株式の償還も進めてまいります。
さらに、当社グループの対処すべき課題としましては、不確実、不安定な経済状況のなかでも市場の変動に柔軟に対応して安定的な利益を出せる事業構造に変革していくこと、及び持続的に成長する強い収益基盤を構築すること、であると考えています。そのために、MTPフェーズ2で掲げた4つの重点施策(VA No.1戦略の推進、成長ドライバーの確立、ビジネスカルチャーイノベーション、グローバル経営の強化)を着実に実行し、コモディティ・マスボリューム型のビジネスモデルからハイバリュー型のビジネスモデルへの変革(VAガラスカンパニーへの変革)を進めてまいる所存です。
また、持続的な成長に向けた「成長戦略」も推進してまいります。具体的には、建築分野では、ビルや住宅においてエネルギーの生成と消費の収支がプラスマイナスゼロになる「ゼロ・エネルギー・ビルディング(ZEB)」の普及が見込まれ、ここに、当社が得意とする省エネガラス及び太陽電池パネル用ガラス基板の拡大を図っていきます。さらにIoTやAIを使った「スマート・ウインドウ」の普及など新たなビジネスチャンスも期待されます。自動車分野では、「CASE(Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared(カーシェアリング)、Electric(電気自動車)」がキーワードとなっており、それぞれの分野でニーズに合った先進的なVAガラスを拡大させていきます。高機能ガラス分野では、ライフサイエンス、IoT・Cloud、エネルギー変換、Industry 4.0の各分野において事業領域を広げていく計画です。
ESGへの取り組みについて
当社グループは社会の一員として持続的成長可能な社会の実現に向けた取り組みを積極的に進めてまいります。VA製品の供給を通じ省エネ、創エネに貢献するとともに、事業活動におけるCO2排出量の削減や廃棄物の削減に真摯に取り組んでおります。当社グループは2018年7月Science Based Target initiativeに署名いたしました。これにより当社での温室効果ガス削減の取り組みはますます加速する見込みです。
また、グループベースにおける人材の教育、育成を今後とも不断に進めてまいります。当社グループは、「事業の要は多様な人材が生み出す力にある」との認識の下、インクルージョン&ダイバーシティの推進を経営のコミットメントとして取り組むことも宣言しております。さらにグループ倫理規範の徹底やサプライヤー行動規範の遵守確保のプログラムを通じ、良き企業市民としての社会的使命、責任を果たしてまいります。そして、透明性、客観性が確保された実効性のあるガバナンスを、取締役会の監督の下、不断に追求していくことにより、持続的成長可能な社会の実現に貢献するべく、たゆまぬ改善努力を続けてまいります。当社グループは、2018年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂を踏まえ、企業価値向上に向けてより実効あるコーポレートガバナンスの構築に取り組んでおります。
このような活動の結果、CSRの国際評価機関EcoVadis(フランス)から、2018年に最高ランクの「ゴールド」を初めて獲得しました。「環境」「労働慣行及び人権」「公正な商慣行」並びに「持続可能な資材調達」の観点から評価されたもので、当社グループはガラス業界の上位7%に位置する高い評価を受けております。
当社グループは、全社一丸となってMTPフェーズ2の遂行に取り組み、株主価値の向上に取り組んでまいります。
なお、上記文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点の状況に基づき記載しております。

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