有価証券報告書-第58期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 11:39
【資料】
PDFをみる
【項目】
117項目

事業等のリスク

当社の業績は、今後起こりうる様々な要因により大きな影響を受ける可能性があります。当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項とその対策について各本部との対話を通じてリスクマネジメント委員会が取り纏め、取締役会に報告しております。これらのリスクが発生し当社の業績が悪化する場合には、繰延税金資産の回収可能性にも影響を与えることから、当社はこれらリスクの発生の可能性を十分認識した上で、適宜適切な経営対応に努める方針であります。これらリスクの内容は以下のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)業績の変動要因のリスク
スパンクリート事業は、景気変動や建設業界の動向に大きく影響されます。特に、マンション床材の需要、すなわちマンション建設の動向は、案件毎の数量が多いため、当社の出荷数量及び工場の稼働率を大きく左右します。年々価格競争は激しくなっておりますが、まだ当社の製品は、特に高層マンション向けに競争力を有しているものと認識しております。当社は受注数量を確保する為にゼネコンのみならず設計事務所にも営業活動を行っております。しかしながら、マンション建設の工事の時期や床材の出荷数量を当社がコントロールできないことからマンションの受注状況が、当社の業況を大きく左右することになります[49期:出荷数量152千㎡(売上構成比41%)、52期:34千㎡(15%)、53期:34千㎡(16%)、57期:204千㎡(42%)、58期:55千㎡(24%)]。また、鉄道関係向け製品も受注変動が大きいため、その受注の多寡が当社の業績に影響を与えます。鉄道関係工事もマンション建設工事と同様、当社は工事の時期や出荷数量をコントロールできません[50期:出荷数量151千㎡(売上構成比42%)、51期:161千㎡(45%)、54期:9千㎡(4%)、57期:10千㎡(2%)、58期:59千㎡(26%)]。
さらに、近年の大きな経営圧迫要因としては、原材料費・電気料金・ガス料金・輸送費の高騰があります。これらのコストアップに対しては、全社挙げての効率化、合理化で対応しております、具体的には自動切断機の導入により製品の加工効率を向上し、ガスコージェネレーションの導入と第3工場の温水(サプライ)ルートの変更により電気料金を削減し、廃材を破砕・粒度調整してリサイクル砕石として販売して廃材処理費を削減し、且つ、毎月開催する品質管理委員会と生産改善委員会においてそれらの施策の効果をチェックする共に、発生した製品ロスの原因の究明と対策を検討して絶えず改善に努めております。それにも限度があり、販売価格の引き上げを顧客にご承認頂いております。
(2)価格競争及び競合のリスク
当社は、工法が類似した同業者に加え、製法は異なるが同機能を有する製品の製造業者と競合しております。当社スパンクリート製品は、価格及び品質において競争力を有していると確信しており、その維持強化に鋭意努めております、具体的には自動切断機の導入により製品の加工効率を向上し、ガスコージェネレーションの導入と第3工場の温水(サプライ)ルートの変更により電気料金の削減し、廃材を破砕・粒度調整してリサイクル砕石として販売して廃材処理費を削減し、且つ、毎月開催する品質管理委員会と生産改善委員会においてそれらの施策の効果をチェックする共に、発生した製品ロスの原因の究明と対策を検討して絶えず改善に努めております。
しかしながら、将来に亘り競争力を維持できる保証はありません。
(3)戦略製品の開発販売とそのリスク
前述(1)、(2)記載のリスクを回避する為に、当社は新しい製造方法や新工法の研究に努め、有望な新製品や新工法については積極的に試作を行い、各種の性能確認を実施し、テスト販売も行います。毎月開催する新製品委員会においてそれらの進捗状況を報告し、今後の方針を検討しております。最近では、新パターンのリブ板製品及び骨材を変えた削出用製品を開発して販売しました。
また、鉄道のホーム等に多く採用されているスパンクリートのMスラブ(補強鉄筋入り床パネル)製品も戦略製品の一つであります。
しかしながら、同製品が引き続き順調に市場に受け入れられるか否か、その動向如何によっては当社の業績に影響を及ぼす可能性があり、引き続き新たな戦略製品の開発に努めます。
(4)プレキャスト事業への参入とそのリスク
前述(1)、(2)記載のリスクを回避する為に、中期計画でお知らせいたしましたとおり、当社はプレキャスト事業への進出を検討しており、同事業分野の将来性、競合他社の存在の調査や岩瀬工場において試験的に生産・販売を実施して当社の収益の実現性を確認しております。また、有望なユーザーとの業務提携を推進するなど参入に向けた準備を進めております。
しかしながら、参入を実現できたとしても、経済環境の変化等により期待した通りの収益を上げられないリスクはあります。
(5)製品が重量物であるがための事故のリスク
スパンクリート製品の工場や工事現場での運搬には、クレーンや重機等を使ったハンドリングを必要とします。社員のみならず関係先も含め安全マニュアルを用いた安全教育を定期的に行う等、安全対策には万全を期しておりますが、製品が重量物であること、また気象条件等により事故が発生するリスクがあります。
(6)経年劣化等による事故のリスク
スパンクリート製品は建物の床・壁・駅舎のプラットホーム・鉄道の防音壁等に幅広くご採用いただいております。製品を納入する場所の環境を想定して種々対策を講じ、製品の品質管理には万全の注意を払っておりますが、据付場所によっては、漏水や塩害等により想定を超える製品の劣化や耐力の低下が進むこと、あるいは施工時の取り付け部材等の不具合を起因とした事故が発生することがないとは言えず、その場合は業績に何らかの影響を及ぼす可能性があります。
顧客からの当社製品に関する意見には絶えず真摯に対応し、必要な場合には現地調査を行い、顧客と相談しながら対応策を実施して行きます。
(7)不動産市況の動向と賃貸ビル事業のリスク
当社は、オフィスビル4棟を所有し不動産事業を営んでおり、当面賃料推移・稼働率(当事業年度は約100%)とも堅調でありますが、将来の不動産市況によっては賃料水準や稼働率が影響を受け業績が左右されることがあります。
また、4棟とも建物の状態は良好ではあるものの、その内2棟は築30年を経過しており、必要の都度大規模修繕を実施しておりますが、将来に亘りさらに修繕を要する可能性があり、その修繕費の多寡によっては業績に影響を及ぼすことがあり得ます。
これらの対策としては、PM会社と連絡を密に取って、不動産市況や周辺賃貸ビルの賃料水準の動向を把握すると共に、テナントからの不具合の連絡には直ちに対応し、オフィスビルの状況把握に努めています。
また、オフィスビル4棟のポートフォリオを分析して、築年の古いオフィスビルの買替等を検討します。
(8)信用リスク
当社は、営業取引を行うことによって、売掛金、未収入金などの取引与信、融資、保証及び出資などの形で取引先に対して信用供与を行っており、取引先の信用悪化や経営破綻等による損失が発生する信用リスクを負っています。当社では当該リスクを管理するために、取引先ごとに発注限度額と信用限度額を定めて取引を行い、営業活動を通じて取引先の状況を確認していますが、信用リスクが完全に回避される保証はありません。取引先の信用状態悪化に対しては取引縮小や債権の回収期間短縮などの債権保全策を講じ、取引先の破綻に対しては処理方針を立てて債権回収に努めていますが、債権等が回収不能になった場合には当社の業績は影響を受ける可能性があります。
(9)コンプライアンスに関するリスク
当社は、東京、宇都宮、仙台の3か所に営業拠点を持ち、スパンクリートの製造販売及び施工を事業領域としてビジネスを展開しており、関連する法令・規制は多岐に亘っております。具体的には日本の会社法、税法、金融商品取引法、独占禁止法、贈収賄関連諸法、建設業法、環境関連諸法や各種業法を遵守する必要があります。当社はリスクマネジメント委員会においてコンプライアンスの状況把握と評価を行い必要な対策を講じております。また、コンプライアンス規程をイントラネットに掲載し、社員研修や朝礼等を通じて社員のコンプライアンス意識の向上に努めています。さらに、社内外に内部通報窓口を設置しています。しかしながら、このような施策を講じてもコンプライアンス上のリスクは完全に回避できない可能性があり、関連する法令・規制上の義務を実行できない場合には、当社の業績は影響を受ける可能性があります。
(10)大株主である三菱商事株式会社とその子会社である三菱商事建材株式会社との関係とそのリスク
当社と三菱商事株式会社との間には、重要な資本関係及び人的関係があります。また、当社と三菱商事建材株式会社との間には、重要な商取引があります。両社とは絶えず連絡を密に取って友好な関係を維持しておりますが、将来両社との関係に何らかの変更が生じた場合には、当社の事業に影響を与える可能性があります。
(11)自然災害等によるリスク
地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や、インフルエンザ、新型コロナウイルス等の感染症(第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題 「*1新型コロナウイルス対応」ご参照)、大規模事故、テロ・暴動、その他予期せぬ事態が発生した場合、当社の社員・事業所・設備やシステムなどに対する被害が発生し、事業活動に支障や制約が生じる可能性があります。当社では、社員の安否確認システムの導入や災害対策マニュアルの策定、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む)、必要物資の備蓄、国内の拠点や関係会社との連携・情報共有などの対策を講じ、各種災害・事故に備えていますが、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、かかる事象の発生時には当社の業績は影響を受ける可能性があります。