有価証券報告書-第8期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/25 15:44
【資料】
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【項目】
125項目

事業等のリスク

以下において、当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上又は当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しています。
当社グループは、これらのリスクを充分に認識し、可能な限りリスクを回避するため諸施策を講じるとともに、リスクが顕在化した場合には、その影響を最小限にとどめるよう努めていますが、投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を、慎重に検討した上で行われる必要があります。また、以下の記載は投資に関連するリスクを全て網羅するものではない点に留意する必要があります。
なお、本項において、将来に関する事項は、別段の表示がない限り、本書の提出日(平成26年6月25日)現在において判断したものです。
(1)事業環境・製品等について
① 特定市場への依存及び市場変動によるリスク
当社グループ製品の主要な需要先は半導体及び液晶市場です。これらの市場のうち、半導体市場は短期的な好不況の振幅が大きく、また、需要拡大時及び縮小時において急激な需給のアンバランスが生じ、これにより価格等に大きな変動が生じる場合があります。また、液晶市場は、最終商品であるFPD(フラットパネルディスプレイ)の需給動向、新製品の開発動向により当社製品のうち、特にフォトマスク基板の需要が左右される傾向があります。
加えて、上記の市況変動に対応した半導体・液晶メーカーの生産・投資計画の変更がメーカーごとに行われるなど、半導体・液晶メーカーの生産及び設備投資の動向には、複雑かつ不透明な要素が多いことから、関連製品の正確な需要予測は困難です。
このため、当社グループが計画した生産量、設備投資の時期及び内容と市場の動向がリンクしない可能性があり、その結果、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。
② プロダクト・ポートフォリオに関するリスク
前記①のリスクを回避するため、当社グループは、幅広い製品群を有することにより相対的な事業変動性を抑制すると同時に、半導体及び液晶関連市場向けの新製品の開発や、今後の成長が期待される環境・エネルギー関連市場等での新規事業の育成に注力しています。
しかし、これらの市場の成長率が当社グループの見込みを下回る可能性があること、また、当社グループの新規製品開発や市場への参入が計画より遅れる可能性があることから、プロダクト・ポートフォリオの改善が進まず、結果的に半導体及び液晶市場に依存する状態が継続するリスクがあります。
③ 他社との競合によるリスク
当社グループの主たる事業領域である半導体及び液晶市場は、国内外を問わず厳しい競合環境にあり、同業他社との間では価格、品質、顧客対応能力、新製品開発力等、様々な局面での競争が展開されています。
当社グループは、セラミックス事業において高い市場シェアを有する様々な半導体製造装置部材を手掛けることにより、半導体バリューチェーンを幅広くカバーする独自の特徴を有し、この特徴により多数の収益源を確保するとともに半導体需給や技術動向の把握及び顧客層や製品分野の拡大を図っていますが、高シェア製品の市場支配力が低下することにより競争上の地位が低下した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。
④ 原材料調達に関するリスク
国内電力会社の電気料金値上げに伴い、製造工程における電気依存度が高い産業ガス等の値上げが見込まれるとともに、原産国の環境規制強化等により輸入原材料及びそれらを原材料とする派生品の需給が逼迫した場合、市場価格が上昇する可能性があります。
これにより、製造原価が押し上げられ、当社グループの損益を圧迫した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。
⑤ 製品・サービスの欠陥によるリスク
当社グループの製品は、厳しい仕様が要求される高純度、高精度の素材及び製造装置用部材が大半を占めており、これらの製品は、ユーザーにおける製品歩留り、品質を左右するキーマテリアルとなっています。
生産拠点では国際規格に適合する品質管理システムを採用し、また万一に備え、生産物賠償責任保険を付保していますが、当社グループの製品又はサービスに重大な欠陥が発生した場合には、代替品の納入、代金返還、取引の停止や損害賠償等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。
(2)特定の取引先との取引関係についてのリスク
① 販売先への依存について
当社グループの販売先は多岐にわたるものの、販売先によってはその特別注文に応じて専用にカスタマイズした製品を納入し安定的・継続的な顧客関係を築いていることもあり、当社の第7期連結会計年度及び当連結会計年度における連結売上高のうち、販売先上位5社が占める割合はそれぞれ35.5%及び41.2%と、一定の主要な販売先に依存しています。当社グループは、現状においては、主要な販売先との取引関係につき、重要な変化を認識していませんが、何らかの理由により主要な販売先との安定的・継続的な取引関係が維持できなくなった場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。
② 外注先への依存について
当社グループは、セラミックス製品の一部製造工程を外部企業に委託しています。当社グループでは、委託先企業の経営状況、技術水準、製造能力について継続的に監視していますが、委託先企業が、必要な技術的・経済的資源を維持するとともに十分な製品の品質を保ち、当社グループが求める水準の委託業務を遂行できる保証はありません。
また、これらの委託先において何らかの理由により事業が中断された場合、当社グループ製品の製造及び供給に影響を及ぼすリスクがあります。
(3)製造工程に関するリスク
当社グループの主たる事業領域である半導体及び液晶市場では、製品価格が継続的に低下する傾向にあります。当社グループでは、生産プロセスの見直し等により生産効率の向上を進め、製品価格低下の影響を緩和するように努めていますが、一般的に生産効率の向上には限界があるため、製品価格の低下が続き、かつ、継続的に生産効率を向上させることができなくなった場合、利益が圧迫される可能性があります。加えて、製造工程において、何らかの理由により製造の中断を余儀なくされた場合、生産能力低下や納期遅延が発生し、特定製品の供給が困難となる可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与えるリスクがあります。
(4)大株主との関係に関するリスク
① 大株主の状況
本書の提出日(平成26年6月25日)現在の当社の大株主の状況は、後記「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (7)大株主の状況」に記載のとおりです。当社は、株式を公開していない非公開会社であるため、その性格上、株主の意向により当社グループの経営の基本方針が変更される可能性があり、係る基本方針の変更によって、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、現在の株主が今後、継続的に当社の株主であり続ける保証はなく、株主の構成が変動する場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与えるリスクがあります。
② 大株主との人的関係
本書の提出日(平成26年6月25日)現在、当社取締役8名のうち、当社株主であるファンドのアドバイザーであるカーライル・ジャパン・エルエルシーが指名する2名、同じくユニゾン・キャピタル㈱が指名する2名が選任されています。なお、当社役員の状況については、後記「第4 提出会社の状況 5 役員の状況」に記載のとおりです。
(注) 「ファンド」とは、カーライル・ジャパン・パートナーズ・ツー・エルピー、カーライル・ジャパン・インターナショナル・パートナーズ・ツー・エルピー、シージェーピー・コ・インベストメント・ツー・エー・エルピー、シージェーピー・コ・インベストメント・ツー・ビー・エルピー、ユニゾン・キャピタル・パートナーズ・ツー・エルピー、ユニゾン・キャピタル・パートナーズ・ツー・エフ・エルピー、ユーシー・マスク・インベスターズ・エルピー、ユーシー・マスク・インベスターズ・エフ・エルピー及びユーシー・マスク・インベスターズ・ツー・エフ・エルピーを総称していいます。
(5)設備投資及び資金調達に関するリスク
当社グループは、市場動向、需要動向等を見極めながら、事業戦略及び当該投資の収益性等を勘案しつつ必要な設備投資を実施していく方針ですが、今後の市況の変化等により、製品需要が想定どおりに拡大しなかった場合には、減価償却費負担の増加等が生じ、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
一方、製品需要の拡大に対して的確な増産投資が実施されない、投資設備の導入に遅延が生じる、製造ラインの立ち上げが計画どおり進展しない等の場合には、機会損失等が生じ、当社グループの事業、経営成績及び財務状態に影響を与えるリスクがあります。
また、当社グループは、事業展開の必要に応じて機動的な資金調達を実施していく方針ですが、当該資金調達に際しては、当社グループの財政状態、収益性等のほか、金利水準や市場環境等の要因により、当社グループが希望する時期又は条件により資金調達を実行できない場合があり、そのような場合には、必要な設備投資を行うことができず、事業計画等において想定していた収益を上げられない可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与えるリスクがあります。
(6)自然災害のリスク
当社グループの生産拠点は、山形、神奈川、愛知、山口、長崎の各県に分散しており、複数の拠点が同時に被災する可能性は低いものと考えています。しかしながら、これらの拠点が大規模な地震、台風等の自然災害により被害を受けた場合及び自然災害に起因した電力不足等が発生した場合には、事業運営に重大な影響が出る可能性があります。重要な製造工程、設備については、非常用電源、免震装置を設置することによって、地震、停電等による被害を最小限にとどめるための対策を講じており、また、連結企業グループを対象として火災・地震保険(企業財産包括保険)を付保しており、直接的な損害は一定の範囲内では回避し、又は補填されますが、建物、生産設備、製品、材料等の破損やそれに起因する間接的な損害が発生するリスク、また、原材料の調達や製品の出荷等物流に支障をきたすリスクがあります。
(7)技術、研究開発に関するリスク
当社グループの主たる市場である半導体及び液晶業界では技術革新が絶え間なく進んでおり、半導体の高集積化、微細化、生産性向上及び液晶ディスプレイの大型化等のために顧客より要求される各種技術は多岐にわたり、かつ、高度化しています。
当社グループは、このような市場、顧客からの要求に応えるため、独自の研究開発活動に加えて、顧客である半導体メーカー、半導体製造装置メーカー及び大学等の研究機関との共同研究等も実施し、継続的に研究開発費を投入しています。
しかし、当社グループが取り組む研究開発が全て一定の成果として結実する訳ではなく、また、新製品、新技術のすべてが市場及び顧客に受け入れられる保証はありません。結果として、業界における技術進歩への対応に支障が生じ、顧客の要求に適合することが困難となった場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。
(8)知的財産権に関するリスク
当社グループは、特許権その他の知的財産権の確保を経営上の重要課題と位置づけ、国内外において多数の特許を出願し又は保有していますが、当社グループが出願中である特許について適時に登録を受けられる保証はなく、また、現在登録を受けている特許が将来においても当社グループの知的財産権を保護するのに必要十分である保証はありません。
また、当社グループは、事業を展開する業界において特許監視等を実施していますが、当社グループが使用する技術要素等について、当社グループが認識しない第三者の特許が既に成立している場合、当該第三者より知的財産権を侵害しているとの理由により、販売の差止及び損害賠償等の訴えを起こされる可能性があり、当該特許の使用差止や使用に係る対価等の多額の支払い等が発生した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与えるリスクがあります。
さらに、当社グループは製造工程等の一部に関して第三者の特許技術等に係るライセンスを受けており、また、必要に応じてクロスライセンスを実施していますが、これらの継続使用が困難となった場合には当社グループの事業展開等に何らかの制約が生じる可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与えるリスクがあります。
(9)雇用に関するリスク
当社グループにおいては、マネジメント、技術、製造その他の領域において人材の確保が必要ですが、今後、従業員の募集・獲得・雇用維持に困難が生じる可能性があり、当社グループが適時に適切な人材を確保・育成・維持し、活用等できない場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与えるリスクがあります。
(10)海外事業展開に関するリスク
当社グループは日本のほか、北米、アジア、欧州その他の世界各地において販売及びマーケティング活動を展開しており、当社グループの顧客及び当社グループが製造した部材を使用する半導体製造装置等の最終製品のユーザーは世界中に存在しているため、当社グループの事業は国際取引に伴う以下の事項を含むリスクの影響を受ける可能性があります。
・ 現地の経済状況の悪化並びに外国の政治体制及びその政策等の不安定性
・ 貿易及び投資に影響する法令及び政策の変更
・ 当社グループが事業を行う地域における外国規制当局、税務当局、司法当局及び行政当局における基準及び実務の変更
・ 紛争、テロ、災害、伝染病の発生等による経済活動の停滞
また、外国政府による自国メーカーへの保護及び貿易政策により、特定の市場へのアクセス又は当社グループの競争上の地位に影響が生じるリスクがあります。さらに、当社グループの経営成績は、当社グループの顧客がその製品を販売している地域の政治又は経済状態の変化により影響を受けるリスクがあります。
(11)環境汚染、環境規制に関するリスク
当社グループの事業は、主に製造拠点において、排気、排水、騒音、規制物質の使用及び保管、産業廃棄物の廃棄、土壌及び地下水の汚染等について多くの環境関連法規の規制を受けており、これらの規制に基づき、一定の費用負担や賠償義務その他法的責任等が生じる可能性があります。
また、将来的に環境等に関する新たな法規制等が制定・強化された場合、これらの法改正への対応のために新たな費用負担等が生じ、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。