訂正有価証券報告書-第110期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/08/08 10:45
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【項目】
108項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度のわが国経済は、労働需給面では需要が旺盛で、名目賃金、実質賃金共に上昇いたしました。しか
しながら、実質賃金の上昇につきましては、先行き不透明感からの消費抑制による物価下落に負う面もあり、消費者
の低価格志向も再び拡大しつつあり、所得の伸長による消費の拡大は期待を下回る状況で推移いたしました。
海外におきましては、中国経済の減速が続いていることや、年度後半での米国大統領交代に伴う、いわゆるトラン
プショックにより、為替相場を始め経済は安定性を欠くなど不安定な状況でありました。
ステンレス業界におきましては、ニッケル価格は底を打ち回復基調で推移しましたが、下半期には鉄鉱石や原料炭
など鉄鋼原料の急騰が見られ、製鋼各社は原価が上昇しております。
当社グループは、このような状況のもと、みがき帯鋼部門では、表面品質、表面性状、加工性要求度に厳格な自動
車用光モール向け製品やボタン電池向け製品など、高付加価値製品の拡販・増産対応を行うと共に、市況に応じた受
注に努め、生産性向上による原価の低減や販売価格の適時な是正を行ったことなどで収益を大きく改善することがで
きました。加工品部門では、高精度異形鋼やファインパイプなどの高付加価値製品の拡販で収益の確保に努めまし
た。
その結果、当連結会計年度の連結業績につきましては、売上高は前連結会計年度と比べ5億2千6百万円(1.2%)増
収の440億2千万円となりました。損益面につきましては、前連結会計年度と比べ営業利益は9億3千万円(109.9%)
増益の17億7千6百万円となり、経常利益は7億5千2百万円(81.5%)増益の16億7千5百万円となり、親会社株主
に帰属する当期純利益は6億7千7百万円(101.9%)増益の13億4千3百万円となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① みがき帯鋼部門
冷間圧延ステンレス鋼帯、みがき特殊帯鋼共に、熊本地震、大手自動車メーカー系列部品会社工場の火災影響で、上半期は主要顧客である自動車関連の販売が低迷しましたが、下半期は上半期の挽回生産及び北米、中国市場向けの
輸出が堅調となったことから販売は回復いたしました。
冷間圧延ステンレス鋼帯におきましては、ニッケル、クロム価格が底を打ち、資源高に転化をしましたが、この影
響を製品価格の適時是正に努めましたことで収益改善に寄与いたしました。また、自動車用光モール向け製品は、拡
販活動により海外で高い評価を受け需要が拡大し、工場の製造能力も向上させたことで販売拡大につながりました。
その結果、自動車用光モール向け製品の海外比率も大きく高まりました。電子部品関連では、スマートフォン向けに
光学系で反射を抑制するニーズを取り込んだ黒加飾ステンレスを開発したことで新用途開発に成功し、収益向上に寄
与いたしました。
みがき特殊帯鋼につきましては、自動車関連は国内では生産の縮小が継続しているため販売は伸び悩みましたが、輸出につきましては品質、デリバリー含めた調達要望に対処したことで日系海外自動車企業からの受注が増加いたし
ました。みがき特殊帯鋼全体では、前期と比べて金額数量共に減少いたしましたが、顧客の高精度要求に対して、板
厚厳格、表面管理など弊社みがき特殊帯鋼品質を評価いただいた品目は伸長しております。
以上の結果、みがき帯鋼部門の売上高は、前連結会計年度と比べ7億5千2百万円(2.2%)増収の352億7千6百万
円となり、営業利益は、前連結会計年度と比べ8億8千7百万円(84.0%)増益の19億4千3百万円となりました。
② 加工品部門
加工品部門では、福島工場におきましては、建材関連で東京五輪に向けた首都圏再開発事業による需要増が期待さ
れますものの、当社型鋼製品につきましては、依然として公共事業が低調なことから需要減が続き販売が減少してお
ります。また、自動車駆動部品用高精度異形鋼につきましては、一昨年に完成した建屋を活用し、第一工場へ増強設
備と共に集約した高効率なレイアウト変更による増産体制を構築して参りましたが、増産に伴う原料供給増量対応や
工程変更などの顧客承認による切換時期で昨年より販売は減少となりました。損益面では具体的な収益改善や販売価
格是正の対応により前年同期の利益率を上回る事ができました。
岐阜工場では、主要需要家向けの自動車向けステンレス精密細管が減販しましたが、検査技術の高精度・自動化を
推進し、高品質・信頼性向上により、顧客から高品質を評価された事で計測機器への採用及び産業機器向けの大型プ
ラント案件の新規受注や、新技術による文具向けの新製品販売で増販となりました。また、精密細管の需要拡大に向
け海外への供給対応を含めてグローバルな営業活動に取り組んでおります。
タイ王国の加工品事業は、周辺国へのPR活動を活発に行い新規受注獲得に努めましたが、主要需要家の減販やタ
イ国内外の景気低迷により減販となりました。
以上の結果、加工品部門の売上高は、前連結会計年度と比べ2億2千5百万円(2.5%)減収の87億4千3百万円となり、営業利益は、前連結会計年度と比べ8千9百万円(12.6%)増益の8億1百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動による収支と投資活動による収支を合わせると、35億2千万円の収入(前期2億4千8百万円の支出)であり、これに、財務活動による収支を加味すると、27億8千1百万円の収入(前期5億8千7百万円の支出)となり、前連結会計年度末に比べ資金は27億6千万円(52.4%)の増加となり、当連結会計年度末には80億3千4百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、42億3千万円の収入(前期10億7千8百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が16億1千7百万円(前期16億3千6百万円)、減価償却費が14億1千3百万円(前期13億9千7百万円)であり、売上債権の減少による収入が1億9千3百万円(前期2億3千6百万円の支出)、たな卸資産の減少による収入が10億3千4百万円(前期4億3千6百万円の収入)であった一方、仕入債務の減少による支出が2億3千7百万円(前期11億3千6百万円の支出)であったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは7億9百万円の支出(前期13億2千6百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が8億7千1百万円(前期15億5千1百万円)であった一方、投資有価証券の売却による収入が1億7千9百万円(前期2百万円)であったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、7億3千9百万円の支出(前期3億3千8百万円の支出)となりました。これは、短期借入金の純増減額が6億7千3百万円の支出(前期9千1百万円の支出)、長期借入金の純増減額が2億円の支出(前期1億3千5百万円の支出)であったこと等によるものであります。