有価証券報告書-第90期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書の提出日現在において、当社及び連結子会社(以下「当社グループ」という。)が判断したものであります。
(1)経営の基本方針
ステンレス鋼線並びに金属繊維(ナスロン®)を主力製品とする当社グループは、長年にわたり培ってきた技術力と新しい分野への挑戦により、お客様にとって価値のある商品とサービスの提供を通じて社会の発展に貢献することを経営の基本理念としております。
産業構造が環境・エネルギーのクリーン化、デジタル化へと進むなか、ステンレス分野への期待はさらに高まり、「より細く、より強く、より精密な」方向が求められています。ステンレス鋼線のトップメーカーとして、これらの期待に適応すべく『Micro & Fine Technology』をスローガンに掲げ、次世代素材、技術開発をこれからもリードし続けてまいります。
また、株主並びにお客様など、内外の関係先からの信頼と期待に応えるため、常に市場の変化に迅速に対応できる柔軟な経営体制の構築を通じて、安定した収益基盤の維持・拡大を図るべく事業活動を展開してまいります。
(2)中長期的な経営戦略及び目標とする指標
当社グループは、『Micro & Fine Technology』を追求するなかで、未来の高機能・独自製品を生み出しつづける事を通して社会に貢献し、ステンレス鋼線No.1カンパニーの地位を継続していく」というビジョンを掲げ、2021年3月期を最終年度とする『第14次中期計画(NSR20)』を策定しております。その骨子は「日本精線リニューアル」のスローガンのもと、高機能・独自製品の上方弾力確保及び拡販と持続的成長のための生産基盤強化により、最終年度の連結経常利益55億円、連結ROS及び同ROA10%以上等の経営目標達成を目指すものであります。
高機能・独自製品とは、当社グループで独自開発した技術を用いることなどにより実現可能となったシェアナンバーワンやオンリーワンの製品群となります。高機能・独自製品は、お客様の製品に高い付加価値をもたらす役割を担っています。
【高機能・独自製品の一例】
①中期計画の基本方針
経営方針に則り、技術力と新しい分野への挑戦によって社会貢献を目指すとともに、安定した収益基盤の維持・拡大を図るべく、5つの基本方針を掲げております。
a.高機能・独自製品の上方弾力確保
b.新製品開発と新市場開拓
c.生産性向上と働き方改革
d.ガバナンス・コンプライアンスの充実
e.安全・環境対策の継続的推進
②中期計画の進捗状況
中期計画の基本方針に則り、2年目となる2019年度まで、着実に各施策を展開してまいりました。最終年度である2020年度においても、具体的なアクションを計画しております。
a.高機能・独自製品の上方弾力確保
ステンレス鋼線部門においては、東大阪工場の自動酸洗設備をはじめとして、太径ボルト用材、細径ばね用材などの増産投資を実施し、高機能・独自製品の上方弾力確保を実現しております。また、タイ精線においても、ばね用材、極細線の生産能力拡大を図りました。
金属繊維部門においては、真空炉やクリーンルームの増設によって超精密ガスフィルター(NASclean®)の上方弾力を高めました。また、耐素龍精密濾機(常熟)有限公司において、化合繊維・樹脂等向けの高機能メタルフィルターの増産対応も実現しました。
b.新製品開発と新市場開拓
ステンレス鋼線部門においては、線径11μmの超極細線の量産化を実現するとともに、シングルμmへの挑戦を続けております。金属繊維部門では、高機能ガスフィルターの開発のほか、水素分離膜モジュールの実装トライアルの引き合いを多方面からいただいております。
研究開発分野では、ピアノ線と同等の引っ張り強さとともに高い耐食性を持つ「ハ―キュリー®EH」や、高圧水素の環境でも高い強度と靭性を両立できるばね素材「ハイブレム®-S」を開発し、お客様の製品・サービスに付加価値を与える素材として期待されています。また、ベリリウムフリーのニーズに対応した高強度・高導電性のばね素材「エレメタル®」の量産化体制も整いました。
c.生産性向上と働き方改革
システム開発では、品質・識別管理の自動化投資を計画どおり実施し、検査の信頼性向上と不正防止体制の充実を図りました。2020年度は、金属繊維部門とタイ精線の生産管理システムの刷新を展開しております。
また、枚方工場の製品倉庫集約(2021年3月完成予定)を通じて物流合理化に着手いたします。
働き方改革としては、フレックスタイム制の導入、健康経営優良法人認定取得、人事・労務政策の見直しなど、計画どおり進捗しております。2020年度においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染防止とともに、リモートワーク移行のためのワークフロー見直しに向けた投資を図ってまいります。
d.ガバナンス・コンプライアンスの充実
CGコードのフルコンプライ、個人株主様向けの工場見学会などコーポレートガバナンスの充実を図ってまいりました。また、2019年度より非連結子会社であった大同不銹鋼(大連)有限公司、韓国ナスロン株式会社及び日精テクノ株式会社を連結の範囲に加えたことで、子会社のフル連結を実現し、グループのガバナンス強化を進めております。
2020年度は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の全世界における感染拡大を教訓に、BCP(事業継続計画)の見直しを計画しております。
e.安全・環境対策の継続的推進
計画的に、耐震補強や土壌浄化、環境負荷物質・危険物の使用量削減を展開しております。また、「安全をすべてに優先する」との大方針のもと、安全対策のハード改善投資を行ってまいりました。
2020年下期に本格稼働する東大阪工場の自動酸洗設備は、作業者の安全や環境負荷軽減にも配慮した設備を実現できました。
③目標とする経営指標
当社グループは、高機能・独自製品の上方弾力確保及び拡販と持続的成長のための生産基盤強化に向け、以下の数値を目標とする経営指標として設定しております。
これらを重要指標と認識し、企業価値の向上に努めてまいります。
(3)経営環境及び対処すべき課題
①経営環境
世界経済は、米中貿易摩擦の長期化や中東の地政学的リスクなどを背景に減速基調にあります。国内経済についても、インバウンド需要の減少、消費増税や自然災害による民間消費や民間設備投資などの内需の下落に加え、海外経済の低迷から輸出も減少しています。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束時期や、それに伴う需要減やサプライチェーン寸断の影響の不透明感が強いことから、国内外経済や資源価格、金融・資本市場の先行きの不確実性が極めて高いと考えています。
当社グループの主力製品であるステンレス鋼線を巡る経営環境は、自動車生産をはじめとする需要の急減速のほか、中国や韓国のステンレス鋼線メーカーとの競争激化による収益低下などの懸念を抱えています。併せて、ニッケル価格に起因する原材料価格の変動リスクが財務に与える影響を覚悟しなければなりません。また、金属繊維(ナスロン®)も化合繊維向けなどの一般汎用製品については競争が激しくなってきております。一方、超精密ガスフィルター(NASclean®)については、第5世代移動通信システム(5G)の本格的な立ち上がりや、コロナ禍を端とするリモートワークの普及が見込まれるため、半導体をはじめとするIT関連の需要は調整局面を脱したと考えています。ただ、半導体関連の需給環境の変動リスクは小さくないことから、迅速かつ柔軟性を伴った変化への対応力が求められています。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、当社グループの業績はもとより、サプライチェーンや生産・販売の基盤、従業員やお客様、協力会社、近隣住民をはじめとするステークホルダーの皆様の健康を脅かす虞があります。感染防止策の徹底のほか、自然災害やテロなどを含めた不測の事態にも備える準備が必要となっています。
②対処すべき課題
喫緊の最重要課題は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらすリスクへの対応と捉えております。まず、工場内での感染者発生により生産停止するなど、製品供給においてお客様にご迷惑をかけない体制の整備に取り組んでまいります。すでに、生産部門では、自動車通勤への切り替え拡大、工場食堂における同時利用人員制限と対面着座禁止、時差出勤によるロッカールームでの3密回避などに取り組んでいます。そのほか、本社・営業部門でのリモートワーク移行のためのワークフロー見直しに向けた投資を迅速に展開し、従業員の罹患リスクの抑制に努めてまいります。また、パンデミックの長期化によって、国内外の産業や金融環境が極度な不安定状態になることを想定し、財務上の手元流動性を月商3ヵ月分程度を維持できるように努めてまいります。
2020年度は、『第14次中期計画(NSR20)』の最終年度にあたり、斯かる経営環境に対応するべく、引き続き「高機能・独自製品の上方弾力確保及び拡販と持続的成長のための生産基盤強化」を目指してまいります。また、既に実行済のテーマについては、投資効果などの具体的な成果を発現できるように鋭意取り組んでまいります。
ステンレス鋼線部門においては、受注減少のリスクシナリオを踏まえ、多能工化や作業効率向上などフレキシブルな生産体制を構築してまいります。高機能・独自製品の上方弾力確保については、積極的な設備投資を継続するとともに、お客様のグローバル展開に対応した海外2工場の競争力強化や、東大阪・枚方工場リニューアルの推進などにより、引き続き国内外の最適生産体制の構築を進めてまいります。さらに、次世代の高機能・独自製品の開発を通じて、環境・医療・エネルギー関連などの分野で新しいマーケットを創造できるように取り組んでまいります。
金属繊維部門においては、中期計画で展開してきた増産投資の最新設備を活かして、半導体関連の受注急増にスピーディかつ柔軟に応えてまいります。販売面では、コロナ禍でサプライチェーンの再構築を図る国内外の新規顧客の獲得を図ってまいります。また、現在、開発中の超精密ガスフィルター(NASclean®)製品の市場開拓を準備するとともに、水素分離膜の開発も推進してまいります。
全社的な課題としては、「安全」・「健康」を追及するとともに、制度設計の見直しや、枚方工場の製品倉庫集約などによる生産性向上を通じて「働き方改革」を実践してまいります。また、近年の自然災害やコロナ禍を顧み、防災計画やBCP(事業継続計画)、リモートワークの在り方についても見直しを図ってまいります。さらに、環境やガバナンス、社会貢献などを意識した取り組みを推進してまいります。
以上により、収益の一段の向上を図るとともに、事業のグローバル化推進や高度化・多様化する顧客ニーズへの対応などにより、『さらなる企業価値の向上』を目指してまいります。
(1)経営の基本方針
ステンレス鋼線並びに金属繊維(ナスロン®)を主力製品とする当社グループは、長年にわたり培ってきた技術力と新しい分野への挑戦により、お客様にとって価値のある商品とサービスの提供を通じて社会の発展に貢献することを経営の基本理念としております。
産業構造が環境・エネルギーのクリーン化、デジタル化へと進むなか、ステンレス分野への期待はさらに高まり、「より細く、より強く、より精密な」方向が求められています。ステンレス鋼線のトップメーカーとして、これらの期待に適応すべく『Micro & Fine Technology』をスローガンに掲げ、次世代素材、技術開発をこれからもリードし続けてまいります。
また、株主並びにお客様など、内外の関係先からの信頼と期待に応えるため、常に市場の変化に迅速に対応できる柔軟な経営体制の構築を通じて、安定した収益基盤の維持・拡大を図るべく事業活動を展開してまいります。
(2)中長期的な経営戦略及び目標とする指標
当社グループは、『Micro & Fine Technology』を追求するなかで、未来の高機能・独自製品を生み出しつづける事を通して社会に貢献し、ステンレス鋼線No.1カンパニーの地位を継続していく」というビジョンを掲げ、2021年3月期を最終年度とする『第14次中期計画(NSR20)』を策定しております。その骨子は「日本精線リニューアル」のスローガンのもと、高機能・独自製品の上方弾力確保及び拡販と持続的成長のための生産基盤強化により、最終年度の連結経常利益55億円、連結ROS及び同ROA10%以上等の経営目標達成を目指すものであります。
高機能・独自製品とは、当社グループで独自開発した技術を用いることなどにより実現可能となったシェアナンバーワンやオンリーワンの製品群となります。高機能・独自製品は、お客様の製品に高い付加価値をもたらす役割を担っています。
【高機能・独自製品の一例】
| 製品名 | 説明 |
| ばね用材 | 高強度や高耐熱、超非磁性などのお客様のニーズに応じ、線ぐせや光沢などを調整したオーダーメイド製品を提供しています。医療関連や精密電子機器、次世代の水素社会を支える素材となります。 |
| 極細線 | 100μm未満の製品を総称し、フィルター用途やスクリーン印刷用途に用いられております。細径化ニーズに対応してきた結果、現在11μmという単線としてはステンレス鋼線の極限の細さを実現しています。高精度、高細密が要求されるソーラーセルや積層コンデンサなどの生産に欠かせない素材となります。 |
| 超精密ガスフィルター(NASclean®) | 当社が独自に開発したステンレス鋼繊維(ナスロン®)をもとに、薄層のメタルメンブレンフィルターを量産しています。半導体・フラットパネルディスプレイなどの製造で必要となるガスの濾過機能を担っています。 |
①中期計画の基本方針
経営方針に則り、技術力と新しい分野への挑戦によって社会貢献を目指すとともに、安定した収益基盤の維持・拡大を図るべく、5つの基本方針を掲げております。
a.高機能・独自製品の上方弾力確保
b.新製品開発と新市場開拓
c.生産性向上と働き方改革
d.ガバナンス・コンプライアンスの充実
e.安全・環境対策の継続的推進
②中期計画の進捗状況
中期計画の基本方針に則り、2年目となる2019年度まで、着実に各施策を展開してまいりました。最終年度である2020年度においても、具体的なアクションを計画しております。
a.高機能・独自製品の上方弾力確保
ステンレス鋼線部門においては、東大阪工場の自動酸洗設備をはじめとして、太径ボルト用材、細径ばね用材などの増産投資を実施し、高機能・独自製品の上方弾力確保を実現しております。また、タイ精線においても、ばね用材、極細線の生産能力拡大を図りました。
金属繊維部門においては、真空炉やクリーンルームの増設によって超精密ガスフィルター(NASclean®)の上方弾力を高めました。また、耐素龍精密濾機(常熟)有限公司において、化合繊維・樹脂等向けの高機能メタルフィルターの増産対応も実現しました。
b.新製品開発と新市場開拓
ステンレス鋼線部門においては、線径11μmの超極細線の量産化を実現するとともに、シングルμmへの挑戦を続けております。金属繊維部門では、高機能ガスフィルターの開発のほか、水素分離膜モジュールの実装トライアルの引き合いを多方面からいただいております。
研究開発分野では、ピアノ線と同等の引っ張り強さとともに高い耐食性を持つ「ハ―キュリー®EH」や、高圧水素の環境でも高い強度と靭性を両立できるばね素材「ハイブレム®-S」を開発し、お客様の製品・サービスに付加価値を与える素材として期待されています。また、ベリリウムフリーのニーズに対応した高強度・高導電性のばね素材「エレメタル®」の量産化体制も整いました。
c.生産性向上と働き方改革
システム開発では、品質・識別管理の自動化投資を計画どおり実施し、検査の信頼性向上と不正防止体制の充実を図りました。2020年度は、金属繊維部門とタイ精線の生産管理システムの刷新を展開しております。
また、枚方工場の製品倉庫集約(2021年3月完成予定)を通じて物流合理化に着手いたします。
働き方改革としては、フレックスタイム制の導入、健康経営優良法人認定取得、人事・労務政策の見直しなど、計画どおり進捗しております。2020年度においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染防止とともに、リモートワーク移行のためのワークフロー見直しに向けた投資を図ってまいります。
d.ガバナンス・コンプライアンスの充実
CGコードのフルコンプライ、個人株主様向けの工場見学会などコーポレートガバナンスの充実を図ってまいりました。また、2019年度より非連結子会社であった大同不銹鋼(大連)有限公司、韓国ナスロン株式会社及び日精テクノ株式会社を連結の範囲に加えたことで、子会社のフル連結を実現し、グループのガバナンス強化を進めております。
2020年度は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の全世界における感染拡大を教訓に、BCP(事業継続計画)の見直しを計画しております。
e.安全・環境対策の継続的推進
計画的に、耐震補強や土壌浄化、環境負荷物質・危険物の使用量削減を展開しております。また、「安全をすべてに優先する」との大方針のもと、安全対策のハード改善投資を行ってまいりました。
2020年下期に本格稼働する東大阪工場の自動酸洗設備は、作業者の安全や環境負荷軽減にも配慮した設備を実現できました。
③目標とする経営指標
当社グループは、高機能・独自製品の上方弾力確保及び拡販と持続的成長のための生産基盤強化に向け、以下の数値を目標とする経営指標として設定しております。
これらを重要指標と認識し、企業価値の向上に努めてまいります。
| 2019年度目標 | 2020年度目標 | |
| 連結売上高 | 440億円 | 460億円 |
| 連結経常利益 | 48億円 | 55億円 |
| 連結ROS(経常利益/売上高) | 10%以上 | 10%以上 |
| 連結ROA(経常利益/総資産) | 10%以上 | 10%以上 |
| 連結配当性向(配当/税引後利益) | 30%程度 | 30%程度 |
| 連結高機能・独自製品売上高比率 | 70%以上 | 70%以上 |
(3)経営環境及び対処すべき課題
①経営環境
世界経済は、米中貿易摩擦の長期化や中東の地政学的リスクなどを背景に減速基調にあります。国内経済についても、インバウンド需要の減少、消費増税や自然災害による民間消費や民間設備投資などの内需の下落に加え、海外経済の低迷から輸出も減少しています。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束時期や、それに伴う需要減やサプライチェーン寸断の影響の不透明感が強いことから、国内外経済や資源価格、金融・資本市場の先行きの不確実性が極めて高いと考えています。
当社グループの主力製品であるステンレス鋼線を巡る経営環境は、自動車生産をはじめとする需要の急減速のほか、中国や韓国のステンレス鋼線メーカーとの競争激化による収益低下などの懸念を抱えています。併せて、ニッケル価格に起因する原材料価格の変動リスクが財務に与える影響を覚悟しなければなりません。また、金属繊維(ナスロン®)も化合繊維向けなどの一般汎用製品については競争が激しくなってきております。一方、超精密ガスフィルター(NASclean®)については、第5世代移動通信システム(5G)の本格的な立ち上がりや、コロナ禍を端とするリモートワークの普及が見込まれるため、半導体をはじめとするIT関連の需要は調整局面を脱したと考えています。ただ、半導体関連の需給環境の変動リスクは小さくないことから、迅速かつ柔軟性を伴った変化への対応力が求められています。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、当社グループの業績はもとより、サプライチェーンや生産・販売の基盤、従業員やお客様、協力会社、近隣住民をはじめとするステークホルダーの皆様の健康を脅かす虞があります。感染防止策の徹底のほか、自然災害やテロなどを含めた不測の事態にも備える準備が必要となっています。
②対処すべき課題
喫緊の最重要課題は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらすリスクへの対応と捉えております。まず、工場内での感染者発生により生産停止するなど、製品供給においてお客様にご迷惑をかけない体制の整備に取り組んでまいります。すでに、生産部門では、自動車通勤への切り替え拡大、工場食堂における同時利用人員制限と対面着座禁止、時差出勤によるロッカールームでの3密回避などに取り組んでいます。そのほか、本社・営業部門でのリモートワーク移行のためのワークフロー見直しに向けた投資を迅速に展開し、従業員の罹患リスクの抑制に努めてまいります。また、パンデミックの長期化によって、国内外の産業や金融環境が極度な不安定状態になることを想定し、財務上の手元流動性を月商3ヵ月分程度を維持できるように努めてまいります。
2020年度は、『第14次中期計画(NSR20)』の最終年度にあたり、斯かる経営環境に対応するべく、引き続き「高機能・独自製品の上方弾力確保及び拡販と持続的成長のための生産基盤強化」を目指してまいります。また、既に実行済のテーマについては、投資効果などの具体的な成果を発現できるように鋭意取り組んでまいります。
ステンレス鋼線部門においては、受注減少のリスクシナリオを踏まえ、多能工化や作業効率向上などフレキシブルな生産体制を構築してまいります。高機能・独自製品の上方弾力確保については、積極的な設備投資を継続するとともに、お客様のグローバル展開に対応した海外2工場の競争力強化や、東大阪・枚方工場リニューアルの推進などにより、引き続き国内外の最適生産体制の構築を進めてまいります。さらに、次世代の高機能・独自製品の開発を通じて、環境・医療・エネルギー関連などの分野で新しいマーケットを創造できるように取り組んでまいります。
金属繊維部門においては、中期計画で展開してきた増産投資の最新設備を活かして、半導体関連の受注急増にスピーディかつ柔軟に応えてまいります。販売面では、コロナ禍でサプライチェーンの再構築を図る国内外の新規顧客の獲得を図ってまいります。また、現在、開発中の超精密ガスフィルター(NASclean®)製品の市場開拓を準備するとともに、水素分離膜の開発も推進してまいります。
全社的な課題としては、「安全」・「健康」を追及するとともに、制度設計の見直しや、枚方工場の製品倉庫集約などによる生産性向上を通じて「働き方改革」を実践してまいります。また、近年の自然災害やコロナ禍を顧み、防災計画やBCP(事業継続計画)、リモートワークの在り方についても見直しを図ってまいります。さらに、環境やガバナンス、社会貢献などを意識した取り組みを推進してまいります。
以上により、収益の一段の向上を図るとともに、事業のグローバル化推進や高度化・多様化する顧客ニーズへの対応などにより、『さらなる企業価値の向上』を目指してまいります。