有価証券報告書-第80期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/15 13:30
【資料】
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【項目】
204項目
(2)戦略
①経営理念等について
当社グループでは、「人と地球の快適環境」を創造することをめざしており、その実現に向けては、創業の精神である「社是(誠実・努力・奉仕)」をはじめとして、企業活動における行動指針である「経営理念」の考え方を共有した人材が重要な事業基盤の一つであると認識している。
なお、当社グループの企業風土であり従業員としての心構えである「明・元・素(明るく、元気に、素直)」は、求める人材や人材の確保・育成、ひいては当社グループの成長には欠かせない要素であると考えている。
②CSR憲章「働く仲間と共に」
当社グループでは、前述の「社是」や「経営理念」といった企業文化を体現できる人材の育成に注力し、それらの育成を通じて成長した人材を社内の重要なポジションへ登用するなど、従業員一人ひとりの人材力の総和により、事業基盤の強化を図ることが持続的な成長、ひいては企業価値の向上につながると考えている。
さらに、人材に関する基本的な考え方としては、「CSR憲章」の「働く仲間と共に」において、働く仲間の個性と創造性を尊重し、一人ひとりの満足と成長をめざしている。また、「CSR行動指針」では「人権の尊重」、「雇用の創出」、「満足度の向上」を掲げ、従業員が実践することでエンゲージメント(従業員一人ひとりが企業の掲げる「戦略・目標」に共感し、自発的に貢献する意欲)の向上を図っている。
③中期経営計画の概略
当社及び当社グループでは、持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上を実現し、常にお客様に「安心」「安全」を提供する「快適環境ソリューショングループ」として進化していくため、2024年度より『恒久的な企業価値の創出を目指して』をテーマとした中期経営計画を実行している。
現中期経営計画では、創業当初より成長を支えてきたシャッター、ドア等を製造・販売する基幹事業においては、防火・防犯はもとよりIoT化など、変化する社会のニーズを捉え、生活者の視点に立った商品開発を実行していくことで、規模を維持しつつ、収益力強化につながる投資を実施していく。注力事業においてはエコ&防災事業をはじめ、メンテナンス事業、都市の老朽化や住環境の変化に対応するリノベーション事業及び海外事業等を展開しており、売上規模(シェア)を拡大していくとともに、新たな事業への挑戦と投資を実施していく。基幹事業によって基盤を強化するとともに、注力事業によって当社グループの未来を担う事業を育て、発展させていき、それらのバランスをとることで、経営のレジリエンスを高めていく。
④中期経営計画の遂行における人的資本に関するリスクおよび課題
当社グループでは、中期経営計画の遂行を通じて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、経営戦略の実行を支える人的資本の確保および育成が重要であると認識している。一方で、事業環境や社会構造の変化を背景として、人的資本に関していくつかのリスクおよび課題が存在すると考えている。
まず、国内における人口減少および労働力不足の進行により、商品開発、設計、製造、施工管理、工事といった当社グループの事業運営において重要な役割を担う人材の確保が、中期的な経営課題となっている。特に、基幹事業の安定的な運営や、注力事業の拡大を支える現場人材の不足は、事業の継続性や成長性に影響を与える可能性がある。
また、各事業領域において中心的な役割を果たす中堅層人材の人手不足も、重要な課題として認識している。中堅層は、現場の実務遂行のみならず、後進の育成や組織運営の要としての役割を担っており、その層の不足や負荷の増大は、組織全体の生産性や技術力の維持に影響を及ぼすおそれがある。加えて、中長期的な視点では、次期リーダー層の不足も人的資本におけるリスクの一つであると考えている。事業環境の変化に柔軟に対応しつつ、中期経営計画を着実に遂行していくためには、事業や組織を担う管理職・リーダー人材を計画的に育成していくことが不可欠であるが、その層の厚みの確保が課題となっている。さらに、当連結会計年度より組織の現状と課題を可視化することを目的に「エンゲージメントサーベイ」を導入し、キャリアや人事評価等の項目で相対的にスコアが低い領域を確認した。
これらの人的資本に関するリスクや「エンゲージメントサーベイ」の結果を踏まえ、当社グループにおける主な課題としては、商品開発、設計・施工管理要員の安定的な確保、当社固有の技術・技能の維持および次世代への伝承、次期管理職を含むリーダー人材の育成、ならびに従業員の離職防止とモチベーション向上が挙げられる。当社グループでは、これらの人的資本に関するリスクおよび課題への対応が、中期経営計画の遂行および将来にわたる競争力の確保において重要であるとの認識のもと、以降の人材戦略および施策を通じて対応を進めていくこととしている。
⑤当社グループの成長並びに中期経営計画の遂行に向けて必要な人材
④で整理した人的資本に関するリスクおよび課題への対応にあたり、当社グループは、その基礎として属性を問わず、個性や能力など様々な価値観や視点を受け入れる必要があり、事業を問わず以下の「求める人材」が共通要素であると認識している。
「それぞれの与えられた役割の中で、小さなイノベーションを起こせる人材」
「固定観念や先入観にとらわれない、独自の「感性」を発揮できる人材」
「外に向かっては顧客志向、内に向かってはコミュニケーションをとれる人材」
「「企業人として何が正しいのか」という哲学を持った人材」
「困難な課題に対し、最大の壁である「意識の壁」を打ち破る強い意志を持った人材」
を意識し、各人が事業主感覚を持ち、且つ集団力を発揮できる人材である。
[新たな仕組みの構築×実行できる人材集団=恒久的企業価値の創出]
これらを体現できる人材を事業基盤に事業施策を実行していくとともに、積極的にダイバーシティ&インクルージョンを推し進め、多様な能力の獲得や能力の発揮機会の提供を図り、多様化する顧客ニーズヘ対応していくことで、当社グループが快適環境のソリューショングループヘと成長すると考えている。
⑥人材戦略の概要
当社グループでは、⑤で示した人材像を将来にわたり安定的に確保・育成し、事業の継続性および中長期的な成長を実現していくため、人的資本の充実を重要な経営基盤の一つとして位置付けている。④で整理した人的資本に関するリスクおよび課題、ならびに⑤で示した必要な人材を踏まえ、当社グループでは、人材戦略を以下の三つの軸で構成している。
1.多様な人材の確保
事業環境や社会構造の変化を踏まえ、専門性や経験、バックグラウンドの異なる多様な人材を継続的に確保していくことは、事業基盤の維持・強化に不可欠であると認識している。
2.人材の育成
現在の事業施策並びに中長期目標の実現に向けて、事業基盤の強化を図るためには、「求める人材」を踏まえた人材育成への注力が重要と考えている。
3.働き方の改革・支援
人材が能力を十分に発揮し、長期的に活躍し続けるためには、働きやすい環境の整備や適切な支援が不可欠であり、これらを通じて人材の定着およびエンゲージメントの向上を図っていく。
当社グループでは、これら三つの軸を相互に関連付けながら人材戦略を推進している。
上記の人材戦略を通じた必要な人材の確保・育成や人材が能力を発揮しやすい環境の整備は、基幹事業を中心とした事業運営の効率化や収益構造の改善、注力事業の拡大に貢献すると考えている。さらに、こうした取り組みの積み重ねを通じて、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上にも寄与していくことを目指している。
⑥-1多様な人材の確保
<主な採用ルート>現在の採用について、「求める人材」を踏まえ、新卒採用は人事総務部で、中途採用は各事業本部等の事業部門において実施している。
新卒採用については、営業や技術(商品開発・設計・生産技術・SE ) など、学生が希望する仕事に配属をする職種別採用を行っており、人材確保、離職防止を図っている。
中途採用においては、主に営業、設計、施工管理を中心に経験者や資格保有者等の即戦力人材を積極的に獲得するだけではなく、必要に応じて当社事業領域に限らない専門的な知見・技術を持つ人材や海外人材を採用するなど、多様な価値観、多角的な視点を取り入れることで組織、人材の硬直化を抑制し、新たな事業の創出や企業の成長につなげている。
<人材の融合>近年では、事業領域の拡大によるM&A、アライアンスを通じて、考え方・価値観の異なる人材との融合が進んでおり、今後より一層の技術革新や新商品の具現化を進めることができると考えている。
2025年度はドア事業の利益創出のため、社内組織再編、グループ会社6社を2社に統合したことで、生産性向上による経営効率の向上だけでなく、多くの出向者を受け入れたことによる人材面でのシナジー効果が得られると考えている。
<ダイバーシティ&インクルージョンの観点>ダイバーシティ&インクルージョンの観点、及び多様な人材の確保に向けて、当社における社員男女比率はおよそ9:1であり、かつ、女性管理職比率が4.3%(単体)であることは経営課題として認識している。今後、働き方改革の推進、新商品や新事業の探索など、当社の成長には女性の視点をはじめとする多様な視点が必須である。そのため、新卒採用における女性採用比率30%を目標として、積極的な採用による社員男女比率のバランスの改善や女性従業員向けのキャリアデザイン研修に取り組み、現状打破を進めている。また、障害者の採用においては、「当社に限らず、どの企業においても戦力となる人材に成長する」を目標に、全国各部門・職種での採用を推進している。
<処遇の向上>当社グループの給与は、基本給、諸手当と賞与で構成されており、基本給の引き上げや賞与水準は、業績、業界の動向、物価の動向や実質賃金の推移等を踏まえた会社方針について労使協議等を行い、その結果を反映して決定している。なお、近年の労働人口の減少や物価上昇といった外部環境の変化を踏まえ、当社グループでは、商品開発、設計、製造、施工管理、工事をはじめとした当社グループにとって重要な人材を含め、多様な人材を確保するとともに、優秀な人材の定着と活躍を促進するためには、処遇を維持するだけでなく、継続的に向上させていくことが重要であると考えている。当社ではこれまで「処遇の改善から向上へ」をテーマに、社員のみならず、定年後再雇用嘱託者、嘱託者、パートタイマーなど、雇用区分にかかわらず処遇の引き上げに取り組んできた。
また、昇給上限年齢の引き上げや、若年層の中途採用者を対象とした住宅補助制度の新設など、制度面の見直しを通じて、人材の確保と生活支援の両立を図っている。今後も、業績や世間水準を意識した処遇向上を行うことで、従業員の満足度やエンゲージメントの向上を図り、人材確保における競争力の強化につなげていく。
⑥-2人材の育成
<従業員全体の育成>人材育成の取り組みとして、従業員全体の底上げ、成長を図る研修を実施している。入社時教育をはじめ職位・職能資格に応じた様々な階層別研修(昇格者研修、新任管理者研修など)、スキルアップにつながる教育として、製品知識修得を目的とした研修や「恒久的な企業価値の創出を目指して」の実現に向け、目に見えない問題を見つけ、見つけた問題の因果関係を解明する問題解決研修、そして、働き方改革につながる生産性の向上に向けたITリテラシーに関する通信教育等を実施している。
また、人材価値の最大化を図る教育改革への取り組みとして、各部門のキャリア(スキル)マップを策定、キャリアパスを見える化したことで、上司と部下が共通認識のもとキャリアを展望でき、従業員が自身の現在地と成長を実感できる支援を行うなど、特に若手社員への成長に向けた施策を推し進めている。
<職種に応じた柔軟な育成>従来の建築・施工管理などの専門技術のスキルや資格の取得を進めるため、外部講習等を利用した研修を実施し、資格試験の合格者には、新たな資格手当の新設や従来の祝金を増額するなど合格へのインセンティブも付与している。
製造現場等における当社固有の技術や高度な技能を伝承し後継者を育成するため、2007年にマイスター制度を導入している。熟練したスキルを保有する従業員が数多く輩出されることで、メーカーとして製品の安心・安全の提供、多様化する顧客ニーズへの対応や顧客満足度の向上が可能と考えている。
営業のエリアマーケティング研修では、地域特性を考慮した商品・顧客戦略を現場の社員が調査・立案し、部門長にプレゼンテーションをすることで、自身の事業戦略への理解を深めるとともに経営目標との連動や経営に参画する意識の醸成につなげている。
<ダイバーシティ&インクルージョンを踏まえた育成>ダイバーシティ&インクルージョンの促進に向けては、2021年より、女性の活躍を促進するため、意識改革やマネジメント力向上を目的とした女性従業員向けのキャリアデザイン研修を実施している。さらに、前述のマイスター制度では、現在のマイスター37名(グループ全体)のうち、6名(グループ全体)が定年後再雇用者であることから、シニア層のモチベーション向上とともに、その活躍が当社の成長に寄与している。
<経営陣の考えの浸透>各研修の冒頭に経営陣が受講者に対し、従業員の成長への期待や会社の姿勢・方向性を説明することで、会社全体でベクトルを合わせ、経営陣の考えを浸透させている。
<人事評価>人事評価においては、多様な人材が持つ能力の十分な発揮や適材適所の配置を進めるため、当社人事制度の根幹である職能資格に応じた保有能力の把握・評価、仕事の達成度・成果を評価する業績評価、そして仕事への取り組み姿勢を評価する情意評価など、多面的に評価することで、従業員の能力の伸長や成果、職務範囲の拡大、上司部下・他部門との協働等、従業員の成長を上司が適切に把握することとしている。また、人事評価の結果は前述の観点に加え、今後の成長へのアドバイスを含め、定期的なフィードバック面談を行うこととしており、評価や課題について十分に話し合うことで目標を明確にし、モチベーションの向上につなげている。これら人事評価を公正・公平に行うには、評価者の評価制度への理解と評価スキルの均一化が必要であることから考課者研修を継続的に実施している。
<次期リーダー層の育成・重要ポジションの人材確保>当社グループでは、中堅層などの確保に向けて、次世代リーダー育成(BMP)研修を実施している。この研修では、次世代リーダー人材として、視点視野の拡大、企画実践の強化、事業提案などを行っており、近年では、受講者の年齢を下げることで「次の次世代リーダー」の育成に努めている。
また、重要ポジションの人材確保に向けて、各事業本部における幹部人事異動等について、これまでの経験や実績、現状分析に基づく最適な人員配置を実施しているが、時には従業員の将来、モチベーション向上ひいては当社の将来を見据え年齢や経験にとらわれない人事配置を行うことがある。
⑥-3働き方の改革・支援
<多様な働き方の支援と働く環境の整備>当社グループでは、従業員の離職防止および満足度や生産性の向上をめざし、個々のライフスタイルを重視しつつ、多様な働き方による生産性向上や安心して働くことができる環境を重視した人事制度の見直し並びに人材投資を実施している。当社では、柔軟な働き方を可能とするフレックスタイム制度やモバイルPCの導入による在宅勤務並びにリモートワークの恒久化、有給休暇取得率向上によるワークライフバランスの充実のため年次有給休暇の計画的付与日数を5日から7日に増加するなど、すべての従業員が安心して働くことができる環境整備を進めている。
働き方の支援については、育児や介護・疾病・治療と仕事の両立が重要と考えている。育児と仕事の両立として、当社の育児休業制度は、最長3歳までの育児休業が可能であり、育児休業の開始日から5日間を有給化、産前休暇を出産予定日の8週間前から取得を可能とするなど、性別にかかわることなく安心して育児に係ることができる環境を整備している。なお、2025年度は厚生労働省が「子育てサポート企業」として認定する「くるみん認定」を取得した。介護・疾病・治療と仕事の両立に向けた支援として、失効する有給休暇を積み立て、家族を介護する時、従業員が指定難病にり患した時や従業員のがんの通院治療・不妊治療に利用できる介護・指定難病等休暇制度を制定している。
社会参画による人的成長や企業市民としての積極的な社会貢献等を目的として、地域貢献活動、社会貢献活動や災害復興支援活動等を対象にボランティア休暇を導入し取得を推進している。
<健康促進>従業員の健康促進に向けては、従業員が健康で仕事に取り組むことが企業成長の基盤であると認識している。長時間労働による過労を防ぐため、時間外労働の目標時間を設定し、仕事の進め方の見直しや業務のシステム化によるDXの推進など生産性向上を図っている。
また、健康診断の再検査受診率100%を目標に掲げ、継続的に社内周知をするなど実施率向上に取り組んでいる他、大型拠点での健康相談の実施、すべての従業員へのストレスチェックの受検勧奨により、体調変化のシグナルの見落としや、疾病のリスクを未然に防ぐ取り組みを推進している。なお、2025年度は「健康経営宣言」を発表、「健康経営優良法人2026」に認定された。

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