有価証券報告書-第73期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/28 9:28
【資料】
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【項目】
138項目

研究開発活動

当社グループは、住宅関連機器事業のみの単一セグメントとなるため、研究開発活動については、商品の種類別区分ごとに記載しております。
当社グループの研究開発活動については、当社技術本部において、暖房機器、空調・家電機器、住宅設備機器の3分野にわたる商品群により、安全・安心で環境にやさしい商品、快適・健康で心豊かな住空間、便利で経済的な生活を創造・実現することによって、お客様の期待に応える商品開発に取り組んでおります。マーケットインに徹した商品開発を通して、「お客様に喜んで買っていただける商品づくり」の具現化を図っております。
なお、商品の種類別の研究開発活動の主な内容は、次のとおりであります。
(1) 暖房機器
主力商品である石油ファンヒーターでは、WZ、VXシリーズの3.6kWタイプで、低消費電力はそのままに点火制御の最適化により、通常点火時間を従来の約75秒から約55秒に短縮し、点火までにかかる消費電力量を約30%低減(当社比)しました。フラッグシップモデルのWZシリーズでは、高い消臭性能と火力に応じてスイングするビッグルーバーを搭載し、上質で快適な暖かさを実現しております。VXシリーズは、当社石油ファンヒーターで唯一搭載している開閉式の消臭シャッターにより、運転停止時に温風吹き出し口のグリルを隠すことができ、スッキリとしたデザインの特長を活かし、装飾的な要素を抑えたマットな質感や、商品全体をモノトーンに統一したシンプルな見た目でインテリアに調和するデザインとするなど、合計7シリーズ15機種を開発しました。
FF式輻射石油暖房機では、薄型タイプの「スペースネオ」をフルモデルチェンジし、「FIRNEO(フィルネオ)」と、床暖房機能を搭載した「FIRNEO床暖(フィルネオ床暖)」を開発しました。ストーブ前面に効率よく熱を集める独自の「遠赤外線ドーム」構造を新たに設計し、従来商品に比べ遠赤外線の輻射面積を約30%拡大して遠赤外線輻射量を大幅に高め、エネルギー消費効率を87%に向上させました。また、背面に搭載するファンガードの薄型化により省スペース化を図り、延長配管設置や入れ替え設置時の施工性を大幅に向上させました。さらに、DCモータ採用によりエコモードの最小火力時の消費電力を従来の12Wから7Wに低減、大型白文字バックライト液晶の採用で表示部の文字サイズを大きくしてより見やすくするとともに、運転スイッチの前面配置により操作性の向上も図りました。
遠赤外線電気暖房機では、「コアヒート」にて、暮らしに溶け込むシンプルなデザインをコンセプトに、本体正面の縁を従来よりも薄くし、シンプルな色使いを基調とした丸みのあるフォルムにすることで、多彩な住空間に調和するデザインとし、従来からの運転ランプに加えて、パワーモニターも本体上部に配置することで運転時の視認性を高めることにより、さらに使いやすさを向上させました。また、自動首振り機能には、様々なシーンに合わせて首を振る範囲を30°、50°、70°の3段階から選べる機能の搭載、省エネセンサーにて従来10分間人がいないことを検知すると自動で出力を下げる省エネ運転に、約20分間人がいない場合に自動で運転を停止する機能を追加したことにより、無駄な電力消費を抑え、省エネ性を向上させました。
なお、当部門に係る研究開発費は131百万円であります。
(2) 空調・家電機器
主力商品であるルームエアコンのZシリーズでは、室内機内部の熱交換器に汚れが落ちやすい特殊コーティング「クリアフィンコート」を採用するとともに、結露水を利用し熱交換器に付着した汚れを洗浄する「アクアドロップ洗浄」機能を開発し搭載しました。低温・低湿度で結露水が発生しづらい冬場でも、湿度を含んだ空気を室内に循環させる独自制御により、洗浄用の結露水を数回に分けて発生させて洗浄し、夏場と同程度の洗浄効果を実現しました。また、エアコン停止中のお部屋の温度を監視し、室温が高温又は低温になると自動で運転を開始する「みはりモード」を搭載しました。さらに、無線LANモジュールを搭載し、スマートフォン専用アプリ「コロナ快適ホームアプリ」を通して、外出先など離れた場所からの遠隔操作や、離れて暮らす家族の使用状況の確認、室内が高温(又は低温)になった時のお知らせをスマートフォンで受け取れるなど、安心機能も充実させるとともに、新型熱交換器の採用や送風経路の最適設計により、通年エネルギー消費効率6.7を達成し、高い省エネ性能も実現しました。
他には、デザインを一新し、室内機構造の見直しによる軽量化、施工性を向上させた「Nシリーズ」、エアコンは冷房しか使わないという方にオススメの「冷房専用シリーズ」、工事不要で窓があれば簡単に取り付けられる「ウインドエアコン」など、合計6シリーズ38機種を開発しました。
衣類乾燥除湿機では、使用シーンに合せて選べる4つの衣類乾燥モード、5段階湿度設定及びサーキュレータモードなどを搭載した選べるモードとたっぷり衣類乾燥できるファミリータイプのHシリーズ、しっかり乾かす「速乾モード」と湿度センサーで室内の湿度を検知し、衣類が乾いた頃を見計らって自動停止する「おまかせモード」を搭載した、コンパクトでもしっかり衣類乾燥できるパーソナルユースに最適でスリムな6.3LタイプのSシリーズ、しっかり除湿、水捨て回数が少ないビッグタンクを搭載したコンパクトな6.3LタイプのPシリーズ、冷風、衣類乾燥、除湿の1台3役のどこでもクーラー、合計4シリーズ6機種を開発しました。
なお、当部門に係る研究開発費は124百万円であります。
(3) 住宅設備機器
自然冷媒CO2家庭用ヒートポンプ給湯機エコキュートでは、専用のHEMSを介して天気予測データを基に、太陽光発電の余剰電力を活用してエコキュートの沸き上げを行う「ソーラーモードプラス」機能を強化し、昼間に沸き上げる割合を従来の最大50%から80%に高めたことで、発電した電気をさらに積極的に自家消費することを可能とした機種など、業界トップクラスの省エネ性能を有するプレミアムエコキュートをはじめ34機種(一般地仕様:22機種、寒冷地仕様:12機種)を開発しました。循環口から熱いお湯が出るのを一時停止する「ふろ自動一時停止」、台所で家事をしながら浴室の音声を聞くことができる「音声モニター」、子どもの入浴状態に応じて、台所リモコンのランプの色が自動で変化する「入浴お知らせ」機能など、お子さまとその家族に寄り添った安心機能が評価され「キッズデザイン賞」を受賞しました。
水道直圧式石油給湯機では、人感センサーと水位センサーを活用した「入浴サポート機能」を搭載し、入浴時の快適性と安全・安心をサポートする機能を充実させるとともに、機器のコンパクト化と軽量化による施工性・設置性の向上により様々な入れ替えシーンに対応できるEFシリーズとSAシリーズを開発しました。また、機具構造の新規設計により、騒音値の低減を図りました。
高圧力型貯湯式石油給湯機では、NX-Hシリーズに減圧逆止弁、圧力逃し弁を本体に内蔵した、自動お湯はり機能がついた「オートタイプ」、給湯専用タイプに追いだき機能をプラスした「給湯+追いだきタイプ」及び「給湯専用タイプ」の屋内設置型(強制給排気タイプ)3種類を新たに開発し、積雪や凍結などの心配から寒冷地エリアでニーズの高い、屋内設置型のラインアップを拡充しました。
1台4役(加湿・消臭・除菌・空気清浄)の多機能加湿装置「ナノフィール」では、適応床面積最大300㎡の広い空間に対応させた大能力タイプを開発し、従来タイプ(CNF-S3000タイプ、最大138㎡対応)では複数台必要であった空間も、設置台数を減らし、配管工事などの設置費用を抑えることができるようになりました。また、一定時間ごとに自動で機器内部の水を入れ換える際に運転を停止する従来タイプの制御を改良し、加湿し続けながらの水の入れ換えを実現しました。さらに、機器内部の給水経路に銀イオン発生ユニットを搭載し、銀イオンの除菌効果で機器内部に取り込んだ菌や、臭いや汚れのもととなる菌を抑制します。
なお、当部門に係る研究開発費は383百万円であります。
この結果、当連結会計年度における研究開発費は640百万円であります。