有価証券報告書-第155期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/27 13:06
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【項目】
123項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における当社を取り巻く市場環境は、国内経済は緩やかな回復基調が続いているものの、公共投資は力強さを欠き世界経済の先行きには不透明感があることから設備投資には弱さが見られました。海外においては、新興国、資源国の景気の下振れや英国のEU離脱、米国大統領選挙結果に見られるような世界的な保護主義の台頭により、不確実性が高まっている状況下にありました。
このような環境の下で当社グループは、持続的な成長を目指すために「安定収益基盤の構築」、「成長基盤の構築」を基本方針とした中期経営計画(平成28年4月~平成31年3月)を策定・公表し、事業活動を展開してまいりました。
水環境事業においては、国内上下水道設備の増設更新需要の取り込みや、設備の維持管理業務、補修工事等の営業活動を展開してまいりました。また、設備の建設と長期の維持管理業務が一体となったPFI(*1)、DBO事業(*2)や、FIT(*3)を活用した発電関連分野への営業展開を進めてまいりました。
一方、産業事業においては、設備投資需要を取り込むために国内外におけるプラントおよび単体機器、さらには環境関連設備の営業活動を幅広く展開してまいりました。
また、戦略的投資の一環として下水汚泥からの創エネルギー技術開発や単体機器の更なる改良に注力するとともに、提携企業との協業による提案活動により顧客層の拡大を図ってまいりました。
その結果、当連結会計年度における当社グループの業績は次のとおりとなりました。
受注高は744億29百万円(前期比7.3%減)、売上高は698億62百万円(前期比7.8%減)となりました。また、損益面につきましては、営業利益は35億8百万円(前期比36.0%減)、経常利益は38億42百万円(前期比30.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は21億69百万円(前期比29.0%減)となりました。
*1:PFI(Private Finance Initiative)
施設整備を伴う公共サービスにおいて、民間の有する資金、技術、効率的な運用ノウハウなどを活用する仕組み
*2:DBO(Design Build Operate)事業
事業会社に施設の設計(Design)、建設(Build)、運営(Operate)を一括して委ね、施設の保有と資金の調達は行政が行う方式
*3:FIT(Feed-in Tariff)
再生可能エネルギーを用いて発電された電気を、一定価格で電気事業者が買い取ることを義務付けた制度(固定価格買取制度)
当社グループは、事業の概要および業績について、上下水道設備を主要マーケットとする水環境事業と、化学、鉄鋼、食品等の産業用設備および廃液や固形廃棄物処理等環境関連設備を主要マーケットとする産業事業の2つを主たる事業と位置付けており、それら以外の事業をその他としておりますが、その主要な事業内容は以下のとおりであります。
事業区分主要な事業内容
水環境事業1)浄水場・下水処理場等プラントの設計・建設
2)上記プラントに使用される脱水機、乾燥機、焼却炉等各種単体機器の設計・製造・販売
3)浄水場・下水処理場におけるPFI、DBO事業
4)浄水場・下水処理場設備の運転・維持管理・補修およびこれらに付随する業務
5)下水処理場における消化ガス発電事業
産業事業1)化学、鉄鋼、食品等プラントの設計・建設
2)上記プラントに使用される晶析装置、酸回収装置、ろ過機、分離機、乾燥機、ガスホルダ等各種単体機器の設計・製造・販売
3)廃液・廃水・固形廃棄物処理等プラントの設計・建設
4)バイオマスエタノール製造プラントの設計・建設
5)真空技術応用装置および関連部品の設計・製造・販売
6)一般・産業廃棄物処理事業
その他1)大型図面・各種書類等の印刷・製本
2)事務所ビル・駐車場等の不動産管理・賃貸

当連結会計年度におけるセグメントの業績は、次のとおりであります。
(水環境事業)
水環境事業においては、国内の水インフラ関連投資は比較的堅調に推移しておりました。また、複数年および包括O&M業務(*4)や設備建設と長期の維持管理業務を一体化したPFI、DBO事業等の発注は増加する傾向にありました。
このような状況の下で当社グループは、国内の上下水道用汚泥処理設備の増設・更新需要を取り込むために、下水処理場向け次世代型汚泥焼却システム、汚泥燃料化設備、消化関連設備などの汚泥処理設備の営業活動を推進してまいりました。また、O&M業務においても補修工事および包括O&M業務の営業活動を展開してまいりました。その結果、汚泥処理設備では次世代型汚泥焼却システムや、複数の消化ガスホルダ案件の受注を果たしました。O&M業務では、業務請負範囲の拡大や複数年のO&M業務の受注を獲得するなど、受注の拡大を推進してまいりました。さらに、FITを活用した汚泥消化ガス発電事業においても複数の案件を獲得し、長期安定収益事業の比率を一層拡大する取り組みを推進してまいりました。
その結果、当連結会計年度における水環境事業の受注高は446億37百万円(前期比3.7%増)、売上高は412億48百万円(前期比4.3%減)、営業利益は27億43百万円(前期比12.4%減)となりました。
*4:包括O&M業務
設備の運転管理業務だけでなく、設備の補修工事や薬品等の供給も含めた包括的な維持管理業務
(産業事業)
産業事業においては、国内経済は緩やかな回復基調が続いているものの、世界経済の先行きに対する不透明感から設備投資には弱さが見られました。海外においては、新興国、資源国の景気の下振れや英国のEU離脱、米国大統領選挙結果に見られるような世界的な保護主義の台頭により、不確実性が高まっている状況下にありました。
このような状況の下で当社グループは、国内外における各種プラント設備および乾燥機、分離機、ろ過機、ガスホルダ等の単体機器の営業活動を展開してまいりました。特に国内外の食品分野への単体機器の営業活動や、化学分野における設備投資需要や更新需要の取り込みに注力してまいりました。また、環境関連においては、国内外向けに廃液燃焼システムや廃酸処理設備、固形廃棄物焼却設備等の営業活動を展開してまいりました。
その結果、当連結会計年度における産業事業の受注高は297億18百万円(前期比20.1%減)、売上高は285億40百万円(前期比12.5%減)、営業利益は7億20百万円(前期比68.9%減)となりました。
(その他)
その他においては、当連結会計年度における受注高は73百万円(前期比112.6%増)、売上高は73百万円(前期比112.6%増)、営業利益は44百万円(前期比7.2%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は288億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ、112億99百万円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、119億70百万円となりました(前連結会計年度は29億48百万円の獲得)。これは主に、仕入債務の減少額6億88百万円等の減少要因があったものの、売上債権の減少額86億36百万円、税金等調整前当期純利益の計上34億27百万円および前受金の増加額14億99百万円等の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、19億80百万円となりました(前連結会計年度は18億3百万円の支出)。これは主に、投資有価証券の売却による収入8億77百万円があったものの、有形固定資産の取得による支出23億46百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、13億84百万円となりました(前連結会計年度は20億78百万円の支出)。これは主に、長期借入金の返済による支出7億75百万円および配当金の支払額7億56百万円があったものの、長期借入れによる収入30億円等があったことによるものであります。