有価証券報告書-第60期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/25 16:03
【資料】
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【項目】
147項目
注3.重要性のある会計方針についての概要
(1) 連結の基礎
① 連結子会社
連結子会社とは、提出会社が支配を有する事業体をいいます。支配とは、その事業体への関与により生じる変動リターンに対するリスクまたは権利を有し、かつ当該事業体に対するパワーを通じてその変動リターンに影響を及ぼす能力をいいます。
連結子会社は全て、取得日すなわち提出会社が支配を獲得した日から、提出会社が支配を喪失する日まで連結されています。
連結会社間の重要な内部取引及び債権債務は相殺消去されています。
連結子会社が適用する会計方針が提出会社の適用する会計方針とは異なる場合には、必要に応じ当該連結子会社の財務諸表の調整を行っています。また、決算日が異なる連結子会社の財務諸表は、連結決算日現在で実施した仮決算に基づく財務諸表を使用しています。
支配の喪失を伴わない連結子会社に対する持分変動があった場合には、資本取引として会計処理しています。一方、支配の喪失を伴う連結子会社の持分の変動があった場合には、連結子会社の資産及び負債、連結子会社に関連する非支配持分及びその他の包括利益累計額の認識を中止しています。
② 関連会社
関連会社とは、提出会社が支配を有していないものの、その企業の経営方針や財務方針に重要な影響力を行使できる事業体をいいます。
提出会社は、関連会社への投資について、持分法を用いて評価しています。(以下持分法適用会社)
連結財務諸表には、重要な影響力または共同支配を獲得した日から喪失するまでの持分法適用会社の純損益及びその他の包括利益の変動に対する提出会社の持分が含まれています。
持分法適用会社が適用する会計方針が提出会社の適用する会計方針とは異なる場合には、必要に応じ持分法適用会社の財務諸表を調整しています。
(2) 現金同等物
現金同等物は流動性が高く、元本の価値変動のリスクが極めて低い、取得日から3ヵ月以内に満期となる短期投資からなっています。
(3) 外貨換算
提出会社の連結財務諸表は、提出会社の機能通貨である日本円で表示しています。
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日における直物為替相場またはそれに近似するレートにより提出会社及び連結子会社の各機能通貨に換算しています。期末日における外貨建貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に再換算しています。当該換算及び決済により生じる換算差額は損益として認識しています。ただし、発生する損益がその他の包括利益で認識される資産及び負債に関してはそれらから生じる換算差額はその他の包括利益に認識されます。
② 在外営業活動体の財務諸表の換算
在外営業活動体の資産及び負債は決算日の為替相場により円換算しています。収益及び費用は取引日レートで円換算していますが、為替レートに重要な変動がない場合には期中平均為替相場により円換算しています。
この在外営業活動体の財務諸表の換算により発生する換算差額は、その他の包括利益として認識しています。なお、在外営業活動体の処分時には、その他の包括利益として計上した累積的換算差額を純損益に振替えています。
(4) 金融商品
① 非デリバティブ金融資産
当連結グループは、売上債権及びその他の債権を、これらの発生日に当初認識しています。その他の金融資産は、当連結グループが当該金融商品の契約当事者となった取引日に当初認識しています。
当連結グループは、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合又は金融資産の所有にかかるリスクと経済的便益を実質的に全て移転する取引において、当該金融資産から生じるキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を移転した時に当該金融資産の認識を中止しています。金融資産の所有に伴う実質的に全てのリスク及び経済価値を留保も移転もしない取引においては、当連結グループは当該金融資産への支配を保持していない場合にその資産の認識を中止するものとしています。
非デリバティブ金融資産の分類及び測定方法の概要は、以下のとおりです。
償却原価で測定する金融資産
以下の要件を満たす金融資産を償却原価で測定する金融資産として分類しています。
・当連結グループのビジネスモデルにおいて、当該金融資産の契約上のキャッシュ・フローを回収することを目的として保有している場合
・契約条件が、特定された日に元本及び元本残高にかかる利息の支払いのみによるキャッシュ・フローを生じさせる場合
償却原価で測定する金融資産は、公正価値(直接帰属する取引費用を含む)で当初認識しています。当初認識後は、実効金利法を用いて帳簿価額を算定しています。また、償却原価で測定する金融資産にかかる利息発生額は連結損益計算書の受取利息に含まれます。
FVTOCI金融資産
当連結グループは、主に投資先との取引関係の維持、強化による収益基盤の拡大を目的として保有している資本性金融資産をFVTOCI金融資産として分類しています。FVTOCI金融資産は公正価値で当初認識し、それ以降も連結決算日の公正価値で測定しています。公正価値の変動は連結会計期間のその他の包括利益として認識し、その累計額はその他の包括利益累計額に認識しています。ただし、FVTOCI金融資産から生じる配当金については、明らかに投資の払い戻しの場合を除き、純損益として認識しています。
FVTPL金融資産
FVTOCI金融資産として分類されない資本性金融資産及び償却原価で測定する金融資産に分類されない負債性金融資産は、全てFVTPL金融資産に分類しています。FVTPL金融資産は、当初認識後、公正価値で測定し、その公正価値の変動は純損益として認識しています。
金融資産の減損
当連結グループは、償却原価で測定する金融資産、売上債権及び契約資産並びにその他の債権に関する予想信用損失に係る貸倒引当金について、信用リスクが当初認識以降に著しく増大しているか否かに応じて、少なくとも四半期毎に継続的評価を実施しています。
信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、金融資産の予想残存期間の全期間の予想信用損失に等しい金額で貸倒引当金を測定しています。信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、期末日後12か月以内に生じる予想信用損失に等しい金額で貸倒引当金を測定しています。ただし、売上債権、契約資産及びリース債権については、常に全期間の予想信用損失に等しい金額で貸倒引当金を測定しています。
信用リスクの著しい増大の有無は、債務不履行発生のリスクの変化に基づいて判断しており、債務不履行とは、債務者による契約上のキャッシュ・フローの支払いに重大な問題が生じ、金融資産の全体又は一部分を回収するという合理的な予想を有していない状態と定義しています。債務不履行発生のリスクに変化があるかどうかの判断においては、主に外部信用格付け、期日経過の情報等を考慮しています。
予想信用損失は、金融資産に関して契約上支払われるキャッシュ・フロー総額と、受取りが見込まれる将来キャッシュ・フロー総額との差額の割引現在価値を発生確率により加重平均して測定します。支払遅延の存在、支払期日の延長、外部信用調査機関による否定的評価、債務超過等悪化した財政状況や経営成績の評価を含む、一つまたは複数の事象が発生している場合には、信用減損が生じた金融資産として個別的評価を行い、主に過去の貸倒実績や将来の回収可能額等に基づき予想信用損失を測定しています。信用減損が生じていない金融資産については、主に過去の貸倒実績に必要に応じて現在及び将来の経済状況等を踏まえて調整した引当率等に基づく集合的評価により予想信用損失を測定しています。
償却原価で測定する金融資産、契約資産及びリース債権に関する予想信用損失については、帳簿価額を直接減額せず、貸倒引当金を計上しています。予想信用損失の変動額は減損損失として純損益に認識しており、連結損益計算書の販売費及び一般管理費に含まれます。なお、金融資産について、全ての回収手段がなくなり、回収可能性がほぼ尽きたと考えられる時点で、金融資産の全体又は一部分を回収するという合理的な予想を有していないと判断し、直接償却しています。
② 非デリバティブ金融負債
当連結グループは、発行した負債性金融商品を、その発行日に当初認識しています。その他の金融負債は全て、提出会社が当該金融商品の契約の当事者になる取引日に認識しています。当連結グループは、金融負債が消滅した場合、つまり契約上の義務が履行されるか、債務が免責、取消又は失効となった場合に、認識を中止しています。当連結グループは、非デリバティブ金融負債として、社債、借入金、買入債務及びその他の金融負債を有しており、それらを公正価値(直接帰属する取引費用を控除後)で当初認識しています。また、社債及び借入金については当初認識後、実効金利法を用いた償却原価により測定しており、利息発生額は連結損益計算書の支払利息に含まれます。
③ デリバティブ及びヘッジ会計
当連結グループは、為替リスク及び金利リスクをヘッジするために、先物為替予約契約、通貨スワップ契約及び金利スワップ契約といったデリバティブ商品を利用しています。これらのデリバティブはその保有目的、保有意思にかかわらず全て公正価値で計上しています。
当連結グループが利用しているヘッジの会計処理は、以下のとおりです。
・「公正価値ヘッジ」は、既に認識された資産又は負債もしくは未認識の確定契約の公正価値の変動に対するヘッジであり、ヘッジの効果が有効である限り、既に認識された資産又は負債もしくは未認識の確定契約とその関連するデリバティブの公正価値の変動は純損益で認識しています。
・「キャッシュ・フロー・ヘッジ」は、将来取引のヘッジ又は既に認識された資産又は負債に関連して発生する将来キャッシュ・フローの変動に対するヘッジであり、ヘッジの効果が高度に有効である限り、キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定したデリバティブの公正価値の変動はその他の包括利益として認識しています。この会計処理は、ヘッジ対象に指定された未認識の確定契約又は将来キャッシュ・フローの変動を純損益に認識するまで継続し、その時点でデリバティブの公正価値の変動も純損益に含まれます。なお、ヘッジ対象に指定された予定取引により、非金融資産もしくは非金融負債が認識される場合、その他の包括利益として認識したデリバティブの公正価値の変動は、当該資産又は負債が認識された時点で、当該資産又は負債の取得原価その他の帳簿価額に直接含まれます。
当連結グループは、IFRS第9号「金融商品」(2014年7月改訂)に定められるデリバティブを利用する目的、その戦略を含むリスク管理方針を文書化しており、それに加えて、そのデリバティブがヘッジ対象の公正価値又は将来キャッシュ・フローの変動の影響を高度に相殺しているかどうかについて、ヘッジの開始時及び開始後も引き続き、一定期間毎に評価を行っています。ヘッジの効果が有効でなくなった場合は、ヘッジ会計を中止しています。
④ 金融資産と金融負債の相殺
金融資産と金融負債は、認識された金額を相殺する強制可能な法的権利が現時点で存在し、かつ、純額ベースで決済するかもしくは資産を実現すると同時に負債を決済する意図が存在する場合にのみ相殺し、連結財政状態計算書において純額で報告しています。
(5) 棚卸資産の評価基準
棚卸資産は取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い方の金額で評価しており、原価は、製品・半製品・仕掛品については個別法または移動平均法により、材料については概ね移動平均法によっています。正味実現可能価額とは、通常の営業過程における見積売価から、完成までの見積原価及び販売に要する見積費用を控除したものをいいます。
(6) 有形固定資産の表示及び減価償却方法
有形固定資産の測定においては原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。取得価額には、資産の取得に直接関連する費用、将来の解体、除去及び原状回復費用を含めています。各資産はそれぞれの見積耐用年数にわたって、定額法で減価償却を行っています。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は、以下のとおりです。
建物及び構築物 2年から67年
機械装置及び運搬具 2年から30年
工具、器具及び備品 2年から30年
なお、残存価額、見積耐用年数及び減価償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として扱い、将来に向かって変更しています。
(7) のれん及びその他の無形資産の表示及び償却方法
① のれん
当初認識後、のれんは償却を実施せず、取得原価から減損損失累計額を控除した金額で表示しています。
② その他の無形資産
その他の無形資産の測定においては原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で表示しています。
無形資産については、それぞれの見積耐用年数にわたって、定額法で償却を行っています。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は、以下のとおりです。
ソフトウェア 2年から10年
その他 2年から20年
なお、残存価額、見積耐用年数及び償却方法については、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として扱い、将来に向かって変更しています。
(8) リース
① 借手側
当連結グループのリースは、主に不動産の賃借及び建設機械のリースです。原資産を使用する権利である使用権資産と、リース料を支払う義務であるリース負債を認識し、リースに関する費用を使用権資産の減価償却費及びリース負債に係る支払利息として認識しています。リース期間が12か月以内である短期リースのリース料は、リース期間にわたって定額法により純損益として認識しています。
使用権資産
使用権資産の測定においては原価モデルを採用し、連結財政状態計算書上、リース開始日における取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で「使用権資産」として表示しています。取得原価には、リース負債の当初測定の金額、借手に発生した当初直接コスト等を含めています。各使用権資産は、リース開始日から使用権資産の耐用年数の終了時またはリース期間の終了時のいずれか早い方までにわたって、定額法で減価償却を行っています。なお、耐用年数またはリース期間に変更があった場合は、会計上の見積りの変更として扱い、将来に向かって変更しています。また、使用権資産の耐用年数またはリース期間は2年から50年です。
リース負債
リース負債は、連結財政状態計算書上、リース開始日現在で支払われていないリース料をリースの計算利子率または借手の追加借入利子率を用いて割り引いた現在価値で測定しており、「リース負債」として表示しています。リース期間中の各期間におけるリース負債に係る金利費用は、リース負債の残高に対する毎期一定の率をリース期間にわたり純損益として認識し、連結損益計算書の「金融費用」に含めて表示しています。
② 貸手側
当連結グループは、主に建設機械を賃貸しており、有形固定資産のリースで、所有に伴うリスクと経済価値のほとんどすべてを借手に移転する場合のリースは、ファイナンス・リースに分類され、原資産の認識の中止を行い、リース料総額の現在価値で正味リース投資未回収額を認識及び測定しています。所有に伴うリスクと経済価値のほとんどすべてが貸手に帰属する場合のリースは、オペレーティング・リースに分類され、原資産の認識を継続し、リース収益をリース期間にわたり定額法で認識しています。
(9) 非金融資産の減損
各資産について減損の兆候の有無の判定を行い、その帳簿価額が回収不可能であるような兆候がある場合、減損テストを実施しています。のれんについては、減損の兆候の有無にかかわらず、連結会計年度末において、その資産の属する資金生成単位ごとに回収可能額を見積り、減損テストを実施しています。
回収可能価額は、主に市場価格または当該資産の使用及び最終処分価値から期待される見積将来キャッシュ・フローに基づくインカムアプローチ(現在価値技法)により算定しています。資金生成単位に割り当てられた資産の帳簿価額が回収可能価額を超える場合には、その超過額を減損損失として認識します。
のれん以外の資産に関しては、過年度に認識された減損損失について、その回収可能価額の算定に使用した前提事項に重要な変更が生じ、損失の減少または消滅の可能性を示す兆候が認められる場合において、当該資産または資金生成単位を対象に回収可能価額の見積りを行います。算定した回収可能価額が資金生成単位の帳簿価額を超える場合、過年度に減損損失が認識されていなかった場合の減価償却控除後の帳簿価額を上限として、減損損失の戻し入れを行います。
(10) 退職後給付
提出会社及び一部の連結子会社は、従業員の退職給付を行うため、確定給付型年金制度及び退職一時金制度を採用しており、確定給付債務の現在価値及び退職給付費用を予測単位積増方式により算定しています。
確定給付債務の現在価値及び制度資産の公正価値は、連結会計年度末に再測定し、数理計算上の差異及び制度資産の利息収益を除く公正価値の変動額はその他の包括利益で全額認識し、その後純損益には組み替えません。また、制度改定時に生じる過去勤務費用は発生時に全額純損益として認識しています。
連結財政状態計算書上、確定給付制度債務の現在価値から、制度資産の公正価値を控除した純額にアセットシーリングの影響を加味して資産または負債として認識しています。
なお、提出会社及び一部の連結子会社のリスク分担型企業年金は、追加掛金の拠出義務を実質的に負っていないため、確定拠出年金制度に分類されます。
(11) 売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業
継続的使用ではなく主に売却取引により回収される非流動資産又は処分グループのうち、1年以内に売却する可能性が非常に高く、かつ現在の状態で即時に売却可能で、当社グループの経営者が売却計画の実行を確約している場合には、売却目的で保有する非流動資産又は処分グループに分類しています。
売却目的保有に分類されている間又は売却目的保有に分類されている処分グループの一部である間は、非流動資産は減価償却又は償却を行わず、売却目的保有に分類された非流動資産又は処分グループを、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のうち、いずれか低い金額で測定しています。
当社グループは、経営上の意思決定を行う単位としての事業について、既に売却された場合、あるいは売却目的保有として分類すべき要件を満たした場合に、当該事業を非継続事業として分類することとしています。
(12) 引当金
当連結グループは、過去の事象の結果として現在の債務(法的債務または推定的債務)を負担しているが、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、かつ、当該債務の金額の合理的な見積りが可能である場合に引当金を認識しています。
なお、債務の決済までの期間が長期となると想定され、貨幣の時間価値が重要な場合には、決済時に予測される支出額の現在価値により引当金を測定しています。現在価値の算出には、貨幣の時間的価値及び当該債務に関連する固有のリスクを反映した税引前の割引率を利用しています。
(13) 偶発事象
当連結グループは、IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」の規定に従い、(11)引当金に記載している引当金の認識基準を満たさない債務については、当該債務の履行による経済的資源の流出の可能性がほとんどないと判断している場合を除き、偶発債務として注30.コミットメント及び偶発事象に注記をしています。
(14) 収益認識
当連結グループは、以下の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しています。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における別個の履行義務へ配分する。
ステップ5:履行義務を充足した時点で(又は充足するにつれて)収益を認識する。
当連結グループは顧客の要望に合わせて多様な取引を行っており、製品、サービス等の複数の要素を組み合わせて顧客に提供する取引が含まれています。製品及びサービス等を提供するにあたり、複数の契約を締結している場合、各契約における対価の相互依存性や各契約の締結時期等を評価し、関連する契約を結合したうえで、取引価格を独立販売価格の比率でそれぞれの履行義務に配分し、所有権が移転されたと判断された時点で収益を認識しています。
取引価格の算定においては、顧客への約束した財又はサービスの移転と交換に企業が権利を得ると見込んでいる対価の金額で測定しています。値引き・リベート等の変動対価は、その発生の不確実性がその後に解消される際に、認識した収益の累計額の重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲でのみ取引価格に含めています。なお、通常の取引は1年以内の支払いで完結しているため、約束した対価の金額に重大な金融要素は含まれていません。
独立販売価格は、市場の状況、競合する製品等の市場売価、製品原価や顧客の状況等の様々な要因を考慮して見積っています。
一定の期間にわたり製品及びサービス等の支配の移転が行われる取引については、顧客に提供する当該製品及びサービスの性質を考慮し、アウトプット法及びインプット法にもとづいて履行義務の充足に向けての進捗度を測定し収益を認識しています。なお、当該進捗度を合理的に測定することが出来ない場合は、発生したコストの範囲で収益を認識しています。顧客との契約獲得のための増分コスト及び契約に直接関連する履行コストのうち、回収可能であると見込まれる部分について資産として認識しており、当該資産が関連する製品及びサービスの収益の認識方法に従って償却を行っています。また、当該償却の期間が1年以内である場合に、契約獲得のための増分コストを資産計上せず発生時に費用として認識しています。
(15) 政府補助金
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領するという合理的な保証が得られた時に、公正価値で認識しています。
費用に関する政府補助金は、補助金で補償することを意図している関連費用を認識する期間にわたって規則的に純損益に認識しています。資産に関する政府補助金は、資産の取得原価から当該補助金の金額を控除して資産の帳簿価額を算定する方法によって認識しています。
(16) 繰延税金及び法人所得税
税金費用は、当期税金と繰延税金から構成されています。これらは、企業結合に関連するもの、及び直接資本の部またはその他の包括利益に認識する項目を除き純損益に認識しています。
一時差異等に起因する繰延税金資産及び負債の認識を資産負債法により行っています。のれんから生じる一時差異、企業結合以外の取引における会計上または税務上のいずれの損益にも影響を与えず、かつ、取引時に同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異とを生じさせない取引における資産又は負債の当初認識から生じる一時差異についても、繰延税金資産及び負債を認識しません。連結子会社または関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高い場合においては、繰延税金負債を認識していません。繰延税金資産及び負債は、それらの一時差異等が解消されると見込まれる連結会計年度の課税所得に対して適用される税率を使用して測定しています。税率変更による繰延税金資産及び負債への影響は、その税率変更に関する法律の制定日を含む連結会計年度の損益及びその他の包括利益として認識しています。繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。
(会計方針の変更)
当連結グループでは、2021年5月7日に公表された「単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税金(IAS第12号の改訂)」を2024年3月期より適用しております。取引時に同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異を生じさせる取引に関する当初認識時の会計処理が明確化され、当該将来加算一時差異と将来減算一時差異について繰延税金負債及び繰延税金資産が連結財政状態計算書にそれぞれ認識されることとなります。なお、当該基準の適用が当連結グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものではありません。当該会計方針の変更は遡及適用され、「注12 繰延税金及び法人所得税」における前年度を修正再表示しております。
(17) 1株当たり利益
1株当たり親会社株主に帰属する当期利益は平均発行済株式数に基づいて計算し、希薄化後1株当たり親会社株主に帰属する当期利益は平均発行済株式数と希薄化効果のある証券の転換または発行可能株式総数の合計に基づいて計算しています。
(18) 企業結合
企業結合の会計処理は取得法によっており、取得の対価は、取得日の公正価値で測定された移転対価及び被取得企業に対する非支配持分の金額の合計額として測定されます。提出会社は、企業結合ごとに、公正価値または被取得企業の識別可能純資産の公正価値に対する持分割合相当額のいずれかにより、被取得企業に対する非支配持分を測定するかを選択しています。また、発生した取得費用は、発生時に費用処理しています。
取得日において、識別可能な資産及び負債は、以下を除き、取得日における公正価値で認識しています。
・繰延税金資産(または繰延税金負債)及び従業員給付に関連する負債(または資産)は、それぞれIAS第12号「法人所得税」及びIAS第19号「従業員給付」に従って認識し測定しています。
・IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に従って売却目的に分類される資産または処分グループは、当該基準書に従って測定しています。
・被取得企業の株式に基づく報酬取引に係る負債もしくは資本性金融商品、または被取得企業の株式に基づく報酬取引の連結会社の株式に基づく報酬取引への置換えに係る負債もしくは資本性金融商品は、IFRS第2号「株式に基づく報酬」に従って測定しています。
取得対価が識別可能な資産及び負債の公正価値を超過する場合は、連結財政状態計算書においてのれんとして計上しています。反対に下回る場合には、直ちに連結損益計算書において収益として計上しています。
(19) 未適用の新会計基準
連結財務諸表の承認日までに公表されている主な基準及び解釈指針の新設又は改訂のうち、当連結グループが早期適用していない主なものは、以下の通りです。
IFRS第18号「財務諸表における表示及び開示」の適用が当連結グループの連結財務諸表に与える影響は検討中です。
基準書強制適用時期
(以降開始年度)
当連結グループ
適用予定時期
新設又は改訂の概要
IFRS第18号財務諸表における表示及び開示2027年1月1日2028年3月期財務諸表における表示及び開示に関する現行の会計基準であるIAS第1号を置き換える新基準

(20) 後発事象
当連結グループは、有価証券報告書の提出日である2024年6月25日までに発生した事象について評価を行っています。