有価証券報告書-第132期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/26 10:36
【資料】
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【項目】
152項目
◆戦略及び指標と目標
ブラザーグループの持続的な成長のために最も重要な基盤は、人財です。ブラザーグループは、「多様な人々が活躍できる社会の実現」をマテリアリティとして定め、2024年度目標として「従業員エンゲージメント※1の可視化と向上」「海外拠点責任者の現地登用を促進するための人財育成及びガバナンスの強化」「管理職の健全なジェンダーバランスに向けたパイプラインの強化及び多様な働き方を実現する環境整備※2」を掲げています。中期戦略「CS B2024」で掲げた「持続可能な未来に向けた経営基盤の変革」に向けて、ブラザーグループは、従業員のチャレンジ行動促進、従業員エンゲージメントの向上を進めるとともに、従業員一人ひとりが働きやすい環境づくりを行うなど、人的資本をさらに強化するための活動を今後も推進していきます。
※1 従業員と会社が相互に対等で、互いに価値を提供しあう関係のこと
※2 ブラザー工業のみ
<多様性の確保についての考え方>ブラザーグループは、ビジネスや市場環境に大きな変化が起こっている昨今、多様な人財を確保し、多様な働き方やキャリアの形成を支援することがますます重要性を増していると考えております。
ブラザーグループにおいては、ブラザーグループ グローバル憲章(以下、グローバル憲章)の「基本方針」に掲げた「従業員の多様性を重視し、さまざまな能力を発揮できる職場環境とチャレンジングな仕事への機会を提供する。そして、努力と成果に対しては、公正な評価と正当な報酬で応える」という考え方があり、グローバル憲章の行動規範では「常に一人ひとりの人格、多様性を尊重し、信義と尊敬を持って行動する」ことを定めております。
ブラザーグループはこれまでも、女性、外国人、さまざまな職歴をもつ経験者採用者など、多様な人財の採用、管理職への登用を積極的かつ継続的に行いつつ、個々の能力を最大限に発揮できる職場環境の整備、新入社員から管理職層まで各階層教育などの取り組みを進めております。ただし、事業活動を行う地域における関連法規、文化、社会慣習等が異なり、全ての会社における画一的な目標値は有していないため、代表として連結グループの主要事業を営む提出会社の取り組みを記載しております。
<多様性の確保の目標・多様性の確保の状況>(ⅰ)女性の管理職への登用
ブラザー工業は、女性活躍推進法に基づき「女性活躍推進に関する行動計画」を策定し、2024年3月末時点で54名の上級職(管理職相当及びそれと同等の処遇を受ける専門職)数を2025年度末に60名以上にすることを目指しています。育成の視点では、性別に関わらず従業員の成長を支援しておりますが、ライフイベントとキャリアの意識醸成や管理職というポジションを身近にする環境整備のため、社内の女性管理職のキャリアを紹介する座談会や有識者を招いた講演会、社外女性従業員とのキャリア研修、管理職候補者に対する外部カウンセリング機会の提供等、学ぶ機会を提供しております。2022年より実施している「女性リーダー研修」にはこれまでに78人が参加しました。他にも、フレックスタイム制度のコアタイム廃止や、在宅勤務制度等、安心して働ける環境を整備しております。
(ⅱ)外国人の管理職への登用
ブラザー工業は、事業の中核を担う人財確保のために、国籍に関係なく採用・登用を行っております。2024年3月末時点の外国籍従業員比率は1.4%、管理職比率は0.5%となっております。また、当社の執行役員に占める外国籍従業員比率は2023年3月末時点で10.5%、2024年3月末時点で9.5%です。各国・地域のグループ会社の幹部社員は、国籍を問わず適任者を登用し、地域に密着した経営を目指すこととし、統括拠点であるアメリカ及び中国の販売拠点の社長を含め、ブラザーグループの各拠点では現地スタッフを積極的に経営幹部に登用しております。海外拠点責任者の現地従業員率は、2018年の61%から、2023年には67%に上昇しております。このような状況から、現在のブラザーグループにおける外国人の人財登用は十分な水準にあると認識しており、当社における外国人の管理職への登用に関する目標設定は行っておりません。
(ⅲ)経験者採用者の管理職への登用
ブラザー工業において、2023年度の経験者採用者比率は29%、管理職比率は27%となっております。経験者採用者数は労働市場環境に左右される面もあるため、管理職への登用に関する目標設定は行っておりませんが、今後、さらに事業ポートフォリオを変革していくために、外部からの専門人財を積極的に登用していきたいと考えております。
<多様性の確保に向けた人財育成方針、社内環境整備方針とその状況>ブラザー工業は、多様性の確保に向けた人財育成方針として、従業員の多様性と個性を尊重し、優れた価値を提供できるグローバルな人財を育てることを掲げております。また、当社では、社内環境整備方針として、多様な人財が活躍できる基盤づくりを掲げ、社員が高いモチベーションを持ち、多様なキャリアパスや一人ひとりの社員がより柔軟な働き方を実現できる取り組みを進めております。
<従業員エンゲージメントの向上>ブラザーグループは、ビジョン達成に向けた変革の実現と従業員のチャレンジ行動促進を目的に、マテリアリティにおける2024年度サステナビリティ目標として「グローバルベースでの従業員エンゲージメントの可視化と調査スコアの向上」を掲げており、従業員と会社が共に成長し貢献し合う関係を目指しています。ブラザー工業では従業員意識調査を2008年から毎年行っていますが、2022年度には「従業員エンゲージメント調査」を新たに実施しました。調査の結果、組織からの「成長支援」を感じ、「組織への共感」「貢献感」が高い従業員が約半数を占めており、全体としてエンゲージメントが高い状態であるといえることがわかりました。また、2023年度はグローバルで90%以上の拠点において従業員エンゲージメント調査を実施し、従業員エンゲージメントの状況を把握しました。今後も「ブラザーグループ グローバル憲章」の共有活動などと並行して、一人ひとりの目標設定の質を高める取り組みや、自律的なキャリア開発を促進する取り組みを実施するほか、グローバル各拠点における従業員エンゲージメント向上に向けて、情報共有の場づくりを推進するなど、ブラザーグループ全体でのエンゲージメント向上を図る予定です。
<健康経営の推進>ブラザーグループは、従業員が長期にわたり才能とスキルを発揮するためには、一人ひとりの健康管理が重要であると考えています。ブラザー工業は2016年9月に、ブラザーグループ健康経営理念を制定、従業員が生き生きとさまざまな能力を発揮するために、喫煙率10%未満やがん検診二次検査の受診率90%以上など2025年までに達成すべき長期目標「健康ブラザー2025」を定めました。そして、ブラザー工業の代表取締役社長を最高健康責任者とした健康経営推進体制を構築し、会社・労働組合・健康保険組合が三位一体となり、運動習慣者比率をさらに向上させる取り組みなどを進めています。また、健康経営における課題とその解決に向けた取り組みなど一連の流れを可視化できる健康経営戦略マップを作成するなど、従業員の健康保持・増進に戦略的に取り組んでいます。その結果、ブラザー工業は2023年度、累計5度目となる健康経営銘柄に、また、ブラザーグループ14社と共に健康経営優良法人に選定されました。
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