有価証券報告書-第53期(2022/01/01-2022/12/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
THKグループは、機械の直線運動部分を“軽く”“正確に”動かすため、“すべり”を“ころがり”化する重要な機械要素部品を世界へ供給しています。「世にない新しいものを提案し、世に新しい風を吹き込み、豊かな社会作りに貢献する」という経営理念のもと、1971年の創業以来、創造開発型企業として「LMガイド(Linear Motion Guide:直線運動案内)」をはじめとする機械要素部品を供給し、工作機械、半導体製造装置など様々な機械装置の高精度化、高剛性化、高速化、省エネルギー化を実現し、必要不可欠な部品として産業の発展に貢献してまいりました。
当社グループは、LMガイドを開発して以降、世界のトップメーカーとして、お客様の多様なニーズにお応えする中で蓄積してきたノウハウによる高品質な製品や幅広い提案力により、お客様から高い信頼を獲得しています。近年では産業分野のみならず、自動車、医療機器、航空機、サービスロボットなど消費財に近い分野に加え、免震・制震装置、再生可能エネルギー関連など自然災害や気候変動のリスクを低減する分野へと当社グループの製品の採用が広がっています。このように、世界中で多くのお客様より供給が求められる中、エッセンシャルビジネスとして本業を通じた社会貢献を実現しながらも、気候変動など地球環境が変化する中で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進め、企業価値の向上を図ってまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、地理的な領域拡大を目指した「グローバル展開」と用途的な領域拡大を目指した「新規分野への展開」に加え、AI、IoT、ロボットをはじめとするテクノロジーを徹底活用する「ビジネススタイルの変革」を成長戦略の柱として掲げ、事業領域の拡大を図っております。
グローバル展開では、日本・米州・欧州・アジアの4極において、現地で生産して販売するという「需要地における製販一体体制」を構築しています。日本国内における当社グループのLMガイドをはじめとする直動製品の認知度は高く、市場シェアも高水準で推移する一方、海外では普及率が日本国内に比べて低いことから、まだ多くの潜在需要が存在すると考えております。近年は、とりわけ中長期的に需要の拡大が見込まれる中国やその他の新興国において、販売網の拡充ならびに生産体制の強化を図っています。加えて、先進国においてもユーザーの裾野が広がる中で着実に需要を取り込むべく販売網を拡充し、さらなる成長へと繋げています。
新規分野への展開では、LMガイドを中心とする製品群の現在の主な顧客は資本財メーカーですが、自動車、医療機器、航空機、サービスロボットなど消費財に近い分野に加え、免震・制震装置、再生可能エネルギー関連など自然災害や気候変動のリスクを低減する分野へと当社グループの製品の採用が広がっています。このように産業分野のみならず我々の身の回りにも膨大な需要が存在すると考えており、これらの需要を取り込むべく、これまで培ってきた直動システムのコア技術を応用した新製品を投入し、新規分野への展開を加速しています。
ビジネススタイルの変革では、デジタルテクノロジーが急速な進展を見せる中、AI、IoT、ロボットをはじめとする新たなテクノロジーを販売、生産、開発などのあらゆる面で徹底的に活用することにより、ビジネスの進め方や仕組みの変革を図っています。お客様向けコミュニケーションプラットフォーム「Omni THK」、製造業向けIoTサービス「OMNIedge」、そして「THK DXプロジェクト」の推進など、あらゆる取り組みにより新たな顧客体験価値を創造し、ビジネスのさらなる拡大を図っています。
そして、これらの取り組みを推し進める中、単にものづくりだけではなく、ビフォーサービスからアフターサービスまでの一連の工程をビジネスとし、お客様との接点を広げ、真にお客様に貢献していく「ものづくりサービス業」をビジョンにかかげ、その姿を鮮明にしていきます。今後もこれらの取り組みの前提となる、サステナビリティ、ESGの取り組みを強化していくとともに、収益性の向上や財務体質の強化を強力に推進し、企業価値の向上を図ってまいります。
(3) 経営環境
当社グループの需要環境においては、デジタルテクノロジーの急速な進展や、地球環境保護機運の高まり、そして先進国における人手不足や長寿命化などのマクロ動態の変化がメガトレンドを形成する中、「5G」「AI・IoT」「CASE」「インダストリー4.0」「自動化・省人化・省エネ化」といった変化のキーワードが表れています。そして、これらのキーワードから、半導体製造装置・FA関連向け製品、サービスロボット関連製品、医療機器向け製品、電動アクチュエータ、次世代自動車部品、Omni THK、OMNIedgeなどの当社グループが提供する製品やサービスが求められており、その成長ポテンシャルは中長期かつ飛躍的なものになると考えられます。したがって、これらの需要を顕在化させるとともに着実に取り込むべく、成長戦略を推し進めてまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
産業機器事業においては、既存顧客の深耕を図るともに、デジタルテクノロジーが急速に進展する中、ビジネススタイルの変革を推し進め、さらなる事業領域の拡大を図っています。お客様向けコミュニケーションプラット
フォーム「Omni THK」においては、THKの在庫品検索、短納期品の入手、選定・CADデータ・見積書取得とあらゆる工程をサポートすることに加え、標準品・セミオーダー品の短納期対応機能「Delivery」、お客様の製品管理情報とTHKの製品情報の紐付管理機能「Your Catalog」、お客様の需要予測とTHKの製造予定の照合による予実管理機能「Forecast」など、新たな顧客体験価値を提供しています。一方社内においては、「THK DXプロジェクト」を推進し、これらを成し遂げるべく、社内のシステムもお客様の発注から当社の出荷まで人を介さずに、一気通貫で自動で流れる仕組みの構築を目指し、飛躍的な生産性向上を図っています。このように顧客向けの「Omni THK」と社内改革の「THK DXプロジェクト」の両面からなる改革を連携しながら推し進め、新たな顧客体験価値の創出・提供により顧客満足度の向上を図っています。製造業向けIoTサービス「OMNIedge」は、製造現場で発生するロスを削減できるソリューションを提供することで、持続的な生産性向上(設備総合効率:OEEの最大化)に貢献して参ります。これまでに直動製品と回転部品の予兆検知AIソリューション、工具監視AIソリューションの3つを提供しており、機械要素部品の状態を数値化して予兆検知や、工作機械の工具欠損を検知することで、保全業務の効率化、在庫管理コストの削減、不良発生によって生じるロス削減を実現し、生産計画のスムーズな遂行をサポートします。
輸送機器事業においては、半導体をはじめとする部材不足による自動車の減産や鋼材価格の値上がりなどにより営業損失が続いています。そのような中、収益性改善に向けたさらに踏み込んだ対応が必要と考え、輸送機器事業の再編を進めています。グローバルにおける生産品目・生産ラインや人員・組織の再編、生産性・工程改善を推し進めるリカバリープランの継続・強化をはじめ、収益性の低い製品は売上の縮小も厭わない利益重視の運営、そして固定費を産業機器製品の生産に振り向けるなど、収益性改善に向けた施策を強化しています。一方、自動車業界における自動運転化や電動化をはじめとするCASEの潮流を追い風に、直動製品で培ったコア技術を活かした次世代自動車向けの新製品の開発・販売活動を加速しています。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2026年度を最終年度とする経営目標として連結売上収益5,000億円、営業利益1,000億円、EPS(基本的1株当たり当期利益)590円、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)17%を掲げ、成長戦略を展開し持続的な企業価値の向上を図っております。
(6) 気候変動への対応:TCFD提言に沿った情報開示
当社グループは、「気候変動」をマテリアリティ(重要課題)の一つとして掲げ、2023年2月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に対して賛同を表明しました。TCFD提言は、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4つのテーマを中核的要素と位置付けています。当社は、TCFD提言に沿って、気候変動の影響について分析しました。
ガバナンス
気候変動に関わるリスクや機会、対応策等を検討、審議する組織として、代表取締役社長を委員長とする取締役会の諮問機関である「サステナビリティ委員会」を設置しています。
「サステナビリティ委員会」には、下部組織として、各業務部門の代表をメンバーとする「サステナビリティ推進部会」を設け、TCFD提言に沿って気候変動に関わるリスクと機会に関するシナリオ分析を実施しています。
「サステナビリティ委員会」は「サステナビリティ推進部会」がまとめた分析結果について協議するとともに、気候変動に関わる対応策を決定し、進捗状況を管理しています。
取締役会は、「サステナビリティ委員会」で協議、決議された事項について、適宜報告、提案を受け、議論するとともに、各業務部門における気候変動対応の取組み全般を監督しています。
戦略
気候変動に関わるリスク及び機会を踏まえた戦略とそのレジリエンスについて検討するため、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)による気候変動シナリオ(1.5℃シナリオ及び4℃シナリオ)を参照し、2050年までの長期的な影響を踏まえ、当社の産業機器事業及び輸送機器事業(いずれも日本)を中心にシナリオ分析を実施しました。
※1.5℃シナリオ:気温上昇を最低限に抑えるための規制の強化や市場の変化等の対策が取られるシナリオ
IEA-NZE、IPCC-AR6(第6次評価報告書)-SSP1-1.9 等
※4℃シナリオ:気温上昇の結果、異常気象等の物理的影響が生じるシナリオ
IPCC-AR5(第5次評価報告書)-RCP8.5 等
≪気候変動に関する主なリスク/機会と対策≫
リスク管理
全社的なリスク管理については、取締役会の諮問機関である「リスク管理委員会」において包括的、網羅的に把握するとともにリスク管理規程に則りリスクアセスメントを実施し、重要性評価及び対策の優先度を決定しています。
なかでも気候変動に関わるリスクについては、「サステナビリティ委員会」と下部組織である「サステナビリティ推進部会」において気候変動に特化したシナリオ分析を実施し、識別、評価のうえ対応策を決定しています。
なお、取締役会は、「リスク管理委員会」並びに「サステナビリティ委員会」で識別されたリスク及び対応策を踏まえ、気候変動が経営に及ぼす影響について取りまとめています。
指標と目標
当社グループは、2021年8月、地球温暖化の抑制に向けて、以下のとおり温室効果ガス排出量削減の「中期目標」及び「長期目標」を策定しました。
「中期目標」
2030年CO2排出量 基準年2018年 50%削減
対象範囲:国内THK、国内グループ会社
2018年実績値:106,514 t-CO2
2030年目標値:53,257 t-CO2
「長期目標」
2050年CO2排出量:実質ゼロ*にする
対象範囲:THKグループ全体
*実質ゼロ:CO2等の温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と、森林等の吸収源による除去量との間の均衡を達成すること
これらの目標を踏まえ、より一層省エネや省力化に貢献できる製品開発を進めるとともに、より環境に配慮した事業活動を継続し、豊かな社会づくり、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
(1) 会社の経営の基本方針
THKグループは、機械の直線運動部分を“軽く”“正確に”動かすため、“すべり”を“ころがり”化する重要な機械要素部品を世界へ供給しています。「世にない新しいものを提案し、世に新しい風を吹き込み、豊かな社会作りに貢献する」という経営理念のもと、1971年の創業以来、創造開発型企業として「LMガイド(Linear Motion Guide:直線運動案内)」をはじめとする機械要素部品を供給し、工作機械、半導体製造装置など様々な機械装置の高精度化、高剛性化、高速化、省エネルギー化を実現し、必要不可欠な部品として産業の発展に貢献してまいりました。
当社グループは、LMガイドを開発して以降、世界のトップメーカーとして、お客様の多様なニーズにお応えする中で蓄積してきたノウハウによる高品質な製品や幅広い提案力により、お客様から高い信頼を獲得しています。近年では産業分野のみならず、自動車、医療機器、航空機、サービスロボットなど消費財に近い分野に加え、免震・制震装置、再生可能エネルギー関連など自然災害や気候変動のリスクを低減する分野へと当社グループの製品の採用が広がっています。このように、世界中で多くのお客様より供給が求められる中、エッセンシャルビジネスとして本業を通じた社会貢献を実現しながらも、気候変動など地球環境が変化する中で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進め、企業価値の向上を図ってまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、地理的な領域拡大を目指した「グローバル展開」と用途的な領域拡大を目指した「新規分野への展開」に加え、AI、IoT、ロボットをはじめとするテクノロジーを徹底活用する「ビジネススタイルの変革」を成長戦略の柱として掲げ、事業領域の拡大を図っております。
グローバル展開では、日本・米州・欧州・アジアの4極において、現地で生産して販売するという「需要地における製販一体体制」を構築しています。日本国内における当社グループのLMガイドをはじめとする直動製品の認知度は高く、市場シェアも高水準で推移する一方、海外では普及率が日本国内に比べて低いことから、まだ多くの潜在需要が存在すると考えております。近年は、とりわけ中長期的に需要の拡大が見込まれる中国やその他の新興国において、販売網の拡充ならびに生産体制の強化を図っています。加えて、先進国においてもユーザーの裾野が広がる中で着実に需要を取り込むべく販売網を拡充し、さらなる成長へと繋げています。
新規分野への展開では、LMガイドを中心とする製品群の現在の主な顧客は資本財メーカーですが、自動車、医療機器、航空機、サービスロボットなど消費財に近い分野に加え、免震・制震装置、再生可能エネルギー関連など自然災害や気候変動のリスクを低減する分野へと当社グループの製品の採用が広がっています。このように産業分野のみならず我々の身の回りにも膨大な需要が存在すると考えており、これらの需要を取り込むべく、これまで培ってきた直動システムのコア技術を応用した新製品を投入し、新規分野への展開を加速しています。
ビジネススタイルの変革では、デジタルテクノロジーが急速な進展を見せる中、AI、IoT、ロボットをはじめとする新たなテクノロジーを販売、生産、開発などのあらゆる面で徹底的に活用することにより、ビジネスの進め方や仕組みの変革を図っています。お客様向けコミュニケーションプラットフォーム「Omni THK」、製造業向けIoTサービス「OMNIedge」、そして「THK DXプロジェクト」の推進など、あらゆる取り組みにより新たな顧客体験価値を創造し、ビジネスのさらなる拡大を図っています。
そして、これらの取り組みを推し進める中、単にものづくりだけではなく、ビフォーサービスからアフターサービスまでの一連の工程をビジネスとし、お客様との接点を広げ、真にお客様に貢献していく「ものづくりサービス業」をビジョンにかかげ、その姿を鮮明にしていきます。今後もこれらの取り組みの前提となる、サステナビリティ、ESGの取り組みを強化していくとともに、収益性の向上や財務体質の強化を強力に推進し、企業価値の向上を図ってまいります。
(3) 経営環境
当社グループの需要環境においては、デジタルテクノロジーの急速な進展や、地球環境保護機運の高まり、そして先進国における人手不足や長寿命化などのマクロ動態の変化がメガトレンドを形成する中、「5G」「AI・IoT」「CASE」「インダストリー4.0」「自動化・省人化・省エネ化」といった変化のキーワードが表れています。そして、これらのキーワードから、半導体製造装置・FA関連向け製品、サービスロボット関連製品、医療機器向け製品、電動アクチュエータ、次世代自動車部品、Omni THK、OMNIedgeなどの当社グループが提供する製品やサービスが求められており、その成長ポテンシャルは中長期かつ飛躍的なものになると考えられます。したがって、これらの需要を顕在化させるとともに着実に取り込むべく、成長戦略を推し進めてまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
産業機器事業においては、既存顧客の深耕を図るともに、デジタルテクノロジーが急速に進展する中、ビジネススタイルの変革を推し進め、さらなる事業領域の拡大を図っています。お客様向けコミュニケーションプラット
フォーム「Omni THK」においては、THKの在庫品検索、短納期品の入手、選定・CADデータ・見積書取得とあらゆる工程をサポートすることに加え、標準品・セミオーダー品の短納期対応機能「Delivery」、お客様の製品管理情報とTHKの製品情報の紐付管理機能「Your Catalog」、お客様の需要予測とTHKの製造予定の照合による予実管理機能「Forecast」など、新たな顧客体験価値を提供しています。一方社内においては、「THK DXプロジェクト」を推進し、これらを成し遂げるべく、社内のシステムもお客様の発注から当社の出荷まで人を介さずに、一気通貫で自動で流れる仕組みの構築を目指し、飛躍的な生産性向上を図っています。このように顧客向けの「Omni THK」と社内改革の「THK DXプロジェクト」の両面からなる改革を連携しながら推し進め、新たな顧客体験価値の創出・提供により顧客満足度の向上を図っています。製造業向けIoTサービス「OMNIedge」は、製造現場で発生するロスを削減できるソリューションを提供することで、持続的な生産性向上(設備総合効率:OEEの最大化)に貢献して参ります。これまでに直動製品と回転部品の予兆検知AIソリューション、工具監視AIソリューションの3つを提供しており、機械要素部品の状態を数値化して予兆検知や、工作機械の工具欠損を検知することで、保全業務の効率化、在庫管理コストの削減、不良発生によって生じるロス削減を実現し、生産計画のスムーズな遂行をサポートします。
輸送機器事業においては、半導体をはじめとする部材不足による自動車の減産や鋼材価格の値上がりなどにより営業損失が続いています。そのような中、収益性改善に向けたさらに踏み込んだ対応が必要と考え、輸送機器事業の再編を進めています。グローバルにおける生産品目・生産ラインや人員・組織の再編、生産性・工程改善を推し進めるリカバリープランの継続・強化をはじめ、収益性の低い製品は売上の縮小も厭わない利益重視の運営、そして固定費を産業機器製品の生産に振り向けるなど、収益性改善に向けた施策を強化しています。一方、自動車業界における自動運転化や電動化をはじめとするCASEの潮流を追い風に、直動製品で培ったコア技術を活かした次世代自動車向けの新製品の開発・販売活動を加速しています。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2026年度を最終年度とする経営目標として連結売上収益5,000億円、営業利益1,000億円、EPS(基本的1株当たり当期利益)590円、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)17%を掲げ、成長戦略を展開し持続的な企業価値の向上を図っております。
(6) 気候変動への対応:TCFD提言に沿った情報開示
当社グループは、「気候変動」をマテリアリティ(重要課題)の一つとして掲げ、2023年2月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に対して賛同を表明しました。TCFD提言は、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4つのテーマを中核的要素と位置付けています。当社は、TCFD提言に沿って、気候変動の影響について分析しました。
ガバナンス
気候変動に関わるリスクや機会、対応策等を検討、審議する組織として、代表取締役社長を委員長とする取締役会の諮問機関である「サステナビリティ委員会」を設置しています。
「サステナビリティ委員会」には、下部組織として、各業務部門の代表をメンバーとする「サステナビリティ推進部会」を設け、TCFD提言に沿って気候変動に関わるリスクと機会に関するシナリオ分析を実施しています。
「サステナビリティ委員会」は「サステナビリティ推進部会」がまとめた分析結果について協議するとともに、気候変動に関わる対応策を決定し、進捗状況を管理しています。
取締役会は、「サステナビリティ委員会」で協議、決議された事項について、適宜報告、提案を受け、議論するとともに、各業務部門における気候変動対応の取組み全般を監督しています。
戦略
気候変動に関わるリスク及び機会を踏まえた戦略とそのレジリエンスについて検討するため、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)による気候変動シナリオ(1.5℃シナリオ及び4℃シナリオ)を参照し、2050年までの長期的な影響を踏まえ、当社の産業機器事業及び輸送機器事業(いずれも日本)を中心にシナリオ分析を実施しました。
※1.5℃シナリオ:気温上昇を最低限に抑えるための規制の強化や市場の変化等の対策が取られるシナリオ
IEA-NZE、IPCC-AR6(第6次評価報告書)-SSP1-1.9 等
※4℃シナリオ:気温上昇の結果、異常気象等の物理的影響が生じるシナリオ
IPCC-AR5(第5次評価報告書)-RCP8.5 等
≪気候変動に関する主なリスク/機会と対策≫
| シナリオ | 要因 | 変化 | リスク /機会 | 評価 | 当社への影響 | 当社の対策 |
| 1.5℃ | 炭素税の導入 | 調達コスト増加 | リスク | 大 | 炭素税導入により、原材料への価格転嫁が進み、調達コストが増加 | ・原材料投入量の削減 ・炭素税の低い原材料への切替 |
| 操業コスト増加 | リスク | 大 | 炭素税導入により、国内のScope1・2の排出量に応じて炭素税の支払コストが増加 | ・省エネ生産技術の開発 ・低炭素、非化石エネルギーへの転換 | ||
| 再エネへの切替 | エネルギー調達コスト増加 | リスク | 小 | 再エネへの切替により、エネルギー調達コストが増加 | ・太陽光発電設備の設置による、再エネの内部調達 | |
| 省エネニーズの高まり | 環境対応技術ソリューションの需要増加 | 機会 | 大 | エネルギー効率の向上を目的とした自動化及び効率化のための設備設計、製作、改造、製品需要が増加 | ・省エネ化に寄与する当社製品(LMガイド、電動アクチュエータ、ユニット品等)の供給強化 | |
| 半導体ビジネス機会拡大 | 機会 | 大 | 省エネ化のコアとなるパワー半導体を中心に、半導体製造装置部品の製造をはじめとした、ビジネス機会が拡大 | ・柔軟かつ迅速に対応する開発、生産、営業の体制整備 | ||
| 故障診断・予兆検知サービスの需要増加 | 機会 | 小 | 生産性向上に貢献し、エネルギーロスの削減を実現する、IoT技術を駆使した故障診断・予兆検知サービスの需要が増加 | ・生産性向上に貢献するIoTサービスの拡充並びに営業及びソリューションの強化 | ||
| EV化の進展 | EV車関連部品の需要増加 | 機会 | 大 | EV化に伴い新たな製品が求められるようになり、当社製品の需要が拡大 | ・柔軟かつ迅速に対応する開発、生産、営業の体制整備 ・新規ビジネスの企画 | |
| 環境貢献ビジネスの拡大 | ESG投資増加 | 機会 | 小 | 環境に貢献するビジネスを拡大することで、投資家の関心、評価が高まり、ESG投資が増加 | ・柔軟かつ迅速に対応する開発、生産、営業の体制整備 ・積極的な情報開示、ステークホルダーとのコミュニケーション強化 | |
| 4℃ | 気象災害の激甚化 | サプライチェーン寸断 | リスク | 小 | 原材料調達先の被災による、原材料供給の停止 | ・原材料調達先の分散化 ・代替調達先の確保 |
| 気温上昇対応コスト増加 | リスク | 小 | 気温上昇による、工場、物流拠点、オフィス等の空調コスト増加 | ・建屋の断熱性能向上 |
リスク管理
全社的なリスク管理については、取締役会の諮問機関である「リスク管理委員会」において包括的、網羅的に把握するとともにリスク管理規程に則りリスクアセスメントを実施し、重要性評価及び対策の優先度を決定しています。
なかでも気候変動に関わるリスクについては、「サステナビリティ委員会」と下部組織である「サステナビリティ推進部会」において気候変動に特化したシナリオ分析を実施し、識別、評価のうえ対応策を決定しています。
なお、取締役会は、「リスク管理委員会」並びに「サステナビリティ委員会」で識別されたリスク及び対応策を踏まえ、気候変動が経営に及ぼす影響について取りまとめています。
指標と目標
当社グループは、2021年8月、地球温暖化の抑制に向けて、以下のとおり温室効果ガス排出量削減の「中期目標」及び「長期目標」を策定しました。
「中期目標」
2030年CO2排出量 基準年2018年 50%削減
対象範囲:国内THK、国内グループ会社
2018年実績値:106,514 t-CO2
2030年目標値:53,257 t-CO2
「長期目標」
2050年CO2排出量:実質ゼロ*にする
対象範囲:THKグループ全体
*実質ゼロ:CO2等の温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と、森林等の吸収源による除去量との間の均衡を達成すること
これらの目標を踏まえ、より一層省エネや省力化に貢献できる製品開発を進めるとともに、より環境に配慮した事業活動を継続し、豊かな社会づくり、持続可能な社会の実現に貢献していきます。