有価証券報告書-第21期(令和1年10月1日-令和2年9月30日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、お客様のニーズに沿ったバルブの製造からメンテナンスまで、バルブのトータルライフにわたるさまざまなサービスをスピーディにご提供できる体制作りに弛まぬ努力を続けております。お客様に安心してご使用いただける高品質・高性能なバルブ製品、バルブの予防保全に絶大な力を発揮する診断機器、豊富な知識・経験を持つ技術者によるメンテナンスサービスなどで、全国の原子力発電所(以下、「原発」)、火力発電所をはじめとする各種産業用プラントの安全で安定した運転のお手伝いを通じ、社会に貢献できる企業グループであり続けたいと考えております。当社グループでは、グループ会社共通の社是として、一 信頼される企業として社会の進歩に貢献する
一 誠実と融和により健康で活気のある職場をつくる
一 経営の刷新と技術の開発につとめる
を掲げ、全役職員のベクトルを同じ方向に揃えグループ力の結集を図ることで、顧客満足度を高め、社会・地域の健全な発展に貢献し、従業員とその家族の生活を守り、株主への適正な利益分配を行い、安定的持続可能な強固で粘りのある企業体質の構築を目指しております。
また、当社グループの主な事業である、バルブ製品の製造、メンテナンスとも、高い技術を持つ地域の協力工場や、厳しい工期と過酷な環境下でのメンテナンス作業に従事される外注技術者など、数多くの関係取引先のご協力を頂戴することで成り立っており、常に感謝の心を忘れることなく、今後も関係取引先との相互発展を基本とした強い信頼・協力関係を構築してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループが製造いたしますバルブ製品、鋳鋼製品のほとんどは、お客様の個別仕様書によって受注・生産を行っており、汎用品はごく一部にすぎません。また、バルブメンテナンスサービスにつきましても、一般的な定期保守点検契約のようなものは存在せず、比較的安定的に売上が望まれる原子力発電所の定期検査工事を除いては、基本的にプラントの運転状況とそれに応じた当社の営業活動の成果によるものであります。
よって各年度の売上高は必ずしも安定したものではないため、損益も同様に年度毎の山谷が非常に激しくなる可能性があり、特にバルブ事業は、売上の増減に加えその時々の工場操業度によっても損益に少なからず変動が発生し、目標とする経営指標として、例えば投下資本に対する利益率等を設定したとしても、以上のような理由から分子となる利益の変動が大きく、安定的且つ継続的な目標指標とすることは困難であると考えております。
このため、年度計画及び中期収益計画の策定に際しては、各年度に予想される市場環境から受注想定案件を積み上げることにより、売上高、営業利益、経常利益を予算化することとしております。
そして個々の案件の受注時には、厳密な貢献利益(限界利益)管理のもと、その時々の工場操業度と平準化効果、社員・外注作業者の最適要員配置、後年度における期待収益性などを重要な要素として受注判断を行うことで利益管理を実施しており、これにより機会損失を最小化し、獲得利益の最大化を計っております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①基本課題
当社グループはこれまで国内原発の原型炉、実証炉、商用炉全てにバルブを納入してまいりました。原発黎明期においては重要な役割を担うバルブは海外製品が導入されていましたが、現在ではPWRと呼ばれる加圧水型原子炉の重要なバルブ・安全弁は当社製品をご採用いただいております。
当社は予てより特定の事業分野、つまり原発への過度の依存をリスクとして認識し開示してまいりました。にもかかわらず全く想定外の事態によりこれが顕在化し、現在の厳しい状況に陥るに至りました。
このように当社グループは日本の原発の発展とともに歩んでまいりました。よって原発関連事業者としての責任と使命は今後も何があっても果たしていくことを基本的な会社方針としております。
東日本大震災の津波による東京電力福島第一原発事故から9年が経過し、これまでに5原発9基で再稼働が実現いたしました。今後、これら原発の定期検査による収益が見込める状況になったと安堵したのも束の間、特定重大事故対処施設工事の遅れや裁判の影響で相次いで停止し、再び、2011年の原発事故直後の状態に近づきつつあって、まだまだ予断を許さない状況が続いています。
それでもここ数期の業績は確実に回復に向かい、当連結会計年度は原発事故の影響が顕在化した2014年9月期以降では、最高の営業利益とすることができました。しかしそれでも原発事故以前の業容には程遠く、より強い収益の柱を得ることが、現在の最重要課題であることに変わりはありません。
また、業容の縮小は、赤字案件の受注により計上を求められる受注損失引当金や、稼働率の変化による業績への影響を相対的に大きくし、利益率を安定させることが難しい状況を招いています。これをいかにコントロールし、安定した業績に繋げていくかも重要な課題となっています。
これら課題解決を目指した『改定・中期経営計画2019』で、既存3事業の強化と新領域への挑戦を主要戦略に掲げ取り組むことを表明しています。
既存事業の柱である原発関連事業は、国の第5次エネルギー基本計画では、原子力はエネルギーミックスの中で20~22%を構成する重要電源と位置付けられ、今後の新たな展開に期待されるところですが、これまで以上に想像力とリスク感応度を高め、決して同じ轍は踏まないことを肝に銘じ事業に取り組んでまいります。新領域では、中国、ASEANを中心に海外事業拡大施策を進め、新拠点を開設するなどに早期の業績寄与を目指します。そして、「高品質弁と設備保全で、世界エネルギーインフラの安全安定運転に貢献するグローバルニッチトップへ!」を中期経営計画の目指す姿として、また、本年10月1日の社名変更に伴い「Challenge for the NEXT(TVEの挑戦は次のステージへ)」をコーポレートメッセージに掲げ邁進してまいります。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響について、当社グループにおいては、当連結会計年度の業績に一定程度影響はあったものの、重要な影響は発生しておりません。
当社グループにおいては、全役職員や取引先への安全確保を第一に掲げるとともに、テレワーク(在宅勤務)や時差出勤など事業運営に極力支障が生じない体制を構築し、対処してまいりました。
引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による事業環境の変化を注視し健康管理や感染予防を徹底するとともに、業務管理方法の改善などを推し進め、コロナ禍の影響を最小限に留めるように取り組んでまいります。
②経営基盤の構造改革
(生産性の改善~TAMES-Project~)
創業100周年は次の100年に向けての通過点です。社会に求められつつ会社を長く継続するためには成長戦略とともに事業基盤の強化が不可欠です。これを具体化する施策として、全社的業務効率改善活動である通称『TAMES-Project』の全社展開を進めています。
活動は、生産現場の効率改善を目指す『TAMES-Factory』、販売管理部門の効率改善を目指す『TAMES-Office』、ITを活用し全社横断的な効率改善の基盤を整備する『TAMES-DX』、人へのアプローチで働き甲斐のある活力あふれる職場をつくる『TAMES-Active』の4つで構成され、それぞれに活動メンバーを選定し推進しています。
完全受注生産型事業においては、効率化を単に生産量だけに求めることはできません。すべての営業循環の中において、時間・規格・技術・場所等々、多くの制約の中で機会損失と闘いながら業務効率向上を実現していく必要があり、これは決して簡単なことではありません。
この課題に全社的に取り組み、経営効率向上を目指すのが本プロジェクトの狙いです。その狙いはコスト低減に留まらず、SDGsの諸課題、働き方改革、ICTの推進、従業員満足経営など、内外の課題を取り込みながら包括的に企業基盤の強化・改善を進めてまいります。
③既存3事業の深化
バルブ事業、メンテナンス事業、製鋼事業の既存3事業の個別課題を攻めの事業戦略により解決し更なる成長を目指します。
バルブ事業とメンテナンス事業は、当社グループが世界に誇る高温高圧弁・安全弁の技術とそれを象徴するTOAのブランドを活かし、グローバルニッチトップ化戦略の中核に位置付けられます。
国内原発、火力発電設備の安全・安定運転と経済性に貢献する新たな提案で顧客満足度を高め、原発廃止措置支援装置の開発、IT技術による状態監視装置やサービスシステムの構築、新たな製品・メンテナンス機器の開発などで成長を目指してまいります。また、同時にコスト面での課題を克服すべくTAMES-Project活動での効率化実現に取り組んでまいります。
製鋼事業は製品の高付加価値化を主要施策として進めてまいります。加工、検査、材質、納期、そして何よりも品質を高めた高付加価値製品の提供により収益性の改善を推進してまいります。
④新領域への挑戦
(グローバルニッチトップへの挑戦)
既存事業の中核であるバルブ事業は、世間的には市場飽和状態にあって、決して魅力的なものとは映らないでしょう。だからこそ当社はグローバルニッチトップを目指す選択になりますが、その中でも新たな事業領域の開発は不可欠な戦略です。
当社グループはプラントメーカーの建設する電力プラントを通じ、世界中、特に東南アジア圏に非常に多くのバルブを納入し高い評価を得てまいりました。この商品力とブランド力を活かしながら、資本業務提携を行っている株式会社キッツとの連携によりグローバル展開を目指してまいります。
発電所では非常に多くのバルブが使用されていますが、高温高圧弁・安全弁は数多あるバルブのごく一部に過ぎません。しかし調達価格で見たときその割合は決して小さなものではなく、ここに勝機があると考えています。世界にはまだまだ数多の浸透していないサービスがあって、バルブメンテナンスもそのひとつで、決して小さくない未開拓の市場があると考えており、さらにニッチな分野での商品性やサービス力を徹底的に高めることで、ニッチな市場での競争優位を確立してまいります。
(廃炉事業)
長期的な事業拡大戦略の一翼を担うのが廃炉事業への進出と考えております。これはバルブ事業の集大成ともいえる事業で、バルブのトータルライフに亘りワン・ストップでサービスを提供するという、当社グループの目指す姿に通ずるものです。
具体的な事業のイメージは、廃止された発電所から回収したバルブをリサイクルして新しいバルブ等にして新しい発電所に戻すという非常にシンプルなものですが、そこに至る道程は困難の連続と想定しております。
この実現のため、当連結会計年度に子会社を新たに設立し、早速、資源エネルギー庁より「原子力産業基盤強化事業補助金」に係る間接補助事業者の採択を得たところです。実際に原発からリサイクル対象の金属が排出されるのは数年先のことで、事業化・業績貢献には今しばらく時間を要しますが、早期の参入表明で先駆者としての優位性を築き、今後の事業本格化に備えてまいります。
(デジタル技術の活用)
ビッグデータやセンシング技術などが事業に取り込まれ、多方面で新たなマーケットの創出、ビジネスモデルの開発につながっています。さらにはコンピューターを離れ、何かをインターネットにつなぐことで新たなビジネスを広げるIoT技術も既に当たり前になっております。
当社グループにおいても、長年のバルブ製造やメンテナンスの過程で蓄積した、バルブの検査データや経験、知見、そして電力用高温高圧バルブメーカーとしてのブランド力や市場シェアを活かし、「情報」や「ノウハウ」を商品とした事業展開の可能性についてさらに深く掘り下げる必要があると考えております。
例えばそのひとつとして、バルブや鋳物に関する技術情報の積極的な公開や、特殊設備の異業種での活用可能性を探るなど、新たな市場・顧客を求めデジタルマーケティングに取り組んでおります。また、これまでは狭い市場と決めつけることで、あまり縁のなかった、各種産業機器等の展示会に積極的に出展し、新たな分野への進出の足掛かりを探る活動を進めております。
やれることは何でもやってみる“TAMES=「試す」”の精神で取り組み、これをひとつのきっかけに新たなバルブソリューションを展開してまいります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、お客様のニーズに沿ったバルブの製造からメンテナンスまで、バルブのトータルライフにわたるさまざまなサービスをスピーディにご提供できる体制作りに弛まぬ努力を続けております。お客様に安心してご使用いただける高品質・高性能なバルブ製品、バルブの予防保全に絶大な力を発揮する診断機器、豊富な知識・経験を持つ技術者によるメンテナンスサービスなどで、全国の原子力発電所(以下、「原発」)、火力発電所をはじめとする各種産業用プラントの安全で安定した運転のお手伝いを通じ、社会に貢献できる企業グループであり続けたいと考えております。当社グループでは、グループ会社共通の社是として、一 信頼される企業として社会の進歩に貢献する
一 誠実と融和により健康で活気のある職場をつくる
一 経営の刷新と技術の開発につとめる
を掲げ、全役職員のベクトルを同じ方向に揃えグループ力の結集を図ることで、顧客満足度を高め、社会・地域の健全な発展に貢献し、従業員とその家族の生活を守り、株主への適正な利益分配を行い、安定的持続可能な強固で粘りのある企業体質の構築を目指しております。
また、当社グループの主な事業である、バルブ製品の製造、メンテナンスとも、高い技術を持つ地域の協力工場や、厳しい工期と過酷な環境下でのメンテナンス作業に従事される外注技術者など、数多くの関係取引先のご協力を頂戴することで成り立っており、常に感謝の心を忘れることなく、今後も関係取引先との相互発展を基本とした強い信頼・協力関係を構築してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループが製造いたしますバルブ製品、鋳鋼製品のほとんどは、お客様の個別仕様書によって受注・生産を行っており、汎用品はごく一部にすぎません。また、バルブメンテナンスサービスにつきましても、一般的な定期保守点検契約のようなものは存在せず、比較的安定的に売上が望まれる原子力発電所の定期検査工事を除いては、基本的にプラントの運転状況とそれに応じた当社の営業活動の成果によるものであります。
よって各年度の売上高は必ずしも安定したものではないため、損益も同様に年度毎の山谷が非常に激しくなる可能性があり、特にバルブ事業は、売上の増減に加えその時々の工場操業度によっても損益に少なからず変動が発生し、目標とする経営指標として、例えば投下資本に対する利益率等を設定したとしても、以上のような理由から分子となる利益の変動が大きく、安定的且つ継続的な目標指標とすることは困難であると考えております。
このため、年度計画及び中期収益計画の策定に際しては、各年度に予想される市場環境から受注想定案件を積み上げることにより、売上高、営業利益、経常利益を予算化することとしております。
そして個々の案件の受注時には、厳密な貢献利益(限界利益)管理のもと、その時々の工場操業度と平準化効果、社員・外注作業者の最適要員配置、後年度における期待収益性などを重要な要素として受注判断を行うことで利益管理を実施しており、これにより機会損失を最小化し、獲得利益の最大化を計っております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①基本課題
当社グループはこれまで国内原発の原型炉、実証炉、商用炉全てにバルブを納入してまいりました。原発黎明期においては重要な役割を担うバルブは海外製品が導入されていましたが、現在ではPWRと呼ばれる加圧水型原子炉の重要なバルブ・安全弁は当社製品をご採用いただいております。
当社は予てより特定の事業分野、つまり原発への過度の依存をリスクとして認識し開示してまいりました。にもかかわらず全く想定外の事態によりこれが顕在化し、現在の厳しい状況に陥るに至りました。
このように当社グループは日本の原発の発展とともに歩んでまいりました。よって原発関連事業者としての責任と使命は今後も何があっても果たしていくことを基本的な会社方針としております。
東日本大震災の津波による東京電力福島第一原発事故から9年が経過し、これまでに5原発9基で再稼働が実現いたしました。今後、これら原発の定期検査による収益が見込める状況になったと安堵したのも束の間、特定重大事故対処施設工事の遅れや裁判の影響で相次いで停止し、再び、2011年の原発事故直後の状態に近づきつつあって、まだまだ予断を許さない状況が続いています。
それでもここ数期の業績は確実に回復に向かい、当連結会計年度は原発事故の影響が顕在化した2014年9月期以降では、最高の営業利益とすることができました。しかしそれでも原発事故以前の業容には程遠く、より強い収益の柱を得ることが、現在の最重要課題であることに変わりはありません。
また、業容の縮小は、赤字案件の受注により計上を求められる受注損失引当金や、稼働率の変化による業績への影響を相対的に大きくし、利益率を安定させることが難しい状況を招いています。これをいかにコントロールし、安定した業績に繋げていくかも重要な課題となっています。
これら課題解決を目指した『改定・中期経営計画2019』で、既存3事業の強化と新領域への挑戦を主要戦略に掲げ取り組むことを表明しています。
既存事業の柱である原発関連事業は、国の第5次エネルギー基本計画では、原子力はエネルギーミックスの中で20~22%を構成する重要電源と位置付けられ、今後の新たな展開に期待されるところですが、これまで以上に想像力とリスク感応度を高め、決して同じ轍は踏まないことを肝に銘じ事業に取り組んでまいります。新領域では、中国、ASEANを中心に海外事業拡大施策を進め、新拠点を開設するなどに早期の業績寄与を目指します。そして、「高品質弁と設備保全で、世界エネルギーインフラの安全安定運転に貢献するグローバルニッチトップへ!」を中期経営計画の目指す姿として、また、本年10月1日の社名変更に伴い「Challenge for the NEXT(TVEの挑戦は次のステージへ)」をコーポレートメッセージに掲げ邁進してまいります。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響について、当社グループにおいては、当連結会計年度の業績に一定程度影響はあったものの、重要な影響は発生しておりません。
当社グループにおいては、全役職員や取引先への安全確保を第一に掲げるとともに、テレワーク(在宅勤務)や時差出勤など事業運営に極力支障が生じない体制を構築し、対処してまいりました。
引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による事業環境の変化を注視し健康管理や感染予防を徹底するとともに、業務管理方法の改善などを推し進め、コロナ禍の影響を最小限に留めるように取り組んでまいります。
②経営基盤の構造改革
(生産性の改善~TAMES-Project~)
創業100周年は次の100年に向けての通過点です。社会に求められつつ会社を長く継続するためには成長戦略とともに事業基盤の強化が不可欠です。これを具体化する施策として、全社的業務効率改善活動である通称『TAMES-Project』の全社展開を進めています。
活動は、生産現場の効率改善を目指す『TAMES-Factory』、販売管理部門の効率改善を目指す『TAMES-Office』、ITを活用し全社横断的な効率改善の基盤を整備する『TAMES-DX』、人へのアプローチで働き甲斐のある活力あふれる職場をつくる『TAMES-Active』の4つで構成され、それぞれに活動メンバーを選定し推進しています。
完全受注生産型事業においては、効率化を単に生産量だけに求めることはできません。すべての営業循環の中において、時間・規格・技術・場所等々、多くの制約の中で機会損失と闘いながら業務効率向上を実現していく必要があり、これは決して簡単なことではありません。
この課題に全社的に取り組み、経営効率向上を目指すのが本プロジェクトの狙いです。その狙いはコスト低減に留まらず、SDGsの諸課題、働き方改革、ICTの推進、従業員満足経営など、内外の課題を取り込みながら包括的に企業基盤の強化・改善を進めてまいります。
③既存3事業の深化
バルブ事業、メンテナンス事業、製鋼事業の既存3事業の個別課題を攻めの事業戦略により解決し更なる成長を目指します。
バルブ事業とメンテナンス事業は、当社グループが世界に誇る高温高圧弁・安全弁の技術とそれを象徴するTOAのブランドを活かし、グローバルニッチトップ化戦略の中核に位置付けられます。
国内原発、火力発電設備の安全・安定運転と経済性に貢献する新たな提案で顧客満足度を高め、原発廃止措置支援装置の開発、IT技術による状態監視装置やサービスシステムの構築、新たな製品・メンテナンス機器の開発などで成長を目指してまいります。また、同時にコスト面での課題を克服すべくTAMES-Project活動での効率化実現に取り組んでまいります。
製鋼事業は製品の高付加価値化を主要施策として進めてまいります。加工、検査、材質、納期、そして何よりも品質を高めた高付加価値製品の提供により収益性の改善を推進してまいります。
④新領域への挑戦
(グローバルニッチトップへの挑戦)
既存事業の中核であるバルブ事業は、世間的には市場飽和状態にあって、決して魅力的なものとは映らないでしょう。だからこそ当社はグローバルニッチトップを目指す選択になりますが、その中でも新たな事業領域の開発は不可欠な戦略です。
当社グループはプラントメーカーの建設する電力プラントを通じ、世界中、特に東南アジア圏に非常に多くのバルブを納入し高い評価を得てまいりました。この商品力とブランド力を活かしながら、資本業務提携を行っている株式会社キッツとの連携によりグローバル展開を目指してまいります。
発電所では非常に多くのバルブが使用されていますが、高温高圧弁・安全弁は数多あるバルブのごく一部に過ぎません。しかし調達価格で見たときその割合は決して小さなものではなく、ここに勝機があると考えています。世界にはまだまだ数多の浸透していないサービスがあって、バルブメンテナンスもそのひとつで、決して小さくない未開拓の市場があると考えており、さらにニッチな分野での商品性やサービス力を徹底的に高めることで、ニッチな市場での競争優位を確立してまいります。
(廃炉事業)
長期的な事業拡大戦略の一翼を担うのが廃炉事業への進出と考えております。これはバルブ事業の集大成ともいえる事業で、バルブのトータルライフに亘りワン・ストップでサービスを提供するという、当社グループの目指す姿に通ずるものです。
具体的な事業のイメージは、廃止された発電所から回収したバルブをリサイクルして新しいバルブ等にして新しい発電所に戻すという非常にシンプルなものですが、そこに至る道程は困難の連続と想定しております。
この実現のため、当連結会計年度に子会社を新たに設立し、早速、資源エネルギー庁より「原子力産業基盤強化事業補助金」に係る間接補助事業者の採択を得たところです。実際に原発からリサイクル対象の金属が排出されるのは数年先のことで、事業化・業績貢献には今しばらく時間を要しますが、早期の参入表明で先駆者としての優位性を築き、今後の事業本格化に備えてまいります。
(デジタル技術の活用)
ビッグデータやセンシング技術などが事業に取り込まれ、多方面で新たなマーケットの創出、ビジネスモデルの開発につながっています。さらにはコンピューターを離れ、何かをインターネットにつなぐことで新たなビジネスを広げるIoT技術も既に当たり前になっております。
当社グループにおいても、長年のバルブ製造やメンテナンスの過程で蓄積した、バルブの検査データや経験、知見、そして電力用高温高圧バルブメーカーとしてのブランド力や市場シェアを活かし、「情報」や「ノウハウ」を商品とした事業展開の可能性についてさらに深く掘り下げる必要があると考えております。
例えばそのひとつとして、バルブや鋳物に関する技術情報の積極的な公開や、特殊設備の異業種での活用可能性を探るなど、新たな市場・顧客を求めデジタルマーケティングに取り組んでおります。また、これまでは狭い市場と決めつけることで、あまり縁のなかった、各種産業機器等の展示会に積極的に出展し、新たな分野への進出の足掛かりを探る活動を進めております。
やれることは何でもやってみる“TAMES=「試す」”の精神で取り組み、これをひとつのきっかけに新たなバルブソリューションを展開してまいります。