有価証券報告書-第162期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
文中の将来に関する記載は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、2020年度の売上高1,800億円、営業利益180億円、ROA(総資産営業利益率)・ROE(自己資本利益率)いずれも10%超を目標とする中長期計画「VISION2020」を2016年4月にスタートさせました。
その4年目となる当期は、期初時点から高精細・中小型FPD製造用イオン注入装置の大幅な減収が見込まれる厳しい状況の中ではありましたが、「VISION2020」の目標達成のためにラストスパートをかける年度と位置づけ、社長直轄の「企画開発部」を中心に取り組んできた新市場開拓や新製品開発を加速しその成果を受注に繋げること、これまでの拡販活動の成果である電力機器事業の豊富な受注残高を着実に生産・売上拡大に結び付けることなどを重点課題として取り組んでまいりました。同時に、安全・品質を第一に考える企業文化・風土の定着を図りつつ、中長期的な事業規模拡大に向け、生産性向上のために全員参加の改善活動による業務プロセスの抜本的見直しを進めると共に、生産体制整備及び合理化のための設備投資を積極的に推進しました。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により内外の経済は急速に悪化し、2020年度は厳しい状況が続くことが予想されます。当社グループはグローバルな需要やサプライチェーン全般の動向を注視しながら、様々な対策を柔軟に実施することと並行して、「VISION2020」の各事業セグメントの成長戦略を基本に次のとおり事業展開を進めてまいります。
「VISION2020」における重点活動の内容は次のとおりであります。
(1) 6つの成長ドメイン
次の6つの成長ドメインにおいて当社グループのコア技術を活用して新たな事業拡大を目指します。
1.国内の電力機器、新エネルギー・環境分野
発送電分離や分散電源活用に伴う電力市場の大変革や、2018年の北海道でのブラックアウトで重要性が認識された電力インフラのレジリエンス(復元力)の強化に向け、新たな製品・システム・サービスの需要拡大が期待されます。
2.海外の電力機器、新エネルギー・環境分野
アセアン・インドなど新興国における電力需要の高まりによるインフラ整備の進展に伴い、海外市場の拡大が期待されます。
3.ライフサイクルエンジニアリング分野
電力機器、パワーコンディショナ、ビーム・真空応用装置などの納入台数拡大に伴い、状態監視・点検・修理・更新などの需要増大が期待されます。
4.次世代半導体・FPD製造用装置分野
今後予想される半導体やFPDの技術革新に伴い、SiC(シリコンカーバイド)パワーデバイスやセンサー等の製造用装置の需要拡大が期待されます。
5.モビリティ分野
自動車の電気化に伴う新たな素材や部品の採用など、当社グループのコア技術が活かせる新たなチャンスの拡大が期待されます。
6.新規分野
電力機器の部品加工・装置組立などの技術を応用し、様々な装置の低コスト量産ニーズに対応したタイ・ベトナムでの産業用装置・部品の需要拡大などが期待されます。
(2) 3つの「Advance」の開発と投入
6つの成長ドメインに次の3つの「Advance」を開発・投入していくことにより、事業成長を目指します。
1.Advanced Products(先進的新製品)
当社グループの製品の競争力である「Compact(コンパクト)」に加えて、Flexible(多様なニーズに対応)、Adjustable(メンテナンスしやすい)、一層のCompact、Environment(環境に優しい)、Smart(制御機能)の価値を加えた「Compact+FACES」の新製品を開発し市場投入していきます。
2.Advanced Technology(先進技術)
研究開発に積極的に経営資源を投じ、成長の原動力となる新技術の事業化を推進していきます。
3.Advanced Business Model(先進的ビジネスモデル)
高度化・複雑化した顧客ニーズに対応するため、ハード・ソフト・IoT・AIを融合させたソリューションを提供したり、様々な機器を組み合わせてワンパッケージで提供するなどのビジネスモデルを確立していきます。
(3) 成長を支える体質改革と革新的原価低減
成長の原動力となる人材を育成するために創立100周年記念事業の一環として建設した日新アカデミー研修センターを活用し、特に高度技術者・技能者育成に注力するためのカリキュラム新設など人材育成改革を進めております。
また、少子高齢化の中での人材不足も見据え、多様な価値観や働き方を認め、生産性が高く生きがいとメリハリのある働き方を目指すスマート活動を推進し、当社グループのみでなく重要なパートナーの協同組合日新電機協力会の組合員企業と共に、働き方改革に取り組んでいます。
更に、受注から納入までのトータルプロセスの効率向上を目指す「NPS(Nissin Production System)の生産性改革」のプロジェクト活動の中で、エンジニアリング、設計、生産技術・製造、工事・現地調整の各プロセス及びプロセス間の生産性向上と革新的原価低減に向けた活動を深化させ、収益力強化にグループをあげて取り組んでおります。
世界的に流行している新型コロナウイルス感染症への対策として、テレワーク等を積極的に推進しておりますが、この機会に仕事の仕方を抜本的に見直し、生産性の向上に繋げ、強靭な企業体質作りを目指します。
(4) 「4×Global+NEW」の事業ポートフォリオを構築し更なる成長を目指す
以上のように、6つの「成長ドメイン」に3つの「Advance」を投入すると共に、「体質改革」を進めることで、「電力機器事業」、「ビーム・真空応用事業」、「新エネルギー・環境事業」、「ライフサイクルエンジニアリング事業」の4つのセグメントを事業の柱としつつ、それらに新たな事業展開(+NEW)を加えて「4×Global+NEW」の事業ポートフォリオを構築し、一層の成長を目指します。
各事業セグメントごとの新しい事業展開(+NEW)は次のとおりです。
・電力機器事業
国内市場では、次世代電力ネットワーク構築や、発送電分離など電力システム改革の進展に加え、電力インフラのレジリエンス強化と電力の安定供給体制の構築(BCP対策)のための地産地消やスマートグリッド化の進展等に伴い、新たな事業機会が増加しています。その機会を捉え、当社は強みである系統連系技術や特別高圧分野の技術を活かした系統連系用機器や電力取引用変成器、蓄電池システムも含め様々なソリューションを提供するスマート電力供給システム(SPSS®)などを拡販してまいります。一般民需においては、工場などでの更新投資が引き続き堅調と予想されるほか、2025年の日本国際博覧会(大阪・関西万博)を見据えた市場も見込まれ、当社が長年国内トップシェアを維持する特別高圧受変電設備を中心に着実に売上拡大を図ってまいります。海外市場では、中国において内需拡大・一帯一路政策の下、当社グループが強みを発揮できる超高圧送電関連機器の拡販や現地企業とも連携した一般民需市場への参入拡大に努めます。経済成長と電力インフラの拡充が見込まれるアセアン諸国・インドなどでは、市場ニーズに適合した製品を新たに投入し事業展開を加速させます。タイ・ベトナムで推進してきた産業用装置・部品の製造受託事業では、第3の拠点として2020年度上期にミャンマーの子会社が製造・販売を開始する予定です。タイ・ベトナムでは増産投資により向上した供給能力を生かし、新規顧客の獲得に注力します。
・ビーム・真空応用事業
高精細・中小型FPD製造用イオン注入装置については、有機ELディスプレイ向けを中心とした中国パネルメーカーの投資が回復を見せており、顧客ニーズに応え生産性を向上した新機種を武器に、引き続き圧倒的なグローバルシェアと高収益の維持を目指した受注活動を展開していきます。半導体製造用イオン注入装置については、急速に引き合いが増加してきたSiC(シリコンカーバイド)パワーデバイス用の新装置やセンサー用の装置を中心に拡販を図ってまいります。電子線照射装置については、グローバルに高シェアを有する自動車関連市場の需要をコスト競争力の向上により確実に捕捉すると共に、新規用途の装置開発を加速させ、新たな市場の開拓を進めてまいります。薄膜コーティング事業については、国内外で新たな拠点を展開し、自動車部品と共に工具・金型分野において、高性能な新膜の市場投入により、売上拡大を図っていきます。
・新エネルギー・環境事業
新エネルギー事業では、環境意識の高まりを受け、今後需要の増加が期待される自家消費向け太陽光発電用や蓄電池用のパワーコンディショナの拡販を促進します。また、住友電気工業株式会社と連携し今後増加が見込まれる風力発電向けやバイオマス発電向けの機器などの拡販に注力してまいります。環境事業では、高度経済成長期に整備された上下水道施設が老朽化のため更新時期を迎えております。また、高齢化に伴う技術者不足から維持管理業務の効率化・省人化のニーズが高まっております。当社はこれらのニーズに対応すべく、IoT・AIの技術を導入したスマート電力供給システム(SPSS®)によるソリューションを積極的に提案し、更新案件の確実な受注に繋げてまいります。
・ライフサイクルエンジニアリング事業
ライフサイクルエンジニアリング事業は、設備の据付工事・調整に加え、点検・保守・修繕を通して納入した機器の安定稼働と延命化ニーズに応えていく事業であります。国内において老朽化した電力機器の延命化ニーズが増大する一方で、労働人口の減少に伴い設備の点検・保守・修繕に携わる人材が不足してきております。これに対応すべく、センサー・IoT・AIなどの技術を駆使し修繕・診断ビジネスを拡大してまいります。また、積極的なキャリア採用などによって技術者の増強を図り、アフターサービスなどストックビジネスの強化や海外サービス拠点拡充によるグローバルな事業展開を進めていきます。これまで大量のパワーコンディショナを納入した太陽光発電所に対しては、リモート監視サービスの提供などを通じて稼働状態の「見える化」をサポートし、受注に繋げてまいります。ビーム・真空応用事業のアフターサービスでは、近年急速に海外への納入台数が増加したFPD製造用イオン注入装置の保守・メンテナンスなどで事業機会の増大が見込めることから、新技術を積極的に導入して一層の事業成長を目指してまいります。
(5) 企業理念とSDGs、ESGの取り組み
当社グループは、その「事業の精神」に基づき、ステークホルダーとの確かな信頼関係構築を「行動の原点」として、多面的な価値軸を持って企業活動を推進し、「社会と産業の基盤を支える企業活動を通じて、環境と調和し活力ある社会の実現に貢献する」という企業理念の実現を目指しております。また、その中でSDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)が目的とする持続可能な社会の実現に向け、社会的課題の解決を意識した活動を積極的に織り込み、企業活動を展開してまいります。
環境問題への取り組みの一環として、2030年度に向けた温室効果ガスの削減目標について、国際的な環境団体であるSBTイニシアチブ (SBTi:Science Based Targets initiative)の認定取得を目指すことを表明し、取り組みを本格化させていきます。
(6) 新型コロナウイルス感染症の影響
2019年度は新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、電力機器事業やビーム・真空応用事業において製品の出荷保留、客先での現地調整業務の遅れ等の影響により売上計上が翌連結会計年度にずれ込みました。現時点で入手可能な情報に基づき判断したところ、国内の売上高については、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い2020年度上期も客先での施工遅れや需要減等の影響を受ける可能性がありますが、2020年度下期には徐々に回復していくと想定しております。また、中国や台湾、アセアン諸国等の海外市場についても、日本国内と同様に推移していくと想定しております。なお、台湾の市場については新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響は軽微であると判断しており、中国の市場については需要回復が他国比やや先行していくと想定しております。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響を注視しながら様々な対策を柔軟に実施し、従業員の健康・安全の確保と事業活動の維持の両立を図ります。また、この機会に事業体質の一層の強化を図るため、生産性の向上、拠点の統合、デジタルワークの推進、社員の再教育などの体質改善活動を推進してまいります。
当社グループは、2020年度の売上高1,800億円、営業利益180億円、ROA(総資産営業利益率)・ROE(自己資本利益率)いずれも10%超を目標とする中長期計画「VISION2020」を2016年4月にスタートさせました。
その4年目となる当期は、期初時点から高精細・中小型FPD製造用イオン注入装置の大幅な減収が見込まれる厳しい状況の中ではありましたが、「VISION2020」の目標達成のためにラストスパートをかける年度と位置づけ、社長直轄の「企画開発部」を中心に取り組んできた新市場開拓や新製品開発を加速しその成果を受注に繋げること、これまでの拡販活動の成果である電力機器事業の豊富な受注残高を着実に生産・売上拡大に結び付けることなどを重点課題として取り組んでまいりました。同時に、安全・品質を第一に考える企業文化・風土の定着を図りつつ、中長期的な事業規模拡大に向け、生産性向上のために全員参加の改善活動による業務プロセスの抜本的見直しを進めると共に、生産体制整備及び合理化のための設備投資を積極的に推進しました。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により内外の経済は急速に悪化し、2020年度は厳しい状況が続くことが予想されます。当社グループはグローバルな需要やサプライチェーン全般の動向を注視しながら、様々な対策を柔軟に実施することと並行して、「VISION2020」の各事業セグメントの成長戦略を基本に次のとおり事業展開を進めてまいります。
「VISION2020」における重点活動の内容は次のとおりであります。
(1) 6つの成長ドメイン
次の6つの成長ドメインにおいて当社グループのコア技術を活用して新たな事業拡大を目指します。
1.国内の電力機器、新エネルギー・環境分野
発送電分離や分散電源活用に伴う電力市場の大変革や、2018年の北海道でのブラックアウトで重要性が認識された電力インフラのレジリエンス(復元力)の強化に向け、新たな製品・システム・サービスの需要拡大が期待されます。
2.海外の電力機器、新エネルギー・環境分野
アセアン・インドなど新興国における電力需要の高まりによるインフラ整備の進展に伴い、海外市場の拡大が期待されます。
3.ライフサイクルエンジニアリング分野
電力機器、パワーコンディショナ、ビーム・真空応用装置などの納入台数拡大に伴い、状態監視・点検・修理・更新などの需要増大が期待されます。
4.次世代半導体・FPD製造用装置分野
今後予想される半導体やFPDの技術革新に伴い、SiC(シリコンカーバイド)パワーデバイスやセンサー等の製造用装置の需要拡大が期待されます。
5.モビリティ分野
自動車の電気化に伴う新たな素材や部品の採用など、当社グループのコア技術が活かせる新たなチャンスの拡大が期待されます。
6.新規分野
電力機器の部品加工・装置組立などの技術を応用し、様々な装置の低コスト量産ニーズに対応したタイ・ベトナムでの産業用装置・部品の需要拡大などが期待されます。
(2) 3つの「Advance」の開発と投入
6つの成長ドメインに次の3つの「Advance」を開発・投入していくことにより、事業成長を目指します。
1.Advanced Products(先進的新製品)
当社グループの製品の競争力である「Compact(コンパクト)」に加えて、Flexible(多様なニーズに対応)、Adjustable(メンテナンスしやすい)、一層のCompact、Environment(環境に優しい)、Smart(制御機能)の価値を加えた「Compact+FACES」の新製品を開発し市場投入していきます。
2.Advanced Technology(先進技術)
研究開発に積極的に経営資源を投じ、成長の原動力となる新技術の事業化を推進していきます。
3.Advanced Business Model(先進的ビジネスモデル)
高度化・複雑化した顧客ニーズに対応するため、ハード・ソフト・IoT・AIを融合させたソリューションを提供したり、様々な機器を組み合わせてワンパッケージで提供するなどのビジネスモデルを確立していきます。
(3) 成長を支える体質改革と革新的原価低減
成長の原動力となる人材を育成するために創立100周年記念事業の一環として建設した日新アカデミー研修センターを活用し、特に高度技術者・技能者育成に注力するためのカリキュラム新設など人材育成改革を進めております。
また、少子高齢化の中での人材不足も見据え、多様な価値観や働き方を認め、生産性が高く生きがいとメリハリのある働き方を目指すスマート活動を推進し、当社グループのみでなく重要なパートナーの協同組合日新電機協力会の組合員企業と共に、働き方改革に取り組んでいます。
更に、受注から納入までのトータルプロセスの効率向上を目指す「NPS(Nissin Production System)の生産性改革」のプロジェクト活動の中で、エンジニアリング、設計、生産技術・製造、工事・現地調整の各プロセス及びプロセス間の生産性向上と革新的原価低減に向けた活動を深化させ、収益力強化にグループをあげて取り組んでおります。
世界的に流行している新型コロナウイルス感染症への対策として、テレワーク等を積極的に推進しておりますが、この機会に仕事の仕方を抜本的に見直し、生産性の向上に繋げ、強靭な企業体質作りを目指します。
(4) 「4×Global+NEW」の事業ポートフォリオを構築し更なる成長を目指す
以上のように、6つの「成長ドメイン」に3つの「Advance」を投入すると共に、「体質改革」を進めることで、「電力機器事業」、「ビーム・真空応用事業」、「新エネルギー・環境事業」、「ライフサイクルエンジニアリング事業」の4つのセグメントを事業の柱としつつ、それらに新たな事業展開(+NEW)を加えて「4×Global+NEW」の事業ポートフォリオを構築し、一層の成長を目指します。
各事業セグメントごとの新しい事業展開(+NEW)は次のとおりです。
・電力機器事業
国内市場では、次世代電力ネットワーク構築や、発送電分離など電力システム改革の進展に加え、電力インフラのレジリエンス強化と電力の安定供給体制の構築(BCP対策)のための地産地消やスマートグリッド化の進展等に伴い、新たな事業機会が増加しています。その機会を捉え、当社は強みである系統連系技術や特別高圧分野の技術を活かした系統連系用機器や電力取引用変成器、蓄電池システムも含め様々なソリューションを提供するスマート電力供給システム(SPSS®)などを拡販してまいります。一般民需においては、工場などでの更新投資が引き続き堅調と予想されるほか、2025年の日本国際博覧会(大阪・関西万博)を見据えた市場も見込まれ、当社が長年国内トップシェアを維持する特別高圧受変電設備を中心に着実に売上拡大を図ってまいります。海外市場では、中国において内需拡大・一帯一路政策の下、当社グループが強みを発揮できる超高圧送電関連機器の拡販や現地企業とも連携した一般民需市場への参入拡大に努めます。経済成長と電力インフラの拡充が見込まれるアセアン諸国・インドなどでは、市場ニーズに適合した製品を新たに投入し事業展開を加速させます。タイ・ベトナムで推進してきた産業用装置・部品の製造受託事業では、第3の拠点として2020年度上期にミャンマーの子会社が製造・販売を開始する予定です。タイ・ベトナムでは増産投資により向上した供給能力を生かし、新規顧客の獲得に注力します。
・ビーム・真空応用事業
高精細・中小型FPD製造用イオン注入装置については、有機ELディスプレイ向けを中心とした中国パネルメーカーの投資が回復を見せており、顧客ニーズに応え生産性を向上した新機種を武器に、引き続き圧倒的なグローバルシェアと高収益の維持を目指した受注活動を展開していきます。半導体製造用イオン注入装置については、急速に引き合いが増加してきたSiC(シリコンカーバイド)パワーデバイス用の新装置やセンサー用の装置を中心に拡販を図ってまいります。電子線照射装置については、グローバルに高シェアを有する自動車関連市場の需要をコスト競争力の向上により確実に捕捉すると共に、新規用途の装置開発を加速させ、新たな市場の開拓を進めてまいります。薄膜コーティング事業については、国内外で新たな拠点を展開し、自動車部品と共に工具・金型分野において、高性能な新膜の市場投入により、売上拡大を図っていきます。
・新エネルギー・環境事業
新エネルギー事業では、環境意識の高まりを受け、今後需要の増加が期待される自家消費向け太陽光発電用や蓄電池用のパワーコンディショナの拡販を促進します。また、住友電気工業株式会社と連携し今後増加が見込まれる風力発電向けやバイオマス発電向けの機器などの拡販に注力してまいります。環境事業では、高度経済成長期に整備された上下水道施設が老朽化のため更新時期を迎えております。また、高齢化に伴う技術者不足から維持管理業務の効率化・省人化のニーズが高まっております。当社はこれらのニーズに対応すべく、IoT・AIの技術を導入したスマート電力供給システム(SPSS®)によるソリューションを積極的に提案し、更新案件の確実な受注に繋げてまいります。
・ライフサイクルエンジニアリング事業
ライフサイクルエンジニアリング事業は、設備の据付工事・調整に加え、点検・保守・修繕を通して納入した機器の安定稼働と延命化ニーズに応えていく事業であります。国内において老朽化した電力機器の延命化ニーズが増大する一方で、労働人口の減少に伴い設備の点検・保守・修繕に携わる人材が不足してきております。これに対応すべく、センサー・IoT・AIなどの技術を駆使し修繕・診断ビジネスを拡大してまいります。また、積極的なキャリア採用などによって技術者の増強を図り、アフターサービスなどストックビジネスの強化や海外サービス拠点拡充によるグローバルな事業展開を進めていきます。これまで大量のパワーコンディショナを納入した太陽光発電所に対しては、リモート監視サービスの提供などを通じて稼働状態の「見える化」をサポートし、受注に繋げてまいります。ビーム・真空応用事業のアフターサービスでは、近年急速に海外への納入台数が増加したFPD製造用イオン注入装置の保守・メンテナンスなどで事業機会の増大が見込めることから、新技術を積極的に導入して一層の事業成長を目指してまいります。
(5) 企業理念とSDGs、ESGの取り組み
当社グループは、その「事業の精神」に基づき、ステークホルダーとの確かな信頼関係構築を「行動の原点」として、多面的な価値軸を持って企業活動を推進し、「社会と産業の基盤を支える企業活動を通じて、環境と調和し活力ある社会の実現に貢献する」という企業理念の実現を目指しております。また、その中でSDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)が目的とする持続可能な社会の実現に向け、社会的課題の解決を意識した活動を積極的に織り込み、企業活動を展開してまいります。
環境問題への取り組みの一環として、2030年度に向けた温室効果ガスの削減目標について、国際的な環境団体であるSBTイニシアチブ (SBTi:Science Based Targets initiative)の認定取得を目指すことを表明し、取り組みを本格化させていきます。
(6) 新型コロナウイルス感染症の影響
2019年度は新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、電力機器事業やビーム・真空応用事業において製品の出荷保留、客先での現地調整業務の遅れ等の影響により売上計上が翌連結会計年度にずれ込みました。現時点で入手可能な情報に基づき判断したところ、国内の売上高については、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い2020年度上期も客先での施工遅れや需要減等の影響を受ける可能性がありますが、2020年度下期には徐々に回復していくと想定しております。また、中国や台湾、アセアン諸国等の海外市場についても、日本国内と同様に推移していくと想定しております。なお、台湾の市場については新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響は軽微であると判断しており、中国の市場については需要回復が他国比やや先行していくと想定しております。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響を注視しながら様々な対策を柔軟に実施し、従業員の健康・安全の確保と事業活動の維持の両立を図ります。また、この機会に事業体質の一層の強化を図るため、生産性の向上、拠点の統合、デジタルワークの推進、社員の再教育などの体質改善活動を推進してまいります。