訂正有価証券報告書-第70期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2017/06/27 15:37
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事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月28日)現在において当社が判断したものです。
(1) 経済状況
当社グループの全世界における売上高のうち、重要な部分を占める民生用エレクトロニクス製品の需要は、当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受ける可能性があります。消費者にとって当社グループ製品を購入することは、多くの場合必要不可欠なことであるとは言えません。同様に、当社グループの業務用製品および当社グループのカーエレクトロニクス製品など、他社製品に部品として使用される当社グループ製品の需要も、当社グループが製品を販売している様々な市場における経済状況の影響を受けます。従って、日本、北米、欧州、アジア、中南米を含む当社グループの主要市場における景気後退、およびそれに伴う需要の縮小は、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。例えば、競合他社が現地でより低廉な人件費の労働力を雇用した場合、当社グループと同種の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、当社グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、部品や原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当社グループのみならず他のメーカーでも、製造原価が(対円または対ドルで)下がる可能性があります。このような傾向により、輸出競争や価格競争が激化し、いずれも当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 為替レートの変動
当社グループの事業には、全世界における製品の生産と販売が含まれています。当社グループが生産を行う地域における通貨価値の上昇は、それらの地域における製造と調達のコストを押し上げる可能性があります。このようなコストの増加は、当社グループの利益率を低下させ、それによって当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、為替レートの変動は当社グループ製品の現地価格に影響し、現地市場における競争力に悪影響を与える場合があります。さらに、同様の理由により、為替レートの変動は、当社グループの顧客(特に輸出が事業の大部分を占めている自動車メーカーをはじめとした日本企業の顧客)の当社グループ製品に対する需要を縮小させる可能性があります。一般的に、米ドルを除く他の通貨に対する円高は当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす傾向があります。また、海外におけるOEM顧客製品の売上は円高によって悪影響を受ける傾向があり、当社グループの事業、財政状態および経営成績にも悪影響を及ぼす可能性があります。一方、米ドルに対する円安は、海外子会社で生産し日本に輸入して販売する国内市場向け民生用製品や国内OEM顧客向け製品の仕入金額を上昇させ、当社グループの事業、財政状態および経営成績にも悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外で生産を行う子会社が輸出を行う場合の大部分を米ドル建で行っており、米ドルに対する他通貨の為替レートの変動などに伴う輸出金額の下落などにより、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。他方、海外で販売を行う子会社が輸入を行う場合の大部分を米ドル建で行っており、米ドルに対する他通貨の為替レートの変動などに伴う仕入金額の上昇などにより、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、通貨ヘッジ取引を行い、米ドル、ユーロおよび円などの通貨間の為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、中長期的な通貨変動により、計画された調達、製造、流通および販売活動を確実に実行できない場合があるため、為替レートの変動は当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの有する資産および負債の相当額は外貨建てであると共に、外貨建て取引による費用および収益も相当額あります。従って、為替レートの変動は、日本円以外の通貨建ての科目の円換算後の価額に影響を及ぼす可能性があります。当該貸借対照表の作成日現在の為替レートを使用した換算の結果生じる調整は、純資産の部の「為替換算調整勘定」として計上されます。当社グループの連結貸借対照表上では、為替換算調整勘定は、平成27年3月31日現在および平成28年3月31日現在において、それぞれ47,369百万円および56,329百万円が純資産の部にマイナス項目として計上されています。
(3) 資金調達環境の変化
平成28年3月31日現在、当社グループの借入金および転換社債の合計残高は37,328百万円となっています。実勢金利が上昇した場合、当社グループが支払う金利あるいは当社グループの債務が満期を迎えた際の資金の再調達コストが増加し、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、金融市場が不安定な混乱状況に陥った場合、金融機関が自己資本規制強化に伴い貸出を圧縮した場合、あるいは当社の財政状態が悪化した場合、新たに同様の条件により借換えまたは新規の借入れを行えず、当社グループが適時に必要とする金額の調達を行うことができない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があり、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 新製品開発力
当社グループの売上の大部分は革新的な新製品の売上に拠っています。当社グループの将来の成長は主にカーエレクトロニクスとその関連領域や新規領域において革新的で魅力ある新製品の開発と販売に依存すると予想しています。当社グループは革新的で魅力ある新製品を継続的に開発できると考えていますが、当社グループが属する業界は技術的な進歩をはじめとする急速な変化が起こるのが特徴です。新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが存在します。
① 当社グループが新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後も十分に充当できる保証はありません。
② 当社グループが長期的な投資と大量の資源の投入を行ったとしても、成功を収める新製品または新技術を開発できる保証はありません。
③ 当社グループの研究能力や技術が市場の要求に沿ったものであることや、当社グループが新たに開発した製品または技術の販売が成功する保証はありません。
④ 当社グループが新たに開発した製品または技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。
⑤ 技術の急速な進歩や消費者の嗜好の変化により、当社グループ製品が時代遅れになる可能性があります。
⑥ 現在開発中の新技術の商品化の遅れにより、当社グループの製品が市場の要求に追い付かなくなる可能性があります。
上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 競争
カーエレクトロニクスを含むエレクトロニクス業界における競争は大変厳しいものとなっています。当社グループは、当社グループが事業を行う様々な製品市場と地域市場において、競争の激化に直面しており、将来も競争の激化に直面し続けることが予想されます。競合先にはメーカーや販売業者があり、その一部は当社グループよりも研究、開発や製造、市場調査により多くの資本投下をすることが可能であり、広く認知されたブランドまたは当社グループの顧客の一部との間で長期の取引関係もしくは資本関係を有しています。また、技術が進歩し、新しいエレクトロニクス製品が市場の支持を獲得していくと同時に、新しい競合先が台頭し、既存の競合先間での提携が進み、市場での大きなシェアを急速に獲得する可能性があります。このような熾烈な競争環境において、当社グループが将来においても効率的に競争できるという保証はありません。価格面での圧力または効率的に競争できないことによる顧客もしくは潜在的顧客の喪失は、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
例えば、当社グループは、後付(アフターマーケット)の据置型カーナビゲーションシステムやオーディオシステムの市場において優位な立場にあると考えられますが、製品のコモディティ化による新興国メーカーの台頭や、カーナビゲーション機能を持つ携帯電話端末(スマートフォン)に代表される情報サービスのさらなる進化など、かかるアフターマーケットの競争環境や市場構造が大きく変わる可能性があります。今後価格競争のさらなる激化や市場構造の変化がさらに進むと、当社グループが市場シェアを失い、当社グループの収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 事業戦略の成否
事業や経済状況の変化、または将来の不確実な要因や予期しない要因により、当社グループの戦略や計画を実行すること、設定された目的や目標を期限内に達成することやこれら目的や目標の達成そのもの、またはかかる目的や目標を掲げること自体が困難になる可能性があります。当社グループが、かかる戦略的目的や、当社グループが公表した戦略や計画において設定した量的、質的目標を達成できるという保証はなく、また当社グループの経営陣がかかる目的や目標を将来にわたって変更しないという保証はありません。加えて、かかる目的や目標の達成が困難な事態に陥った際も、既存顧客へのサービス提供など市場への継続的対応が社会的に求められることがその事業にかかる撤退障壁となり、当社の意思に関わらず事業からの撤退が実行できない可能性があります。
さらに、事業戦略上重要な分野においては、継続的な設備投資を行っており、今後も当該分野および新規事業において設備投資を行う予定ですが、予期せぬ市場環境の変化等により事業が想定通り進展せず、その結果、設備投資の一部または全部について回収できない、あるいは回収できるとしても想定より長い期間を要する可能性があります。この場合、当該設備投資を行った資産が減損の対象になり、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、適切な機会を得た場合、当社の成長戦略に従い、事業の拡大、販売網の拡大、競争力の強化および市場シェアの拡大を目的として、第三者との間で企業買収や出資を行う可能性があります。しかしながら、経済状況および事業環境の変化により、または経営、財務、企業文化の違いもしくはその他の理由により、これらにつき期待どおりの成果を得ることができない可能性や、投下した資本の一部または全部について回収できない、あるいは回収できるとしても想定より長い期間を要する可能性があります。この場合、当社グループの事業、財政状態および経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) OEM顧客企業の業績への依存
当社グループは、世界中の自動車メーカーおよびエレクトロニクスメーカーを主な対象としてOEM事業を展開しています。当社グループが提供する製品は、カーステレオ製品、カーナビゲーションシステム、光ディスクドライブを含んでいます。当社グループがOEMとして供給しているカーエレクトロニクス製品の大部分は、主に、日本の自動車メーカーに対して提供されています。これらの分野における顧客企業への売上は、その顧客企業の業績や当社グループが管理することのできない要因により大きな影響を受けます。また、顧客の要求に応じるための値下げは、当社グループの利益率を低下させる可能性があります。顧客企業の業績不振、予期しない契約の終了、OEM顧客の調達慣行の変化、大口顧客の要求に応じるための大幅な値下げは、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 他社との提携等の成否
当社グループは技術開発や新興国市場の事業拡大の一環として、経営資源を最適化し、技術の集約による相乗効果を利用するために事業協力、技術提携や合弁の形で他社と共同で事業活動を多く行っています。
このような共同事業は、当社グループの事業拡大に向けた努力の重要な一環をなしています。当社グループは、成長市場である中国において、上海汽車工業(集団)総公司との間で合弁会社を設立して事業を行っています。また、家電量販大手の蘇寧雲商集団股份有限公司と提携し、当社グループのブランドを活用したビジネスを展開しています。国内においては、光ディスク事業においてシャープ株式会社と合弁会社を設立し、ブルーレイディスク等の共同開発を進めています。三菱電機株式会社とは、カーナビゲーションを進化させた次世代車載機器に関する資本業務提携契約を結んでいます。株式会社NTTドコモとは、クラウドを活用した情報サービス事業に注力する一方、情報サービス事業のグローバル展開も目指します。さらに、三菱化学株式会社とは、有機EL照明に関して共同開発を進めています。当社グループは、引き続き新たな事業協力を行う機会を前向きに活用する予定です。
しかしながら、経営、財務またはその他の理由によりこれら共同事業の当事者間で意見の相違が生じたことなどにより、当社グループがこれら共同事業の目的を達することができなかった場合、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 海外における事業活動
当社グループの生産活動の大部分ならびに販売活動の過半は、日本国外で行われています。特に、生産施設の大部分は中国、タイおよびブラジル等の新興国にあります。これらの海外で事業活動を行うことには以下をはじめとする様々なリスクが内在しています。
① 予期しない法律または規制の変更
② 不利な政治または経済要因
③ 人材の採用と確保の難航
④ ストライキ等の労働争議
⑤ 当社グループが生産活動を行う国における人件費の大幅な上昇
⑥ 未整備の社会インフラが、当社グループの生産その他の活動に悪影響を及ぼす可能性
⑦ 独占禁止、為替管理、異なる事業慣行および商慣行
⑧ 税制等の変更や移転価格税制による課税
⑨ テロ、戦争、自然災害、悪影響をもたらす気候変動、感染症、伝染病、その他の要因による社会的、政治的または経済的な混乱
これらのリスクはいずれも、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) 新興市場への対応
当社グループは、新興国をはじめとした、成長の見込みがある海外市場へ販売網を拡大しようとしています。かかる市場における当社グループ製品の需要は、社会インフラ、可処分所得、消費者の嗜好および消費行動などの要因が異なることから、日本およびその他先進国の需要とは大きく異なる可能性があります。ビジネス上の慣行も異なる可能性があり、かかる市場においては事業を成長させるにあたり、現地の提携先との関係が特に重要です。当社グループが進出を目指す現地市場の需要に的確に対応することができず、市場の傾向を正しく見極められない場合、または当該市場において有用な提携先を見つけられない場合や、そのような提携先との関係を維持できない場合、当社グループはかかる進出のために支出した投資額を回収できない可能性があり、当社グループの事業、財政状態および経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、新興市場においては、政情不安やその他の当社グループや当社グループの取引先が管理できない事象により、当社グループの製品の販売に影響を及ぼす可能性があり、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11) 特定のグループ外部品供給元や製造委託先への依存
当社グループは重要部品を自社で製造するよう努める一方で、重要部品の供給を複数のグループ外供給元に依存しています。半導体を含む当社グループの最重要部品の一部はグループ外の企業によって製造されています。当社グループはグループ外供給元との間で更新可能な短期契約を通常締結しています。また、近年、コスト削減を主な目的として、自社での生産設備を持たずに製品の設計から製造をグループ外企業に委託するいわゆるODM/EMS調達も増加しています。
当社グループは戦略的な提携を行うなどの措置により必要な供給量の確保に努めていますが、時に重要部品の不足が生じないという保証はありません。もし、当社グループがグループ外供給元との契約を変更せざるを得ない事態が生じた場合、当社グループにとって必要不可欠な重要部品の調達が困難となり、原価上昇という結果をもたらす可能性があります。また、民生用エレクトロニクス製品の需要が多い時期、および半導体などの部品が世代交代する時期には、部品メーカーは当社グループが必要とする数量の部品を十分かつ迅速に提供できない可能性があります。天災や当社グループが管理できない事象により、重要部品の供給が不足したり、その他重大な問題が生じる可能性があります。重要部品が不足すると、部品の価格高騰、供給不足および品質管理上の問題などが発生する可能性があります。さらに、当社グループの仕様に従った適正な品質の部品を供給するはずの当社グループ外供給元が、かかる当社グループの仕様に従った適正な品質の製品を当社グループと合意した期限およびコストで供給できない場合、当社グループの生産に問題を引き起こす可能性があります。これらの要因はいずれも、当社グループの事業、財政状態および経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があるとともに、OEM顧客との関係の悪化につながる可能性があります。また、今後ODM/EMS調達への依存度が高まった場合、上記で述べた重要部品についてのグループ外供給元への依存と同様の問題が生じる可能性があり、さらに、当社が目標生産量や品質水準に到達できない可能性があります。
(12)在庫管理
当社グループは、当社グループの製品に対する需要予測に基づいて事前に決定した生産計画および在庫計画に従って部品を発注し、製品を生産していますが、当該需要は変動が大きく、正確に予想することは困難です。不正確な需要予測は、製品や部品の在庫の不足または超過につながり、生産計画の混乱、販売機会の喪失または棚卸資産の評価損の計上を含む在庫調整を生じさせます。かかる要因はいずれも、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)顧客の資金状況・財政状態
当社グループの顧客のなかには、代金後払の条件で当社グループより製品・サービスを購入している顧客がいます。当社グループが多額の売掛債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限どおりの支払を得られない場合、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14) キーパーソンの育成および確保
当社グループの製品および技術は複雑で、当社グループの将来の成長と成功は有能なエンジニアやその他のキーパーソンに大きく依存するため、当社グループの成功のためには技術力の高いエンジニアやその他のキーパーソンの育成と確保が重要です。キーパーソンを育成または確保できなかった場合には、当社グループの将来の成長、事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15) 知的財産保護
当社グループは他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきたと考えていますが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の地域では法的制限のため、知的財産権による保護が全くなされなかったり、または限定的にしか保護されない状況にあります。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造するのを効果的に防止できない可能性があります。また、他社が当社グループと類似する技術、もしくは当社グループより優れた技術を開発すること、当社グループの特許や企業秘密を模倣することや当社グループの特許や企業秘密についてリバースエンジニアリングを行うことを防止できない可能性があります。さらに、将来、当社グループの製品または技術が他社の知的財産権を侵害しているとして、当社グループが訴訟等を提起され、または当社グループが自らの知的財産権を保全するため訴訟等を提起しなければならない事態が生じる可能性があります。このような訴訟等に対しては、時間、費用その他の経営資源が費やされ、また、訴訟等の結果によっては、当社グループが損害賠償責任を負う可能性があります。
(16) グループ外へのブランドの使用許諾
当社グループは平成27年3月2日付でホームAV事業をオンキヨー株式会社グループに、DJ機器事業をKohlberg Kravis Roberts & Co. L.P.の関連会社に譲渡いたしましたが、パイオニアブランドの継続使用を許諾しています。当社グループ外企業においてパイオニアブランドを使用した製品を生産・販売することで、それらの製品に重大な欠陥や事故が発生した場合、パイオニアブランドの毀損につながり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 製品の欠陥
当社グループは世界中の工場で国際的に認められている品質管理基準に従って各種の製品を製造しています。しかし、全ての製品について欠陥が無く、将来においてリコールが発生しないという保証はありません。また、当社グループは、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が当社グループの最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。さらに、当社グループが引き続きこのような保険に当社グループにとって受け入れられる条件で加入できるとは限りません。大規模なリコールや当社グループに対する製造物責任賠償が認められると、多額のコストが発生したり、当社グループの評価に大きな悪影響を与え、それにより売上が低下する可能性があります。さらに、当社グループがOEMとして供給している製品について重大な欠陥が発見された場合、特にかかる欠陥がリコールにつながる場合、当社グループとOEM顧客との関係に重大な悪影響を及ぼし、かかるOEM顧客が相当の期間にわたって当社製品の発注を控えることにつながる可能性があります。これらの要因はいずれも、当社グループの事業、財政状態および経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
(18) 公的規制
当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制などの様々な各国政府の規制の適用を受けています。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管理、環境・リサイクルにかかわる法規制の適用も受けています。これらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限される可能性があります。また、現在および将来の規制を遵守することによって追加的な費用が発生することがあります。以上のことから、これらの規制は当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、環境・リサイクルにかかわる法規制については、当社グループは、大気汚染、水質汚濁、有害物質の使用および取り扱い、廃棄物処理、製品含有化学物質、製品リサイクルならびに土壌・地下水汚染の規制や地球温暖化防止などを目的とした様々な法規制の適用を受けています。また、当社グループは、過去、現在および将来の生産活動に関し、環境責任を負うリスクを抱えています。将来、新たなまたはより厳格化する環境規制の遵守や、有害物質等を除去する義務に関する費用が発生する場合、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(19) 災害や停電等による影響
日本および当社グループが生産を行っている一部の国においては、地震、台風、洪水、津波、感染症や伝染病を含むその他の自然災害が過去に発生しています。さらに、停電、意図的サボタージュやコンピュータウィルスの流布等のように当社グループや当社グループの供給元が管理できない事象や人的ミスや設備の不具合による事故が、当社グループの事業、当社グループの供給元が保有する生産施設その他の施設、または当社グループもしくは当社グループの供給元の流通システムのいずれに対しても、損害を及ぼしたり、運営上の障害を与えるなどの悪影響を及ぼす可能性があります。このような事象が生じると、当社グループの情報システムの停止による損失、設備の修理や交換費用の発生による損失、部品や原材料の不足などによる生産の停止や代替品の確保に伴う生産コストの上昇、生産プロセスおよび流通システムの混乱による損失、ならびに顧客への製品配送の遅れ、在庫の損失および販売機会の喪失につながる可能性があります。当社グループは、リスク管理システムの一環として、上記のリスクを減らすため、設備の定期的な点検を実施しており、また、非常時における連絡体制および事業継続計画の作成や訓練についても実施しています。また、当社グループは、当社グループの設備において生じうる一定の損失をカバーする保険に加入していますが、かかる保険は、生じうる全ての損失や費用を十分にカバーできない可能性があります。2011年10月に始まったタイの洪水発生後は保険会社が洪水による損失を十分にカバーできる保険を引き受けていないため、当社グループでも今後タイにおいて洪水による損失が生じる可能性があります。さらに、同様の事象が当社グループのOEM顧客企業に様々な影響を与える可能性があります。これらの要因はいずれも、当社グループの事業に障害を与える可能性があり、当社グループの事業、財政状態および経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
(20) 情報セキュリティ
当社グループは、事業遂行に関連して、多数の個人情報を有しています。また、当社グループの技術、営業、その他事業に関する企業秘密を多数有しています。当社グループは、情報管理に万全を期していますが、予期せぬ事態により情報が流出し、第三者がこれを不正に取得、使用するような事態が生じた場合、当社グループの事業、財政状態および経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業活動において情報システムの役割は極めて重要です。当社グループは、情報システムの安定的運用に努めていますが、コンピュータウィルス、ソフトウエアまたはハードウエアの障害、災害、テロ、サイバー攻撃等により情報システムが機能しなくなる可能性が皆無ではありません。
(21) 財務制限条項
当社は、平成26年9月25日付で、複数の金融機関とシンジケーション方式による金銭消費貸借契約を締結しました。当該契約の借入期間は3年となっています。また、平成28年3月31日現在、当該契約に基づく借入残高は10,000百万円となっています。
当該契約には、連結および単体の貸借対照表における純資産の一定水準の維持を内容とする財務制限条項が定められており、当該財務制限条項に違反した場合、一定割合以上の残高を有する貸付人の請求により、当社は当該契約に基づく借入れにつき期限の利益を喪失することとなります。かかる場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
(22) 退職給付債務
当社グループは、退職給付を受け取る資格のある従業員が退職する際に、一定の従業員退職給付を支払ったり、一定の従業員退職給付債務を負担する義務を負っています。当社グループの年金制度の資産(特に市場環境に影響を受ける市場性のある有価証券)の価額が減少した場合、年金制度の積立金不足がさらに増加する可能性があります。
従業員退職給付費用および債務の金額は、関係する保険数理計算に使用される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、現在の統計データに基づいた割引率、退職率および死亡率、ならびに年金資産の長期運用利回りその他要因が含まれています。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は即時に負債として認識され、また将来にわたって規則的に費用化されます。このように割引率の低下や年金資産の運用利回りの悪化は当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(23) 資産価値の減少
当社グループは、資産または資産グループの帳簿価額が回収できない可能性を示す事象または状況の変化がある場合、固定資産の減損に関するレビューを行います。減損損失は、資産または資産グループの帳簿価額が資産または資産グループの使用および処分から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額を超過している場合に認識されます。減損損失は、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を上回る金額として測定され、回収可能価額は使用価値または正味売却価額のいずれか高い金額で算定されます。ある会計年度において、当該資産または資産グループの回収可能価額の低下によって減損損失が生じた場合、かかる減損損失は、当社グループの事業、財政状態および経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループは、市場またはその他の方法によって売却処分する計画のある、一定の資産(不動産等)を保有しています。関係する市場における市況の悪化、その他の要因によって、かかる資産価格が低下した場合、当社グループは、予定していた価格でかかる資産を売却処分できない可能性があります。
当社グループは、他社との事業上の関係等を維持または促進するため、株式等の市場性のある有価証券を保有しています。かかる市場性のある有価証券は、市場価格の下落リスクにさらされています。景気後退や株式市況の変動により、保有する有価証券の市場価格が下落した場合、当社グループは、保有する株式の評価損を計上し、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(24) 繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得を減額する効果がある繰越欠損金および将来減算一時差異に係る繰延税金資産を計上しています。この繰延税金資産は、課税所得によってのみ回収されるため、市況やその他の環境のさらなる悪化により、繰越期間中の当社グループの事業およびタックス・プランニングによる将来の課税所得が予想よりも低いと見込まれる場合には、回収可能と考えられる当社グループの繰延税金資産の額が減額される可能性があります。また、法人税率の引下げ等の租税法令の改正や会計基準の変更がなされた場合においても、当社グループの繰延税金資産の額が減額される可能性があります。かかる減額は、その調整が行われた期間における当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を与えます。
(25) 訴訟および法的手続き
当社グループは、世界各地域において、その事業の遂行に関し、訴訟および規制当局による法的手続きに服するリスクにさらされています。訴訟および規制当局による法的手続きは、当社グループに多額かつ不確定な損害賠償や事業活動の制約をもたらすことがあります。その発生の可能性や影響の程度を予測するには相当の期間を要する場合があります。例えば、公正な競争に反する市場慣行に関する政府の監督が、訴訟や規制当局による法的手続きにつながる可能性があります。多大な法的責任や規制当局による不利な措置が課された場合や、訴訟および規制当局による法的手続きへの対応に多大なコストがかかった場合、当社グループの評判、事業、財政状態および経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
(26) コンプライアンス・内部統制関係
当社グループは、世界各地域において様々な事業分野で事業活動を展開しており、各地域の法令、規則の適用を受けます。当社グループは、コンプライアンス(法令遵守)、財務報告の適正性確保を始めとする目的達成のために必要かつ適切な内部統制システムを構築し、運用していますが、常に有効な内部統制システムを構築および運用できる保証はなく、また、内部統制システムは本質的に内在する固有の限界があるため、その目的が完全に達成されることを保証するものではありません。したがって、将来にわたって法令違反等が発生する可能性が皆無ではありません。また、法規制や当局の法令解釈が変更になることにより法規制等の遵守が困難になり、または遵守のための費用が増加する可能性があります。