有価証券報告書-第53期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/27 11:12
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【項目】
106項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度は、前半に急速な円高が進行し、後半には円安に転じるなど為替相場の変動が続きました。国内については、外需の回復とともに景気は総じて緩やかな拡大を続けましたが、個人消費には停滞感も見られました。輸出環境については、米国は新政権発足に伴う政策見通しの不確実性が増したものの、雇用・所得環境の改善により個人消費の拡大が継続しました。欧州では英国のEU離脱問題による経済への影響も限定的だったことから、内需主導による緩やかな回復基調が続きました。一方、中国をはじめとする新興国や資源国では成長鈍化による景気の下振れ懸念が強まりました。
このような状況のもとで、当企業集団は、デジタル化の流れに対応した製品開発を進めるとともに、世界の幅広い顧客獲得を目指して新規市場の開拓及び販売網の強化に努めましたが、第3四半期までの為替の急激な円高進行が業績へ大きく影響を与える状況となりました。
この結果、当連結会計年度の連結売上高は240億9千2百万円と前年同期に比べ27億8千2百万円(10.4%減)の減収となり、営業利益は7億3千2百万円と前年同期に比べ16億3千5百万円(69.1%減)の減益となりました。また、経常利益は7億2千4百万円と前年同期と比べ16億2千7百万円(69.2%減)の減益となり、親会社株主に帰属する当期純利益も4億7千3百万円と前年同期に比べ11億8千6百万円(71.5%減)の減益となりました。
売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
親会社株主に帰属する当期純利益
(百万円)
当連結会計年度
(平成29年3月期)
24,092732724473
前連結会計年度
(平成28年3月期)
26,8742,3672,3511,660
前年同期比増減率△10.4%△69.1%△69.2%△71.5%

セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 日本[当社、和歌山アイコム㈱、アイコム情報機器㈱]
国内市場では、アマチュア用無線通信機器は新製品効果から底堅く推移しましたが、陸上業務用無線通信機器は、前年度にあった官庁特需の終了による反動減が大きく、新ジャンルのIPトランシーバーが大手交通機関や自治体で採用されるなど売上増に貢献しましたが、市場全体として減収となりました。海外市場では、東南アジア向けは中国など一部地域を除き堅調でしたが、欧州・アフリカ向けが減収となり、市場全体としても減収となりました。この結果、本セグメントの外部顧客に対する売上高は147億7千9百万円(前年同期比7.7%減)となりました。
利益面では、為替の影響を強く受けたことや、試験研究費など販売費及び一般管理費の負担増により、営業利益は4億9千9百万円(前年同期比77.4%減)となりました。
② 北米[Icom America,Inc.、ICOM CANADA HOLDINGS INC.、ICOM DO BRASIL RADIOCOMUNICACAO LTDA. ]
カナダでは、東部地域の販路拡大等により陸上業務用及び海上用無線通信機器が大きく増収となりました。米国本土及び中南米においては、販売網の整備や東部地域のサービス体制の強化に努めましたが、主力の陸上業務用無線通信機器では、アナログ無線機は堅調に推移したものの、デジタル無線機を伸ばすことができず、また、アマチュア用無線通信機器及び海上用無線通信機器も減収となりました。一方、航空用無線通信機器は空港業務用途で増収となりました。対米ドルで前年同期と比べ大幅な円高が進行したこともあり外部顧客に対する売上高は73億1千8百万円(前年同期比17.5%減)となりました。
利益面では、販売費及び一般管理費の削減に努めましたが3千7百万円の営業損失(前年同期は1千万円の営業利益)となりました。
③ ヨーロッパ[Icom(Europe)GmbH、Icom Spain, S.L.]
陸上業務用無線通信機器及び海上用無線通信機器は減収となりましたが、新製品効果の続いたアマチュア用無線通信機器が大幅な増収となったことからセグメント全体としては増収となりました。しかしながら、対ユーロでの円高の進行により円換算の外部顧客に対する売上高は10億7千万円(前年同期比1.8%減)となりました。
利益面では、販売費及び一般管理費の削減に努め営業利益は3千5百万円(前年同期は5百万円の営業損失)と黒字に転換しました。
④ アジア・オセアニア[Icom(Australia)Pty.,Ltd.、Asia Icom Inc.、PURECOM CO.,LTD]
主力市場となるオーストラリアにおいて、新製品効果の継続から陸上業務用無線通信機器及びアマチュア用無線通信機器が大幅な増収となり、海上用無線通信機器も増収となったことから、対豪ドルでの円高の進行を補って外部顧客に対する売上高は9億2千3百万円(前年同期比2.3%増)となりました。
利益面では、増収効果並びに販売費及び一般管理費の削減に努めたことから営業利益は3千万円(前年同期は3千2百万円の営業損失)と黒字に転換しました。
(2)キャッシュ・フロ-の状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ31億8千3百万円減少し、290億1千1百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により減少したキャッシュ・フローは、8億6千5百万円(前年同期は18億7百万円の増加)となりました。主な減少要因は、営業活動その他による減少21億7千3百万円及び法人税等の支払額4億3千6百万円、一方で主な増加要因は、減価償却費9億8千7百万円及び税金等調整前当期純利益7億2千4百万円であります。
なお、営業活動その他による減少21億7千3百万円の主な内訳は、差入保証金の増加20億円等の減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少したキャッシュ・フローは、19億5千3百万円(前年同期は29億8千3百万円の増加)となりました。主な減少要因は、預入期間3ヶ月超定期預金の増加12億7千6百万円、有形固定資産の取得による支出6億7千5百万円及び投資有価証券の取得による支出6億4千4百万円、一方で主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入5億9千8百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により減少したキャッシュ・フローは、4億1千5百万円(前年同期は5億6千3百万円の減少)となりました。主な内訳は、配当金の支払額であります。