有価証券報告書-第68期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/24 13:24
【資料】
PDFをみる
【項目】
128項目

事業等のリスク

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスクには、以下のようなものがあります。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要であると当社が考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。また、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。当社は、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経済状況による影響について
主にエネルギー事業や産業用部材料事業の市場規模は企業の投資動向などに、電器・コンシューマー事業の需要は個人の消費動向などにより影響を受ける可能性があります。特に民生用リチウムイオン電池やコンシューマー製品などはスマートフォン周辺の用途が多く、今後、市場トレンドや機種の変更などにより、当社製品の出荷実績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 為替相場の変動による影響について
当社グループは、日本を含む全世界において事業活動を行っており、海外売上高が過半を占めております。外貨建て輸出入取引のバランス調整等、為替レートの変動リスクをヘッジする施策は行っておりますが、急激な為替レートの変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 競合状況等による影響について
当社グループは、機能性部材料、電池、デバイス、光学部品及び電気機械器具の製造・販売を主な事業内容としております。取り扱っている製品の市場における競合状況は日々変化しており、競争の激化による価格の下落等が業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 材料費等の変動による影響について
当社グループの製品は、石油化学製品を原材料としているものが多く、また、一部の製品において希少な物質を原材料としているものがあります。安定供給が可能な材料を用いた製品の開発などの対策を行っておりますが、原油価格の高騰や国際市況などによる原材料価格の上昇が業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 災害、国際情勢等による影響について
当社グループの生産・販売活動は日本を含む全世界で展開しております。地震及び洪水等の自然災害、火災、戦争、テロ及び暴動等が起こった場合、当社グループの販売活動の停滞や生産設備等への損害などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、文化や慣習の違いから生じる労務問題や疾病といった社会的なリスク、商習慣の違いから生じる取引先との未知のリスクが潜んでいる可能性があります。このようなリスクが顕在化した場合は、生産活動の縮小や停止、販売活動の停滞等を余儀なくされ、業績に影響を及ぼす可能性があります。特に当社グループは、経済発展が著しい中国に製造拠点を数多く有し、同国へ進出している得意先及び現地企業への供給体制を確立しております。同国にて政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(高成長の持続性、電力等インフラ整備の状況等)及び社会環境における予測し得ない事態が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 有価証券に関する相場等の変動について
当社グループは時価のある有価証券を保有しており、そのほとんどが公社債などの債券あるいは上場会社株式であるため金融商品取引市場におけるこれらの価額が下落した場合は、有価証券の評価損の発生や有価証券の売却損あるいは未実現利益の減少などにより、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 法規制による影響について
当社グループは、製造過程で生じる廃棄物や大気・水への排出物、製品に含まれる有害化学物質などについて、国内外の環境関連法令の適用を受けております。当社グループは環境経営を積極的に推進しておりますが、過去の事業活動の結果生じた事象についても、現在の環境規制に対応するための費用が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このほか、マッサージチェアなど電器・コンシューマー事業の一部製品は、医療機器として薬事法等の法的な規制を受けており、国内外におけるこれらに準じる規制の予測できない改正等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また同様にして、当社グループの取り扱う電池や部材料などの各製品分野において、今後、法規制が新設または強化された場合、製品の製造や出荷、販売等のコストなどに影響を及ぼす可能性があります。
(8) 技術革新等による影響について
今後の記録メディアの大容量化やクラウド技術の進展により、磁気テープや光ディスクなどの市場に影響を及ぼす可能性があります。また同様にして、当社グループの取り扱う電池や部材料などの各製品分野及びこれらのアプリケーションにおいて、従来とは大きく異なる技術導入がなされた場合は、市場構造の激変により当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(9) 製品品質、製造物責任について
当社グループは国内外生産拠点において、ISO(International Organization for Standardization 国際標準化機構)の品質マネジメントシステム規格(ISO9001)や顧客から高度な品質管理体制が求められる自動車業界向けの品質マネジメントシステム規格(ISO/TS16949)に従って多様な製品の品質管理を行っております。
しかしながら、予想し得ない品質上の欠陥(規制物質含有を含む)や法令・規制等の不遵守、それに起因するリコールが発生しないとは限らず、当社製品のリコールや製造物責任の追及がなされた場合は、回収コストや賠償費用の発生、販売量の減少などの恐れがあります。さらに当社ブランドを冠した商品の品質上の欠陥によってブランドの信用が失墜し、企業としての存続を危うくする事態を招く可能性もあります。したがって重大な品質問題が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)事業買収、合併、会社分割等による事業の承継の影響について
当社グループは今後、エネルギー事業、産業用部材料事業、電器・コンシューマー事業の各事業領域において、事業拡大のために同業他社の事業譲受や買収または当社傘下への販路取り込み等を行う可能性があります。また、経営基盤の強化などのために他社との合併を行う可能性があるほか、個別事業の強化拡大のために当該事業を承継する新会社を会社分割により設立する可能性があります。当該買収、合併、会社分割等が当社の事業展開や経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、市場環境や経済環境によっては、当該買収、合併、会社分割等が当初想定した結果を創出できる保証はなく、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)再編による業界動向の変動の影響について
電池や記録メディア等の当社グループの取り扱う製品及びサービス分野において、競合企業間の再編により業界動向が大きく変化した場合は、価格や開発ロードマップ、材料調達等の条件などが変動することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また当社が業界内で高いシェアを獲得している製品及びサービス分野において、競合企業間の再編によって当社シェアが下落した場合は、当該市場における当社のイニシアティブが低下する可能性があります。
(12)日立グループとの関係について
①事業上の関係・位置付け
㈱日立製作所は、当社の親会社でしたが、平成26年3月18日付で当社が東京証券取引所市場第一部への株式上場に伴う株式売出しを行ったことにより、親会社には該当しないこととなりました。
当社は株式上場に伴い事業運営の独立性を強化する方針ですが、㈱日立製作所及び日立グループ各社が有する研究開発力その他の経営資源を有効に活用することが当社グループの企業価値の一層の向上に資すると考えており、引き続き日立グループとは技術協力、製品の供給等において密接な関係を継続することを基本方針としております。したがって日立グループの経営戦略等の影響を受ける可能性があります。
②競合状況
日立グループ内で新神戸電機㈱は産業用電池を扱っておりますが、産業用電池は一般的に大型かつ高出力であるため、当社が主に扱っている民生用電池とは用途のほか、材料の種類・成分・製造工程などの面で大きく異なります。日立ビークルエナジー㈱はハイブリッド・電気自動車などの環境対応型自動車向けのリチウムイオン電池に特化しており、その主要部材である電極を当社から納入しております。車載用電池も一般に大型で高出力であるため民生用電池とは大きく異なります。以上のように、両社はリチウムイオン電池に係る事業を行っておりますが、その内容・特徴が異なるため、主に民生用のリチウムイオン電池を取り扱う当社とは現時点では競合する状況にはありません。しかしながら、事業環境の変化等が生じた場合には、事業競合が発生する可能性があります。
当社新神戸電機㈱日立ビークルエナジー㈱
設立年月日昭和35年9月昭和23年11月平成16年6月
主な株主
(日立グループ)
㈱日立製作所32.4%
日立化成㈱0.8%
日立化成㈱100%
㈱日立製作所100%
事業の概要機能性部材料、電池、デバイス、光学部品、電気機械器具などの製造・販売電池・電気機器、コンデンサ、合成樹脂製品の製造・販売ハイブリッド電気自動車用などのリチウムイオン電池のマーケティング及び開発・製造
電池事業の主要製品電子機器などに用いられる民生用小型二次電池及び一次電池自動車用バッテリー、産業用・産業車輌用鉛蓄電池、電気自動車用電池、小形制御弁式鉛蓄電池、産業用リチウムイオン蓄電池、リチウムイオンキャパシタ、コンデンサなどハイブリッド電気自動車など車載用途に対するリチウムイオン電池
リチウムイオン電池事業の分担民生用産業用車載用
リチウムイオン電池における相違点中小型・中低容量大型・大容量大型・大容量

(注) 新神戸電機㈱は、営業、事業企画、研究開発部門を平成25年4月1日付で親会社である日立化成㈱に移管しており、製品の開発・設計機能を持つ製造会社となっております。
③ブランド価値使用
㈱日立製作所は、日立ブランドの維持・向上に努めており、日立グループ会社が日立ブランドを使用するにあたっては、日立ブランド価値使用料に関する契約を締結して、主として売上高に対する一定の使用料を支払うこととしております。当社の多くの事業は独自の「マクセル」ブランドを冠してはいるものの、日立ブランドは、当社グループのブランド認知度に一定の貢献をしてきたと考えております。
(13)知的財産権について
当社グループは競合他社等に対抗していくためには特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると認識しており、国内外において出願中のものを含めて多数の特許を保有しております。当社グループは二次電池や一次電池、光学部品、成形、機能性材料、プロジェクター、小型電気機器、ヘルスケア、磁気テープ、光ディスク、RFIDシステム、ICカード等の分野において、有力な特許を保有しておりますが、さらにこれら事業の将来性を見越した技術及び周辺技術についても特許の出願を進めております。しかしながら、当社グループが出願中である特許について適時に登録を受けられる保証はなく、現在登録を受けている特許が将来においても当社グループにおける事業の知的財産権を保護するのに必要十分である保証はありません。
また当社グループは、第三者の知的財産を尊重し、業界において必要な特許監視等を実施しておりますが、当社グループが使用する技術要素等について、当社グループが認識しない第三者の特許がすでに成立している場合、当該第三者より知的財産権を侵害しているとの事由により、当該第三者より使用差し止め及び損害賠償等の訴えを起こされる可能性があります。当該特許の使用差し止めや使用に係る対価等の多額の支払い等が発生した場合、当社グループの事業展開や経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、仮にこれらの紛争において勝訴した場合にも、これらの訴えに対して当社を防御し、解決を図るために多大な費用や経営資源を費やすことにより、当社グループの事業展開及び経営成績等に影響を及ぼさないとする保証はありません。
なお、一部の製品においては第三者の特許技術等に係るライセンスを受けております。現時点において、当社グループが導入する特許技術に係るライセンス継続に支障が生じる可能性は低いものと認識しておりますが、これらの継続使用が困難となった場合には当社グループの事業展開等に何らかの制約が生じる可能性があります。
(14)情報セキュリティについて
当社グループでは、ファイアウォールの整備やコンピュータウィルス対策ソフトウェアの導入、データ及びシステムのバックアップ、教育啓発の実施など、ハード・ソフト両面において情報セキュリティ上のリスク対策を実施しておりますが、自然災害や人為的な原因により情報の消失・外部流出、システム障害等が起きた場合、システムの一時停止や復旧対策等による費用が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは事業遂行に関連して、当社グループまたは顧客等についての個人情報、技術・営業に関する営業秘密を保有しております。当社グループでは、これらの情報の適切な保護及び管理に努めておりますが、システム障害、人為的な原因、その他の原因でこれらの情報が流出した場合、当社グループに対する信頼ならびに当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
(15)人財獲得と人財育成について
当社グループは、エレクトロニクス業界における熾烈な競争を勝ち抜くため、グローバルで高度な専門技術に精通した人財の確保と育成を着実に行う必要があると考えております。また、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人財について、一段と高いレベルで充実させる努力をしております。
しかしながら、グローバルで優秀な人財を獲得するための競争は非常に厳しく、また日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等が懸念されるほか、中国等の海外拠点においては、雇用環境の変化が急速に進んでおり、常に適切な人財を確保できる保証はありません。人財獲得や育成が計画どおりに進まなかった場合は、長期的視点から、事業展開、業績及び成長見通しに影響を及ぼす可能性があります。
(16)労務管理について
従業員の勤怠管理や時間外勤務管理につきましては、労働基準法の規制が適用されます。当社グループでは、個人別の就業時間管理及び部署別の時間外申請管理等により労働時間を管理しております。また、取締役及び主要な本部長職が出席する月次の会議において、部署別に時間外勤務時間に関する報告や時間外削減状況に関する報告を行い、長時間労働の抑制を図っております。
しかしながら、緊急の案件や予期せぬトラブルの発生等により法定内での長時間労働が連続する可能性があります。これにより従業員に健康被害等が発生した場合は、業務遂行に十分な人員数を一時的にまたは長期間確保できなくなり、さらなる時間外勤務の増加や納期遅延等が発生して、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17)税金負担について
当社は、過年度に生じた税務上の繰越欠損金により課税所得が軽減されております。今後、業績の推移により、税務上の繰越欠損金の全額を使用できる可能性、また繰越欠損金の繰越期間の満了により欠損金が消滅する可能性があります。繰越欠損金が解消された場合、通常の税率に基づく法人税等が発生し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。