有価証券報告書-第66期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月23日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経済環境に関するリスク
① 為替相場の変動に関するリスク
<発生可能性:高、発生可能性のある時期:1年以内、影響度:大>当社グループは日本・中国・東南アジア・欧米に事業展開しており、売上・費用・資産・負債の一部について、円・米ドル・ユーロ・人民元・タイバーツ等の複数通貨で取引・計上を行っております。このため、為替相場の変動は、外貨建取引に係る収益・費用や資産・負債の円換算額に影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。特に、想定を超える急激な為替変動が生じた場合には、為替差損の計上や価格競争力の低下等を通じて、業績への影響が大きくなる可能性があります。
このような為替変動リスクに対応するため、当社グループでは、必要に応じた先物為替予約等の為替ヘッジの活用や、外貨建て金銭債権・債務の通貨バランス調整を実施しております。具体的には、回収した米ドル建て等の外貨建債権を直ちに円貨へ換算せず、同一通貨建ての債務支払に充当することにより、円転に伴う換算差損益発生の機会を抑制するよう努めております。また、計画的な外貨建てによる貸付及び借入のバランス調整や、海外子会社とのクロスボーダープーリング体制の構築等を通じて、グループ全体としての為替リスクの低減に取り組んでおります。
しかしながら、為替相場の動向は、各国・地域の経済情勢、金融政策、地政学的リスク等、多数の外部要因に左右されるものであり、当社グループ独自の対応によってその影響を完全に軽減・排除することは困難です。このため、為替変動リスクが顕在化した場合の時期や影響の程度を確定的に見積もることは難しく、今後の為替レートの水準や変動幅によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があると認識しております。
② 金利の上昇に関するリスク
<発生可能性:高、発生可能性のある時期:1年以内、影響度:中>当社グループは、生産能力増強、生産効率化及び品質向上等を目的とした設備投資や運転資金需要に対応するため、借入金等の有利子負債を資金調達手段の一つとしております。このため、市場金利が上昇した場合には、変動金利型借入金等に係る支払利息の増加や、今後新たに調達する有利子負債の調達コストの上昇を通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループは、金融情勢や金利動向を注視しつつ、借入期間や金利条件の分散、調達手段の多様化等により資金コストの低減と調達の安定性の確保に努めております。また、一部の借入金等については、金利スワップ取引の活用等を通じて固定金利化を図ることにより、金利変動リスクの軽減に取り組んでおります。
しかしながら、金利水準の動向は、各国の金融政策やマクロ経済情勢等、多数の外部要因に左右されるものであり、当社グループの対応によってその影響を完全に軽減・排除することは困難です。このため、今後の金利動向によっては、想定を超える金利上昇が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があると認識しております。
③ 有価証券に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小>当社グループは、事業上の提携・取引関係の維持・強化や、中長期的な企業価値向上を目的として、関係先企業等の株式を中心とする投資有価証券を保有しております。これらのうち時価を有するものについては、期末時点の市場価格等に基づき評価されるため、株式市場や債券市場の価格変動、発行体の業績動向、金利水準の変化等により評価額が変動し、評価損の計上や純資産の減少などを通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。また、配当金収入等についても、市場環境や発行体の配当方針の変更等により変動し、当社グループの収益に影響を与える可能性があります。
当社グループは、売買益の獲得を主目的とした有価証券の保有は行わず、事業上の必要性や投資の合理性が認められる場合に限定して投資有価証券を取得・保有する方針としております。現在保有している投資有価証券についても、取引関係への貢献度や資本コストとの比較等を踏まえ、定期的に保有目的・保有合理性の検証を行い、その結果に応じて縮減・売却を含めた見直しを検討しております。また、市場環境や発行体の財務状況・事業状況の変化をモニタリングし、必要に応じてポートフォリオの見直しを行うことで、価格変動リスクの低減に努めております。もっとも、株式・債券市場の変動は、マクロ経済動向、金融政策、地政学的リスク等、多数の外部要因に左右されるものであり、当社グループの対応によってその影響を完全に軽減・排除することは困難です。このため、市場環境の急激な悪化等により有価証券の価格が大幅に下落した場合には、評価損や減損損失の計上等を通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があると認識しております。
④ 減損損失に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>当社グループは、生産設備を中心とする有形固定資産及びソフトウェア等の無形固定資産を保有しており、これらの資産は、主として顧客の需要予測に基づく将来の販売計画や生産計画を前提として取得しております。しかしながら、自動車市場を含む主要需要先市場における需要の変動や顧客ニーズの変化、新製品・新技術の導入タイミングの遅れ、新仕様・規格変更への対応の遅延、技術革新の進展、想定を上回るコストの増加等により、当初想定したキャッシュ・フローが確保できず、資産の収益性が低下する場合があります。その結果、帳簿価額の全部又は一部を回収できないと判断されるときには、減損損失を計上する必要が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。
もっとも、マクロ経済環境の急激な悪化、主要顧客の設備投資・生産計画の変更、技術革新の方向性の変化等は当社グループの管理可能な範囲を超えるものであり、これら外部要因の変動により将来キャッシュ・フローが大きく下振れした場合には、減損損失の計上を余儀なくされ、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があると認識しております。
⑤ 与信に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>当社グループは、自動車関連分野をはじめとする各種メーカー等との営業取引を通じて、売掛金や前渡金などの取引与信の形態で顧客に対する信用供与を行っております。これらの債権について、取引先の業績悪化や経営破綻、事業環境の急激な悪化等により回収が困難となり、貸倒損失が発生した場合には、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼすおそれがあります。また、通常の営業取引に係る売掛債権は、担保や信用保証等により必ずしも全額が保全されているわけではなく、想定を超える大口与信先で不測の信用事象が発生した場合には、その影響が大きくなる可能性があります。
当社グループでは、与信リスクを低減するため、「与信管理規程」に基づき取引先ごとに与信限度額や回収条件を設定し、新規取引開始時及び継続取引において、取引先の財務状況や支払実績、業界動向等を踏まえた審査・見直しを行っております。また、売掛金の回収状況を日次でモニタリングし、支払遅延や信用不安の兆候が認められた場合には、取引条件の見直し、回収条件の変更、担保・保証の取得等の債権保全策を講じることにより、貸倒リスクの抑制に努めております。さらに、過去の実績や与信先の信用状況等を勘案して、回収不能見込額については貸倒引当金を計上することで、将来の損失に備えております。
もっとも、取引先の信用悪化は、マクロ経済環境の変動や業界構造の変化等、当社グループの管理可能な範囲を超える要因にも左右されるものであり、当社グループの与信管理や債権保全策によっても、与信リスクを完全に排除することは困難です。このため、予期せぬ大口与信先の倒産等により多額の貸倒損失が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があると認識しております。
(2) 事業環境に関するリスク
① 顧客市場及び需要構造に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>当社グループは車載市場を主力としており、その業績は自動車業界の動向に加え、原材料価格やエネルギーコスト、人件費の上昇、為替レートの変動、生産性の低下等により当社グループの原価競争力が低下した場合、製品の販売価格やコスト面で他社との競争力を十分に維持できず、受注獲得に不利となり、競合他社への発注シフトや採用中止等を通じて、当社グループの製品需要が減少し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。また、各国の通商政策動向や規制強化等に起因する自動車販売の低迷、世界的な景気後退、自動車生産に必要な素材や半導体等の各種部品の供給不足による生産台数の減少等が生じた場合にも、当社グループの製品需要が減少し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。
さらに、FA・産機、通信・基地局、半導体製造・検査機器、防衛・航空宇宙、鉄道、医療等の新事業領域についても、景気動向、設備投資動向、各種規制や技術動向の変化等により需要が減少する可能性があり、これらの市場において当社グループの拡販が必ずしも計画どおり進まず、期待した売上・利益水準を確保できないおそれがあります。
加えて、当社グループの売上は車載市場向けが大きな割合を占めているほか、一部の主要顧客向け売上高の比率が高い状況にあります。これらの顧客において、原価・価格競争力の評価を含む生産・販売戦略の変更、取引条件の見直し、調達方針の変更、競合他社への発注シフト等が生じた場合には、当社グループの受注が大幅に減少し、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループは、FA・産機、通信・基地局、半導体製造・検査機器、防衛・航空宇宙、鉄道、医療などの新事業領域の更なる拡販を推進し、顧客・市場の分散による収益基盤の強化を図るとともに、原価低減活動や生産性向上施策を通じて原価競争力の維持・強化に努めておりますが、これらの取組みにもかかわらず、上記のようなリスクを完全に回避できるものではありません。
② 原材料等の調達に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:1年以内、影響度:大>世界的な原油価格や素材価格の変動は、当社グループが供給を受ける材料価格に影響を与える可能性があります。また、材料供給元のサプライヤーにおいて生産不足、もしくは不慮の事故等により材料供給の不足が発生した場合には、当社グループの生産遅延・生産停止を招き、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 原材料価格の上昇については販売先への交渉により適正に販売価格へ転嫁するよう努めております。
また、材料供給元のサプライヤーとは基本取引契約を締結して安定的な取引を行うとともに、複数の供給先から調達することで材料供給の安定化を図っております。
③ 海外事業展開に関するリスク
<発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>当社グループは、日本国内に加え、中国、タイ等を中心として海外に事業展開しておりますが、海外市場における事業活動には、以下のような政治・経済・社会情勢等に起因する様々なリスクが内在しております。すなわち、進出先国・地域における政変や政情不安、経済情勢の悪化、紛争・テロ等の発生、電力供給の途絶や社会インフラ(電力・通信・交通・港湾等)の機能不全、ストライキ等の労働争議、輸出入規制や関税・税制の変更、環境・労働・安全衛生・個人情報保護等に関する法令・規制の予期せぬ変更や運用の厳格化、外貨規制や配当・ロイヤルティ等の送金規制の導入・強化などが挙げられます。
これらのリスクが顕在化した場合、現地工場の操業停止・減産、原材料調達や物流の停滞、製品出荷の遅延、コスト増加、資産価値の毀損、さらには制裁・罰金等の法的責任の発生や、企業イメージの毀損といった事態を通じて、当社グループの安定的な製品供給や事業継続が損なわれ、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループは、これら海外事業に固有のリスクを低減するため、各事業展開先における政治・経済・社会情勢、法律・規制・税制等の動向について、現地の海外子会社や専門機関等と連携しつつ継続的な情報収集・分析を行っております。また、リスクマネジメント委員会等の全社的なリスク管理体制のもと、重要拠点における事業継続計画(BCP)の整備・見直し、取引先・生産拠点の分散、現地法令・規制の遵守体制の強化等を進めております。もっとも、海外事業に内在する上記のようなリスクは、事業環境の急激な変化や予測困難な事象により完全に排除することは困難であり、今後の情勢によっては当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があると認識しております。
④ 製品の陳腐化に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>当社グループの属するプリント配線板業界は、自動化やAI化の進展等を背景として中長期的には需要ニーズが高まっていると認識しております。また、現時点においては、プリント配線板そのものに代替して電子機器内で同等の機能を果たす有力な代替技術・部品は実用段階には至っていないと考えております。
市場競争力の維持・強化を図るため、継続的な研究開発活動により新製品・新技術の開発を行っており、そのテーマ選定にあたっては、将来の市場、製品及び技術動向の予測に基づき取り組んでおります。しかしながら、その成果が顧客の要求仕様やニーズと乖離したり、競合他社に先行されることにより市場投入のタイミングが遅れたりした場合には、期待した売上や利益の獲得につながらないリスクがあります。
このような場合には、当社グループの製品競争力が十分に発揮されず、結果として経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、顧客・市場動向及び技術動向のモニタリングと研究開発テーマの見直し等を通じて、これらのリスク低減に努めておりますが、事業運営に内在するリスクであることから、完全に排除することは困難であると認識しております。
⑤ 主要取引先への売上高集中に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>当社グループの売上高は、主要取引先の数社向けが大きな割合を占めており、直近では当社グループ連結売上高の40%を超える水準となっております。このため、当該取引先の生産・販売動向、製品戦略、調達方針等の変化が、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす構造となっております。また、主要取引先の調達方針においても、当社グループからの調達比率の高さに関する指摘がなされている状況にあります。
今後、当該取引先において、車種・システムごとの採用方針の見直し、仕入先ポートフォリオの見直し、価格・取引条件の変更、サプライチェーン戦略の変更、あるいは競合他社への発注シフト等が行われた場合には、当社グループの受注量・売上高が大幅に減少し、利益水準の低下を通じて、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループは、デンソー以外の日系・外資系自動車関連メーカー向けビジネスの拡大に加え、FA・産機、通信・基地局、半導体製造・検査機器、防衛・航空宇宙、鉄道、医療等の新事業領域の拡大(協業やM&Aの活用を含みます)を推進することにより、特定取引先・特定市場への依存度低減と収益基盤の多様化を図っておりますが、これらの取組みが短期的に十分な成果を上げられない場合には、上記のような売上高集中リスクが顕在化する可能性があります。
⑥ 設備投資及び生産設備の故障に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>当社グループは、プリント配線板の生産能力の確保・増強や生産効率の向上、新製品・新技術への対応のため、めっき設備、露光装置、加工機械等の専用設備を中心に継続的な設備投資を行っております。設備投資は、自動車関連市場をはじめとする需要動向や主要セットメーカーの生産・調達戦略等を勘案して決定しておりますが、景気後退等により実際の需要が想定を下回った場合や、主要顧客の方針転換、新規設備の立上げ遅延等が生じた場合には、過大な設備能力を抱えることとなり、稼働率の低下に伴う減価償却費負担の増加や固定費負担の重荷、さらには資産価値の下落に起因する減損損失の計上等を通じて、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。逆に、需要を過小に見積もり必要な設備投資が遅れた場合には、顧客の需要に十分対応できず、受注機会の逸失や市場シェアの低下につながる可能性があります。
また、当社グループの生産活動は、これらの専用設備に一定程度依存していることから、設備の故障・老朽化やオペレーション上のトラブル、火災・停電等により主要な生産設備が長期間稼働不能となった場合には、生産ラインの停止や出荷遅延が発生し、顧客の生産計画に影響を与えるとともに、売上減少や復旧費用の発生等を通じて、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループは、これらの設備リスクを低減するため、設備投資に際しては、需要見通しや投資回収可能性、採算性等について社内の関係部門が複数のシナリオを踏まえて慎重に検討し、投資金額や投資タイミングの適正化に努めております。また、生産設備については、定期点検・予防保全の実施や重要設備の更新計画の策定、主要部品・治工具の在庫確保等を行うとともに、一部の製品については複数拠点・複数ラインでの生産体制を整備することで、設備故障時の影響分散を図っております。さらに、設備故障や火災等による操業停止に備え、損害保険の付保やBCP(事業継続計画)との連携を通じて、早期復旧と影響の最小化に取り組んでおります。
しかしながら、設備投資の前提となる市場・技術動向や、設備故障・事故の発生可能性を完全に予見することは困難であり、当社グループの管理可能な範囲を超える外部要因(需要急変、業界市況の悪化、自然災害等)により、設備の過大・過少や想定外の故障が生じるリスクを完全に排除することはできません。このため、今後の事業環境や設備稼働状況によっては、減損損失の計上や生産・出荷の制約等を通じて、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があると認識しております。
⑦ 知的財産権に関するリスク
<発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>当社グループにとって知的財産は、重要な経営資源の一つであると認識しております。もっとも、当社グループの知的財産権が第三者により無効とされること、特定地域において十分な保護が得られないこと、又は知的財産権の対象が模倣されること等により、本来得るべき利益を失うおそれがあります。
さらに、当社グループが第三者の知的財産権を侵害していると主張され訴訟を提起された場合には、訴訟に関する費用や損害賠償金の支払が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。さらに、必要に応じて、適正なライセンス契約の締結により、事業の継続に努めてまいります。
なお、当社グループは知的財産の管理に関し特許等管理規程を設け、専門部署により適切な管理を行うことにより、知的財産の保全に努めております。
⑧ コンプライアンスに関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>当社グループは、日本及び海外において事業活動を展開しており、会社法、金融商品取引法、独占禁止法、労働関係法令、環境関連法令、税法、個人情報保護法、安全保障輸出管理関連法令、腐敗行為防止関連法令等、多岐にわたる法令・規制の適用を受けています。また、当社グループの製品は主として自動車関連分野に使用されていることから、製品品質や製造物責任に関する法令・規制の遵守も求められます。これらの法令・規制又は各国・地域の監督当局による指針・要請等に違反した場合、行政処分・課徴金・罰金の賦課、損害賠償請求、製品の生産・出荷停止等に加え、企業ブランド価値の毀損や社会的信用の失墜を通じて、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
また、法令違反のみならず、社内規程や社会規範に反するコンプライアンス上の問題、例えば、カルテル等の競争法違反、汚職・贈収賄、ハラスメントや差別等の人権侵害、不適切な労務管理、品質データ等に関する不正行為などが発生した場合にも、監督官庁による調査・是正命令、訴訟提起や取引停止等のリスクが生じ、当社グループの企業価値に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループは、事業活動に関連して、顧客・サプライヤー・競合他社・政府当局等との間で訴訟や紛争の当事者となる可能性があり、当該対応に要する費用や不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループでは、これらのコンプライアンスリスクに対応するため、「企業行動憲章」や「行動規範」等を定めるとともに、リスクマネジメント委員会及びコンプライアンス委員会等の横断的な組織を設置し、グループ全体の法令遵守体制及び企業倫理の徹底を図っております。また、法務・内部統制・内部監査等の関係部門が連携し、主要な法令分野ごとに主管部門を定めて社内ルールの整備・改訂を行うほか、国内外のグループ会社を対象とした定期的な監査・点検を実施しています。さらに、社内外に内部通報窓口を設置し、コンプライアンス違反に関する通報・教育・啓発面では、役員・従業員を対象に、独占禁止法・下請法等の競争法、腐敗行為防止、安全保障輸出管理、個人情報保護、ハラスメント防止、企業倫理等に関する研修やe-learningを継続的に実施し、コンプライアンス意識の向上と定着を図っております。また、新たな法規制の制定・改正や当局の運用方針の変更等に対応するため、最新動向の把握と社内展開を行い、必要に応じて社内規程や業務プロセスの見直しを実施しております。相談を受け付けることで、不正・不祥事の早期発見及び未然防止に取り組んでおります。
もっとも、各国・地域の法令・規制は複雑かつ頻繁に変更されるうえ、監督当局の運用も一様ではなく、また、グループ各社・各拠点における人為的なミスや故意の不正行為を完全に防止することは困難です。このため、当社グループとして各種の対策を講じているものの、コンプライアンス違反やそれに関連する訴訟・行政手続等の発生可能性を完全に排除することはできず、その顕在化の内容・時期・影響度を事前に確定的に見積もることは困難であり、将来的に当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があると認識しております。
⑨ 人材の確保・育成・定着に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>当社グループの持続的な成長と競争力の維持・強化のためには、研究開発・製造・販売・管理等の各分野において、必要なスキル・経験を有する人材を継続的に確保し、育成し、定着させることが不可欠です。一方で、少子高齢化の進行や人材の流動化、働き方・価値観の多様化等により、労働市場における人材獲得競争は一層激化しており、人材採用環境が著しく悪化した場合や人材流出が増加した場合には、当社グループが必要とする人材を計画どおり確保できず、事業運営や将来の成長戦略の遂行に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループでは、こうしたリスクに対応するため、優秀な人材の確保・育成・定着を重要な経営課題と位置づけ、人的資本への投資を強化しております。人材の流出を防ぐ観点から、公正な評価制度と成果に応じた給与体系を維持するとともに、やりがいのある人事制度の導入、福利厚生の充実、介護・育児支援、フレックスタイム制や在宅勤務制度など、柔軟で働きやすい職場環境の整備を進めております。さらに、安全衛生推進課を新設し、健康経営の推進や心身の健康支援施策の強化を図ることで、安心して働ける職場づくりに取り組んでおります。
人材育成については、役職階層別・部門別教育、コンプライアンス・ハラスメント教育、国際化対応教育、自己啓発支援等を体系的に実施しております。製造部門においては、多能工化を推進し、複数工程・技能の習得を支援する教育・実習カリキュラムを通じて、技能向上と組織力強化を図っています。加えて、若手社員の早期育成を目的とした「キャリアローテーション制度」の導入を進めており、部門横断的な業務経験を通じて視野の拡大と気づきの機会を提供することを目指しています。将来の経営幹部候補者に対しては、「次世代経営幹部社員キャリアプラン」の構築を進め、アセスメント等を通じて経営視点とリーダーシップの醸成を図る方針です。
また、社員の自律的なキャリア形成を支援するため、社内公募制度を実施し、本人の希望や適性に応じた挑戦の機会を提供するとともに、多様性の尊重と包摂的な職場づくり(DEI)にも注力し、性別・年齢・国籍・ライフスタイルにかかわらず、すべての社員が能力を発揮できる環境の整備を進めております。
これらの取組みを通じて、人的資本の強化と持続可能な成長を支える人材基盤の構築に努めておりますが、雇用環境や労働市場の動向等の外部要因によっては、優秀な人材の確保・育成・定着が計画どおり進まず、当社グループの事業運営や中長期的な成長に影響を及ぼす可能性があると認識しております。
(3) 株価水準・企業価値評価に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>当社グループは、事業収益(当期純利益)の持続的な創出を通じた自己資本利益率(ROE)の向上、資本コストを意識した投資配分、適切な株主還元の実施に努めるとともに、投資家との建設的な対話を継続することにより、中長期的な企業価値及び株主価値の向上を図っております。しかしながら、これらの取組みにもかかわらず、当社グループを取り巻く経済状況や経営環境の急激な変化により、経営目標とした株価水準・企業価値評価に対して変動する場合が想定されます。そのため、株価水準・企業価値評価に関する変動リスクを完全に回避するものではありません。
(4) M&A等に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>当社グループは、新技術の獲得、新たな事業領域への進出、既存事業の競争力強化、販売網・顧客基盤・人材の拡充等を目的として、必要に応じて他社の株式取得や事業譲受等のM&A、資本・業務提携、合弁事業などの戦略的投資を検討・実行する方針です。しかしながら、対象会社の事業環境や財務内容、市場競争力、ガバナンス・内部管理体制等に関する事前の調査・検討(デューデリジェンス)に不足や見落としがあった場合、又は買収後の事業環境の悪化、想定以上の収益性の下振れ、対象会社との戦略・優先順位の不一致、人材流出等が生じた場合には、当初想定したシナジー効果や投資効果が十分に得られず、投下資金の回収が遅延又は困難となる可能性があります。その結果、のれん及び無形固定資産を含む取得資産について減損損失を計上する必要が生じるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。
また、当社グループが検討するM&Aや提携等について、適切な候補先を確保できない場合には、事業ポートフォリオの転換や成長戦略の遂行が計画どおり進まず、中長期的な成長機会を十分に獲得できないリスクも存在します。さらに、非中核・不採算事業のカーブアウト等を通じた事業ポートフォリオの見直しを行う場合であっても、各国の規制、雇用問題、売却対象事業に対する需要の不足、顧客からの評価低下などにより、当初想定したスケジュールや条件で実行できない、又は実行後に予期せぬ影響が生じる可能性があります。
当社グループは、M&Aや戦略的投資の実施に当たって、当社の事業戦略・事業ポートフォリオとの整合性を明確化したうえで、対象市場の成長性、対象会社の事業・財務状況・技術力・競争力、統合プロセス(PMI)に関する検証、潜在的なリスク等について、社内関係部門及び必要に応じて外部専門家の知見も活用しながら、多面的な分析・審議を行う体制を整えております。また、実行後についても、統合プロセスや事業計画の達成状況を継続的にモニタリングし、必要に応じて戦略や体制の見直しを行うことで、投資効果の最大化とリスクの低減に努めております。
しかしながら、市場環境や競争環境の急激な変化、対象会社との利害・文化・経営方針の不一致等は、当社グループの管理可能な範囲を超える側面を有しており、これらの要因により想定どおりの成果が得られない場合には、投下資本の回収遅延・未回収や追加費用の発生、のれん等の減損損失の計上を通じて、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があると認識しております。
(5) その他のリスク
① 情報セキュリティに関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>当社グループは、事業活動を通じて入手した個人情報、営業情報、技術情報等の重要な機密情報を保有しております。これらの情報について、不正アクセスやシステムの脆弱性を狙ったサイバー攻撃等によるマルウェアの侵入、当社グループのシステム利用者による不適切な使用・誤用、不正なデータの持ち出し等が行われた場合には、情報漏洩やデータの改ざん・破壊、システム停止等が生じる可能性があります。その結果、重要な業務の中断、当社グループの社会的信用の低下や損害賠償責任の発生に加え、技術やノウハウの流出による競争力の低下などを通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。また、当社グループの情報セキュリティ対策が不十分であり、顧客の要求するセキュリティ水準を満たせないと判断された場合には、取引機会や新規受注の喪失につながる可能性があります。
また、情報資産の強固な保護と適切な共有・活用のため、当社グループは「情報セキュリティ方針」「情報セキュリティ管理規程」を制定するとともに、個人情報については「個人情報保護方針」「個人情報保護管理規程」「特定個人情報取扱規程」を制定し、これら方針・規程類を遵守しております。システム面では、端末へのウイルス対策ソフトや脅威検知システムの導入、外部記憶装置の原則禁止等の情報セキュリティリスクへの対策を講じております。従業員に対しては、サイバー攻撃の手口や不審メールの見分け方、感染が疑われる場合の対応等に関する教育や情報発信、標的型攻撃メール訓練などを定期的に実施し、セキュリティ意識の向上・定着を図っております。さらに、定期的な脆弱性診断によるセキュリティ対策状況の確認や、情報セキュリティインシデント発生を想定した対応訓練等を通じて、継続的な情報セキュリティの維持・強化に努めております。しかしながら、これらの取組みにもかかわらず、情報セキュリティリスクを完全に排除することは困難であると認識しております。
② 地震等自然災害・大規模な感染症拡大に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>当社グループは日本・中国及びタイに生産工場を有しており、地震・台風・水害・火山噴火等の自然災害や火災の発生により、当社グループの事業拠点が損害を受ける可能性があります。大規模な自然災害が発生した場合には、建物・設備等の損壊、原材料等の仕入先や物流への影響、製品出荷の停滞、従業員の安全確保や出勤困難な状況の発生、復旧費用の負担等を通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループは、担当組織である安全衛生推進課を設け、地震・火災・水害・サイバー攻撃、サプライチェーンの停止等を想定した各種BCP(事業継続計画)を策定し、定期的な見直しを行っております。また、各拠点による防災訓練や安否確認訓練等のBCP演習を継続的に実施し、初動体制の強化に努めるとともに、災害発生時の早期復旧に向け、保険への加入や重要データのバックアップ体制の構築等を進めております。もっとも、想定を超える大規模地震(例:首都直下地震、南海トラフ地震等)や異常気象による災害が発生した場合には、これらの対策をもってしても被害を完全に回避することは困難であり、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症をはじめとする大規模な感染症の拡大により、従業員の出勤制限やサプライチェーンの混乱、需要の減少等が生じた場合にも、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。当社グループでは、感染症の流行に備え、リスクマネジメント委員会による統括管理のもと、在宅勤務やオンライン会議の活用等による柔軟な勤務体制の整備や、マスク・消毒液・簡易検査キット等の備蓄を行い、衛生管理体制の強化を進めております。しかしながら、今後新たな感染症が発生し、長期化又は世界的に拡大した場合には、当社グループの事業活動や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
これらの自然災害や感染症、さらには気候変動に関連するリスクは、予測が困難であるうえ、相互に関連し合う可能性があることから、当社グループでは、リスクマネジメント委員会をはじめとした全社的なリスクマネジメント体制のもと、重要リスクとして定期的なモニタリングを行っております。災害対応体制の継続的な改善、情報共有、訓練の実施等を通じて、事業継続性の確保と企業価値の維持に努めておりますが、当該リスクの態様に照らせば、その影響度について確定的な見積りを行うことは困難であり、これらの取組みにより当該リスクを完全に排除することはできないと認識しております。
③ 気候変動に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>近年、地球温暖化の進行や気候変動問題への対応は、各国政府の政策や規制、企業活動、投資家や取引先を含むステークホルダーの関心が、より一層高まる中で、当社グループの事業運営にも重要な影響を及ぼし得るリスク要因となっております。気候変動に関するリスクには、主に脱炭素社会への移行に伴う「移行リスク」と、異常気象の深刻化に伴う「物理リスク」が含まれます。
<移行リスク>各国・各地域における温室効果ガス排出削減目標の引き上げや、カーボンプライシング(炭素税・排出量取引等)の導入・強化、エネルギー・環境関連法規制の厳格化、再生可能エネルギー利用拡大の要請等を背景に、企業にはより高度かつ継続的な気候変動対策が求められています。当社グループにおいても、製造工程におけるエネルギー使用やサプライチェーン全体での温室効果ガス排出削減への対応が不十分な場合、再生可能エネルギー導入や省エネ設備投資等に関する想定以上の費用負担が生じる可能性があります。
また、主要取引先である自動車関連メーカーをはじめとする顧客から、製品ライフサイクル全体でのCO₂排出削減や使用電力の再生可能エネルギー化など、サプライヤーに対する気候変動対応の要求水準が一層高まっています。これらの要求に適切に対応できない場合には、新規案件の受注機会や既存ビジネスの継続に支障を来し、販売機会の喪失や企業価値・レピュテーションの低下を招くおそれがあります。さらに、気候変動対応に関する開示内容や目標達成状況がステークホルダーの期待水準を下回ると評価された場合には、当社グループに対する投資意欲や信用評価に悪影響を及ぼす可能性があります。
<物理リスク>気候変動の進行に伴い、豪雨・洪水・台風・猛暑等、異常気象の激甚化・頻発化が懸念されています。当社グループは日本・中国・タイ等に生産拠点を有しており、これらの地域で大規模な水害や風水害、熱波等が発生した場合、工場やインフラ設備の損壊、操業停止や生産制約、復旧費用の増加、ならびに従業員の安全確保や出勤困難による稼働率低下等が生じる可能性があります。また、原材料や副資材の生産地域における異常気象や水不足等により、サプライチェーンが寸断又は遅延した場合には、原材料調達の停滞やコスト増加、製品出荷の遅延・減少が発生するおそれがあります。これらの事象が当社グループの想定を超えて発生した場合には、売上の減少や費用の増加を通じて、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
<主な対応>当社グループは、気候変動リスクを重要な経営課題の一つと認識し、事業活動に伴う温室効果ガス排出量の把握、省エネルギー設備の導入・更新、生産プロセスの改善によるエネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの導入・活用等を通じて、温室効果ガス排出削減に取り組んでおります。また、主要顧客の気候変動対応方針や要求水準を踏まえ、製品ライフサイクル全体での温室効果ガス排出量の把握に向けたPCF(製品カーボンフットプリント)の算出や、全社的な環境活動に関する会議体の運営等を通じて、気候変動対応に関する取組の推進に努めております。
併せて、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量の把握に向け、取引先に対する情報開示の要請や情報共有等を行っております。
物理リスクへの対応としては、生産拠点や倉庫等の立地条件と自然災害リスクとの関係を踏まえた対策検討、重要設備の浸水対策や電源・通信インフラの多重化、複数拠点・複数サプライヤーによる調達・生産体制の分散、ならびにBCP(事業継続計画)との連携強化等を進めております。
また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に則り、気候変動に起因するリスク及び機会の整理や、シナリオ分析の検討を通じて、これらを中長期的な事業戦略へ反映することを図っております。
なお、気候変動リスクは、各国・地域の政策・規制動向、技術革新、エネルギー供給状況、市場環境等の外部要因に大きく左右されるものであり、当社グループのこれらの対応によって、当該リスクの影響を完全に回避又は排除できるものではありません。このため、将来の気候変動の進行状況や各種制度・市場環境の変化によっては、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月23日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経済環境に関するリスク
① 為替相場の変動に関するリスク
<発生可能性:高、発生可能性のある時期:1年以内、影響度:大>当社グループは日本・中国・東南アジア・欧米に事業展開しており、売上・費用・資産・負債の一部について、円・米ドル・ユーロ・人民元・タイバーツ等の複数通貨で取引・計上を行っております。このため、為替相場の変動は、外貨建取引に係る収益・費用や資産・負債の円換算額に影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。特に、想定を超える急激な為替変動が生じた場合には、為替差損の計上や価格競争力の低下等を通じて、業績への影響が大きくなる可能性があります。
このような為替変動リスクに対応するため、当社グループでは、必要に応じた先物為替予約等の為替ヘッジの活用や、外貨建て金銭債権・債務の通貨バランス調整を実施しております。具体的には、回収した米ドル建て等の外貨建債権を直ちに円貨へ換算せず、同一通貨建ての債務支払に充当することにより、円転に伴う換算差損益発生の機会を抑制するよう努めております。また、計画的な外貨建てによる貸付及び借入のバランス調整や、海外子会社とのクロスボーダープーリング体制の構築等を通じて、グループ全体としての為替リスクの低減に取り組んでおります。
しかしながら、為替相場の動向は、各国・地域の経済情勢、金融政策、地政学的リスク等、多数の外部要因に左右されるものであり、当社グループ独自の対応によってその影響を完全に軽減・排除することは困難です。このため、為替変動リスクが顕在化した場合の時期や影響の程度を確定的に見積もることは難しく、今後の為替レートの水準や変動幅によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があると認識しております。
② 金利の上昇に関するリスク
<発生可能性:高、発生可能性のある時期:1年以内、影響度:中>当社グループは、生産能力増強、生産効率化及び品質向上等を目的とした設備投資や運転資金需要に対応するため、借入金等の有利子負債を資金調達手段の一つとしております。このため、市場金利が上昇した場合には、変動金利型借入金等に係る支払利息の増加や、今後新たに調達する有利子負債の調達コストの上昇を通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループは、金融情勢や金利動向を注視しつつ、借入期間や金利条件の分散、調達手段の多様化等により資金コストの低減と調達の安定性の確保に努めております。また、一部の借入金等については、金利スワップ取引の活用等を通じて固定金利化を図ることにより、金利変動リスクの軽減に取り組んでおります。
しかしながら、金利水準の動向は、各国の金融政策やマクロ経済情勢等、多数の外部要因に左右されるものであり、当社グループの対応によってその影響を完全に軽減・排除することは困難です。このため、今後の金利動向によっては、想定を超える金利上昇が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があると認識しております。
③ 有価証券に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小>当社グループは、事業上の提携・取引関係の維持・強化や、中長期的な企業価値向上を目的として、関係先企業等の株式を中心とする投資有価証券を保有しております。これらのうち時価を有するものについては、期末時点の市場価格等に基づき評価されるため、株式市場や債券市場の価格変動、発行体の業績動向、金利水準の変化等により評価額が変動し、評価損の計上や純資産の減少などを通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。また、配当金収入等についても、市場環境や発行体の配当方針の変更等により変動し、当社グループの収益に影響を与える可能性があります。
当社グループは、売買益の獲得を主目的とした有価証券の保有は行わず、事業上の必要性や投資の合理性が認められる場合に限定して投資有価証券を取得・保有する方針としております。現在保有している投資有価証券についても、取引関係への貢献度や資本コストとの比較等を踏まえ、定期的に保有目的・保有合理性の検証を行い、その結果に応じて縮減・売却を含めた見直しを検討しております。また、市場環境や発行体の財務状況・事業状況の変化をモニタリングし、必要に応じてポートフォリオの見直しを行うことで、価格変動リスクの低減に努めております。もっとも、株式・債券市場の変動は、マクロ経済動向、金融政策、地政学的リスク等、多数の外部要因に左右されるものであり、当社グループの対応によってその影響を完全に軽減・排除することは困難です。このため、市場環境の急激な悪化等により有価証券の価格が大幅に下落した場合には、評価損や減損損失の計上等を通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があると認識しております。
④ 減損損失に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>当社グループは、生産設備を中心とする有形固定資産及びソフトウェア等の無形固定資産を保有しており、これらの資産は、主として顧客の需要予測に基づく将来の販売計画や生産計画を前提として取得しております。しかしながら、自動車市場を含む主要需要先市場における需要の変動や顧客ニーズの変化、新製品・新技術の導入タイミングの遅れ、新仕様・規格変更への対応の遅延、技術革新の進展、想定を上回るコストの増加等により、当初想定したキャッシュ・フローが確保できず、資産の収益性が低下する場合があります。その結果、帳簿価額の全部又は一部を回収できないと判断されるときには、減損損失を計上する必要が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。
もっとも、マクロ経済環境の急激な悪化、主要顧客の設備投資・生産計画の変更、技術革新の方向性の変化等は当社グループの管理可能な範囲を超えるものであり、これら外部要因の変動により将来キャッシュ・フローが大きく下振れした場合には、減損損失の計上を余儀なくされ、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があると認識しております。
⑤ 与信に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>当社グループは、自動車関連分野をはじめとする各種メーカー等との営業取引を通じて、売掛金や前渡金などの取引与信の形態で顧客に対する信用供与を行っております。これらの債権について、取引先の業績悪化や経営破綻、事業環境の急激な悪化等により回収が困難となり、貸倒損失が発生した場合には、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼすおそれがあります。また、通常の営業取引に係る売掛債権は、担保や信用保証等により必ずしも全額が保全されているわけではなく、想定を超える大口与信先で不測の信用事象が発生した場合には、その影響が大きくなる可能性があります。
当社グループでは、与信リスクを低減するため、「与信管理規程」に基づき取引先ごとに与信限度額や回収条件を設定し、新規取引開始時及び継続取引において、取引先の財務状況や支払実績、業界動向等を踏まえた審査・見直しを行っております。また、売掛金の回収状況を日次でモニタリングし、支払遅延や信用不安の兆候が認められた場合には、取引条件の見直し、回収条件の変更、担保・保証の取得等の債権保全策を講じることにより、貸倒リスクの抑制に努めております。さらに、過去の実績や与信先の信用状況等を勘案して、回収不能見込額については貸倒引当金を計上することで、将来の損失に備えております。
もっとも、取引先の信用悪化は、マクロ経済環境の変動や業界構造の変化等、当社グループの管理可能な範囲を超える要因にも左右されるものであり、当社グループの与信管理や債権保全策によっても、与信リスクを完全に排除することは困難です。このため、予期せぬ大口与信先の倒産等により多額の貸倒損失が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があると認識しております。
(2) 事業環境に関するリスク
① 顧客市場及び需要構造に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>当社グループは車載市場を主力としており、その業績は自動車業界の動向に加え、原材料価格やエネルギーコスト、人件費の上昇、為替レートの変動、生産性の低下等により当社グループの原価競争力が低下した場合、製品の販売価格やコスト面で他社との競争力を十分に維持できず、受注獲得に不利となり、競合他社への発注シフトや採用中止等を通じて、当社グループの製品需要が減少し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。また、各国の通商政策動向や規制強化等に起因する自動車販売の低迷、世界的な景気後退、自動車生産に必要な素材や半導体等の各種部品の供給不足による生産台数の減少等が生じた場合にも、当社グループの製品需要が減少し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。
さらに、FA・産機、通信・基地局、半導体製造・検査機器、防衛・航空宇宙、鉄道、医療等の新事業領域についても、景気動向、設備投資動向、各種規制や技術動向の変化等により需要が減少する可能性があり、これらの市場において当社グループの拡販が必ずしも計画どおり進まず、期待した売上・利益水準を確保できないおそれがあります。
加えて、当社グループの売上は車載市場向けが大きな割合を占めているほか、一部の主要顧客向け売上高の比率が高い状況にあります。これらの顧客において、原価・価格競争力の評価を含む生産・販売戦略の変更、取引条件の見直し、調達方針の変更、競合他社への発注シフト等が生じた場合には、当社グループの受注が大幅に減少し、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループは、FA・産機、通信・基地局、半導体製造・検査機器、防衛・航空宇宙、鉄道、医療などの新事業領域の更なる拡販を推進し、顧客・市場の分散による収益基盤の強化を図るとともに、原価低減活動や生産性向上施策を通じて原価競争力の維持・強化に努めておりますが、これらの取組みにもかかわらず、上記のようなリスクを完全に回避できるものではありません。
② 原材料等の調達に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:1年以内、影響度:大>世界的な原油価格や素材価格の変動は、当社グループが供給を受ける材料価格に影響を与える可能性があります。また、材料供給元のサプライヤーにおいて生産不足、もしくは不慮の事故等により材料供給の不足が発生した場合には、当社グループの生産遅延・生産停止を招き、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 原材料価格の上昇については販売先への交渉により適正に販売価格へ転嫁するよう努めております。
また、材料供給元のサプライヤーとは基本取引契約を締結して安定的な取引を行うとともに、複数の供給先から調達することで材料供給の安定化を図っております。
③ 海外事業展開に関するリスク
<発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>当社グループは、日本国内に加え、中国、タイ等を中心として海外に事業展開しておりますが、海外市場における事業活動には、以下のような政治・経済・社会情勢等に起因する様々なリスクが内在しております。すなわち、進出先国・地域における政変や政情不安、経済情勢の悪化、紛争・テロ等の発生、電力供給の途絶や社会インフラ(電力・通信・交通・港湾等)の機能不全、ストライキ等の労働争議、輸出入規制や関税・税制の変更、環境・労働・安全衛生・個人情報保護等に関する法令・規制の予期せぬ変更や運用の厳格化、外貨規制や配当・ロイヤルティ等の送金規制の導入・強化などが挙げられます。
これらのリスクが顕在化した場合、現地工場の操業停止・減産、原材料調達や物流の停滞、製品出荷の遅延、コスト増加、資産価値の毀損、さらには制裁・罰金等の法的責任の発生や、企業イメージの毀損といった事態を通じて、当社グループの安定的な製品供給や事業継続が損なわれ、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループは、これら海外事業に固有のリスクを低減するため、各事業展開先における政治・経済・社会情勢、法律・規制・税制等の動向について、現地の海外子会社や専門機関等と連携しつつ継続的な情報収集・分析を行っております。また、リスクマネジメント委員会等の全社的なリスク管理体制のもと、重要拠点における事業継続計画(BCP)の整備・見直し、取引先・生産拠点の分散、現地法令・規制の遵守体制の強化等を進めております。もっとも、海外事業に内在する上記のようなリスクは、事業環境の急激な変化や予測困難な事象により完全に排除することは困難であり、今後の情勢によっては当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があると認識しております。
④ 製品の陳腐化に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>当社グループの属するプリント配線板業界は、自動化やAI化の進展等を背景として中長期的には需要ニーズが高まっていると認識しております。また、現時点においては、プリント配線板そのものに代替して電子機器内で同等の機能を果たす有力な代替技術・部品は実用段階には至っていないと考えております。
市場競争力の維持・強化を図るため、継続的な研究開発活動により新製品・新技術の開発を行っており、そのテーマ選定にあたっては、将来の市場、製品及び技術動向の予測に基づき取り組んでおります。しかしながら、その成果が顧客の要求仕様やニーズと乖離したり、競合他社に先行されることにより市場投入のタイミングが遅れたりした場合には、期待した売上や利益の獲得につながらないリスクがあります。
このような場合には、当社グループの製品競争力が十分に発揮されず、結果として経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、顧客・市場動向及び技術動向のモニタリングと研究開発テーマの見直し等を通じて、これらのリスク低減に努めておりますが、事業運営に内在するリスクであることから、完全に排除することは困難であると認識しております。
⑤ 主要取引先への売上高集中に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>当社グループの売上高は、主要取引先の数社向けが大きな割合を占めており、直近では当社グループ連結売上高の40%を超える水準となっております。このため、当該取引先の生産・販売動向、製品戦略、調達方針等の変化が、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす構造となっております。また、主要取引先の調達方針においても、当社グループからの調達比率の高さに関する指摘がなされている状況にあります。
今後、当該取引先において、車種・システムごとの採用方針の見直し、仕入先ポートフォリオの見直し、価格・取引条件の変更、サプライチェーン戦略の変更、あるいは競合他社への発注シフト等が行われた場合には、当社グループの受注量・売上高が大幅に減少し、利益水準の低下を通じて、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループは、デンソー以外の日系・外資系自動車関連メーカー向けビジネスの拡大に加え、FA・産機、通信・基地局、半導体製造・検査機器、防衛・航空宇宙、鉄道、医療等の新事業領域の拡大(協業やM&Aの活用を含みます)を推進することにより、特定取引先・特定市場への依存度低減と収益基盤の多様化を図っておりますが、これらの取組みが短期的に十分な成果を上げられない場合には、上記のような売上高集中リスクが顕在化する可能性があります。
⑥ 設備投資及び生産設備の故障に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>当社グループは、プリント配線板の生産能力の確保・増強や生産効率の向上、新製品・新技術への対応のため、めっき設備、露光装置、加工機械等の専用設備を中心に継続的な設備投資を行っております。設備投資は、自動車関連市場をはじめとする需要動向や主要セットメーカーの生産・調達戦略等を勘案して決定しておりますが、景気後退等により実際の需要が想定を下回った場合や、主要顧客の方針転換、新規設備の立上げ遅延等が生じた場合には、過大な設備能力を抱えることとなり、稼働率の低下に伴う減価償却費負担の増加や固定費負担の重荷、さらには資産価値の下落に起因する減損損失の計上等を通じて、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。逆に、需要を過小に見積もり必要な設備投資が遅れた場合には、顧客の需要に十分対応できず、受注機会の逸失や市場シェアの低下につながる可能性があります。
また、当社グループの生産活動は、これらの専用設備に一定程度依存していることから、設備の故障・老朽化やオペレーション上のトラブル、火災・停電等により主要な生産設備が長期間稼働不能となった場合には、生産ラインの停止や出荷遅延が発生し、顧客の生産計画に影響を与えるとともに、売上減少や復旧費用の発生等を通じて、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループは、これらの設備リスクを低減するため、設備投資に際しては、需要見通しや投資回収可能性、採算性等について社内の関係部門が複数のシナリオを踏まえて慎重に検討し、投資金額や投資タイミングの適正化に努めております。また、生産設備については、定期点検・予防保全の実施や重要設備の更新計画の策定、主要部品・治工具の在庫確保等を行うとともに、一部の製品については複数拠点・複数ラインでの生産体制を整備することで、設備故障時の影響分散を図っております。さらに、設備故障や火災等による操業停止に備え、損害保険の付保やBCP(事業継続計画)との連携を通じて、早期復旧と影響の最小化に取り組んでおります。
しかしながら、設備投資の前提となる市場・技術動向や、設備故障・事故の発生可能性を完全に予見することは困難であり、当社グループの管理可能な範囲を超える外部要因(需要急変、業界市況の悪化、自然災害等)により、設備の過大・過少や想定外の故障が生じるリスクを完全に排除することはできません。このため、今後の事業環境や設備稼働状況によっては、減損損失の計上や生産・出荷の制約等を通じて、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があると認識しております。
⑦ 知的財産権に関するリスク
<発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>当社グループにとって知的財産は、重要な経営資源の一つであると認識しております。もっとも、当社グループの知的財産権が第三者により無効とされること、特定地域において十分な保護が得られないこと、又は知的財産権の対象が模倣されること等により、本来得るべき利益を失うおそれがあります。
さらに、当社グループが第三者の知的財産権を侵害していると主張され訴訟を提起された場合には、訴訟に関する費用や損害賠償金の支払が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。さらに、必要に応じて、適正なライセンス契約の締結により、事業の継続に努めてまいります。
なお、当社グループは知的財産の管理に関し特許等管理規程を設け、専門部署により適切な管理を行うことにより、知的財産の保全に努めております。
⑧ コンプライアンスに関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>当社グループは、日本及び海外において事業活動を展開しており、会社法、金融商品取引法、独占禁止法、労働関係法令、環境関連法令、税法、個人情報保護法、安全保障輸出管理関連法令、腐敗行為防止関連法令等、多岐にわたる法令・規制の適用を受けています。また、当社グループの製品は主として自動車関連分野に使用されていることから、製品品質や製造物責任に関する法令・規制の遵守も求められます。これらの法令・規制又は各国・地域の監督当局による指針・要請等に違反した場合、行政処分・課徴金・罰金の賦課、損害賠償請求、製品の生産・出荷停止等に加え、企業ブランド価値の毀損や社会的信用の失墜を通じて、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
また、法令違反のみならず、社内規程や社会規範に反するコンプライアンス上の問題、例えば、カルテル等の競争法違反、汚職・贈収賄、ハラスメントや差別等の人権侵害、不適切な労務管理、品質データ等に関する不正行為などが発生した場合にも、監督官庁による調査・是正命令、訴訟提起や取引停止等のリスクが生じ、当社グループの企業価値に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループは、事業活動に関連して、顧客・サプライヤー・競合他社・政府当局等との間で訴訟や紛争の当事者となる可能性があり、当該対応に要する費用や不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループでは、これらのコンプライアンスリスクに対応するため、「企業行動憲章」や「行動規範」等を定めるとともに、リスクマネジメント委員会及びコンプライアンス委員会等の横断的な組織を設置し、グループ全体の法令遵守体制及び企業倫理の徹底を図っております。また、法務・内部統制・内部監査等の関係部門が連携し、主要な法令分野ごとに主管部門を定めて社内ルールの整備・改訂を行うほか、国内外のグループ会社を対象とした定期的な監査・点検を実施しています。さらに、社内外に内部通報窓口を設置し、コンプライアンス違反に関する通報・教育・啓発面では、役員・従業員を対象に、独占禁止法・下請法等の競争法、腐敗行為防止、安全保障輸出管理、個人情報保護、ハラスメント防止、企業倫理等に関する研修やe-learningを継続的に実施し、コンプライアンス意識の向上と定着を図っております。また、新たな法規制の制定・改正や当局の運用方針の変更等に対応するため、最新動向の把握と社内展開を行い、必要に応じて社内規程や業務プロセスの見直しを実施しております。相談を受け付けることで、不正・不祥事の早期発見及び未然防止に取り組んでおります。
もっとも、各国・地域の法令・規制は複雑かつ頻繁に変更されるうえ、監督当局の運用も一様ではなく、また、グループ各社・各拠点における人為的なミスや故意の不正行為を完全に防止することは困難です。このため、当社グループとして各種の対策を講じているものの、コンプライアンス違反やそれに関連する訴訟・行政手続等の発生可能性を完全に排除することはできず、その顕在化の内容・時期・影響度を事前に確定的に見積もることは困難であり、将来的に当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があると認識しております。
⑨ 人材の確保・育成・定着に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>当社グループの持続的な成長と競争力の維持・強化のためには、研究開発・製造・販売・管理等の各分野において、必要なスキル・経験を有する人材を継続的に確保し、育成し、定着させることが不可欠です。一方で、少子高齢化の進行や人材の流動化、働き方・価値観の多様化等により、労働市場における人材獲得競争は一層激化しており、人材採用環境が著しく悪化した場合や人材流出が増加した場合には、当社グループが必要とする人材を計画どおり確保できず、事業運営や将来の成長戦略の遂行に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループでは、こうしたリスクに対応するため、優秀な人材の確保・育成・定着を重要な経営課題と位置づけ、人的資本への投資を強化しております。人材の流出を防ぐ観点から、公正な評価制度と成果に応じた給与体系を維持するとともに、やりがいのある人事制度の導入、福利厚生の充実、介護・育児支援、フレックスタイム制や在宅勤務制度など、柔軟で働きやすい職場環境の整備を進めております。さらに、安全衛生推進課を新設し、健康経営の推進や心身の健康支援施策の強化を図ることで、安心して働ける職場づくりに取り組んでおります。
人材育成については、役職階層別・部門別教育、コンプライアンス・ハラスメント教育、国際化対応教育、自己啓発支援等を体系的に実施しております。製造部門においては、多能工化を推進し、複数工程・技能の習得を支援する教育・実習カリキュラムを通じて、技能向上と組織力強化を図っています。加えて、若手社員の早期育成を目的とした「キャリアローテーション制度」の導入を進めており、部門横断的な業務経験を通じて視野の拡大と気づきの機会を提供することを目指しています。将来の経営幹部候補者に対しては、「次世代経営幹部社員キャリアプラン」の構築を進め、アセスメント等を通じて経営視点とリーダーシップの醸成を図る方針です。
また、社員の自律的なキャリア形成を支援するため、社内公募制度を実施し、本人の希望や適性に応じた挑戦の機会を提供するとともに、多様性の尊重と包摂的な職場づくり(DEI)にも注力し、性別・年齢・国籍・ライフスタイルにかかわらず、すべての社員が能力を発揮できる環境の整備を進めております。
これらの取組みを通じて、人的資本の強化と持続可能な成長を支える人材基盤の構築に努めておりますが、雇用環境や労働市場の動向等の外部要因によっては、優秀な人材の確保・育成・定着が計画どおり進まず、当社グループの事業運営や中長期的な成長に影響を及ぼす可能性があると認識しております。
(3) 株価水準・企業価値評価に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>当社グループは、事業収益(当期純利益)の持続的な創出を通じた自己資本利益率(ROE)の向上、資本コストを意識した投資配分、適切な株主還元の実施に努めるとともに、投資家との建設的な対話を継続することにより、中長期的な企業価値及び株主価値の向上を図っております。しかしながら、これらの取組みにもかかわらず、当社グループを取り巻く経済状況や経営環境の急激な変化により、経営目標とした株価水準・企業価値評価に対して変動する場合が想定されます。そのため、株価水準・企業価値評価に関する変動リスクを完全に回避するものではありません。
(4) M&A等に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>当社グループは、新技術の獲得、新たな事業領域への進出、既存事業の競争力強化、販売網・顧客基盤・人材の拡充等を目的として、必要に応じて他社の株式取得や事業譲受等のM&A、資本・業務提携、合弁事業などの戦略的投資を検討・実行する方針です。しかしながら、対象会社の事業環境や財務内容、市場競争力、ガバナンス・内部管理体制等に関する事前の調査・検討(デューデリジェンス)に不足や見落としがあった場合、又は買収後の事業環境の悪化、想定以上の収益性の下振れ、対象会社との戦略・優先順位の不一致、人材流出等が生じた場合には、当初想定したシナジー効果や投資効果が十分に得られず、投下資金の回収が遅延又は困難となる可能性があります。その結果、のれん及び無形固定資産を含む取得資産について減損損失を計上する必要が生じるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。
また、当社グループが検討するM&Aや提携等について、適切な候補先を確保できない場合には、事業ポートフォリオの転換や成長戦略の遂行が計画どおり進まず、中長期的な成長機会を十分に獲得できないリスクも存在します。さらに、非中核・不採算事業のカーブアウト等を通じた事業ポートフォリオの見直しを行う場合であっても、各国の規制、雇用問題、売却対象事業に対する需要の不足、顧客からの評価低下などにより、当初想定したスケジュールや条件で実行できない、又は実行後に予期せぬ影響が生じる可能性があります。
当社グループは、M&Aや戦略的投資の実施に当たって、当社の事業戦略・事業ポートフォリオとの整合性を明確化したうえで、対象市場の成長性、対象会社の事業・財務状況・技術力・競争力、統合プロセス(PMI)に関する検証、潜在的なリスク等について、社内関係部門及び必要に応じて外部専門家の知見も活用しながら、多面的な分析・審議を行う体制を整えております。また、実行後についても、統合プロセスや事業計画の達成状況を継続的にモニタリングし、必要に応じて戦略や体制の見直しを行うことで、投資効果の最大化とリスクの低減に努めております。
しかしながら、市場環境や競争環境の急激な変化、対象会社との利害・文化・経営方針の不一致等は、当社グループの管理可能な範囲を超える側面を有しており、これらの要因により想定どおりの成果が得られない場合には、投下資本の回収遅延・未回収や追加費用の発生、のれん等の減損損失の計上を通じて、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があると認識しております。
(5) その他のリスク
① 情報セキュリティに関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>当社グループは、事業活動を通じて入手した個人情報、営業情報、技術情報等の重要な機密情報を保有しております。これらの情報について、不正アクセスやシステムの脆弱性を狙ったサイバー攻撃等によるマルウェアの侵入、当社グループのシステム利用者による不適切な使用・誤用、不正なデータの持ち出し等が行われた場合には、情報漏洩やデータの改ざん・破壊、システム停止等が生じる可能性があります。その結果、重要な業務の中断、当社グループの社会的信用の低下や損害賠償責任の発生に加え、技術やノウハウの流出による競争力の低下などを通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。また、当社グループの情報セキュリティ対策が不十分であり、顧客の要求するセキュリティ水準を満たせないと判断された場合には、取引機会や新規受注の喪失につながる可能性があります。
また、情報資産の強固な保護と適切な共有・活用のため、当社グループは「情報セキュリティ方針」「情報セキュリティ管理規程」を制定するとともに、個人情報については「個人情報保護方針」「個人情報保護管理規程」「特定個人情報取扱規程」を制定し、これら方針・規程類を遵守しております。システム面では、端末へのウイルス対策ソフトや脅威検知システムの導入、外部記憶装置の原則禁止等の情報セキュリティリスクへの対策を講じております。従業員に対しては、サイバー攻撃の手口や不審メールの見分け方、感染が疑われる場合の対応等に関する教育や情報発信、標的型攻撃メール訓練などを定期的に実施し、セキュリティ意識の向上・定着を図っております。さらに、定期的な脆弱性診断によるセキュリティ対策状況の確認や、情報セキュリティインシデント発生を想定した対応訓練等を通じて、継続的な情報セキュリティの維持・強化に努めております。しかしながら、これらの取組みにもかかわらず、情報セキュリティリスクを完全に排除することは困難であると認識しております。
② 地震等自然災害・大規模な感染症拡大に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>当社グループは日本・中国及びタイに生産工場を有しており、地震・台風・水害・火山噴火等の自然災害や火災の発生により、当社グループの事業拠点が損害を受ける可能性があります。大規模な自然災害が発生した場合には、建物・設備等の損壊、原材料等の仕入先や物流への影響、製品出荷の停滞、従業員の安全確保や出勤困難な状況の発生、復旧費用の負担等を通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループは、担当組織である安全衛生推進課を設け、地震・火災・水害・サイバー攻撃、サプライチェーンの停止等を想定した各種BCP(事業継続計画)を策定し、定期的な見直しを行っております。また、各拠点による防災訓練や安否確認訓練等のBCP演習を継続的に実施し、初動体制の強化に努めるとともに、災害発生時の早期復旧に向け、保険への加入や重要データのバックアップ体制の構築等を進めております。もっとも、想定を超える大規模地震(例:首都直下地震、南海トラフ地震等)や異常気象による災害が発生した場合には、これらの対策をもってしても被害を完全に回避することは困難であり、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症をはじめとする大規模な感染症の拡大により、従業員の出勤制限やサプライチェーンの混乱、需要の減少等が生じた場合にも、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。当社グループでは、感染症の流行に備え、リスクマネジメント委員会による統括管理のもと、在宅勤務やオンライン会議の活用等による柔軟な勤務体制の整備や、マスク・消毒液・簡易検査キット等の備蓄を行い、衛生管理体制の強化を進めております。しかしながら、今後新たな感染症が発生し、長期化又は世界的に拡大した場合には、当社グループの事業活動や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
これらの自然災害や感染症、さらには気候変動に関連するリスクは、予測が困難であるうえ、相互に関連し合う可能性があることから、当社グループでは、リスクマネジメント委員会をはじめとした全社的なリスクマネジメント体制のもと、重要リスクとして定期的なモニタリングを行っております。災害対応体制の継続的な改善、情報共有、訓練の実施等を通じて、事業継続性の確保と企業価値の維持に努めておりますが、当該リスクの態様に照らせば、その影響度について確定的な見積りを行うことは困難であり、これらの取組みにより当該リスクを完全に排除することはできないと認識しております。
③ 気候変動に関するリスク
<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>近年、地球温暖化の進行や気候変動問題への対応は、各国政府の政策や規制、企業活動、投資家や取引先を含むステークホルダーの関心が、より一層高まる中で、当社グループの事業運営にも重要な影響を及ぼし得るリスク要因となっております。気候変動に関するリスクには、主に脱炭素社会への移行に伴う「移行リスク」と、異常気象の深刻化に伴う「物理リスク」が含まれます。
<移行リスク>各国・各地域における温室効果ガス排出削減目標の引き上げや、カーボンプライシング(炭素税・排出量取引等)の導入・強化、エネルギー・環境関連法規制の厳格化、再生可能エネルギー利用拡大の要請等を背景に、企業にはより高度かつ継続的な気候変動対策が求められています。当社グループにおいても、製造工程におけるエネルギー使用やサプライチェーン全体での温室効果ガス排出削減への対応が不十分な場合、再生可能エネルギー導入や省エネ設備投資等に関する想定以上の費用負担が生じる可能性があります。
また、主要取引先である自動車関連メーカーをはじめとする顧客から、製品ライフサイクル全体でのCO₂排出削減や使用電力の再生可能エネルギー化など、サプライヤーに対する気候変動対応の要求水準が一層高まっています。これらの要求に適切に対応できない場合には、新規案件の受注機会や既存ビジネスの継続に支障を来し、販売機会の喪失や企業価値・レピュテーションの低下を招くおそれがあります。さらに、気候変動対応に関する開示内容や目標達成状況がステークホルダーの期待水準を下回ると評価された場合には、当社グループに対する投資意欲や信用評価に悪影響を及ぼす可能性があります。
<物理リスク>気候変動の進行に伴い、豪雨・洪水・台風・猛暑等、異常気象の激甚化・頻発化が懸念されています。当社グループは日本・中国・タイ等に生産拠点を有しており、これらの地域で大規模な水害や風水害、熱波等が発生した場合、工場やインフラ設備の損壊、操業停止や生産制約、復旧費用の増加、ならびに従業員の安全確保や出勤困難による稼働率低下等が生じる可能性があります。また、原材料や副資材の生産地域における異常気象や水不足等により、サプライチェーンが寸断又は遅延した場合には、原材料調達の停滞やコスト増加、製品出荷の遅延・減少が発生するおそれがあります。これらの事象が当社グループの想定を超えて発生した場合には、売上の減少や費用の増加を通じて、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
<主な対応>当社グループは、気候変動リスクを重要な経営課題の一つと認識し、事業活動に伴う温室効果ガス排出量の把握、省エネルギー設備の導入・更新、生産プロセスの改善によるエネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの導入・活用等を通じて、温室効果ガス排出削減に取り組んでおります。また、主要顧客の気候変動対応方針や要求水準を踏まえ、製品ライフサイクル全体での温室効果ガス排出量の把握に向けたPCF(製品カーボンフットプリント)の算出や、全社的な環境活動に関する会議体の運営等を通じて、気候変動対応に関する取組の推進に努めております。
併せて、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量の把握に向け、取引先に対する情報開示の要請や情報共有等を行っております。
物理リスクへの対応としては、生産拠点や倉庫等の立地条件と自然災害リスクとの関係を踏まえた対策検討、重要設備の浸水対策や電源・通信インフラの多重化、複数拠点・複数サプライヤーによる調達・生産体制の分散、ならびにBCP(事業継続計画)との連携強化等を進めております。
また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に則り、気候変動に起因するリスク及び機会の整理や、シナリオ分析の検討を通じて、これらを中長期的な事業戦略へ反映することを図っております。
なお、気候変動リスクは、各国・地域の政策・規制動向、技術革新、エネルギー供給状況、市場環境等の外部要因に大きく左右されるものであり、当社グループのこれらの対応によって、当該リスクの影響を完全に回避又は排除できるものではありません。このため、将来の気候変動の進行状況や各種制度・市場環境の変化によっては、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。