臨時報告書

【提出】
2023/10/03 16:35
【資料】
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提出理由

当社は、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第179条第1項に規定する特別支配株主である橋本浩氏(以下「橋本氏」といいます。)から、会社法第179条の3第1項の規定による株式売渡請求(以下「本株式売渡請求」といいます。)の通知を受け、2023年10月3日開催の取締役会において本株式売渡請求を承認する旨の決議をいたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の2に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。

特別支配株主から株式等売渡請求の通知がされた場合又は当該株式等売渡請求を承認するか否かが決定された場合

1.本株式売渡請求の通知に関する事項
(1)当該通知がされた年月日
2023年10月3日
(2)当該特別支配株主の氏名及び住所
氏名橋本 浩
住所東京都港区

(3)当該通知の内容
当社は、橋本氏から、当社の会社法第179条第1項に定める特別支配株主として、当社の株主の全員(但し、当社、橋本氏、及び橋本氏の特別支配株主完全子法人である株式会社クラフト(以下「クラフト」といいます。)を除きます。以下「本売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社の普通株式(以下「当社株式」といい、本売渡株主が所有する当社株式を以下「本売渡株式」といいます。)の全部を橋本氏に売り渡すことの請求に係る通知を2023年10月3日付で受領いたしました。当該通知の内容は以下のとおりです。
① 特別支配株主完全子法人に対して本株式売渡請求をしないこととするときは、その旨及び当該特別支配株主完全子法人の名称(会社法第179条の2第1項第1号)
特別支配株主完全子法人であるクラフトに対し、本株式売渡請求をしないことといたします。
② 株式売渡請求により売渡株主に対して売渡株式の対価として交付する金銭の額及びその割当てに関する事項(会社法第179条の2第1項第2号・第3号)
橋本氏は、本売渡株主に対し、本売渡株式の対価(以下「本株式売渡対価」といいます。)として、その有する本売渡株式1株につき600円の割合をもって金銭を割当交付いたします。
③ 新株予約権売渡請求に関する事項(会社法第179条の2第1項第4号)
該当事項はありません。
④ 特別支配株主が本売渡株式を取得する日(以下「取得日」といいます。)(会社法第179条の2第1項第5号)
2023年10月30日
⑤ 本株式売渡対価の支払のための資金を確保する方法(会社法第179条の2第1項第6号、会社法施行規則第33条の5第1項第1号)
本株式売渡対価の支払のため、特別支配株主完全子法人であるクラフトが2023年10月下旬に株式会社三井住友銀行(以下「三井住友銀行」といいます。)との間で締結予定の金銭消費貸借約定書に基づく同行からの借入金を原資としてお支払することを予定しております(橋本氏とクラフトとの間で金銭消費貸借契約を締結する予定です。)。
当該借入の裏付けとして、クラフトは、2023年8月9日付で、三井住友銀行から、別途クラフトと同行の間で合意する融資条件に基づき、109億円を限度として融資を行う用意があることを証明する融資証明書を取得しております。詳細につきましては、クラフトによる、2023年8月10日から同年9月25日までを公開買付期間とする公開買付けに係る公開買付届出書の添付書類をご参照ください。
なお、橋本氏及びクラフトにおいて、本株式売渡対価の支払に支障を及ぼす事象は生じておらず、今後発生する可能性も認識しておりません。
⑥ その他の本株式売渡請求に係る取引条件(会社法第179条の2第1項第6号、会社法施行規則第33条の5第1項第2号)
本株式売渡対価は、取得日以降合理的な期間内に、取得日の前日の最終の当社の株主名簿に記載又は記録された本売渡株主の住所又は本売渡株主が当社に通知した場所において、当社による配当財産の交付の方法に準じて交付されるものといたします。但し、当該方法により本株式売渡対価の交付ができなかった本売渡株主については、当社の本店所在地にて当社が指定した方法により(但し、本株式売渡対価の交付について橋本氏が指定したその他の場所及び方法があるときは、当該場所及び方法により)、本株式売渡対価が交付されるものといたします。
2.本株式売渡請求を承認する旨の決定に関する事項
(1)当該通知がされた年月日
2023年10月3日
(2)当該決定がされた年月日
2023年10月3日
(3)当該決定の内容
橋本氏からの通知のとおり、同氏による本株式売渡請求を承認いたします。
(4)当該決定の理由及び当該決定に至った過程
クラフトが2023年8月10日から2023年9月25日までを買付け等の期間として行った当社株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)に関し、当社が2023年8月10日に提出いたしました意見表明報告書(以下「本意見表明報告書」といいます。)の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本株式売渡請求は、本公開買付けの結果、クラフト及び橋本氏が当社の総株主の議決権の90%以上を所有するに至ったことから、当社株式の全て(橋本氏、クラフトが所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得することにより、当社の株主がクラフト及び橋本氏のみとなるよう当社を非公開化することを目的とした取引(以下「本取引」といいます。)の一環として行われるものであり、本株式売渡対価は、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)と同一の価格に設定されています。
当社は、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2) 本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、以下のとおり判断し、2023年8月9日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。
当社は、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「② クラフトが本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、橋本氏から本取引に関する意向表明書を2023年6月13日に受け、その際、橋本氏に対して当該打診について応じるかどうかの検討を行う旨を回答しました。
当社は、上記意向表明書の提出を受けたことを契機として、橋本氏との間で協議を開始することや本取引の実施の是非等を含めて検討を開始しました。
そして、当社は、意向表明書が当社の支配株主である橋本氏からの提案であることから、本公開買付けが支配株主との取引等であり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、本取引と同種の取引に関する公表内容等を踏まえ、独立性及び専門性・実績等を検討の上、当社、クラフト及び橋本氏から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として山田コンサルティンググループ株式会社(以下「山田コンサル」といいます。)を2023年6月中旬に選任しました。また、当社は、山田コンサルからの紹介を受け、当社、クラフト及び橋本氏から独立したリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業(以下「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」といいます。)を2023年6月中旬に選任しました。
また、当社は、山田コンサル及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所からの助言を受け、2023年6月29日、クラフト及び橋本氏から独立した立場で本取引について検討、交渉等を行うため、独立社外取締役及び社外有識者によって構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置いたしました。
具体的には、当社は、2023年6月中旬から当社の独立社外取締役、独立社外監査役及び外部有識者から構成される特別委員会の設置に向け、当社の独立社外取締役及び独立社外監査役に対して、特別委員会の委員の就任の打診、委員就任の意向の有無及び特別委員会の委員構成に関する意見の聴取などを実施しました。当該聴取結果を踏まえて、同年6月29日開催の取締役会における決議により、長谷川洋二氏(当社の独立社外取締役、弁護士、長谷川洋二法律事務所代表)、仁科秀隆氏(弁護士、中村・角田・松本法律事務所)及び鏡高志氏(公認会計士、髙野総合コンサルティング株式会社代表取締役)の3名から構成される本特別委員会(本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容等については、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置」をご参照ください。)を設置し、本特別委員会に対し、(ア)本取引の目的は正当性・合理性を有するか(本取引が当社の企業価値向上に資するかを含む。)、(イ)本取引の条件(本公開買付けにおける買付け等の価格を含む。)の公正性・妥当性が確保されているか、(ウ)本取引において、公正な手続を通じた当社の株主の利益への十分な配慮がなされているか、(エ)上記(ア)から(ウ)のほか、本取引は少数株主にとって不利益でないと考えられるか(本公開買付けに対して当社取締役会が賛同意見を表明すること及び当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することが少数株主にとって不利益でないと考えられるかを含みます。)、(オ)当社取締役会が本公開買付けに賛同し、当社の株主に応募を推奨する旨の意見表明を行うことの是非(以下、これらを総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問いたしました。また、当社取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、(a)本諮問事項の検討にあたって、本特別委員会は、本取引に係る当社のアドバイザーを利用することができるほか、当社の株式価値評価及び本取引に係るフェアネス・オピニオンの提供その他本特別委員会が必要と判断する事項を第三者機関等に委託することができるものとし、その場合の当該委託に係る合理的な費用は当社が負担するものとすること、(b)本取引に関する当社取締役会の意思決定は本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行われるものとし、特に本特別委員会が本取引に関する取引条件を妥当でないと判断したときには、当社取締役会は当該取引条件による本取引に賛同しないものとすること、(c)本特別委員会に対して、適切な判断を確保するために、当社の取締役、従業員その他本特別委員会が必要と認める者に本特別委員会への出席を要求し、必要な情報について説明を求める権限を付与すること、(d)本特別委員会に対して、本取引の取引条件等に関する当社による交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、本取引の取引条件等に関する交渉過程に実質的に関与するとともに、必要に応じて自ら直接交渉を行う権限を付与すること等を決議しております(本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置」をご参照ください。)。
また、当社は、初回の会合である2023年6月29日に、本特別委員会において、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である山田コンサル並びに当社のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所について、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、その選任の承認を受けております。なお、本特別委員会は、弁護士及び公認会計士の資格を有する者が既に委員となっていることから、適宜、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である山田コンサル並びに当社のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所からの助言を受けることとし、本特別委員会の独自のアドバイザーを選任しないことといたしました。
さらに、当社は、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、クラフト及び橋本氏から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築するとともに、かかる検討体制に独立性及び公正性の観点から問題がないことについて本特別委員会の確認を受けております。
当社は、橋本氏から本取引に関する意向表明書を2023年6月13日に受領したことを契機として、クラフトとの間で協議を開始することや本取引の実施の是非等を含めて検討を開始しました。
その後、当社は、山田コンサルから当社株式の価値算定結果に関する報告、クラフトとの交渉方針に関する助言を受けるとともに、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から本取引における手続の公正性を確保するための対応等についての法的助言を受け、これらを踏まえ、本取引の是非及び取引条件の妥当性について慎重に検討を行ってまいりました。具体的には、クラフトは、本公開買付けにおける本公開買付価格を含む本取引の諸条件等の検討を進め、2023年7月24日、当社の財務情報、当社株式の市場株価動向、株価純資産倍率(PBR)等の株価指標、当社より受領した2024年3月期から2027年3月期までの事業計画(以下「本事業計画」といいます。)、本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、本公開買付価格を538円とする旨の価格提案書を提出したとのことです。なお、当該提案価格(538円)は、提案日の前営業日である2023年7月21日の当社株式の終値459円に対して17.21%、同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値457円に対して17.72%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、株価に対するプレミアムにおいて同じです。)、過去3ヶ月間の終値単純平均値467円に対して15.20%、過去6ヶ月間の終値単純平均値485円に対して10.93%のプレミアムを加えた価格とのことです。その後、当社は、クラフトに対して、2023年7月25日、山田コンサルによる買付価格の試算結果、当社株式に係る市場株価の動向や、他の類似事例において付されたプレミアム割合の実例を考慮すると、当社の少数株主の利益保護の観点からは、より高い買付価格を要請することが適切である旨の本特別委員会の意見等を踏まえて、本公開買付価格の増額を要請する旨の回答を行いました。これを受け、クラフトにて再検討を行い、クラフトは、2023年7月26日、当社に対して本公開買付価格を570円とする旨の価格提案書を提出したとのことです。なお、当該提案価格(570円)は、提案日の前営業日である2023年7月25日の当社株式の終値462円に対して23.38%、同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値458円に対して24.45%、過去3ヶ月間の終値単純平均値466円に対して22.32%、過去6ヶ月間の終値単純平均値484円に対して17.77%のプレミアムを加えた価格とのことです。その後、当社は、クラフトに対して、2023年7月27日、山田コンサルによる買付価格の試算結果、当社株式に係る市場株価の動向や、他の類似事例において付されたプレミアム割合の実例を考慮すると、当社の少数株主の利益保護の観点からは、より高い買付価格を要請することが適切である旨の本特別委員会の意見等を踏まえて、本公開買付価格の増額を再度要請する旨の回答を行いました。これを受け、クラフトにて再検討を行い、クラフトは、2023年8月1日、当社に対して本公開買付価格を590円とする旨の価格提案書を提出したとのことです。なお、当該提案価格(590円)は、提案日の前営業日である2023年7月31日の当社株式の終値458円に対して28.82%、同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値458円に対して28.82%、過去3ヶ月間の終値単純平均値463円に対して27.43%、過去6ヶ月間の終値単純平均値483円に対して22.15%のプレミアムを加えた価格とのことです。その後、当社は、クラフトに対して、2023年8月3日、山田コンサルによる買付価格の試算結果、当社株式に係る市場株価の動向や、他の類似事例において付されたプレミアム割合の実例を考慮すると、長期に亘り当社の株式を保有いただいている当社の少数株主の利益を十分に確保したい旨の本特別委員会の意見等を踏まえて、本公開買付価格を640円とする旨の提案を行いました。これを受け、クラフトにて再検討を行ったものの、前回の提案価格(590円)は、当社株式の市場株価動向や株価純資産倍率(PBR)等の株価指標に照らしても、当社の少数株主の利益に十分資する水準のものであると判断し、2023年8月4日、当社に対して再度、本公開買付価格を590円とする旨の価格提案書を提出したとのことです。なお、当該提案価格(590円)は、提案日の前営業日である2023年8月3日の当社株式の終値449円に対して31.40%、同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値458円に対して28.82%、過去3ヶ月間の終値単純平均値462円に対して27.71%、過去6ヶ月間の終値単純平均値482円に対して22.41%のプレミアムを加えた価格とのことです。その後、当社は、クラフトに対して、2023年8月7日、他の類似事例において付されたプレミアム割合の実例や山田コンサルの算定結果も踏まえて、クラフトが提供し得る当社の少数株主の利益に最大限配慮した金額とするようさらに交渉すべきであり、より高い買付価格を要請することが適切である旨の本特別委員会の意見等を踏まえ、本公開買付価格を620円とする旨の提案を行いました。これを受け、クラフトにて再検討を行い、2023年8月8日、当社に対して本公開買付価格を600円とする旨の価格提案書を提出したとのことです。なお、当該提案価格(600円)は、提案日の前営業日である2023年8月7日の当社株式の終値456円に対して31.58%、同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値456円に対して31.58%、過去3ヶ月間の終値単純平均値461円に対して30.15%、過去6ヶ月間の終値単純平均値481円に対して24.74%のプレミアムを加えた価格とのことです。これに対して、当社は、本特別委員会からの意見を踏まえ、2023年8月8日、クラフトからの本公開買付価格を600円とする提案を受け入れる旨の回答をクラフトに対して行いました。
以上の検討・交渉過程において、本特別委員会は、適宜、当社や当社のアドバイザーから報告を受け、確認及び意見の申述等を行っております。
当社が株式価値算定書を山田コンサルから取得する上で、また、クラフトから本公開買付価格についての提案を受領する上で、直近の市場環境や2023年下期以降の最新の受注状況等を踏まえた2027年3月期までの事業計画の提出が必要とされたことから、本事業計画を策定しましたが、その内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について、本特別委員会の確認を受け、その承認を受けた後に、クラフトに提示しております。
また、当社のファイナンシャル・アドバイザーは、クラフトとの交渉にあたっては、本特別委員会において審議の上決定した交渉方針に従って対応を行っており、また、クラフトから本公開買付価格についての提案を受領した際には、その都度、直ちに本特別委員会に対して報告を行い、その指示に従って対応を行っております。
そして、当社は、2023年8月8日、本特別委員会から、当社取締役会が本公開買付けに賛同し、当社の株主に応募を推奨することは妥当である旨の答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けております(本答申書の概要については、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置」をご参照ください。)。
以上の経緯のもとで、当社は、2023年8月9日開催の当社取締役会において、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から受けた法的助言、山田コンサルから受けた助言、及び当社が山田コンサルから2023年8月8日に取得した株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)の内容を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に検討・協議を行いました。
その結果、当社は、以下のとおり、本取引は当社の企業価値の向上に資するとの結論に至りました。
すなわち、当社は、当社が上場している状態にあっては、経営資源の投入による大胆な事業改革、EMS事業の推進の強化及び海外拠点の拡大の施策を実施する上で限界が存在すると考えておりますが、クラフトによる本取引の実行により、これらの限界を取り除くことが可能となると考えています(詳細については、下記の本取引によって実現可能と考えるシナジーを記載した(a)から(d)をご参照ください。)。そして、当社は、これらの限界を除くことで、当社において、迅速かつ機動的な経営体制の構築が可能となること、長期的な視点から企業価値向上に資する各種施策が実現可能となることから、当社グループのさらなる成長と発展に資すると判断し、当社の企業価値の向上にとって最善であると、2023年8月9日、判断いたしました。
当社が本取引によって実現可能と考える具体的なシナジーは、以下のとおりです。
(a) 経営資源の投入による大胆な事業改革
国内電子事業及び海外電子事業においては、最終製品の高機能化・小型薄型化に伴い、当該最終製品に搭載される電子部品に求められる技術水準は高まり続けております。当該技術水準に対応した製品製造のために必要な先端技術の確立は、当社の競合他社との競争優位性を確保し、当社の将来の成長と収益確保には必須の条件と考えております。一方で、先端技術の確立に当たっては一定の設備投資等が必要となり、一時的に収益及びキャッシュ・フローが悪化する可能性があります。また、獲得した先端技術が顧客の需要に合致しない場合には、将来の当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼすリスクがあります。一時的に収益及びキャッシュ・フローが悪化する可能性のある設備投資で、かつ、短期的には当社の業績や財務状況に大きな影響を与えるリスクを伴うものを、当社は、本取引後、より大胆かつ迅速に実施できるようになり、中長期的な成長を見込む投資を行うことができると考えております。また、既存事業や体制にとらわれず、市場の拡大が見込まれる事業への投資や、人材の育成、設備投資、取引先の拡大といった施策に関して、より大胆な経営資源の投入により、スピード感をもって実行でき、競合他社に対する競争優位性を継続的に確保することができると考えております。
当社としては、下記の(b)及び(c)も踏まえた上で、短期的な損益やキャッシュ・フローの悪化に拘泥することなく、大胆な事業構造の改革を行うことにより、現在は電子事業の一事業であるEMS事業を、電子事業に匹敵する規模に成長させることを通じて、電子事業、EMS事業、工業材料事業と事業領域を拡大し、プリント配線板のみに依存した現在の事業構造から脱却できるものと考えております。
また、海外への設備投資により海外に販売チャネルを拡大することで、事業と地域のマトリックスを強化し、中長期的には外部環境の変化に左右されにくい経営を実現できると考えております。
(b) EMS事業の推進の強化
当社は、上記のとおり、プリント配線板の製造・販売を中心に事業を拡大してきましたが、時代に応じて取引先からのニーズは多様化・高度化しております。当社の主要取引先となる、産業機器、車載機器業界においても、生産合理化や資産圧縮、収益力強化を図るべく、製造を外部に委託する生産方式が広まっており、これを受けて当社は2017年以降、各種部品の設計・製造、基板の設計・実装及び部材の調達からユニット品と大型装置の組み立てまでを当社グループで一貫して対応すべく、EMS事業を強化してきました。2018年度から2022年度までは「統合・投資・リソース再配置フェーズ」として、拠点の集約や、狩野川工場の稼働を含め設備投資を行っており、2023年以降は「EMS事業飛躍への投資・リソースの強化フェーズ」として紀の川工場の稼働開始、三福工場の拡張を計画しており、経営リソースを集中しつつあります。このような中、EMS事業を行う企業への委託によりコストの低減、市場環境の変化へのスピーディーな対応等が可能となるといった事情を背景にファブレスメーカーが増加している現在、当社がEMS事業を集中的に強化し、プリント配線板の製造・販売企業ではなく、EMS事業を行う企業としての立ち位置を確立していくことで、生産量が増加し、部品の調達コストの低減を図ることが可能となり、収益率の向上が期待できると考えております。
(c) 海外拠点の拡大
当社は、成長が期待される東アジア圏を含む海外への事業展開により、海外需要の開拓・市場の拡大を図り、将来的な業績の向上やグローバルな体制の構築により、市場環境の変化に対するリスクを低減できるものと考えており、短期的な業績の変動によらず、自動車のEV化により今後大幅な需要増が見込まれる多層系プリント基板の生産拡充の設備投資等、積極的な海外投資を行うことができるものと考えております。さらにその他海外諸国への販売チャネルの構築にスピード感を持って取り組むことで海外需要の取り込みは、より一層推進されるものと考えております。
(d) 管理コストの削減
当社は、1999年3月に株式公開して以来、優れた人材の確保、知名度及び社会的な信用の向上等、上場会社として様々なメリットを享受してきましたが、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は当面想定していないこと、長年にわたる取引先との関係を通じてブランド力や社会的信用力は既に確立できていること、また人材の採用の面から見ても非公開化による不利益は見込まれず、当社が株式上場を維持する必要性や上場を維持することにより享受できるメリットは相対的に低下している状況になっていると考えております。そのため、当社は、当社株式の非公開化による資金調達、ブランド力及び社会的信用力に対する悪影響はなく、本取引によるデメリットとして重大視するべきものはないと判断をしております。
さらに、当社において株式の上場維持のために必要な人的・経済的コストが近年増加しており、今後も、かかるコストが当社の経営上のさらなる負担となる可能性も否定できないと認識しております。
また、当社は、以下の点から、本公開買付価格である1株当たり600円は当社の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の一般株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
(ア)当該価格が、当社において、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置が十分に講じられた上で、本特別委員会の実質的な関与の下、クラフトとの間で十分な交渉を重ねた結果合意された価格であること。
(イ)当該価格が、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載の本株式価値算定書における山田コンサルによる当社株式の価値算定結果のうち、市場株価法により算定された当社株式1株当たり株式価値の上限を超過しており、類似会社比較法により算定された当社株式1株当たり株式価値のレンジの範囲内にあり、かつ、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法により算定された当社株式1株当たり株式価値の中央値を上回る水準であること。
(ウ)当該価格が、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2023年8月8日を基準日として、基準日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値448円に対して33.93%、基準日までの直近1ヶ月間の取引成立日の終値単純平均値456円に対して31.58%、同直近3ヶ月間の取引成立日の終値単純平均値460円に対して30.43%、同直近6ヶ月間の取引成立日の終値単純平均値480円に対して25.00%のプレミアムが加算されたものであり、本取引が「支配株主その他施行規則で定める者」による当社株式の非公開化を目的とした取引であるところ、経済産業省による「公正なM&Aの在り方に関する指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」の公表日である2019年6月28日以降の非公開化を前提とした他の公開買付けの事例99件における、公表日の前営業日の終値、直近1ヶ月間の終値単純平均値、直近3ヶ月間の終値単純平均値及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対する各種プレミアムの平均値により算出したプレミアム水準(公表日の前営業日の終値に対して41.42%、直近1ヶ月間の終値単純平均値に対して44.52%、直近3ヶ月間の終値単純平均値に対して47.06%及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対して47.59%の数値)には及ばないものの、依然として、他の類似事例と比べても遜色ないものと評価でき、合理的な水準のプレミアムが付されていること。
(エ)当該価格は、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても、当社の少数株主からみて、条件の妥当性が確保されていると認められる旨、判断されていること。
以上より、当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、2023年8月9日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けに応募することを推奨することを決議いたしました。
当該取締役会における決議の方法については、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
その後、当社は、2023年9月26日、クラフトより、本公開買付けの結果について、当社株式16,174,965株の応募があり、買付予定数の下限(949,100株)以上となり、本公開買付けが成立したことから、クラフトがその全てを取得することとなった旨の報告を受けました。
この結果、2023年9月29日(本公開買付けの決済の開始日)付で、クラフトは、当社株式33,364,365株(議決権所有割合(注):67.15%)を所有するに至りました。橋本氏は、同氏が直接所有する当社株式14,985,576株(議決権所有割合:30.16%)とともに、クラフトが所有する当社株式33,364,365株(議決権所有割合:67.15%)に係る間接所有分と合わせて、当社株式48,349,941株(議決権所有割合:97.31%)を所有するに至り、特別支配株主となっております。
(注)「議決権所有割合」とは、当社が2023年8月9日に公表した「2024年3月期 第1四半期決算短信[日本基準](連結)」に記載された2023年6月30日現在の当社の発行済株式総数(52,279,051株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(2,592,955株)を控除した株式数(49,686,096株)に係る議決権の数(496,860個)を分母として計算し、小数点以下第三位を四捨五入して計算しております。
このような経緯を経て、当社は、橋本氏より、2023年10月3日付で、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本取引の一環として、本株式売渡請求をする旨の通知を受けました。そして、当社は、かかる通知を受け、本株式売渡請求を承認するか否かについて、慎重に協議及び検討を行いました。その結果、当社は、2023年10月3日に開催の取締役会において、(ⅰ)本株式売渡請求は本取引の一環として行われるものであるところ、当社は、2023年8月9日の当社取締役会において、本取引に際して設置された特別委員会の意見を最大限尊重したうえ、本取引が当社の企業価値の向上に資すると判断しており、当該判断を変更すべき特段の事情が見受けられないこと、(ⅱ)本売渡株式1株につき600円の対価は、本公開買付価格と同一の価格であること、及び本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本取引の公正性を担保するための措置が十分に講じられていること等から、本売渡株主にとって相当な価格であり、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(ⅲ)橋本氏は、三井住友銀行からの借入れを受けたクラフトと金銭消費貸借契約を締結することによって、本株式売渡対価の支払を行う予定であるところ、当社としても、本公開買付けに係る公開買付届出書の添付書類として提出された、2023年8月9日付の三井住友銀行作成の融資証明書を確認し、また、橋本氏に対しても、三井住友銀行及びクラフトとの間の金銭消費貸借契約の締結に関する確実性に関する確認を行った結果、橋本氏が本株式売渡対価の支払のための資金を確保できると合理的に認められること、並びに橋本氏によれば、橋本氏及びクラフトにおいて、本株式売渡対価の支払に支障を及ぼす事象は生じておらず、今後発生する可能性も認識していないとのことであること等から、橋本氏による本株式売渡対価の支払のための資金の準備状況・確保手段は相当であり、本株式売渡対価の交付の見込みがあると考えられること、(ⅳ)本株式売渡対価の交付までの期間及び支払方法について不合理な点は認められないことから、本株式売渡請求に係る取引条件は相当であると考えられること、(ⅴ)本公開買付けの開始以降、本日に至るまで当社の企業価値に重大な変更は生じていないこと等を踏まえ、本株式売渡請求は、本売渡株主の利益に配慮したものであり、本株式売渡請求の条件等は適正であると判断し、橋本氏からの通知のとおり、本株式売渡請求を承認することを決議いたしました。
以 上