有価証券報告書-第36期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/24 10:51
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2018年4月1日から2019年3月31日まで)における当社グループを取り巻く事業環境において、IT市場では、IoT(モノのインターネット)による情報ネットワークの拡大やデータソースの多様化に加え、モバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルメディアに関連した技術革新や利便性向上などが見られました。なお、同期間の主要通貨に対する円相場は、各国の景気や金融・貿易政策等に対する見方を反映し、前年同期の平均レートと比較すると対ドルや対ユーロ、対中国元でそれぞれ僅かに円高となりました(為替変動による業績への影響は、連結売上高を約4億円押し下げ、連結営業利益を約2億円押し下げたと試算)。
このような事業環境の下、当社グループは、当期(2019年3月期)を初年度とする中期経営計画「Wacom Chapter2」を策定し、「テクノロジー・リーダーシップ・カンパニー」としてペンやインクのデジタル技術で常に市場の主導権を握りつつ、持続的な成長を目指してまいりました。当連結会計年度では、IoT、VR(仮想現実)/MR(複合現実)、3D(三次元)プリンティング、AI(人工知能)、セキュリティ(安全性)といった成長分野において、事業モデルを一段と進化させるための将来戦略を協業先とともに新たな経営チームの下で推し進め、経営判断の質の向上を通して生産性やコスト構造の改善など経営課題にも全社的に取り組みました。
ブランド製品事業については、創造性発揮のための最高体験をお客様にお届けするため、技術革新へ取り組むとともに、顧客サービスの向上に努めました。当連結会計年度では、クリエイティブビジネスにおいて、ディスプレイ製品のプロ向けモデルならびにエントリーモデルの新製品を市場投入し、製品ラインアップの強化と拡充を図りました。しかし、ペンタブレット製品の売上高が前年同期を下回ったことなどから、ブランド製品事業全体としての売上高は、前年同期を小幅に下回る結果となりました。
テクノロジーソリューション事業については、OSプラットフォームの壁を越えてデジタルペン技術(EMR:Electro Magnetic Resonance、アクティブES:Active Electrostatic)の事実上の標準化に取り組むとともに、タブレット・ノートPC市場での利用拡大や教育市場での事業機会の拡大に努めました。当連結会計年度では、スマートフォン向けならびにタブレット・ノートPC向けにメーカー各社からの需要が増加したことなどから、テクノロジーソリューション事業全体としての売上高は、前年同期を大幅に上回る結果となりました。
中期経営計画の経営課題に対する全社的な取り組みとしては、利益重視の経営を目指し、組織やオペレーションの改革とコスト構造の改善などに努めました。第1四半期連結累計期間には、オペレーションの効率性改善や利益性向上の観点から、稼働中のグローバル基幹業務システム(ソフトウエア資産)に対しても見直しを行い一部除却を決定し、固定資産除却損(142,091千円)を計上しました。また、当連結会計年度では、中期経営計画における全社戦略の1つである「テクノロジー・リーダーシップ」を推進するため研究開発費への積極投資を行いつつ、一方で、広告宣伝費などの費用の必要性の見極めを行い、グローバル基幹業務システムに関連した経費の削減など販管費の最適化に引き続き取り組んだことで、売上高販管費率は29.4%と前年同期と比較して4.9ポイント低下しました。
なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、繰延税金資産の回収可能性の見直しにより税金費用が減少したことなどが影響し、前年同期を大幅に上回る結果となりました。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末における資産の残高は、51,551,107千円となり、前連結会計年度末に比べ641,594千円増加しました。これは主に、商品及び製品が3,194,375千円、繰延税金資産が775,945千円及び原材料及び貯蔵品が410,665千円増加し、現金及び預金が2,394,401千円、受取手形及び売掛金が1,176,934千円及びその他流動資産が150,579千円減少したことによります。
負債の残高は、26,123,153千円となり、前連結会計年度末に比べ2,117,879千円減少しました。これは主に、買掛金が1,724,628千円及びその他流動負債が568,487千円減少したことによります。
純資産の残高は、25,427,954千円となり、前連結会計年度末に比べ2,759,473千円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益で3,851,242千円増加し、剰余金の配当で974,227千円減少したことによります。これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ4.8ポイント増加し、49.3%となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度における売上高は89,498,505千円(前年同期比8.8%増)となり、営業利益は4,151,959千円(同17.7%増)、経常利益は4,149,067千円(同15.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,851,242千円(同63.1%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、2,394,401千円減少(前年同期は4,952,199千円増加)し、当連結会計年度末には16,762,726千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの内訳は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1,054,298千円(前年同期は6,781,272千円の収入)となりました。これは、当連結会計年度において税金等調整前当期純利益4,022,326千円、減価償却費2,323,514千円及び売上債権の減少額1,369,379千円などの収入要因が、たな卸資産の増加額3,735,822千円、仕入債務の減少額1,701,858千円及び法人税等の支払額984,868千円などの支出要因を上回ったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2,436,540千円(前年同期は767,231千円の使用)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出1,134,926千円及び無形固定資産の取得による支出1,110,600千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、951,481千円(前年同期は974,290千円の使用)となりました。主な内訳は、自己株式の処分による収入21,840千円及び配当金の支払額973,321千円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
ブランド製品事業(千円)28,374,223125.3
テクノロジーソリューション事業
(千円)
30,105,204129.2
合計(千円)58,479,427127.2

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 製品仕入実績
当連結会計年度の製品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
ブランド製品事業(千円)57,20268.4
テクノロジーソリューション事業
(千円)
--
合計(千円)57,20268.4

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
d. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
ブランド製品事業(千円)45,442,76794.3
テクノロジーソリューション事業
(千円)
44,055,738130.9
合計(千円)89,498,505109.4

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
サムスン電子グループ12,706,47715.419,144,34321.4

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.サムスン電子グループには、主に、Samsung Electronics Japan Co., Ltd.、Samsung Electronics Vietnam Thai Nguyen Co., Ltd.、Samsung Electronics Co., Ltd.が含まれております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の採用や、資産・負債及び収益・費用の計上及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り項目特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
当社グループのセグメントごとの業績に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
◎ ブランド製品事業
<クリエイティブビジネス>クリエイティブビジネスは、商戦期に追加的な販売促進策を実施しましたが、ペンタブレット製品の売上高が前年同期を下回ったことなどから減収となりました。
○ ペンタブレット製品
「Wacom Intuos Pro(ワコム インテュオス プロ)」は、2017年1月の発表から2年を超え、販売が減速し始めたことから、前年同期の売上を僅かながら下回りました。「Wacom Intuos(ワコム インテュオス)」は、2018年3月に発表した製品の市場浸透が進まなかったこと、また、競争環境の影響を受けたことにより売上が減少しました。一方、昨年新興地域において多くの新規ユーザーを獲得した低価格エントリーモデル「One by Wacom(ワン バイ ワコム)」は、前年同期の売上を上回りました。これらの結果、ペンタブレット製品全体の売上高は、前年同期を下回りました。
○ ディスプレイ製品
2018年は液晶ペンタブレット「Wacom Cintiq Pro(ワコム シンティック プロ)」の製品ラインアップの強化を図りました。また、2019年1月にはエントリーモデルの液晶ペンタブレット「Wacom Cintiq(ワコム シンティック)」の16インチサイズのモデルを発表しました。それらの新製品の売上が貢献したことにより、ディスプレイ製品全体の売上高は、前年同期を上回る結果となりました。
○ モバイル製品
デジタルペン搭載タブレット市場が拡大し競争環境が大きく変化するなか、主力製品である「Wacom MobileStudio Pro(ワコム モバイルスタジオ プロ)」は、製品ライフサイクルの後期に入ったことで売上が大幅に減少しました。この結果、モバイル製品全体の売上高は、前年同期を大幅に下回りました。
<コンシューマビジネス>マイクロソフト社との共同開発による、Windowsタブレットに最適なスタイラスペン「Bamboo Ink(バンブー インク)」は、2017年6月の発表から1年を超え、販売が減速したことから、前年同期と比較して不調な結果となりました。この結果、コンシューマビジネス全体の売上高は、前年同期を下回りました。
<ビジネスソリューション>液晶サインタブレット「STU(エスティーユー)」シリーズは金融機関向けを中心に、液晶ペンタブレット「DT(ディーティー)」シリーズは教育機関向けを中心に、それぞれ米国で好調に売上を伸ばしました。これらの結果、ビジネスソリューション全体の売上高は、前年同期を上回りました。
これらの結果、ブランド製品事業の売上高は45,442,767千円(前年同期比5.7%減)、セグメント利益は4,445,358千円(同31.3%減)となりました。また、セグメント資産は前連結会計年度末に比べ2,056,129千円減少の19,120,820千円となりました。
◎ テクノロジーソリューション事業
<スマートフォン向けペン・センサーシステム>主要顧客であるサムスン社の最新モデル向けの売上がデジタルペンの機能強化により増加したことや、既存モデル向けの売上も継続したことから、スマートフォン向けペン・センサーシステム全体の売上高は、前年同期を大幅に上回りました。
<タブレット・ノートPC向けペン・センサーシステム>アクティブES方式デジタルペン製品の需要がメーカー各社から高い評価を得て増加したことから、タブレット・ノートPC向けペン・センサーシステム全体の売上高は、前年同期を上回りました。
これらの結果、テクノロジーソリューション事業の売上高は44,055,738千円(前年同期比30.9%増)、セグメント利益は7,395,366千円(同30.3%増)となりました。また、セグメント資産は前連結会計年度末に比べ964,781千円増加の10,567,891千円となりました。
b. 経営成績に影響を与える大きな要因
当社グループの経営成績に影響を与える大きな要因は「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社グループは、当連結会計年度において、為替レートの変動といった経営環境に関する要因、市場環境の変化、取引先との依存関係、他社との競争、基幹部品・部材の供給と価格、製品の欠陥又は品質問題といった事業活動に関する要因、さらには法的規制及び訴訟等の発生可能性に留意し、これらの低減・回避等の対応に努めました。なお、当連結会計年度末現在において、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載されたリスクに関する重要な事象等は存在しておりません。
c. 資本の財源及び資金の流動性
ⅰ)資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、AI(人工知能)やVR(仮想現実)/MR(複合現実)分野といった成長市場に対応した新製品や次世代デジタルペン技術にかかる研究開発費、量産出荷のための金型設備投資、コーポレート部門における業務効率向上のためのITシステム投資です。なお、設備もしくはシステムとして資産計上される資本的支出の規模は、毎期20億円~25億円程度を目安としております。当連結会計年度においては、製品量産用金型や自動組立機への投資のほか、特許権の取得などがあり、総額24億円となりました。
ⅱ)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金調達、資金運用等に関する取り組み方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)」に記載のとおりであります。なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は130億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は168億円となっております。
d. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2019年3月期を初年度とする新たな中期経営計画「Wacom Chapter2」を策定し、その最終年度である2022年3月期において以下の経営指標を達成することを目標としております。
(収益性) 連結営業利益率 10%
(事業規模) 連結売上高 1,000億円
(資本効率) 連結株主資本利益率 15~20%
なお、当連結会計年度においては、連結営業利益率4.6%(前年同期は4.3%)、連結売上高895億円(前年同期比8.8%増)、連結株主資本利益率16.0%(前年同期は10.8%)となりました。引き続きこれらの指標について改善されるよう取り組んでまいります。

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