有価証券報告書-第57期(2023/04/01-2024/03/31)
<気候変動に関する戦略>「循環型社会への対応」「気候変動への対応」は当社のマテリアリティ(重要課題)です。そのため、気候変動についてどのようなビジネス上の課題が顕在しうるか、IPCC(※)第6次評価報告書において示された2℃シナリオ/4℃シナリオのそれぞれにおいて、TCFDが提言するシナリオ分析を行い、当社を取り巻く気候変動関連のリスクと機会を特定しました。また2℃シナリオの分析においては、1.5℃シナリオを示すIEA NZE2050も参照しました。
※IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change、気候変動に関する政府間パネル
・2℃/4℃シナリオに基づく気候関連リスク・機会
これらシナリオ分析によって、2030年時点で具体的にどの程度の財務インパクトが生じるのかを分析しました。
2℃シナリオの場合、カーボンプライシング政策が強化されることによって、事業運営コストの上昇による財務影響が大きいと想定しています。また4℃シナリオの場合は、気候変動による物理的な影響から、バリューチェーンにおける物流の寸断や、調達コストへの影響も連動して負担となることを予測しています。
一方で、顧客の製品選択基準も変化し、より省エネ性能、GHG低排出製品のニーズが高まり、当社の高効率製品は低炭素社会への移行に伴って、ますますビジネス機会が生まれる可能性が高まることを想定しています。これらビジネス機会を確実に捉え事業計画へと反映するため、当社は2023年5月に既存の取組みや今後の計画を整理した「低炭素移行計画-Transition to Net Zero-」を策定しました。当計画に従い、国内外の事業活動全体における温室効果ガスの排出削減に積極的に取り組んでまいります。
※IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change、気候変動に関する政府間パネル
・2℃/4℃シナリオに基づく気候関連リスク・機会
| リスク / 機会 | 区分 | 気候変動関連項目 | 期間 | 対応策 | 影響度 | 該当シナリオ |
| 移 行 リ ス ク | 政 策 と 法 規 制 | 温室効果ガス排出価格上昇(炭素税導入)による税負担(公租公課)の増加 | 中期 長期 | ・SBT水準における長期的なCO2削減目標の設定と、削減活動の実行 | 小 | 2℃/4℃ |
| 調達コストの高騰による製造原価の上昇 | 短期 中期 | ・仕入先とのパートナーシップの強化 ・製品における原材料構成の見直し (再生プラスチックの利用率向上、脱プラ等梱包材見直し、バイオプラスチックの利用検討等) | 大 | 2℃/4℃ | ||
| 再エネ導入費、省エネ対応設備投資費の増加 | 短期 中期 | - | 小 | 2℃ | ||
| 温室効果ガス排出抑制のためのモーダルシフトによる輸送コスト上昇(モーダルシフトに限らず、現状の輸送手段における低炭素化に伴うコスト増) | 中期 長期 | - | 小 | 2℃/4℃ | ||
| 災害対策に関する規制が強化され、従業員の安全や、事業継続に関する対策が義務化される可能性がある | 中期 長期 | ・労働安全衛生マネジメントシステムにおける運用 ・労働安全衛生目標の設定とモニタリング | 中 | 2℃ | ||
| 技 術 | 製品の省エネ、低炭素化における目標達成の未達 | 中期 長期 | ・製品の省エネ、低炭素化目標達成に向けたKPIの設定とモニタリング | 大 | 2℃ | |
| 低炭素化の目標達成に向けた研究開発投資の増加 | 中期 長期 | ・低炭素化の目標達成に向けた研究開発投資の継続 | 中 | 2℃/4℃ | ||
| 市 場 | 再エネ比率の高まり、石油価格高騰によるエネルギーコストの上昇 | 中期 長期 | ・建物及び生産設備のエネルギー効率向上 ・業界No.1の低消費電力を実現する製品の開発 ・SBT水準における長期的なCO2削減目標の設定と、削減活動の実行 | 中 | 2℃/4℃ | |
| 機 会 | 製 品 と サ | ビ ス | [B&P、ヘルスケア、クリエイティブワーク、V&S] 環境性能の高い製品ニーズ増加による販売拡大 | 短期 中期 | ・業界No.1の環境性能を実現する製品の開発 | 大 | 2℃/4℃ |
| [ヘルスケア] 気候変動に伴う健康リスクの増大により健康と福祉を重視する価値観が醸成され、市場が拡大 | 中期 長期 | ・ヘルスケア事業の継続強化 ・EVSを中核としたシステム事業の拡大 | 大 | 2℃/4℃ | ||
| [V&S] 気候変動による自然災害が激甚化する中でレジリエントな社会ニーズに適応する製品およびシステムニーズの拡大 | 中期 長期 | ・V&S製品のラインナップ拡充 ・EVSを中核としたシステム事業の拡大 | 中 | 2℃/4℃ |
これらシナリオ分析によって、2030年時点で具体的にどの程度の財務インパクトが生じるのかを分析しました。
2℃シナリオの場合、カーボンプライシング政策が強化されることによって、事業運営コストの上昇による財務影響が大きいと想定しています。また4℃シナリオの場合は、気候変動による物理的な影響から、バリューチェーンにおける物流の寸断や、調達コストへの影響も連動して負担となることを予測しています。
一方で、顧客の製品選択基準も変化し、より省エネ性能、GHG低排出製品のニーズが高まり、当社の高効率製品は低炭素社会への移行に伴って、ますますビジネス機会が生まれる可能性が高まることを想定しています。これらビジネス機会を確実に捉え事業計画へと反映するため、当社は2023年5月に既存の取組みや今後の計画を整理した「低炭素移行計画-Transition to Net Zero-」を策定しました。当計画に従い、国内外の事業活動全体における温室効果ガスの排出削減に積極的に取り組んでまいります。