有価証券報告書-第64期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/16 15:53
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度の我が国経済は、世界的な回復基調の中、企業部門では好調な業績のもと、生産、輸出の増加、人手不足を背景とした雇用情勢の改善、またそれらを受けて個人消費が堅調に推移したことなどから、景気回復の動きが一段と強まりました。一方で、東アジア地域の地政学リスクは依然解消されず、特に大企業において、先行きに対する慎重な見方が維持される中で推移してまいりました。
そのような事業環境の中、当連結会計年度の当社グループの受注高は、期初からの回復傾向がより鮮明となり、138億9千7百万円(前連結会計年度比23.6%増)となりました。売上高は、前連結会計年度における受注減速により期首受注残高が減少していた影響が大きく、120億7千7百万円(前連結会計年度比8.0%減)となりました。その結果、受注残高は大幅に積み上がり64億3千3百万円(前連結会計年度比39.5%増)となりました。
損益面では、高付加価値新商品の市場投入や、業務効率の改善など、全社で原価率改善を目指した取り組みを継続し、且つ精力的に進めた結果、売上原価率は50.9%(前連結会計年度は52.8%)と大きく改善致しました。販売費及び一般管理費は、平成29年1月より稼働を開始した新情報システムの減価償却費や、安定稼働に向けた費用が増加しましたが、その他の部分で地道なコスト削減を進めた結果、前連結会計年度に比べ9千5百万円の減少となりました。しかし、売上高の減少の影響をぬぐえず、営業利益は1億8千2百万円(前連結会計年度比49.4%減)、経常利益は2億1千4百万円(前連結会計年度比45.9%減)となりました。また、投資有価証券の一部を売却したことによる特別利益9千7百万円の計上はありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は1億9千8百万円(前連結会計年度比16.0%減)となり、いずれも減益となりました。
なお、当社では平成28年から平成30年までを第1期(「Challenge STAGEⅠ」)とする中期経営計画を推進しております。詳細につきましては、「第2[事業の状況]3[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]」に記載しております。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
<計測機器>「計測機器」におきましては、高付加価値商品に対する様子見の傾向が前連結会計年度から続いておりましたが、本年度後半から、自動車業界向け計測機器を中心に回復が鮮明となりました。特に、エンジン性能評価に使用される燃焼解析装置や、ドライブトレインでの検査等に使用されるギアノイズ試験機が好調に推移しております。また、当セグメントの柱の一つであります音響・振動計測機器は、年初からの厳しい受注環境の中でもセンサ類、ソフトウェア商品を中心に健闘し、順調に推移しております。
当セグメントでは、海外市場の拡大を図るため、インド現地法人において一部製品のノックダウン生産を開始しております。またアジア地域を中心にテクニカルサポート等の支援を強化しており、その効果も次第に現れてまいりました。
これらの結果、受注高が49億8千万円(前連結会計年度比6.0%増)、売上高が49億8百万円(前連結会計年度比0.3%減)、営業利益は7億1千1百万円(前連結会計年度比0.4%減)となりました。
当セグメントの中期経営計画における戦略は以下のとおりです。
主に音響・振動分野において当社の強みであるコンサルティング機能を充分に活かし、お客様に対してはワンストップで、当社が課題解決までサポートすることを目指す。
①音響振動コンサルティング・セミナー等を利用したソリューション提案活動の強化・推進
②高付加価値新商品の開発サイクルの短縮
<特注試験装置及びサービス>「特注試験装置及びサービス」におきましては、前連結会計年度における受注減速の影響を受けまして、年初には売上原資となる受注残高が少ない状態でありましたが、次第に受注状況が回復し、受注残高を積み上げることができました。
受注高は89億4百万円(前連結会計年度比36.2%増)となり、これはリーマンショック以降では最高を更新しております。売上高は、受注高の大幅な増加があったものの、当セグメントでは受注から売上までに比較的長い期間を必要とするため、売上までには至らず71億5千5百万円(前連結会計年度比12.7%減)となりました。また、平成27年4月に稼働した新実験棟の減価償却費の影響などもあり、営業損失は5億3千万円(前連結会計年度は3億5千6百万円の営業損失)となりました。
当セグメントでは、将来に向けた新技術の研究、特注商品の標準化・モジュール化、および新実験棟の利活用を積極的に推進することで、収益力の向上を目指しております。また、主要顧客であります自動車業界を中心として、顧客に密着した活動をより一層進めてまいります。
当セグメントの中期経営計画における戦略は以下のとおりです。
当社の強みである、自動車メーカーに対する直販体制を充分に活かし、ワンストップでのサポートを実施し、お客様の研究・開発効率向上に寄与することを目指す。
①主要ユーザーを中心とした市場への密着
②当社所有の新実験棟を活用した課題解決の推進
③制御技術の深化
<その他>「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、損害保険代理業務および当社が所有する土地・建物の管理業務、その他当社からの委託業務を行っております。
当区分の売上高は2億4千2百万円(前連結会計年度比0.2%増)、営業利益は4千4百万円(前連結会計年度比78.1%増)となりました。なお、当区分の外部顧客に対する売上高は1千3百万円(前連結会計年度比9.6%減)であります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1億4千万円(6.7%)減少し、19億6千2百万円となりました。
当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、3千6百万円の支出となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益3億5百万円であり、支出の主な内訳は、たな卸資産の増加額3億7千7百万円、仕入債務の減少額4億4千1百万円、未払消費税の減少額1億8千3百万円、法人税等の支払額2億9百万円であります。
前連結会計年度と比較すると、9億1千万円の収入から3千6百万円の支出となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、2億6千5百万円の支出となりました。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出1億4千1百万円、無形固定資産の取得による支出2億5千7百万円であり、収入の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入1億5千万円であります。
前連結会計年度と比較すると3億9千9百万円(△60.0%)の支出の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1億5千2百万円の収入となりました。収入の主な内訳は、短期借入れによる収入10億円、長期借入れによる収入1億5千万円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出8億2千5百万円、配当金の支払額1億7千1百万円であります。
前連結会計年度と比較すると1億7千5百万円の支出から1億5千2百万円の収入となりました。