有価証券報告書-第26期(平成28年7月1日-平成29年6月30日)

【提出】
2017/09/27 10:26
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業績等の概要

(1) 業績
①連結売上高及び損益の状況
当連結会計年度(自平成28年7月1日至平成29年6月30日、以下「当期」という。)における我が国経済は、海外の景気回復傾向による輸出の好調や、公共投資、雇用情勢の改善によりゆるやかな持ち直しの傾向にありますが、一方では世界の政治情勢に不透明感があり、混乱によって世界経済が減速するリスクもはらんでいます。
当社グループの情報技術事業を取り巻く環境は、システムの再構築や統合、クラウドサービスへの移行に伴うIT投資が拡大しております。情報システムへの依存が高まるに連れてシステムのセキュリティに対する重要性も高まってきており、アクモスグループにおいてもクラウドを活用した情報基盤サービスやセキュリティ分野に注力してまいりました。また、近年の労働環境の改善に関する関心の高まりや、政府が提唱する働き方改革により、労働者の健康管理に関する注目も高まってきており、株式会社ジイズスタッフを中心にストレスチェックや健康管理システムのサービスに注力しております。これらの注力する分野への対応のため人材の採用は積極的に行っておりますが、人手不足感は強まってきており、当社グループでは新卒、経験者の採用とも力を入れるとともに、社員育成のための研修支援にも注力しております。
当社グループでは、社会に必要とされる企業であり続けるため、平成37年6月期までに取り組むべき事業の方向性を示した「長期ビジョン2025」を制定し、「長期ビジョン2025」の最初の3年間に実行する計画、「中期経営計画Ⅰ(2016/07-2019/06)」を策定いたしました。「中期経営計画Ⅰ(2016/07-2019/06)」におけるテーマは「変革」であります。このテーマに基づき、産業や技術分野等特定の対象を深耕し、当社グループの技術を生かしたソリューション、サービスを提供する専門特化による事業変革を進めております。またアクモス株式会社単体で取り組んでいた全員参加型のマネジメント体制(これを当社グループでは「ウィングシステム」と呼んでおります。)を、当期よりグループ各社においても取り組みを開始いたしました。小規模な部門別の採算管理を行うことにより次世代リーダーの育成とともに、問題点の早期発見と対処が行える体制を整備し、付加価値の増大を目的とする取り組みを進めており、残業抑制等により業務の効率化の成果が現れております。
当期の売上高は、前連結会計年度(自平成27年7月1日至平成28年6月30日、以下「前期」という。)に比べ164百万円増加し、4,062百万円(前期は売上高3,898百万円、前期比4.2%増)、営業利益146百万円(前期は営業利益111百万円、前期比31.1%増)、経常利益158百万円(前期は経常利益121百万円、前期比30.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益143百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益113百万円、前期比26.7%増)となっております。また、経営指標として掲げております当期の株主資本利益率(ROE)は10.8%(計画値は7%)、時間当たり付加価値(注)は3,073円(計画値は3,000円)となりました。
(注)時間当たり付加価値は以下のように定義しております。
(収入-人件費以外の経費)÷総稼働時間=時間当たり付加価値
②セグメント別の状況
各事業セグメントにおける状況は次のとおりです。
アクモス株式会社では、情報セキュリティ分野を専門特化する分野として掲げ、特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)に加入するとともに、アライアンス先の開拓やその他業務上のパートナーシップを強化する活動に努めました。株式会社ソリトンシステムズのパートナーに参画して同社のセキュリティ製品を活用したネットワーク構築サービスの提供を開始したほか、セキュリティ分野で11社の企業とアライアンスを進め、各アライアンス先の製品を活用して仮想化デスクトップ構築などの入札案件に参加しました。また、情報セキュリティEXPO等の展示会にも出展し、セキュリティ関連技術の紹介を行いました。平成29年6月には、2点のセキュリティ関連自社製品、超高速秘密分散ソリューション(API)「SYMPROBUS Divide API」と標準型攻撃メール訓練ソリューション「SYMPROBUS Targeted Mail Training」のリリースを行いました。消防通信指令システムは平成29年6月に新規受注案件1件の納品を行い、納品後の対応業務が継続していた消防通信指令システムについては製品保証引当金で予定していた対応が完了し安定して稼働しております。売上高は2,478百万円(前期は売上高2,475百万円、前期比0.1%増)となりました。
ASロカス株式会社では、森林ICTプラットフォームの導入を全国展開し、前期に引き続いて地方自治体に向けて総務省のICT街づくり事業に関連する森林ICT案件の受注に取り組み、愛媛県内、高知県内の市と町の2自治体に導入することができました。また、主力製品である地理情報戦略システムGEOSISの開発も進めており、当期に開発の完了したWebGISエンジンの販売を開始し、森林ICT案件の配信モデルのベースとして採用されております。新規に法制化されたストレスチェック関連の業務をグループ企業の株式会社ジイズスタッフから受注し継続的な売上もありましたが、期首の受注残が少なかったことや統計調査関連の受注のピークを過ぎたことから売上高は576百万円(前期は売上高590百万円、前期比2.5%減)となりました。
ACMOSソーシングサービス株式会社では、医療や自動車業界を中心とした業種でのICTサービスの専門特化に取り組んでおります。専門性向上のため継続して社員の採用と教育に努めており、特に病院情報システムの運用分野強化のため社員に対する医療情報技師の資格取得支援を実施し、前期までに24名、当期では8名が合格しております。病院内情報システム運用支援業務の顧客病院数についても、前期14病院から当期は21病院へ増加しております。企業向けシステム開発では案件の終了や取引先のシステム投資縮小が見込まれることから、自動車業界を軸に新規顧客の開拓を進めました。医療系のシステム構築分野では電子カルテの導入案件が飽和状態により受注が減少しておりますが、病院情報システムの運用の分野は顧客病院が増加しており順調に推移いたしました。売上高は前期を上回り、588百万円(前期は売上高497百万円、前期比18.3%増)となりました。
ITソリューション事業の売上高は3,643百万円(前期は3,563百万円、前期比2.2%増)、営業利益120百万円(前期は営業利益117百万円、前期比2.0%増)となっております。
ITサービス事業に属する連結子会社であった株式会社エクスカルを、重要性が低下したことから前第2四半期連結累計期間末において連結の範囲から除外したことにより、当期においてはITサービス事業は株式会社ジイズスタッフ1社となっております。
株式会社ジイズスタッフでは、働く人の健康や教育に関するBPOソリューションの拡張による専門特化を進めており、特にEAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)分野の商品開発と受注活動に注力しております。労働安全衛生法の改正により平成27年12月よりストレスチェックが義務化されたことから、当期ではストレスチェックを中心としたEAP関連業務の売上が222百万円となり、前期の53百万円から伸長しました。提供しているストレスチェック・パッケージサービスについても日本語を母国語としない社員を抱える企業様向けに平成29年3月より英語版の提供を開始し、サービスメニューの強化を図っております。また、平成29年5月からは、クラウド型の健康管理システム「LIFEDESK」をリリースいたしました。EAP関連業務の受注拡大に伴い、ASロカス株式会社へ一部業務を委託するグループ間の業務協力も進めました。当期から導入したウィングシステムの運用により社員に業務効率の意識付けができてきており、プロジェクトの管理方法の効率化や残業の抑制などにより業務効率化を進めました。当期では売上高490百万円(前期は売上高355百万円、前期比38.1%増)となりました。
ITサービス事業の売上高は490百万円(前期は401百万円、前期比22.4%増)、営業利益64百万円(前期は営業利益33百万円、前期比94.8%増)となっております。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末と比べ176百万円増加し、1,378百万円となりました。
各キャッシュフローの区分の状況とその要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは171百万円の収入(前連結会計年度は2百万円の支出)となりました。これは主に、売上債権の増加106百万円、退職給付に係る負債の減少38百万円の一方、税金等調整前当期純利益156百万円、資金の異動を伴わない減価償却費55百万円、のれん償却費12百万円、未払費用の増加等のその他92百万円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは41百万円の支出(前連結会計年度は53百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出34百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは45百万円の収入(前連結会計年度は153百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純減額83百万円の一方で長期借入金の純増額129百万円があったことによるものです。
(参考) キャッシュ・フローの関連指標の推移
平成25年
6月期
平成26年
6月期
平成27年
6月期
平成28年
6月期
平成29年
6月期
自己資本比率(%)64.458.944.255.855.5
時価ベースの自己資本比率(%)70.366.675.5125.9139.5
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)193.3140.5349.6223.6
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)25.629.622.240.3

(注) 自己資本比率:期末自己資本/期末資産の部合計×100
※自己資本=純資産合計-(新株予約権+非支配株主持分)
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出
※営業キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを使用
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象
※インタレスト・カバレッジ・レシオの計算における利払いは、連結損益計算書に計上されている支払利息を対象
※平成28年6月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは営業キャッシュ・フローがマイナスであるため記載しておりません。