有価証券報告書-第29期(令和1年7月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/09/25 10:11
【資料】
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【項目】
131項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は企業理念として、アクモスグループの持続的成長を実現し事業活動を通じて社会に貢献するために、アクモスグループの一人ひとりが共有すべき方針と価値観を定めております。
①「アクモスグループ経営理念」
当社グループは、「私たちアクモスグループは、お客様に感動していただけるプロフェッショナルなサービスを提供いたします。」という経営理念の下、アクモスグループの持続的な成長を目指して事業を推進してまいります。
「プロフェッショナル」 「私たちの姿勢」を表現
私たちは、お客様のニーズの変化に柔軟に対応する力を培(つちか)い、一人ひとりがプロフェッショナルとして使命感を持ち、常にお客様の期待を超える最適なサービスを提供することを意味しています。
「感動」「私たちの心」を表現
お客様の感動を一人ひとりの喜びとする心で、アクモスグループのプロフェッショナルサービスを通じて多くの感動を創出することを意味しています。
②「ACMOS=アクモス」とは?
経営理念の「感動」というキーワードは、アクモスグループにとって最も大切な価値観であり、その「感動」を支える「Accountability:責任」、「Collaboration:協調」、「Mind:誠実」、「Output:創出」、「Stretch:成長」の5つの価値観をアクモスの英文社名の「A C M O S」とそれぞれ関連付けました。
③行動指針「ACMOS 5」
行動指針「ACMOS 5」は、アクモスグループの構成員一人ひとりがお客様と強い信頼関係を築き、感動をともにするためにどのように行動するのかを明確にした基準です。
行動目標
「私たちは、お客様と強い信頼関係を築き感動をともにします。」
「ACMOS 5」
◆プロフェッショナルとして責任を最後まで全うします。
◆お客様や仲間と協力して強いチームを作ります。
◆正しいと思うことを愚直なまでに誠実にやり続けます。
◆創意工夫して新しいサービスを生み出します。
◆常に向上心をもって成長し続けます。
④プロフェッショナルサービス事業、プロフェッショナル・サービス・プロバイダー
現在のアクモスグループの主な事業領域は情報技術事業ですが、中長期的なアクモスグループの成長発展のためには、現在の主力事業に縛られることなく、お客様の期待値を超える専門的なサービスを提供する事業、すなわち「プロフェッショナルサービス事業」をグループの事業領域とし、私たち一人ひとりが専門性を持ち、お客さまの期待を超える価値を提供していく「プロフェッショナル・サービス・プロバイダー(PSP)」を目指します。
(中長期的な会社の経営戦略)
当社グループの中期経営戦略は長期ビジョン2025及び中期経営計画Ⅱ(2019/07-2022/06)に基いて実行しております。
(長期ビジョン2025)
社会に必要とされる企業であり続けることを目標に、アクモスグループが2025年に向けて取り組む事業の方向性を示すものとして「アクモスグループ 長期ビジョン2025」を策定しております。
「アクモスグループ 長期ビジョン2025」における目指すべき方向性と基本方針は以下の通りです。
(目指すべき方向性)
1.アクモスグループは、きらりと光るICTサービスを提供して持続的な成長を実現します。
2.アクモスグループは、個性豊かな企業集団を目指します。
(基本方針)
1.顧客創造 新しいICTサービスの提供による新顧客の開拓
2.付加価値増大 全員経営による付加価値の創造
3.アライアンス アライアンスによる顧客感動の追求
4.シナジーの発揮 グループシナジーの活用と人材交流
5.社員の幸せ 仕事を通じて社員の幸せと成長の実現
(中長期目標)
長期ビジョン2025において3年毎に中期経営計画を策定し、長期ビジョンの方向性を目指して計画を進めてまいります。
各中期経営計画におけるテーマは以下の通りです。
中期経営計画Ⅰ
(2016/07-2019/06)
中期経営計画Ⅱ
(2019/07-2022/06)
中期経営計画Ⅲ
(2022/07-2025/06)
テーマ変革発展進化
持続的成長プロセス専門特化。技術・産業に特化した事業変革専門分野を深耕し、新サービスでお客様を獲得収益の柱となる自社ブランド事業の創出

2020年6月期からの3ヶ年における中期経営計画Ⅱ(2019/07-2022/06)のテーマは「発展」であります。専門分野を深耕し、新サービスでお客様を獲得してまいります。
中期経営計画Ⅱ(2019/07-2022/06)における基本方針は以下の通りです。
1.Good Business 専門特化した製品・サービスの創出やアライアンス活用により、お客様が求めるICTサービスを提供し、社会の向上に貢献する
2.Good Value 安定的収益を確保しながら、持続的な成長を実現する
3.Good Members 社員とともに成長し、幸せを追求する
(事業戦略)
・専門特化分野の強化により、付加価値アップによる既存事業の収益力向上と、成長の種となる自社サービスの
創出・展開を推進
1)SI・ソフトウェア開発:新たな事業領域や顧客の獲得により、収益力のさらなる強化を目指す
専門特化分野業種特化型ICT(自治体<消防,防災>)業種特化型ICT(宇宙)
方向性長期的な視点で取り組み、消防通信指令システム、防災行政無線戸別受信機管理システムの販売を促進長期にわたり培った業務知識やノウハウを活かし、業務領域を拡大
主な取り組み・品質を確保して信頼を高め、長期的な視点で案件受注に取り組む・さらなる案件受注及び付加価値アップにむけ、体制を強化
・専門的な知識・技術の共有と技術者の育成

専門特化分野業種特化型ICT(自動車)空間情報
方向性自動運転等、将来性のある新規事業領域の獲得と既存強化空間情報ソリューションサービス会社を目指し、民間事業の拡大を推進
主な取り組み・新規業務スキルの獲得、新規顧客の開拓
・付加価値アップにむけ、将来性のある領域に人員を集約
・GISをベースにしたシステム開発の受託及びスキャニング・データ整備業務の受注
・民間パートナ会社連携による企画提案から受託、システム販売を推進
・新しい事業分野からの収益を確保

2)IT基盤・ネットワーク構築:新規サービス開発及びアライアンス活用により、付加価値の向上を図る
専門特化分野情報セキュリティ医療
方向性セキュリティサービスでお客様に貢献するセキュリティサービスプロバイダーへ病院運用のシェア拡大を目指す
主な取り組み・自社製品サービス&他社製品を活用したサービスを創出
・運用業務の差別化を図るためセキュリティ高度化に対応
・他社セキュリティベンダーとの協業連携の推進
・営業エリア拡大(東海地区・東北地区への展開、信越地区の拡大)
25病院⇒38病院以上へ
・中小病院向け運用モデルの構築

3)情報処理サービス:サービス提供網の拡張を目指す
専門特化分野健康、教育
方向性企画提案力・アライアンスの確立を図る
主な取り組み・ソリューション(サービス)企画提案力の向上
・アライアンス等によるクロスセル戦略
・既存商品の機能向上

4)自社サービス:自社サービスの開発および改良を進め、お客様の求めるソリューションの提供に努める
・情報セキュリティ分野は、標的型攻撃メール対応ソリューションを顧客要望により改良対応
・空間情報分野は、WebGISサービス開発のほかアライアンスパートナーと連携した新商品企画を推進
・健康分野は、2019年7月「LIFEDESK®アドバンス」提供開始。今後は管理者機能の強化を図る
(組織戦略)
・部門別採算管理ウィングシステム
⇒今後もウィングシステムを活用してPDCAサイクルを回し、事業のさらなる進化を目指す
時間当たり付加価値の向上 → 売上高、営業利益目標の達成 → ROEの向上
(人材戦略)
・人材採用の強化と人材育成の継続
・労働環境の整備
・withコロナ下での働く環境の整備・採用・人材育成の推進
⇒戦略的な人材採用と育成を進め、社員の成長を支える労働環境の整備にも注力する
経営目標(定量的目標)
当社グループでは中期経営計画の業績目標数値を毎年見直すローリング方式を採用しており、直近の事業環境を踏まえ第30期の連結業績の見通しを見直しております。
見直し後の中期経営計画Ⅱ(2019/07-2022/06)における経営目標は以下の通りです。なお、目標とする経営指標としてはROE(株主資本利益率)及び時間当たり付加価値(注)を採用しており、長期ビジョン2025での2025年6月期における数値目標はROE15%、時間当たり付加価値5,000円であります。
第29期
2020年6月期
(実績)
第30期
2021年6月期
(予想)
第31期
2022年6月期
(目標)
売上高(百万円)4,8814,9105,600
営業利益(百万円)517420560
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)335270370
ROE(%)17.41215
時間当たり付加価値(円)3,7303,6004,000

(注)時間当たり付加価値は以下のように定義しております。
(収入-人件費以外の経費)÷総稼働時間=時間当たり付加価値
(対処すべき課題)
今後のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続くと見込まれ、経済活動を更に下振れさせるリスクがあります。当社グループでは感染拡大防止対策を実施しながら、企業として持続的な成長を実現していくため、更なる付加価値の向上を行うことを重要な課題として捉えており、以下の取り組みを推進してまいります。
1.リスクマネージメントに関する課題
当社グループは、社会インフラや行政サービスを支える各種のITソリューション、ITサービスをお客様に提供しております。大規模災害発生時や新型コロナウィルス感染症の感染拡大等による非常時においても、お客様に安心・安全なサービスを提供するため事業を推進してまいります。また、どんなときでも社員が安心して業務に従事できる環境の整備を進め、家族の皆様にも安心していただけるよう努めてまいります。
・情報セキュリティリスクへの対処
情報システムに対する脅威に対処し情報資産を保全するため、機密性、完全性、可用性の確保に努め、機密情報や個人情報等の漏えいの防止に努めてまいります。また、セキュリティ分野での製品、サービスの提供を通じお客様の情報セキュリティリスクの低減に貢献してまいります。
2.グループ事業全般に関する課題
「私たちアクモスグループは、お客様に感動していただけるプロフェッショナルなサービスを提供いたします。」という経営理念に基づき、一人ひとりがプロフェッショナルサービスプロバイダーとしての自覚を持ち、お客様の期待値を超えるプロフェッショナルサービスを提供しております。
当社グループは、企業として持続的な成長を実現していくため、更なる付加価値の向上を行うことを重要な課題として捉えており、以下の取り組みを推進してまいります。
1)営業力の強化
当社グループは第3四半期に売上計上が集中する傾向にありますが、事業期間における季節偏重を軽減するため、お客様からの継続的な受注案件の確保に努めてまいります。また、自社製品・サービスを中心に新規顧客の開拓、代理店網の整備やWEBマーケティングの活用等、営業力の強化に邁進してまいります。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により新規顧客とのコンタクトが容易ではない現状で、当社グループ各社が営業情報を共有することにより既存サービス分野において新規顧客獲得と同じ効果をもたらすクロス営業を展開し受注の拡大を目指します。
2)受託開発分野の収益性の向上
部門別採算管理制度「ウィングシステム」により、時間当たり付加価値を全グループ企業共通の経営指標として採算管理を行い、安定した品質とともに付加価値の向上を図り、収益性の向上と財務の安定性を目指します。また、大規模システム開発、構築案件の請負化を進める体制を整備してまいります。
3)人材の確保と育成
当社グループが事業を展開する情報サービス産業は「人材がすべて」と考えており、人材の強化は重点課題として取り組んでおります。持続的成長には、優秀な人材の確保と育成が必要不可欠ですが、優秀な人材の採用は競争も激しく厳しい状況にあります。当社グループ事業の成長に欠かせない人材の確保に努めるとともに、採用した人材の育成に積極的に取り組んでまいります。中期経営計画において特定分野に専門特化したソリューションやサービスを提供するための事業変革を推進しており、技術者を中心に社員の専門性の向上に努めてまいります。新人の育成においては教育専門の機関を利用し、きめ細かくかつ幅広い教育制度を実施しており、資格取得に対しても資格制度を更に充実させて会社を挙げて全面的にサポートしております。しかし、感染拡大防止の観点でテレワークが拡大している現状のなか、OJTの場が制限されているため、実践的教育の提供が課題となっており、当社グループはもとよりグループ各社のユーザとも連携し次世代の教育方法を検討してまいります。
またITソリューション事業分野では、お客様のニーズに対応する技術者を確保するため、ビジネスパートナー企業との連携も深め安定的な技術者の確保に努めます。
4)製品・サービスの拡充
多様化するお客様のニーズを捉え、新規製品の開発、サービスの拡充に努めてまいります。特に、中期経営計画の専門特化分野である「情報セキュリティ」、働く人の「健康管理」、空間情報、地図情報の利活用分野において、製品開発、サービスの提供を推進し、お客様の事業の成長やセキュリティリスクの低減に貢献してまいります。これら、当社グループの拡販においてはアライアンスを推進し、受注の拡大に努めてまいります。