有価証券報告書-第38期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創業訓「①社会正義に則る、②快適で健康なヒューマンライフの創造に貢献する、③科学的エビデンスのもと世界初の価値を創造する、④日本発の技術で世界のオンリーワン企業を創造する、⑤トリムは運命共同体である」に則り、家庭用医療機器メーカーから、グローバルなメディカルカンパニーへの飛躍を目指しております。
当社グループの事業はウォーターヘルスケア事業と医療関連事業で構成されており、ウォーターヘルスケア事業が連結売上高の約88%を占めておりますが、当社グループがメディカルカンパニーとなり、また、持続的成長を実現する為には、医療関連事業を新たな事業軸として構築することが必要と考えております。医療関連事業の拡充により、グループの収益基盤が強化されるだけでなく、日本トリムグループをメディカルカンパニーとしてブランディングすることで、整水器販売を中心とするウォーターヘルスケア事業への大きな波及効果を得られます。現在、電解水透析事業が収益貢献できるステージへと入るとともに、さい帯血バンク事業は成長を加速させており、医療関連事業のさらなる拡充に向けて引き続き精力的に取り組んでまいります。
ヘルスケア、医療に関連する当社グループ事業の成長には、科学的エビデンスによる裏付けが不可欠です。これまで25年以上に亘り産官学共同研究を実施し、その成果を国際学術誌に論文として多数発表してまいりました。今後も、国立研究開発法人理化学研究所や東京大学、東北大学、早稲田大学を始めとする研究機関と連携し、既存ビジネスの拡大とともに新たな事業シーズの発掘を目的に、基礎研究から臨床研究まで幅広い研究開発を実施してまいります。
管理面では、常に経営効率の向上に取り組み、適正な利益を生む経営を実施するとともに、現在の安定した財政基盤の更なる充実に努めます。また、社会の公器として、コーポレート・ガバナンスの充実、積極的なCSR活動等にも取り組み、社会貢献することで企業価値の向上を図り、社会や株主の皆様から評価される企業であり続けたいと考えております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、効率的で筋肉質な経営を目指し、連結売上高経常利益率25%以上を中期的目標といたしております。当指標の次期見通しにつきましては、新型コロナウイルスの影響を鑑み、12.9%と計画しております。
(3) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
新型コロナ禍により世界経済は停滞しており、各国が経済対策を講じてはいるものの、景気は後退局面に入り先行きは不透明な状況です。そのような環境ではありますが、ヘルスケア、医療分野を主事業とする当社にとりましては、短期的には厳しい事業環境とはなるものの、逆に事業を拡充するチャンスであると捉えております。
①ウォーターヘルスケア事業
当社の電解水素水整水器は、アルカリ性で抗酸化性のある水素を含有した電解水素水を生成し、「胃腸症状の改善」に効果が認められた、厚生労働省所管の管理医療機器で整水器市場シェア59.2%(矢野経済研究所「2019年度版 浄水器・整水器市場の実態と展望」より)を占めております。これは、メインの販売方法である直接販売部門において、製造から販売、アフターサービスまでグループで一貫して取り組んでいることや、エビデンスを用いた説明により、お客様からの信頼を得ている結果と考えております。ただ、整水器の世帯普及率は6%ほどと、まだ低い状況にあり、市場規模を拡げていくことが必要であると考えております。
電解水素水は、胃腸症状の改善だけでなく、含有する水素の抗酸化性による健康保持、増進、予防への効果が期待されており、当社でも糖尿病患者への飲用試験など様々な産学共同研究を推進しております。当社はこれまで健康寿命の延伸、医療費の削減には「予防」が最も重要との考えのもと、その一助として「ウォーターヘルスケアという新習慣」を提唱してまいりました。これは「健康長寿社会の実現」を掲げ、健康保持・増進策に注力している国策にまさに合致するものです。その一環として厚生労働省、経済産業省が推奨する「健康経営®」に取り組む企業が増える中、整水器を事業所に一括導入いただく事例も増えております。
加えて、新型コロナ禍により、前述の「胃腸症状の改善効果」が注目されております。新型コロナウイルスに対抗するには免疫力が重要といわれておりますが、腸は免疫力の約70%を担っております。腸は、臓器の中でも第二の脳とも呼ばれ、今回の新型コロナ禍による免疫力への関心の高まりから「腸活」がさらに脚光を浴びており、今後、整水器の需要はさらに高まっていくと考えております。
短期的には、メインである整水器の対面販売においてイベントや催事の中止、延期による営業機会の減少により2021年3月期の上半期は厳しい状況が続くと想定しておりますが、中長期的視野に立ち、今後見込まれる需要の高まりの受け皿としてECサイト等のWEB環境を整備するとともに、価格帯も含めてより普及しやすい商品の開発、認知向上を目的とした広報施策など、俯瞰的に対策を講じてまいります。
現在、直接顧客管理させていただいている約50万件のユーザーに卸先やOEM製品のユーザーをあわせ、約80万件のユーザー数と見込んでおります。この整水器ユーザー数を300万件規模に拡大することを目指します。整水器ビジネスにおいて、消耗品である浄水カートリッジの販売がストックビジネスとして安定した成長が見込まれます。2020年3月期においては4,511百万円の売上高ですが、仮に300万件のユーザー数を実現し、その70%が浄水カートリッジを購入した場合、売上高は年間約20,000百万円となります。この安定した収益基盤の構築を目指してまいります。
世界的な人口増や経済成長を背景とした水不足が問題となる中、水をより有効に活用できる機能水「電解水素水」の果たせる役割はより大きくなっていくと考えます。飲用以外にも、医療、農業、工業などへの応用が期待でき、新たな事業創出を目的とした産学共同研究も精力的に実施してまいります。
海外事業では、インドネシアでボトルドウォーター事業を展開しております。同国では、世界4位の人口と経済成長による中間所得層の飛躍的拡大により、ボトルドウォーター市場が拡大路線にあり、その中で、日本の技術で生成した、より安全で美味しいアルカリ性の水をコンセプトに展開する「Pristine(プリスティン)」が順調に伸長しております。今後、インドネシアでのアルカリウォーターの認知度向上のためのプロモーション強化、飲用試験の実施等により業績伸長を加速させ、2025年度には売上高1.6兆ルピア(10,720百万円、2020年3月31日レート 1ルピア=0.0067円)達成を目指してまいります。
②医療関連事業
電解水透析事業におきましては、2018年1月のNature出版グループが発行する英国科学誌「Scientific Reports」で、電解水透析により死亡及びその原因となる疾病が41%減少したという内容の論文発表を契機に、電解水透析の知名度と期待が着実に高まっております。また、2018年7月に厚生労働省から提出された腎疾患対策検討会報告書において、CKD(慢性腎臓病)重症化予防を徹底するとともに、CKD患者(透析患者及び腎移植患者を含む)のQOL(生活の質)の維持向上を図ることが大方針に掲げられ、電解水透析がまさにその指針に沿うものとしての認知も広がっております。さらに、電解水透析システム導入病院から患者のQOL向上とともに病院経営にも収益面で寄与することが報告されており、国内の血液透析市場は飽和状態にあると言われる中、次世代の新規治療法として注目されております。電解水透析システムの導入施設は、国内4,458施設(2018年末時点)の内、2020年3月末時点で23施設ですが、まずは100施設への導入を目指します。
また、今後更なる臨床エビデンスの蓄積とともに電解水透析の病院経営への寄与についての実証にも取り組む一方、システムの医療機器化も視野に製品の改良、開発を進め、国内にとどまらずグローバルスタンダードへの発展を目指します。
再生医療関連のさい帯血バンク事業は、ステムセル研究所が実施しております。同社は2019年3月末時点で保管総数51,127件中50,406件(厚生労働省保険局「臍帯血の引渡し実績等に関する報告」)と、98.6%のシェアを占める国内最大の民間さい帯血バンクです。近年の再生医療分野の発展は目覚ましく、さい帯血についても米国を中心に臨床研究が進展しております。国内におきましても、2014年の再生医療等安全性確保法が施行され、高知大学医学部附属病院での小児脳性麻痺などの脳障害に関する臨床研究(第Ⅰ相が終了)や大阪市立大学医学部附属病院を中心としたグループによる低酸素性虚血性脳症に関する臨床研究(第Ⅱ相が実施中)など、さい帯血を利用した臨床研究が開始されており、医療応用のニーズは高まっていると考えております。今後、利用者拡大を目的に、脳性麻痺などの中枢神経系疾患に関する再生医療・細胞治療に取り組む医療機関を支援していくとともに、「さい帯(へその緒)」を含めた出産に由来する組織由来の細胞(周産期組織由来細胞)の採取、保管に向けて医療機関・研究機関と連携し、事業の拡大を図ってまいります。その業容の拡大に備え、現在、横浜に現在の施設の1.5倍の処理能力の新CPC(細胞加工施設)を建設中で、来年1月に稼動予定です。当件につきましては、本年6月1日の日本経済新聞朝刊記事で紹介されました。一方、海外につきましてもアジアを中心とした医療機関等との連携による展開も目指してまいります。
中国での病院運営事業につきましては、現在、公的保険適用の申請中です。当医院は、糖尿病治療、血液透析治療の慢性期疾患において、高度な日本式の医療サービスを提供することを主事業としております。中国における糖尿病患者は約1.2億人いるといわれており、それに伴い血液透析患者も急増しておりますが、十分に治療環境が整っているとはいえない状況です。その中で、高度な日本式の医療サービスの展開は大きな成長性が見込まれます。現状、新型コロナ禍の影響もあり、患者数の増加は想定よりも遅れておりますが、公的保険の適用が始まれば、患者は確実に増えてまいります。また、今般の医療ニーズの高まりから、当事業の将来性はますます大きくなっていくと考えております。今後、北京の漢琨医院の稼働状況を見極め、当医院をフラッグシップとして、中国国内での事業拡大を目指してまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
短期的業績回復のための対処とともに、当社グループが目指すグローバルなメディカルカンパニーへの飛躍ならびに持続的成長の実現のためには中長期的な視野にたった先行投資やイノベーティブな挑戦が不可欠であり、新型コロナ禍により顕在化した課題への対処も含め、鋭意取り組んでまいります。また、当社グループは、健全な財務体質であると自負しておりますが、新型コロナ禍のような緊急時に自社グループで機動的な対応ができるよう、さらなる内部留保の充実も視野に、より筋肉質な経営を目指してまいります。
①ウォーターヘルスケア事業
整水器関連事業につきましては、以下のとおりです。
(ⅰ)販売チャネル
当社整水器ユーザー数300万件の早期実現には、年間販売台数を大きく伸長させる必要があります。また、現在、新型コロナ禍の影響によりイベント、催事の中止など直接販売が厳しい環境にありますが、このような事態にも対応できる強い営業体制を構築するためにも、新たな販売チャネルの開拓が必須であると考えております。その新たな販売チャネルの一つがECサイト等のWEB上での販売です。現在、WEB施策のプロジェクトチームを組み、早急に体制を構築するべく精力的に取り組んでおります。また、WEBを介したチャネルでの売上を大きく伸長させるためには、現在のお客様に“販売しに行く方式”からお客様から“購入しに来ていただける方式”へと移行できる市場環境が必要です。その実現のため、研究開発による電解水素水の更なる機能に関するエビデンスの取得、その販売方式に適応できる価格や仕様の製品の開発、整水器の認知向上、トリムブランドの構築に取り組んでおります。
(ⅱ)研究開発
当社が取り組んでいる産官学共同研究により、電解水素水の新たな機能やその効果の機序に関してエビデンスを得ることは、電解水素水の普及促進に非常に大きな後押しとなります。
現在、理化学研究所(基礎研究、動物研究、臨床研究)、東北大学(糖尿病患者への飲用による臨床研究)、東京大学(基礎研究)等との産学共同研究や高知県須崎市との生活習慣病の臨床研究及び健診データ・医療費に関する実証事業などを精力的に展開しており、2021年3月期中に少なくとも5報の論文の発表を予定しております。これらの成果を追い風とすべく、PR展開への連携も図ってまいります。
(ⅲ)製品開発
当社では、当社整水器ユーザー300万件を目標としておりますが、その実現にはより幅広い消費者のニーズにあった高性能で汎用性の高い製品の開発が必須です。水の質をより高めるための機能向上は勿論、使い易さ、デザイン、サイズ、コスト等、あらゆる面で、これまでの概念に囚われることなく、製品の開発、改良に注力しております。中でも、(ⅰ)記載のWEB上で販売できる製品とするには価格は重要であり、収益性とのバランスを鑑みながら開発を進めております。
一方、新型コロナ時代に即応した衛生関連の製品開発や、農業分野や工業分野などでの新たな事業開拓を目指した製品開発にも、産学共同研究とも連携して取り組んでおります。
(ⅳ)ブランディング
当社グループの成長を加速し、持続的成長を実現するためには、科学的エビデンスや技術力、開発力だけでなく、トリムブランドを構築することも必要です。その対策として、認知度向上を目的としたマスメディアやWEB上での広報活動は勿論のこと、社会貢献活動等のCSR活動推進による社会的ステイタス向上にも積極的に取り組んでおります。また、顧客満足度や会社の信頼性も当然重要な要素であり、顧客のフォロー体制、社内管理体制、内部統制等の充実にも努めております。
インドネシアのボトルドウォーター事業につきましては、以下のとおりです。
(ⅰ)販売チャネル
まずインドネシア内でのシェアを高め、売上高を伸ばすことを方針としております。ペットボトル販売では、コンビニでの販売量増に向けプロモーションに注力しております。ガロンの宅配では、ジャカルタ市内を中心に専属のディストリビューターを増やし、より地域に密着した体制構築に取り組んでおります。
(ⅱ)製造
今後の業績伸長を見据え、製造体制の強化が必要となります。現在、これまでの約2倍の生産能力にするとともに、外注業務を一部内製化することによるコスト削減を目的とした設備投資を実施しております。また、更なる生産能力増強を目的に、インドネシア国内における水源探索も実施しております。
②医療関連事業
電解水透析事業につきましては、以下のとおりです。
(ⅰ)研究開発
電解水透析は、患者の方々のQOL改善とともに病院経営の収益面で寄与することが報告されております。施設が電解水透析システムを導入する際、初期投資が大きくなることを理由に成約に至らない場合もあり、収益面でのメリットが実証されれば、普及促進の大きな後押しとなります。現在、その実証に向けて大学と研究計画を策定中です。臨床によるエビデンスにつきましても、引き続き蓄積してまいります。
東北大学病院内に設置している慢性腎臓病透析治療共同研究部門は、本年2月から聖路加国際病院や仙台市立病院等の協力機関との連携を開始し、拡大リニューアルしました。あわせて、当社の研究部門責任者が東北大学病院の客員教授の職位に就き、体制をさらに強化しております。
(ⅱ)製品開発
電解水透析システムをより多くの施設に導入いただくには、水の質の高品質化、安定性はもちろん、システムの小サイズ化やメンテナンス性の向上、コストも重要な要素です。本年4月に、これまで受注生産であった多人数用システムを標準化し、コスト削減とともにダウンサイズ、軽量化を実現した新製品を発売いたしました。今後、より普及を促進することを目指し、医療機器化も視野にさらなる改良、開発に取り組んでまいります。
さい帯血バンク事業につきましては、以下のとおりです。
(ⅰ)販売チャネル
主な営業手法は、病院でのパンフレット配布や母学セミナー等でのスピーチにより妊婦の方にアプローチし、そこから資料請求を経て、申し込みをいただく流れでしたが、新型コロナ禍を機に、WEBを通じた新たな営業手法の確立に取り組んでおります。効果検証をタイムリーに実施しながら、既存の営業もあわせ、最適な営業体制を構築してまいります。
(ⅱ)施設の能力増強
近年の需要の急激な高まりに対応するため、細胞保管にかかる設備の拡充が必要です。現在、横浜で保管設備の増強並びに新しいCPC(細胞加工施設)を建設中です。新CPC稼動後の処理能力は最大2.5倍となります。
③新規事業
当社グループが持続的に成長していくためには、現在の主軸事業である整水器関連事業の他に、新たな事業軸を構築することが必要であると考えております。その一つは、電解水透析事業や、さい帯血バンク事業、中国における病院運営事業の医療関連事業です。その他、農業分野や工業分野でも電解水素水による新規事業の創出に取り組んでおり、いずれも非常に大きな将来性があると考えております。
今後も当社グループは、グローバルなメディカルカンパニーを目指し、ベンチャー精神を持って新規事業に挑戦してまいります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創業訓「①社会正義に則る、②快適で健康なヒューマンライフの創造に貢献する、③科学的エビデンスのもと世界初の価値を創造する、④日本発の技術で世界のオンリーワン企業を創造する、⑤トリムは運命共同体である」に則り、家庭用医療機器メーカーから、グローバルなメディカルカンパニーへの飛躍を目指しております。
当社グループの事業はウォーターヘルスケア事業と医療関連事業で構成されており、ウォーターヘルスケア事業が連結売上高の約88%を占めておりますが、当社グループがメディカルカンパニーとなり、また、持続的成長を実現する為には、医療関連事業を新たな事業軸として構築することが必要と考えております。医療関連事業の拡充により、グループの収益基盤が強化されるだけでなく、日本トリムグループをメディカルカンパニーとしてブランディングすることで、整水器販売を中心とするウォーターヘルスケア事業への大きな波及効果を得られます。現在、電解水透析事業が収益貢献できるステージへと入るとともに、さい帯血バンク事業は成長を加速させており、医療関連事業のさらなる拡充に向けて引き続き精力的に取り組んでまいります。
ヘルスケア、医療に関連する当社グループ事業の成長には、科学的エビデンスによる裏付けが不可欠です。これまで25年以上に亘り産官学共同研究を実施し、その成果を国際学術誌に論文として多数発表してまいりました。今後も、国立研究開発法人理化学研究所や東京大学、東北大学、早稲田大学を始めとする研究機関と連携し、既存ビジネスの拡大とともに新たな事業シーズの発掘を目的に、基礎研究から臨床研究まで幅広い研究開発を実施してまいります。
管理面では、常に経営効率の向上に取り組み、適正な利益を生む経営を実施するとともに、現在の安定した財政基盤の更なる充実に努めます。また、社会の公器として、コーポレート・ガバナンスの充実、積極的なCSR活動等にも取り組み、社会貢献することで企業価値の向上を図り、社会や株主の皆様から評価される企業であり続けたいと考えております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、効率的で筋肉質な経営を目指し、連結売上高経常利益率25%以上を中期的目標といたしております。当指標の次期見通しにつきましては、新型コロナウイルスの影響を鑑み、12.9%と計画しております。
(3) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
新型コロナ禍により世界経済は停滞しており、各国が経済対策を講じてはいるものの、景気は後退局面に入り先行きは不透明な状況です。そのような環境ではありますが、ヘルスケア、医療分野を主事業とする当社にとりましては、短期的には厳しい事業環境とはなるものの、逆に事業を拡充するチャンスであると捉えております。
①ウォーターヘルスケア事業
当社の電解水素水整水器は、アルカリ性で抗酸化性のある水素を含有した電解水素水を生成し、「胃腸症状の改善」に効果が認められた、厚生労働省所管の管理医療機器で整水器市場シェア59.2%(矢野経済研究所「2019年度版 浄水器・整水器市場の実態と展望」より)を占めております。これは、メインの販売方法である直接販売部門において、製造から販売、アフターサービスまでグループで一貫して取り組んでいることや、エビデンスを用いた説明により、お客様からの信頼を得ている結果と考えております。ただ、整水器の世帯普及率は6%ほどと、まだ低い状況にあり、市場規模を拡げていくことが必要であると考えております。
電解水素水は、胃腸症状の改善だけでなく、含有する水素の抗酸化性による健康保持、増進、予防への効果が期待されており、当社でも糖尿病患者への飲用試験など様々な産学共同研究を推進しております。当社はこれまで健康寿命の延伸、医療費の削減には「予防」が最も重要との考えのもと、その一助として「ウォーターヘルスケアという新習慣」を提唱してまいりました。これは「健康長寿社会の実現」を掲げ、健康保持・増進策に注力している国策にまさに合致するものです。その一環として厚生労働省、経済産業省が推奨する「健康経営®」に取り組む企業が増える中、整水器を事業所に一括導入いただく事例も増えております。
加えて、新型コロナ禍により、前述の「胃腸症状の改善効果」が注目されております。新型コロナウイルスに対抗するには免疫力が重要といわれておりますが、腸は免疫力の約70%を担っております。腸は、臓器の中でも第二の脳とも呼ばれ、今回の新型コロナ禍による免疫力への関心の高まりから「腸活」がさらに脚光を浴びており、今後、整水器の需要はさらに高まっていくと考えております。
短期的には、メインである整水器の対面販売においてイベントや催事の中止、延期による営業機会の減少により2021年3月期の上半期は厳しい状況が続くと想定しておりますが、中長期的視野に立ち、今後見込まれる需要の高まりの受け皿としてECサイト等のWEB環境を整備するとともに、価格帯も含めてより普及しやすい商品の開発、認知向上を目的とした広報施策など、俯瞰的に対策を講じてまいります。
現在、直接顧客管理させていただいている約50万件のユーザーに卸先やOEM製品のユーザーをあわせ、約80万件のユーザー数と見込んでおります。この整水器ユーザー数を300万件規模に拡大することを目指します。整水器ビジネスにおいて、消耗品である浄水カートリッジの販売がストックビジネスとして安定した成長が見込まれます。2020年3月期においては4,511百万円の売上高ですが、仮に300万件のユーザー数を実現し、その70%が浄水カートリッジを購入した場合、売上高は年間約20,000百万円となります。この安定した収益基盤の構築を目指してまいります。
世界的な人口増や経済成長を背景とした水不足が問題となる中、水をより有効に活用できる機能水「電解水素水」の果たせる役割はより大きくなっていくと考えます。飲用以外にも、医療、農業、工業などへの応用が期待でき、新たな事業創出を目的とした産学共同研究も精力的に実施してまいります。
海外事業では、インドネシアでボトルドウォーター事業を展開しております。同国では、世界4位の人口と経済成長による中間所得層の飛躍的拡大により、ボトルドウォーター市場が拡大路線にあり、その中で、日本の技術で生成した、より安全で美味しいアルカリ性の水をコンセプトに展開する「Pristine(プリスティン)」が順調に伸長しております。今後、インドネシアでのアルカリウォーターの認知度向上のためのプロモーション強化、飲用試験の実施等により業績伸長を加速させ、2025年度には売上高1.6兆ルピア(10,720百万円、2020年3月31日レート 1ルピア=0.0067円)達成を目指してまいります。
②医療関連事業
電解水透析事業におきましては、2018年1月のNature出版グループが発行する英国科学誌「Scientific Reports」で、電解水透析により死亡及びその原因となる疾病が41%減少したという内容の論文発表を契機に、電解水透析の知名度と期待が着実に高まっております。また、2018年7月に厚生労働省から提出された腎疾患対策検討会報告書において、CKD(慢性腎臓病)重症化予防を徹底するとともに、CKD患者(透析患者及び腎移植患者を含む)のQOL(生活の質)の維持向上を図ることが大方針に掲げられ、電解水透析がまさにその指針に沿うものとしての認知も広がっております。さらに、電解水透析システム導入病院から患者のQOL向上とともに病院経営にも収益面で寄与することが報告されており、国内の血液透析市場は飽和状態にあると言われる中、次世代の新規治療法として注目されております。電解水透析システムの導入施設は、国内4,458施設(2018年末時点)の内、2020年3月末時点で23施設ですが、まずは100施設への導入を目指します。
また、今後更なる臨床エビデンスの蓄積とともに電解水透析の病院経営への寄与についての実証にも取り組む一方、システムの医療機器化も視野に製品の改良、開発を進め、国内にとどまらずグローバルスタンダードへの発展を目指します。
再生医療関連のさい帯血バンク事業は、ステムセル研究所が実施しております。同社は2019年3月末時点で保管総数51,127件中50,406件(厚生労働省保険局「臍帯血の引渡し実績等に関する報告」)と、98.6%のシェアを占める国内最大の民間さい帯血バンクです。近年の再生医療分野の発展は目覚ましく、さい帯血についても米国を中心に臨床研究が進展しております。国内におきましても、2014年の再生医療等安全性確保法が施行され、高知大学医学部附属病院での小児脳性麻痺などの脳障害に関する臨床研究(第Ⅰ相が終了)や大阪市立大学医学部附属病院を中心としたグループによる低酸素性虚血性脳症に関する臨床研究(第Ⅱ相が実施中)など、さい帯血を利用した臨床研究が開始されており、医療応用のニーズは高まっていると考えております。今後、利用者拡大を目的に、脳性麻痺などの中枢神経系疾患に関する再生医療・細胞治療に取り組む医療機関を支援していくとともに、「さい帯(へその緒)」を含めた出産に由来する組織由来の細胞(周産期組織由来細胞)の採取、保管に向けて医療機関・研究機関と連携し、事業の拡大を図ってまいります。その業容の拡大に備え、現在、横浜に現在の施設の1.5倍の処理能力の新CPC(細胞加工施設)を建設中で、来年1月に稼動予定です。当件につきましては、本年6月1日の日本経済新聞朝刊記事で紹介されました。一方、海外につきましてもアジアを中心とした医療機関等との連携による展開も目指してまいります。
中国での病院運営事業につきましては、現在、公的保険適用の申請中です。当医院は、糖尿病治療、血液透析治療の慢性期疾患において、高度な日本式の医療サービスを提供することを主事業としております。中国における糖尿病患者は約1.2億人いるといわれており、それに伴い血液透析患者も急増しておりますが、十分に治療環境が整っているとはいえない状況です。その中で、高度な日本式の医療サービスの展開は大きな成長性が見込まれます。現状、新型コロナ禍の影響もあり、患者数の増加は想定よりも遅れておりますが、公的保険の適用が始まれば、患者は確実に増えてまいります。また、今般の医療ニーズの高まりから、当事業の将来性はますます大きくなっていくと考えております。今後、北京の漢琨医院の稼働状況を見極め、当医院をフラッグシップとして、中国国内での事業拡大を目指してまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
短期的業績回復のための対処とともに、当社グループが目指すグローバルなメディカルカンパニーへの飛躍ならびに持続的成長の実現のためには中長期的な視野にたった先行投資やイノベーティブな挑戦が不可欠であり、新型コロナ禍により顕在化した課題への対処も含め、鋭意取り組んでまいります。また、当社グループは、健全な財務体質であると自負しておりますが、新型コロナ禍のような緊急時に自社グループで機動的な対応ができるよう、さらなる内部留保の充実も視野に、より筋肉質な経営を目指してまいります。
①ウォーターヘルスケア事業
整水器関連事業につきましては、以下のとおりです。
(ⅰ)販売チャネル
当社整水器ユーザー数300万件の早期実現には、年間販売台数を大きく伸長させる必要があります。また、現在、新型コロナ禍の影響によりイベント、催事の中止など直接販売が厳しい環境にありますが、このような事態にも対応できる強い営業体制を構築するためにも、新たな販売チャネルの開拓が必須であると考えております。その新たな販売チャネルの一つがECサイト等のWEB上での販売です。現在、WEB施策のプロジェクトチームを組み、早急に体制を構築するべく精力的に取り組んでおります。また、WEBを介したチャネルでの売上を大きく伸長させるためには、現在のお客様に“販売しに行く方式”からお客様から“購入しに来ていただける方式”へと移行できる市場環境が必要です。その実現のため、研究開発による電解水素水の更なる機能に関するエビデンスの取得、その販売方式に適応できる価格や仕様の製品の開発、整水器の認知向上、トリムブランドの構築に取り組んでおります。
(ⅱ)研究開発
当社が取り組んでいる産官学共同研究により、電解水素水の新たな機能やその効果の機序に関してエビデンスを得ることは、電解水素水の普及促進に非常に大きな後押しとなります。
現在、理化学研究所(基礎研究、動物研究、臨床研究)、東北大学(糖尿病患者への飲用による臨床研究)、東京大学(基礎研究)等との産学共同研究や高知県須崎市との生活習慣病の臨床研究及び健診データ・医療費に関する実証事業などを精力的に展開しており、2021年3月期中に少なくとも5報の論文の発表を予定しております。これらの成果を追い風とすべく、PR展開への連携も図ってまいります。
(ⅲ)製品開発
当社では、当社整水器ユーザー300万件を目標としておりますが、その実現にはより幅広い消費者のニーズにあった高性能で汎用性の高い製品の開発が必須です。水の質をより高めるための機能向上は勿論、使い易さ、デザイン、サイズ、コスト等、あらゆる面で、これまでの概念に囚われることなく、製品の開発、改良に注力しております。中でも、(ⅰ)記載のWEB上で販売できる製品とするには価格は重要であり、収益性とのバランスを鑑みながら開発を進めております。
一方、新型コロナ時代に即応した衛生関連の製品開発や、農業分野や工業分野などでの新たな事業開拓を目指した製品開発にも、産学共同研究とも連携して取り組んでおります。
(ⅳ)ブランディング
当社グループの成長を加速し、持続的成長を実現するためには、科学的エビデンスや技術力、開発力だけでなく、トリムブランドを構築することも必要です。その対策として、認知度向上を目的としたマスメディアやWEB上での広報活動は勿論のこと、社会貢献活動等のCSR活動推進による社会的ステイタス向上にも積極的に取り組んでおります。また、顧客満足度や会社の信頼性も当然重要な要素であり、顧客のフォロー体制、社内管理体制、内部統制等の充実にも努めております。
インドネシアのボトルドウォーター事業につきましては、以下のとおりです。
(ⅰ)販売チャネル
まずインドネシア内でのシェアを高め、売上高を伸ばすことを方針としております。ペットボトル販売では、コンビニでの販売量増に向けプロモーションに注力しております。ガロンの宅配では、ジャカルタ市内を中心に専属のディストリビューターを増やし、より地域に密着した体制構築に取り組んでおります。
(ⅱ)製造
今後の業績伸長を見据え、製造体制の強化が必要となります。現在、これまでの約2倍の生産能力にするとともに、外注業務を一部内製化することによるコスト削減を目的とした設備投資を実施しております。また、更なる生産能力増強を目的に、インドネシア国内における水源探索も実施しております。
②医療関連事業
電解水透析事業につきましては、以下のとおりです。
(ⅰ)研究開発
電解水透析は、患者の方々のQOL改善とともに病院経営の収益面で寄与することが報告されております。施設が電解水透析システムを導入する際、初期投資が大きくなることを理由に成約に至らない場合もあり、収益面でのメリットが実証されれば、普及促進の大きな後押しとなります。現在、その実証に向けて大学と研究計画を策定中です。臨床によるエビデンスにつきましても、引き続き蓄積してまいります。
東北大学病院内に設置している慢性腎臓病透析治療共同研究部門は、本年2月から聖路加国際病院や仙台市立病院等の協力機関との連携を開始し、拡大リニューアルしました。あわせて、当社の研究部門責任者が東北大学病院の客員教授の職位に就き、体制をさらに強化しております。
(ⅱ)製品開発
電解水透析システムをより多くの施設に導入いただくには、水の質の高品質化、安定性はもちろん、システムの小サイズ化やメンテナンス性の向上、コストも重要な要素です。本年4月に、これまで受注生産であった多人数用システムを標準化し、コスト削減とともにダウンサイズ、軽量化を実現した新製品を発売いたしました。今後、より普及を促進することを目指し、医療機器化も視野にさらなる改良、開発に取り組んでまいります。
さい帯血バンク事業につきましては、以下のとおりです。
(ⅰ)販売チャネル
主な営業手法は、病院でのパンフレット配布や母学セミナー等でのスピーチにより妊婦の方にアプローチし、そこから資料請求を経て、申し込みをいただく流れでしたが、新型コロナ禍を機に、WEBを通じた新たな営業手法の確立に取り組んでおります。効果検証をタイムリーに実施しながら、既存の営業もあわせ、最適な営業体制を構築してまいります。
(ⅱ)施設の能力増強
近年の需要の急激な高まりに対応するため、細胞保管にかかる設備の拡充が必要です。現在、横浜で保管設備の増強並びに新しいCPC(細胞加工施設)を建設中です。新CPC稼動後の処理能力は最大2.5倍となります。
③新規事業
当社グループが持続的に成長していくためには、現在の主軸事業である整水器関連事業の他に、新たな事業軸を構築することが必要であると考えております。その一つは、電解水透析事業や、さい帯血バンク事業、中国における病院運営事業の医療関連事業です。その他、農業分野や工業分野でも電解水素水による新規事業の創出に取り組んでおり、いずれも非常に大きな将来性があると考えております。
今後も当社グループは、グローバルなメディカルカンパニーを目指し、ベンチャー精神を持って新規事業に挑戦してまいります。