有価証券報告書-第64期(令和1年10月1日-令和2年9月30日)
本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)経営方針
当社グループの経営方針は、以下の方針に基づいております。
1)健全な財務体質により、事業継続を長期にコミットします。
弊社は自主独立の精神に基づき長期的視野で経営して参ります。
長期的視野での経営を可能にするため、第一に、財務的な独立を維持します。公的援助や他人資本を当てにした経営では長期にコミットすることは不可能です。これはリーマン級経済危機、伝染病流行、大規模自然災害等に備えるという点においても例外ではありません。予期せぬ事情で市場規模が急に冷え込んだ場合、生産能力が落ち込んだ場合でも、ブランドを棄損することなく終息まで耐え抜くだけの体力を備えておくことが重要です。
第二に、ESG(環境・地域社会・企業統治)を意識した経営を行います。ESGを疎かにしてはいずれそのツケを払う時が来ます。
第三に、ライダーの高齢化、若者の趣味の多様化が進行する現状において、二輪用ヘルメット事業のみへ経営資源の選択と集中を行うことの是非についても今後議論を深めて参ります。心地がよい事業領域にもっともらしい理屈をつけ固執した結果、衰退を余儀なくされた企業は枚挙に暇がありません。
弊社は30年先、50年先も現在同様健全な企業であり続けたいと思います。
2)Made in Japanで勝負します。
弊社の最大の資産は過去60年間で築き上げたブランドです。
そのブランドは「かっこいい」「安全」「機能的」「かぶり心地がいい」というお客様の声によって支えられております。プレミアムヘルメットの生産において、人件費はいくつかの必要不可欠な要素の中の一つに過ぎず、最重要な要素ではありません。最重要な要素とはブランドを高める力であり、それを持続させる体制であります。
弊社は株主への利益還元のみならず、従業員、取引先、地域社会との共存、ブランドの維持を経営の柱としております。品質の低下、製造ノウハウの散逸、日本国内での雇用喪失等様々なリスクを背負ってまで目先のコストダウンを追求せずとも、ジャストインタイムシステムによる改善活動等を通じコストダウンと品質向上を追求し、ブランドを常に高く維持することによって、Made in Japanで勝負することは十分可能と考えております。
3)お客様の声に耳を傾けます。
2020年9月期において、弊社が製造した二輪用ヘルメットのうち、サンバイザー付かつインターコム対応モデルは販売個数において全体の約46%となりました。
これらはいずれも10年前には存在していなかった機能ですが、今ではなくてはならない商品となっています。当初商品化には賛否両論があり、根気強い社内議論と準備段階を経て現状に至りました。これはまさしく市場のニーズに対し真摯であることが成功への鍵であることの証左であります。
弊社は今後ともヘルメットの多機能化、エレクトロニクスとの融合、レトロブームへの対応等、引き続き市場ニーズに耳を傾け、業界を率先して商品化を行って参る所存です。弊社は2020年3月、東京に直営ショールームをオープンしました。かかるショールームもお客様のニーズを直接確認する重要な拠点になると確信しています。
(2)経営戦略
当社グループの経営戦略は、上記方針を踏まえ、以下4つの戦略としております。
1)商品戦略
高品質・高付加価値商品に特化し、集中的に経営資源を投下して参ります。多様化するライダーの嗜好に対応し、「お客様のニーズに沿った付加価値機能」を備えた、クラシックモデルや利便性の高いモデルを展開します。また、研究開発体制を拡充し、エレクトロニクス対応を促進、時代の最先端を走る製品開発によりブランド力アップを図ります。
2)生産戦略
国内2工場での自社一貫生産体制を確立、生産モデルを区分するも常時どちらの工場でも生産可能な体制を構築します。また、高度な技術やノウハウをブラックボックス化する情報管理を強化し、優位性を盤石なものにします。
3)市場戦略
欧米日市場の深堀りと顧客密着の販売体制を構築し、世界中の全ての国々でトップシェアを維持します。また、今後の若年層を中心にライダー人口、バイクブームの拡大が期待されるアジア、中国を中心とした新興国での販売を強化します。
4)ブランド戦略
上記3つの戦略で培われたブランド力を一層強化していくため、マルク・マルケスを中心とするスポンサー活動によるプロモーションを維持・拡大してまいります。また、国内においては、直営ショールームをオープンし、当社のブランドに係る情報をお客様へ積極的に発信してまいります。
(3)経営環境
当連結会計年度(2019年10月1日から2020年9月30日まで)における世界経済は、2月迄は概ね順調に推移しましたが、新型コロナウィルスの感染拡大につれ、地域差があるものの、概ね2-3ヶ月間ロックダウン(都市封鎖)や緊急事態宣言等が出された結果、経済活動が大きく制限され、国内総生産(GDP)は大幅に落ち込みました。経済活動再開後は各国の業界や個人に対する支援に加え、金融緩和や景気刺激策もあり、消費の反動増もみられました。そのスピードと規模は地域や業界によって異なりました。
高級二輪乗車用ヘルメット市場においても、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、欧米では、ロックダウンにより小売店での販売が一時停止しましたが、通販部門はほぼ影響がありませんでした。ロックダウン解除後は、小売店での販売も再開され急速に需要が回復しました。アジアでは2月以降ロックダウンによる営業制限がありましたが、中国を始めとする東アジア諸国では感染が早期に収束し、消費の拡大が一気に進みました。日本市場は、二輪用品店を始めとする販売店は完全休業となるところが少なく、懸念されたほどの落ち込みは見られませんでした。
このような状況下、当社が推し進めているお客様のニーズに沿った新モデルの開発・製造及びお客様の安全をサポートする販売・サービス体制の構築により、競合他社との優位性を発揮し、殆ど全ての国でシェアNo.1を堅持するなど、引き続き成功裏に推移しました。
(4)優先的に対処すべき課題
当社グループは、以下の5点を重要課題として取り組むとともに、コーポレートガバナンスの強化を実行してまいります。
1.生産戦略
①生産体制の拡充
新型コロナウィルスによる需要低迷からのリバウンド及び新興国からの需要増を受け、製品受注量は増加傾向にあります。当社といたしましては、これに対応すべく製品生産能力の増強を進めて参ります。
②改善活動等を通じた製造現場の競争力強化
当社はMade in Japanを経営方針として掲げております。ジャストインタイムシステムによる改善活動等を通じ、国内両工場の競争力を持続的に強化して参ります。
2.商品戦略
①商品の高付加価値化、多種多様化するニーズの取り込み
お客様のニーズは日々刻々変化して行きます。最近の傾向はレトロな外観に最新の装備とフィッティングを導入したモデルやヘルメットのIT・エレクトロニクスと融合したモデルなどが人気です。前者につきましては、第64期に発表したGlamsterが該当し、第65期にて本格的に拡販して行く予定です。後者につきましては現在開発を進めているスマートヘルメット(いわゆるナビゲーション機能付ヘルメット)が該当いたします。
②次のモデル開発等
当社はSHOEIと価値を分かち合える販売店様との協業で製品の販売を進めて参ります。一方で、自社EC(ネット通販サイト)を通じお近くに販売店がないお客様のフォロー体制を整え、自社ショールームでの販売を通じ、お客様から頂戴した生のご意見を次のモデル開発に活用させて頂きます。
3.ブランド戦略
①PFSサービスの普及
パーソナル・フィッティング・システム(PFS)サービス(個別フィッティング調整)の普及に引き続き努めて参ります。いつの日か、ヘルメットは自分の頭の形状に合ったフィッティングをして購入するのが当たり前という時代が来るものと確信しております。
②広告宣伝
2020年11月に世界最高峰の二輪ロードレース(Moto GP)の代表選手であるマルク・マルケス、アレックス・マルケス兄弟と2024年末までのレーサー契約延長を発表致しました。予算の範囲内で、同兄弟以外にも国内外各種レースで活躍中のレーサーと契約して参ります。彼らの更なる活躍をブランド力向上につなげて参ります。
4.市場戦略
①重点新興国での販売強化
新興国(特にアジア)における需要の伸びは目覚ましいものがあります。当社はこの需要をしっかりと取り込む為、これらの国での市場調査、マーケティングを強化して参ります。
5.その他戦略
①株主優待
当社は2020年8月20日の取締役会において、株主優待制度の導入を決議しました。株主の皆様のご支援に感謝するとともに、当社株式への投資の魅力を高め、より多くの方々に中長期的に保有いただく事を目的としております。
②新事業の検討
当社は今日まで二輪用ヘルメット専業メーカーとして業容を拡大して参りました。今後ともこの祖業を強化していく方針に変更はありません。一方、世界中でライダーの高齢化や若者の趣味の多様化が進んでいることも歴然とした事実であります。特にタイムリミットは決めておりませんが、当社の間尺にあった、当社らしい新事業があるのかについて議論を開始したいと思います。
(1)経営方針
当社グループの経営方針は、以下の方針に基づいております。
1)健全な財務体質により、事業継続を長期にコミットします。
弊社は自主独立の精神に基づき長期的視野で経営して参ります。
長期的視野での経営を可能にするため、第一に、財務的な独立を維持します。公的援助や他人資本を当てにした経営では長期にコミットすることは不可能です。これはリーマン級経済危機、伝染病流行、大規模自然災害等に備えるという点においても例外ではありません。予期せぬ事情で市場規模が急に冷え込んだ場合、生産能力が落ち込んだ場合でも、ブランドを棄損することなく終息まで耐え抜くだけの体力を備えておくことが重要です。
第二に、ESG(環境・地域社会・企業統治)を意識した経営を行います。ESGを疎かにしてはいずれそのツケを払う時が来ます。
第三に、ライダーの高齢化、若者の趣味の多様化が進行する現状において、二輪用ヘルメット事業のみへ経営資源の選択と集中を行うことの是非についても今後議論を深めて参ります。心地がよい事業領域にもっともらしい理屈をつけ固執した結果、衰退を余儀なくされた企業は枚挙に暇がありません。
弊社は30年先、50年先も現在同様健全な企業であり続けたいと思います。
2)Made in Japanで勝負します。
弊社の最大の資産は過去60年間で築き上げたブランドです。
そのブランドは「かっこいい」「安全」「機能的」「かぶり心地がいい」というお客様の声によって支えられております。プレミアムヘルメットの生産において、人件費はいくつかの必要不可欠な要素の中の一つに過ぎず、最重要な要素ではありません。最重要な要素とはブランドを高める力であり、それを持続させる体制であります。
弊社は株主への利益還元のみならず、従業員、取引先、地域社会との共存、ブランドの維持を経営の柱としております。品質の低下、製造ノウハウの散逸、日本国内での雇用喪失等様々なリスクを背負ってまで目先のコストダウンを追求せずとも、ジャストインタイムシステムによる改善活動等を通じコストダウンと品質向上を追求し、ブランドを常に高く維持することによって、Made in Japanで勝負することは十分可能と考えております。
3)お客様の声に耳を傾けます。
2020年9月期において、弊社が製造した二輪用ヘルメットのうち、サンバイザー付かつインターコム対応モデルは販売個数において全体の約46%となりました。
これらはいずれも10年前には存在していなかった機能ですが、今ではなくてはならない商品となっています。当初商品化には賛否両論があり、根気強い社内議論と準備段階を経て現状に至りました。これはまさしく市場のニーズに対し真摯であることが成功への鍵であることの証左であります。
弊社は今後ともヘルメットの多機能化、エレクトロニクスとの融合、レトロブームへの対応等、引き続き市場ニーズに耳を傾け、業界を率先して商品化を行って参る所存です。弊社は2020年3月、東京に直営ショールームをオープンしました。かかるショールームもお客様のニーズを直接確認する重要な拠点になると確信しています。
(2)経営戦略
当社グループの経営戦略は、上記方針を踏まえ、以下4つの戦略としております。
1)商品戦略
高品質・高付加価値商品に特化し、集中的に経営資源を投下して参ります。多様化するライダーの嗜好に対応し、「お客様のニーズに沿った付加価値機能」を備えた、クラシックモデルや利便性の高いモデルを展開します。また、研究開発体制を拡充し、エレクトロニクス対応を促進、時代の最先端を走る製品開発によりブランド力アップを図ります。
2)生産戦略
国内2工場での自社一貫生産体制を確立、生産モデルを区分するも常時どちらの工場でも生産可能な体制を構築します。また、高度な技術やノウハウをブラックボックス化する情報管理を強化し、優位性を盤石なものにします。
3)市場戦略
欧米日市場の深堀りと顧客密着の販売体制を構築し、世界中の全ての国々でトップシェアを維持します。また、今後の若年層を中心にライダー人口、バイクブームの拡大が期待されるアジア、中国を中心とした新興国での販売を強化します。
4)ブランド戦略
上記3つの戦略で培われたブランド力を一層強化していくため、マルク・マルケスを中心とするスポンサー活動によるプロモーションを維持・拡大してまいります。また、国内においては、直営ショールームをオープンし、当社のブランドに係る情報をお客様へ積極的に発信してまいります。
(3)経営環境
当連結会計年度(2019年10月1日から2020年9月30日まで)における世界経済は、2月迄は概ね順調に推移しましたが、新型コロナウィルスの感染拡大につれ、地域差があるものの、概ね2-3ヶ月間ロックダウン(都市封鎖)や緊急事態宣言等が出された結果、経済活動が大きく制限され、国内総生産(GDP)は大幅に落ち込みました。経済活動再開後は各国の業界や個人に対する支援に加え、金融緩和や景気刺激策もあり、消費の反動増もみられました。そのスピードと規模は地域や業界によって異なりました。
高級二輪乗車用ヘルメット市場においても、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、欧米では、ロックダウンにより小売店での販売が一時停止しましたが、通販部門はほぼ影響がありませんでした。ロックダウン解除後は、小売店での販売も再開され急速に需要が回復しました。アジアでは2月以降ロックダウンによる営業制限がありましたが、中国を始めとする東アジア諸国では感染が早期に収束し、消費の拡大が一気に進みました。日本市場は、二輪用品店を始めとする販売店は完全休業となるところが少なく、懸念されたほどの落ち込みは見られませんでした。
このような状況下、当社が推し進めているお客様のニーズに沿った新モデルの開発・製造及びお客様の安全をサポートする販売・サービス体制の構築により、競合他社との優位性を発揮し、殆ど全ての国でシェアNo.1を堅持するなど、引き続き成功裏に推移しました。
(4)優先的に対処すべき課題
当社グループは、以下の5点を重要課題として取り組むとともに、コーポレートガバナンスの強化を実行してまいります。
1.生産戦略
①生産体制の拡充
新型コロナウィルスによる需要低迷からのリバウンド及び新興国からの需要増を受け、製品受注量は増加傾向にあります。当社といたしましては、これに対応すべく製品生産能力の増強を進めて参ります。
②改善活動等を通じた製造現場の競争力強化
当社はMade in Japanを経営方針として掲げております。ジャストインタイムシステムによる改善活動等を通じ、国内両工場の競争力を持続的に強化して参ります。
2.商品戦略
①商品の高付加価値化、多種多様化するニーズの取り込み
お客様のニーズは日々刻々変化して行きます。最近の傾向はレトロな外観に最新の装備とフィッティングを導入したモデルやヘルメットのIT・エレクトロニクスと融合したモデルなどが人気です。前者につきましては、第64期に発表したGlamsterが該当し、第65期にて本格的に拡販して行く予定です。後者につきましては現在開発を進めているスマートヘルメット(いわゆるナビゲーション機能付ヘルメット)が該当いたします。
②次のモデル開発等
当社はSHOEIと価値を分かち合える販売店様との協業で製品の販売を進めて参ります。一方で、自社EC(ネット通販サイト)を通じお近くに販売店がないお客様のフォロー体制を整え、自社ショールームでの販売を通じ、お客様から頂戴した生のご意見を次のモデル開発に活用させて頂きます。
3.ブランド戦略
①PFSサービスの普及
パーソナル・フィッティング・システム(PFS)サービス(個別フィッティング調整)の普及に引き続き努めて参ります。いつの日か、ヘルメットは自分の頭の形状に合ったフィッティングをして購入するのが当たり前という時代が来るものと確信しております。
②広告宣伝
2020年11月に世界最高峰の二輪ロードレース(Moto GP)の代表選手であるマルク・マルケス、アレックス・マルケス兄弟と2024年末までのレーサー契約延長を発表致しました。予算の範囲内で、同兄弟以外にも国内外各種レースで活躍中のレーサーと契約して参ります。彼らの更なる活躍をブランド力向上につなげて参ります。
4.市場戦略
①重点新興国での販売強化
新興国(特にアジア)における需要の伸びは目覚ましいものがあります。当社はこの需要をしっかりと取り込む為、これらの国での市場調査、マーケティングを強化して参ります。
5.その他戦略
①株主優待
当社は2020年8月20日の取締役会において、株主優待制度の導入を決議しました。株主の皆様のご支援に感謝するとともに、当社株式への投資の魅力を高め、より多くの方々に中長期的に保有いただく事を目的としております。
②新事業の検討
当社は今日まで二輪用ヘルメット専業メーカーとして業容を拡大して参りました。今後ともこの祖業を強化していく方針に変更はありません。一方、世界中でライダーの高齢化や若者の趣味の多様化が進んでいることも歴然とした事実であります。特にタイムリミットは決めておりませんが、当社の間尺にあった、当社らしい新事業があるのかについて議論を開始したいと思います。