有価証券報告書-第65期(令和2年10月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/12/24 11:41
【資料】
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【項目】
129項目

有報資料

本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)経営方針
当社グループの経営方針は、以下の方針に基づいております。
1)健全な財務体質により、事業継続を長期にコミットします。
弊社は自主独立の精神に基づき長期的視野で経営して参ります。
長期的視野での経営を可能にするため、第一に、財務的な独立を維持します。公的援助や他人資本を当てにした経営では長期にコミットすることは不可能です。これはリーマン級経済危機、伝染病流行、大規模自然災害等に備えるという点においても例外ではありません。予期せぬ事情で市場規模が急に冷え込んだ場合、生産能力が落ち込んだ場合でも、ブランドを棄損することなく終息まで耐え抜くだけの体力を備えておくことが重要です。
第二に、ESG(環境・地域社会・企業統治)を意識した経営を行います。ESGを疎かにしてはいずれそのツケを払う時が来ます。
第三に、ライダーの高齢化、若者の趣味の多様化が進行する現状において、二輪用ヘルメット事業のみへ経営資源の選択と集中を行うことの是非についても引き続き議論を深めて参ります。心地がよい事業領域にもっともらしい理屈をつけ固執した結果、衰退を余儀なくされた企業は枚挙に暇がありません。
弊社は30年先、50年先も現在同様健全な企業であり続けたいと思います。
2)Made in Japanで勝負します。
弊社の最大の資産は過去60年間で築き上げたブランドです。
そのブランドは「かっこいい」「安全」「機能的」「かぶり心地がいい」というお客様の声によって支えられております。プレミアムヘルメットの生産において、人件費はいくつかの必要不可欠な要素の中の一つに過ぎず、最重要な要素ではありません。最重要な要素とはブランドを高める力であり、それを持続させる体制であります。
弊社は株主への利益還元のみならず、従業員、取引先、地域社会との共存、ブランドの維持を経営の柱としております。品質の低下、製造ノウハウの散逸、日本国内での雇用喪失等様々なリスクを背負ってまで目先のコストダウンを追求せずとも、ジャストインタイムシステムによる改善活動等を通じコストダウンと品質向上を追求し、ブランドを常に高く維持することによって、Made in Japanで勝負することは十分可能と考えております。
3)お客様の声に耳を傾けます。
2021年9月期において、弊社が製造した二輪用ヘルメットのうち、サンバイザー付かつインターコム対応モデルは販売個数において全体の約41%となりました。
これらはいずれも10年前には存在していなかった機能ですが、今ではなくてはならない商品となっています。当初商品化には賛否両論があり、根気強い社内議論と準備段階を経て現状に至りました。これはまさしく市場のニーズに対し真摯であることが成功への鍵であることの証左であります。
弊社は今後ともヘルメットの多機能化、エレクトロニクスとの融合、レトロブームへの対応等、引き続き市場ニーズに耳を傾け、業界を率先して商品化を行って参る所存です。弊社は2020年3月に東京に、2021年12月に大阪に直営ショールームをオープンしました。かかるショールームもお客様のニーズを直接確認する重要な拠点になると確信しています。
(2)経営戦略
当社グループの経営戦略は、上記方針を踏まえ、以下5つの戦略としております。
1)生産戦略
国内2工場での自社一貫生産体制を確立、生産モデルを区分するも常時どちらの工場でも生産可能な体制を構築します。また、高度な技術やノウハウをブラックボックス化する情報管理を強化し、優位性を盤石なものにします。
2)商品戦略
高品質・高付加価値商品に特化し、集中的に経営資源を投下して参ります。多様化するライダーの嗜好に対応し、「お客様のニーズに沿った付加価値機能」を備えた、クラシックモデルや利便性の高いモデルを展開します。また、研究開発体制を拡充し、エレクトロニクス対応を促進、時代の最先端を走る製品開発によりブランド力アップを図ります。
3)販売戦略
欧米日市場の深堀りと顧客密着の販売体制を構築し、世界中の全ての国々でトップシェアを維持します。また、今後の若年層を中心にライダー人口、バイクブームの拡大が期待されるアジア、中国を中心とした新興国での販売を強化します。
4)ブランド戦略
上記3つの戦略で培われたブランド力を一層強化していくため、マルク・マルケスを中心とするスポンサー活動によるプロモーションを維持・拡大してまいります。また、国内においては、直営ショールームをオープンし、当社のブランドに係る情報をお客様へ積極的に発信してまいります。
5)ESG経営
ESG(環境・地域社会・企業統治)、サステナビリティを意識した経営を行います。特に、環境問題への取り組みが企業に求められた重要な社会的責務のひとつであると認識し、気候変動の緩和・適応など環境問題に配慮して行動することについて可能な範囲で積極的に対応し、持続可能な循環型経済社会の実現に貢献致します。
(3)経営環境
当連結会計年度(2020年10月1日から2021年9月30日まで)における世界経済は、各種経済対策の効果やワクチン接種の進展による行動制限の緩和などから回復過程にあるものの、新たな変異株の拡散リスクや半導体等の供給面の制約など様々な下振れリスクが残る状況が続いております。
高級二輪乗車用ヘルメット市場、特に先進国市場においては、アウトドア需要増や給付金支給による収入増等により、コロナ禍でもむしろ需要を維持・拡大しております。欧米市場は、ロックダウン等経済活動に関する規制が断続的に課せられておりますが、その影響も限定的で需要は堅調に推移しております。日本市場は、短期的には新型コロナウイルス感染対策としての二輪車需要の漸増、ライダーの高齢化の良い一面である高級モデルへの移行や複数個保有の傾向が続いており、堅調な販売が継続しております。アジア市場は、足元では鈍化の傾向があるものの、通期では前年度比大幅な伸びとなりました。
このような状況下、当社が推し進めているお客様のニーズに沿った新モデルの開発・製造及びお客様の安全をサポートする販売・サービス体制の構築により、競合他社との優位性を発揮し、殆ど全ての国の高級二輪乗車用ヘルメット市場でシェアNo.1を堅持するなど、引き続き成功裏に推移しました。
(4)優先的に対処すべき課題
当社グループは、以下の5点を重要課題として取り組むとともに、コーポレートガバナンスの強化を実行してまいります。
1.生産戦略
①生産体制の拡充
新型コロナウイルス感染拡大を契機として、密にならないレジャーとしてのバイク人気から高級ヘルメット需要も高まり、国内外から多くの受注を頂き、生産が需要に追い付かない状況が続いております。このような状況のなか、当社では生産能力の増強に向け、以下の対策を進めて参ります。
・生産設備投資の前倒しと人材の積極採用
・岩手工場内駐車場を近隣の新規購入用地へ移転し生産スペースを拡張
・茨城工場に隣接し、現在茨城県が所有する江戸崎工業団地内の一区画(7.2ha)取得による工場スペースの拡張※
※茨城県所有の江戸崎工業団地の土地については、2022年1月の土地売買契約締結を目標に現在茨城県企業局との間で土地購入について協議を進めておりますが、今般大筋で合意に達しました。予定通り契約に至った場合、2023年半ば頃を目途に造成が完了する予定ですが、その使用内容(生産ライン、倉庫、駐車場等)については、今後の受注状況等を見極めながら適切なタイミングで判断して参ります。
②改善活動等を通じた製造現場の競争力強化
当社は、Made in Japanが望ましい生産戦略であるとして、これを経営方針として掲げております。ジャストインタイムシステムによる改善活動等を通じ、国内両工場の競争力を持続的に強化して参ります。
2.商品戦略
商品の高付加価値化、多種多様化するニーズの取り込み
日々刻々変化するお客様のニーズ(機能、デザイン、かぶり心地等)を重視した製品の設計、開発に注力致します。2022年9月期においてはスマートヘルメット(いわゆるナビゲーション機能付ヘルメット)の上市を計画しております。
3.ブランド戦略
①PFSサービスの普及
パーソナル・フィッティング・システム(PFS)サービス(個別フィッティング調整)の普及に引き続き努めて参ります。いつの日か、ヘルメットは自分の頭の形状に合ったフィッティングをして購入するのが当たり前という時代が来るものと確信しております。
②広告宣伝
引き続きMoto GPの代表選手であるマルク・マルケス、アレックス・マルケス兄弟とのレーサー契約を中心に、限られた経営資源を効率的に投資して参ります。
4.市場戦略
①重点新興国での販売強化
新興国(特にアジア)における需要の伸びは目覚ましいものがあります。当社はこの需要をしっかりと取り込む為、これらの国で市場調査、マーケティングを強化して参ります。その目的で、中国市場においては、2021年6月に子会社を設立しました。体制が整い次第、市場調査やマーケティング活動を本格化します。
②持続的成長につながる販売力の強化
当社はSHOEIと価値を分かち合える販売店様との協業で製品の販売を進めて参ります。一方で、自社EC(ネット通販サイト)を通じお近くに販売店がないお客様のフォロー体制を整え、自社ショールームでの販売を通じ、お客様から頂戴した生のご意見を次のモデル開発に活用させて頂きます。
5.ESG経営
①環境問題への取り組み
当社は、環境問題への取り組みが企業に求められた重要な社会的責務のひとつであると認識し、気候変動の緩和・適応など環境問題に配慮して行動することについて可能な範囲で積極的に対応し、持続可能な循環型経済社会の実現に貢献致します。当社の企業規模として可能なことは限られておりますが、その中でも優先順位を付け、スピード感をもって進めて参ります。
②新事業の検討
当社は今日まで二輪用ヘルメット専業メーカーとして業容を拡大して参りました。今後ともこの祖業を強化していく方針に変更はありません。一方、世界中でライダーの高齢化や若者の趣味の多様化が進んでいることも歴然とした事実であり、当社の間尺にあった、当社らしい新事業があるのかについて議論は開始しております。但し、昨今の受注状況により、新事業推進の中核をなすべき生産本部、開発本部共に多忙を極めており、なかなか具体化しないのも事実であります。

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