有価証券報告書-第114期(2025/04/01-2026/03/31)
(3) 戦略
上記「(2) 重要なサステナビリティ項目」において記載したマテリアリティに関する当社グループの取組は以下のとおりであります。
① 気候変動への対応
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、当社グループの強みを活かし、電気自動車(EV)をはじめとする電動車の普及など、環境にやさしい活動に取り組んでおります。
当社グループの事業に影響を及ぼす気候変動リスク・機会を特定し、それらの財務影響度を定性的に評価しました。特定した気候変動リスク・機会は、次のとおりであります。これらの内、重要性や当社グループの事業との関連性が高いものについて、シナリオ分析を実施し対応戦略を検討しました。
(リスク・機会発現までの期間) ・短期:3年以内 ・中期:4年~9年 ・長期:10年以上
(影響度) ・小:1億円未満 ・中:1億円以上10億円未満 ・大:10億円以上
移行リスクにおきましては、当社グループの事業活動にともなうエネルギー使用や、その結果排出されるGHG(温室効果ガス)に対する炭素税の導入といった事象が当社グループに与える財務影響を把握するため、1.5℃、2.0℃、2.6℃の温度上昇シナリオに基づいた分析を実施しました。分析の結果、当社グループ事業の将来想定に基づいて、炭素価格負担やエネルギー負担による財務影響は限定的であることが確認できました。今回の当社想定の範囲においては、該当する気候変動リスク要因に対する組織的なレジリエンスを有していると考えられます。
物理的リスクにおきましては、当社グループが所在する162拠点について、現時点、および2.0℃、4.0℃の温度上昇シナリオ下における河川氾濫がもたらす影響を評価し、事業への財務影響を分析しました。分析の結果、2.0℃シナリオにおいては、洪水の高リスク拠点数に大きな変化は見られませんでした。一方、4.0℃シナリオにおいては、2090年にかけて高リスク拠点数が増加し、各拠点で想定される浸水深も大きくなる傾向が見られました。当該シナリオでは、気候変動による一定の財務影響も見込まれております。これらの分析結果に基づいて、今後BCPの見直しや各種災害対策を実施してまいります。
その他、2025年3月に新規オープンした八王子店及び2026年2月に新規オープンした足立店では、太陽光パネルや蓄電設備、V2H(Vehicle to Home)などのエネルギーマネジメントシステムを導入しました。いずれも60トン/年のCO2排出の削減効果を見込むとともに、災害等が発生した際の電源確保が可能となります。さらに、災害等による断水時には、約100名が3日間使用できる飲料水備蓄システムを導入しております。これらのシステムを当社が今後新設する店舗にも導入していくことで、電気と水といったインフラ面で、地域のみなさまの安心を支えていきます。
また、脱炭素社会の実現に向けた取組の一環として、2023年4月よりグループ内で再生可能エネルギー電力を導入しています。2023年度には、当社グループ全体で使用する電力の内、15%を再生可能エネルギー電力に切り替えました。これにより、電力使用による年間CO2排出量を、前年比約1,250トン※削減しました。
※約1,250トン≒2022年度使用電力量の15%(約3,057千kWh)×CO2排出係数(0.000408t-CO2/kWh)
② 安心・安全な社会の実現
当社グループは、安全・運転支援技術の普及や交通安全・防災への取組などを通じて、安心・安全な暮らしができる社会を目指しております。その実現に向けては、「プロパイロット」に代表される先進の運転支援技術をより多くのお客さまに提供するとともに、それを支える整備体制によって毎日の安心・安全をサポートすることに重点を置いて取り組んでおります。
そうしたなかで、中期経営計画においては、ゼロ・フェイタリティにつながる商品・サービスを積極的にご提案していくと同時に、より万全な整備体制を順次整えております。具体的には、お客さまに先進運転支援システムを知って、見て、体感していただくために、体感試乗やバーチャルリアリティを活用した試乗機会をより多く提供するなど、リアルとバーチャルを組み合わせた効果的な訴求に取り組んでおります。また、特定整備制度の認証取得に向けた整備機器導入や整備士の技術習得、「電子制御システム整備」の体制構築などを推進し、安心・安全なカーライフとモビリティ社会の実現に貢献いたします。
③ 人権の尊重と人的資本の充実
当社グループにとって、事業活動を支える最も重要な財産は「人」であり、持続的な成長と企業価値向上を実現するためには、多様な人財が能力を最大限に発揮できる環境づくりが重要であると考えております。このため、社員一人ひとりの成長支援や働きやすい職場環境の整備に加え、多様な価値観や個性を尊重しながら、主体的に挑戦・活躍できる企業風土の醸成に取り組んでおります。
また、2025年度には、グループ全体の人的資本の充実を目的として「人財開発部」を新設いたしました。各事業会社の採用活動に関する連携・支援、教育研修の企画・実施およびDE&I推進を行うとともに、人事部門と連携しながら、グループ横断での人財戦略強化を進めております。具体的な取り組み内容は以下のとおりであります。
1)人財育成の取組
当社グループでは、社員一人ひとりが主体的に学び、めざすキャリアを実現できるよう、人財育成体系および各種教育制度の充実を図っております。社内教育に関しては、「組織の持続的成長を実現するため、持続的に成果を上げ、向上心を持って自ら考え行動できる人財」の育成をめざし、2年に1度の対面研修を実施し、各等級に求められる知識・スキルを体系的に習得できる教育体制を構築しております。
2025年度は、マネジメント力強化を目的とした管理職研修や、希望制の「チャレンジプログラム」の対象をグループ全体へ拡大いたしました。より現場課題の解決につながる実践的な内容へ見直しを行うとともに、グループ各社間における人財交流や相互理解の促進にもつなげております。また、若手社員向けの「スマイル研修」や「企業理念ワークショップ」をはじめとする集合研修なども継続的に実施し、全社員の約半数が個人および組織の成長に向け、学びを深めました。
2)働きやすい環境づくり
当社グループでは、多様な人財が安心して長期的に活躍できるよう、ワークライフバランスを重視した働きやすい職場環境づくりを人的資本経営上の重要課題として位置付けております。仕事と育児・介護との両立支援については、法改正への対応も踏まえ、柔軟な働き方を実現するための制度整備を進めております。育児短時間勤務制度の対象期間を小学校卒業まで拡充しているほか、ライフスタイルの変化等により退職した社員を再び受け入れる「退職者再雇用制度」を導入し、多様なキャリア継続を支援しております。
また、男性社員の育児休業取得促進にも取り組んでおります。制度周知や職場理解醸成を継続的に進めた結果、男性育児休業取得者数は、2023年度の4名から2025年度には18名へ増加いたしました。育児参加への意識変化や制度活用は着実に進展しており、職場風土醸成にもつながっております。加えて、DX推進や業務プロセス改革を通じた業務効率化にも取り組んでおります。業務負荷軽減や生産性向上を図ることで、社員の働きがいやエンゲージメント向上につなげております。今後も、社員一人ひとりがライフイベントとキャリア形成を両立しながら、自律的に挑戦・成長できる環境整備を推進してまいります。
3)ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)
当社グループでは、一人ひとりが能力を最大限に発揮できる組織風土の実現に向け、「NTHグループDE&I基本方針」を策定し、人財開発部が中心となり、DE&Iの理解浸透に取り組んでおります。
①外国籍社員の活躍支援
当社グループでは、多様性を尊重し、国籍を問わない人財採用を推進しております。日産東京販売㈱では、65名(2026年3月末現在)の外国籍社員が主に点検受付・整備業務を担うテクニカルアドバイザーおよびテクニカルスタッフとして活躍しております。そのうち約18%が上位等級へ昇格し、より高度な業務に挑戦しております。外国籍社員に対しては、2022年度より職場のマナー研修や、日本語学習支援のための研修、eラーニングを順次実施しており、語学力の向上および日本文化への理解促進に取り組んでおります。その結果、日産メカニックチャレンジへの参加や自動車検査員資格の取得など、活躍の場が広がっております。また、日本人社員に対しても「異文化理解&コミュニケーション研修」を導入し、多様な人財がお互いを尊重しながら成長できる職場環境づくりを進めております。
②女性の活躍推進
当社グループでは、多様なお客さまのカーライフを支えるためにはさまざまな視点や感性が重要であると考え、女性社員の採用・育成にも注力しております。2025年度は、女性社員を対象としたキャリア研修および女性役員との座談会を実施いたしました。DE&Iへの理解やキャリア形成意識を高めるとともに、経営層との対話を通じて、中長期的なキャリア意識醸成につなげております。また、日産東京販売㈱では、女性活躍推進法に基づく行動計画を策定し、女性社員採用比率や女性管理職登用に関する目標を設定しております。女性店長は2025年度に2名増加し、現在5名の店長が多様な視点を活かしたマネジメントを行い、CSおよびES向上に取り組んでおります。引き続き、女性社員が能力を十分に発揮できる環境整備を進めてまいります。
4)社員のエンゲージメント向上
当社グループでは、持続的な成長を実現するためには社員一人ひとりの働きがいや主体的な挑戦を支える組織づくりが重要であると考え、社員エンゲージメント向上に取り組んでおります。日産東京販売㈱では、正社員を対象として、日産グループ共通の「社員意識調査※」を年1回実施しております。調査を通じて、社員意識や職場課題を把握し、マネジメント改善や働きやすい職場環境づくりにつなげております。また、入社1~5年目の社員を対象とした「若年層向け意識調査※」を毎月実施しております。調査結果については、人事アドバイザーが数値変化やコメント内容を分析し、店舗訪問やヒアリングを通じて現場との対話を行っております。これらの取組により、入社5年以内の退職者数は、2022年度の65名から2025年度には44名まで減少いたしました。さらに、自己申告制度や社内公募制度を通じて、社員が自律的にキャリア形成へ挑戦できる機会を提供しております。今後も、社員一人ひとりの成長実感や働きがい向上を通じて、組織力強化および企業価値向上につなげてまいります。
※「社員意識調査」は日産グループ全体での実施、「若年層向け意識調査」は日産東京販売㈱での実施
④ 地域社会への貢献
当社グループは、モビリティを通じてお客さまに快適な暮らしをお届けし、地域・社会の皆さまと共に繁栄することを目指しております。また、事業活動においてはさまざまな取引先やパートナーとの関係強化も不可欠と考え、ともに成長・繁栄し続けられる関係づくりに取り組んでおります。そうした考えの下、企業市民としての役割をしっかり果たしていくため、2023年8月に「社会貢献推進プロジェクト」を発足し、当社グループにとって最適な社会貢献活動を検討するとともに、その活動を社内に啓発していくための方策を議論しています。具体的な取組は次のとおりであります。
1) 各自治体とEVを活用した災害連携の推進
当社グループでは、人々の安心・安全な暮らしをサポートするため、各自治体と連携し、さまざまな取組を進めております。すでに一部の自治体や警察署と災害連携協定を締結しており、今後も提携先を拡大していく方針であります。具体的な取組としては、各店舗に食糧や水、簡易トイレなどを備蓄し、災害時には一時滞在場所として開放するほか、非常用の電源としてEVや可搬型給電器「パワー・ムーバー」を貸与するなどの支援体制を整えており、2019年には台風15号の被害にあった千葉県に対して、当社グループからEV「日産リーフ」とパワー・ムーバーを貸与しました。また、災害発生時に限らず平時においても、地域のイベントで使用する電力をEVやパワー・ムーバーから提供する取組などを行っております。パワー・ムーバーは、2026年6月現在、新車店舗の約9割にあたる83店舗に配備しております。こうした取組は、地域社会への直接的な貢献だけでなく、EVの認知度向上や理解促進にもつながります。今後も当社グループの事業成長に資する重要な取組として、積極的に推進していく方針であります。
2) 地域社会貢献活動
2024年6月には、東京をマーケットにしている企業として地域に貢献するため、東京都が推進する「TOKYOこども見守りの輪プロジェクト」に参画し、当社グループが参加する地域イベントと連携した子ども向けの「防犯教室」の実施や、啓蒙チラシの配布を行いました。今後も親子の防犯意識向上や、地域ぐるみで子どもたちの安全・安心を担う社会気運の醸成を図り、犯罪や事故から子どもたちを守る取組を進めてまいります。また、地域の企業、住民と共に社会貢献活動に関する情報発信・交換を行いながら、環境・防災・教育・福祉・地域活動などさまざまな分野において、社会貢献活動を進めております。また、この活動を皮切りとして、品川区の子ども食堂への自社農園「三郷ファーム」で収穫した野菜の寄付や、飲料水・食材の提供などを行っており、高い評価をいただいております。
地域との協力・連携及び未来の消費者である子どもたちへのブランディング、海外の同業者との人財交流を目的とし、近隣の中学校・小学校・幼稚園や、海外政府・海外整備専門学校などからの、職場体験や視察を受け入れております。
また、すべてのお客さまに安心・安全にご来店いただくため、ショールームへのバリアフリートイレ、授乳室の設置を推進しております。
上記「(2) 重要なサステナビリティ項目」において記載したマテリアリティに関する当社グループの取組は以下のとおりであります。
① 気候変動への対応
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、当社グループの強みを活かし、電気自動車(EV)をはじめとする電動車の普及など、環境にやさしい活動に取り組んでおります。
当社グループの事業に影響を及ぼす気候変動リスク・機会を特定し、それらの財務影響度を定性的に評価しました。特定した気候変動リスク・機会は、次のとおりであります。これらの内、重要性や当社グループの事業との関連性が高いものについて、シナリオ分析を実施し対応戦略を検討しました。
| リスク・機会の主要因 | 事業影響 | リスク・機会発現 までの期間 | 影響度 |
| 移行リスク | |||
| 炭素価格等の GHG排出規制強化 | 炭素価格上昇が車両製造の原材料価格等を押し上げ、それらが仕入価格に転嫁されることによるコスト増加 | 中期 | 大 |
| 自社ビル、工場などの操業における炭素価格上昇によるコスト増加 | 中期 | 中 | |
| 省エネ法規制の強化 | 設備更新・投資などの対応コストの増加 | 短期 | 中 |
| 化石資源の価格の変化 | 自社拠点(建物、整備工場など)が使用するエネルギー価格の上昇、および物流・輸送コストの増加 | 中期 | 中 |
| 電力価格の変化 | 燃料価格上昇に伴う電力価格の上昇によるコスト増加 | 中期 | 中 |
| 物理的リスク | |||
| 洪水、高潮、台風等の 異常気象の激甚化 | 自社拠点の被災、および操業停止(社員被災による操業停止を含む) | 短期 | 中 |
| 移行機会 | |||
| 化石資源の価格の変化 | 販売車両の省エネ化によるコスト優位性(対他社)の確立、販売機会の拡大 | 中期 | 中 |
| 電気自動車(EV)需要の 増加 | EV普及による販売車種の多様化、高価格化 | 中期 | 中 |
| EV販売に関する経験を持つ社員が多いことによる販売機会の拡大 | 中期 | 中 | |
(リスク・機会発現までの期間) ・短期:3年以内 ・中期:4年~9年 ・長期:10年以上
(影響度) ・小:1億円未満 ・中:1億円以上10億円未満 ・大:10億円以上
移行リスクにおきましては、当社グループの事業活動にともなうエネルギー使用や、その結果排出されるGHG(温室効果ガス)に対する炭素税の導入といった事象が当社グループに与える財務影響を把握するため、1.5℃、2.0℃、2.6℃の温度上昇シナリオに基づいた分析を実施しました。分析の結果、当社グループ事業の将来想定に基づいて、炭素価格負担やエネルギー負担による財務影響は限定的であることが確認できました。今回の当社想定の範囲においては、該当する気候変動リスク要因に対する組織的なレジリエンスを有していると考えられます。
物理的リスクにおきましては、当社グループが所在する162拠点について、現時点、および2.0℃、4.0℃の温度上昇シナリオ下における河川氾濫がもたらす影響を評価し、事業への財務影響を分析しました。分析の結果、2.0℃シナリオにおいては、洪水の高リスク拠点数に大きな変化は見られませんでした。一方、4.0℃シナリオにおいては、2090年にかけて高リスク拠点数が増加し、各拠点で想定される浸水深も大きくなる傾向が見られました。当該シナリオでは、気候変動による一定の財務影響も見込まれております。これらの分析結果に基づいて、今後BCPの見直しや各種災害対策を実施してまいります。
その他、2025年3月に新規オープンした八王子店及び2026年2月に新規オープンした足立店では、太陽光パネルや蓄電設備、V2H(Vehicle to Home)などのエネルギーマネジメントシステムを導入しました。いずれも60トン/年のCO2排出の削減効果を見込むとともに、災害等が発生した際の電源確保が可能となります。さらに、災害等による断水時には、約100名が3日間使用できる飲料水備蓄システムを導入しております。これらのシステムを当社が今後新設する店舗にも導入していくことで、電気と水といったインフラ面で、地域のみなさまの安心を支えていきます。
また、脱炭素社会の実現に向けた取組の一環として、2023年4月よりグループ内で再生可能エネルギー電力を導入しています。2023年度には、当社グループ全体で使用する電力の内、15%を再生可能エネルギー電力に切り替えました。これにより、電力使用による年間CO2排出量を、前年比約1,250トン※削減しました。
※約1,250トン≒2022年度使用電力量の15%(約3,057千kWh)×CO2排出係数(0.000408t-CO2/kWh)
② 安心・安全な社会の実現
当社グループは、安全・運転支援技術の普及や交通安全・防災への取組などを通じて、安心・安全な暮らしができる社会を目指しております。その実現に向けては、「プロパイロット」に代表される先進の運転支援技術をより多くのお客さまに提供するとともに、それを支える整備体制によって毎日の安心・安全をサポートすることに重点を置いて取り組んでおります。
そうしたなかで、中期経営計画においては、ゼロ・フェイタリティにつながる商品・サービスを積極的にご提案していくと同時に、より万全な整備体制を順次整えております。具体的には、お客さまに先進運転支援システムを知って、見て、体感していただくために、体感試乗やバーチャルリアリティを活用した試乗機会をより多く提供するなど、リアルとバーチャルを組み合わせた効果的な訴求に取り組んでおります。また、特定整備制度の認証取得に向けた整備機器導入や整備士の技術習得、「電子制御システム整備」の体制構築などを推進し、安心・安全なカーライフとモビリティ社会の実現に貢献いたします。
③ 人権の尊重と人的資本の充実
当社グループにとって、事業活動を支える最も重要な財産は「人」であり、持続的な成長と企業価値向上を実現するためには、多様な人財が能力を最大限に発揮できる環境づくりが重要であると考えております。このため、社員一人ひとりの成長支援や働きやすい職場環境の整備に加え、多様な価値観や個性を尊重しながら、主体的に挑戦・活躍できる企業風土の醸成に取り組んでおります。
また、2025年度には、グループ全体の人的資本の充実を目的として「人財開発部」を新設いたしました。各事業会社の採用活動に関する連携・支援、教育研修の企画・実施およびDE&I推進を行うとともに、人事部門と連携しながら、グループ横断での人財戦略強化を進めております。具体的な取り組み内容は以下のとおりであります。
1)人財育成の取組
当社グループでは、社員一人ひとりが主体的に学び、めざすキャリアを実現できるよう、人財育成体系および各種教育制度の充実を図っております。社内教育に関しては、「組織の持続的成長を実現するため、持続的に成果を上げ、向上心を持って自ら考え行動できる人財」の育成をめざし、2年に1度の対面研修を実施し、各等級に求められる知識・スキルを体系的に習得できる教育体制を構築しております。
2025年度は、マネジメント力強化を目的とした管理職研修や、希望制の「チャレンジプログラム」の対象をグループ全体へ拡大いたしました。より現場課題の解決につながる実践的な内容へ見直しを行うとともに、グループ各社間における人財交流や相互理解の促進にもつなげております。また、若手社員向けの「スマイル研修」や「企業理念ワークショップ」をはじめとする集合研修なども継続的に実施し、全社員の約半数が個人および組織の成長に向け、学びを深めました。
2)働きやすい環境づくり
当社グループでは、多様な人財が安心して長期的に活躍できるよう、ワークライフバランスを重視した働きやすい職場環境づくりを人的資本経営上の重要課題として位置付けております。仕事と育児・介護との両立支援については、法改正への対応も踏まえ、柔軟な働き方を実現するための制度整備を進めております。育児短時間勤務制度の対象期間を小学校卒業まで拡充しているほか、ライフスタイルの変化等により退職した社員を再び受け入れる「退職者再雇用制度」を導入し、多様なキャリア継続を支援しております。
また、男性社員の育児休業取得促進にも取り組んでおります。制度周知や職場理解醸成を継続的に進めた結果、男性育児休業取得者数は、2023年度の4名から2025年度には18名へ増加いたしました。育児参加への意識変化や制度活用は着実に進展しており、職場風土醸成にもつながっております。加えて、DX推進や業務プロセス改革を通じた業務効率化にも取り組んでおります。業務負荷軽減や生産性向上を図ることで、社員の働きがいやエンゲージメント向上につなげております。今後も、社員一人ひとりがライフイベントとキャリア形成を両立しながら、自律的に挑戦・成長できる環境整備を推進してまいります。
3)ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)
当社グループでは、一人ひとりが能力を最大限に発揮できる組織風土の実現に向け、「NTHグループDE&I基本方針」を策定し、人財開発部が中心となり、DE&Iの理解浸透に取り組んでおります。
①外国籍社員の活躍支援
当社グループでは、多様性を尊重し、国籍を問わない人財採用を推進しております。日産東京販売㈱では、65名(2026年3月末現在)の外国籍社員が主に点検受付・整備業務を担うテクニカルアドバイザーおよびテクニカルスタッフとして活躍しております。そのうち約18%が上位等級へ昇格し、より高度な業務に挑戦しております。外国籍社員に対しては、2022年度より職場のマナー研修や、日本語学習支援のための研修、eラーニングを順次実施しており、語学力の向上および日本文化への理解促進に取り組んでおります。その結果、日産メカニックチャレンジへの参加や自動車検査員資格の取得など、活躍の場が広がっております。また、日本人社員に対しても「異文化理解&コミュニケーション研修」を導入し、多様な人財がお互いを尊重しながら成長できる職場環境づくりを進めております。
②女性の活躍推進
当社グループでは、多様なお客さまのカーライフを支えるためにはさまざまな視点や感性が重要であると考え、女性社員の採用・育成にも注力しております。2025年度は、女性社員を対象としたキャリア研修および女性役員との座談会を実施いたしました。DE&Iへの理解やキャリア形成意識を高めるとともに、経営層との対話を通じて、中長期的なキャリア意識醸成につなげております。また、日産東京販売㈱では、女性活躍推進法に基づく行動計画を策定し、女性社員採用比率や女性管理職登用に関する目標を設定しております。女性店長は2025年度に2名増加し、現在5名の店長が多様な視点を活かしたマネジメントを行い、CSおよびES向上に取り組んでおります。引き続き、女性社員が能力を十分に発揮できる環境整備を進めてまいります。
4)社員のエンゲージメント向上
当社グループでは、持続的な成長を実現するためには社員一人ひとりの働きがいや主体的な挑戦を支える組織づくりが重要であると考え、社員エンゲージメント向上に取り組んでおります。日産東京販売㈱では、正社員を対象として、日産グループ共通の「社員意識調査※」を年1回実施しております。調査を通じて、社員意識や職場課題を把握し、マネジメント改善や働きやすい職場環境づくりにつなげております。また、入社1~5年目の社員を対象とした「若年層向け意識調査※」を毎月実施しております。調査結果については、人事アドバイザーが数値変化やコメント内容を分析し、店舗訪問やヒアリングを通じて現場との対話を行っております。これらの取組により、入社5年以内の退職者数は、2022年度の65名から2025年度には44名まで減少いたしました。さらに、自己申告制度や社内公募制度を通じて、社員が自律的にキャリア形成へ挑戦できる機会を提供しております。今後も、社員一人ひとりの成長実感や働きがい向上を通じて、組織力強化および企業価値向上につなげてまいります。
※「社員意識調査」は日産グループ全体での実施、「若年層向け意識調査」は日産東京販売㈱での実施
④ 地域社会への貢献
当社グループは、モビリティを通じてお客さまに快適な暮らしをお届けし、地域・社会の皆さまと共に繁栄することを目指しております。また、事業活動においてはさまざまな取引先やパートナーとの関係強化も不可欠と考え、ともに成長・繁栄し続けられる関係づくりに取り組んでおります。そうした考えの下、企業市民としての役割をしっかり果たしていくため、2023年8月に「社会貢献推進プロジェクト」を発足し、当社グループにとって最適な社会貢献活動を検討するとともに、その活動を社内に啓発していくための方策を議論しています。具体的な取組は次のとおりであります。
1) 各自治体とEVを活用した災害連携の推進
当社グループでは、人々の安心・安全な暮らしをサポートするため、各自治体と連携し、さまざまな取組を進めております。すでに一部の自治体や警察署と災害連携協定を締結しており、今後も提携先を拡大していく方針であります。具体的な取組としては、各店舗に食糧や水、簡易トイレなどを備蓄し、災害時には一時滞在場所として開放するほか、非常用の電源としてEVや可搬型給電器「パワー・ムーバー」を貸与するなどの支援体制を整えており、2019年には台風15号の被害にあった千葉県に対して、当社グループからEV「日産リーフ」とパワー・ムーバーを貸与しました。また、災害発生時に限らず平時においても、地域のイベントで使用する電力をEVやパワー・ムーバーから提供する取組などを行っております。パワー・ムーバーは、2026年6月現在、新車店舗の約9割にあたる83店舗に配備しております。こうした取組は、地域社会への直接的な貢献だけでなく、EVの認知度向上や理解促進にもつながります。今後も当社グループの事業成長に資する重要な取組として、積極的に推進していく方針であります。
2) 地域社会貢献活動
2024年6月には、東京をマーケットにしている企業として地域に貢献するため、東京都が推進する「TOKYOこども見守りの輪プロジェクト」に参画し、当社グループが参加する地域イベントと連携した子ども向けの「防犯教室」の実施や、啓蒙チラシの配布を行いました。今後も親子の防犯意識向上や、地域ぐるみで子どもたちの安全・安心を担う社会気運の醸成を図り、犯罪や事故から子どもたちを守る取組を進めてまいります。また、地域の企業、住民と共に社会貢献活動に関する情報発信・交換を行いながら、環境・防災・教育・福祉・地域活動などさまざまな分野において、社会貢献活動を進めております。また、この活動を皮切りとして、品川区の子ども食堂への自社農園「三郷ファーム」で収穫した野菜の寄付や、飲料水・食材の提供などを行っており、高い評価をいただいております。
地域との協力・連携及び未来の消費者である子どもたちへのブランディング、海外の同業者との人財交流を目的とし、近隣の中学校・小学校・幼稚園や、海外政府・海外整備専門学校などからの、職場体験や視察を受け入れております。
また、すべてのお客さまに安心・安全にご来店いただくため、ショールームへのバリアフリートイレ、授乳室の設置を推進しております。