有価証券報告書-第53期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/29 13:08
【資料】
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【項目】
148項目

対処すべき課題

(1)経営方針
当社グループは、『食を通じて地域の皆様の健康で豊かな生活に貢献します』を企業理念に掲げ、「食」の楽しみや喜びを通じて、健康で豊かな地域社会の実現に貢献してまいります。また、『より新鮮でより美味しく安全な商品をお値打ち価格でお届けします』を経営理念とし、新鮮で美味しく、安全・安心な食材の提供が必要であるという信念に基づき、お客さまの期待を裏切ることのない品質と価格を追求してまいります。
(2)経営環境及び経営戦略等
今後のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が世界的に拡大する中、世界経済の減速や地政学的リスクの高まりで株式相場や為替相場等が変動し、原材料及び商品価格の上昇に影響を与えるほか、東京オリンピック・パラリンピックの開催延期、失業率上昇や社会不安等に起因する個人消費の低迷等により、国内消費が低下する懸念から先行きが不透明となっております。
小売業界の中で特に食品スーパーマーケットにおきましては、消費者の節約志向、業種業態を超えた競争の激化、働き方の変化、人員不足、物流コストの上昇、キャッシュレス消費者還元事業における対象事業者間の競争等、厳しい経営環境が続いております。
このような経営環境を前提として、当社グループの経営戦略は、既存店の収益力の向上、収益力のある店舗の確実な出店、M&Aによる外部成長の取込み等により事業を成長させ、企業価値を向上させることであります。
当社グループは、中長期的な企業価値の向上に向けて、2019年度から3年間(2020年3月期から2022年3月期まで)の目標を定めた「第二次中期経営計画」を実行しております。
第二次中期経営計画では、中期経営方針を「地域に根ざした一番店を創る~地域の食文化を守りお客様を一番大事にするお店~」とし、第一次中期経営計画(2017年3月期から2019年3月期まで)で構築したインフラ(基幹システム、アルビスプロセスセンター等)を最大限に活用したチェーンオペレーションの確立と、ローカルスーパーマーケットとして特色ある店づくりを進めております。
第二次中期経営計画の経営方針を達成する基本的施策として、「お客様に満足していただける店づくり」「自立して考え行動できる従業員の育成」「バックシステムを活用した生産性の向上と業務改革」と定め、次の取組みを行っております。
①お客様に満足していただける店づくり
・販売力の強化
・商品開発の強化
・安心・安全への対応
・マーケティング機能の強化
・積極的な出店とニーズに対応した改装の実施
②自立して考え行動できる従業員の育成
・お客様視点で考えることのできる人材の育成
・店を支える人材の育成
・働きがいのある職場の実現
③バックシステムを活用した生産性の向上と業務改革
・店舗オペレーションの再構築
・プロセスセンター、新基幹システムの活用
・新センター構想の着手
経営計画の推進と合わせ、当社グループの3年後にありたいお店の姿として、「地域の食文化にこだわり、明日の元気につながる“食”を提案する店になる」、「“おいしい”を合言葉に、お客様・従業員の未来へつなぐ、健康とあたたかく幸せな食卓を応援する店になる」ことを目指し、ブランドスローガン「おいしい!を明日のちからに」で表現しております。
当社グループは、今後もお客様との信頼を大切に誠実な企業を目指すとともに、事業の成長と新規事業の開発による企業価値の向上に取り組んでまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年4月以降、お客様の来店頻度は低下しましたが、買い上げ点数が増加したことで売上高は増加しております。このような環境の中、当社グループは、食のライフラインを守るために店舗の営業継続を最優先と捉え、感染者発生による店舗休業やプロセスセンター生産停止等のリスクを想定し、感染症対策を強化しております。「新しい生活様式」の実践が求められる中、従来の営業方法の見直しを行っておりますが、現在のところ、経営方針や経営戦略等の見直しは必要ないと判断しております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①事業上の課題
当社グループの対処すべき事業上の課題は、第二次中期経営計画の基本的施策(「(2)経営環境及び経営戦略等」を参照)にまとめられ、各項目は担当部門の目標へ細分化し、進捗を管理することとしております。
a.お客様に満足していただける店づくり
当社グループは、食のライフラインを守るため、安心・安全な商品の提供を通じ、お客様に満足していただける店づくりを課題としております。地元の旬の食材を中心に鮮度の高い生鮮食品を提供するとともに、トレンドやお客様のニーズを捉えた惣菜の品揃えを行うことにより、店舗の販売力を高める施策を行っております。また、第一次中期経営計画で導入した会員カード(アルビスPontaカード)の購買データを分析し、お客様のニーズに合った品揃えや販売促進を行い、お客様満足度の向上に取り組んでおります。
次年度の新たな取組みとして、移動販売事業(とくし丸事業)と新たな販売促進ツール「アルビスアプリ」を2020年6月より開始しております。移動販売事業は、移動手段がない等の理由で、普段のお買物に不便を感じているお客様の元へ移動販売車で訪問し、当社店舗と同様にお買い物を楽しんでいただくことを目的としております。また、「アルビスアプリ」は、これまでの紙媒体のチラシ広告に加え、デジタルによる広告やクーポンの配信、またはレシピ動画でのメニュー提案等の販売促進策を通じ、お客様が求めている情報を適時にお伝えすることで、お客様満足度の向上に寄与することを目的としております。
出店につきましては、計画的かつ確実な出店へ取り組むこととし、2020年4月に石川県小松市に「小松幸町店」の建替えオープン、2020年12月に福井県鯖江市に新規出店を計画しており、さらに、中部地区への新規出店も計画しております。
b.自立して考え行動できる従業員の育成
競争環境が厳しくなる中で、地域のお客様のニーズに合わせた店づくりが重要な課題となっております。その中心的役割を果たす管理職社員には、スピード感を持った課題解決力が求められ、実践的な課題解決研修を実施しております。
c.バックシステムを活用した生産性の向上と業務改革
プロセスセンターにつきましては、生鮮食品の品質と安全性のさらなる向上を目的とし、2019年4月に稼働いたしました。当該プロセスセンターは、80店舗、売上高1,200億円の運営規模に対応できる生産設備として新設したものであり、同センターを有効活用して店舗業務負担の軽減等、グループ全体の生産性を向上させることを計画しております。
また、第一次中期経営計画で導入した新基幹システムは、店舗の経営状態を可視化し、業務の効率化と売場の改善を進めるとともに、販売計画の効率的な運用や数値管理の精度向上等を目的として導入したものであります。今後、新基幹システムを有効活用し、業務効率を高め収益性を向上させる計画であります。
d.SDGs達成への取組み
国連から「持続可能な開発目標(SDGs)」が2015年に公表され、人権の尊重と保護、法令遵守、安全・安心な労働環境、地球環境の保全、適切な情報管理等へ責任をもって取り組むことが企業の社会的使命として求められています。当社グループは、事業活動において社会課題解決と企業価値向上の両立を図り、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に取り組んでおります。
e.新型コロナウイルス感染症拡大への対応について
新型コロナウイルス感染症が拡大する中、当社グループは、食のライフラインを守るために店舗の営業継続を最優先と捉えております。当社グループで感染者が発生した場合、店舗休業やプロセスセンター生産停止等により商品が提供できず、ライフラインとしての機能を果たせなくなるため、全社で感染症対策を強化しております。新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向け、販売方法、販促方法及び店舗オペレーションを変更し、継続的かつ適切に対応していく方針であります。
②財務上の課題
当社グループでは、事業の成長に必要な資金を安定的に確保するとともに、財務健全性を維持することを財務上の課題としております。店舗の出店及び改装に必要な設備投資は、営業キャッシュ・フローの範囲内に抑えることを原則としており、過度に投資を行い有利子負債が増加しないよう配慮しております。
新型コロナウイルス感染症が当社グループで発生した場合に備えて、事業継続に必要な資金を確保するため、手元資金を厚くするとともに金融機関からの融資枠を確保しております。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、営業収益、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益であります。
第二次中期経営計画の2年目である2021年3月期の目標値は、営業収益911億円、営業利益12億円、経常利益17億円、親会社株主に帰属する当期純利益10億円であります。
また、財務指標として同業他社のROAやROE等を意識しておりますが、プロセスセンターへの先行投資の影響を考慮し、当面は売上高経常利益率3%を目標としております。