有価証券報告書-第41期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「気軽に楽しめる、時間と空間の提供、提案」をビジネスコンセプトのもと、日々の生活に欠かせない買い物、レジャー、健康の各分野で、新しい文化創造の提案をすることを使命としており、その実現のため、社会における価値の変化に迅速に対応し、顧客満足度の最大化を目標として事業を展開しております。
当社は、当社グループ全体の企業価値を高めるための経営戦略の検討及び策定、将来を見据えた成長分野への積極投資の検討及び施策の決定、並びにM&Aの迅速な意思決定を、子会社は、競争力の向上のため、それぞれの事業運営への専念、迅速な意思決定、責任の明確化を、それぞれ経営の基本方針としております。
当社グループにおける人材育成は、組織力の強化を図るため、経営の中枢で活躍するマネジメント層を強化するとともに、各セクションにおけるスペシャリストを積極的に育成し、責任と権限の明確化を進めることを基本方針としております。
当社グループは、これらの基本方針に沿い、グループ全体の収益力アップと財務体質の強化を図りながら将来を見据えた投資を行なうと同時に、常に既存事業の見直しや遊休資産の整理等、経営資源の選択と集中にも取り組むことにより、企業価値をバランスよく向上してまいります。
新型コロナウイルス感染症の拡大は、当社の事業に大きな影響を与えております。特に、密閉・密集・密接に比較的なりやすいとされるフィットネスジムやカラオケ施設については、当社が展開する事業分野であり、感染拡大の状況により、休業も含め徹底した感染拡大防止策が必須となっております。そのため、施設が所在する地域の感染拡大の状況を備に分析し、顧客と従業員にとどまらず、事業に関連するすべてのステークホルダー並びに地域住民の安心安全の確保を最重要課題として、常に感染予防並びに拡大防止に取り組んでおります。
(2)経営戦略
当社グループは、企業価値を向上させるため、子会社の経営体制の若返りと権限の委譲を図りながら、シンプルな組織体制を構築してスピード経営をめざしてまいります。
当社並びに主要な子会社の経営戦略は次のとおりです。
①株式会社音通
当社は、当社グループの統括会社としてグループ全体の経営効率を重視するため、管理部門を当社に集約し、経営情報と人事情報の集中管理を行っております。この体制により、グループ全体の最適組織を常に追求しながら、グループ全体の生産性を向上させ、企業価値を最大限に高めることを目指してまいります。また、現在は新型コロナウイルス感染症の対応にあたる司令塔としての役割も担っております。
IP事業部門におきましては、グループ全体の資産、店舗等の賃貸物件を一元的に集中管理し、顧客や店舗のニーズにあったテナント誘致や遊休スペースの有効活用の企画、提案を実施することにより、子会社の事業運営に利益貢献してまいります。
②株式会社音通エフ・リテール
100円ショップの新規出店を事業拡大のための最優先課題と位置づけており、今後も既存店舗の所在する関西、関東、九州地域を中心に、スーパーマーケットや複合商業施設への出店を積極的にすすめてまいります。
既存店舗のリニューアルにつきましては、内外装の刷新とともに、商品構成の見直しにも積極的に取り組むことにより、顧客満足度の向上を追求してまいります。
試験的に取り扱いを進めてまいりました100円以外の価格帯における機能性を高めた商品群につきましては、販売実績に応じた商品の入れ替えを進めるとともに、取り扱い品目並びに取り扱い店舗を拡大するなど、今後も積極的に取り扱いを拡大してまいります。
店舗における新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策については社会的要請も強く、顧客や従業員並びに地域住民の安全を確保しつつ、安心してご利用いただくためにも、感染拡大防止の観点から一時的な休業の実施も含め、徹底した対策を実施してまいります。
③株式会社音通エンタテイメント
事業展開しております関西・中部・関東の各地におきまして、お客様から厚い信頼のあるNo.1ディーラーを目指してまいります。
デイ市場におきましては、豊富な不動産情報と蓄積された物件開発ノウハウを武器に、カラオケボックス経営法人への提案営業を引き続き強化してまいります。また、公共施設、高齢者施設、カラオケ喫茶、個室居酒屋などの市場開拓にも積極的に取り込むとともに、WEBカメラ、監視カメラ、AV機器、演出効果照明などの商材の販売拡大にも積極的に取組んでまいります。
ナイト市場におきましては、ビル管理業者及び不動産業者に対する営業により、新店情報の早期把握に努めるとともに、遊休機器を有効利用することにより、リーズナブルな価格での提供を可能にするなど、お客様のニーズを幅広くカバーする提案営業を強化してまいります。また、バー・スナック・クラブ向けの店舗物件紹介サイトを運営する関連会社との連携をはかることにより、新規開業店舗における契約獲得を強化してまいります。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、顧客であるカラオケ関係施設の運営事業を直撃しております。今後は、影響を受けているこれら顧客の営業支援にも積極的に取り組みを行ってまいります。
④株式会社ファイコム
急拡大中のフィットネスジムの新規出店を最優先に事業を展開しております。
新規店舗の出店におきましては、将来の競合他社の進出も視野に入れた店舗シミュレーションを多角的に実施するなど、厳しい条件をクリアした物件のみで新規出店を決定しており、長期的に安定した収益が見込める店舗網の拡大を目指しております。
店舗の運営面におきましては、既存会員の定着率向上に向けた取組みを特に重視しております。新規会員の初期定着率向上のためのオリエンテーションの充実、新プログラムの採用やクリンリネスの徹底、スタッフの接客教育の充実など、魅力ある施設作りをFC本部と連動しながら取り組んでおります。
また、会員から寄せられるさまざまな要望にも積極的に応えており、会員満足度の向上に寄与しております。
将来にわたる事業の拡大のためには積極的な新規出店が不可欠であると認識しており、新規出店に伴うイニシャルコストと会社全体の収益バランスを十分に考慮しながらも、中・長期的な視野に立ち、計画的に新規出店を進めつつ増収増益を目指してまいります。
なお、店舗における新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策に対する社会的要請も踏まえ、顧客である会員の皆様や従業員並びに地域住民の安全を確保しつつ、安心してご利用いただくためにも、徹底した感染拡大防止対策を実施してまいります。
(3)経営環境
セグメント情報に記載された区分ごとの経営環境は、次のとおりであります。
①食料品・生活雑貨小売事業
近年100円ショップ業界の市場規模は、業界上位4社で売上高合計が5,000億円を超えているものの、その成長は鈍化しており、市場の成熟化が進んでおります。そのため事業者各社は、消費者が認識しやすいブランドイメージを構築することを事業戦略の前面に押し出しながら、激しい競争を繰り広げております。
近年の新規店舗は、ショッピングセンターやスーパーマーケット、また、駅ビルや複合商業施設などでの出店が加速しており、出店スペースを巡っての競合が激しさを増しております。
一方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、各種学校の休校や在宅勤務が拡大するなどして在宅時間が増えたことにより、家庭内においては感染予防の衛生関連商品のみならず生活消費財や食料品の消費量が増加しました。その結果、100円ショップ業界においては、これら商品を買い求める来店客の増加につながっております。
②カラオケ関係事業
カラオケは、日本国内においては代表的な娯楽の一つとして幅広い世代に浸透すると同時に、産業としても成熟しつつあります。通信カラオケ機器を取り扱う事業者は、メーカー、メーカー系資本の事業者、独立系資本の事業者、また、小規模資本の事業者など、幅広い事業者が事業活動を展開しております。
しかしながら、成熟期を迎えているカラオケ市場は激しいシェア争いの場と化しており、メーカーの統合や、取り扱い事業者の統廃合が進んでおります。特に、取り扱い事業者の統廃合は、市場シェアの獲得競争と並行して今後も進むものと思われます。
なお、現在は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、休業や時間短縮営業により多大な影響を受けている事業者が多発するなど、カラオケ市場は非常事態に直面しております。
③スポーツ事業
フィットネス業界は、国民の健康志向の浸透による新規会員の増加とともに、運営会社間における会員獲得競争が激化しており、店舗網の拡大と会費などにおける価格低下が急速に進んでおります。
特に小型店の店舗数の増加傾向が著しく、出店スペースを巡る競合が激しさを増しております。
店舗数の増加と会費の価格低下は、フィットネス店舗の利用者数を着実に増加させており、市場規模の拡大にも繋がっております。今後もこの傾向は続くものと見られており、事業者各社の出店意欲は高い水準で維持されるものと思われます。
なお、店舗におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染防止策を徹底するなどして、会員の皆様が安心安全に施設を利用していただける体制を整えております。
④IP事業
コインパーキング業界は、事業者数と駐車台数ともに年々増加しており、近年では空き家対策特別措置法の施行にともない更地が増加する一方で、首都圏では東京オリンピックを照準に併せた建設工事のために閉鎖されたコインパーキングもありました。
今後も、コインパーキングの増加は当面続き、市場規模は拡大して行くものと予想されておりますが、事業者数も増加することで競争は激化するとともに、コインパーキングの小型化や低価格化が進むものと思われます。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響は、僅少であると認識しております。しかしながらその動向は常に注視しており、対応が必要と判断した場合においては迅速に対応が可能な体制を整えております。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
①食料品・生活雑貨小売事業
消費者の品質に対する選別眼や販売価格に対するお買い得感の要求水準は高く、商品開発力の強化や商品構成品目の拡充・拡大が今後の最重要課題であります。そのため、お客様が利便性とお買い得感を常に感じることのできる商品開発をすすめ、商品構成品目の充実・強化に取組んでおります。100円ショップ業態の特性で、販売価格が税抜価格100円の商品群が中心となっておりますが、消費者に対してより満足度の高い商品を提案していくために、100円以外の価格帯における商品群の拡充が必要不可欠であります。
一方で、新型コロナウイルスをはじめとする強い感染力をもつ感染症の拡大は、店舗を安全な状態で安定して運営することを困難にする可能性があるため、店内における感染防止対策はもとより、一時的な店舗の休業も含め、お客様に安心・安全に利用していただける十分な対応策を実施してまいります。
②カラオケ関係事業
カラオケは、日本国内においては代表的な娯楽の一つとして幅広い世代に浸透しており、産業としても成熟を迎えております。市場規模が今後急拡大することは望めないなか、ディーラーが積極的に事業統合して市場シェアをアップすることで、経営基盤を強固にすることが急務であります。特に、コロナ禍においてディーラーの経営環境は厳しさを増しており、今後は事業統合のスピードが増してくるものと思われます。今後も事業を成長させ続けるためには、これまで以上に事業統合の成否が重要な課題となります。
一方で、顧客であるカラオケボックスや飲食店等のカラオケ関係施設の運営事業者においても厳しい経営環境が続いております。密閉・密集・密接であり感染拡大が起こりやすい場所であるとの認識で、政府の緊急事態宣言発令下はもとより、社会的要請に応じる形で営業を自粛する事業者も多くあります。また、営業を再開した事業者であっても、来店客数の伸び悩みに直面するなど、厳しい経営環境が続いております。
今後は、今まで以上に顧客である事業者との情報交換を密におこない、連携して対応するとともに、あわせて、与信管理体制の強化を図ることも重要であると認識しております。
③スポーツ事業
スポーツジム業界は、近年他業態からの新規参入もあり、24時間営業の小型ジムが急増するなどして会員獲得競争が激化しておりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で環境は一変しております。1度目の緊急事態宣言が発令された際には、要請により施設の休業を実施したため、会員の退会や休会が急増するなど、特に高齢者を中心にジム離れが進むこととなりました。その後は、退会や休会が減少して落ち着きを取り戻しましたが、新規入会者数は低調に推移しております。会員の皆様が、これまで以上に安心・安全に施設を利用していただけるよう、感染防止対策を万全に行ったうえで施設の運営に取り組むとともに、大幅に減少した会員数の回復に取り組むことが最重要課題であります。
④内部統制の推進
コーポレートガバナンスを経営上の最重要課題の一つとして位置づけております。そのため、経営企画室を主幹部門とし、管理部門、事業部門及び子会社が一丸となって取り組むとともに、顧問弁護士など外部専門家との意見交換を通じて、より有効な内部統制システムの構築に取り組んでまいります。
また、取組みにあたり、すべての役員・社員等が日々、誠実かつ適切な行動を通して、社会全体から成長、発展を望まれる企業となるため、経営のあらゆる視点から、「企業の社会に対する責任」(CSR)を果たすための共通の価値観・倫理観・普段の行動の拠り所となるものとして「行動規範」を定めております。
⑤機動的な資金調達力の向上
当社グループは、食料品・生活雑貨小売事業とスポーツ事業においては新規出店を、また、カラオケ関係事業においては通信カラオケ機器などの賃貸資産の導入を主な設備投資の対象としております。また、M&Aにおける事業規模の拡大についても積極的に取り組んでおります。
必要とする資金は、営業活動により発生するキャッシュ・フローを中心にしつつ、銀行借り入れや割賦販売契約などにより調達しております。
しかしながら、今後、設備投資規模の拡大や大規模のM&A案件に取り組むことを可能にするためには、機動的な資金調達力をさらに高めつつ最適な調達方法を採用することが、重要な課題であると認識しております。