有価証券報告書-第14期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/21 14:16
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111項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業の景況感が好転し、雇用が改善する等緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら、中国や新興国の景気減速や英国のEU離脱、米国の大統領交代といった海外経済の不確実性に加え、国内では企業の設備投資や個人消費の伸びは勢いを欠く等、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
青果物流通業界におきましては、夏場の相次ぐ台風の上陸によって、一大産地である北海道を中心に全国の生産地が甚大な被害を受けたことで、根菜類を中心に品薄が続き相場が高騰いたしました。また、30年に1度といわれる記録的な日照不足に見舞われたことにより、青果物収穫量の大幅な減少、品質の著しい悪化等、1年間を通じて非常に厳しい経営環境が続きました。
このような経営環境の中、当社グループは当連結会計年度が中期経営計画「THE SECOND FOUNDING STAGE 2017」の最終年度に該当することから、「拠点拡大政策の継続」、「食の安全・安心の追求」、「新規事業・新規マーケットへの参入」等を中心に業績向上のための施策を進めてまいりました。
具体的施策のうち、まず「拠点拡大政策の継続」については、平成28年6月に竣工した連結子会社東京デリカフーズ株式会社の西東京FSセンター(東京都昭島市)を中心に展開いたしました。最新の生産設備もさることながら、西東京FSセンター開設により、これまで地理的な条件で進出が遅れていた関東西部地区への出荷が可能となったほか、既存の事業所(東京FSセンター:東京都足立区、神奈川事業所:神奈川県大和市)との相互補完体制が確立いたしました。
「食の安全・安心の追求」につきましては、当連結会計年度中に新たに連結子会社名古屋デリカフーズ株式会社子宝工場(愛知県弥富市)で食品安全の国際規格であるISO22000認証を取得したほか、連結子会社大阪デリカフーズ株式会社茨木工場(大阪府茨木市)や新設の西東京FSセンターでも同認証の取得を進めております。また、このほかにも全国の工場に専任の「衛生品質トレーナー」を配置し、日々工場内の生産環境の確認や、作業者の教育訓練に従事させる等、ハード・ソフトの両面から食の安全・安心を追求し、同業他社との差別化を図っております。
「新規事業・新規マーケットへの参入」につきましては、当社グループがカット野菜・ホール野菜に次ぐ新たな事業の柱と位置づける真空加熱野菜の製造・販売を西東京FSセンターにて本格的に開始いたしました。真空加熱野菜は、野菜のおいしさと鮮度を重視した加熱調理済み野菜のことで、食材と調味液をフィルム袋に入れて真空密閉の上、加温調理した商品です。当社グループの主な販売先である外食産業では、人手不足が慢性化する中にあって、調理時間の短縮と一定の品質維持は喫緊の課題であり、この真空加熱野菜は既に多くの外食産業から高い評価をいただいております。名古屋かの里工場、奈良FSセンターにおいても製造・販売を開始しており、今後、積極的に販路拡大を進めてまいります。
この結果、当連結会計年度における売上高は34,559百万円(前期比9.5%増)となりました。利益につきましては、8月以降の相次ぐ台風上陸、記録的な日照不足・低温等の影響による野菜価格の高騰・品質悪化の影響が長期化したことに加え、西東京FSセンターにおいて、業界初となる真空加熱野菜の量産ライン等、最新の生産設備・衛生設備を導入したことにより、当初発表の予測値を下回り、営業利益557百万円(前期比18.4%減)、経常利益605百万円(前期比14.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は329百万円(前期比17.7%減)となりました。
セグメントの業績を示すと、以下のとおりであります。
① 関東地区
当セグメントの売上高は、6月に西東京FSセンターが新規稼動したことに伴い、お客様に対し積極的なメニュー提案及び産地提案を実施する等の営業活動を強化したことに加え、最新の生産設備、食品安全確保の取り組み等をお客様に高くご評価いただけたことにより、新規顧客の獲得及び既存取引の深耕が順調に進展し、22,538百万円と前期と比べ2,065百万円(10.1%)の増収となりました。セグメント利益(経常利益)は、8月以降の相次ぐ台風の上陸、記録的な日照不足・低温等の影響で、多くの野菜が不足し調達価額が高騰するとともに、品質悪化に伴う作業効率の低下及び廃棄ロスの発生、また、西東京FSセンター開設に伴う人件費・消耗品費等の立ち上げ費用の発生及び減価償却費の増加により、144百万円と前期と比べ281百万円(66.0%)の減益となりました。
② 東海地区
当セグメントの売上高は、大手外食チェーンの購買比率の見直しやキャンペーンの縮小、与信管理の強化等に伴い既存取引先への販売が減少したものの、お客様への情報提供や本部・店舗巡回の強化等の積極的な営業活動を実施したことによる新規顧客の獲得が順調に進展したこと等により、5,077百万円と前期と比べ4百万円(0.1%)の増収となりました。セグメント利益(経常利益)は、天候不順等による野菜の調達価額高騰等の影響はあったものの、在庫管理の徹底による廃棄ロスの削減、物流体制の整備による物流コストの削減、人件費管理の強化等により192百万円と前期と比べ42百万円(28.2%)の増益となりました。
③ 近畿地区
当セグメントの売上高は、平成27年4月に開設した奈良FSセンターにおいて、最新の生産設備、食品安全確保の取り組み等をお客様に高くご評価いただき、順調に稼働率が上昇していることに加え、積極的な営業活動を実施したことによる新規顧客の獲得により、6,940百万円と前期と比べ978百万円(16.4%)の増収となりました。セグメント利益(経常利益)は、天候不順等による野菜の調達価額高騰等、ISO22000認証取得のための設備投資に伴う減価償却費の増加があったものの、前期においては奈良FSセンター開設に伴う人件費・消耗品費等の立ち上げ費用が発生していたこと等により、214百万円と前期と比べ136百万円(175.9%)の増益となりました。
④ 持株会社
当セグメントの売上高は、655百万円と前期と比べ0.4百万円(0.1%)の減収となりました。セグメント利益(経常利益)は、145百万円と前期と比べ4百万円(2.9%)の減益となりました。
⑤ その他
当セグメントの売上高は、159百万円と前期と比べ79百万円(33.4%)の減収となりました。セグメント利益(経常利益)は、19百万円と前期と比べ11百万円(35.8%)の減益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、4,462百万円となり、前連結会計年度末に比べ101百万円減少しました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの内容は概ね次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費644百万円、税金等調整前当期純利益536百万円、補助金の受取額182百万円が主要な収入であります。また、法人税等の支払額215百万円、売上債権の増加126百万円が主要な支出であります。以上の結果、1,254百万円の収入(前期は666百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入111百万円、保険積立金の払戻による収入84百万円が主要な収入であります。また、有形固定資産の取得による支出1,175百万円、貸付けによる支出261百万円、定期預金の預入による支出116百万円が主要な支出であります。以上の結果、1,471百万円の支出(前期は1,466百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入3,280百万円が主要な収入であります。また、長期借入金の返済による支出2,855百万円、配当金の支払額110百万円、短期借入金の減少による支出98百万円が主要な支出であります。以上の結果、114百万円の収入(前期は13百万円の支出)となりました。