有価証券報告書-第41期(平成28年1月1日-平成28年12月31日)

【提出】
2017/03/24 16:41
【資料】
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【項目】
134項目

業績等の概要

(1) 経営成績に関する分析
①当期の経営成績
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。
当社主要事業に係る訪日外国人観光客の消費動向に関しましては、急激な円高の影響を受け、インバウンド需要は一時的に減速いたしました。しかし、年度後半の円安トレンドにより訪日外国人観光客の消費傾向は緩やかな回復基調で推移しはじめるとともに、当社主要顧客である中国人訪日客数は、個人旅行、団体旅行ともに前年を上回り637万人(前年比27.6%増)と過去最高を記録しております。一方で、関税率の変更やライフスタイルの変化などにより訪日外国人1人当たりの旅行支出額は内訳が変化しており、支出項目別構成比においては、買い物の支出比率は依然として最高であるものの、飲食や観光といったサービス関連の支出比率が増加傾向にあります。
当連結会計期間の当社事業におきましては、インバウンド市場の中長期的な発展を見据え、全国で15店舗を開店いたしましたが、来店客数は堅調に推移したものの、訪日旅行客の消費マインドが高価格の耐久品から低価格の消耗品へと推移し当社の販売商品構成が急速に変化し、平均購買単価は前期末平均33,820円から当期末平均では22,344円へと下落するなど店舗効率を見直す必要から6店舗を閉店いたしました。
また、中国国内店舗の閉鎖や中国国内向けの紙オムツ販売事業の縮小、移管手続きを進めるなど、事業整理を実施し、コスト削減による収益構造の改善を図りました。
更に、当期は婦人靴事業の強化も図り、新たに株式会社シンエイの婦人靴企画・卸売販売事業と新興製靴工業株式会社の靴製造事業の事業譲受を行いました。これにより、商品力と販売力の強化にとどまらず、企画から製造、販売までの一貫体制の強化が実現いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は627億64百万円(前年同期は926億93百万円、32.3%減)、営業損失は9億55百万円(前年同期は85億86百万円の利益)となりました。今後、訪日旅行客は増加していく中、平均購買単価の向上と坪効率および人的生産性の改善による店舗の販売効率の向上を重要課題としながら、将来の市場の変化を見据え新たな顧客の獲得を行い、更なる業績の向上と事業の成長を目指して取り組んでまいります。
事業の種類別セグメントの業績は、次の通りです。
(イ)国内リテール事業
当事業部門におきましては、主力の免税品販売での主要顧客である中国人観光客が大幅に増加するとともに、上期には春節やお花見来店誘致施策、クルーズ船受け入れ体制強化施策を実施いたしましたが、中国人を中心とした当社顧客の消費マインドの変化にともない顧客一人当たりの平均購買単価が下落し、結果として売上高が減少いたしました。また、訪日来店客数の増加に対応するための積極的な新規出店による地代家賃の増加や、新規採用による人材増強に伴う人件費などの固定費が増加したことにより、収益性が悪化しました。一方で、事業譲受の実施により事業規模が拡大した婦人靴販売が収益に貢献したものの、当連結会計年度の売上高は602億15百万円(前年同期は837億82百万円、28.1%減)、営業利益は16億89百万円(前年同期は110億81百万円、84.8%減)と前年同期に比べ大幅な減収減益となりました。
(ロ)海外事業
当事業部門におきましては、当第1四半期連結会計期間において中国国内での店舗を閉鎖したため、売上高が減少いたしました。一方で、紙オムツをはじめとした中国向け商品の新たな販売網整備と物流体制の再構築に注力いたしましたが、採算性が改善せず事業整理を行うこととしました。また、越境ECビジネス強化のためにインフラ整備と販売体制の強化を進めてまいりましたが、中国国内向けの販売商品の在庫コスト等の費用が嵩み、当連結会計年度の売上高は、21億36百万円(前年同期は83億25百万円、74.3%減)、営業損失は7億63百万円(前年同期は6億45百万円の損失)となりました。
(ハ)その他事業
当事業部門におきましては、主に不動産賃貸事業としての当連結会計年度の売上高は、5億62百万円(前年同期は6億円、6.3%減)、営業損失は44百万円(前年同期は21百万円の損失)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、28億63百万円と前期に比べ27億53百万円の減少となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、14億58百万円の増加(前連結会計年度は17 億41百万円の減少)となりました。これは主に、仕入債務の減少7億81百万円と棚卸資産の減少20億69百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、68億10百万円の減少(前連結会計年度は251億60百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出41億8百万円、関係会社出資金の取得による支出25億74百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、26億69百万円の増加(前連結会計年度は293億5百万円の増加)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出19億98百万円と短期借入による収入47億59百万円によるものです。