有価証券報告書-第64期(2024/09/01-2025/08/31)
②戦略
パリ協定の達成に向けて、世界の平均気温上昇を抑えるための取り組みを強化しています。また、気候関連のリスクと機会がもたらす事業への影響を把握し、戦略の策定、実行を進めています。
Ⅰ温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組み
Ⅱ気候変動に関するリスク・機会のシナリオ分析
当社は、事業に対する顕在的・潜在的なリスクを想定したうえで、リスクを予防し、適切に管理および対応することが、事業の持続的な成長に不可欠だと考えています。以下の2つのシナリオを参照し、2100年までの平均気温の上昇が産業革命以前と比べて2℃未満の場合と、4℃の場合について、2030年までを対象期間として、気候変動が自社およびサプライチェーンにもたらすリスクと機会、対応策を検討しました。
Ⅲ気候変動に関するリスク・機会
Ⅳ気候変動に関するリスク・機会への対応戦略
・2℃未満に気温の上昇が抑えられた場合と、4℃まで気温が上昇した場合、どちらのシナリオが実現した場合でも、服、特にLifeWearへの需要は変わらないと考えています。温室効果ガス排出量がより少ない素材や、循環型の商品、気候変動に対応した商品(例えば、ヒートテックやエアリズム)といったお客様のニーズに合った商品を開発することで、市場優位性が増し、売上は拡大すると考えています。
・2℃未満の場合、サプライチェーンへの影響としては、炭素税などの税制、規制強化、電気料金の上昇など、生産や店舗におけるコストが上昇するリスクがありますが、省エネ推進や再エネ導入で、リスクを低減させることができます。自動車やトラックの燃費・排ガス規制など、EUをはじめ世界各国で規制強化が進む場合、物流費が上昇するリスクがありますが、ハイブリッド・EV等の環境対応車への移行を促進することや、有明プロジェクトを通じた物流効率の向上などを行うことで、リスクの低減が可能です。
・4℃の場合は、干ばつや大雨など異常気象の多発や、水不足などの物理的リスクにより、生産、物流、販売のサプライチェーン全体に甚大な影響を及ぼすことが想定されますが、原材料、生産工場などの調達先の分散や、長期的な契約・パートナーシップにより、リスクを低減することが可能です。物流や店舗についても、地域の分散や、BCPの観点からの立地などの選定、災害訓練により、物理的なリスクを最小限に抑えることができます。また、夏の長期化や暖冬によるお客様ニーズの変化へフレキシブルに対応できるよう、年間定番商品の在庫を確保しており、柔軟に対応することができます。
・当社はSPAであるため、潜在的、顕在的なリスクに対し、柔軟に対応を行うことが可能です。お客様のニーズの変化に対応した服づくりや、原材料、生産工場などの調達先の分散化、輸送形態の多様化、物流拠点の選定、販売店舗の立地の選定にBCPの視点を取り入れるなど、気候変動への対策が進まず、気温上昇が抑えられなかった場合を想定した対応策を講じています。
・これらの戦略の妥当性と進捗については、適切な情報開示を行い、機関投資家をはじめステークホルダーの皆様との対話や、各種ESG評価の指標への対応を行うことにより、持続的な企業価値向上につながると考えています。
パリ協定の達成に向けて、世界の平均気温上昇を抑えるための取り組みを強化しています。また、気候関連のリスクと機会がもたらす事業への影響を把握し、戦略の策定、実行を進めています。
Ⅰ温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組み
| 有明プロジェクトの推進 | ・有明プロジェクトを推進し、より高いレベルで実行することで、「無駄なものをつくらない、運ばない、売らない」を実現し、お客様満足の向上と、環境負荷の低減につなげていきます。 ・世界中の店舗やEコマースを通じて集まるお客様のご要望など、膨大な情報を分析することで、お客様のニーズを起点にした商品づくりを行っています。 |
| 自社領域(店舗と主要オフィス) | ・店舗では、電力の使用そのものを減らす省エネルギーと、自ら電気を生み出す創エネルギーに取り組んでいます。さまざまな省エネ技術による消費電力の削減や、太陽光パネルによる発電など、エネルギー効率を高める工夫を採用したロードサイド店舗(ユニクロ 前橋南インター店など)を増やしています。 ・再生可能エネルギー100%の目標達成に向けて、太陽光発電設備の設置や電力会社が提供する再エネメニューの購入、再エネ電力証書の購入などを進めています。 |
| サプライチェーン領域 | ・ユニクロとジーユーの生産量の約9割を占める主要工場を対象に、国や地域、工場の特性によって異なる個別の課題を把握し、丁寧に対応して解決に取り組むことで、省エネルギー施策、脱石炭の推進、再生可能エネルギーの導入を着実に推進しています。主要工場とは、温室効果ガス削減計画の策定を完了しており、3か月に1度、進捗確認や計画の見直しを行い、密に連携しています。また、個別工場のニーズに応じて、再生可能エネルギーの導入に向けた助言や計画実行に必要な資金の調達先の紹介などを実施しています。2025年5月からは、更なるエネルギー削減に向けた支援として、主要な素材工場および一部の縫製工場へ省エネルギー診断の提供を開始しています。 |
| 商品領域 | ・リサイクル素材など温室効果ガス排出量の少ない素材への切り替えを進めています。化学繊維はリサイクル技術が比較的発達しているため、リサイクル素材への切り替えが進めやすく、現在では特にポリエステルにおいて取り組みが進んでいます。天然素材であるコットンやウールなどについても取り組みを継続しています。コットンでは環境への取り組み結果を定量的に示すことができ、環境・人権等の課題を効果的かつ継続的に改善する仕組みを持つ農法・認証などのコットン(例えば、環境再生型農業にて生産されたコットン)への切り替えを進めています。ウールなどでは、取引先パートナーとともに、既存商品と同等の品質、着心地のよさを実現できる素材の研究開発を進めています。 ・具体的には、ユニクロのドライEXやエアリズム、ヒートテック、ファーリーフリースといった商品群でリサイクルポリエステル、ポケッタブルパーカ等のアウター製品でリサイクルナイロンを採用しています。その他、一部のUTやジーンズでリサイクルコットンを採用しています。 |
| RE.UNIQLOの推進 | ・ユニクロでは、服を活かし続けることで、循環型社会に移行するための取り組み「RE.UNIQLO」を推進し、REDUCE・REUSE・RECYCLEの活動を行っています。 ・「REDUCE」では、「RE.UNIQLO STUDIO」において、お客様に愛着ある服を大切に着続けていただくため、リペア・リメイクサービスの提供と一部の国と地域でアップサイクル品を販売しています。同スタジオは、2025年8月末時点で22の国・地域、63店舗で展開しています。 ・「REUSE」では、難民・国内避難民への衣料支援に加え、「UNIQLO古着プロジェクト」として、2025年8月期は、新たに郊外立地の店舗を加えた国内3店舗(ユニクロ世田谷千歳台店、ユニクロ天神店、ユニクロ前橋南インター店)で古着のトライアル販売を行いました。 ・「RECYCLE」では、回収した服を新しい服や資材としてよみがえらせ、再びお客様にお届けする取り組みを進めています。例えば、回収したダウンジャケットのダウンとフェザーを抽出し、新しいダウンジャケットの原材料として活用しています。また、2026年にイタリアで開催予定の世界的スポーツ大会では、ユニクロの店舗で回収したリサイクルダウンを100%使用したジャケットや、リサイクルダウンとパフテック(高機能中綿)を組み合わせたハイブリッドなジャケットなどをスウェーデン代表選手団に提供します。 |
Ⅱ気候変動に関するリスク・機会のシナリオ分析
当社は、事業に対する顕在的・潜在的なリスクを想定したうえで、リスクを予防し、適切に管理および対応することが、事業の持続的な成長に不可欠だと考えています。以下の2つのシナリオを参照し、2100年までの平均気温の上昇が産業革命以前と比べて2℃未満の場合と、4℃の場合について、2030年までを対象期間として、気候変動が自社およびサプライチェーンにもたらすリスクと機会、対応策を検討しました。
| ・国際エネルギー機関(IEA)の「持続可能な開発シナリオ」および「2℃未満シナリオ(B2DS)」 ・気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「第5次報告書(RCP8.5)」 |
Ⅲ気候変動に関するリスク・機会
| リスク | 2℃未満の場合 | 規制 | 炭素税・カーボンプライシング、排ガス規制 | ・炭素税などの税制または規制強化により、サプライチェーンにおいてコストが上昇し、その結果生産コストが上昇する ・炭素税などの税制または規制強化により、自社店舗の運営コストが上昇する ・EUの燃費・排ガス規制など、中国、ベトナム、バングラデシュ、インドネシアの拠点を中心とする生産国や、日本、東南アジア、EUなどの販売国における規制強化により、物流費が上昇する |
| 市場 | お客様の価値観の変化 | お客様が環境負荷の低い素材、商品やサービスを好まれるようになり、変化するニーズに対応できない場合、売上が減少、評判が低下するリスク | ||
| 4℃の場合 | 急性・慢性 | 自然災害の増加 | ・自然災害による原材料生産への影響や、生産施設の被害、サプライチェーン寸断により生産停止・遅延や物流遅延が発生し、売上が減少、調達コストが上昇する ・自然災害による店舗の営業停止に伴い売上が減少する | |
| 気温の上昇 | ・気象パターンの変化による原材料生産への影響により調達コストが上昇する ・気温の変化に対応しない商品構成により売上が減少する | |||
| 機会 | 2℃未満の場合 | 自社・サプライチェーン | ・省エネルギー推進や再生可能エネルギー導入などにより、サプライチェーンにおけるコスト上昇を抑制し、生産コストの低下につながる ・再生可能エネルギーの導入・省エネルギー推進により、自社の店舗のコスト上昇を抑制し、コスト削減につながる ・上記対応により、お客様からの評判が向上し、ブランドイメージの向上につながる | |
| 商品・サービス | ・温室効果ガス排出量の少ない素材を開発することで、新たな需要の創造、お客様の評判の向上につながる ・RE.UNIQLO活動の加速により、需要の創造、お客様の評判の向上につながる ・サステナビリティ活動の情報発信強化によるお客様の評判の向上につながる | |||
| 4℃の場合 | 商品・サービス | ・新しい機能性素材により新しい需要の創造につながる ・環境変化に対応した商品の需要増加につながる | ||
Ⅳ気候変動に関するリスク・機会への対応戦略
・2℃未満に気温の上昇が抑えられた場合と、4℃まで気温が上昇した場合、どちらのシナリオが実現した場合でも、服、特にLifeWearへの需要は変わらないと考えています。温室効果ガス排出量がより少ない素材や、循環型の商品、気候変動に対応した商品(例えば、ヒートテックやエアリズム)といったお客様のニーズに合った商品を開発することで、市場優位性が増し、売上は拡大すると考えています。
・2℃未満の場合、サプライチェーンへの影響としては、炭素税などの税制、規制強化、電気料金の上昇など、生産や店舗におけるコストが上昇するリスクがありますが、省エネ推進や再エネ導入で、リスクを低減させることができます。自動車やトラックの燃費・排ガス規制など、EUをはじめ世界各国で規制強化が進む場合、物流費が上昇するリスクがありますが、ハイブリッド・EV等の環境対応車への移行を促進することや、有明プロジェクトを通じた物流効率の向上などを行うことで、リスクの低減が可能です。
・4℃の場合は、干ばつや大雨など異常気象の多発や、水不足などの物理的リスクにより、生産、物流、販売のサプライチェーン全体に甚大な影響を及ぼすことが想定されますが、原材料、生産工場などの調達先の分散や、長期的な契約・パートナーシップにより、リスクを低減することが可能です。物流や店舗についても、地域の分散や、BCPの観点からの立地などの選定、災害訓練により、物理的なリスクを最小限に抑えることができます。また、夏の長期化や暖冬によるお客様ニーズの変化へフレキシブルに対応できるよう、年間定番商品の在庫を確保しており、柔軟に対応することができます。
・当社はSPAであるため、潜在的、顕在的なリスクに対し、柔軟に対応を行うことが可能です。お客様のニーズの変化に対応した服づくりや、原材料、生産工場などの調達先の分散化、輸送形態の多様化、物流拠点の選定、販売店舗の立地の選定にBCPの視点を取り入れるなど、気候変動への対策が進まず、気温上昇が抑えられなかった場合を想定した対応策を講じています。
・これらの戦略の妥当性と進捗については、適切な情報開示を行い、機関投資家をはじめステークホルダーの皆様との対話や、各種ESG評価の指標への対応を行うことにより、持続的な企業価値向上につながると考えています。