有価証券報告書-第47期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/24 16:36
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【項目】
152項目
3.戦略
マテリアリティの特定にあたり、「ステークホルダーにとっての重要性」「当社グループにとっての重要性」の2つの視点で評価し、重要度の高い課題を抽出しました。それらの課題について常勤取締役等で構成する社内会議で討議し、その中で特に重要度の高い課題をマテリアリティとして特定しました。特定されたマテリアリティの解決を通じて、サステナビリティ方針で目指す持続可能な社会の実現と企業価値の向上に取り組みます。
当社グループにとって、サステナビリティとは事業そのものです。そのため「事業マテリアリティ」を核として、社会や環境も踏まえた「ESGマテリアリティ」を設定しています。
事業マテリアリティ
0102010_004.jpgESGマテリアリティ
0102010_005.jpg
また、当社では、気候変動による平均気温の上昇と、それに伴う社会情勢の変化や災害リスクを重要視し、対策を進めることとしています。その一環として、気候変動がもたらす短期・中期・長期それぞれの「リスク」と「機会」を特定し、シナリオ分析を実施しています。
シナリオとしては、1.5℃シナリオと4℃シナリオの2つを参照しました。
これは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル, Intergovernmental Panel on Climate Change)第6次評価報告書やCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)でみられるように、産業革命期からの地球の平均気温の上昇を1.5℃に抑える水準で取り組みが国際的に求められている点を考慮しています。
今回、政府や国際機関が発行した将来予測に関するレポートを参考に、気候変動がもたらす移行リスク(政策・法規制、市場、評判)、物理的リスク(急性、慢性)、ならびに気候変動への適切な対応による機会(製品及びサービス、市場、レジリエンス)について、網羅的な検討を行いました。
■シナリオの前提
種類設定シナリオ参照シナリオ概要
移行リスク・機会1.5℃シナリオl 国際エネルギー機関(IEA), 「World Energy Outlook 2022」Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZE2050シナリオ)
l リユース経済新聞 リユース業界の市場規模推計2024(2023年版)
21世紀までの平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えるシナリオ。
持続可能な発展を実現するため、大胆な政策や技術革新が起こり、その分脱炭素社会への移行にともなう社会変化が事業に影響を及ぼす可能性が高くなる。
物理的リスク4℃シナリオl 気候変動に関する政府間パネル(IPCC), 「IPCC第6次評価報告書(AR6)SSP5-8.5シナリオ」
l 環境省・文部科学省・農林水産省・国土交通省・気象庁「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018~日本の気候変動とその影響」
l 国土交通省「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会 気候変動を踏まえた治水計画のあり方提言(令和3年4月改訂)」
21世紀までの平均気温が4℃程度上昇する。
成り行き任せに近く、社会の変化は起こらないが、気候変動に伴う異常気象や災害が事業に影響を及ぼす可能性が高くなる。

■シナリオ分析の対象範囲
項目シナリオ分析対象範囲
地域国内および海外の全拠点
対象事業範囲直接操業、上流・下流のサプライチェーン全体
企業範囲連結全体
時間軸の定義および自社の計画期間との整合短期(現在~2028年):中期経営計画「Beyond the 80th year milestone」
中期(2030年):2030年コメ兵ホールディングス全体におけるGHG削減目標年
長期(2050年から先):我が国および国際的なカーボンニュートラル達成目標年
試算方法・移行リスクについては2030年時点での単年の財務インパクトの結果を試算、開示している。
・物理的リスクについては、使用した気候変動シナリオが定義する時間軸における単年の財務インパクトの結果を試算、開示している。

■シナリオ分析結果
<リスク>
区分リスク項目時間軸事業領域影響重大度対応策
政策・法規制GHG排出に関する規制の強化中期~
長期
共通炭素税の導入に伴い、自社で使用するエネルギー使用に関わる炭素排出量への課税コストが増加・再生可能エネルギーの導入計画の策定
・ビルオーナーへ再生エネルギー切り替えへの働きかけ
・店舗の省エネ化
市場原材料コストの上昇短期~
長期
共通再生可能エネルギーへの転換に伴い、電力調達コストが増加・店舗の省エネ化
・LED設備への転換(使用量の抑制)
評判ステークホルダーからの懸念の増加短期~
長期
共通気候変動課題への対応の遅れに伴い、ステークホルダーからの信用およびレピュテーションが低下し、企業価値が毀損・リユース商品の総流通量の拡大
・事業拡大がもたらす気候変動への影響度の定量化・開示
・サステナビリティ戦略の明確化と推進
・サステナビリティ認証の取得
・TCFDをはじめとしたサステナビリティ関連開示の強化
・温室効果ガス削減をはじめとする目標設定・開示
・サステナブルファイナンスの活用
・ブランド企業や顧客とのエンゲージメント強化
・投資家との積極的な対話
消費者選好の変化中期~
長期
ブランド・ファッション地球環境への影響と動植物の保護の観点から、天然資源を使用するブランド品の流通量が減少し、売上が減少・環境負荷低減ができるリユース商品の価値を積極的に発信
・商品を長く使用できるサービス(リペア、リフォーム、メンテナンス等)の提供
急性物理的異常気象の深刻化短期~
長期
共通大雨や台風によって、一部の店舗や物流拠点の営業が停止し、売上機会が減少・洪水リスクの予測と防災対策の強化
・サプライチェーンの分散化
・BCPの整備
・保険の活用
・在庫を長く保有しない市場成長関与ビジネスの拡大
慢性物理的平均気温上昇短期~
長期
共通異常気象(大雨、猛暑)による来店者数の減少に伴う、売上機会の減少・販売先チャネルの再検討(オンライン販売の強化、法人向け販売の強化)
・気候に応じた商品ラインナップの拡充
・出店戦略、ロケーション戦略の見直し
・プロモーション、キャンペーンの実施
短期~
長期
ブランド・ファッション暖冬による冬物をはじめとした取り扱い商材の縮小とそれによる売上機会の減少・在庫管理の最適化
・季節要素に左右されない新たなビジネスモデルの構築
・気温上昇によるニーズに合わせた商品・サービスの展開
短期~ 長期タイヤ・ホイール暖冬による、冬用タイヤ等の季節商材の売上減少・在庫管理の最適化
・季節要素に左右されない新たなビジネスモデルの構築
・気温上昇によるニーズに合わせた商品・サービスの展開

※重大度の定義については、弊社の売上に対して与える影響が相対的に大きい項目を大としています。
炭素税の導入(事業共通)財務インパクト価格約37百万円
計算方法の説明2022年度Scope1,2排出量:3,003tCO2
2022年度比42%削減するとした場合の2030年度Scope1,2想定排出量に対して、炭素税$140/tCO2がかかると仮定して為替レート152円/$で算出した。
※出典:IEA NZE シナリオ
再生可能エネルギーへの転換
電力調達コストの増大
(事業共通)
財務インパクト価格約9百万円
計算方法の説明2030年度にScope2排出量を22年度比で42%削減するとした場合、その年における追加電力料金の予想額
気候変動課題への対応遅れ
信頼の失墜、企業価値の毀損
(事業共通)
財務インパクト価格約544百万円
計算方法の説明2025年3月期の最低株価:2,791円/最高株価:4,840円
発行株式:11,257,000株
2025年3月期の株価に対して、1%下落の影響があると仮定して算出した。
天然資源を使用するブランド品の流通量減少
(ブランド・ファッション事業)
財務インパクト価格約7,653百万円
計算方法の説明2025年3月期のブランド事業売上:153,078百万円
2025年3月期のブランド事業売上に対して、5%減の影響があると仮定して算出した。
大雨や台風による営業停止
(事業共通)
財務インパクト価格約4,025百万円
計算方法の説明拠点ごとの1日あたりの売上金額、買取金額に、拠点ごとに想定される浸水深に応じて営業停止日数を乗じて算出した。
※営業停止日数は、『TCFD提言における物理的リスク評価の手引きver.1.0』の3.6.2営業停止被害の評価方法を参照
※拠点ごとの浸水深は、国土交通省の浸水ナビにてシミュレーションを実施
異常気象による来店者数減少
(事業共通)
財務インパクト価格406百万円
計算方法の説明ブランド・ファッション事業、タイヤ・ホイール事業の1日あたりの売上金額:203百万円
ブランド・ファッション事業、タイヤ・ホイール事業の1日あたりの売上金額に対して、1日あたりの売上低下率5%、真夏日の増加日数40日と仮定して算出した。
暖冬による取扱い商材の縮小
(ブランド・ファッション事業)
財務インパクト価格312百万円
計算方法の説明冬物商品の売上金額:6,250百万円
冬物商品の売上金額に対して、暖冬による売上低下率5%と仮定して算出した。
暖冬による冬物商材の売上減少(タイヤ・ホイール事業)財務インパクト価格581百万円
計算方法の説明冬物商品の売上金額:1,661百万円
積雪が10%減るにつき、冬物商品の売上5%減の影響が出ると仮定。
保守的に4℃上昇シナリオから、積雪が70%減少すると仮定して、冬物商品の売上金額に積雪減少による売上低下率を乗じて算出した。
※日本の気候変動2020-大気と陸・海洋に関する観測・予測報告書-を参照

<機会>
区分機会項目時間軸事業領域影響重大度対応策
エネルギー源低炭素エネルギー源の利用短期~
長期
共通省エネ化を進めることによる、エネルギー使用量およびエネルギーコストの減少・LED切り替え
製品およびサービス消費者選好の変化短期~
長期
ブランド・ファッションリメイク商品の開発および販売拡大による売上増加・リメイクジュエリーブランド「mi luna」、「ALLNIQUE」の認知拡大
・ジュエリー以外のリメイク商品への挑戦
中期~
長期
共通サーキュラーエコノミー気運の高まりに伴う、リユース利用者の増加・一次流通をはじめ、他業種との連携
・自社ノウハウのライセンス提供
・テクノロジーを活用した利便性・安全性の向上
サービスの開発・拡大中期~
長期
ブランド・ファッションブランド品原材料が希少になることによる、二次流通の拡大・リユース商品の総流通量の拡大
短期~
長期
ブランド・ファッション二次流通の新規参入事業者に対する、自社ノウハウ、データベースの活用機会の増加・グループ間のデータ連携強化
市場公的セクターによるインセンティブ中期~ 長期共通環境への積極的な取り組み、適切な情報開示による企業価値向上や資金調達先の拡大・事業を通じた社会貢献活動の推進とステークホルダーへの積極的開示

省エネ化の推進
エネルギーコストの減少
(事業共通)
財務インパクト価格非公開
計算方法の説明自社の事業計画に沿って見積もり。
リメイク商品の開発
(ブランド・ファッション事業)
財務インパクト価格非公開
計算方法の説明自社の事業計画に沿って見積もり。
サーキュラーエコノミーの機運の高まり
リユース利用者の増加
(事業共通)
財務インパクト価格66,777百万円
計算方法の説明2025年度3月期売上金額:158,994百万円
2025年度3月期の売上金額にリユース市場の成長率を乗じて試算。
※リユース市場の成長率は、リユース経済新聞『リユース業界の市場規模推計2024(2023年版)』より算出
ブランド品原料の希少化
二次流通の拡大
(ブランド・ファッション事業)
財務インパクト価格非公開
計算方法の説明自社の事業計画に沿って見積もり。
自社ノウハウ、データベース活用機会の増加
(ブランド・ファッション事業)
財務インパクト価格非公開
計算方法の説明自社の事業計画に沿って見積もり。
企業価値向上
資金調達先の拡大
(事業共通)
財務インパクト価格非公開
計算方法の説明自社の事業計画に沿って見積もり。

人材の育成及び社内環境整備に関する方針
当社グループは、企業価値向上において「事業開発」、「組織開発」、「人材開発」が不可欠だと考え、取り組みを進めており、特に事業を支える「組織開発」と「人材開発」は、中長期で取り組む重要な経営課題と位置付けております。組織と人材の両輪でとらえ、1人1人のパフォーマンスを高め、チーム力を最大化するため、「パフォーマンス=どんなスキルがあるか×どんな気持ちでやるか」を人材マネジメントの基本的な考え方として、継続的な投資を行い、持続的な事業の成長につながる競争優位性を確保することを目指します。
0102010_006.jpg0102010_007.png主体的・自律的な働き方をするためには、従業員一人ひとりが現在の業務に必要なスキルを身に着けることはもちろん、自身が目指すキャリア目標が明確で、その達成に向けて努力することが求められます。そのような従業員をサポートするために、階層別の研修、個人の強みの把握、一人ひとりの志向やニーズに応じた専門性の強化、キャリア形成のための研修等を主体的に受講できる機会を提供し、キャリア形成の実現をバックアップします。
主要なグループ会社である株式会社コメ兵は、社員一人ひとりが組織や仕事に対する自発的な貢献意欲を持ち、主体的に取り組んでいる心理状態を指す「エンゲージメント」の向上に注力しています。それにより、労働生産性の向上や多様な価値の創出、仕事を通じて社会と人々に役立っているという意識の醸成などにつなげます。2020年から個人のエンゲージメントの状態やチームの状態を“見える化”する「エンゲージメントサーベイ」を開始しました。これによって組織の課題なども可視化し、対話を通じてメンバーの自己理解や相互理解を促進して、働きがいの向上や、チームが「ありたい姿」を達成していく活動につなげます。

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