有価証券報告書-第11期(平成29年3月1日-平成30年2月28日)

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2018/05/28 14:10
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58項目

業績等の概要

当社グループは、当連結会計年度より、適正な資産評価に基づいた効率経営の実践や当期利益重視の経営管理、財務情報の国際的な比較可能性の向上による国内外の投資家に対するアカウンタビリティの強化を目的とし、従来の日本基準に替えて国際会計基準(以下IFRS)を適用しております。なお、前連結会計年度の数値は、前期に日本基準で公表した数値をIFRSに組み替えて表記しております。
(1)業績
当連結会計年度の日本経済は、不透明性があるものの堅調な海外経済や政府及び日本銀行による各種政策の効果等により、緩やかな回復基調が続きました。また、個人消費については、株価上昇など資産効果を背景に富裕層による高額品消費が好調に推移したものの、消費の二極化の進展や社会保障費負担の増加に伴う将来不安を背景に節約志向が継続したことから、回復傾向は緩慢なものとなりました。
このような状況のもと、当社グループはこれまでの延長線上ではない「非連続な成長」へと経営の舵を大きく切り、ROE8%以上の達成を目指し、事業ポートフォリオの再構築に取り組むべく、“くらしの『あたらしい幸せ』を発明する。”という新しいグループビジョン実現に向け「2017~2021年度 中期経営計画」をスタートさせました。その初年度となる当連結会計年度は、小売業の枠を超えた「マルチサービスリテイラー」としての発展を目指し、事業領域の拡大とともに既存事業の競争力・収益力の一段の強化をはかる一方、不採算事業の見極めなどにスピードを上げて取り組みました。
店舗を核に地域とともに成長するビジネスモデルの構築を目指す「アーバンドミナント戦略」においては、新たな成長事業と位置づける「不動産事業」の大型開発を中心に取り組みました。4月には、銀座エリア最大級の商業施設面積約47,000㎡を誇る革新的なラグジュアリーモール「GINZA SIX(ギンザ シックス)」を、さらに11月には、松坂屋上野店南館跡地で開発を進めてまいりました複合商業施設「上野フロンティアタワー」をオープンさせました。加えて、本館建替え工事が進行中の大丸心斎橋店におきましては、隣接する北館の大型核テナントとして「パルコ」の導入を決定いたしました。
“あらゆるモノがネットにつながる”IoT時代に向けたICT(インターネット・コミュニケーション・テクノロジー)戦略においては、3月にグループデジタル戦略部を設置するとともに、ICT戦略推進部門の責任者に外部人材を登用するなど組織体制の整備、強化を通じ、「攻め」と「守り」の両面からICT戦略の具現化に取り組みました。
グループの中核事業である百貨店事業、パルコ事業においては、既存事業の革新に向け店舗の提供価値向上、収益力向上に取り組みました。百貨店事業においては、新たな編集売場の導入などマーケット変化に対応した売場改装を実施したほか、顧客基盤の拡大、販売サービスの強化に取り組みました。また、パルコ事業においては、ストアブランドの進化と店舗の魅力向上をはかるため、新規出店や都心型店舗のスクラップ&ビルドを推進するとともに、新生渋谷パルコをはじめとする複数の商業不動産プロデュースに取り組みました。
新たな事業領域の拡大として、2月には、幼児保育事業に参入するため、「JFRこどもみらい株式会社」の設立を決定いたしました。一方、8月には、通販事業を展開する連結子会社、フォーレスト株式会社の全株式を譲渡いたしました。また、持分法適用関連会社の株式会社千趣会が今後実施を予定する、同社の自己株式取得に応じることを決定いたしました。
経営基盤強化に向けた取り組みでは、経営監督機能の強化、機動的な経営の推進等をはかるため、指名委員会等設置会社への移行を行い、取締役会有効性評価に基づく取締役会改革の推進をはじめ、経営人材の強化などガバナンス体制のさらなる充実をはかりました。あわせて、株主との利益意識の共有や株主重視の経営意識向上をはかるため、役員報酬において業績連動性の高い株式対価報酬制度を導入するとともに、指名委員会、報酬委員会の活動を通じ、透明性・客観性の高い経営人事機能の強化に取り組みました。また、資産効率の向上を目指し大丸松坂屋百貨店の基幹店舗において、店舗B/Sに基づく経営管理を実施いたしました。加えて、フリーキャッシュ・フローの増大をはかるため、投資基準と撤退基準に基づく事業運営により、投資効率向上と収益改善に取り組みました。生産性向上を目指した業務改革の取り組みでは、グループ業務システムを刷新したほか、事務作業の自動化をはかるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入いたしました。
グループ組織人事改革では、新規事業開発、ICT、法務、不動産など専門分野における外部人材の登用や、マネジメント人材、経営人材の育成・強化に取り組みました。また、多様な就業観やライフステージの変化など働き方の多様化に対応するため、大丸松坂屋百貨店、大丸松坂屋セールスアソシエイツなどにおいて、勤務地を選択できる「エリア限定社員制度」や、入社後1年を経過した有期雇用の契約社員を原則的に無期雇用とする「専任社員制度」を導入いたしました。
環境活動においては、エネルギー使用量、包装資材使用量などの削減に継続的に取り組みました。また、大丸松坂屋百貨店の基幹店舗において開催した「ECOFF(エコフ)リサイクルキャンペーン」では、お客様がご不要になった衣料品・靴・バッグなど約46万点を回収し、バイオエタノールなどへの再生利用をはじめとする循環型社会構築に向けた取り組みを推進いたしました。社会活動においては、女性の健康支援や東日本大震災・熊本地震などの震災復興支援として、被災地のこども育英基金への寄付を通じた次世代育成に継続的に取り組むとともに、被災地生産者に向けた催しの開催など店舗を活用した販売機会を提供いたしました。加えて、「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づく特例子会社としての認定を取得した「株式会社JFRクリエ」を設立し、業務をスタートさせました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、当期の連結業績は、売上収益は4,699億15百万円(対前年3.8%増)、営業利益は495億46百万円(同18.7%増)、税引前利益は482億71百万円(同13.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は284億86百万円(同5.3%増)、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は7.5%(同0.1pt減)となりました。
期末配当金につきましては、1株当たり18円の普通配当及びJ.フロントリテイリング設立10周年を記念した1株当たり1円の記念配当とあわせ19円とさせていただきました。なお、中間配当金16円(記念配当1円を含む)とあわせた年間配当金は1株につき35円となり、普通配当は前年に対して5円の増配、かつ7年連続の増配となります。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
<百貨店事業>店舗の提供価値向上、収益力向上を目指し、新たな編集売場の導入などマーケット変化に対応した売場改装を実施いたしました。大丸神戸店では、6階を中心としたメンズフロアと7階リビング売場を20年ぶりにリニューアルいたしました。また、大丸札幌店では、時計売場の面積を約1.5倍に拡大するとともに、取り扱いブランドの充実をはかりました。加えて、大丸東京店婦人服フロアでは、人気ショップのオーナーがプロデュースする衣食住を編集した大丸・松坂屋初のコンセプト型セレクトゾーンをオープンさせました。あわせて、外商においては、拡大する富裕層消費に対応するため新規口座開拓を継続して推進するとともに、新たな商品・サービスの開発、提案に取り組みました。インバウンドマーケットにおいては、訪日外国人客への対応強化としてモバイル決済が可能な売場を拡大するとともに、店頭における販売サービスの強化に取り組みました。
また、大丸創業300周年の節目の年にあたり、さまざまな記念販促・記念事業に取り組みました。大丸神戸店では、ファッション誌「ヴォーグ」のショッピングイベントとして「ヴォーグ ファッションズ ナイトアウト」を開催いたしました。大丸京都店では、「京都町家プロジェクト」として、京都・祇園に期間限定ショップ「エルメス」を7月まで9か月にわたって展開し、続いて8月には「ウブロブティック京都」をオープンさせました。加えて、3月に「未来定番研究所」を設立し、外部知見との連携強化、インターネットを活用した情報収集に取り組みました。なお、大丸浦和パルコ店については、営業赤字が継続しており、競合も激化するなか今後の黒字化は困難であるとの判断から、7月末日をもって営業を終了いたしました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は2,743億8百万円(対前年2.3%増)、営業利益は266億59百万円(同20.0%増)となりました。
<パルコ事業>パルコのストアブランド進化に向け、東京23区内では渋谷パルコ以来44年ぶりとなる新規出店として、11月4日、「上野フロンティアタワー」に「PARCO_ya(パルコヤ)」を開業させ、オープン後の入店客数、売上は想定を上回り好調に推移いたしました。
また、都心型店舗においては、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)による情報拡散効果を意識するなか、福岡パルコではコト消費に対応した新たなサービステナントの導入、名古屋パルコではマーケットにおける独自性の構築を目指したレストランの改装を実施いたしました。エンタテインメント事業においては、『ミニオン大脱走CAFE』を札幌・池袋・名古屋・福岡パルコで展開し、独自コンテンツの開発により既存店舗の集客と取扱高増加に貢献するとともに、外部施設への展開など多様な取り組みを行いました。
商業不動産プロデュースにおいては、4月に東京・東部の副都心として都市機能のますますの発展と活性化が期待される墨田区錦糸町の駅前商業施設への出店を決定いたしました。また、5月に新生渋谷パルコの新築工事に着手するとともに、9月には、大丸心斎橋店北館の核テナントとして「パルコ」を出店することを決定いたしました。
以上のような諸施策に取り組みましたものの、2016年8月に建替えのため一時休業した渋谷パルコや、同年11月に営業を終了した千葉パルコの閉鎖影響のほか、8月に大津パルコを閉店した影響も加わったことから、売上収益は916億21百万円(対前年2.3%減)、営業利益は117億52百万円(同9.7%減)となりました。
<不動産事業>4月20日、松坂屋銀座店跡地を含む二街区一体開発として「GINZA SIX(ギンザ シックス)」をオープンさせました。「GINZA SIX」は、フラッグシップストア121ブランドを含む241ブランドを誘致した商業エリアに加え、文化施設も融合するなど従来の百貨店とは異なる商業施設として開業し、地域に新たな賑わいを創出いたしました。また、11月4日には、松坂屋上野店南館跡地に、松坂屋上野店、PARCO_ya(パルコヤ)、TOHOシネマズ上野、オフィスを一体的に備える複合商業施設として、「上野フロンティアタワー」をオープンさせました。開業を機に大丸松坂屋百貨店が所有する周辺店舗を総称し、「シタマチ.フロント」と名付けて発信するとともに、百貨店・パルコとのイベント共催、地域や商店会と連携したエリアプロモーションの実施など、魅力的な街づくりと新たな来街者の創出に取り組みました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は134億27百万円(対前年168.3%増)、営業利益は41億31百万円(同1,085.4%増)となりました。
<クレジット金融事業>会員数の拡大に伴う年会費収入に加え、加盟店手数料収入、割賦販売利息収入が増加したものの、セキュリティ対策費などの販売費及び一般管理費が増加したことから、売上収益は101億76百万円(対前年3.3%増)、営業利益は27億42百万円(同4.0%減)となりました。
<その他>建装工事請負業のJ.フロント建装は、前年度に大型物件の計上が増加した反動から減収となりましたものの、卸売業の大丸興業は、電子デバイス部門が好調に推移したことから増収増益となり、人材派遣業のディンプルは、グループ外企業からの受託契約増加に伴い売上が拡大いたしましたことから、その他の売上収益は、1,178億45百万円(対前年2.8%増)、営業利益は47億44百万円(同59.1%増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ70億16百万円増の388億83百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は570億79百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、渋谷パルコの再開発事業に伴う前受金の受領による収入などにより233億15百万円の収入増となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は190億30百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、有形固定資産の取得による支出の減少や子会社株式の売却による収入などにより89億22百万円の支出減となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は310億48百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、社債発行による収入がある一方、社債及びコマーシャル・ペーパーを償還したことなどにより289億51百万円の支出増となりました。
(3)並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表及びIFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
なお、日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
また、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、百万円未満を切り捨てて表示しております。
①要約連結貸借対照表(日本基準)
(単位:百万円)

前連結会計年度
(2017年2月28日)
当連結会計年度
(2018年2月28日)
資産の部
流動資産192,829206,326
固定資産857,220859,966
繰延資産60187
資産合計1,050,1091,066,480
負債の部
流動負債312,568271,865
固定負債271,701300,901
負債合計584,269572,767
純資産の部
株主資本411,868430,022
その他の包括利益累計額△5,5321,894
非支配株主持分59,50361,795
純資産合計465,839493,713
負債純資産合計1,050,1091,066,480

②要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)
(要約連結損益計算書)
(単位:百万円)

前連結会計年度
(自 2016年3月1日
至 2017年2月28日)
当連結会計年度
(自 2017年3月1日
至 2018年2月28日)
売上高929,546947,879
売上原価△709,034△721,907
売上総利益220,511225,972
販売費及び一般管理費△175,931△184,751
営業利益44,58041,220
営業外収益5,5967,090
営業外費用△5,751△7,278
経常利益44,42541,032
特別利益3,6095,025
特別損失△7,483△1,922
税金等調整前当期純利益40,55044,136
法人税等△10,164△14,747
当期純利益30,38629,388
非支配株主に帰属する当期純利益△3,435△3,277
親会社株主に帰属する当期純利益26,95026,110

(要約連結包括利益計算書)
(単位:百万円)

前連結会計年度
(自 2016年3月1日
至 2017年2月28日)
当連結会計年度
(自 2017年3月1日
至 2018年2月28日)
当期純利益30,38629,388
その他の包括利益3,0397,306
包括利益33,42536,695
(内訳)
親会社株主に係る包括利益29,95633,537
非支配株主に係る包括利益3,4693,157

③要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)
前連結会計年度(自 2016年3月1日 至 2017年2月28日)
(単位:百万円)

株主資本その他の包括利益累計額新株予約権非支配株主持分純資産
当期首残高392,236△8,5371456,880440,594
当期変動額19,6313,005△142,62225,245
当期末残高411,868△5,532-59,503465,839

当連結会計年度(自 2017年3月1日 至 2018年2月28日)
(単位:百万円)

株主資本その他の包括利益累計額新株予約権非支配株主持分純資産
当期首残高411,868△5,532-59,503465,839
当期変動額18,1547,426-2,29227,873
当期末残高430,0221,894-61,795493,713

④要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)
(単位:百万円)

前連結会計年度
(自 2016年3月1日
至 2017年2月28日)
当連結会計年度
(自 2017年3月1日
至 2018年2月28日)
営業活動によるキャッシュ・フロー36,23957,001
投資活動によるキャッシュ・フロー△30,353△18,719
財務活動によるキャッシュ・フロー△2,189△31,280
現金及び現金同等物に係る換算差額214
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)3,6997,016
現金及び現金同等物の期首残高28,14731,846
現金及び現金同等物の期末残高31,84638,863

⑤要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)
(前連結会計年度)
(企業結合に関する会計基準等の適用)
「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日。以下「企業結合会計基準」という。)、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号 平成25年9月13日。以下「連結会計基準」という。)及び「事業分離等に関する会計基準」(企業会計基準第7号平成25年9月13日。以下「事業分離等会計基準」という。)等を前連結会計年度から適用し、支配が継続している場合の子会社に対する当社の持分変動による差額を資本剰余金とするとともに、取得関連費用を発生した連結会計年度の費用として計上する方法に変更しております。また、前連結会計年度の期首以後実施される企業結合については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の配分額の見直しを企業結合日の属する連結会計年度の連結財務諸表に反映させる方法に変更しております。加えて、当期純利益等の表示の変更及び少数株主持分から非支配株主持分への表示の変更を行っております。
企業結合会計基準等の適用については、企業結合会計基準第58-2項(4)、連結会計基準第44-5項(4)及び事業分離等会計基準第57号-4項(4)に定める経過的な取扱いに従っており、前連結会計年度の期首時点から将来にわたって適用しております。
この変更による連結財務諸表に与える影響はありません。
(有形固定資産の減価償却方法の変更)
当社及び国内連結子会社は、従来、建物及び構築物を除く有形固定資産(リース資産を除く)の減価償却方法について、主として定率法を採用しておりましたが、前連結会計年度より、全ての有形固定資産の減価償却方法について定額法へ変更しております。
この変更は、株式会社大丸松坂屋百貨店及び株式会社パルコの近年の大型投資及び大型投資計画の策定を契機とするグループ投資戦略の見直しと、株式会社パルコにおける賃料の固定化等による比較的安定性の高い事業モデルの積極拡大にあわせて、グループの有形固定資産の収益構造を再検証した結果、取得価額を耐用年数にわたり均等に配分する定額法の方が従来の定率法により適切に期間損益に反映すると判断したことによるものです。
この変更により、従来の方法によった場合と比較して、前連結会計年度の営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ1,453百万円増加しております。
(当連結会計年度)
(売上高の会計処理の変更等)
パルコ事業におきまして、従来は、主に出店テナントの販売高を「売上高」(総額表示)として計上し、店舗運営経費のテナント徴収分を「販売費及び一般管理費の控除項目」としておりましたが、当連結会計年度より、従前の「売上高」及び「売上原価」を純額にした当社の利益相当額であるテナント賃貸収益及び店舗運営経費のテナント徴収分の一部を「売上高」として計上する方法に変更いたしました。
この変更は、効率的な利益創出を重要視する新たな経営管理手法を構築する取組みや賃貸収益が固定的な新たな事業モデル(純額表示)の拡大等に伴い、パルコのショッピングセンター事業の運営をより分かりやすく表示するために実施したものです。
すなわち、新たな経営管理手法構築への取組み(新管理システム導入など)のなかで、テナント賃貸収益等の重要性がより増すことから、これらを「売上高」としてトップラインに表示して管理することにしました。
また、現状、ショッピングセンター事業内の収益について純額表示と総額表示の事業が混在しておりますが、賃貸収益が固定的な事業モデル(純額表示)が拡大したことで、混在影響がより顕著となりました。そこで、事業モデルの実態に即した明瞭な表示にする為、収益の表示を統一することにしました。この変更に伴い、従来、「販売費及び一般管理費」としていた店舗運営のための直接的な経費は、上記変更後の「売上高」に直接関連する費用であるため、当連結会計年度より「売上原価」として計上する方法に変更いたしました。
この結果、遡及適用前と比較して、前連結会計年度の売上高は178,965百万円及び売上原価は164,692百万円減少することで、売上総利益は14,273百万円減少し、販売費及び一般管理費は14,273百万円減少しておりますが、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益に与える影響はありません。
また、前連結会計年度の期首の純資産額に対する累積的影響額に対する影響はありません。
⑥IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
(表示組替)
日本基準では、営業外収益、営業外費用、特別利益及び特別損失に表示していた項目を、IFRSでは金融収益又は金融費用、その他の営業収益及びその他の営業収費用等に表示しております。
(売上収益の純額表示に関する事項)
当社グループにおいては、取引の当事者として提供される財又はサービス自体の付加価値を高める機能を有し、取引に係る重要なリスクを負担している取引以外の取引について、日本基準では、売上高を計上し関連する売上原価を総額で認識しておりますが、IFRSでは、対象となる取引が他社の代理人であると判断されるため、売上収益を純額で認識しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上収益は前連結会計年度477,040百万円減少しております。当連結会計年度におきましては、売上収益が477,964百万円減少しております。
(のれんの償却に関する事項)
日本基準の下で、のれんの償却については償却年数を見積り、その年数で償却することとしておりましたが、IFRSではIFRS移行日以降の償却を停止しております。
この影響によりIFRSでは日本基準に比べて、のれん償却額(販売費及び一般管理費)は前連結会計年度359百万円減少しております。当連結会計年度におきましては、のれん償却額(販売費及び一般管理費)が174百万円減少しております。