有価証券報告書-第7期(平成25年3月1日-平成26年2月28日)

【提出】
2014/05/26 14:09
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【項目】
134項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度の日本経済は、政府や日本銀行の経済・金融政策の効果もあり、企業収益や個人消費に改善の動きが見られるなど、緩やかに回復しつつ推移いたしました。
百貨店業界におきましても、株価上昇に伴う資産効果や景気回復の期待感を背景に、高額品を中心に好調な売上基調が継続し、売上高は前年実績を上回りました。
このような状況の中、当社グループは、百貨店を核に複数の事業を展開するマルチリテイラーとしての発展に向け、百貨店事業の競争力強化と、新規市場への対応や事業構造の変革などへの取り組みを進めてまいりました。
百貨店事業につきましては、幅広いお客さまに支持される魅力的な店づくりと生産性の高い店舗運営体制を構築するなど、業態革新を目指す「新百貨店モデル」の確立に向けた取り組みを推進いたしました。その一環として、松坂屋名古屋店では、本館地階の食品フロアの全面リニューアルを行いました。また、松坂屋銀座店は、銀座六丁目地区市街地再開発事業の進展に伴う建替えを行うため、一旦営業を終了いたしました。松坂屋上野店の南館につきましては、パルコやシネマコンプレックスのほか、オフィス機能を備えた高層複合ビルへの建替えを決定いたしました。
グループ全体といたしましては、情報通信技術の進化に伴う消費環境の変化に対応するため、昨年3月、「グループIT新規事業開発担当」を設置し、実店舗やネット通販など多様な販売チャネルを通じてお客さまにさまざまな情報や商品・サービスを最適な形で提供する「オムニチャネル・リテイリング」の構築に取り組みました。そして、その取り組みを加速するために、物流・配送のシステム開発・運用において高度なノウハウを保有するフォーレスト株式会社の株式を12月に取得し連結子会社化いたしました。また、パルコでは、福岡店の大幅増床や仙台に2店目の出店を決定したほか、中低層商業施設を運営するゼロゲート事業などを積極的に進めてまいりました。一方、昨年4月には、近年の競争激化により厳しい業績が続いておりましたスーパーマーケット事業の株式会社ピーコックストアの全株式をイオン株式会社に譲渡するなど、グループ事業構造の改革を進めました。
海外での事業展開におきましては、事業提携で取り組む中国・上海市での本格的な高級百貨店の新設について、来年1月の開業を目指し準備を進めております。また、台湾でのチェーン展開を目指して現地に設立した雑貨小売業のJFRプラザでは、昨年3月の1号店オープンに続き、台北市を中心に4店舗を出店いたしました。
あわせて、本年4月の消費税率の引き上げに備え、より強靭な経営体質を構築するために、グループレベルで組織・要員構造の改革を進めるとともに、賃借物件の賃料引き下げや遊休不動産の活用、物流機能の集約など、あらゆる経費構造の見直しをはかり経営効率の向上に取り組みました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、当連結会計年度の売上高は1兆1,463億19百万円(前年比4.9%増)、営業利益は418億16百万円(同35.5%増)、経常利益は405億2百万円(同25.8%増)、当期純利益は315億68百万円(同159.1%増)となりました。
なお、期末配当金につきましては、1株につき6円とさせていただきました。
これにより中間配当を加えた年間配当金は、前連結会計年度より2円増配の11円となります。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
なお、平成25年4月1日付で、株式会社ピーコックストアの全株式を譲渡したため、当連結会計年度より「スーパーマーケット事業」を除外しております。
<百貨店事業>当事業では、さらなる成長とより高い生産性を目指して、「新百貨店モデル」の確立に向けたさまざまな取り組みを進めてまいりました。
松坂屋名古屋店では、第Ⅱ期改装として、本館地下1・2階食品フロアの全面リニューアルを行い、6月に名古屋地区初出店ブランドを多数取り揃えた名古屋随一のフードゾーン「ごちそうパラダイス」をグランドオープンいたしました。加えて、幅広い世代のお客さまのご要望にお応えするために、ポケモンセンターの導入をはじめ、品揃えやサービスの充実、店舗環境の改善を実施し、入店客数、売上高ともに大幅に増加いたしました。
松坂屋銀座店では「建替え前の全館閉店さよならセール」を開催、ご好評のうちに、6月30日をもって88年の歴史に一旦幕を降ろしました。また、松坂屋上野店では、南館を建替えのため本年3月11日に閉館し、本館をシニア層のお客さまを重点対象とした地域密着型の店舗として、改装オープンいたしました。
また、堅調な高級品市場に対応するため、大丸神戸店では、「エルメス」ショップを本館から隣接する路面店へ拡大移設したほか、大丸札幌店、神戸店、松坂屋名古屋店では、新たに修理などのメンテナンスを承るサービスカウンターを併設した「ロレックス」ショップをオープンするなど、各店舗でラグジュアリーブランドの拡大や新規導入を進めました。
販売促進活動では、開店30周年を迎えた大丸梅田店や10周年を迎えた大丸札幌店では、年間を通じてさまざまな記念催事を実施いたしました。また、大丸松坂屋百貨店の各店舗では、パルコとの初の共同企画「春のウルトラサンクスフェスティバル」を開催したほか、大阪地区における競争激化に対応するため、関西地区の大丸各店が共同して「大丸グランフェスタ」を春と秋に実施いたしました。
次に、外商における成長戦略の基盤整備として、お得意様ゴールドカードの機能面や会員特典を充実させるとともに、新規口座開拓体制の整備やサービスの充実に向けた取り組みを推進いたしました。
また、来店数、購入額ともに増加が顕著な外国人旅行者への対応として、品揃えの拡充や、免税業務の改善など販売サービス面の充実をはかりました。
仕入れから販売までの一体運営による差別化と収益性の向上を目指す自主事業の取り組みにおきましては、当社オリジナルの雑貨セレクトショップ「ウープウープ」を大丸の心斎橋店、梅田店、札幌店、松坂屋名古屋店で展開するとともに、池袋と福岡のパルコにも出店いたしました。
さらに、「オムニチャネル」への取り組みとして、インターネットで注文した商品を自宅や希望の店舗で受け取れる「クリック&コレクト」をファッションブランドの一部でスタートさせるなど、当社の強みである実店舗を最大限に活かした新たなサービスを実施いたしました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、売上高は7,689億28百万円(前年比
2.5%増)となり、営業利益は229億80百万円(同24.4%増)となりました。
<パルコ事業>当事業では、将来の成長に向けて、都心部での事業拠点の拡大を積極的に推進いたしました。
福岡パルコでは、既存店舗及び隣接の土地建物を取得し、本年秋の新館開業を目指すとともに、来年春には隣接ビルの一部へのフロア拡張を予定しております。さらに本年3月には、仙台において2店目となるパルコの出店を決定し、平成28年春の開業を目指しております。
中低層商業施設の開発・運営を行うゼロゲート事業におきましては、新たに心斎橋、道頓堀、広島に店舗を開業し、さらに、名古屋、札幌への出店を決定いたしました。
また、既存店舗のさらなる魅力向上と競争力強化に向けて改装を進めました。中でも渋谷、名古屋、広島などの基幹店舗では、新業態のショップやエリア初出店のファッションブランドを核に大規模な改装を実施いたしました。また、地域・街との繋がりを意識したアートイベントを、渋谷や福岡のパルコに加え、名古屋パルコでも開催するなど、新たな才能の発掘・支援に努めるとともに、その集客効果による店舗の活性化をはかりました。
また、松坂屋上野店の新南館への出店を決定するなど、百貨店事業との本格的な事業シナジー創出に向けて一層の連携強化をはかりました。
以上の諸施策に取り組みました結果、売上高は2,682億92百万円(前年比94.6%増)、営業利益は120億17百万円(同103.7%増)となりました。なお、前年の連結対象期間は平成24年9月1日から平成25年2月28日までの半年間でありますが、平成24年3月1日からの通年の実質ベースでの比較では、売上高は前年比0.3%増、営業利益は同12.7%増となります。
<卸売事業>当事業では、水産・畜産をはじめとする食品や包装資材などが好調に推移いたしましたものの、電子デバイス部門や、金属・自動車部門が伸び悩みました。
この結果、売上高は632億73百万円(前年比5.1%増)となりましたが、営業利益につきましては、販売費及び一般管理費の効果的使用に努めましたものの、売上総利益率の低下の影響もあり、11億27百万円(同29.2%減)となりました。
<クレジット事業>当事業では、大丸松坂屋百貨店の各店舗において、タブレット端末を活用したクレジットカードの即時発行サービスの強化や特設カウンターを設置するなど、新規会員の獲得に努めました。また、外商お得意様ゴールドカードの発行開始に伴い、カードの取扱高は大幅に増加いたしました。
この結果、売上高は94億44百万円(前年比9.9%増)、営業利益は31億86百万円(同8.0%増)となりました。
<その他事業>その他事業では、各事業会社において、収益力の強化に努めましたが、売上高は885億76百万円(前年比1.7%減)となりました。また営業利益は、販売費及び一般管理費の削減に取り組みましたものの、29億61百万円(同7.3%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ32億99百万円減の312億76百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は375億32百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、利益増に加え、前年に仕入債務が減少した反動と松坂屋銀座店再開発補償金を受入れたことにより、115億7百万円の収入増となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は88億58百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、株式会社パルコの土地建物の信託受益権取得による支出がありましたが、前年に同社株式を取得した反動により651億19百万円の支出減となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は320億27百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、短期借入金を返済したことなどにより903億2百万円の支出増となりました。