有価証券報告書-第13期(平成31年3月1日-令和2年2月29日)
有報資料
記載された事項で、将来に関するものは、有価証券報告書提出日現在(2020年5月29日)、入手可能な情報に基づく当社の経営判断や予測によるものです。
(1) 経営方針
当社グループは持株会社体制の下、大丸、松坂屋、パルコの店舗ネットワークや顧客基盤などの経営資源を最適かつ有効活用するとともに、時代の変化に的確に対応し、顧客満足の最大化と効率経営の徹底を通じ、百貨店事業、パルコ事業をはじめ既存事業各社の競争力と収益力の向上をはかってまいります。
加えて、より成長性のある分野に資源配分を行っていくなど、競争力と収益力に優れた事業群でバランス良く構成されるポートフォリオへの見直しを進め、“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”という新たなグループビジョンの実現に挑戦してまいります。
(2) 経営目標
パルコの完全子会社化を契機とする新たな経営体制“新生JFRグループ”として、新たなJFRグループの将来像に基づく、新中期経営計画を策定してまいります。
策定に向けた推進体制として、百貨店事業、SC不動産事業、金融事業、未来創造事業、ライフソリューション事業など各分野においてワーキング・グループを設置し、グループ総合力を結集して2021年度からの新たな成長戦略、事業計画の策定を進めてまいります。
(3) 対処すべき課題
当社グループのビジョン“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”の実現に向けた「2017~2021年度 中期経営計画」のスタートから3年が経過しました。この3年間において、GINZA SIXや上野フロンティアタワーに続き、2019年度は大丸心斎橋店本館や新生・渋谷パルコの大型再開発を完成させるなど、中期経営計画で掲げる成長戦略を着実に推進してきました。一方、既存事業の成熟化が一層進行するなか、当社グループの最重要課題である「事業ポートフォリオの変革」への取り組み進捗として十分な成果を創出するには至っておりません。
当社グループを取り巻く経営環境は、デジタル技術の進化や消費の多様化、またキャッシュレス化の進展など大きな変化に直面しており、またこうした変化がこれまでにないスピードで進行しています。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大により景気後退リスクが増大するなど一段と先行き不透明な状況にあり、短期・中長期の両面から、企業リスクへの迅速な対応が強く求められていると認識しています。
このような環境変化を踏まえ、当社グループの企業価値のさらなる向上にむけ、2019年度にパルコの完全子会社化を実施しました。これにより、グループの経営資源を最大限活用することで、従来の延長線上ではない非連続な成長を加速させるとともに、抜本的かつ機動的な事業ポートフォリオの変革に向け、グループ一体となり取り組む体制構築が進んだものと考えます。
2020年度は、こうした新たな経営体制“新生JFRグループ”のもと、百貨店とパルコの協業による大型複合商業施設の開業など、グループシナジーの最大化による成長戦略の具現化にスピードを上げて取り組んでまいります。
また、経営環境が想定以上に大きく変化するなか、現在進行中の本中期経営計画(2017~2021年度)の目標達成が困難な状況にあること、そして今後当社グループとして中長期にわたる成長を実現していくには、これまで成し得なかった事業構造の変革に向け成長戦略を再構築し、2021年度より「新たな中期経営計画」をスタートさせることが最善との判断に至りました。
このため、本中期経営計画は2020年度をもって終了し、今年度を「グループビジョンの実現に向け、新たな成長戦略を始動していくための年度」と位置づけ、次年度からの新中期経営計画スタートにグループ一丸となり取り組んでまいります。
2019年度後半に生じた新型コロナウイルス感染症影響については、顧客・従業員の安全衛生確保や健康への配慮を最優先に、刻々と変化する状況に対し迅速かつ適切に対応してまいります。
株主の皆様におかれましては、なにとぞ一層のご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
(4) グループ成長戦略
①マルチサービスリテイラー戦略
高効率かつ成長性が高い事業と位置づけるクレジット金融事業の強化を図るとともに、パルコとの連携を一層深めながら新規事業の開発、事業領域の拡大に取り組んでまいります。
1)クレジット金融事業の強化
・クレジット金融事業において、大丸松坂屋百貨店におけるアクワイアリング(加盟店契約)事業を開始するほか、新ポイントプログラムの導入、既存カードのリニューアルを2020年秋に計画しております。
2)グループビジョン実現に向けた新規事業領域の拡大
・「暮らし方の多様化」「楽しみ方の多様化」に対応した新たなサービスの具現化、また消費の価値観の多様化に対応する事業の開発など、サービス分野における事業領域の拡大、他社とのアライアンスを進めてまいります。
②アーバンドミナント戦略
百貨店・パルコの基幹店舗を中心に、グループリソースを最大限活用し、「店舗を核に地域とともに成長するビジネスモデル」の構築に引き続き取り組んでまいります。
1)心斎橋パルコ(仮称)の開業
・2020年秋に開業予定の心斎橋パルコ(仮称)において百貨店・パルコの顧客データを活用したサービス提供やプロモーションの実施など、大丸心斎橋店本館との一体構造を活かした、新たな大型複合商業施設の具現化に取り組んでまいります。
2)基幹店舗を中心とした街づくりの推進
・名古屋・栄地区に位置する「日本生命栄町ビル(仮称)」の商業施設出店(2020年秋予定)、また錦三丁目25番街区における開発を目指してまいります。これらにより、松坂屋名古屋店、名古屋パルコとともに、名古屋栄エリアの魅力化に取り組んでまいります。
・街の魅力度向上、エリア間の競争力強化に向け、重点エリアを中心とした周辺店舗開発に加え、地域・行政等との連携によるイベント実施など、街の賑わい創出に取り組んでまいります。
③IoT時代におけるICT戦略
お客様との生涯にわたる関係を強固なものとし、お客様のライフタイム・バリューの最大化を目指す「ライフタイム・サービスHUB構想」の具現化を進めてまいります。また、成長戦略の具現化や情報セキュリティへの対応強化など、ICT戦略の機能・体制強化に取り組んでまいります。
1)データ活用の高度化
・百貨店・パルコの相互利用顧客を把握・分析し、類似するID顧客へのアプローチを強化するなど、百貨店・パルコ間における顧客データの相互活用による実践拡大に取り組んでまいります。
2)グループ各社における機能・体制強化
・デジタル技術を活用した事業戦略の立案・実行支援、グループ各社の情報セキュリティ強化に対応した情報システムの適切な開発・運用など、攻めと守りの両面からICT戦略を着実に推進する機能・体制強化に取り組んでまいります。
④既存事業の革新
<百貨店事業>新たな百貨店ビジネスモデルの拡大展開、新顧客戦略の推進による顧客基盤の拡大とCRMの強化、お得意様ビジネスモデルの強化を通じ、競争力・収益力の強化に取り組んでまいります。
1)新たな百貨店ビジネスモデルの具現化
・大丸心斎橋店本館の成功要因を踏まえ、リアル店舗価値の向上に向け新たな店舗モデルの構築、他店舗への展開に取り組んでまいります。
2)新顧客戦略の推進による顧客基盤の強化
・モバイルアプリ会員開拓など顧客基盤の拡大を図るとともに、顧客データを活用したパーソナルな商品・サービスの提案に取り組んでまいります。
・外商ビジネスにおけるデジタル技術を活用した新たな商品・サービスの提供や、顧客のニーズ・購買特性に応じた最適な営業活動の推進により、顧客基盤の強化に取り組んでまいります。
<パルコ事業>グループシナジーの最大化に向け、事業専心型の会社体制を構築し、新たな不動産事業戦略の早期策定・実行に取り組むほか、パルコ店舗事業の改革により企業価値のさらなる向上に取り組んでまいります。
1)事業会社としての新たな体制構築
・完全子会社化を契機にグループシナジーを最大化すべく、本社機能の統合や組織の再編など資産・組織効率の向上を図るとともに、事業の強化・拡大に専心する体制構築にスピードをもって取り組んでまいります。
2)不動産事業戦略の拡大に向けた戦略の策定
・大丸松坂屋百貨店からの事業移管スキームの確定や人財交流に取り組み、新たな不動産戦略策定と実行に取り組んでまいります。
・当社グループの不動産に係る資源を集約・活用し、国内主要都市部における開発案件を拡大し、多様な開発手法を活用してまいります。
3)パルコ店舗事業の改革
・顧客サービスやプロモーションなど百貨店との高度な連携を実現し、2020年秋に開業予定の心斎橋パルコ(仮称)の成功に向け着実に取り組んでまいります。
・渋谷パルコの開業で得られた知見やネットワークを活かし、パルコ既存店においてストアブランドの再構築を目指した改革を推進してまいります。
⑤ESGへの取り組み
5つのマテリアリティ(重要課題)の目標達成への取り組みを着実に推進してまいります。また、コーポレートガバナンス機能強化への継続的な取り組みを通じ、グループの持続的成長及び中長期的な企業価値向上を目指してまいります。
1)グループ一体となった取り組み推進と情報開示の強化
・本業を通じて社会的課題やニーズを解決するCSV(Creating Shared Value)の考え方に基づき、グループ各社において自社の事業特性、行動計画に基づく課題解決に取り組んでまいります。またCSVのモデル店舗である大丸心斎橋店の取り組みを、順次他の店舗に展開してまいります。
・JFRサステナビリティ委員会を定期開催し、グループ全社の進捗管理・課題共有などPDCAサイクルによるグループ横断の取り組みを推進してまいります。
・ESG活動を社内外に適切に発信していくため、サステナビリティレポートの定期発刊、主要開示ガイドラインを活用した外部評価機関への情報開示の強化に取り組んでまいります。
2)グループガバナンスのさらなる強化
・完全子会社化に伴うパルコの機関設計変更、グループとしての内部統制の精度向上やリスクマネジメントへの対応など、グループガバナンスのさらなる強化に取り組んでまいります。
成長戦略を支える経営基盤の強化
<グループ人財政策>・パルコの完全子会社化を契機に、事業会社の枠を超えた人財交流を一層推進してまいります。
・人財開発企業を目指し、新たな価値を生み出す“人財力”を基軸とする人事制度の本格運用により、多様な人財採用や専門人財の育成を促進するとともに、ワーク・ライフ・バランスの実現、働き方改革などに継続して取り組んでまいります。
<グループ財務政策>・株主資本コストを継続して上回る資本効率の高い経営体質の構築に向け、今後の事業ポートフォリオ変革を見据えた最適資本構成について検討を進めるとともに、戦略投資の実施や株主還元の充実、財務体質の改善のバランスを踏まえた資本政策を推進します。
<コンプライアンスマネジメントの強化>・教育や研修を通じたコンプライアンスへの意識向上、コンプライアンス遵守に関するチェック体制の強化に加え、不正事案の再発防止策の策定・徹底などグループコンプライアンス経営のさらなる強化に取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症影響への対応
感染症影響の先行きが依然不透明であり、また状況も刻々と変化するなか、顧客・従業員の安全衛生の確保や健康への配慮を最優先に、事業継続計画に基づく態勢整備などに迅速かつ適切に対応してまいります。
同時に、社会・経済活動の停滞による当社グループの各事業への影響を注視するとともに、個人消費の低迷など景気後退リスクが一段と高まるなか、年度事業計画の見直しなどに機動的に対応してまいります。
また今後において、顧客の安全衛生や健康への意識の高まり、暮らしや働き方、消費行動の変化も予測されます。これらの変化を見据え、新たな商品やサービス、顧客とのコミュニケーション手法の検討など各事業において取り組みを進めてまいります。
(5) 株式会社の支配に関する基本方針
①基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務及び事業の内容や当社グループの企業価値の源泉を十分に理解し、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、これを向上していくことを可能とする者であることが必要であるものと考えております。
当社は、当社が上場会社であることから、当社の株主のあり方については、一般的には金融商品取引所における自由な市場取引を通じて決まるものであり、特定の株主または特定の株主グループによって当社株式の一定規模以上の取得行為(以下「大量取得行為」といいます。)が行われる場合であっても、当該大量取得行為が当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、一概にこれを否定するものではなく、これに応じるか否かについては、最終的には株主の皆さまのご判断に委ねられるべきものと考えております。
しかしながら、大量取得行為の中には、その目的等からして当社グループの企業価値に対する明白な侵害をもたらすもの、株主の皆さまに当社株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、当社取締役会や株主の皆さまが大量取得者の提案内容等について検討し、または当社取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないものなど、当社グループの企業価値を毀損する重大なおそれをもたらすものも想定されます。
このような当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大量取得行為を行う者(以下「大量取得者」といいます。)は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては不適切であり、当社は、このような大量取得行為に対しては、大量取得者による情報提供並びに当社取締役会による検討及び評価といったプロセスを確保するとともに、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の毀損を防止するため、当社取締役会及び株主の皆さまが大量取得者の提案内容を検討するための十分な時間を確保することこそが、株主の皆さまから当社経営の負託を受けた当社取締役会の責務であると考えております。
②基本方針の実現に資する取り組み
当社グループは、大丸・松坂屋の創業以来、その企業理念、伝統精神である「先義後利(義を先にして利を後にする者は栄える)」、「諸悪莫作 衆善奉行(諸悪をなすなかれ、多くの善行を行え)」、「人の利するところにおいて、われも利する」に基づき、永年にわたって呉服商、百貨店業を営んでまいりました。
当社は、当社グループの企業価値の源泉は、これらの理念、精神に基づくことにより築き上げられてきた、お客様及び社会との信頼関係にあるものと考えております。
そこで、当社は、これらの理念、精神に共通する「お客様第一主義」、「社会への貢献」を体現するため、当社グループの基本理念として「時代の変化に即応した高質な商品・サービスを提供し、お客様の期待を超えるご満足の実現を目指す」、「公正で信頼される企業として、広く社会への貢献を通じてグループの発展を目指す」ことを掲げ、この基本理念に基づき、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保及び向上に資するため、当社グループのビジョンとして“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”を掲げ、さまざまな施策に取り組んでおります。
③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、現在のところ、大量取得者が出現した場合の具体的な取り組み、いわゆる買収防衛策について特にこれを定めてはおりません。
しかしながら、大量取得者が出現した場合には、当社グループの企業価値の毀損を防止するため、大量取得者の属性、大量取得行為の目的、大量取得者が提案する財務及び事業の方針、株主の皆さま及び当社グループのお客様・お取引先様・従業員・当社グループを取り巻く地域社会その他のステークホルダーに対する対応方針など、大量取得者に関するこれらの情報を把握した上で、当該大量取得行為が当社グループの企業価値に及ぼす影響を慎重に検討する必要があるものと考えます。
したがって、このような場合には、当社は、当社社内取締役から独立した立場にある社外取締役及び有識者をメンバーとする独立委員会を設置し、その勧告意見を踏まえた上で、当該大量取得者が前記の基本方針に照らして不適切な者であると判断されるときは、必要かつ相当な対応を講じることにより、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保する所存であります。
④具体的な取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社グループで策定するさまざまな施策は、当社グループの基本理念に基づいて策定されており、当社グループの企業価値の源泉であるお客様及び社会との信頼関係のさらなる構築を目指すものであります。したがって、これらの施策は、基本方針の内容に沿うものであり、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものであると考えております。
また、基本方針に照らして不適切な者であると判断される大量取得者に対して必要かつ相当な対応を講じることについては、当社社内取締役からの独立性が確保されている独立委員会の勧告意見を踏まえて判断することにより、その判断の公正性・中立性・合理性が担保されており、当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なうものではないとともに、当社の会社役員の地位の維持をその目的とするものではないと考えております。
(1) 経営方針
当社グループは持株会社体制の下、大丸、松坂屋、パルコの店舗ネットワークや顧客基盤などの経営資源を最適かつ有効活用するとともに、時代の変化に的確に対応し、顧客満足の最大化と効率経営の徹底を通じ、百貨店事業、パルコ事業をはじめ既存事業各社の競争力と収益力の向上をはかってまいります。
加えて、より成長性のある分野に資源配分を行っていくなど、競争力と収益力に優れた事業群でバランス良く構成されるポートフォリオへの見直しを進め、“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”という新たなグループビジョンの実現に挑戦してまいります。
(2) 経営目標
パルコの完全子会社化を契機とする新たな経営体制“新生JFRグループ”として、新たなJFRグループの将来像に基づく、新中期経営計画を策定してまいります。
策定に向けた推進体制として、百貨店事業、SC不動産事業、金融事業、未来創造事業、ライフソリューション事業など各分野においてワーキング・グループを設置し、グループ総合力を結集して2021年度からの新たな成長戦略、事業計画の策定を進めてまいります。
(3) 対処すべき課題
当社グループのビジョン“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”の実現に向けた「2017~2021年度 中期経営計画」のスタートから3年が経過しました。この3年間において、GINZA SIXや上野フロンティアタワーに続き、2019年度は大丸心斎橋店本館や新生・渋谷パルコの大型再開発を完成させるなど、中期経営計画で掲げる成長戦略を着実に推進してきました。一方、既存事業の成熟化が一層進行するなか、当社グループの最重要課題である「事業ポートフォリオの変革」への取り組み進捗として十分な成果を創出するには至っておりません。
当社グループを取り巻く経営環境は、デジタル技術の進化や消費の多様化、またキャッシュレス化の進展など大きな変化に直面しており、またこうした変化がこれまでにないスピードで進行しています。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大により景気後退リスクが増大するなど一段と先行き不透明な状況にあり、短期・中長期の両面から、企業リスクへの迅速な対応が強く求められていると認識しています。
このような環境変化を踏まえ、当社グループの企業価値のさらなる向上にむけ、2019年度にパルコの完全子会社化を実施しました。これにより、グループの経営資源を最大限活用することで、従来の延長線上ではない非連続な成長を加速させるとともに、抜本的かつ機動的な事業ポートフォリオの変革に向け、グループ一体となり取り組む体制構築が進んだものと考えます。
2020年度は、こうした新たな経営体制“新生JFRグループ”のもと、百貨店とパルコの協業による大型複合商業施設の開業など、グループシナジーの最大化による成長戦略の具現化にスピードを上げて取り組んでまいります。
また、経営環境が想定以上に大きく変化するなか、現在進行中の本中期経営計画(2017~2021年度)の目標達成が困難な状況にあること、そして今後当社グループとして中長期にわたる成長を実現していくには、これまで成し得なかった事業構造の変革に向け成長戦略を再構築し、2021年度より「新たな中期経営計画」をスタートさせることが最善との判断に至りました。
このため、本中期経営計画は2020年度をもって終了し、今年度を「グループビジョンの実現に向け、新たな成長戦略を始動していくための年度」と位置づけ、次年度からの新中期経営計画スタートにグループ一丸となり取り組んでまいります。
2019年度後半に生じた新型コロナウイルス感染症影響については、顧客・従業員の安全衛生確保や健康への配慮を最優先に、刻々と変化する状況に対し迅速かつ適切に対応してまいります。
株主の皆様におかれましては、なにとぞ一層のご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
(4) グループ成長戦略
①マルチサービスリテイラー戦略
高効率かつ成長性が高い事業と位置づけるクレジット金融事業の強化を図るとともに、パルコとの連携を一層深めながら新規事業の開発、事業領域の拡大に取り組んでまいります。
1)クレジット金融事業の強化
・クレジット金融事業において、大丸松坂屋百貨店におけるアクワイアリング(加盟店契約)事業を開始するほか、新ポイントプログラムの導入、既存カードのリニューアルを2020年秋に計画しております。
2)グループビジョン実現に向けた新規事業領域の拡大
・「暮らし方の多様化」「楽しみ方の多様化」に対応した新たなサービスの具現化、また消費の価値観の多様化に対応する事業の開発など、サービス分野における事業領域の拡大、他社とのアライアンスを進めてまいります。
②アーバンドミナント戦略
百貨店・パルコの基幹店舗を中心に、グループリソースを最大限活用し、「店舗を核に地域とともに成長するビジネスモデル」の構築に引き続き取り組んでまいります。
1)心斎橋パルコ(仮称)の開業
・2020年秋に開業予定の心斎橋パルコ(仮称)において百貨店・パルコの顧客データを活用したサービス提供やプロモーションの実施など、大丸心斎橋店本館との一体構造を活かした、新たな大型複合商業施設の具現化に取り組んでまいります。
2)基幹店舗を中心とした街づくりの推進
・名古屋・栄地区に位置する「日本生命栄町ビル(仮称)」の商業施設出店(2020年秋予定)、また錦三丁目25番街区における開発を目指してまいります。これらにより、松坂屋名古屋店、名古屋パルコとともに、名古屋栄エリアの魅力化に取り組んでまいります。
・街の魅力度向上、エリア間の競争力強化に向け、重点エリアを中心とした周辺店舗開発に加え、地域・行政等との連携によるイベント実施など、街の賑わい創出に取り組んでまいります。
③IoT時代におけるICT戦略
お客様との生涯にわたる関係を強固なものとし、お客様のライフタイム・バリューの最大化を目指す「ライフタイム・サービスHUB構想」の具現化を進めてまいります。また、成長戦略の具現化や情報セキュリティへの対応強化など、ICT戦略の機能・体制強化に取り組んでまいります。
1)データ活用の高度化
・百貨店・パルコの相互利用顧客を把握・分析し、類似するID顧客へのアプローチを強化するなど、百貨店・パルコ間における顧客データの相互活用による実践拡大に取り組んでまいります。
2)グループ各社における機能・体制強化
・デジタル技術を活用した事業戦略の立案・実行支援、グループ各社の情報セキュリティ強化に対応した情報システムの適切な開発・運用など、攻めと守りの両面からICT戦略を着実に推進する機能・体制強化に取り組んでまいります。
④既存事業の革新
<百貨店事業>新たな百貨店ビジネスモデルの拡大展開、新顧客戦略の推進による顧客基盤の拡大とCRMの強化、お得意様ビジネスモデルの強化を通じ、競争力・収益力の強化に取り組んでまいります。
1)新たな百貨店ビジネスモデルの具現化
・大丸心斎橋店本館の成功要因を踏まえ、リアル店舗価値の向上に向け新たな店舗モデルの構築、他店舗への展開に取り組んでまいります。
2)新顧客戦略の推進による顧客基盤の強化
・モバイルアプリ会員開拓など顧客基盤の拡大を図るとともに、顧客データを活用したパーソナルな商品・サービスの提案に取り組んでまいります。
・外商ビジネスにおけるデジタル技術を活用した新たな商品・サービスの提供や、顧客のニーズ・購買特性に応じた最適な営業活動の推進により、顧客基盤の強化に取り組んでまいります。
<パルコ事業>グループシナジーの最大化に向け、事業専心型の会社体制を構築し、新たな不動産事業戦略の早期策定・実行に取り組むほか、パルコ店舗事業の改革により企業価値のさらなる向上に取り組んでまいります。
1)事業会社としての新たな体制構築
・完全子会社化を契機にグループシナジーを最大化すべく、本社機能の統合や組織の再編など資産・組織効率の向上を図るとともに、事業の強化・拡大に専心する体制構築にスピードをもって取り組んでまいります。
2)不動産事業戦略の拡大に向けた戦略の策定
・大丸松坂屋百貨店からの事業移管スキームの確定や人財交流に取り組み、新たな不動産戦略策定と実行に取り組んでまいります。
・当社グループの不動産に係る資源を集約・活用し、国内主要都市部における開発案件を拡大し、多様な開発手法を活用してまいります。
3)パルコ店舗事業の改革
・顧客サービスやプロモーションなど百貨店との高度な連携を実現し、2020年秋に開業予定の心斎橋パルコ(仮称)の成功に向け着実に取り組んでまいります。
・渋谷パルコの開業で得られた知見やネットワークを活かし、パルコ既存店においてストアブランドの再構築を目指した改革を推進してまいります。
⑤ESGへの取り組み
5つのマテリアリティ(重要課題)の目標達成への取り組みを着実に推進してまいります。また、コーポレートガバナンス機能強化への継続的な取り組みを通じ、グループの持続的成長及び中長期的な企業価値向上を目指してまいります。
1)グループ一体となった取り組み推進と情報開示の強化
・本業を通じて社会的課題やニーズを解決するCSV(Creating Shared Value)の考え方に基づき、グループ各社において自社の事業特性、行動計画に基づく課題解決に取り組んでまいります。またCSVのモデル店舗である大丸心斎橋店の取り組みを、順次他の店舗に展開してまいります。
・JFRサステナビリティ委員会を定期開催し、グループ全社の進捗管理・課題共有などPDCAサイクルによるグループ横断の取り組みを推進してまいります。
・ESG活動を社内外に適切に発信していくため、サステナビリティレポートの定期発刊、主要開示ガイドラインを活用した外部評価機関への情報開示の強化に取り組んでまいります。
2)グループガバナンスのさらなる強化
・完全子会社化に伴うパルコの機関設計変更、グループとしての内部統制の精度向上やリスクマネジメントへの対応など、グループガバナンスのさらなる強化に取り組んでまいります。
成長戦略を支える経営基盤の強化
<グループ人財政策>・パルコの完全子会社化を契機に、事業会社の枠を超えた人財交流を一層推進してまいります。
・人財開発企業を目指し、新たな価値を生み出す“人財力”を基軸とする人事制度の本格運用により、多様な人財採用や専門人財の育成を促進するとともに、ワーク・ライフ・バランスの実現、働き方改革などに継続して取り組んでまいります。
<グループ財務政策>・株主資本コストを継続して上回る資本効率の高い経営体質の構築に向け、今後の事業ポートフォリオ変革を見据えた最適資本構成について検討を進めるとともに、戦略投資の実施や株主還元の充実、財務体質の改善のバランスを踏まえた資本政策を推進します。
<コンプライアンスマネジメントの強化>・教育や研修を通じたコンプライアンスへの意識向上、コンプライアンス遵守に関するチェック体制の強化に加え、不正事案の再発防止策の策定・徹底などグループコンプライアンス経営のさらなる強化に取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症影響への対応
感染症影響の先行きが依然不透明であり、また状況も刻々と変化するなか、顧客・従業員の安全衛生の確保や健康への配慮を最優先に、事業継続計画に基づく態勢整備などに迅速かつ適切に対応してまいります。
同時に、社会・経済活動の停滞による当社グループの各事業への影響を注視するとともに、個人消費の低迷など景気後退リスクが一段と高まるなか、年度事業計画の見直しなどに機動的に対応してまいります。
また今後において、顧客の安全衛生や健康への意識の高まり、暮らしや働き方、消費行動の変化も予測されます。これらの変化を見据え、新たな商品やサービス、顧客とのコミュニケーション手法の検討など各事業において取り組みを進めてまいります。
(5) 株式会社の支配に関する基本方針
①基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務及び事業の内容や当社グループの企業価値の源泉を十分に理解し、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、これを向上していくことを可能とする者であることが必要であるものと考えております。
当社は、当社が上場会社であることから、当社の株主のあり方については、一般的には金融商品取引所における自由な市場取引を通じて決まるものであり、特定の株主または特定の株主グループによって当社株式の一定規模以上の取得行為(以下「大量取得行為」といいます。)が行われる場合であっても、当該大量取得行為が当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、一概にこれを否定するものではなく、これに応じるか否かについては、最終的には株主の皆さまのご判断に委ねられるべきものと考えております。
しかしながら、大量取得行為の中には、その目的等からして当社グループの企業価値に対する明白な侵害をもたらすもの、株主の皆さまに当社株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、当社取締役会や株主の皆さまが大量取得者の提案内容等について検討し、または当社取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないものなど、当社グループの企業価値を毀損する重大なおそれをもたらすものも想定されます。
このような当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大量取得行為を行う者(以下「大量取得者」といいます。)は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては不適切であり、当社は、このような大量取得行為に対しては、大量取得者による情報提供並びに当社取締役会による検討及び評価といったプロセスを確保するとともに、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の毀損を防止するため、当社取締役会及び株主の皆さまが大量取得者の提案内容を検討するための十分な時間を確保することこそが、株主の皆さまから当社経営の負託を受けた当社取締役会の責務であると考えております。
②基本方針の実現に資する取り組み
当社グループは、大丸・松坂屋の創業以来、その企業理念、伝統精神である「先義後利(義を先にして利を後にする者は栄える)」、「諸悪莫作 衆善奉行(諸悪をなすなかれ、多くの善行を行え)」、「人の利するところにおいて、われも利する」に基づき、永年にわたって呉服商、百貨店業を営んでまいりました。
当社は、当社グループの企業価値の源泉は、これらの理念、精神に基づくことにより築き上げられてきた、お客様及び社会との信頼関係にあるものと考えております。
そこで、当社は、これらの理念、精神に共通する「お客様第一主義」、「社会への貢献」を体現するため、当社グループの基本理念として「時代の変化に即応した高質な商品・サービスを提供し、お客様の期待を超えるご満足の実現を目指す」、「公正で信頼される企業として、広く社会への貢献を通じてグループの発展を目指す」ことを掲げ、この基本理念に基づき、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保及び向上に資するため、当社グループのビジョンとして“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”を掲げ、さまざまな施策に取り組んでおります。
③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、現在のところ、大量取得者が出現した場合の具体的な取り組み、いわゆる買収防衛策について特にこれを定めてはおりません。
しかしながら、大量取得者が出現した場合には、当社グループの企業価値の毀損を防止するため、大量取得者の属性、大量取得行為の目的、大量取得者が提案する財務及び事業の方針、株主の皆さま及び当社グループのお客様・お取引先様・従業員・当社グループを取り巻く地域社会その他のステークホルダーに対する対応方針など、大量取得者に関するこれらの情報を把握した上で、当該大量取得行為が当社グループの企業価値に及ぼす影響を慎重に検討する必要があるものと考えます。
したがって、このような場合には、当社は、当社社内取締役から独立した立場にある社外取締役及び有識者をメンバーとする独立委員会を設置し、その勧告意見を踏まえた上で、当該大量取得者が前記の基本方針に照らして不適切な者であると判断されるときは、必要かつ相当な対応を講じることにより、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保する所存であります。
④具体的な取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社グループで策定するさまざまな施策は、当社グループの基本理念に基づいて策定されており、当社グループの企業価値の源泉であるお客様及び社会との信頼関係のさらなる構築を目指すものであります。したがって、これらの施策は、基本方針の内容に沿うものであり、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものであると考えております。
また、基本方針に照らして不適切な者であると判断される大量取得者に対して必要かつ相当な対応を講じることについては、当社社内取締役からの独立性が確保されている独立委員会の勧告意見を踏まえて判断することにより、その判断の公正性・中立性・合理性が担保されており、当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なうものではないとともに、当社の会社役員の地位の維持をその目的とするものではないと考えております。