有価証券報告書-第14期(令和2年3月1日-令和3年2月28日)
有報資料
記載された事項で、将来に関するものは、有価証券報告書提出日現在(2021年5月28日)、入手可能な情報に基づく当社の経営判断や予測によるものです。
(1) 経営方針
当社グループは持株会社体制の下、大丸、松坂屋、パルコの店舗ネットワークや顧客基盤などの経営資源を最適かつ有効活用するとともに、時代の変化に的確に対応し、顧客満足の最大化と効率経営の徹底を通じ、百貨店事業、パルコ事業をはじめ既存事業各社の競争力と収益力の向上をはかってまいります。
加えて、より成長性のある分野に資源配分を行っていくなど、競争力と収益力に優れた事業群でバランス良く構成されるポートフォリオへの見直しを進め、“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”というグループビジョンの実現に挑戦してまいります。
(2) 経営目標
2021年4月13日に、当社グループは「2021~2023年度 中期経営計画」を策定いたしました。
2021年度より報告セグメントを「百貨店事業」「SC(ショッピングセンター)事業」「デベロッパー事業」「決済・金融事業」の4つとします。
1.経営数値目標
本中期経営計画より、資本収益性を管理する指標として新たにROIC(投下資本利益率)を採用いたします。
2023年度に連結営業利益403億円、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)7%、ROIC5%、また、サステナビリティの目標として、温室効果ガス排出量40%削減、女性管理職比率26%達成を目指してまいります。
※2017年度比 Scope1(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出),Scope2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)、2020年度実績は算定中
2.財務政策
3年間で1,900億円以上の営業キャッシュ・フロー(使用権資産に係る減価償却費を含む)を創出し、うち900億円を成長投資と設備投資に充当いたします。投資は2023年度までに利益貢献する案件及び「デベロッパー戦略」に優先的に充当いたします。
有利子負債残高(除くリース負債)は2023年度末に2,600億円に圧縮いたします。
連結配当性向30%以上を目途に株主還元を実施し、自己株式取得も適宜検討してまいります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
1.中期経営計画の策定について
当社グループは、2017年度からの前中期経営計画を事業ポートフォリオ変革に向けた構造変革期と位置づけ、グループビジョン“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”のもと、事業領域の拡大や既存事業におけるビジネスモデルの転換、ESG経営などを着実に推進してまいりました。また、パルコの完全子会社化及び不動産事業の集約により、抜本的かつ機動的なポートフォリオ変革にグループ一体で取り組む体制を構築いたしました。
一方、新型コロナウイルス感染症の拡大は国内外の社会・経済活動に甚大な影響を及ぼし、当社グループにおいては2020年度に大幅な最終損失を計上するなど厳しい状況に直面しています。
経営を取り巻く環境は、少子高齢化や人口減少の進行、テクノロジーの進展などとともに、コロナ禍により変化した生活者の意識や行動が「ニューノーマル(新常態)」となり、コロナ禍前には戻らないと認識しております。
将来の不確実性が高い時こそ、当社グループが大切にする価値観や、社会や時代の変化に対する存在意義を問い直す機会と考えております。
本中期経営計画を策定するにあたり、早期の収益回復と財務体質の改善を果たすとともに、2030年にどのような企業グループでありたいか、目指す企業像とその実現に向けた戦略の方向性を描くことで、3年間に集中して取り組むべき具体的な戦略・施策を定めました。
2.基本方針 サステナビリティ経営の推進
新型コロナウイルス感染症の拡大は人々の暮らしや働き方を見つめ直し、健康や安全安心、人と人とのつながりの大切さを再認識する機会につながっています。
また、企業には経済的価値に加え、環境や社会、人権など多くの課題に向き合い、事業を通じて解決を図る役割・責任がより強く求められています。
当社グループは、グループビジョンの実現に向け、サステナビリティを経営の中核に据え企業活動全般で体現していくため、「お客様の健康・安全・安心なくらしの実現」と「サーキュラー・エコノミーの推進」を新たに加えた7つのマテリアリティ(重要課題)を設定しました。これらに基づく事業活動を推進することにより、すべてのステークホルダーの「Well-Being Life」を実現してまいります。
3.2030年を見据えた経営の方向性
(1) 目指す企業像
「こころ豊かなライフスタイルをプロデュースし、地域と共生する個性的な街づくりを行う企業グループ」
2030年を見据えた経営の方向性を定めるにあたり、当社グループがこれまで大切にしてきた「人の思いと個性の尊重」「地域社会との共生」「伝統文化の継承と先端カルチャーの発信」といった価値観はより重要になると考えております。当社グループは、これまで百貨店事業やショッピングセンター事業(パルコ事業)など商業分野を中心に事業を展開してまいりました。今後は、不動産事業など商業以外にも事業ポートフォリオを拡大し、生活者に対し文化的でこころ豊かなライフスタイルを、当社グループの特徴である地域と共生する個性的な街づくりを通して提供してまいります。
(2) 戦略の方向性
2030年を見据えた経営環境のうち、当社グループへの影響が大きい外部環境変化は、①国内人口が減少するなか「都市部商圏の底堅さ」、②「人」を介した情報と信頼性が見直される「リアルとデジタルの融合」、③「所得や消費の二極化の進行」の3つと捉えています。
また、当社グループが有する強みは、①東京、名古屋、大阪など国内主要都市の店舗不動産資産、②店づくりや店舗周辺の街づくりで培った商業プロデュース能力、③優良なコンテンツを持つお取引先様や専門店、独創的なクリエイターなどのパートナー、④アクティブなライフスタイルを楽しむ優良な顧客基盤の4つと認識しております。
1) 3つの重点戦略 -デベロッパー戦略へのシフト-
これら長期的な環境変化を事業構造の変革及び新たなビジネスを創出する機会と捉え、当社グループが有する4つの強みを再構成し、グループ横断で最大活用する3つの重点戦略「デベロッパー戦略」「リアル×デジタル戦略」「プライムライフ戦略」を定めました。なかでも「デベロッパー戦略」は、グループ再成長に向けた成長ドライバーと位置づけ、最重要戦略として経営資源を重点的に配分してまいります。
①デベロッパー戦略
・グループ保有不動産資産の価値最大化を図ります。複合再開発等では百貨店とパルコの規模適正化や容積率緩和を活用します。非商業用途のシェアを高め、収益性の向上を図ります。
・重点エリアにおける大型複合開発では、街の個性を尊重した魅力的な街づくりを通じて、街の賑わい創出に貢献し、生活者のマインドシェアの向上を目指します。
・新規不動産の取得と開発、私募ファンドなどの組成やアセットマネジメントなどにより、収益の複線化を図ります。また、開発エリアを準都心に拡大します。
②リアル×デジタル戦略
・店舗を起点としたデジタル活用により、時間や空間を超え新たな体験価値を提供する商業モデルへ変革します。
・顧客データの分析やデジタルツールの活用を高度化し、「人」を起点に、お客様との関係性を深めます。
・販売収益に加え、賃貸収益やデジタル活用を通じた手数料収益など、収益の複線化を図ります。
③プライムライフ戦略
・文化や芸術に価値を置き、こころ豊かでサステナブルなライフスタイルを楽しむ生活者への提案をさらに強化します。
・当社グループのエンタテインメントやアートを活用するほか、希少な体験等、新規の商品やサービスを外部提携により開発するなど、コンテンツの充実を図ります。
・このようなライフスタイルに共感する国内ニューリッチやアジアの海外富裕層など百貨店外商の枠を超えた顧客獲得を、他社提携を含め推進します。
・新たな決済手段の提供によるロイヤルカスタマーの拡大、また顧客のライフプランニングを通じた付加価値の高い金融サービスを展開します。
2) 3つの重点戦略を集約したエリア戦略
百貨店とパルコが隣接する大阪・心斎橋地区と名古屋・栄地区において、3つの重点戦略の集約により、地域と共生する個性的な街づくりを推進してまいります。
エリアの顧客政策は、百貨店やパルコ、新たな商業施設や非商業施設など複数の事業を横断した統合顧客データベースを活用し、JFRカードの顧客サービスとの連携により推進してまいります。
3) アライアンス、M&A、ウイング拡大
重点戦略の規模拡大やスピード加速に資する他社との提携、事業買収などにより、長期的かつ重要度の高いグループ戦略を具体化してまいります。
(3) 戦略コミッティによるグループシナジーの追求
3つの重点戦略それぞれに、グループ横断メンバーで構成するコミッティを設置し、グループ最適の視点から計画立案と推進を主導いたします。
(4) 長期的な利益成長、事業ポートフォリオの考え方
2024年度以降、年率換算10%超の利益成長により、2030年度連結営業利益800億円及びROE10%の達成を目指してまいります。2030年の事業ポートフォリオにおける、デベロッパー事業と決済・金融事業等の連結営業利益に占めるシェアを2019年度の2割から4割に高めてまいります。
4.2021-2023年度 中期経営計画
(1) 中期経営計画の位置づけ -完全復活と再成長への着手-
本中期経営計画を通じ、最終年度2023年度に財務数値を2019年度水準に回復し、コロナ禍からの「完全復活」を果たすとともに、2024年度以降の「再成長」への道筋をつける期間と位置づけます。
早期の収益回復を図るため、重点戦略「リアル×デジタル戦略」では基幹店の改装及びデジタル投資、「プライムライフ戦略」では百貨店外商を基盤とする顧客基盤強化に集中し取り組んでまいります。また、完全復活への最重要施策「経営構造改革」を着実に推進してまいります。
「デベロッパー戦略」は、中長期的な成長ドライバーとして、本計画期間中から先行して投資配分を増やしてまいります。
(2) 中期経営計画の骨子
・重点戦略
1) リアル×デジタル戦略
<百貨店事業>①店舗、コンテンツの魅力化
・基幹店を中心にラグジュアリーのさらなる強化、コスメや時計など業界内シェアの高いアイテム群の深耕など、百貨店が強みをもつカテゴリーの拡充に集中的に取り組み、各地域での競争優位性を確立します。
・リアル店舗、外商、ECなど多様な顧客接点を活かした新規コンテンツや売場開発、またリアル店舗ならではの快適な売場・店舗環境の向上、上質なサービスメニューの開発など、店舗の魅力化による顧客体験の価値向上に取り組みます。
②オンライン活用ビジネスの拡大
・店舗の魅力化とともに、コスメやアートなどリアル店舗を起点とした独自のOMO売場(リアル店舗とオンラインの融合)の開発に取り組みます。併せて、フーズやギフトなど商品の拡充、ブランド開発など百貨店WEBの再構築に取り組みます。
③CSV(共有価値の創造)視点の事業活動
・脱炭素社会の実現に向けたお取引先様政策、オンライン活用によるサブスクリプション事業への参入、地域産品の発掘、販路拡大など、社会価値向上につながる事業活動を開発します。
①パルコ店舗ブランド価値の再構築
・渋谷PARCO・心斎橋PARCOの店づくりの要素と、各出店エリアのローカルカルチャーとを組み合わせ、各店舗が提供する独自のブランド価値を再構築します。
②デジタルSCプラットフォームの追求
・お取引先様との協働によるデジタルSCプラットフォームにより、店舗の発信力を起点としたリアルとオンラインの相互送客など、パルコ独自のOMO売場の構築を進めます。
③提携型売場・新規コンテンツの開発
・「健康」「美」「食」「学び」などの体験価値を、リアル×デジタルで提供する売場やゾーン、コンテンツの開発に取り組みます。
④CSV視点のコンテンツ事業の開発
・アートや演劇、音楽のオンライン企画の充実、街との連携による文化イベントの開催、またウェルネスやシェアオフィスなど新たな価値観やライフスタイルに対応した事業の開発に取り組みます。
2) プライムライフ戦略
①ソリューションサービスの開発
・百貨店外商を基盤に、主力カテゴリーの深耕に加え、新たなカテゴリーやサービスの開発など、従来の枠を超えたコンテンツや体験価値の提供に取り組みます。
②顧客とのコミュニケーション進化
・百貨店外商活動におけるデジタル化やリモート販売の充実などオンラインコミュニケーションの強化に取り組みます。
・顧客データベースの本格活用による顧客との関係強化、訪日外国人の固定客化など、CRM(顧客関係構築)活動の高度化に取り組みます。
③決済・金融事業の商品拡充
・百貨店事業と協働し顧客基盤の強化に取り組むとともに、顧客のライフステージに応じた保険や金融サービスなど新たな商品を開発します。
3) デベロッパー戦略
①商業に限定しない多様な用途の取り組み
・商業に加え、レジデンスやオフィス、ホテル、またこれらの複合開発を他社との協業により推進します。
②CRE(企業保有不動産)戦略の推進
・資産売却、入れ替えなどを通じた収益性向上に取り組みます。
③循環型投資スキームの着手
・私募ファンドを組成し循環型投資スキームを開始します。またアセットマネジメント事業に参入し、収益の複線化を図ります。
④準都心エリアへの進出
・「職住商」近接ニーズの増加を見据え、準都心エリアでの複合施設開発に取り組みます。
⑤重点エリア開発の推進
・2030年を見据え、大阪・心斎橋地区や名古屋・栄地区などグループ重点エリアにおける大型複合開発などに取り組みます。
・経営構造改革
1) 構造改革による固定費削減
2023年度に2019年度対比で固定費を100億円削減し、損益分岐点を引き下げます。
①組織・要員構造改革
・各事業におけるビジネスモデル改革、店舗運営手法や業務委託領域の見直しなど組織・要員構造改革を推進します。
②経費構造改革
・働き方改革によるオフィスの効率化や広告宣伝のデジタル活用、資材備品等のグループ共同購買など経費削減を進めます。
2) 経営効率、資産効率の向上
各事業の将来性や成長性にもとづく事業基盤の絞込みによる経営効率の向上、非事業用資産の見極めによる資産効率の向上を図ります。
・経営基盤強化
1) グループ財務戦略
コロナ禍による事業への影響を見極めながら、資金の流動性確保などに機動的に対応してまいります。また、ESG投資に向けた新たな資金調達、グループ税務方針にもとづくガバナンスの強化や税務コストの最適化を推進してまいります。
2) グループ人財戦略
重点戦略を支える従業員の能力開発や専門人財の採用強化など人財マネジメントを推進いたします。また、女性活躍や働き方改革、障がい者雇用の推進、LGBTへの取り組みなど従業員の個性や能力の最大発揮による人財開発企業の実現に取り組んでまいります。
3) グループIT戦略
経営管理の高度化に向けた基幹システムの再構築、業務プロセスの見直しなどによる生産性向上に取り組んでまいります。またIT投資の適正化や情報セキュリティ強化などITガバナンスを推進してまいります。
4) コーポレートガバナンスの高度化
経営の意思決定、執行の迅速化を図るため、執行役への業務執行権限のさらなる委譲と責任の明確化とともに、取締役会における監督機能の強化などガバナンスの高度化に取り組んでまいります。
(1) 経営方針
当社グループは持株会社体制の下、大丸、松坂屋、パルコの店舗ネットワークや顧客基盤などの経営資源を最適かつ有効活用するとともに、時代の変化に的確に対応し、顧客満足の最大化と効率経営の徹底を通じ、百貨店事業、パルコ事業をはじめ既存事業各社の競争力と収益力の向上をはかってまいります。
加えて、より成長性のある分野に資源配分を行っていくなど、競争力と収益力に優れた事業群でバランス良く構成されるポートフォリオへの見直しを進め、“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”というグループビジョンの実現に挑戦してまいります。
(2) 経営目標
2021年4月13日に、当社グループは「2021~2023年度 中期経営計画」を策定いたしました。
2021年度より報告セグメントを「百貨店事業」「SC(ショッピングセンター)事業」「デベロッパー事業」「決済・金融事業」の4つとします。
1.経営数値目標
本中期経営計画より、資本収益性を管理する指標として新たにROIC(投下資本利益率)を採用いたします。
2023年度に連結営業利益403億円、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)7%、ROIC5%、また、サステナビリティの目標として、温室効果ガス排出量40%削減、女性管理職比率26%達成を目指してまいります。
| 2019年度実績 | 2020年度実績 | 2023年度目標 | |
| 連結営業利益(IFRS) | 40,286百万円 | △24,265百万円 | 40,300百万円 |
| 連結ROE | 5.4% | △7.1% | 7.0% |
| 連結ROIC | - | - | 5.0% |
| 温室効果ガス排出量※ | △16.3% | (算定中) | △40% |
| 女性管理職比率 | 16.6% | 19.9% | 26% |
※2017年度比 Scope1(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出),Scope2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)、2020年度実績は算定中
2.財務政策
3年間で1,900億円以上の営業キャッシュ・フロー(使用権資産に係る減価償却費を含む)を創出し、うち900億円を成長投資と設備投資に充当いたします。投資は2023年度までに利益貢献する案件及び「デベロッパー戦略」に優先的に充当いたします。
有利子負債残高(除くリース負債)は2023年度末に2,600億円に圧縮いたします。
連結配当性向30%以上を目途に株主還元を実施し、自己株式取得も適宜検討してまいります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
1.中期経営計画の策定について
当社グループは、2017年度からの前中期経営計画を事業ポートフォリオ変革に向けた構造変革期と位置づけ、グループビジョン“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”のもと、事業領域の拡大や既存事業におけるビジネスモデルの転換、ESG経営などを着実に推進してまいりました。また、パルコの完全子会社化及び不動産事業の集約により、抜本的かつ機動的なポートフォリオ変革にグループ一体で取り組む体制を構築いたしました。
一方、新型コロナウイルス感染症の拡大は国内外の社会・経済活動に甚大な影響を及ぼし、当社グループにおいては2020年度に大幅な最終損失を計上するなど厳しい状況に直面しています。
経営を取り巻く環境は、少子高齢化や人口減少の進行、テクノロジーの進展などとともに、コロナ禍により変化した生活者の意識や行動が「ニューノーマル(新常態)」となり、コロナ禍前には戻らないと認識しております。
将来の不確実性が高い時こそ、当社グループが大切にする価値観や、社会や時代の変化に対する存在意義を問い直す機会と考えております。
本中期経営計画を策定するにあたり、早期の収益回復と財務体質の改善を果たすとともに、2030年にどのような企業グループでありたいか、目指す企業像とその実現に向けた戦略の方向性を描くことで、3年間に集中して取り組むべき具体的な戦略・施策を定めました。
2.基本方針 サステナビリティ経営の推進
新型コロナウイルス感染症の拡大は人々の暮らしや働き方を見つめ直し、健康や安全安心、人と人とのつながりの大切さを再認識する機会につながっています。
また、企業には経済的価値に加え、環境や社会、人権など多くの課題に向き合い、事業を通じて解決を図る役割・責任がより強く求められています。
当社グループは、グループビジョンの実現に向け、サステナビリティを経営の中核に据え企業活動全般で体現していくため、「お客様の健康・安全・安心なくらしの実現」と「サーキュラー・エコノミーの推進」を新たに加えた7つのマテリアリティ(重要課題)を設定しました。これらに基づく事業活動を推進することにより、すべてのステークホルダーの「Well-Being Life」を実現してまいります。
3.2030年を見据えた経営の方向性
(1) 目指す企業像
「こころ豊かなライフスタイルをプロデュースし、地域と共生する個性的な街づくりを行う企業グループ」
2030年を見据えた経営の方向性を定めるにあたり、当社グループがこれまで大切にしてきた「人の思いと個性の尊重」「地域社会との共生」「伝統文化の継承と先端カルチャーの発信」といった価値観はより重要になると考えております。当社グループは、これまで百貨店事業やショッピングセンター事業(パルコ事業)など商業分野を中心に事業を展開してまいりました。今後は、不動産事業など商業以外にも事業ポートフォリオを拡大し、生活者に対し文化的でこころ豊かなライフスタイルを、当社グループの特徴である地域と共生する個性的な街づくりを通して提供してまいります。
(2) 戦略の方向性
2030年を見据えた経営環境のうち、当社グループへの影響が大きい外部環境変化は、①国内人口が減少するなか「都市部商圏の底堅さ」、②「人」を介した情報と信頼性が見直される「リアルとデジタルの融合」、③「所得や消費の二極化の進行」の3つと捉えています。
また、当社グループが有する強みは、①東京、名古屋、大阪など国内主要都市の店舗不動産資産、②店づくりや店舗周辺の街づくりで培った商業プロデュース能力、③優良なコンテンツを持つお取引先様や専門店、独創的なクリエイターなどのパートナー、④アクティブなライフスタイルを楽しむ優良な顧客基盤の4つと認識しております。
1) 3つの重点戦略 -デベロッパー戦略へのシフト-
これら長期的な環境変化を事業構造の変革及び新たなビジネスを創出する機会と捉え、当社グループが有する4つの強みを再構成し、グループ横断で最大活用する3つの重点戦略「デベロッパー戦略」「リアル×デジタル戦略」「プライムライフ戦略」を定めました。なかでも「デベロッパー戦略」は、グループ再成長に向けた成長ドライバーと位置づけ、最重要戦略として経営資源を重点的に配分してまいります。
①デベロッパー戦略
・グループ保有不動産資産の価値最大化を図ります。複合再開発等では百貨店とパルコの規模適正化や容積率緩和を活用します。非商業用途のシェアを高め、収益性の向上を図ります。
・重点エリアにおける大型複合開発では、街の個性を尊重した魅力的な街づくりを通じて、街の賑わい創出に貢献し、生活者のマインドシェアの向上を目指します。
・新規不動産の取得と開発、私募ファンドなどの組成やアセットマネジメントなどにより、収益の複線化を図ります。また、開発エリアを準都心に拡大します。
②リアル×デジタル戦略
・店舗を起点としたデジタル活用により、時間や空間を超え新たな体験価値を提供する商業モデルへ変革します。
・顧客データの分析やデジタルツールの活用を高度化し、「人」を起点に、お客様との関係性を深めます。
・販売収益に加え、賃貸収益やデジタル活用を通じた手数料収益など、収益の複線化を図ります。
③プライムライフ戦略
・文化や芸術に価値を置き、こころ豊かでサステナブルなライフスタイルを楽しむ生活者への提案をさらに強化します。
・当社グループのエンタテインメントやアートを活用するほか、希少な体験等、新規の商品やサービスを外部提携により開発するなど、コンテンツの充実を図ります。
・このようなライフスタイルに共感する国内ニューリッチやアジアの海外富裕層など百貨店外商の枠を超えた顧客獲得を、他社提携を含め推進します。
・新たな決済手段の提供によるロイヤルカスタマーの拡大、また顧客のライフプランニングを通じた付加価値の高い金融サービスを展開します。
2) 3つの重点戦略を集約したエリア戦略
百貨店とパルコが隣接する大阪・心斎橋地区と名古屋・栄地区において、3つの重点戦略の集約により、地域と共生する個性的な街づくりを推進してまいります。
エリアの顧客政策は、百貨店やパルコ、新たな商業施設や非商業施設など複数の事業を横断した統合顧客データベースを活用し、JFRカードの顧客サービスとの連携により推進してまいります。
3) アライアンス、M&A、ウイング拡大
重点戦略の規模拡大やスピード加速に資する他社との提携、事業買収などにより、長期的かつ重要度の高いグループ戦略を具体化してまいります。
(3) 戦略コミッティによるグループシナジーの追求
3つの重点戦略それぞれに、グループ横断メンバーで構成するコミッティを設置し、グループ最適の視点から計画立案と推進を主導いたします。
(4) 長期的な利益成長、事業ポートフォリオの考え方
2024年度以降、年率換算10%超の利益成長により、2030年度連結営業利益800億円及びROE10%の達成を目指してまいります。2030年の事業ポートフォリオにおける、デベロッパー事業と決済・金融事業等の連結営業利益に占めるシェアを2019年度の2割から4割に高めてまいります。
4.2021-2023年度 中期経営計画
(1) 中期経営計画の位置づけ -完全復活と再成長への着手-
本中期経営計画を通じ、最終年度2023年度に財務数値を2019年度水準に回復し、コロナ禍からの「完全復活」を果たすとともに、2024年度以降の「再成長」への道筋をつける期間と位置づけます。
早期の収益回復を図るため、重点戦略「リアル×デジタル戦略」では基幹店の改装及びデジタル投資、「プライムライフ戦略」では百貨店外商を基盤とする顧客基盤強化に集中し取り組んでまいります。また、完全復活への最重要施策「経営構造改革」を着実に推進してまいります。
「デベロッパー戦略」は、中長期的な成長ドライバーとして、本計画期間中から先行して投資配分を増やしてまいります。
(2) 中期経営計画の骨子
・重点戦略
1) リアル×デジタル戦略
<百貨店事業>①店舗、コンテンツの魅力化
・基幹店を中心にラグジュアリーのさらなる強化、コスメや時計など業界内シェアの高いアイテム群の深耕など、百貨店が強みをもつカテゴリーの拡充に集中的に取り組み、各地域での競争優位性を確立します。
・リアル店舗、外商、ECなど多様な顧客接点を活かした新規コンテンツや売場開発、またリアル店舗ならではの快適な売場・店舗環境の向上、上質なサービスメニューの開発など、店舗の魅力化による顧客体験の価値向上に取り組みます。
②オンライン活用ビジネスの拡大
・店舗の魅力化とともに、コスメやアートなどリアル店舗を起点とした独自のOMO売場(リアル店舗とオンラインの融合)の開発に取り組みます。併せて、フーズやギフトなど商品の拡充、ブランド開発など百貨店WEBの再構築に取り組みます。
③CSV(共有価値の創造)視点の事業活動
・脱炭素社会の実現に向けたお取引先様政策、オンライン活用によるサブスクリプション事業への参入、地域産品の発掘、販路拡大など、社会価値向上につながる事業活動を開発します。
・渋谷PARCO・心斎橋PARCOの店づくりの要素と、各出店エリアのローカルカルチャーとを組み合わせ、各店舗が提供する独自のブランド価値を再構築します。
②デジタルSCプラットフォームの追求
・お取引先様との協働によるデジタルSCプラットフォームにより、店舗の発信力を起点としたリアルとオンラインの相互送客など、パルコ独自のOMO売場の構築を進めます。
③提携型売場・新規コンテンツの開発
・「健康」「美」「食」「学び」などの体験価値を、リアル×デジタルで提供する売場やゾーン、コンテンツの開発に取り組みます。
④CSV視点のコンテンツ事業の開発
・アートや演劇、音楽のオンライン企画の充実、街との連携による文化イベントの開催、またウェルネスやシェアオフィスなど新たな価値観やライフスタイルに対応した事業の開発に取り組みます。
2) プライムライフ戦略
①ソリューションサービスの開発
・百貨店外商を基盤に、主力カテゴリーの深耕に加え、新たなカテゴリーやサービスの開発など、従来の枠を超えたコンテンツや体験価値の提供に取り組みます。
②顧客とのコミュニケーション進化
・百貨店外商活動におけるデジタル化やリモート販売の充実などオンラインコミュニケーションの強化に取り組みます。
・顧客データベースの本格活用による顧客との関係強化、訪日外国人の固定客化など、CRM(顧客関係構築)活動の高度化に取り組みます。
③決済・金融事業の商品拡充
・百貨店事業と協働し顧客基盤の強化に取り組むとともに、顧客のライフステージに応じた保険や金融サービスなど新たな商品を開発します。
3) デベロッパー戦略
①商業に限定しない多様な用途の取り組み
・商業に加え、レジデンスやオフィス、ホテル、またこれらの複合開発を他社との協業により推進します。
②CRE(企業保有不動産)戦略の推進
・資産売却、入れ替えなどを通じた収益性向上に取り組みます。
③循環型投資スキームの着手
・私募ファンドを組成し循環型投資スキームを開始します。またアセットマネジメント事業に参入し、収益の複線化を図ります。
④準都心エリアへの進出
・「職住商」近接ニーズの増加を見据え、準都心エリアでの複合施設開発に取り組みます。
⑤重点エリア開発の推進
・2030年を見据え、大阪・心斎橋地区や名古屋・栄地区などグループ重点エリアにおける大型複合開発などに取り組みます。
・経営構造改革
1) 構造改革による固定費削減
2023年度に2019年度対比で固定費を100億円削減し、損益分岐点を引き下げます。
①組織・要員構造改革
・各事業におけるビジネスモデル改革、店舗運営手法や業務委託領域の見直しなど組織・要員構造改革を推進します。
②経費構造改革
・働き方改革によるオフィスの効率化や広告宣伝のデジタル活用、資材備品等のグループ共同購買など経費削減を進めます。
2) 経営効率、資産効率の向上
各事業の将来性や成長性にもとづく事業基盤の絞込みによる経営効率の向上、非事業用資産の見極めによる資産効率の向上を図ります。
・経営基盤強化
1) グループ財務戦略
コロナ禍による事業への影響を見極めながら、資金の流動性確保などに機動的に対応してまいります。また、ESG投資に向けた新たな資金調達、グループ税務方針にもとづくガバナンスの強化や税務コストの最適化を推進してまいります。
2) グループ人財戦略
重点戦略を支える従業員の能力開発や専門人財の採用強化など人財マネジメントを推進いたします。また、女性活躍や働き方改革、障がい者雇用の推進、LGBTへの取り組みなど従業員の個性や能力の最大発揮による人財開発企業の実現に取り組んでまいります。
3) グループIT戦略
経営管理の高度化に向けた基幹システムの再構築、業務プロセスの見直しなどによる生産性向上に取り組んでまいります。またIT投資の適正化や情報セキュリティ強化などITガバナンスを推進してまいります。
4) コーポレートガバナンスの高度化
経営の意思決定、執行の迅速化を図るため、執行役への業務執行権限のさらなる委譲と責任の明確化とともに、取締役会における監督機能の強化などガバナンスの高度化に取り組んでまいります。