有価証券報告書-第138期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/18 9:00
【資料】
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【項目】
184項目
②自然資本
<ネイチャーポジティブ(自然再興)の考え方>当行が本拠を置く滋賀県は、400万年以上の歴史があるとされている世界有数の古代湖“琵琶湖”を有しており、古くから琵琶湖を中心とした自然資本による恩恵(生態系サービス)を受けてまいりました。その恩恵は、滋賀県の歴史、産業、食文化、生活様式にまで幅広く及んでおり、かけがえのない存在となっております。一方で、土地開発や地球温暖化、特定外来種の影響などにより、生物多様性や生態系サービスの劣化が進んでおり、自然資本の適切な保全・回復に向けた取り組みは、地域経済のサステナビリティにおいても喫緊の課題となっております。
このような背景から、当行は生物多様性保全を重要な経営課題と認識し、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で愛知目標が採択された2010年に、経営の基本方針として「生物多様性保全方針」を制定いたしました。また、2023年に制定した「サステナブルな社会の実現に向けた投融資方針」では、琵琶湖などのラムサール条約指定湿地、ユネスコ指定世界遺産、ワシントン条約の規制対象種のように、国際的に保護・保全が求められている人類の財産に重大な悪影響を及ぼす事業に対する投融資を行わない方針を定めております。
さらに、2024年1月には、自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:TNFD)が2023年9月に公表した開示提言(TNFD提言)に賛同し、開示提言の採用者(TNFD Adopter)として登録を行いました。自然環境に負の影響を与える資金の流れを、良い影響を与える「ネイチャーポジティブ(自然再興)」に転換していくため、ステークホルダーの皆さまと協力するとともに、TNFD提言に基づく取り組みを段階的に進め、進捗状況について開示してまいります。
<環境省「令和6年度脱炭素実現に向けた自然関連情報分析 パイロットプログラム」に参加>TNFDに基づく情報開示を進めるため、2024年5月に応募した環境省「令和6年度脱炭素実現に向けた自然関連情報分析 パイロットプログラム」に採択され、専門家の指導のもとで自然資本に関する分析を行いました。プログラムでは、始めに自然関連の依存とインパクトの特定に向け、TNFDが推奨するLEAPアプローチ(注1)に沿って、自然資本の評価ツールである「ENCORE」(注2)を用いて、当行のポートフォリオ分析を行いました。事業セクターごとの自然資本に対する依存・インパクトの関係を分析したヒートマップに加えて、当行のポートフォリオにおける業種別の融資割合や、「生物多様性しが戦略2024」などの行政計画上の重要性との関連性などを考慮した結果、「食品・飲料」セクターを優先分析業種として特定いたしました。
注1)企業や金融機関が自然関連課題を評価・管理することを可能とするために、TNFDが開発した評価手法。
Locate(発見)・Evaluate(診断)・Assess(評価)・Prepare(準備)の4ステップで分析する。
注2)ENCORE(Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure)は、経済の自然への依存
・インパクトの可能性、環境の変化によってどのようなビジネスリスクが生み出されるかについて可視化す
るツール。

さらに、「食品・飲料」セクターを構成する各業種について分析を行い、「水の供給」「水量の調整」「水の浄化」の3つに対する依存が大きいことを特定いたしました。また、優先分析業種のバリューチェーンにおける自然との関わりを整理すると、「醸造」「包装食品・肉」「レストラン」における依存・インパクトが大きいことを特定いたしました。これら3つの業種について、具体的な企業を想定しながら、市町村別、個社別、事業拠点別に分析を進めました。

出所:環境省「令和6年度脱炭素実現に向けた自然関連情報分析 パイロットプログラム(金融機関向け)」
成果報告会 支援先発表資料より抜粋
これらの分析結果から、当行のポートフォリオにおいては、水に関連する自然資本への依存・インパクトの優先順位が高いことが特定されました。このことは滋賀県の面積の約6分の1を占める琵琶湖と関連しているものと想定され、滋賀県の各自治体が琵琶湖を中心とした水を取り巻く施策を実施していることとも関係していると考えられます。
今後は他の事業セクターへの展開や、地域の企業との対話を進め、ネイチャーポジティブの実現に向けた情報開示を進めてまいります。
(行政・環境保護団体等と連携したネイチャーポジティブの取り組み)
・地域のSDGsを推進する寄付スキーム「未来よし+」
脱炭素関連の融資商品の利用実績に応じて当行が資金を拠出し、地域のSDGsを推進する活動に寄付を行う独自のスキームであります。資金は、琵琶湖の絶滅危惧種であるニゴロブナやワタカの放流事業への寄付、森林保全事業の支援につながる「びわ湖カーボンクレジット」の購入などに充てられます。

・琵琶湖の環境を保全する“いきものがたり”活動
地域の環境保護団体等と連携し、琵琶湖の生態系保全に向けた、ストーリー性のある環境ボランティア活動を展開しております。
春の「外来魚駆除・釣りボランティア」、夏の「森づくりサポート活動」、秋の「ヨシ苗植えボランティア」、冬の「ヨシ刈り」のほか、地域で実施されるさまざまな活動にも参加しております。なお、これらのボランティア活動にはお取引先企業にも参加いただいており、ステークホルダーを巻き込んだ取り組みを展開しております。
③人的資本
第8次中期経営計画(計画期間:2024年4月1日~2029年3月31日)
当行は2024年4月にスタートした第8次中期経営計画において、3つの基本戦略の一つとして人的資本の最大化を進める「ヒューマンファースト」を掲げております。人材への投資が経営戦略の優先事項と考え、求める人材像を「個性を磨き、価値創造の主役として、地域の未来へ挑戦できる人」と定義し、人材育成方針及び社内環境整備方針のもと、従業員エンゲージメントの向上を図るべく、「個の能力向上」と「組織の活性化」に取り組んでおります。

<人材育成方針>当行は、人材育成方針として「Design人材の育成」を掲げ、以下のような行員の育成に取り組んでおります。
・お客さま、地域の課題を創造し、解決策をデザインするとともに、実現まで結び付けられる人材
預金、融資業務をリレーションの機会と捉え、お客さま、地域の価値創造をデザインし、ソリューションにつなげる能力とスキルの向上を図る。
・自らのキャリア(=ありたい自分)をデザインし、その実現に向け挑戦し続ける人材
変化が激しい時代において、自らの「ありたい姿」を描きながら、高い志を持ち挑戦し続ける人材を育成、支援する。
<社内環境整備方針>当行は、2020年10月に制定したサステナビリティ方針において、「自ら考え行動できる人材の育成と職場環境の整備」を掲げております。多様な個性や働き方を尊重し、一人ひとりが個々の能力を最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでおります。
また、当行は、職員が十分な能力を発揮するためには経済的に安定していることが重要と考え、ファイナンシャル・ウェルネスの取り組みを進めております。具体的には、金融リテラシー向上を目的とした金融教育を実施するとともに、従業員持株会や財産形成預金、確定拠出年金、従業員融資などの各種制度を整備し、経済面から職員を支援することで、従業員満足度や意欲の向上を図っております。

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