有価証券報告書-第38期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断、予測したものであります。
1 経営方針
当社グループは、「日本とアジアをつなぐ投資会社として少子高齢化が進む社会に安心・安全で質と生産性の高い未来を創ります」を経営理念として掲げ、全てのステークホルダーへの利益還元を果たして参ります。
2 経営環境と対処すべき課題
(1)外部環境の認識
近年、当社を取り巻く日本とアジアのマクロ経済環境は、大きく変化しました。特に2000年以降は、アジア諸国で持続的な経済発展が続き、今や日本を超えるGDPを抱える巨大市場が形成されました。その結果、アジアから日本への直接投資は拡大傾向にあり、訪日観光客数に代表されるようにアジアからの人的資本の流入も急速に増加しています。
同時に、技術革新や高齢化・地球温暖化などの社会問題に伴い、世界的なパラダイムシフトも生じています。エネルギー分野では、2015年のパリ協定締結以降、地球規模で低炭素社会を目指す動きが活発です。また、AIやIoT等の技術革新は、第四次産業革命と呼ばれ産業構造に大きな変化をもたらしています。加えて、日本だけでなくアジアにおいても少子高齢化の影響が顕著に表れ始めました。
この様な中、当社は、当社の使命を、アジアへの取り組みを通じて日本企業のリソースをアジア諸国と共有してその発展を支援するとともに、アジア諸国の持つリソースを日本に呼び込み、新しい日本経済の成長の枠組みを創造することだと考えています。当社は、経営理念を通じて、全役職員が当社の将来の姿をより具体的に理解し、一丸となってさらなる成長を目指し社会に貢献して参ります。
(2)中期経営計画の進捗状況
イ.計画の背景となる課題
当社は、前連結会計年度において、2019年3月期から2021年3月期までの3年間の中期経営計画を策定しています。この計画は、次の3つの課題を改善するために策定されたものです。1つ目の課題は、収益の大半をベンチャー投資のキャピタルゲインに依存しているため収益構造が不安定なこと、2つ目は、回収の不確実性が高いプライベートエクイティ投資資産の残高の一部を借入金で調達した資金で賄っているため財務健全性が低いこと、3つ目は、返済優先の財務対応により収益償還力を超えた返済を継続してきているため充分な投資資金が確保できないことです。
ロ.計画の概要
中期経営計画では、これらの課題の解決策として資産の入れ替えを進める方針です。具体的には、既存のプライベートエクイティ投資資産の大半を3年間で売却し、売却によって得た資金で、再生可能エネルギー等のプロジェクト投資や、「企業への投資」と「プロジェクト(事業)への投資」を組み合わせる「戦略的投資」を行い、その投資残高を積上げる計画です。その結果、流動性の高い資産へと入れ替えが進むとともに、将来的にプロジェクトから発生する安定収益を確保できると考えています。
また、当社の強みや外部環境を考慮した結果、再生可能エネルギー、スマートアグリ(植物工場等)、ヘルスケア(介護・医療)の3つを事業テーマに選定し、当社の自己資金を用いた投資についてはこのテーマに従って重点的に投資を行う方針としました。また、それ以外の投資は、ファンドを新設してその資金で行う方針です。
ハ.2019年3月期末(計画期間1年目)の進捗状況
プライベートエクイティ投資では、既存資産の売却は投資先企業の新規上場(IPO)や売却交渉が計画通りに進まず、未達となりました。一方、想定よりも早期に、他社の運営するファンドの回収が利益貢献を伴って進みました。戦略的投資については、候補として期待できる企業や具体的な候補先を発掘しました。今後、投資の実行について検討をしてまいります。ファンドの設立については、株式会社あおぞら銀行との合弁会社が運営する事業承継ファンドが計画通り30億円にファンド総額を増額した他、アジアをテーマとした2本のファンドの募集活動を行いました。加えて、安定収益の積み上げを目的としたファンドの管理業務の受託が順調に進みました。
プロジェクト投資では、再生可能エネルギーの投資資産の積み上げは順調に進みました。また、スマートアグリプロジェクトでは植物工場の第1号案件に投資を行い、2019年3月に操業を開始しています。一方、ヘルスケアプロジェクトについては、介護施設案件への投資を計画していましたが、プロジェクト組成に至らず、また、他の案件では他社が先行して投資決定したために投資することができずに投資の実行は2年目以降となりました。
(3)2020年3月期(計画期間2年目)以降の重点施策
当社は、今般、2019年3月期の進捗状況を受けて中期経営計画を一部見直しました。2020年3月期(計画期間2年目)以降は次のような重点施策を行います。
イ.プライベートエクイティ投資
2019年3月期には投資先企業のIPOが遅延するケースが発生し、今後も遅れが生じるリスクがあります。これに備えるため、未上場株式や営業外の資産の流動化も前倒して促進し、その売却益を積上げます。ファンドについては、日本の中小企業の海外進出を支援するファンドと、海外からの対日直接投資を支援するファンドの2本を設立します。また、国内とアジアでの社外のネットワークを強化し、クロスボーダーのM&Aの仲介業務にも取り組みます。新規の投資については、金融機関からの負債性資金が調達可能な新規事業を創出し、その事業のプロジェクトへの投資だけでなく、パートナー企業への投資も行います。
ロ.プロジェクト投資
再生可能エネルギープロジェクトは、メガソーラーへの投資を最優先とします。加えて、バイオガスやバイオマス発電プロジェクトの新規案件にも投資をしていきます。なお、先行開発コストの負担がありますが、電力の固定買取価格が低下している現在では、高採算案件への投資機会には時限性がありこの数年に集中しています。そのため、引き続き積極的に投資を推進し、含み益、つまりは将来の安定収益を積上げます。スマートアグリプロジェクトでは、植物工場の後続案件への投資を行います。先行開発コストがかかるものの、短期間での規模拡大が期待できる分野であるため、積極的に投資を推進する計画です。ヘルスケアプロジェクトについては、地価の高騰により介護施設の建設用地の入札が難航しているため、件数を追わず採算性を重視して選別的に投資を行う予定です。
3 2021年3月期末(計画期間3年目)の目指す姿
当社は、今般の中期経営計画の見直しに伴い、主要な業績評価指標(KPI)も新たに設定しました。
イ.プロジェクト投資資産の含み益
プロジェクト投資の先行開発コストが負担となり、中期経営計画において当初KPIとしていた「安定収益で販管費の過半を賄う」という目標の達成は2022年3月期以降となります。これに代わり、プロジェクト投資資産の残高を2019年3月期末の55億円から2021年3月末には90億円まで増加します。その結果、プロジェクト投資資産の含み益は、2019年3月期末の70億円から200億円まで拡大します。なお、ここでいう「含み益」とは、割引計算をする前の、プロジェクトを運営する約20年間にもたらされる利益の見込み額の累計を指しています。
これに伴い、財務健全性の指標としている「現預金とプロジェクト投資資産の合計額と借入金のバランス」は、2019年3月末にすでに現預金とプロジェクト投資資産の合計額が13億円超過となっていましたが、超過額が56億円まで拡大し、さらに財務健全性が改善します。
ロ.プライベートエクイティ投資資産の入替
プライベートエクイティ投資においては、資産の入替を行うために、既存投資資産を早期に流動化して売却益の獲得を目指します。その結果、引当金を差し引いた後の既存投資資産の残高は、51億円から10億円まで圧縮されます。その一方で、新規投資を行うためのファンドの設立や当社の自己資金を用いた戦略投資を実行し、新規投資資産の残高を10億円まで積上げます。
ハ.2021年3月期の業績目標
その結果、最終目標とする従来連結基準(注)による2021年3月期の業績は、親会社株主に帰属する当期純利益7億円、ROE9%となります。
(注)従来連結基準
当社グループでは、2007年3月期より、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(企業会計基準委員会 2006年9月8日 実務対応報告第20号)を適用し、当社グループで運営している投資事業組合等の一部を連結の範囲に加えて連結財務諸表等を作成しております。しかしながら、投資家及び株主の皆さまに、当社グループの経営成績及び財務状況を正しくご認識いただくためには、従来からの会計基準による財務諸表等の開示も必要と考えております。
以上のことから、従来の会計基準に従って、投資事業組合については、資産、負債及び収益、費用を外部出資者の持分を含まない当社及び関係会社の出資持分に応じて計上し、また、会社型ファンドについては連結の範囲から除いた連結財務諸表等を「従来連結基準」として、決算短信等において継続的に開示しております。
1 経営方針
当社グループは、「日本とアジアをつなぐ投資会社として少子高齢化が進む社会に安心・安全で質と生産性の高い未来を創ります」を経営理念として掲げ、全てのステークホルダーへの利益還元を果たして参ります。
2 経営環境と対処すべき課題
(1)外部環境の認識
近年、当社を取り巻く日本とアジアのマクロ経済環境は、大きく変化しました。特に2000年以降は、アジア諸国で持続的な経済発展が続き、今や日本を超えるGDPを抱える巨大市場が形成されました。その結果、アジアから日本への直接投資は拡大傾向にあり、訪日観光客数に代表されるようにアジアからの人的資本の流入も急速に増加しています。
同時に、技術革新や高齢化・地球温暖化などの社会問題に伴い、世界的なパラダイムシフトも生じています。エネルギー分野では、2015年のパリ協定締結以降、地球規模で低炭素社会を目指す動きが活発です。また、AIやIoT等の技術革新は、第四次産業革命と呼ばれ産業構造に大きな変化をもたらしています。加えて、日本だけでなくアジアにおいても少子高齢化の影響が顕著に表れ始めました。
この様な中、当社は、当社の使命を、アジアへの取り組みを通じて日本企業のリソースをアジア諸国と共有してその発展を支援するとともに、アジア諸国の持つリソースを日本に呼び込み、新しい日本経済の成長の枠組みを創造することだと考えています。当社は、経営理念を通じて、全役職員が当社の将来の姿をより具体的に理解し、一丸となってさらなる成長を目指し社会に貢献して参ります。
(2)中期経営計画の進捗状況
イ.計画の背景となる課題
当社は、前連結会計年度において、2019年3月期から2021年3月期までの3年間の中期経営計画を策定しています。この計画は、次の3つの課題を改善するために策定されたものです。1つ目の課題は、収益の大半をベンチャー投資のキャピタルゲインに依存しているため収益構造が不安定なこと、2つ目は、回収の不確実性が高いプライベートエクイティ投資資産の残高の一部を借入金で調達した資金で賄っているため財務健全性が低いこと、3つ目は、返済優先の財務対応により収益償還力を超えた返済を継続してきているため充分な投資資金が確保できないことです。
ロ.計画の概要
中期経営計画では、これらの課題の解決策として資産の入れ替えを進める方針です。具体的には、既存のプライベートエクイティ投資資産の大半を3年間で売却し、売却によって得た資金で、再生可能エネルギー等のプロジェクト投資や、「企業への投資」と「プロジェクト(事業)への投資」を組み合わせる「戦略的投資」を行い、その投資残高を積上げる計画です。その結果、流動性の高い資産へと入れ替えが進むとともに、将来的にプロジェクトから発生する安定収益を確保できると考えています。
また、当社の強みや外部環境を考慮した結果、再生可能エネルギー、スマートアグリ(植物工場等)、ヘルスケア(介護・医療)の3つを事業テーマに選定し、当社の自己資金を用いた投資についてはこのテーマに従って重点的に投資を行う方針としました。また、それ以外の投資は、ファンドを新設してその資金で行う方針です。
ハ.2019年3月期末(計画期間1年目)の進捗状況
プライベートエクイティ投資では、既存資産の売却は投資先企業の新規上場(IPO)や売却交渉が計画通りに進まず、未達となりました。一方、想定よりも早期に、他社の運営するファンドの回収が利益貢献を伴って進みました。戦略的投資については、候補として期待できる企業や具体的な候補先を発掘しました。今後、投資の実行について検討をしてまいります。ファンドの設立については、株式会社あおぞら銀行との合弁会社が運営する事業承継ファンドが計画通り30億円にファンド総額を増額した他、アジアをテーマとした2本のファンドの募集活動を行いました。加えて、安定収益の積み上げを目的としたファンドの管理業務の受託が順調に進みました。
プロジェクト投資では、再生可能エネルギーの投資資産の積み上げは順調に進みました。また、スマートアグリプロジェクトでは植物工場の第1号案件に投資を行い、2019年3月に操業を開始しています。一方、ヘルスケアプロジェクトについては、介護施設案件への投資を計画していましたが、プロジェクト組成に至らず、また、他の案件では他社が先行して投資決定したために投資することができずに投資の実行は2年目以降となりました。
(3)2020年3月期(計画期間2年目)以降の重点施策
当社は、今般、2019年3月期の進捗状況を受けて中期経営計画を一部見直しました。2020年3月期(計画期間2年目)以降は次のような重点施策を行います。
イ.プライベートエクイティ投資
2019年3月期には投資先企業のIPOが遅延するケースが発生し、今後も遅れが生じるリスクがあります。これに備えるため、未上場株式や営業外の資産の流動化も前倒して促進し、その売却益を積上げます。ファンドについては、日本の中小企業の海外進出を支援するファンドと、海外からの対日直接投資を支援するファンドの2本を設立します。また、国内とアジアでの社外のネットワークを強化し、クロスボーダーのM&Aの仲介業務にも取り組みます。新規の投資については、金融機関からの負債性資金が調達可能な新規事業を創出し、その事業のプロジェクトへの投資だけでなく、パートナー企業への投資も行います。
ロ.プロジェクト投資
再生可能エネルギープロジェクトは、メガソーラーへの投資を最優先とします。加えて、バイオガスやバイオマス発電プロジェクトの新規案件にも投資をしていきます。なお、先行開発コストの負担がありますが、電力の固定買取価格が低下している現在では、高採算案件への投資機会には時限性がありこの数年に集中しています。そのため、引き続き積極的に投資を推進し、含み益、つまりは将来の安定収益を積上げます。スマートアグリプロジェクトでは、植物工場の後続案件への投資を行います。先行開発コストがかかるものの、短期間での規模拡大が期待できる分野であるため、積極的に投資を推進する計画です。ヘルスケアプロジェクトについては、地価の高騰により介護施設の建設用地の入札が難航しているため、件数を追わず採算性を重視して選別的に投資を行う予定です。
3 2021年3月期末(計画期間3年目)の目指す姿
当社は、今般の中期経営計画の見直しに伴い、主要な業績評価指標(KPI)も新たに設定しました。
イ.プロジェクト投資資産の含み益
プロジェクト投資の先行開発コストが負担となり、中期経営計画において当初KPIとしていた「安定収益で販管費の過半を賄う」という目標の達成は2022年3月期以降となります。これに代わり、プロジェクト投資資産の残高を2019年3月期末の55億円から2021年3月末には90億円まで増加します。その結果、プロジェクト投資資産の含み益は、2019年3月期末の70億円から200億円まで拡大します。なお、ここでいう「含み益」とは、割引計算をする前の、プロジェクトを運営する約20年間にもたらされる利益の見込み額の累計を指しています。
これに伴い、財務健全性の指標としている「現預金とプロジェクト投資資産の合計額と借入金のバランス」は、2019年3月末にすでに現預金とプロジェクト投資資産の合計額が13億円超過となっていましたが、超過額が56億円まで拡大し、さらに財務健全性が改善します。
ロ.プライベートエクイティ投資資産の入替
プライベートエクイティ投資においては、資産の入替を行うために、既存投資資産を早期に流動化して売却益の獲得を目指します。その結果、引当金を差し引いた後の既存投資資産の残高は、51億円から10億円まで圧縮されます。その一方で、新規投資を行うためのファンドの設立や当社の自己資金を用いた戦略投資を実行し、新規投資資産の残高を10億円まで積上げます。
ハ.2021年3月期の業績目標
その結果、最終目標とする従来連結基準(注)による2021年3月期の業績は、親会社株主に帰属する当期純利益7億円、ROE9%となります。
(注)従来連結基準
当社グループでは、2007年3月期より、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(企業会計基準委員会 2006年9月8日 実務対応報告第20号)を適用し、当社グループで運営している投資事業組合等の一部を連結の範囲に加えて連結財務諸表等を作成しております。しかしながら、投資家及び株主の皆さまに、当社グループの経営成績及び財務状況を正しくご認識いただくためには、従来からの会計基準による財務諸表等の開示も必要と考えております。
以上のことから、従来の会計基準に従って、投資事業組合については、資産、負債及び収益、費用を外部出資者の持分を含まない当社及び関係会社の出資持分に応じて計上し、また、会社型ファンドについては連結の範囲から除いた連結財務諸表等を「従来連結基準」として、決算短信等において継続的に開示しております。