有価証券報告書-第87期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/23 9:33
【資料】
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【項目】
175項目

有報資料

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、中核となる金融商品ビジネスを展開するうえにおいて、お客様の最善の利益を最優先とする「顧客第一主義」の基本方針のもと、個々の取引志向やリスク許容度に応じた最適な商品、サービスの提供を通じ、お客様との強固な信頼関係の構築に努めてまいります。また、経営陣・管理職・一般社員が三位一体となった「全員参加型経営」を実践し、持続的な企業価値の向上を目指して、グループ一丸となって取り組んでまいります。
(2)経営戦略等
2026年3月期を起点とする第6次中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)では、当社グループの持続可能な企業価値の向上を実現するために、顧客本位の業務運営を基盤として、ITを活用した営業推進による顧客基盤の強化や資本効率を意識した経営など、競争力の強化に向けて各重点施策及び数値目標を策定しております。
当該計画の骨子及びその取り組み状況と進捗状況は、以下のとおりであります。
1.営業施策・基盤強化
①資本効率を意識した経営
・株主資本コストを意識した経営
・株主資本の有効活用により業界上位のROEを維持
→2026年3月期の当社ROE:14.7%(当社を含む17社中で2位)、業界平均値:9.0%
※業界平均は、ネット専業証券を除く上場証券及び主要証券16社の平均値
②安定配当の継続と業績連動の利益還元
・1株当たりの年間配当金は、DOE(純資産配当率)3%程度を下限に設定するとともに、業績に
応じた利益還元として、連結ベースの総還元性向50%以上
(中間配当:DOE2%程度、期末配当:DOE1%程度+業績連動配当)
→年間配当金:225円(過去最高)、総還元性向:50.6%
③固定費カバー率50%以上(最終年度)
・投信の信託報酬、金融収支の増加
・低コスト体質の堅持
→2026年3月期:44.5%
④営業収益経常利益率の向上
・収益性の向上
→2026年3月期:42.0%
⑤株主総利回り(TSR)の向上
・TOPIXを上回る収益性を目指す
・中長期にわたる企業価値の創造
→2026年3月期:当社233.2%、TOPIX202.2%
2.預り資産の増大、IT・人的投資
①預り資産3兆円(最終年度)
→2026年1月末に3兆円を突破。2026年3月末の預り資産は、米国及びイスラエルによるイランへの軍事攻撃をきっかけとした世界的な株価下落が影響し、3兆円を下回る(2026年3月:2.9兆円)。
今後は、さらなる預り資産残高の上積みに注力。
②DXの推進
→2026年1月より生成AI機能などを備えたグループウェアを導入。社内インフラの高度化と業務プロセスの見直しを図り、生産性向上及び業務効率化を推進
③人的資本への投資
→当社グループの堅調な業績推移に加え、日経平均株価が5万円を突破するなど、株式市場全体が活況を呈するなか、従業員の日頃の尽力に報いるべく、2025年10月に特別賞与を支給。
→物価上昇が続く社会情勢を踏まえ、従業員の生活基盤の安定を目的に、2026年度においても5年連続となるベースアップを実施予定。
(3)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
昨今、中東地域における地政学リスクや米国を中心とした政治情勢の不確実性など、先行き不透明な状態が続いております。このような状況下において、お客様の大切な資産をお預かりする金融機関として、市場変動リスクへの対応は不可欠であり、プロの投資アドバイザーである証券会社の営業員が果たすべき役割は、これまで以上に重要性を増しております。こうした環境のもと、お客様の満足度向上を目的とする「顧客本位の業務運営」(フィデューシャリー・デューティー)に基づき、お客様一人ひとりの資産運用ニーズに即した付加価値の高い金融サービスを提供することが、当社グループの企業価値向上に資するものと確信しておりますが、さらなる当社グループの発展に向けて、以下の項目を対処すべき課題と認識しております。
①DX推進によるお客様の満足度向上及び業務効率化の推進
生成AIをはじめとするデジタル技術の飛躍的な進化により、事業環境の変化は一層加速しております。このような状況のもと、当社グループでは、2026年1月より生成AI機能などを備えたグループウェアを導入し、これにより、社内インフラの高度化と業務プロセスの抜本的な見直しを図り、より一層の生産性の向上及び業務効率化を推進してまいります。
具体的な施策として、当社子会社の岩井コスモ証券では、証券アナリストによるユーチューブでの市況解説や個別銘柄の情報発信に注力しており、これらのコンテンツの提供によって一定の収益を確保いたしました。今後も、ユーチューブによる発信内容の一層の充実を目指し、お客様の投資活動に有益な情報の提供に努めてまいります。
また、投資アドバイザーである営業員が使用するタブレット端末にAI機能を実装いたします。これにより、営業日報の自動作成やお客様一人ひとりに最適な提案を可能にするなど、営業活動のさらなる効率化に尽力いたします。
さらに、DX推進における最大の障壁である「専門人材の不足」や「リテラシー格差」を解消すべく、各部門の若手社員を中心に勉強会を実施するなどDX教育により一層注力し、今後も、デジタル基盤の強化と人材育成を通じて、お客様への高度なサービス提供と、付加価値を向上すべく努めてまいります。
②持続的な成長に向けた人材育成と組織基盤の強化
当社グループの中核事業である証券営業部門における最も重要な経営資源・財産は「人」であり、「人財」に対する重要性を認識するとともに、人材の育成及び優秀な人材の確保に努めております。
このような考えのもと、当社グループの堅調な業績推移に加え、日経平均株価が5万円を突破するなど株式市場全体が活況を呈するなか、従業員の日頃の尽力に報いるべく、2025年10月に特別賞与を支給いたしました。これは、人的資本を重視する経営姿勢を具現化したものであり、組織の活力向上に向けた施策の一環であると認識しております。また、昨今の物価上昇が続く社会情勢を踏まえ、社員の生活基盤の安定と優秀な人材の確保及び定着を目的として、継続的な賃上げ(昇給・昇格など)に加え、2026年度においても5年連続となるベースアップの実施を予定しております。
今後、当社グループの持続的な発展と組織力の向上には、営業部門の約5割を占める30歳以下の若い営業員に対する、豊富な経験・知見を備えたシニア社員による指導・育成が必要不可欠であり、次世代の育成とシニア層からの知見継承を一層加速させてまいります。
また、職階に応じた階層別研修や資格取得支援の拡充に加え、若手社員が主体的に学習に向き合えるよう、「教育支援制度」を新たに導入するほか、シニア社員が心身ともに健康で、長期にわたり意欲的に能力を発揮できる職場環境の構築に注力してまいります。これらの施策を通じて、自ら考え業務を遂行できる自律型人材の輩出と次世代リーダーの育成を加速させ、いかなる市場変化にも柔軟に対応できる組織基盤の構築を図ってまいります。
③コンプライアンスの徹底
信用を第一とする金融機関の企業活動には高い倫理観が求められており、コンプライアンス上の問題は経営基盤に重大な影響を及ぼすものと考えております。当社グループでは、役職員への定期的な研修に加え、取引内容等に応じて、適宜、コンプライアンス担当者が営業員を指導・教育し、コンプライアンスの意識の醸成と定着に努めております。
また、近年における生成AIの急速な普及に対しては、適切な利用方法を定めたガイドラインを策定し、各部署への指導・教育を通じて、適正な運用を徹底しております。
今後は、これまでの取り組みに加え、コンプライアンスのさらなる強化と業務効率化を目的とした「AIコンプラ」への取り組みを一層充実させてまいります。具体的には、全営業員の通話記録をAIがチェックし、特定のキーワードやフレーズが含まれる箇所をモニタリングし、迅速な指導に結びつける体制を構築いたします。あわせて、通話内容をAIで分析し、より効果的な話し方の実践に役立てることで、お客様への応対品質のさらなる向上を図ってまいります。
これらの仕組みを実効性のあるものにするとともに、変化する社会情勢に合わせたアップデートを重ねることで、情報漏洩をはじめとするリスクを未然に防ぎ、企業の信頼性向上に努めてまいります。
④中長期的な企業価値向上と持続可能な社会への貢献
当社グループは、サステナビリティへの取り組みを経営の重要事項と位置づけ、中長期的な企業価値の向上を目指しております。環境問題の解決に向けた全社的な取り組みの一環として、2026年4月より、季節に応じた快適な服装により環境負荷の低減を図ることを目的とした「ビジネスカジュアル」を導入いたしました。また、証券会社としての知見を活かし、次世代を担う子供たちへの金融経済教育を実施しているほか、ユネスコ無形文化遺産であり大阪にゆかりの深い伝統芸能である「文楽」への支援を通じ、文化振興や地域社会の活性化に寄与する活動を継続して展開しております。今後も、社会との共生を図りながら、持続的な企業価値の向上を実現してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値の向上を目指すうえにおいて、自己資本に対する利益率を高めることが重要であるとの認識のもと、ROEを経営上の重要指標と捉えています。もっとも、当社グループの業績は、経済情勢や市場環境の変動により大きく影響を受ける状況にあるため、目標の設定に関しては、ROEの絶対値ではなく、主要な証券会社16社(ネット専業証券会社を除く)の中での上位ランクの維持を目指してまいります。

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