有価証券報告書-第109期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/30 9:14
【資料】
PDFをみる
【項目】
139項目

有報資料

(1) 当社のリスク管理
① リスク管理方針
当社は、MS&ADインシュアランスグループの一員として、持続的成長と企業価値向上を追い続ける世界トップ水準の保険・金融グループを創造することを経営ビジョンに掲げており、その実現を阻害するあらゆる不確実性を「リスク」と捉え、リスク管理態勢を整備し、経営の最重要課題としてリスク管理に取り組んでおります。当社では、「MS&ADインシュアランスグループリスク管理基本方針」に沿って、取締役会で「三井住友海上火災保険株式会社 リスク管理方針」を制定し、リスク管理を行っております。
② リスク管理体制
全社のリスク管理を統括する統合リスク管理部門とERM及びリスク管理に関する課題別委員会であるERM委員会を設置し、重要なリスク情報はERM委員会での審議を通じて、取締役会等に報告する体制を取っております。課題別委員会については、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照ください。
またリスク管理を適切に行うために、第1線、第2線、第3線に役割・責任を分けた組織・体制を構築しております。
第1線は、一次リスク管理部門と業務執行部門が担っております。本社各部は一次リスク管理部門として、所管するリスクをコントロールし、統合リスク管理部門や経営等に、把握したリスクやリスク管理の状況を報告しております。
第2線は、統合リスク管理部門であるコンプライアンス部、及びリスク管理部が担っております。統合リスク管理部門は、二次リスク管理部門として、一次リスク管理のモニタリングを行っております。また、定量・定性両面から統合リスク管理を行い、ERM委員会等へその結果を報告しております。
第3線は、内部監査部が担っており、第1線及び第2線で実施されているプロセスの有効性を、内部監査により評価しております。
[リスク管理体制](当事業年度末時点)
0102010_007.png
なお、当社は、2026年6月19日の定時株主総会での承認を経て、監査等委員会設置会社へ移行しております。
取締役会の監督機能を強化するとともに、重要な業務の執行に関する決定の一部を取締役に委任し、意思決定及び業務執行の迅速化を図ります。
③ ERMサイクルをベースとする経営
MS&ADインシュアランスグループでは、中期経営計画(2022-2025)の基本戦略を支える基盤の1つとして、ERMを位置づけ、リスク・収益(リターン)・資本のバランスを取った経営資源配分により、企業価値向上に取り組んでおります。
当社でも、中期経営計画(2022-2025)の基本方針・重点課題を支える経営基盤としてERMを設定し、リスク・リターン・資本の一体的管理を通じて、財務健全性の確保を前提に、資本効率の向上を目指し、取組みを推進しております。
[MS&ADインシュアランスグループのERMサイクル]
0102010_008.png0102010_009.png

④ 統合リスク管理
当社は、多様なリスクを総合的に把握し、リスクへの対応を漏れなく行うこと、重要なリスクに優先的・重点的に対応すること、必要な資本を確保することを目的として、定量・定性の両面から当社全体のリスクの状況を管理する統合リスク管理を行っております。
a. 定量的な管理
「保険引受リスク」や「資産運用リスク」などのリスク量を確率論的手法(VaR)(注)により計量し、会社全体のリスク量と経営体力(資本)を対比することで、資本が十分に確保されているかを把握・管理しております。
リスクの計量にあたっては、大規模な自然災害や金融市場の混乱等を想定した損失額を推計し、通常では考えにくい潜在リスクを検証しております。
さらに、ストレステストとして、大規模な自然災害の発生や資産運用に係る著しい環境変化等を想定して、ストレス発生時の影響を確認しております。
(注)VaR:バリュー・アット・リスク=一定の確率の下で被る可能性のある予想最大損失額
b. 定性的な管理
当社のリスク特性や外的環境の変化等を踏まえ、毎年想定されるリスクを洗い出し、経営への影響度から重点的に対応するリスクを明確にしております。経営に影響度が高い場合は、リスク管理取組計画を策定し、その取組状況等のモニタリングを行い、取締役会等へ報告しております。
(2) 当社の主要なリスク
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。
なお、本項に記載した将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 重要リスク
発生可能性と影響度を目安として、総合的な判断により、経営が管理すべき重要なリスク事象を「重要リスク」として選定し、重要リスク管理取組計画を策定した上で、リスク対策の実行や各リスクの状況を定期的にモニタリングしております。
2026年度も引き続き、コンダクトリスクや地政学リスク(インフレ懸念を含む)、気候変動、サイバーリスク、保険市場・人財市場の変化、人工知能(以下、「AI」)の急速な進化に係るリスクを適切にコントロールし、当社の持続的な成長を図ることが必要であることから、重要リスクは2025年度と同様のものとしております。
一方で、各重要リスクの状況は変化しているため、各重要リスクの「主な想定シナリオ」に下記a~dの環境変化を明示・反映し、管理・取組を強化しております。また、表現の統一や例示の記載を今日的に見直すとともに、IFRS会計基準・新資本規制が導入されること、再保険市場の変化を踏まえた修正を行っております。
a. AIの急速な進展
人工知能(AI)の急速な進展による影響を規制・経済・社会・環境の観点で当社グループへの影響を確認
し、影響が大きいと考えられるシナリオを追加し、同リスクの管理・取組の強化に繋げてまいります。
b. 業務改善計画に関わる取組みの推進によるビジネスモデルの変化、顧客企業等におけるリスクマネジメントの
必要性の高まり及び姿勢の変化
損害保険会社各社の政策株式売却方針もあり、顧客企業等の当社グループに期待する提供価値が変化する可能
性があります。この変化に対応できない場合のリスクや、こうしたビジネスモデルの変化によって、戦略実行に
求められる人財の質等が変化することを想定したシナリオを明確化しております。
c. 当社とあいおいニッセイ同和損保との合併
当社とあいおいニッセイ同和損保との合併において、ステークホルダーに示した目指す姿を実現できないこと
による社会的信用の低下を、主な想定シナリオに明示しております。
d. 信用リスク発現構造の認識
インフレーションの進行や為替変動によるコスト増が投融資先企業等の業績悪化要因となることや、肥大化し
たノンバンクセクター等の破綻が広範に金融市場に影響する可能性を、主な想定シナリオに明示して管理強化し
てまいります。
2026年度重要リスクは下表のとおりであります。
これらのリスクが発現することにより、多額の保険金・給付金の支払・保有資産の価値の低下・競争環境や評判の変化等が生じ、当社の業績や財務状況に影響が生じるリスクがあります。当社では、これらのリスクに対して、重要リスク管理取組計画を策定(取締役会で決議)した上で、リスク対策の実行を通じて、リスクの軽減やリスクコントロールを実施しております。
No.重要リスク
(「・」は主な想定シナリオ)
1大規模自然災害の発生
・気候変動の影響も受けた国内及び海外の大規模な風水災・森林火災・雪雹災・干ばつや地震・噴火等の発生による保険金支払の増加
・大規模自然災害の発生等に伴う出再保険料の高騰や再保険会社の引受キャパシティの減少等により、方針どおりのリスクコントロールが困難になる事態の発生
・大規模自然災害の発生により当社グループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態の発生
2金融マーケットの大幅な変動
・世界的な景気・経済活動の停滞懸念による株式等の保有資産価値の下落
・物価動向等を踏まえた各国の金融政策の変更や財政規律の欠如等に伴う金利・為替の変動による資本余力の低下
3信用リスクの大幅な増加
・実体経済の悪化、金融機関による与信の厳格化、金利や為替の変動に伴うコスト増、及び脱炭素社会への移行に向けた規制の強化・対応の遅延等による投融資先企業等の業績悪化・デフォルトやシステミックリスクへの発展
・世界経済の減速懸念等に伴う投資家のリスク回避姿勢の強まり等による保有債券等の価値の下落
4グループの企業価値の著しい毀損や社会的信用の失墜につながる行為の発生
※企業価値の著しい毀損や社会的信用の失墜につながる行為とは、法令等に違反する行為、お客さま等のステークホルダーの視点が欠如した行為、社会規範等から逸脱した行為、当社グループの行動指針等に反する行為等(いずれも不作為によるものや業界等の慣行に基づくものを含む)をいう。
・当社グループの経営理念等(ミッション・ビジョン・バリュー、お客さま本位の業務運営等)が当社グループの業務運営における役職員等の行動にまで浸透せず、お客さま本位や健全な競争環境等の実現ができないことによる当社グループの社会的信用の失墜
・業界慣行や当社グループ内の行動目標(経営目標や営業・損害サービスに関する目標等)、社員等の評価制度(人事制度・代理店評価制度等)等に基づく行動がお客さま等の視点を欠くことによる当社グループの社会的信用の失墜
・商品・サービス(事務・システムを含む)の設計がお客さま等の視点(ニーズ・適合性・利便性・わかりやすさ等)を欠くことによるお客さまの不利益の発生
・グループ戦略遂行上の組織改編(事業会社の合併を含む)・業務変革・システム開発に伴う業務混乱や目標未達成による社会的信用の低下
・国内関係法令等及び事業を営む海外現地の法令等への違反(不正競争や不当な取引制限、優越的地位の濫用を含む)、長時間労働・ハラスメント等の重大な労務問題等の発生
・当社グループ(受入出向者を含む)又は外部委託先(代理店や社外出向者を含む)等における情報漏えい等の発生
・AIの活用推進・規制変更・社会的受容性の変化等に伴う権利侵害・不適切な情報の開示・利用、関係当局及び当社グループが策定するガイドライン等への抵触やAIを悪用した保険金不正請求・金融犯罪等に対する不十分な対応による社会的信用の低下等の発生
・当社グループにおける気候変動対応等のサステナビリティに関わる開示や課題への対応不備、事業活動の過程(取引先等を含む)で生じる人権等の権利侵害、それらに伴う訴訟等による社会的信用の低下や財務的な負担
・財務報告に係る内部統制の重大な不備や経済価値ベースの資本規制等への対応不備等による開示情報の重大な誤りの発生
5サイバー攻撃による大規模・重大な業務の停滞・情報漏えい
・デジタライゼーションの進展等に伴う世界的なサイバー攻撃被害の拡大、サイバー攻撃の巧妙化・多様化(技術進展が著しい生成 AI 等を利用したものを含む)、クラウド活用やサプライチェーンの拡大に伴うサイバー攻撃による影響範囲の拡大等による当社グループ及び外部委託先等における業務の停滞・情報漏えいの発生
6システム障害の多発や重大なシステム障害の発生、大規模システム開発の進捗遅延・未達・予算超過・期待効果未実現
・デジタライゼーションの進展に伴うお客さま・代理店向けシステムにおける障害の複数同時発生、大規模自然災害の発生等に伴うシステム関連施設の罹災、 資金決済インフラの停止、宇宙天気現象の影響も懸念される通信衛星・通信回線の不具合・事故等に伴う通信障害によるビジネス・サービスの停滞
・休日や営業時間外に稼働するお客さま・代理店向けシステムの大規模な障害発生によるお客さま等への対応の遅れ
・大規模システム開発の進捗遅延・未達・予算超過・期待効果未実現による経営計画の未達成
7感染症の大流行
・地球温暖化の影響も受けた新種の感染症の大流行・影響長期化等に伴い当社グループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態の発生
・世界的な感染拡大による保険金・給付金支払の増加や感染症の影響長期化に伴う経済活動の長期停滞等による収益の低下
8保険市場の変化
・業界慣行の見直しや環境変化(お客さまの意識や社会的要請の変化を含む)に応じたビジネスモデル(販売チャネル、保険事業以外のリスク関連事業を含む)・ビジネススタイルの変革が進まないことや、お客さまや社会から求められる提供価値の変化に対応できないことによる競争劣位
・AI等のテクノロジーの活用の遅れによる競争劣位
・運転支援・自動運転技術の進展による自動車事故の減少等による収益構造への影響
・補償・保障前後のサービス拡大に伴うアプリ・システム・IoT機器等の不具合、業務委託先・事業提携先の不正・事務ミスによる風評被害、機器等の供給制約等による販売戦略への影響
・低炭素・脱炭素技術等の気候変動への対応に係る新たな保険引受、循環型社会の進展や化学物質等の健康被害・環境被害等による保険金支払の増加
・少子高齢化の進展・人口減少等に伴う市場規模・構造の変化による事業ポートフォリオへの影響
・外部環境変化(社会的要請の変化、企業等の建物・設備や公共インフラの老朽化、気候変動リスクやサイバーリスクといった国・地域をまたがるリスクの出現を含む)に伴うリスクの高まり・集積やインフレ(ソーシャル・インフレーションを含む)等による保険金・事業費の増加
・再保険市場の急激な変動による収益の不安定化、特定の再保険会社や管轄法域の集中によるシステミックリスクの増大
9人財を取り巻く環境の変化
・人財市場・労働需給等の外的な変化、ビジネスモデルの変革や・海外事業等の戦略実行に必要なスキル・専門性の変化、経験豊富な人財の退職等による、経営戦略と人財ポートフォリオのギャップ及びその解消に向けた人財の確保・計画的な育成の不足
・自律的なキャリア形成機会・柔軟で多様な働き方・人権や多様性の尊重等に対する社員の意識の変化を的確に捉えた環境整備(労働条件を含む)やハラスメントに対する組織的対応の不足による社員のエンゲージメントの低下や人財の流出、採用力の低下
10国内外等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化、及び安全保障の危機
・国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化等に伴う金融市場の変動による保有資産価値の下落 国内外等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化、及び安全保障の危機
・各国の経済安全保障関連規制の強化等によるサプライチェーンの分断等に伴う実体経済の悪化等による投融資先企業等の業績悪化・デフォルト
・当社グループ又は外部委託先等における経済安全保障上の問題等による当社グループの社会的信用の低下
・大国間の対立激化等に伴う世界的なサイバー攻撃被害の拡大等による当社グループ及び外部委託先等における業務の停滞・情報漏えいや、サイバーセキュリティ関連法規制の強化による財務的な負担等の発生
・大国間の対立激化や保護主義の台頭等に伴う規制変更や軍事的行動等による特定の国や地域での事業の制限・中断・撤退(人的被害を含む)、戦争危険等を担保する特約等の保険金支払の発生、課税強化による財務的な負担

② エマージングリスク
中長期的な視点から当社経営に影響を与える可能性のある事象や、現時点では当社経営への影響の大きさ、発生時期の把握が難しいものの、経営が認識すべき事象を次のとおり「エマージングリスク」として特定し、定期的にモニタリングしております。
エマージングリスク
1経済・消費者行動・ビジネスモデルの大きな変化・変革を及ぼす新たな仕組みや革新的な技術の出現・台頭
2自然資本の毀損(資源の枯渇、生態系の劣化・危機、環境に甚大な損害を与える人為的な汚染や事故)
3当社グループに大きな影響を及ぼす可能性がある国内外の法令・制度・規制等の新設・改廃
4社会資本(橋梁・トンネル・河川施設・港湾施設・上下水道等)の維持管理・更新の大幅な停滞・遅延、エネルギー等の大幅かつ恒常的な供給不足

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。