有価証券報告書-第54期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
1.リスクマネジメント基本方針
MIRARTHホールディングスグループは、お客さま・パートナー・役員・従業員及びその家族の安全の確保及び社会的責任の遂行、地球環境との調和、永続的な事業の継続、企業価値の向上をリスクマネジメントの基本方針とし、各リスクの抽出・管理を行っております。
また、推進体制として「リスクマネジメント委員会」を設置し、グループ全体においてリスクマネジメントの徹底を図っております。
2.リスクマネジメント体制
(1)リスクマネジメント委員会について
当社ではグループの安定的かつ持続可能な成長を支えるために、グループ全体のリスクを統括するリスクマネジメント委員会を定期的に開催することで、積極的かつ戦略的なリスク管理を実践しております。
① 開催頻度
リスクマネジメント委員会は年4回の定例会議に加え、業界や市場の変化等に対応するため必要に応じて開催しております。これにより、リスクに対する迅速な意思決定と適切な対応が確保されております。
② 委員構成
原則として、当社のリスクマネジメント委員会は、グループCROを委員長に、グループCFOと2名の社外取締役を委員とする構成となっており、これにより、機動的かつ専門的な視点からリスクを評価・意思決定できる体制となっております。また、法務部門の責任者を委員会に加えることで、法的観点からの検討を強化し、より包括的なリスク管理を実現しています。加えて、監査役がオブザーバーとして参加することで、リスクマネジメントプロセスの監督機能と客観性を確保しております。
③ 議事内容
リスクマネジメント委員会の議事は多岐にわたりますが、主に以下の項目に焦点を当て議事を行っております。
2025年度においては、リスク事案に対する適切な意思決定プロセスを確保するため、新たにリスクマネジメント委員会諮問基準及びフローを策定し、それに基づいた報告・諮問体制を構築いたしました。当該体制による運用を開始することにより、更なるガバナンスの強化を図っております。
・リスクマネジメント委員会にて、「リスクマップ」にあげられたリスク項目の対応状況
・上記以外のリスク項目について、対応方針の変更や見直し等のリスク対応状況
・新たなリスクについて、重要度や対応優先度についての協議、決定
・企業戦略とリスクポートフォリオの整合性の確認
・今後のリスクマネジメント運営方針の協議、決定
・リスクマネジメント委員会諮問基準に該当するリスク事案についての協議、答申
④ 開催実績
2025年度においては、リスクマネジメント委員会を定例会議4回、臨時会議2回の計6回開催しました。これらの会議では、当社グループの事業を取り巻く多様なリスクを適切に管理し、企業価値の維持・向上を目指し、主に次の点について協議等を行いました。
[定例会議]
第1回(4月14日開催):第53期リスク管理状況を報告のうえ、全社的な潜在リスクを網羅的に洗い出し、発生可能性と影響度を評価し、優先対応リスクを特定。
第2回(7月7日開催):個別プロジェクトのリスク分析及び軽減策の報告に加え、グループ全体のリスク管理表の運用及びチェックリストの精度向上に向けた改善策を協議。
第3回(10月14日開催):個別プロジェクトの諮問基準策定に向けた定義及び運用の改善、紛争事案に伴うリスク管理の高度化に関する審議。
第4回(1月13日開催):事業部門の人的体制確立、BCP対応、個別案件のリスクチェックリスト運用改善及び海外事業の潜在リスクに関する審議。
[臨時会議]
第1回(9月8日開催):国際事業における既存投資事業の状況報告及び新規参入に伴うリスクに関する審議。
第2回(2月9日開催):再開発事業における計画変遷に伴うシミュレーションの妥当性やアセットポートフォリオでの位置づけに関する審議。
(2)個別重要事業におけるリスクチェックリストについて
当社グループは、各事業が内包する多様なリスクをより早期かつ精緻に特定・評価するため、新規事業や一定規模以上の大型プロジェクト等の個別重要事業を対象とした、独自の「リスクチェックリスト」の運用を開始いたしました。本チェックリストでは、多角的な視点からリスクを検証できるよう、網羅的な項目を設定しております。具体的には、事業計画の実現可能性や市場・競合優位性などを評価する「戦略リスク」、初期投資額や資金調達コストに加え、全社的なBS(貸借対照表)やPL(損益計算書)等へ与える財務インパクトを検証する「財務リスク」を含んでいます。さらに、関連法規制の遵守状況、業務フローの確立度、人材確保、サプライチェーンの安定性などの「オペレーショナルリスク・コンプライアンスリスク」、ならびに気候変動やBCP(事業継続計画)策定状況などを評価する「環境リスク」まで、広範なリスクファクターを網羅しております。また、事業部門等による自己評価にとどまらず、グループ財務部やグループ経営管理部等のコーポレート部門が客観的な意見・評価を付記する仕組みを取り入れています。
これにより、これまで定性的に捉えられがちであったプロジェクト単体のリスクが具体的に可視化されるとともに、全社的な業績や経営計画に与える影響を適切に把握することが可能となりました。事業推進の初期段階から本チェックリストを活用して実務的なリスク回避策を立案することで、戦略的リスクテイクと確実なプロジェクト完遂の両立を支える重要なツールとして機能しております。
(3)リスクマネジメント委員会諮問基準・フロー策定について
上記のリスクチェックリスト導入に伴い、経営の意思決定におけるリスク評価の実効性と客観性を高めるため、リスクマネジメント委員会への諮問に関する明確な基準と新たなプロセス(フロー)を策定し、運用を開始いたしました。
具体的には、主要事業会社である株式会社タカラレーベンの取締役会基準に準拠し、大型プロジェクト等を委員会の事前諮問対象として明確化しました。また、金額の大小にかかわらずすべての「新規事業」、及び国際事業などが参画する「リスクマネジメント委員会が個別に指定した事業」についても、必須の諮問対象として定めております。
運用フローとしては、各事業部が各社取締役会へ議案として上程する前に、事業概要と前述の「リスクチェックリスト」をリスクマネジメント委員会事務局へ提出、グループCROの検証を踏まえ、リスクマネジメント委員会において事業の潜在的リスクや回避策の妥当性を多角的に審議し、その答申を取締役会での決議に反映させる一気通貫の仕組みを構築いたしました。
本基準・フローの定着により、堅牢なガバナンスの維持と機動的な事業展開の両立を実現しております。
3.リスクマネジメントプロセス
当社グループのリスクマネジメントプロセスは以下のとおりです。
[概念図]

(1)リスクの特定
リスクマネジメントにおいては、世の中にある無数のリスクの中から、当社が対処すべきリスクの特定と、その優先順位付けが欠かせない要素となっております。当社グループでは以下フローに従い、リスクの特定と優先順位付けを行いました。
[リスク特定のフロー図]

① グループ各社におけるリスクの洗い出し
グループ各社に対し「事業戦略リスク」「オペレーショナルリスク」「ハザードリスク」について網羅的に洗い出し、その「影響度」と「発生頻度」等を評価し定量的なスコアリングを行い、この評価に基づいて優先順位を付けます。高い影響度と頻度を持つリスクは、優先的に対応を検討します。
あわせてそれぞれのリスクの現況やリスクシナリオ、機会や対応案についても一次的な検討を行います。
また、内部監査室やグループ経営管理部との緊密な情報共有を通じて、グループ各社固有の潜在的リスクを特定したうえで、事務局の視点から適切な助言を行い、グループ各社の検討内容を精緻化させることで、リスク管理の実効性を高めております。
② リスクの抽出
①にて提出されたリスクについて、提出されたリスクを横断的に俯瞰・比較し、52項目を抽出しました。
抽出に際しては内外の環境分析や経営層のヒアリングを行い、優先度はもとより、当社グループの中期経営計画や、置かれている環境等を考慮いたしました。また、一次的な検討を行ったそれぞれのリスクの現況やリスクシナリオ、機会や対応案について、記載レベルの平準化、統一化を行い確定させました。
③ リスクの特定(リスクマップ掲載事項)
②にて抽出された52の重要リスクについて、リスクマネジメント委員会の委員それぞれから、リスクマップに掲載すべき事項、及び最優先事項について個別に意見を聞き、リスクマネジメント委員会での協議を経て、リスクマップに掲載すべき15項目を抽出しました。
④ 最重要リスクの特定
③にて抽出されたリスクマップ掲載事項となる15のリスク項目から、当社グループが最優先で対応し、ウォッチすべき最も重要なリスクを7項目特定しました。
①にて提出された全リスクのうち、リスクマップ掲載事項となる最重要リスク(Aランク)、Aランクを除くリスクマップ掲載事項となる重要リスク(Bランク)、②にて抽出されたリスクからAランクとBランクを除いたリスク(Cランク)の分類は次のとおりです。
(2)リスクの評価
リスクの評価方法は、各社各部門にて洗い出されたリスクについて、「影響度」と「発生頻度/発生可能性」を掛け合わせてスコアリングを行い、評価しました。
① 「影響度」について
人的な被害や、金銭的な損害、売上・利益の棄損、信用、監督官庁等からの処分・指導の5つの定義に基づき、それぞれの影響の大きさを「大・中・小」の3段階で評価しております。
② 「発生頻度・発生可能性」の評価について
「発生頻度」は当該リスクがどの程度の頻度で発生する可能性があるか、また「発生可能性」については、当該リスクの発生確率を当社所定の基準に従い「高・中・低」の3段階で評価しております。なお、リスクの項目により「頻度」あるいは「可能性」で評価することとしております。
なお、判断基準は次のとおりです。
リスク分析の判断基準
③ 「リスク」について
抽出された各リスクについて、関係する各社各部門がその現況をどのように理解し認識しているかについて、また当該リスクが顕在化した時に各社各部門において、どのようなことが想定されるのかを取りまとめております。
これらにより、漠然としたリスクを具体化し、リスク対応のイメージをより明確にしております。
④ 「機会」について
当該リスクを「機会」と捉えたときに、どのようなシナリオが想定されるかを具体的にイメージさせ、リスクテイクしていく際の検討資料とします。
(3)リスクの対応
特定されたリスクに対する適切な対策や対処策を策定します。対処策にはリスクの軽減、回避、転嫁、受容などが含まれます。リスクが許容範囲内に収まるようにすべく、アクションレベルで具体的に記載します。
2025年度においては、各社各部門によるリスク対策の進捗報告制度を開始しました。個々のアクションの実施状況を具体的に把握し、進捗を可視化することで、当初策定した対処策の確実な実行を促し、リスク評価値の計画的な低減を推進しました。
(4)リスクのモニタリングと報告
抽出されたリスク項目の内、リスクマップに掲載した15のリスク項目については、四半期に一度の頻度で開催されるリスクマネジメント委員会において、それぞれのリスクの状況をモニタリングし、必要に応じて戦略やプロセスの修正を行ってまいります。なお、最優先リスクとして特定された7項目につきましては、これらとは別により詳細に現況とリスクシナリオ、機会、リスク対応についての効果を確認することで、リスクの変動を追跡し、報告を行うとともに、必要に応じた修正や調整をより詳細に行います。
[体制図及び運用フロー]

(5)リスクマネジメントの対応状況(2025年度)
2025年度は、新たに導入したリスク対策の進捗報告制度により、個々のアクションの実施状況を具体的に把握・可視化できたことで、各ランクにおいて高い対応進捗率を達成し、確実なリスク低減効果を確認いたしました。なお、年間を通じてリスク評価の厳格化を推進しており、当社グループを取り巻く最新の社会情勢及び市場環境等を適切に反映させた結果、期中において一部のリスク評価値の上昇がみられました。しかしながら、これはリスクマネジメント運用の精度向上と現状把握の適正化を不断に実施していることによるものであります。一方で、外部環境に起因するリスク評価の下げ止まりや、各社・各部門間におけるリスク評価精度のばらつきといった課題も明確となっております。今後は、継続的なPDCAサイクルの定着を通じて評価精度の平準化を図るとともに、具体的な損失回避効果の測定等を行い、引き続きより実効性の高いリスク管理体制の構築に努めてまいります。
2025年度はリスク対策の進捗報告制度を開始したことにより年間を通じて対応が順調に進み、大半の項目が対応進捗率80~100%に達しました。中でも「不動産市場の動向」「ガバナンスの強化」「気候変動」については、期初対応策が定着し進捗率100%を達成しております。一方で、外部要因に強く依存する構造的なリスクであるため、評価自体は劇的に低減せず低位安定に留まっており、今後は施策の対応進捗のみならず、具体的な損失回避効果を測定・設定していくことが重要課題であると認識しております。

重要リスク(Bランク)においても年間を通じて対応が順調に進み、大半の項目で対応進捗率80~100%に達しました。特に「品質管理の維持」「原材料コストの変動」については進捗率100%を達成しております。最重要リスク(Aランク)とは異なり、現場主導の具体的な改善活動が着実に機能したことで、リスク評価値が抑制されリスク低減に効果を発揮している点が特徴であります。
今年度より、各グループ会社及び各部門においてリスク(Cランク)の管理を新たに開始し、全社的なリスクマネジメントの裾野を拡大いたしました。対応進捗率は第1四半期から第4四半期にかけて着実に上昇し、多くの項目で最終的に進捗率100%を達成しており、主要なグループ各社においては80~100%に近い高水準まで上昇しております。これに伴い、リスクの発生可能性及び影響度のスコアも期初と比較して低減傾向にあり、具体的な対応策の実行がリスクの低減に確実な効果を発揮していることが確認されております。
一方で、各社各部門によっては対応の進捗度合いやリスク評価の精度にばらつきがみられ、事務局から改善や見直しを求めるケースもありました。今後は、グループ全体におけるさらなるリスク管理体制の標準化やルールの可視化を図るとともに、形骸化を防ぐための継続的なPDCAサイクルの定着が重要課題であると認識しております。
4.当社グループの具体的なリスクについて
(1)リスクマップ
リスクマップは、特定されたリスクの重要度と優先順位を可視化し、経営戦略の立案段階からリスク管理の視点を組み込むとともに、実効性のあるリスク対応策を策定・実行するための重要なツールとして活用しております。

(2)リスク見直しの実施
※変更点は下線部です。
(3)重要リスク一覧
(4)最重要リスク説明
① 不動産市場の動向
② 金融市場の変化
③ 再生可能エネルギー市場の変化
④ ポートフォリオ管理
⑤ 人権への対応(労務環境)
⑥ ガバナンスの強化
⑦ 多様な人材の確保
5.危機管理体制(クライシスマネジメント)
当社は、不測の事態が発生した場合に迅速かつ的確に対応を行うために、危機管理体制を整備しています。事業にもたらす損害の影響度に応じ危機を以下の4段階の管理レベルに分け、危機管理チームを設置し対応にあたります。
(1)委員会体制
危機が発生した場合、対策組織長が危機の管理レベルに応じて直ちに対策組織の設置を命じ、事態の早期終息を図ります。
※1 対策組織長が出張等により不在の場合は、管理レベルA、BについてはグループCROが代行し、尚も不在の場合は総務業務管掌役員がこれを代行する。
管理レベルC、Dにおいては発生した危機に基づく職責に応じた最上位の者が責任者を代行する。
※2 対策組織長を代行する等事務局長が不在の場合、管理レベルA・Bは総務業務担当部署の長が代行する。
(2)委員会構成(メンバー)
危機の管理レベルA、Bは、対策組織長を社長、事務局長を総務業務管掌の本部長として、危機の管理レベルC、Dは、発生した対象危機について業務分掌表に基づく職責ある各部署を主管部署として委員会を構成します。
(3)運用基準
対象危機に対して対策組織長である社長が管理レベルの設定を行います。管理レベルA・Bは、対策組織長を社長として事務局を設置し、管理レベルC・Dは、対策組織長を各事業本部長(または本部長)として責任部署を指名し、危機対応にあたります。
<事業継続計画(BCP)>当社は、地震などの大規模自然災害や感染症、人為的な災害(戦争、テロ、事故等)の事態が発生した場合において、役員・従業員等の人命の安全を確保し、会社資産の被害を最小限に留め、事業の継続・早期復旧を果たすために、事業継続計画(BCP)策定の取組みをしています。
(1)基本方針
当社は従業員の安全を確保し、組織全体の事業活動を可能な限り維持または早期復旧に努めることで、ステークホルダーに対して社会的責任を果たすことを基本方針とします。
具体的には、以下の3点を柱として事業継続体制を構築・運用してまいります。
① 人命の安全確保を最優先する。
② 重要業務を継続・早期復旧し、経営の損失の最小化を図る。
③ 地域社会の安全や復興に貢献する。
(2)運用体制(サイクル)
当社は、グループ全体に影響を与える可能性のある重大事項等は、即時報告として情報を把握して必要に応じて意思決定を行います。即時報告に該当する項目は以下のとおりです。
即時報告に該当しない項目は、定期報告として発災3時間後を第一報として、以降17時まで3時間ごとに情報を把握し、発災翌日以降から1週間が経過するまで行います。
事業継続計画(BCP)の策定に伴い、事業継続マネジメント(BCM)の体制を構築します。
(3)対象リスク
大地震や風水害等の自然災害に限定せず、当社の操業度を著しく低下させるリスクを対象とします。
(4)BCP対応範囲
当社の組織全体の操業度が著しく低下し、復旧まで時間がかかる局面を対応範囲とします。
(5)発動基準
当社は、日本国内及び海外事業拠点に震度6弱以上の地震の発生時、または不測の事態により組織全体の事業継続が維持できない等の非常事態の発生時に、対策組織長がBCPを発動するものとします。
(6)事業継続マネジメント(BCM)体制の構築
当社は、事業継続計画(BCP)関連文書において、平時の点検や訓練による検証等に基づき、定期的な見直しと改善を図ります。昨年度においては、全従業員を対象とした「危機管理・BCP研修」を実施し、不測の事態における基本的な考え方の習得や、組織全体での意識の醸成を図りました。また、事業の大幅な変更・再構築、事業拡大、拠点の移転、重要業務の変更等が生じた場合にも事業継続計画(BCP)を見直すものとします。これらのPDCAサイクルを確立することで、事業継続マネジメント(BCM)体制を構築します。
MIRARTHホールディングスグループは、お客さま・パートナー・役員・従業員及びその家族の安全の確保及び社会的責任の遂行、地球環境との調和、永続的な事業の継続、企業価値の向上をリスクマネジメントの基本方針とし、各リスクの抽出・管理を行っております。
また、推進体制として「リスクマネジメント委員会」を設置し、グループ全体においてリスクマネジメントの徹底を図っております。
2.リスクマネジメント体制
(1)リスクマネジメント委員会について
当社ではグループの安定的かつ持続可能な成長を支えるために、グループ全体のリスクを統括するリスクマネジメント委員会を定期的に開催することで、積極的かつ戦略的なリスク管理を実践しております。
① 開催頻度
リスクマネジメント委員会は年4回の定例会議に加え、業界や市場の変化等に対応するため必要に応じて開催しております。これにより、リスクに対する迅速な意思決定と適切な対応が確保されております。
② 委員構成
原則として、当社のリスクマネジメント委員会は、グループCROを委員長に、グループCFOと2名の社外取締役を委員とする構成となっており、これにより、機動的かつ専門的な視点からリスクを評価・意思決定できる体制となっております。また、法務部門の責任者を委員会に加えることで、法的観点からの検討を強化し、より包括的なリスク管理を実現しています。加えて、監査役がオブザーバーとして参加することで、リスクマネジメントプロセスの監督機能と客観性を確保しております。
③ 議事内容
リスクマネジメント委員会の議事は多岐にわたりますが、主に以下の項目に焦点を当て議事を行っております。
2025年度においては、リスク事案に対する適切な意思決定プロセスを確保するため、新たにリスクマネジメント委員会諮問基準及びフローを策定し、それに基づいた報告・諮問体制を構築いたしました。当該体制による運用を開始することにより、更なるガバナンスの強化を図っております。
・リスクマネジメント委員会にて、「リスクマップ」にあげられたリスク項目の対応状況
・上記以外のリスク項目について、対応方針の変更や見直し等のリスク対応状況
・新たなリスクについて、重要度や対応優先度についての協議、決定
・企業戦略とリスクポートフォリオの整合性の確認
・今後のリスクマネジメント運営方針の協議、決定
・リスクマネジメント委員会諮問基準に該当するリスク事案についての協議、答申
④ 開催実績
2025年度においては、リスクマネジメント委員会を定例会議4回、臨時会議2回の計6回開催しました。これらの会議では、当社グループの事業を取り巻く多様なリスクを適切に管理し、企業価値の維持・向上を目指し、主に次の点について協議等を行いました。
[定例会議]
第1回(4月14日開催):第53期リスク管理状況を報告のうえ、全社的な潜在リスクを網羅的に洗い出し、発生可能性と影響度を評価し、優先対応リスクを特定。
第2回(7月7日開催):個別プロジェクトのリスク分析及び軽減策の報告に加え、グループ全体のリスク管理表の運用及びチェックリストの精度向上に向けた改善策を協議。
第3回(10月14日開催):個別プロジェクトの諮問基準策定に向けた定義及び運用の改善、紛争事案に伴うリスク管理の高度化に関する審議。
第4回(1月13日開催):事業部門の人的体制確立、BCP対応、個別案件のリスクチェックリスト運用改善及び海外事業の潜在リスクに関する審議。
[臨時会議]
第1回(9月8日開催):国際事業における既存投資事業の状況報告及び新規参入に伴うリスクに関する審議。
第2回(2月9日開催):再開発事業における計画変遷に伴うシミュレーションの妥当性やアセットポートフォリオでの位置づけに関する審議。
(2)個別重要事業におけるリスクチェックリストについて
当社グループは、各事業が内包する多様なリスクをより早期かつ精緻に特定・評価するため、新規事業や一定規模以上の大型プロジェクト等の個別重要事業を対象とした、独自の「リスクチェックリスト」の運用を開始いたしました。本チェックリストでは、多角的な視点からリスクを検証できるよう、網羅的な項目を設定しております。具体的には、事業計画の実現可能性や市場・競合優位性などを評価する「戦略リスク」、初期投資額や資金調達コストに加え、全社的なBS(貸借対照表)やPL(損益計算書)等へ与える財務インパクトを検証する「財務リスク」を含んでいます。さらに、関連法規制の遵守状況、業務フローの確立度、人材確保、サプライチェーンの安定性などの「オペレーショナルリスク・コンプライアンスリスク」、ならびに気候変動やBCP(事業継続計画)策定状況などを評価する「環境リスク」まで、広範なリスクファクターを網羅しております。また、事業部門等による自己評価にとどまらず、グループ財務部やグループ経営管理部等のコーポレート部門が客観的な意見・評価を付記する仕組みを取り入れています。
これにより、これまで定性的に捉えられがちであったプロジェクト単体のリスクが具体的に可視化されるとともに、全社的な業績や経営計画に与える影響を適切に把握することが可能となりました。事業推進の初期段階から本チェックリストを活用して実務的なリスク回避策を立案することで、戦略的リスクテイクと確実なプロジェクト完遂の両立を支える重要なツールとして機能しております。
(3)リスクマネジメント委員会諮問基準・フロー策定について
上記のリスクチェックリスト導入に伴い、経営の意思決定におけるリスク評価の実効性と客観性を高めるため、リスクマネジメント委員会への諮問に関する明確な基準と新たなプロセス(フロー)を策定し、運用を開始いたしました。
具体的には、主要事業会社である株式会社タカラレーベンの取締役会基準に準拠し、大型プロジェクト等を委員会の事前諮問対象として明確化しました。また、金額の大小にかかわらずすべての「新規事業」、及び国際事業などが参画する「リスクマネジメント委員会が個別に指定した事業」についても、必須の諮問対象として定めております。
運用フローとしては、各事業部が各社取締役会へ議案として上程する前に、事業概要と前述の「リスクチェックリスト」をリスクマネジメント委員会事務局へ提出、グループCROの検証を踏まえ、リスクマネジメント委員会において事業の潜在的リスクや回避策の妥当性を多角的に審議し、その答申を取締役会での決議に反映させる一気通貫の仕組みを構築いたしました。
本基準・フローの定着により、堅牢なガバナンスの維持と機動的な事業展開の両立を実現しております。
3.リスクマネジメントプロセス
当社グループのリスクマネジメントプロセスは以下のとおりです。
[概念図]

(1)リスクの特定
リスクマネジメントにおいては、世の中にある無数のリスクの中から、当社が対処すべきリスクの特定と、その優先順位付けが欠かせない要素となっております。当社グループでは以下フローに従い、リスクの特定と優先順位付けを行いました。
[リスク特定のフロー図]

① グループ各社におけるリスクの洗い出し
グループ各社に対し「事業戦略リスク」「オペレーショナルリスク」「ハザードリスク」について網羅的に洗い出し、その「影響度」と「発生頻度」等を評価し定量的なスコアリングを行い、この評価に基づいて優先順位を付けます。高い影響度と頻度を持つリスクは、優先的に対応を検討します。
あわせてそれぞれのリスクの現況やリスクシナリオ、機会や対応案についても一次的な検討を行います。
また、内部監査室やグループ経営管理部との緊密な情報共有を通じて、グループ各社固有の潜在的リスクを特定したうえで、事務局の視点から適切な助言を行い、グループ各社の検討内容を精緻化させることで、リスク管理の実効性を高めております。
② リスクの抽出
①にて提出されたリスクについて、提出されたリスクを横断的に俯瞰・比較し、52項目を抽出しました。
抽出に際しては内外の環境分析や経営層のヒアリングを行い、優先度はもとより、当社グループの中期経営計画や、置かれている環境等を考慮いたしました。また、一次的な検討を行ったそれぞれのリスクの現況やリスクシナリオ、機会や対応案について、記載レベルの平準化、統一化を行い確定させました。
③ リスクの特定(リスクマップ掲載事項)
②にて抽出された52の重要リスクについて、リスクマネジメント委員会の委員それぞれから、リスクマップに掲載すべき事項、及び最優先事項について個別に意見を聞き、リスクマネジメント委員会での協議を経て、リスクマップに掲載すべき15項目を抽出しました。
④ 最重要リスクの特定
③にて抽出されたリスクマップ掲載事項となる15のリスク項目から、当社グループが最優先で対応し、ウォッチすべき最も重要なリスクを7項目特定しました。
①にて提出された全リスクのうち、リスクマップ掲載事項となる最重要リスク(Aランク)、Aランクを除くリスクマップ掲載事項となる重要リスク(Bランク)、②にて抽出されたリスクからAランクとBランクを除いたリスク(Cランク)の分類は次のとおりです。
| 2025年度 | 2026年度 | |||||
| 事業戦略リスク | オペレーショナルリスク | ハザードリスク | 事業戦略リスク | オペレーショナルリスク | ハザードリスク | |
| Aランク | 7個 | - | - | 7個 | - | - |
| Bランク | 6個 | - | - | 8個 | - | - |
| Cランク | 5個 | 30個 | 2個 | 4個 | 31個 | 2個 |
(2)リスクの評価
リスクの評価方法は、各社各部門にて洗い出されたリスクについて、「影響度」と「発生頻度/発生可能性」を掛け合わせてスコアリングを行い、評価しました。
① 「影響度」について
人的な被害や、金銭的な損害、売上・利益の棄損、信用、監督官庁等からの処分・指導の5つの定義に基づき、それぞれの影響の大きさを「大・中・小」の3段階で評価しております。
② 「発生頻度・発生可能性」の評価について
「発生頻度」は当該リスクがどの程度の頻度で発生する可能性があるか、また「発生可能性」については、当該リスクの発生確率を当社所定の基準に従い「高・中・低」の3段階で評価しております。なお、リスクの項目により「頻度」あるいは「可能性」で評価することとしております。
なお、判断基準は次のとおりです。
リスク分析の判断基準
| 影響度 | 定義 | ||||||
| 等級 | 表記 | 人 | 金銭 | 売上/利益 | 信用 | 処分・指導 | |
| 3 | 大 | 顧客や従業員、ステークホルダーに死傷者が発生するもの。 | 1億円以上の財政的損失 | 売上高の目標(あるいは想定)を、10%以上の下方修正させる要因となるもの。 | 営業利益、経常利益、当期純利益の目標(あるいは想定)のいずれかを、30%以上の下方修正させる要因となるもの。 | ・年単位の長期にわたり売り上げや利益に影響を及ぼす。 ・ステークホルダーとの良好な関係が破綻する。 | 監督官庁等から、免許停止処分以上の処分を受けるもの。 |
| 2 | 中 | 顧客や従業員、ステークホルダーに身体的・精神的な影響が相当程度およぶもの。 | 1,000万円以上、1億円未満の財政的損失 | 売上高の目標(あるいは想定)を、5%以上10%未満の下方修正させる要因となるもの。 | 営業利益、経常利益、当期純利益の目標(あるいは想定)のいずれかを10%以上30%未満の下方修正させる要因となるもの。 | ・数か月に売り上げや利益に影響を及ぼす。 ・ステークホルダーとの間で一時的に良好な関係が停止する。 | 監督官庁等から、免許業上その他、法令や規約に基づく処分を受ける(処分内容が外部に開示される。) |
| 1 | 小 | 顧客や従業員、ステークホルダーに身体的・精神的な影響が軽微ながらおよぶもの。 | 1,000万円未満の財政的損失 | 売上高の目標(あるいは想定)を、5%未満の下方修正させる要因となるもの。 | 営業利益、経常利益、当期純利益の目標(あるいは想定)のいずれかを10%未満の下方修正させる要因となるもの。 | ・一時的に売り上げや利益に影響を及ぼす。 ・ステークホルダーが当社に対し、不快な印象を持つ。 | 監督官庁等から、口頭注意、指摘を受ける(外部には開示されない)。 |
| 発生可能性(頻度) | 発生可能性(確率) | ||||
| 等級 | 表記 | 内容 | 等級 | 表記 | 内容 |
| 3 | 高 | 1年に1度以上の頻度 | 3 | 高 | 80%以上の確率で発生 |
| 2 | 中 | 数年に1度の頻度 | 2 | 中 | 20%以上80%未満の確率で発生 |
| 1 | 低 | 10年に1度の頻度 | 1 | 低 | 20%未満の確率 |
③ 「リスク」について
抽出された各リスクについて、関係する各社各部門がその現況をどのように理解し認識しているかについて、また当該リスクが顕在化した時に各社各部門において、どのようなことが想定されるのかを取りまとめております。
これらにより、漠然としたリスクを具体化し、リスク対応のイメージをより明確にしております。
④ 「機会」について
当該リスクを「機会」と捉えたときに、どのようなシナリオが想定されるかを具体的にイメージさせ、リスクテイクしていく際の検討資料とします。
(3)リスクの対応
特定されたリスクに対する適切な対策や対処策を策定します。対処策にはリスクの軽減、回避、転嫁、受容などが含まれます。リスクが許容範囲内に収まるようにすべく、アクションレベルで具体的に記載します。
2025年度においては、各社各部門によるリスク対策の進捗報告制度を開始しました。個々のアクションの実施状況を具体的に把握し、進捗を可視化することで、当初策定した対処策の確実な実行を促し、リスク評価値の計画的な低減を推進しました。
(4)リスクのモニタリングと報告
抽出されたリスク項目の内、リスクマップに掲載した15のリスク項目については、四半期に一度の頻度で開催されるリスクマネジメント委員会において、それぞれのリスクの状況をモニタリングし、必要に応じて戦略やプロセスの修正を行ってまいります。なお、最優先リスクとして特定された7項目につきましては、これらとは別により詳細に現況とリスクシナリオ、機会、リスク対応についての効果を確認することで、リスクの変動を追跡し、報告を行うとともに、必要に応じた修正や調整をより詳細に行います。
[体制図及び運用フロー]

(5)リスクマネジメントの対応状況(2025年度)
2025年度は、新たに導入したリスク対策の進捗報告制度により、個々のアクションの実施状況を具体的に把握・可視化できたことで、各ランクにおいて高い対応進捗率を達成し、確実なリスク低減効果を確認いたしました。なお、年間を通じてリスク評価の厳格化を推進しており、当社グループを取り巻く最新の社会情勢及び市場環境等を適切に反映させた結果、期中において一部のリスク評価値の上昇がみられました。しかしながら、これはリスクマネジメント運用の精度向上と現状把握の適正化を不断に実施していることによるものであります。一方で、外部環境に起因するリスク評価の下げ止まりや、各社・各部門間におけるリスク評価精度のばらつきといった課題も明確となっております。今後は、継続的なPDCAサイクルの定着を通じて評価精度の平準化を図るとともに、具体的な損失回避効果の測定等を行い、引き続きより実効性の高いリスク管理体制の構築に努めてまいります。
2025年度はリスク対策の進捗報告制度を開始したことにより年間を通じて対応が順調に進み、大半の項目が対応進捗率80~100%に達しました。中でも「不動産市場の動向」「ガバナンスの強化」「気候変動」については、期初対応策が定着し進捗率100%を達成しております。一方で、外部要因に強く依存する構造的なリスクであるため、評価自体は劇的に低減せず低位安定に留まっており、今後は施策の対応進捗のみならず、具体的な損失回避効果を測定・設定していくことが重要課題であると認識しております。
重要リスク(Bランク)においても年間を通じて対応が順調に進み、大半の項目で対応進捗率80~100%に達しました。特に「品質管理の維持」「原材料コストの変動」については進捗率100%を達成しております。最重要リスク(Aランク)とは異なり、現場主導の具体的な改善活動が着実に機能したことで、リスク評価値が抑制されリスク低減に効果を発揮している点が特徴であります。
今年度より、各グループ会社及び各部門においてリスク(Cランク)の管理を新たに開始し、全社的なリスクマネジメントの裾野を拡大いたしました。対応進捗率は第1四半期から第4四半期にかけて着実に上昇し、多くの項目で最終的に進捗率100%を達成しており、主要なグループ各社においては80~100%に近い高水準まで上昇しております。これに伴い、リスクの発生可能性及び影響度のスコアも期初と比較して低減傾向にあり、具体的な対応策の実行がリスクの低減に確実な効果を発揮していることが確認されております。一方で、各社各部門によっては対応の進捗度合いやリスク評価の精度にばらつきがみられ、事務局から改善や見直しを求めるケースもありました。今後は、グループ全体におけるさらなるリスク管理体制の標準化やルールの可視化を図るとともに、形骸化を防ぐための継続的なPDCAサイクルの定着が重要課題であると認識しております。
4.当社グループの具体的なリスクについて
(1)リスクマップ
リスクマップは、特定されたリスクの重要度と優先順位を可視化し、経営戦略の立案段階からリスク管理の視点を組み込むとともに、実効性のあるリスク対応策を策定・実行するための重要なツールとして活用しております。

(2)リスク見直しの実施
| 変更前 | 変更後 | 変更理由 |
| 人材の確保 (Bランク) | 多様な人材の確保 (Aランク) | 多様な視点や専門性を持つ人材の確保は、イノベーションの創出や持続的な企業価値向上に向けた経営基盤の強靭化に不可欠であるため |
| 気候変動 (Aランク) | 気候変動 (Bランク) | 脱炭素社会の実現に向けた政府指針に対応する社内体制整備に一定の目処が立ち、リスク管理の優先順位が相対的に変化したこと、また市場や社会的要請に対し適切な対応・開示が継続できているため |
| 新規事業への参入 (Bランク) | 新規事業への参入及び統合 (インテグレーション) (Bランク) | 市場環境の激化に伴い、既存事業との相乗効果を生む組織統合プロセスの重要性が増しており、グループ全体の持続的成長に不可欠であるため |
| 情報管理体制 (Cランク) | 情報管理体制 (Bランク) | ITインフラの脆弱性が事業継続に直結するリスクが拡大しており、情報セキュリティの強化と適切なガバナンス体制の構築が強く求められているため |
| (新規) | 内部統制の実効性機能 (Bランク) | グループ拡大に伴う組織の複雑化に対応し、意思決定の透明性と法令遵守を徹底する体制構築が、持続的な企業価値向上のために不可欠であるため |
※変更点は下線部です。
(3)重要リスク一覧
| 項番 | 重要リスク | リスクの内容 | 機会 | 対応 | 関連マテリアリティ |
| 1 | 不動産市場の動向 | ・追加利上げによる支払利息の増加 ・保有不動産の時価下落と減損の発生 ・建築コスト高止まりによる利益の圧迫 ・購買力低下による成約の長期化 | ・他社の資産売却による物件取得の好機 ・好立地物件の適正、割安価格での取得 ・環境やDX対応への改装で価値向上 ・再生後の高い賃料収益や売却益の獲得 | ・外部専門家との情報共有と社内展開 ・製販一体の強みでニーズを商品に反映 ・徹底した財務や指標管理で耐性を確保 ・戸建や再販事業への投資加速でリスクを分散 | 地域社会の持続的な成長の実現 |
| 2 | 金融市場の変化 | ・金利上昇による借入増と購入層の減少 ・融資厳格化による資金繰りへの影響 ・資材難による工期遅延や建設費の超過 ・エネルギー事業の資本コスト増加 | ・中古や賃貸の需要増によるインフレ耐性 ・都心既存ビルの希少化や割安物件の取得 ・デジタル技術活用と蓄電池の収益源化 ・国産エネルギー投資による持続的な成長 | ・財務基盤の強化と調達手法の多様化 ・アセットライト経営によるリスク低減 ・買取再販や多角化による資材リスク回避 | 地域社会の持続的な成長の実現 |
| 3 | 再生可能エネルギー市場の変化 | ・制度移行や市場価格変動等の環境変化 ・需給不均衡による出力制御の発生と拡大 ・価格転嫁が困難な収益構造 ・事業計画の見直しや減損損失の発生 ・コスト増や制度変更による業績への影響 | ・脱炭素化に伴う中長期的な市場の成長 ・蓄電池や環境価値取引などの新事業機会 ・培ったノウハウ活用による収益の改善 ・既存資産の入れ替えや安定事業への転換 ・多角的な周辺領域での企業価値の向上 | ・既存発電資産のモニタリングと運営改善 ・低利回り太陽光の売却と新規資産の導入 ・土地や開発権利をパッケージ化して売却 ・売却後の運営、管理によるフィービジネス ・有利子負債の抑制による健全な財務経営 | 再生可能エネルギーの安定供給と利用促進 |
| 4 | ポートフォリオ管理 | ・過度な高リスク投資による損失拡大 ・安定事業への偏重による期待収益率の低下 ・既存事業への依存による成長分野への投資の遅れ ・低収益事業の温存による株価低迷 | ・特定事業への依存を防ぐ多角的な投資拡大 ・次なる成長を牽引する新規収益機会の獲得 ・指標に基づく徹底した資産の入れ替えの実践 ・効率的な経営体制提示による株価の好循環 | ・月次の残高確認による過度な投資の抑制 ・定量評価に基づく事業方針のタイムリーな見直し ・指標を用いた四半期ごとの採算性検証 ・仕入れ抑制や物件売却の機動的な執行 | コーポレート・ガバナンスの強化 |
| 項番 | 重要リスク | リスクの内容 | 機会 | 対応 | 関連マテリアリティ |
| 5 | 人権への対応(労務環境) | ・労働環境不備による人材獲得の競争劣後 ・モチベーション低下に伴う生産性への悪影響 ・社会的評価の低下による深刻な競争劣位 ・労働環境の不備が招く企業の持続性への影響 | ・先んじた環境整備による優秀な人材の確保 ・厳格な就業環境の構築による生産性の向上 ・法令遵守の徹底による事業継続の優位性 ・一連の取り組みを通じた持続的な企業価値向上 | ・在宅勤務や幸福度調査による環境の維持 ・月次労働時間の監視による労務リスク軽減 ・面談や研修の実施によるモチベーションの向上 ・役員評価への反映や多面評価制度の実施 ・人権方針の策定と定期的なリスクの特定 | 従業員の健康と安全の確保 ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進 |
| 6 | ガバナンスの強化 | ・業務の誤りによる損害賠償や信頼喪失 ・経営者や従業員による不正行為の発生 ・法令違反や規則への抵触事案の発生 ・監視機能の不全による問題対処の長期化 ・初期対応の遅れによる被害の拡大 | ・リスク管理の実践による社会的信頼の向上 ・業務プロセス改善による組織全体の品質向上 ・形式の確立による経営判断の迅速性の確保 ・環境変化に対応する機動的な事業運営の実現 | ・機動的なオフサイト監査によるリスク低減 ・グループ全社のガバナンス維持と強化 ・組織間の緊密な連携による内部統制の強化 ・3ディフェンスラインによる体制の深化 ・連結会社との強固な管理体制の構築 | コーポレート・ガバナンスの強化 リスクマネジメントの強化 |
| 7 | 多様な人材の確保 | ・労働負荷の増大による人材流出の悪循環 ・組織の硬直化と多様な人材の不足 ・モチベーション低下に伴う生産性への悪影響 ・付加価値創出の停滞と社会的評価の低下 ・経営基盤を揺るがす深刻な競争劣位の到来 | ・多様な人材の活躍による生産性と品質の向上 ・労働市場における競争力の強化の実現 ・多様な視点の融合による新アイデアの創出 ・イノベーション誘発による中長期的な成長 ・取り組みの推進による企業価値の向上 | ・確定拠出年金の拡大による待遇の強化 ・共通研修やeラーニングによる能力開発 ・多様性推進プロジェクトと女性や障がい者などの採用強化 ・パーパス等を基準とした行動評価の推進 ・個別相談窓口や役員ミーティングによる組織健全化 | 少子高齢化、労働人口減少への対応 ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進 |
| 項番 | 重要リスク | リスクの内容 | 機会 | 対応 | 関連マテリアリティ |
| 8 | 気候変動 | ・省エネ規制強化による建築コスト増と減益 ・自然災害の激甚化による建物被害や工期遅延 ・工事期間の延長に伴う追加コストの発生 ・環境配慮の不備に伴う投資家の投資見送り | ・蓄電池開発への厳選投資による他社差別化 ・環境性能の高い建物開発による需要の喚起 ・再生エネルギー電力の導入に伴う住み替え需要創出 ・リニューアル再販拡大による物件の有効活用 ・防災意識の高まりを背景とした事業成長 | ・全領域を対象とした気候変動の定量分析 ・算出したデータの経営判断や開示への活用 ・計画推進による温室効果ガスの段階的削減 ・委員会での定期審議と取締役会への報告 ・目標達成に向けた必要な社内体制の構築 | 気候変動・脱炭素化への対応 再生可能エネルギーの安定供給と利用促進 |
| 9 | 新規事業への参入及び統合(インテグレーション) | ・既存事業と異なる市場や法規制への適応難 ・想定した事業計画や投資回収の未達成 ・買収後のシステムや組織統合の進捗遅延 ・シナジー未達や追加コストによる業績悪化 ・のれんや固定資産の減損損失による影響 | ・既存の顧客基盤を活用した新規収益の創出 ・バリューチェーン拡大による収益源多様化 ・補完関係の事業取込による顧客接点の強化 ・成長市場への参入による企業価値の向上 ・パーパス達成とサステナブルな未来の創造 | ・多面的な検証による投資判断の精度向上 ・精緻な調査に基づくリスク把握と統合計画の策定 ・リスクマネジメント委員会への諮問によるリスク管理の強化 ・投資後における業績やシナジーの継続監視 ・状況に応じた計画見直しや経営資源の再配分 ・撤退基準の検討による損失拡大の未然防止 | 地域社会の持続的な成長の実現 |
| 10 | 海外事業の展開 | ・現地の法改正や為替変動による損失 ・価格の変動や売却困難に伴う市場リスク ・工期の遅延や現地パートナーとの関係悪化 ・商慣習の違いや法理解不足による契約不履行 ・予期せぬ自然災害やテロによる事業中断 | ・日系大手実績物件への共同投資による成功 ・国内実績スキームの海外での再構築と模倣 ・高齢化地域におけるヘルスケア物件の開発 ・人口増に伴う需要を見据えた物流倉庫投資 ・中古再生による回転の速い再販スキーム | ・定例会議や外部レポートによる影響の精査 ・競合や開発予定の物件分析と販売戦略立案 ・月次での財務書類の確認と改善案の提案 ・複数部門や専門家による多角的な契約確認 ・地政学的リスクを見据えた確認項目の見直し | 地域社会の持続的な成長の実現 |
| 項番 | 重要リスク | リスクの内容 | 機会 | 対応 | 関連マテリアリティ |
| 11 | 原材料コストの変動 | ・開始時予算と請負契約時の金額の乖離 ・原材料の高止まりによる建築コストへの影響 ・時間規制等に伴う工期長期化と労務費高騰 ・見積協力の減少に伴うスケジュール管理の必須化 ・法改正による標準労務費遵守に伴う更なる高騰 | ・取引先との目線合わせによる関係の確立 ・標準労務費を含む市況原価の正確な把握 ・安価でかつ高品質な建築材料の選定 | ・概算見積時の的確な精査と適正予算の確保 ・取り組むべきプロジェクトの的確な取捨選択 ・施工会社の早期選定による確実な着工 ・予算の見直しと定期的な事業の再評価 ・期間効率を意識した適正な仕入れの実施 | 地域社会の持続的な成長の実現 |
| 12 | 品質管理の維持 | ・顧客対応の長期化に伴う満足度や信用の失墜 ・SNSへの書き込み等による悪評の拡散 ・契約不履行時の法的責任や売買上の履行責任 ・施工会社の廃業に伴う責任履行不備への対応 | ・行き届いた顧客対応による満足度の向上 ・品質と信頼の積み重ねによるブランド価値向上 | ・品質管理システムの制定による対応者の牽制 ・プロセスや予測の管理によるエラー発生の抑制 ・定期監査と原因追究による不具合の再発防止 ・継続的な教育による属人的要素の排除と維持 ・デジタルツールの導入による関係部署との連携 | 地域社会の持続的な成長の実現 人権の尊重、サプライチェーンへの対応 |
| 13 | DX推進への対応 | ・他社のDX進展に伴う市場競争力の低下 ・生産性向上や省力化の遅れによるコスト増大 ・セキュリティ不足によるサイバー攻撃の脅威 ・高度な情報管理の不備に伴う情報漏洩 | ・データ活用による迅速かつ精緻な経営判断 ・先進的な企業としての認知による社会的評価向上 ・DX推進による優秀な人材確保への優位性確保 | ・優先度の高い案件を絞り込み追加投資を抑制 ・新会計システムなど基幹のグループ展開推進 ・AI活用による業務効率化施策の具体化 ・最新ネットワーク導入によるセキュリティ強化 ・教育や監視体制の構築によるサイバー対策 | 少子高齢化、労働人口減少への対応 |
| 項番 | 重要リスク | リスクの内容 | 機会 | 対応 | 関連マテリアリティ |
| 14 | 情報管理体制 | ・内部不正やシステム暗号化による業務停止 ・重要データ漏洩に伴うJ-SOX上の不備 ・行政処分や多額の損害賠償責任の発生 ・内部からのガバナンス崩壊とブランド喪失 ・市場からの信頼失墜による経営基盤の危機 | ・セキュリティ基盤による強力な他社差別化 ・データの安全な取扱いに伴う新事業の創出 ・DX推進による飛躍的な生産性向上の実現 ・積極的な投資と情報開示による社会的評価 ・高度な統制の認知による有利な資金調達 | ・客観的なログ監視による不備の是正と再発防止 ・実務に即した規程見直しによる遵守環境の整備 ・EDR製品の導入による脅威の検知と対処 ・SOCの活用による専門家の迅速な初期対応 ・SASEの導入による強固なセキュリティ基盤 | コーポレート・ガバナンスの強化 リスクマネジメントの強化 |
| 15 | 内部統制の実効性機能 | ・現場の実態把握の遅れによる誤った経営判断 ・相互牽制の低下に伴う資本効率や収益の悪化 ・不適切な報告による市場信用の失墜と株価急落 ・モニタリング不足に伴う突発的な巨額損失 ・人的リスクの見落としによる人材流出の加速 | ・プロセスの可視化による資本効率の向上 ・横断的監視によるリスクの早期検知と是正 ・透明性の高い経営による資金調達力の強化 ・ガバナンス強化に伴う統合企業価値の向上 ・業務フローの標準化による組織生産性の改善 | ・重要案件への事前レビュー制度の導入 ・決裁確認項目の整理による意思決定の仕組み化 ・網羅的チェックによる不備の早期発見体制構築 ・現行実務に合わせた規程改訂とエラーの抑制 ・現場の環境整備による自律的内部統制の定着 | コーポレート・ガバナンスの強化 リスクマネジメントの強化 |
(4)最重要リスク説明
① 不動産市場の動向
| 大分類 | 事業戦略リスク | 中分類 | 事業環境リスク |
| 小分類 | 不動産市場の動向 | 担当部署(本部/部) | グループ経営企画部 |
| 発生頻度/可能性 | 高 | リスク影響度 | 大 |
| リスクシナリオ | 当社グループの収益は、その多くを不動産関連事業が占めております。特に、新築分譲マンション事業及び投資開発における流動化事業の利益貢献度が高く、これら両事業が直面する各種リスクは、当社グループ全体の業績に対しても同等の規模で影響を与える構造となっております。 金利及び金融環境においては、中央銀行による段階的な利上げ方針が定着したことに伴い、借入コストが上昇傾向にあります。これにより、不動産の期待利回りであるキャップレートへの押し上げ圧力が強まっております。今後、想定を超える追加利上げが実施された場合には、支払利息の大幅な増加を招くほか、保有不動産の時価下落に伴う棚卸資産の低価法適用や固定資産の減損リスクが顕在化し、さらには出口戦略としての売却計画に遅延が生じるなどの可能性が考えられます。 住宅・マンション市場においては、建築コストの高止まりや供給不足を背景に、都心部のマンション価格は依然として高値圏を維持しております。一方で、金利上昇による実需層の購買力低下を背景に、成約に至るまでの期間が長期化する傾向がみられ、特に一部の地方エリアにおいてはその影響がより顕著に現れるものと予想されます。さらに、今後も建設労務費の上昇が継続した場合には、新規開発や大規模修繕等のコストが当初計画を大幅に超過し、プロジェクト自体の断念や営業利益の著しい逼迫に繋がるリスクが想定されます。 | ||
| 機会 | 金利の上昇局面においては、過度なレバレッジをかけていた投資家や資金繰りが悪化した企業による優良資産の売却動向が加速するものと想定されます。このような市場環境下においては、当社グループが有する自己資金や高い信用力を背景に、好立地の物件を適正価格あるいは割安な価格で取得できる好機が生じる可能性があります。 また、立地条件には優れているものの環境性能が低い築古・低機能物件などを割安に取得し、ZEB化やDX対応等の適切なリノベーションを施すことで、物件のバリューアップを図ることも可能であります。これにより、再生後の高い賃料収益の獲得や売却益の創出といった、持続的な企業価値の向上に資する成果が期待できます。 | ||
| 対応策 | 不動産市場の動向については、月に1度、外部の専門家を交えた定期的な情報交換の場を設けるとともに、その分析結果を社内に共有する体制を整えております。市場のトレンドや顧客ニーズにおいては、当社グループの強みである「製販一体」のメリットを最大限に活かし、顧客の嗜好や購買動向を迅速に商品企画へ反映させる仕組みを構築しており、これにより多様なニーズに応える商品の提供を行っております。 また、定期的なストレスシミュレーションの実施、借入比率の適正な抑制、及びROIC(投下資本利益率)による事業資産の管理を徹底することにより、急激な環境変化に対しても高い耐性を有する財務体質の確保に努めております。 さらに、新築分譲マンション事業及び流動化事業のみならず、新築戸建事業やリニューアル再販事業への投資を一層加速させ、事業ポートフォリオの分散を図ることで、経営基盤のさらなる安定化とリスク分散を推進しております。 | ||
② 金融市場の変化
| 大分類 | 事業戦略リスク | 中分類 | 事業環境リスク |
| 小分類 | 金融市場の変化 | 担当部署(本部/部) | グループ財務部 |
| 発生頻度/可能性 | 高 | リスク影響度 | 大 |
| 現況及び リスクシナリオ | 当社グループは、事業運営のため金融機関等から有利子負債による資金調達を行っております。主要事業を取り巻く現況及び想定されるリスクシナリオは以下の通りであります。 不動産事業においては、政策金利の利上げに伴う変動金利の上昇が、実需層の購買力低下と中古市場へのシフトを招いております。さらに中東情勢の緊迫化による資材調達難が重なり、事業環境は厳しさを増しております。今後のリスクとしては、借入コストの急増が支払利息の膨張を招きプロジェクトの収益性を直接圧迫するほか、金融機関の融資姿勢厳格化による資金繰りへの影響、建材の供給停滞に伴う工期の長期化や建設費の超過が懸念されます。これらが販売停滞と重なることで、業績に重大な影響を及ぼす可能性が考えられます。 再生可能エネルギー事業においては、排出量取引制度の本格稼働に伴い、市場連動型のFIP制度や企業間直接取引への移行が進展しております。電力需要の激増を背景に、大型蓄電池等への資金流入が加速する一方、本事業は初期投資が大きい装置産業であるため、金利上昇による資本コストの増加がプロジェクトの収益性を直接圧迫するリスクを内包しております。さらに、太陽光パネルや蓄電池に必要な重要鉱物のサプライチェーンが特定国へ依存しているため、地政学的な貿易摩擦や輸出規制が勃発した際には、資材調達コストの急騰や工期の遅延を招き、事業の継続性に大きな影響を及ぼす可能性が考えられます。 | ||
| 機会 | 不動産事業においては、新築の高騰に伴う中古リノベーション物件への実需シフトや、持ち家層の流入による賃貸需要の底堅さがインフレ耐性を強めております。さらに供給制約による都心既存ビルの希少性向上や、金利上昇局面での優良資産の割安な取得機会の到来は、ポートフォリオの質を抜本的に高める好機であります。 再生可能エネルギー事業においては、資本コストの上昇が市場の淘汰を促す一方、デジタル技術を活用した運用効率の高度化や、大型蓄電池による複数収益源の構築が進展しております。また、経済安全保障の観点から国産エネルギーや蓄電池への投資の優先順位は高まっており、これらは持続的な成長に向けた機会となります。 | ||
| 対応策 | 当社グループは、事業別でのROIC管理の徹底や完成在庫の圧縮による財務基盤の強化を前提として、不動産事業においては、金利上昇に備えた借入依存度の抑制やグリーンボンド(環境債)やサステナビリティ・リンク・ローン等のサステナブルファイナンスによる調達手法の多様化、デリバティブ活用による金利固定化のほか、在庫回転率の向上と売却加速によるアセットライト経営、及び資材不足リスクを回避する買取再販事業の拡大等により、財務基盤の強化とリスク低減を図っております。 再生可能エネルギー事業においては、適切な保険加入等によるリスク管理や地域共生、サプライチェーンの多角化を進めるほか、デジタル技術を活用した発電効率向上や蓄電等の新ビジネスモデルの創出、グリーンファイナンス等を活用した円滑な資金調達により、急激な環境変化へのレジリエンスを高めております。 | ||
③ 再生可能エネルギー市場の変化
| 大分類 | 事業戦略リスク | 中分類 | 事業環境リスク |
| 小分類 | 再生可能エネルギー市場の変化 | 担当部署(本部/部) | グループ経営企画部 |
| 発生頻度/可能性 | 高 | リスク影響度 | 大 |
| 現況及び リスクシナリオ | 当社グループは、再生可能エネルギー事業を不動産事業に次ぐ第二の柱と位置づけ、その拡大に取り組んでおります。 一方で、再生可能エネルギー市場においては、FIT制度からFIP制度への移行、電力市場価格の変動、出力制御の増加、系統接続の制約、さらには発電設備・工事費・保守費用の高騰や金利上昇、各種制度変更など、事業環境が大きく変化しております。また、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、需給バランスの不均衡や系統制約を背景とした出力制御が今後さらに発生・拡大する可能性が考えられます。 当社グループが保有する発電所の大部分はFIT制度の適用を受けており、これら一連のコスト増加分等を売電収入に転嫁できないという構造的特徴を有しております。そのため、今後の市場動向によっては事業計画の見直しを余儀なくされるほか、固定資産の減損損失が発生すること等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすリスクが想定されます。 | ||
| 機会 | 再生可能エネルギー市場は、脱炭素化の進展やエネルギー安全保障の強化、ならびに企業における再生可能エネルギー電力需要の拡大などを背景に、中長期的にはさらなる成長機会を有する市場であると認識しております。また、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、従来の発電事業に留まらず、蓄電池事業、需給調整、PPA(電力購入契約)、再生エネルギー電力の小売・仲介、さらには環境価値取引など、周辺領域における新たな事業機会が創出される可能性が考えられます。 さらに、これまでの発電所の取得・開発・運営を通じて当社グループが培ったノウハウや知見を最大限に活用することで、既存資産の収益改善や適切なポートフォリオの入れ替え、及び安定収益型事業への転換を着実に推進することで、持続的な企業価値の向上を図る好機になるものと考えております。 | ||
| 対応策 | 既存の発電資産においては、発電実績、稼働状況、修繕費用、売電収入、及びキャッシュ・フロー等の定期的なモニタリングを実施しており、その結果に基づき、必要に応じて運営改善やコスト削減、保守体制の見直し、さらには資産の入れ替えや売却、減損の要否検討等を機動的に行っております。特に、相対的に低利回りとなっている太陽光発電所については、ファンド等への早期売却を推進し、蓄電池をはじめとする高利回りが期待できる新規資産への入れ替えを進めております。また、事業の初期段階において土地及び開発権利をパッケージ化してSPC(特別目的会社)等へ売却し、売却後は買主より運営・管理等のフィービジネスを受託するスキームを拡大予定です。 これらにより、有利子負債による借入比率を適正に抑制した、財務健全性の高い経営を実践しております。 | ||
④ ポートフォリオ管理
| 大分類 | 事業戦略リスク | 中分類 | 事業環境リスク |
| 小分類 | ポートフォリオ管理 | 担当部署(本部/部) | グループ経営企画部 グループ経営管理部 |
| 発生頻度/可能性 | 高 | リスク影響度 | 大 |
| 現況及び リスクシナリオ | 当社グループは、不動産事業を中心にエネルギー、アセットマネジメント、その他(建設・ホテル等)事業の4セグメントによる多角化を進めており、永続的発展には迅速な事業判断とバランスの良いポートフォリオの維持が不可欠です。 事業ポートフォリオの管理が疎かになった場合、変動リスクの高い事業へ過度に資金が配分され、失敗時の想定損失が拡大して利益が資本コストを下回るリスクが想定されます。逆に、安定収益事業へ過度な投資を行った場合には、期待収益率の低下を招き、想定した業績を達成できず、市場評価や信用力の低下に繋がる可能性が考えられます。 さらに、サンクコストへの懸念から採算性の低下した既存事業への投資を継続し、成長分野へのシフトが遅れるリスクや、単体事業の黒字に固執するあまり、グループ全体の資本コスト(WACC)を上回る投下資本利益率(ROIC)を創出できない事業が温存され、結果としてPBRの1倍割れや株価低迷を招くリスクが想定されます。 | ||
| 機会 | 効果的な資産配分と投資戦略を実践することにより、各種リスクを適切にコントロールしながら、中長期的な成長機会と高いリターンを追求できるものと認識しております。 具体的には、高い市場占有率と利益水準を誇る新築分譲マンション事業及び投資開発事業を安定的な原動力としつつ、その他多様なセグメントへの投資を戦略的に拡大することで、特定事業への依存リスクを分散させるとともに、次なる成長を牽引する新たな収益機会の獲得に繋げることができます。また、ROICを基準としたポートフォリオ管理を徹底し、低収益事業からの撤退や機動的な資産の入れ替えを実践することは、資本効率とガバナンスが機能した経営体制を資本市場へ示す好機となります。これにより、株価プレミアムの獲得や資金調達条件の改善など、企業価値をより高める好循環を創出できるものと考えております。 | ||
| 対応策 | 当社グループにおいては、月次に一度開催される取締役会にて事業ごとのアセット残高を提示し、月末実績及び期末見込みに基づくポートフォリオの更新・報告を行っております。これを月次単位で継続して実施することにより、特定の事業への過度な投資を抑制し、最適なポートフォリオ管理を推進しております。 また、四半期に一度の取締役会においては、ROIC(投下資本利益率)及びWACC(加重平均資本コスト)を用いた事業ごとの採算性リスクの検証と把握を行っております。この定量的な評価に基づき、各事業における今後の方針(推進・維持・縮小)の適時適切な見直しを行うとともに、用地仕入れの抑制、売れ残り住戸や完成物件の売却推進、あるいはハードルレートの改定といった、具体的な対応策を機動的に検討・執行する体制を構築しております。 | ||
⑤ 人権への対応(労務環境)
| 大分類 | 事業戦略リスク | 中分類 | 人事労務 |
| 小分類 | 人権への対応(労務環境) | 担当部署(本部/部) | グループ人事戦略部 |
| 発生頻度/可能性 | 中 | リスク影響度 | 大 |
| 現況及び リスクシナリオ | 労働環境は、企業の持続可能性を左右するものであり、人的資本経営の基盤となる重要なファクターであると認識しております。特に昨今では、適正な労働時間の管理はもとより、リモートワークへの対応や従業員の健康管理をはじめとする、健全に就業できる職場環境の構築が、優秀な人材の確保及び定着に大きく影響するものと考えております。また、労働基準法を巡る議論の動向などからも、単なる労働時間の定量的な管理に留まらず、労働の「質」の確保や、労働と私生活の分離(生活のメリハリ)を両立させることが強く求められる状況となっております。 このような状況下において、従業員の健全な労働環境の整備に不備や遅延が生じた場合には、優秀な人材の獲得競争における劣後や、従業員のモチベーション低下に伴う生産性への悪影響を及ぼす可能性が考えられます。さらに、これらは当社グループの社会的評価の低下を招く要因にもなり得るため、事業を継続していく上での深刻な競争劣位に繋がるリスクを含んでいるものと想定しております。 | ||
| 機会 | 周囲に先んじて社会情勢の変化に即応した労務環境や、法令を遵守した厳格な就業環境を構築することは、優秀な人材の確実な確保や従業員の生産性向上をもたらすものと考えております。このような取り組みを推進することにより、当社グループの事業継続における優位性を強固なものとし、中長期的かつ持続的な企業価値の向上に資する好機に繋がるものと認識しております。 | ||
| 対応策 | 当社グループはウェルビーイング(Well-being)の方針のもと、在宅勤務の拡大や幸福度調査に基づく施策展開、ハラスメント防止研修等により、健全な職場環境の維持に努めております。 労務管理においては、労働時間の月次モニタリング体制を構築しリスク軽減を図っているほか、グループ会社の人事担当者向け勉強会の実施によりグループ全体でのチェック体制を強化しております。エンゲージメント向上に向けては、1on1の推進や管理職研修のほか、取締役の評価項目への反映や360度診断を導入しております。また、人権方針の策定とデューデリジェンスによるリスク特定を行い、四半期ごとの継続的なモニタリング体制を徹底しております。 | ||
⑥ ガバナンスの強化
| 大分類 | 事業戦略リスク | 中分類 | 組織・ガバナンスリスク |
| 小分類 | ガバナンスの強化 | 担当部署(本部/部) | グループ内部監査室 |
| 発生頻度/可能性 | 中 | リスク影響度 | 大 |
| 現況及び リスクシナリオ | 当社グループにおいては、ガバナンス強化における内部統制機能の現況をアシュアランスする方策として、会社法及び金融商品取引法等の法規に対応する「J-SOX評価業務」ならびに「内部監査業務」を適切に実施し、その有効性を担保しております。この有効な内部統制機能の構築は、当社のみならずグループ各社においても極めて重要であります。各グループ会社におけるガバナンスを有効に機能させるための重要な手段であるとの認識のもと、その実効性を確実に確保すべく、グループ内部監査室が中心となって業務を推進しております。 すなわち、当社及びすべてのグループ会社を対象領域とした内部監査業務及びJ-SOX評価業務のさらなる深化を推進することにより、以下に掲げるリスクシナリオの予防、防止、及び低減を図っております。 想定されるリスクシナリオとしては、業務上の誤謬の発生に伴う損害賠償請求や社会的信頼の逸失リスク、経営者及び従業員による不正行為の発生リスク、ならびにコンプライアンス抵触事案の発生リスクが挙げられます。さらに、組織内における各監視機能が機能不全に陥ることで問題の発覚や対処が長期化するリスクや、万一リスクが顕在化した際に迅速な初期対応ができないことによって被害が拡大するリスクなどを想定しております。 | ||
| 機会 | リスクの早期発見及び適切なリスクマネジメントを実践することが、企業の社会的信頼度の向上をもたらすとともに、継続的な事業成長を支える強固な基盤に繋がるものと認識しております。また、これらの取り組みを通じた業務プロセスの改善等により、組織全体における業務品質及びパフォーマンスの向上が期待できます。さらに、適切な業務マニュアルに従い、統制上の意思決定フローや損益管理体制を一定の形式として確立・定着させることは、各種手続きや経営判断における迅速性の確保に寄与し、ひいては変化の激しい経営環境下における機動的な事業運営を可能にする好機になるものと考えております。 | ||
| 対応策 | 年度計画に基づき実施する通常の監査に加え、必要に応じて独立的評価やモニタリング等を機動的に行う「オフサイト監査」を実践しております。これにより、予期せぬリスクの低減を図るとともに、グループ全体におけるガバナンス体制の維持及び強化を多角的に支援しております。また、内部統制システムに関わる組織や人員の連携を緊密にすることで、すべてのグループ会社における内部統制機能の有効性確保に直結する「内部統制体制の強化・維持」を強力に推進しております。さらに、連結グループ会社との間で強固な連携及び管理体制を構築し、いわゆる「3ディフェンスライン」機能の有効性向上により、グループ一体となったリスクマネジメント体制の深化に努めております。 | ||
⑦ 多様な人材の確保
| 大分類 | 事業戦略リスク | 中分類 | 組織・ガバナンス |
| 小分類 | 多様な人材の確保 | 担当部署(本部/部) | グループ人事戦略部 |
| 発生頻度/可能性 | 中 | リスク影響度 | 大 |
| 現況及び リスクシナリオ | 少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少に加え、リモートワークの拡大や求職者における働き方への志向の変化などを背景に、優秀な人材の獲得競争は深刻さを増しております。 このような環境下において、人材の流出や多様な人材の不足が生じた場合には、在籍する従業員の時間外労働の増加や業務負荷の深刻な増大を招くほか、組織の硬直化を引き起こし、さらなる人材の流出という悪循環に繋がる懸念があります。また、これらは優秀な人材の確保を困難にし、従業員のモチベーション低下に伴う生産性への悪影響を及ぼすだけでなく、当社グループの社会的評価の低下や新たな付加価値創出の停滞にも直結いたします。 結果として、中長期的な事業継続における深刻な競争劣位を招くなど、当社グループの経営基盤や業績に重大な影響を及ぼすリスクを含んでいるものと認識しております。 | ||
| 機会 | 本リスクに対して適切に対応し、多様な人材が活躍できる環境を整備することは、業務の生産性や品質の向上、及び市場における競争力の強化をもたらすものと考えております。 さらに、多様な視点や価値観が交わることで、新しいアイデアの創出やイノベーションの誘発が期待でき、これらがひいては当社グループの中長期的な成長と企業価値の向上に大きく寄与する好機になるものと認識しております。 | ||
| 対応策 | 優秀な人材の確保及び定着に向け、競争力のある待遇や福利厚生の提供として確定拠出年金(DC)制度のグループ全体への適用拡大を進めております。また、教育プログラムやトレーニングの充実化を図るため、グループ共通研修の実施やeラーニング対象者の拡大を進め、従業員の能力開発を支援しております。 多様な人材を受け入れる文化の醸成(DE&I)に向けては、グループ横断の専門プロジェクトを推進し、その取り組みをグループ内へ広く発信しているほか、女性採用比率の向上や障がい者雇用の推進を強化しております。さらに、人事制度の適切な評価とその運用として、グループのパーパスやバリューズを基準とした行動評価を推進しております。 組織のコミュニケーション及びガバナンスの強化においては、1on1ミーティングのグループ展開を推進しているほか、従業員相談窓口をこれまでのグループ一括管理から各社個別設置へと拡大し、より身近で迅速な相談体制を構築しております。加えて、離職防止及びハラスメントの根絶を目的として、経営トップ層による役員ミーティングを定期的に開催するなど、経営レベルでの健全な組織運営を徹底しております。 | ||
5.危機管理体制(クライシスマネジメント)
当社は、不測の事態が発生した場合に迅速かつ的確に対応を行うために、危機管理体制を整備しています。事業にもたらす損害の影響度に応じ危機を以下の4段階の管理レベルに分け、危機管理チームを設置し対応にあたります。
(1)委員会体制
危機が発生した場合、対策組織長が危機の管理レベルに応じて直ちに対策組織の設置を命じ、事態の早期終息を図ります。
| 管理レベルA | 管理レベルB | 管理レベルC | 管理レベルD | ||
| 対 策 組 織 | 設置区分 | 対策組織設置 | 各部署 | ||
| 対策組織長(※1) | 社長 | 総務業務管掌役員、経営企画業務管掌役員 | |||
| 事務局長:総務業務管掌役員(※2) | |||||
| 事務局 | 総務業務担当部署 | - | |||
| 主管部署 | 対象危機に対する直接責任部署、または対策組織に指名された部署 | ||||
| 連絡窓口 | 総務業務担当部署 |
| 管理レベルの設定 | 管理レベルの決裁は社長が行う (不在の場合は、グループCROとし、尚も不在の場合には総務業務管掌役員が代行する) |
※1 対策組織長が出張等により不在の場合は、管理レベルA、BについてはグループCROが代行し、尚も不在の場合は総務業務管掌役員がこれを代行する。
管理レベルC、Dにおいては発生した危機に基づく職責に応じた最上位の者が責任者を代行する。
※2 対策組織長を代行する等事務局長が不在の場合、管理レベルA・Bは総務業務担当部署の長が代行する。
(2)委員会構成(メンバー)
危機の管理レベルA、Bは、対策組織長を社長、事務局長を総務業務管掌の本部長として、危機の管理レベルC、Dは、発生した対象危機について業務分掌表に基づく職責ある各部署を主管部署として委員会を構成します。
(3)運用基準
対象危機に対して対策組織長である社長が管理レベルの設定を行います。管理レベルA・Bは、対策組織長を社長として事務局を設置し、管理レベルC・Dは、対策組織長を各事業本部長(または本部長)として責任部署を指名し、危機対応にあたります。
<事業継続計画(BCP)>当社は、地震などの大規模自然災害や感染症、人為的な災害(戦争、テロ、事故等)の事態が発生した場合において、役員・従業員等の人命の安全を確保し、会社資産の被害を最小限に留め、事業の継続・早期復旧を果たすために、事業継続計画(BCP)策定の取組みをしています。
(1)基本方針
当社は従業員の安全を確保し、組織全体の事業活動を可能な限り維持または早期復旧に努めることで、ステークホルダーに対して社会的責任を果たすことを基本方針とします。
具体的には、以下の3点を柱として事業継続体制を構築・運用してまいります。
① 人命の安全確保を最優先する。
② 重要業務を継続・早期復旧し、経営の損失の最小化を図る。
③ 地域社会の安全や復興に貢献する。
(2)運用体制(サイクル)
当社は、グループ全体に影響を与える可能性のある重大事項等は、即時報告として情報を把握して必要に応じて意思決定を行います。即時報告に該当する項目は以下のとおりです。
| 項番 | 項目 | 例 |
| 1 | 人命に関する重大事項 | 従業員や事業に関する者等における死亡者の発生 |
| 2 | 資産の保全に関する重大事項 | 保有資産・建設現場等に火災・倒壊等の重大被害が発生 |
| 3 | 事業継続に関する重大事項 | 重要業務が継続困難となる状況の発生(システム障害、資金の枯渇、本社立入禁止等) |
| 4 | 企業としての信用に関する事項 | 個人情報流出等の法的紛争が生じる危険性を含む事項、顧客トラブル等レピュテーションリスクに繋がる可能性がある事項、対外広報に関する事項 |
| 5 | その他グループに重大な損害を生じさせるおそれがある事項 | |
即時報告に該当しない項目は、定期報告として発災3時間後を第一報として、以降17時まで3時間ごとに情報を把握し、発災翌日以降から1週間が経過するまで行います。
事業継続計画(BCP)の策定に伴い、事業継続マネジメント(BCM)の体制を構築します。
(3)対象リスク
大地震や風水害等の自然災害に限定せず、当社の操業度を著しく低下させるリスクを対象とします。
(4)BCP対応範囲
当社の組織全体の操業度が著しく低下し、復旧まで時間がかかる局面を対応範囲とします。
(5)発動基準
当社は、日本国内及び海外事業拠点に震度6弱以上の地震の発生時、または不測の事態により組織全体の事業継続が維持できない等の非常事態の発生時に、対策組織長がBCPを発動するものとします。
(6)事業継続マネジメント(BCM)体制の構築
当社は、事業継続計画(BCP)関連文書において、平時の点検や訓練による検証等に基づき、定期的な見直しと改善を図ります。昨年度においては、全従業員を対象とした「危機管理・BCP研修」を実施し、不測の事態における基本的な考え方の習得や、組織全体での意識の醸成を図りました。また、事業の大幅な変更・再構築、事業拡大、拠点の移転、重要業務の変更等が生じた場合にも事業継続計画(BCP)を見直すものとします。これらのPDCAサイクルを確立することで、事業継続マネジメント(BCM)体制を構築します。