訂正有価証券届出書(新規公開時)
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであり、実際の数値と異なる可能性があります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、グループ理念「東京を走らせる力」の実現を目指して、中期経営計画及び事業計画に基づき、東京を中心とした首都圏の鉄道ネットワークの中核を担う交通事業者として、お客様の安全を第一に様々な取組を進めることで、持続的な企業価値の向上を目指しています。

<東京メトログループ理念>
<私たちの決意>私たちは、お客様の安全を第一に、たゆみなき「安全」の追求とお客様視点に立った質の高い「サービス」の提供によって、すべてのお客様に「安心」をお届けすることを使命とし、より一層取り組んでまいります。
(2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等
(当社を取り巻く経営環境について)
当社が事業基盤とする東京は、2030年まで安定的な人口増加、インバウンドによる観光需要の増加等、人流の拡大が今後も見込まれます。

(注) 1 2000年時点の人口を100としたときの各人口指数の推移。東京都政策企画局「「未来の東京」戦略」、東京都の統計「東京都の人口」、e-Stat「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」を参照。
2 実績値は日本政府観光局「訪日外客数統計」、2024年の年間訪日外客数は2024年7月時点累計人数、将来値は国土交通省「明日の日本を支える観光ビジョン」における2030年の政府目標6,000万人を参照。
当社は、鉄道各社との直通運転により、郊外から都心への移動の結節点として、首都東京の都市機能を支えています(相互直通運転先を含む総距離は556.6km)。定時性・安全性も相当に高く、信頼感のある鉄道ネットワークを構築しています。当社は、1日平均652万人(2023年度)のお客様にご利用いただいており、都心部での短距離・大量輸送を提供する輸送効率性の高さが特徴です。
また、当社の路線は、以下のとおり、東京の1日当たり利用者数上位10駅のうち9駅をカバーしています(「2022年度 国土交通省統計データ」より)。なお、品川駅には南北線が延伸予定です。

また、東京中心部では複数の大規模複合施設の再開発プロジェクトが継続的に計画されています。2023年度には、全面開業した虎ノ門ヒルズ等の影響で、近隣の当社駅の乗降人員数の増加が見られました。

(注) 1 森ビル株式会社「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査2024」を参照。各年度に竣工した大規模オフィスビル(事務所延床面積10,000㎡以上のオフィスビル)(自社ビルを含む)のうち、店舗、住宅、ホテル等の事務所以外の用途を除いた事務所部分の延床面積(グロス)を集計。
2 国土交通省HPより作成。虎ノ門ヒルズ駅は虎ノ門ヒルズの最寄り駅、神谷町駅は麻布台ヒルズの最寄り駅。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた旅客運輸収入は、テレワークの定着等の影響はあるものの、インバウンド等のご利用増もあり、回復傾向にあります。足許の2024年7月の旅客運輸収入は、コロナ前と比較して95%となりました(注)。

(注) コロナ前は2019年2月から2020年1月の期間を想定し、同月を比較しています。2023年3月18日から旅客運輸収入にバリアフリー料金加算分が含まれます。
これに加え、コスト構造改革による設備・業務のスリム化により、当社の経営状況は着実に回復してきました。
このような状況を踏まえ、引き続き「構造変革」の取組として、設備投資・経費の抜本的な見直しを図るとともに、「新たな飛躍」としてさらなる成長の取組を積極的に進めていきます。
2024年度においても、安全の確保を前提としたコスト構造改革や、メトポ活用による新たなお出かけ機会の創出、CBM(状態基準保全)の導入、自動運転(GOA2.5)の実現に向けた検討等、新技術やDXの推進等により鉄道事業の進化に努めていきます。また、都市・生活創造事業におけるREIT組成による不動産事業の拡大やお客様の「新たな日常」を支える各種事業の展開、海外鉄道ビジネスの拡大、新規ビジネスの開発を通じて成長を目指していきます。さらに、社員の「自律」・「挑戦」・「協働」を促し、働きがいを高め、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(以後、「DE&I」といいます。)を推進するとともに、人権の尊重、組織体制・ガバナンスの強化により、経営基盤の強化を図っていきます。
また、全てのお客様が安全・安心で快適にご利用できる環境を整えるため、2023年3月に収受を開始した鉄道駅バリアフリー料金も活用し、2025年度までのホームドア全路線整備(一部の大規模改良工事実施中の駅を除く。)をはじめ、各種バリアフリー設備整備を着実に推進していきます。
なお、2023年3月に工事施行認可を申請した新線建設については、十分な公的支援を前提に、引き続き2030年代半ばの開業に向け、着実に取り組んでいきます。
(当社グループの中期経営計画「東京メトロプラン2024」に基づく取組について)※
※当社グループの中期経営計画「東京メトロプラン2024」は、社会経済環境、法的規制、人口動向、競争環境、電力料金・原材料価格・労務費、為替動向、地球環境、その他事業環境等について一定の前提のもとに作成されています。将来の見通しに関する記述には、別段の記載がない限り、本書提出日現在における当社グループが入手可能な情報並びに当社の計画及び見込みに基づいた当社グループの想定、将来の見通し及び推測が含まれますが、これらが達成される保証はありません。
① コスト構造改革による持続可能な事業運営の実現
ポストコロナにおける行動変容を見据え、安全の確保を前提に、施工の優先順位や時期、仕様等、計画内容を見直すとともに、設備・業務のスリム化等の抜本的なコスト構造改革による固定費の削減にグループ一体となって取り組むことにより、持続可能な事業運営を実現していきます。
また、設備の状態監視の充実やAI・ビッグデータ分析技術の活用等により、コスト削減や保全業務の質的向上を進めていきます。
コロナ禍に実施した緊急抑制の成果を活かしつつ、引き続き設備の状態等を踏まえた検査・更新周期等の見直し等を実施していきます。今後、物価上昇が見込まれる中でも、電力料金を除く鉄道事業経費(当社単体)は、1,000億円を下回る水準(2019年度比△15%程度)の維持を目指します。

2022年度の電力料金の大幅な高騰を踏まえ、2023年度より調達先を変更し、従前より燃料価格や市場価格の影響を受けにくい新たな電力料金制度のもとで電力を使用しております。その結果、2023年度は電力料金が減少し、足許においても資源価格が安定傾向にあることから、今後、電力料金は一定程度安定化すると見込んでいます。
② さらなる安全・安心の提供と鉄道事業の進化による東京の多様な魅力と価値の向上
1. 安全性・利便性の向上(セキュリティ強化等)
激甚化する自然災害への対策、社会情勢の変化に応じたセキュリティ強化及び列車運行の安定性向上に向けた取組により、安全で安心な鉄道サービスを提供していきます。
2. 安全性・利便性の向上(バリアフリー化促進)
2023年3月から収受を開始している「鉄道駅バリアフリー料金制度」も活用し、ホームドアやエレベーター整備等のバリアフリー化を促進し、お客様の円滑な移動を実現していきます。

3. 有楽町線延伸・南北線延伸等によるネットワーク発展・充実
有楽町線・南北線の延伸とその事業運営は、未来への成長戦略です。経営に悪影響を及ぼさないよう、補助金等の十分な公的支援をもとに、鉄道ネットワークの強化を通じて、臨海部・都心部へのアクセス利便性の向上や沿線のまちづくりへの寄与、東京圏の国際競争力の強化に貢献し、当社の成長戦略の一環として推進していきます。また、2023年7月の虎ノ門ヒルズ駅と周辺の一体的整備による交通結節機能の強化、駅まち一体となったゆとりある空間の構築を図るほか、2023年3月の東急新横浜線及び相鉄新横浜線との直通運転開始による直通先の拡大を踏まえた地域間の連携とより一層の活性化を図り、各地域のさらなる発展に貢献していきます。

4. 地域との連携・メトポの活用等による新たなお出かけ機会の創出
都内の観光地や商業施設等と連携し、City Tourism(東京の都市内観光)の促進や、ポイントサービスの魅力向上に向けた取組を進め、お出かけ機会を創出することによりお客様のwell-beingを実現し、地域の皆様とともに東京の魅力と価値を共創していきます。また、「my! 東京MaaS」を推進し、様々なサービスを提供する事業者と連携したお出かけを提案するとともに、多様な移動手段を一元的に提供し、お客様の利便性を高め、新たな需要を喚起していきます。また、クレジットカードのタッチ決済及びQRコード(注)を活用した乗車サービスの実証実験を開始予定です。

(注)QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。
また、当社は2024年3月に交通・観光プラットフォーム事業会社であるリンクティビティ株式会社と資本業務提携を実施しました。企画乗車券の販売増強、インバウンド向け新商品の開発を推進します。

5. 新技術の導入とDXによる鉄道オペレーションの進化
新技術の導入、開発やDXの推進を図るとともに、「将来にわたる安心の提供」の実現と「社員の新たな働き方」の確立に向けた「次世代型業務変革プロジェクト」を推進し、お客様の生活様式の変化や生産年齢人口の減少といった経営環境の変化に適応することで、事業運営の持続性を向上させ、企業価値の向上を図っていきます。
③ 都市・生活創造事業の成長等により東京に集う一人ひとりの活き活きとした毎日に貢献
1.不動産事業の拡大とまちづくりとの連携
賃貸住宅(弥生町五丁目用地開発)やホテルの増築棟(池袋二丁目用地開発)の新築工事を進めています。また、新宿駅西口地区開発計画(竣工予定:2029年度、延床面積:251,000㎡、共同開発者:小田急電鉄・東急不動産)に並行して、関係者とともに新宿駅周辺の価値向上につながる持続可能なエリアマネジメントの実現を目指し、取組を進めています。今後も、東京という「都市」を創造する不動産開発を強化していくとともに、駅周辺の都市開発と一体となって魅力的な空間の構築を図ることで、人やまちの進化に貢献していきます。
2.お客様の「新たな日常」を支える各種事業の展開
流通事業において、浦安駅の高架下の商業施設(2024年度開業予定)等における駅まち一体の賑わいを創出するような既存施設のリニューアルと未利用・低利用地を有効活用した開発を推進しています。広告事業において、中づりやまど上、駅ばりポスターの貸切商品等、クライアントのニーズを捉えた柔軟な媒体の販売を展開しています。半蔵門線渋谷駅においては、多くの人が行き交うコンコースに沿って並ぶ大型ポスターボード「半蔵門線 渋谷プレミアムセット」や、コンコース動線に正対する約94インチのLEDサイネージ「渋谷55ストリートビジョン」への広告掲出、さらにオプションとして「柱巻広告」を追加することでコンコース全体をジャックすることが可能となる広告サービスである「渋谷駅集中展開」の提供を行っております。今後も、流通事業、広告事業及び情報通信事業の展開や成長を通じて、お客様の新たな日常を支え、ニーズに迅速に対応することにより、より豊かな生活の実現に貢献していきます。
3.海外鉄道ビジネスの拡大・新規ビジネスの開発推進
今後の当社の成長を支える源泉の1つとすべく、海外鉄道ビジネスへの参画やその拡大を図り、海外各都市の持続的な発展に向けた取組を進めるとともに、当社にないノウハウを持つ様々な分野の方々とスピード感をもって連携し、社会の新しいニーズに合わせた事業の開発により、多様なライフ・ワークスタイルの実現に貢献していきます。
④ ESGの取組による持続可能な社会の実現への貢献
1.脱炭素・循環型社会への貢献
脱炭素社会への取組として、TCFD提言への賛同及び情報開示や、省エネルギー・再生可能エネルギー施策等を推進するとともに、循環型社会への取組として、資源の分別、リサイクルや廃棄物の削減等をより一層推進することで、持続可能な社会の実現を目指していきます。
2.安全文化の醸成、人財育成を通じた経営基盤の強化
各種訓練や研修を通じて、お客様の安全を第一に、安全・安定輸送の確保に対する社員の使命感・技術力を高めるとともに、時代のニーズに即した知識・技能を備えた人財を育成していきます。また、社員の働きがいの創出や社員とその家族のこころとからだの健康づくりに取り組むことで、首都東京の都市機能を支える企業グループとして成長していきます。さらに、デジタル技術の活用やデータ分析のさらなる推進のため、社内を牽引するデジタル人財の育成を強化し、業務変革や新しい領域でのビジネス展開につなげていきます。
3.人権の尊重やDE&Iの推進、ガバナンス強化等を通じた経営基盤の強化
社員の「自律」・「挑戦」・「協働」を促し、働きがいを高め、多様な人財が活躍できる職場づくりを推進するとともに、サステナビリティ経営の推進を図るべく、ステークホルダーとの対話を通じて、各種取組を確実に実行していきます。
当社グループは、中長期的視点で期待される様々な施策を実現していくとともに、新たな価値の創造により、持続的な企業価値の向上を図り、全てのステークホルダーから信頼され、選択され、支持される企業グループを目指していきます。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2023年3月24日に中期経営計画「東京メトロプラン2024」における経営目標値を変更しました。引き続き、キャッシュ創出力を持続的に向上させていくという観点から3か年連結EBITDA総額、本業から得られるキャッシュと負債のバランスを踏まえて一定の財務健全性を確保するという観点から連結純有利子負債/EBITDA倍率、これまでの積極的な設備投資に伴う総資産・営業費の増加を踏まえた上でも一定の資産効率性を確保するという観点から連結ROAの3つを定め、目標値を上方修正しています。なお、目標値は当社グループの経営上の目標を示すものにすぎず、その達成を保証するものではありません。当該目標の達成については、後記「3 事業等のリスク」に記載しているリスクの顕在化により影響を受けます。
(注)1 営業利益に減価償却費を加え、簡易的に計算したものとします。
2 (債務残高-現金同等物)/(営業利益+減価償却費)で計算したものとします。
3 新線建設推進長期借入金(1,921億円)及び新線建設費を含めた数値とします。
4 営業利益/((期首総資産+期末総資産)/2)で計算したものとします。
「東京メトロプラン2024」において目標とする経営指標である連結EBITDA、連結純有利子負債/EBITDA倍率、連結ROAに関連する各連結指標並びにセグメント毎の連結経営指標の推移は以下のとおりです。
(注) 1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第18期の期首から適用していますが、上表の第17期以前の連結経営指標等については、当該会計基準の変更を反映していません。
2 セグメント毎の営業収益はセグメント間の内部営業収益又は振替高を含めた金額を記載しています。また、セグメント毎の営業利益又は営業損失(△)は、セグメント間の取引消去前の金額を記載しています。なお、セグメント毎の営業利益率は、セグメント毎の営業利益又は営業損失(△)をセグメント毎の営業収益で除して算出しており、小数点以下第1位を四捨五入しています。
3 営業利益又は営業損失(△)+減価償却費により算出したものです。
4 セグメント毎の営業利益又は営業損失(△)+セグメント毎の減価償却費により算出したものです。なお、セグメント利益又は損失(△)の調整額は含めていません。
また、第20期におけるセグメント毎のEBITDA比率は以下のとおりです。なお、EBITDA比率については、セグメント毎のEBITDA÷各セグメント毎EBITDAの合計により算出したものであり、小数点以下第1位を四捨五入しています。
5 現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3か月以内に償還期限の到来する短期投資からなっています。
6 有利子負債残高-現金及び現金同等物により算出したものです。
7 営業利益又は営業損失(△)/((期首総資産+期末総資産)/2)で計算したものです。また、小数点以下第2位を四捨五入しています。
8 小数点以下第2位を四捨五入しています。
9 四半期連結累計期間における指標については、記載を省略しています。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、グループ理念「東京を走らせる力」の実現を目指して、中期経営計画及び事業計画に基づき、東京を中心とした首都圏の鉄道ネットワークの中核を担う交通事業者として、お客様の安全を第一に様々な取組を進めることで、持続的な企業価値の向上を目指しています。

<東京メトログループ理念>
| 東京を走らせる力 私たち東京メトログループは、 鉄道事業を中心とした事業展開を図ることで、首都東京の都市機能を支え、 都市としての魅力と活力を引き出すとともに、 優れた技術力と創造力により、安全・安心で快適なより良いサービスを提供し、 東京に集う人々の活き活きとした毎日に貢献します。 |
<私たちの決意>私たちは、お客様の安全を第一に、たゆみなき「安全」の追求とお客様視点に立った質の高い「サービス」の提供によって、すべてのお客様に「安心」をお届けすることを使命とし、より一層取り組んでまいります。
(2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等
(当社を取り巻く経営環境について)
当社が事業基盤とする東京は、2030年まで安定的な人口増加、インバウンドによる観光需要の増加等、人流の拡大が今後も見込まれます。

(注) 1 2000年時点の人口を100としたときの各人口指数の推移。東京都政策企画局「「未来の東京」戦略」、東京都の統計「東京都の人口」、e-Stat「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」を参照。
2 実績値は日本政府観光局「訪日外客数統計」、2024年の年間訪日外客数は2024年7月時点累計人数、将来値は国土交通省「明日の日本を支える観光ビジョン」における2030年の政府目標6,000万人を参照。
当社は、鉄道各社との直通運転により、郊外から都心への移動の結節点として、首都東京の都市機能を支えています(相互直通運転先を含む総距離は556.6km)。定時性・安全性も相当に高く、信頼感のある鉄道ネットワークを構築しています。当社は、1日平均652万人(2023年度)のお客様にご利用いただいており、都心部での短距離・大量輸送を提供する輸送効率性の高さが特徴です。
また、当社の路線は、以下のとおり、東京の1日当たり利用者数上位10駅のうち9駅をカバーしています(「2022年度 国土交通省統計データ」より)。なお、品川駅には南北線が延伸予定です。

また、東京中心部では複数の大規模複合施設の再開発プロジェクトが継続的に計画されています。2023年度には、全面開業した虎ノ門ヒルズ等の影響で、近隣の当社駅の乗降人員数の増加が見られました。

(注) 1 森ビル株式会社「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査2024」を参照。各年度に竣工した大規模オフィスビル(事務所延床面積10,000㎡以上のオフィスビル)(自社ビルを含む)のうち、店舗、住宅、ホテル等の事務所以外の用途を除いた事務所部分の延床面積(グロス)を集計。
2 国土交通省HPより作成。虎ノ門ヒルズ駅は虎ノ門ヒルズの最寄り駅、神谷町駅は麻布台ヒルズの最寄り駅。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた旅客運輸収入は、テレワークの定着等の影響はあるものの、インバウンド等のご利用増もあり、回復傾向にあります。足許の2024年7月の旅客運輸収入は、コロナ前と比較して95%となりました(注)。

(注) コロナ前は2019年2月から2020年1月の期間を想定し、同月を比較しています。2023年3月18日から旅客運輸収入にバリアフリー料金加算分が含まれます。
これに加え、コスト構造改革による設備・業務のスリム化により、当社の経営状況は着実に回復してきました。
このような状況を踏まえ、引き続き「構造変革」の取組として、設備投資・経費の抜本的な見直しを図るとともに、「新たな飛躍」としてさらなる成長の取組を積極的に進めていきます。
2024年度においても、安全の確保を前提としたコスト構造改革や、メトポ活用による新たなお出かけ機会の創出、CBM(状態基準保全)の導入、自動運転(GOA2.5)の実現に向けた検討等、新技術やDXの推進等により鉄道事業の進化に努めていきます。また、都市・生活創造事業におけるREIT組成による不動産事業の拡大やお客様の「新たな日常」を支える各種事業の展開、海外鉄道ビジネスの拡大、新規ビジネスの開発を通じて成長を目指していきます。さらに、社員の「自律」・「挑戦」・「協働」を促し、働きがいを高め、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(以後、「DE&I」といいます。)を推進するとともに、人権の尊重、組織体制・ガバナンスの強化により、経営基盤の強化を図っていきます。
また、全てのお客様が安全・安心で快適にご利用できる環境を整えるため、2023年3月に収受を開始した鉄道駅バリアフリー料金も活用し、2025年度までのホームドア全路線整備(一部の大規模改良工事実施中の駅を除く。)をはじめ、各種バリアフリー設備整備を着実に推進していきます。
なお、2023年3月に工事施行認可を申請した新線建設については、十分な公的支援を前提に、引き続き2030年代半ばの開業に向け、着実に取り組んでいきます。
(当社グループの中期経営計画「東京メトロプラン2024」に基づく取組について)※
※当社グループの中期経営計画「東京メトロプラン2024」は、社会経済環境、法的規制、人口動向、競争環境、電力料金・原材料価格・労務費、為替動向、地球環境、その他事業環境等について一定の前提のもとに作成されています。将来の見通しに関する記述には、別段の記載がない限り、本書提出日現在における当社グループが入手可能な情報並びに当社の計画及び見込みに基づいた当社グループの想定、将来の見通し及び推測が含まれますが、これらが達成される保証はありません。
① コスト構造改革による持続可能な事業運営の実現
ポストコロナにおける行動変容を見据え、安全の確保を前提に、施工の優先順位や時期、仕様等、計画内容を見直すとともに、設備・業務のスリム化等の抜本的なコスト構造改革による固定費の削減にグループ一体となって取り組むことにより、持続可能な事業運営を実現していきます。
また、設備の状態監視の充実やAI・ビッグデータ分析技術の活用等により、コスト削減や保全業務の質的向上を進めていきます。
コロナ禍に実施した緊急抑制の成果を活かしつつ、引き続き設備の状態等を踏まえた検査・更新周期等の見直し等を実施していきます。今後、物価上昇が見込まれる中でも、電力料金を除く鉄道事業経費(当社単体)は、1,000億円を下回る水準(2019年度比△15%程度)の維持を目指します。

2022年度の電力料金の大幅な高騰を踏まえ、2023年度より調達先を変更し、従前より燃料価格や市場価格の影響を受けにくい新たな電力料金制度のもとで電力を使用しております。その結果、2023年度は電力料金が減少し、足許においても資源価格が安定傾向にあることから、今後、電力料金は一定程度安定化すると見込んでいます。
② さらなる安全・安心の提供と鉄道事業の進化による東京の多様な魅力と価値の向上
1. 安全性・利便性の向上(セキュリティ強化等)
激甚化する自然災害への対策、社会情勢の変化に応じたセキュリティ強化及び列車運行の安定性向上に向けた取組により、安全で安心な鉄道サービスを提供していきます。
2. 安全性・利便性の向上(バリアフリー化促進)
2023年3月から収受を開始している「鉄道駅バリアフリー料金制度」も活用し、ホームドアやエレベーター整備等のバリアフリー化を促進し、お客様の円滑な移動を実現していきます。

3. 有楽町線延伸・南北線延伸等によるネットワーク発展・充実
有楽町線・南北線の延伸とその事業運営は、未来への成長戦略です。経営に悪影響を及ぼさないよう、補助金等の十分な公的支援をもとに、鉄道ネットワークの強化を通じて、臨海部・都心部へのアクセス利便性の向上や沿線のまちづくりへの寄与、東京圏の国際競争力の強化に貢献し、当社の成長戦略の一環として推進していきます。また、2023年7月の虎ノ門ヒルズ駅と周辺の一体的整備による交通結節機能の強化、駅まち一体となったゆとりある空間の構築を図るほか、2023年3月の東急新横浜線及び相鉄新横浜線との直通運転開始による直通先の拡大を踏まえた地域間の連携とより一層の活性化を図り、各地域のさらなる発展に貢献していきます。

4. 地域との連携・メトポの活用等による新たなお出かけ機会の創出
都内の観光地や商業施設等と連携し、City Tourism(東京の都市内観光)の促進や、ポイントサービスの魅力向上に向けた取組を進め、お出かけ機会を創出することによりお客様のwell-beingを実現し、地域の皆様とともに東京の魅力と価値を共創していきます。また、「my! 東京MaaS」を推進し、様々なサービスを提供する事業者と連携したお出かけを提案するとともに、多様な移動手段を一元的に提供し、お客様の利便性を高め、新たな需要を喚起していきます。また、クレジットカードのタッチ決済及びQRコード(注)を活用した乗車サービスの実証実験を開始予定です。

(注)QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。
また、当社は2024年3月に交通・観光プラットフォーム事業会社であるリンクティビティ株式会社と資本業務提携を実施しました。企画乗車券の販売増強、インバウンド向け新商品の開発を推進します。

5. 新技術の導入とDXによる鉄道オペレーションの進化
新技術の導入、開発やDXの推進を図るとともに、「将来にわたる安心の提供」の実現と「社員の新たな働き方」の確立に向けた「次世代型業務変革プロジェクト」を推進し、お客様の生活様式の変化や生産年齢人口の減少といった経営環境の変化に適応することで、事業運営の持続性を向上させ、企業価値の向上を図っていきます。
③ 都市・生活創造事業の成長等により東京に集う一人ひとりの活き活きとした毎日に貢献
1.不動産事業の拡大とまちづくりとの連携
賃貸住宅(弥生町五丁目用地開発)やホテルの増築棟(池袋二丁目用地開発)の新築工事を進めています。また、新宿駅西口地区開発計画(竣工予定:2029年度、延床面積:251,000㎡、共同開発者:小田急電鉄・東急不動産)に並行して、関係者とともに新宿駅周辺の価値向上につながる持続可能なエリアマネジメントの実現を目指し、取組を進めています。今後も、東京という「都市」を創造する不動産開発を強化していくとともに、駅周辺の都市開発と一体となって魅力的な空間の構築を図ることで、人やまちの進化に貢献していきます。
2.お客様の「新たな日常」を支える各種事業の展開
流通事業において、浦安駅の高架下の商業施設(2024年度開業予定)等における駅まち一体の賑わいを創出するような既存施設のリニューアルと未利用・低利用地を有効活用した開発を推進しています。広告事業において、中づりやまど上、駅ばりポスターの貸切商品等、クライアントのニーズを捉えた柔軟な媒体の販売を展開しています。半蔵門線渋谷駅においては、多くの人が行き交うコンコースに沿って並ぶ大型ポスターボード「半蔵門線 渋谷プレミアムセット」や、コンコース動線に正対する約94インチのLEDサイネージ「渋谷55ストリートビジョン」への広告掲出、さらにオプションとして「柱巻広告」を追加することでコンコース全体をジャックすることが可能となる広告サービスである「渋谷駅集中展開」の提供を行っております。今後も、流通事業、広告事業及び情報通信事業の展開や成長を通じて、お客様の新たな日常を支え、ニーズに迅速に対応することにより、より豊かな生活の実現に貢献していきます。
3.海外鉄道ビジネスの拡大・新規ビジネスの開発推進
今後の当社の成長を支える源泉の1つとすべく、海外鉄道ビジネスへの参画やその拡大を図り、海外各都市の持続的な発展に向けた取組を進めるとともに、当社にないノウハウを持つ様々な分野の方々とスピード感をもって連携し、社会の新しいニーズに合わせた事業の開発により、多様なライフ・ワークスタイルの実現に貢献していきます。
④ ESGの取組による持続可能な社会の実現への貢献
1.脱炭素・循環型社会への貢献
脱炭素社会への取組として、TCFD提言への賛同及び情報開示や、省エネルギー・再生可能エネルギー施策等を推進するとともに、循環型社会への取組として、資源の分別、リサイクルや廃棄物の削減等をより一層推進することで、持続可能な社会の実現を目指していきます。
2.安全文化の醸成、人財育成を通じた経営基盤の強化
各種訓練や研修を通じて、お客様の安全を第一に、安全・安定輸送の確保に対する社員の使命感・技術力を高めるとともに、時代のニーズに即した知識・技能を備えた人財を育成していきます。また、社員の働きがいの創出や社員とその家族のこころとからだの健康づくりに取り組むことで、首都東京の都市機能を支える企業グループとして成長していきます。さらに、デジタル技術の活用やデータ分析のさらなる推進のため、社内を牽引するデジタル人財の育成を強化し、業務変革や新しい領域でのビジネス展開につなげていきます。
3.人権の尊重やDE&Iの推進、ガバナンス強化等を通じた経営基盤の強化
社員の「自律」・「挑戦」・「協働」を促し、働きがいを高め、多様な人財が活躍できる職場づくりを推進するとともに、サステナビリティ経営の推進を図るべく、ステークホルダーとの対話を通じて、各種取組を確実に実行していきます。
当社グループは、中長期的視点で期待される様々な施策を実現していくとともに、新たな価値の創造により、持続的な企業価値の向上を図り、全てのステークホルダーから信頼され、選択され、支持される企業グループを目指していきます。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2023年3月24日に中期経営計画「東京メトロプラン2024」における経営目標値を変更しました。引き続き、キャッシュ創出力を持続的に向上させていくという観点から3か年連結EBITDA総額、本業から得られるキャッシュと負債のバランスを踏まえて一定の財務健全性を確保するという観点から連結純有利子負債/EBITDA倍率、これまでの積極的な設備投資に伴う総資産・営業費の増加を踏まえた上でも一定の資産効率性を確保するという観点から連結ROAの3つを定め、目標値を上方修正しています。なお、目標値は当社グループの経営上の目標を示すものにすぎず、その達成を保証するものではありません。当該目標の達成については、後記「3 事業等のリスク」に記載しているリスクの顕在化により影響を受けます。
| 経営指標 | 2025年3月期末目標 |
| 3か年連結EBITDA総額(注1) | 3,600億円 (2023年3月期から2025年3月期までの3か年総額) |
| 連結純有利子負債/EBITDA倍率(注2、3) | 7.7倍 (新線除く 6.3倍) |
| 連結ROA(注3、4) | 3.2% (新線除く 3.5%) |
(注)1 営業利益に減価償却費を加え、簡易的に計算したものとします。
2 (債務残高-現金同等物)/(営業利益+減価償却費)で計算したものとします。
3 新線建設推進長期借入金(1,921億円)及び新線建設費を含めた数値とします。
4 営業利益/((期首総資産+期末総資産)/2)で計算したものとします。
「東京メトロプラン2024」において目標とする経営指標である連結EBITDA、連結純有利子負債/EBITDA倍率、連結ROAに関連する各連結指標並びにセグメント毎の連結経営指標の推移は以下のとおりです。
| 回次 | 第16期 | 第17期 | 第18期 | 第19期 | 第20期 | 第21期 第1四半期 | ||
| 決算年月 | 2020年3月 | 2021年3月 | 2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | 2024年6月 | ||
| 営業収益(注)2 | (百万円) | 433,147 | 295,729 | 306,904 | 345,370 | 389,267 | 101,950 | |
| 運輸業 | (百万円) | 383,889 | 255,784 | 276,255 | 312,260 | 356,467 | 93,445 | |
| 不動産事業 | (百万円) | 13,913 | 13,474 | 13,630 | 13,740 | 13,654 | 3,520 | |
| 流通・広告事業 | (百万円) | 41,750 | 31,086 | 21,746 | 23,656 | 23,920 | 6,044 | |
| その他 | (百万円) | 3,402 | 3,160 | 3,308 | 3,707 | 3,726 | 998 | |
| 調整額 | (百万円) | △9,808 | △7,776 | △8,035 | △7,994 | △8,500 | △2,058 | |
| 営業利益又は 営業損失(△)(注)2 | (百万円) | 83,917 | △40,299 | △12,117 | 27,777 | 76,359 | 29,097 | |
| 運輸業 | (百万円) | 70,999 | △50,791 | △23,656 | 14,604 | 63,785 | 25,641 | |
| (営業利益率) | (%) | (18) | (△20) | (△9) | (5) | (18) | (27) | |
| 不動産事業 | (百万円) | 4,667 | 4,499 | 4,609 | 5,347 | 4,563 | 1,369 | |
| (営業利益率) | (%) | (34) | (33) | (34) | (39) | (33) | (39) | |
| 流通・広告事業 | (百万円) | 8,327 | 5,344 | 6,793 | 7,687 | 7,969 | 2,039 | |
| (営業利益率) | (%) | (20) | (17) | (31) | (32) | (33) | (34) | |
| その他 | (百万円) | 52 | 43 | 40 | 35 | △64 | 18 | |
| (営業利益率) | (%) | (2) | (1) | (1) | (1) | (△2) | (2) | |
| 調整額 | (百万円) | △129 | 604 | 96 | 103 | 106 | 28 | |
| EBITDA(注)3 | (百万円) | 166,580 | 46,475 | 76,101 | 98,155 | 150,106 | 46,660 | |
| 運輸業(注)4 | (百万円) | 149,964 | 31,835 | 60,588 | 81,567 | 133,968 | 42,314 | |
| 不動産事業(注)4 | (百万円) | 6,903 | 6,854 | 6,947 | 7,536 | 6,881 | 1,969 | |
| 流通・広告事業(注)4 | (百万円) | 9,902 | 7,167 | 8,461 | 8,943 | 9,248 | 2,338 | |
| その他(注)4 | (百万円) | 75 | 63 | 61 | 47 | △50 | 22 | |
| 有利子負債残高 | (百万円) | 756,051 | 903,872 | 971,295 | 1,139,988 | 1,118,898 | 1,107,210 | |
| 現金及び現金同等物(注)5 | (百万円) | 65,542 | 70,820 | 111,664 | 88,982 | 90,665 | 68,678 | |
| 純有利子負債(注)6 | (百万円) | 690,508 | 833,052 | 859,630 | 1,051,006 | 1,028,233 | 1,038,532 | |
| 連結ROA(注)7、9 | (%) | 4.9 | △2.3 | △0.7 | 1.5 | 3.8 | - | |
| 純有利子負債/EBITDA倍率(注)8、9 | (倍) | 4.1 | 17.9 | 11.3 | 10.7 | 6.9 | - | |
(注) 1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第18期の期首から適用していますが、上表の第17期以前の連結経営指標等については、当該会計基準の変更を反映していません。
2 セグメント毎の営業収益はセグメント間の内部営業収益又は振替高を含めた金額を記載しています。また、セグメント毎の営業利益又は営業損失(△)は、セグメント間の取引消去前の金額を記載しています。なお、セグメント毎の営業利益率は、セグメント毎の営業利益又は営業損失(△)をセグメント毎の営業収益で除して算出しており、小数点以下第1位を四捨五入しています。
3 営業利益又は営業損失(△)+減価償却費により算出したものです。
4 セグメント毎の営業利益又は営業損失(△)+セグメント毎の減価償却費により算出したものです。なお、セグメント利益又は損失(△)の調整額は含めていません。
また、第20期におけるセグメント毎のEBITDA比率は以下のとおりです。なお、EBITDA比率については、セグメント毎のEBITDA÷各セグメント毎EBITDAの合計により算出したものであり、小数点以下第1位を四捨五入しています。
| 第20期(2024年3月期) | ||
| 運輸業 | (百万円) | 133,968 |
| (EBITDA比率) | (%) | (89) |
| 不動産事業 | (百万円) | 6,881 |
| (EBITDA比率) | (%) | (5) |
| 流通・広告事業 | (百万円) | 9,248 |
| (EBITDA比率) | (%) | (6) |
| その他 | (百万円) | △50 |
| (EBITDA比率) | (%) | (△0) |
5 現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3か月以内に償還期限の到来する短期投資からなっています。
6 有利子負債残高-現金及び現金同等物により算出したものです。
7 営業利益又は営業損失(△)/((期首総資産+期末総資産)/2)で計算したものです。また、小数点以下第2位を四捨五入しています。
8 小数点以下第2位を四捨五入しています。
9 四半期連結累計期間における指標については、記載を省略しています。