有価証券報告書-第57期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
①自然保護と環境保全
当社の経営基盤である立山黒部一帯は、自然公園法による中部山岳国立公園の特別保護地区及び特別地域に含まれており、そのため、立山黒部アルペンルートの建設にあたっては、自然景観を損なわないよう、また自然に与える影響を最小限に抑えるよう細心の配慮のもと進められました。当社では、昭和46年の全線開業後においても、一貫して自然保護と環境保全を最優先課題に掲げ、立山の大自然を永久に守り伝えるため努力を続けています。
②安全保護と保守管理
立山黒部アルペンルートは、年間約100万人の観光客・登山客を迎えています。運輸機関が安全・快適であることは、観光地にとっての絶対必要要件であり、立山黒部の大景観を心ゆくまで満喫していただくために、保守管理体制を徹底・強化し、安全確保の維持に努めています。
③地域振興と国際観光
立山黒部地帯は、特異な風土(気候、気象、地形、景観など)が影響し、大自然、歴史と文化、電源開発、砂防事業など多くの魅力や資源にあふれており、国際的山岳観光地として、確固たる地位を築いています。
年間約100万人の観光客のうち、近年は海外からのお客様が年々増加し、20万人を超えるようになりました。
今後も、グローバルな営業を展開し国際観光振興に貢献していきます。
(2)経営環境
現在、日本国内においては、新型コロナウイルス感染拡大の防止と社会経済活動の維持との両立を図るため、地域の感染状況に応じて、集中的な対策により急速なまん延を防ぐ感染防止策として、当該地域での不要不急の外出やイベント等の開催制限などの徹底した措置が講じられております。
国際的な人の移動が制限されているため、インバウンド需要は失われたままであり、国内におきましても旅行のキャンセル、出控えなどの影響を受け、観光需要は大きく減少し、全国の旅行業、宿泊業はもとより、地域の交通や飲食業、物品販売事業など多くの産業に深刻な影響が生じています。
当面、大変厳しい経営環境が続くことが予想されますが、終息後を見据え効率的な事業運営に取り組み、経営基盤の安定を図ってまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①効率的な運営
この非常時に、当社グループは、社長を本部長とし、経営改革会議を設置し、「感動を快適に」「変革への挑戦」「回復と蓄積」という三つのキーワードを基本方針として、中期経営計画を策定いたしました。
現状の経営環境を踏まえ、スリムな運営体質と適正な集客モデルを目指すべきであると考え、まずは、大量集客を前提とした要員確保を見直し、スリムな運営体制を再構築いたしました。さらには安定的な収益体質に変革するため、コストの削減等を果断に実施し、損益分岐点の引き下げに取り組んでまいります。
また、混雑緩和や待ち時間を解消するため事前予約性を導入し、お客様の分散化を図り、同時に平準化を促進いたします。なお、繁忙日の混雑状況の事前周知を徹底することで、訪れることへの安心感や快適さを提供し、顧客の確保に努めます。さらには本年度より新運輸システム(アルペンルート統合システム(名称:ARIS(アリス)21))の運用稼働を開始し、予約券の自動券売機による迅速な引き換えや乗車便ごとの予約管理などを通じて、適正な運行管理を推進してまいります。
この度当社グループは、令和3年3月31日をもって宇奈月国際ホテルを閉館させていただき、同日付けにてルートインジャパン株式会社との間で、同館の売買契約を締結いたしました。昭和62年の同館の開業以来、積極的な誘客活動と効率的運用に努めてまいりましたが、個人消費の低迷や旅行形態の変化等の影響によりホテルを取り巻く経営環境が著しく厳しさを増し、今般の新型コロナウイルスの流行を受け、昨年4月以降、営業を休止しておりました。その後も感染流行の影響が長引く中、営業再開のめどが立たず、当社グループの経営に与える影響を回避することが喫緊の課題となり、同ホテルを売却することといたしました。
②安全・安心の確保
運輸事業を営む当社グループにとりまして、安全の確保は当然の責務であります。
全職場に安全管理と安全教育のあり方を浸透させ、法令遵守とヒューマンエラー防止の徹底と、その継続的な改善に取り組んでまいります。また、弥陀ヶ原火山災害発生のリスクに対しても、関係機関と連携しながら、災害対応体制の構築と避難確保計画の策定を進めてまいります。
また、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、お客様用のアルコール消毒液の設置や、換気対策を講じた各乗り物の運行、お客様間の距離を確保するための案内誘導、従業員のマスク着用と検温・手指消毒の徹底などの対策を講じてまいります。
今後とも、安全確保に対する取り組みを継続して行い、安全・安心な立山黒部アルペンルートの構築に役職員一丸となって邁進いたします。
③自然環境の保全
令和3年度は、関係機関のご協力ご配慮を得て、4月15日に全線で営業を再開いたしました。営業再開にあたっては早春の立山一帯における自然環境保全に対する理解の周知徹底に万全を期してまいりました。
引き続き環境にやさしい施設の維持管理、ごみ処理対策の徹底、美化清掃活動の推進等、立山の大自然を守り伝えるための努力を続けてまいります。
今後とも自然公園法の目的に添い、自然にふれあうことでそのすばらしさを知っていただけるよう、観光と環境保全の調和を図り、関係機関と連携して立山黒部の大自然を広く紹介してまいります。
(4)営業戦略
令和3年度の営業にあたりましては、富山県内での観光の魅力を再発見し、県民の拠りどころである立山黒部への誘いを活発化させるため、「立山」と「黒部ダム」を観光できる乗車券や、雪の大谷や登山、トレッキングを楽しめる日帰りツアー商品などを企画販売するため、昨年に引き続き富山県、関係市町村、関係期間のご協力をいただきながら、誘客に努めてまいります。
昭和46年6月1日の全線開業以来、立山黒部アルペンルートは、おかげさまで本年、全線開業50周年を迎えます。令和3年度の営業に際しまして、50周年を記念するビジョンを「自然とともに50年 感謝を込めて」といたしました。これからも佐伯宗義初代社長を始めとする幾多の先人の方々の、アルペンルート創業にかけた理想と理念を受け継ぎ、次の50年も多くの皆様に喜ばれますよう、積極的な営業活動と、安全・安心な立山黒部アルペンルートの構築と、自然環境保全を役職員一同全力を傾注してまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は営業利益であります。
中期経営計画では令和3年度は黒字化を、令和4年度以降はグループとして営業利益3億円台を目標としております。